空気調和機
【課題】修理を迅速かつ的確に行えるようにするため、異常が発生している個所の総個所数およびその異常情報等を、室内機に設けられている運転状態を表示する限られた数の表示素子を利用して表示する。
【解決手段】室内機1に運転状態を表示する少なくとも3つの表示素子21,22,23を備え、各表示素子を利用して異常状態を表示する故障診断機能を有する空気調和機において、異常発生個所の総個所数を表示する総個所数表示、異常番号を表示する異常番号表示および異常内容を表示する異常内容表示を、各表示素子21,22,23の表示態様(点灯,消灯,点滅,高速点滅)の特定の組み合わせにより所定の順序で行う。
【解決手段】室内機1に運転状態を表示する少なくとも3つの表示素子21,22,23を備え、各表示素子を利用して異常状態を表示する故障診断機能を有する空気調和機において、異常発生個所の総個所数を表示する総個所数表示、異常番号を表示する異常番号表示および異常内容を表示する異常内容表示を、各表示素子21,22,23の表示態様(点灯,消灯,点滅,高速点滅)の特定の組み合わせにより所定の順序で行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に関し、さらに詳しく言えば、室内機に設けられている運転状態を表示する表示素子を利用して、異常(故障)が発生している個所の総個所数およびその異常情報を表示する空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
故障診断機能(自己診断機能とも言う)を有する空気調和機では、何らかの異常(例えば、室内熱交換器の異常過熱等)が発生した場合には、その異常を表示手段によりユーザーに報知する。
【0003】
その表示手段として、異常表示専用の表示素子を設けずに、空気調和機の運転状態を表示する発光ダイオード等からなる表示素子(表示ランプ)が利用される場合がある。
【0004】
例えば、運転状態表示部に、運転ランプ,タイマーランプ,省エネ運転ランプの3つがある場合、異常発生時には、通常の運転時とは異なる表示態様として、例えば運転ランプとタイマーランプとを同時に点滅することにより、異常が発生していることをユーザーに知らせる。
【0005】
これを見たユーザーが、電話等によりサービスセンターにランプの表示状態(上記の例では、運転ランプとタイマーランプとが同時に点滅している表示状態)を通知することにより、サービスセンター側では、予め配布されているサービスマニュアルにより、その異常個所を特定し、サービスマンを修理に出向かわせることになる。
【0006】
しかしながら、従来では、1個所の異常しか表示されないため、サービスマンは、表示されている異常にしか対応することができない。
【0007】
例えば、異常が2個所で発生している場合には、サービスマンの対応により1個所の異常が解消された後に、次の異常が表示されるため、その修理に事前の準備が必要な場合には、1度の訪問ですべての異常に対応することができない。
【0008】
なお、特許文献1には、複数台の室内機を有するマルチエアコンで、室外機側で異常が発生している室内機を特定できるようにしたマルチエアコン異常停止時の異常報知器が提案されている。
【0009】
しかしながら、異常が発生している室内機を特定できたとしても、その異常個所が何個所で、どのような異常であるかまでは分からない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平8−261546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の課題は、修理を迅速かつ的確に行えるようにするため、異常が発生している個所の総個所数およびその異常情報を、室内機に設けられている運転状態を表示する限られた数の表示素子を利用して表示することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明は、故障診断機能を有するとともに、室内機に運転状態を表示する少なくとも3つの表示素子と、上記故障診断機能による異常情報に基づいて上記各表示素子を制御する表示制御部とを備え、上記各表示素子を利用して異常状態を表示する空気調和機において、上記表示制御部は、異常発生個所の総個所数を表示する総個所数表示、異常番号を表示する異常番号表示および異常内容を表示する異常内容表示を、上記各表示素子の表示態様の特定の組み合わせにより所定の順序で行うことを特徴としている。
【0013】
また、本発明には、上記総個所数表示、上記異常番号表示、上記異常内容表示を所定の順序で行う際、各表示の切り替え時には、上記各表示素子の表示態様を所定時間の間、上記特定の組み合わせ以外の表示切り替え専用の組み合わせとする態様が含まれる。
【0014】
本発明において、上記表示制御部は、上記異常発生個所が1個所である場合、上記異常番号表示は行わず、上記異常内容表示のみを行う。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、異常発生個所の総個所数を表示する総個所数表示、異常番号を表示する異常番号表示および異常内容を表示する異常内容表示が、各表示素子の表示態様の特定の組み合わせにより所定の順序で表示されるため、ユーザーからのサービスコール時に、これらの表示態様を伝えてもらうことにより、すべての異常を事前に知ることができ、1度の訪問ですべての異常に対応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)本発明の空気調和機が備える室内機の外観斜視図、(b)その運転表示部の拡大図。
【図2】運転表示部に設けられている表示素子の駆動回路図。
【図3】運転表示部に設けられている表示素子の表示態様を示す模式図。
【図4】異常発生個所の総個所数を表示する総個所数表示の一例を示す模式図。
【図5】(a)〜(c)異常番号を表示する異常番号表示の3例を示す模式図。
【図6】異常内容を表示する異常内容表示の一例を示す模式図。
【図7】(a)〜(e)総個所数表示、異常番号表示、異常内容表示の表示順序を示す模式図。
【図8】総個所数表示、異常番号表示、異常内容表示の具体例を示す説明図。
【図9】(a)自動化された総個所数表示、異常番号表示、異常内容表示の表示順序を示すフローチャート、(b)表示切り替え専用の表示パターンを示す模式図。
【図10】リモコンの操作に基づく総個所数表示、異常番号表示、異常内容表示の表示順序を示すフローチャート。
【図11】(a)リモコンの操作に基づく別の例としての総個所数表示、異常番号表示、異常内容表示の表示順序を示すフローチャート、(b)異常発生表示の表示パターンを示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、図1ないし図10により、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0018】
図1(a)に示すように、この空気調和機は室内機(室内ユニット)1を有し、故障診断機能(自己診断機能とも言う)により発見された異常を室内機1の運転状態表示部2に表示する。
【0019】
故障診断機能について説明すると、室外機および室内機の各制御部は、各種温度センサや圧力センサで検出された制御情報に基づいて、圧縮機や送風ファン、膨張弁等を制御するが、この制御プロセスにおいて、室内機の制御部は、上記制御情報が所定の基準値から外れている等、上記制御情報に異常があると、故障と診断する。
【0020】
故障は複数個所で同時に発生する場合と、後から新たな故障が発生する場合もあるが、いずれにしても、室内機の制御部は、その故障の発生個所や故障の内容を記憶手段に記憶する。これとは別に、制御部は、どこかで故障が発生した場合、他に異常が発生していないかどうかを確認することもある。
【0021】
この実施形態において、図1(b)に示すように、運転状態表示部2には、運転表示素子21,機能A用(例えばタイマ用)表示素子22および機能B用(例えば省エネ運転用)表示素子23の3つの表示素子が設けられている。なお、参照符号24は、リモコン信号を受信する受信部である。
【0022】
表示素子21,22,23は発光ダイオードからなり、以下、表示素子を「表示ランプ」ということがある。発光ダイオードの発光色は任意に決められてよい。
【0023】
図2に示すように、表示ランプ21,22,23は表示制御部30により、その表示態様が制御される。この実施形態において、個々の表示ランプの表示態様には、図3で黒丸で示す「消灯」,白丸で示す「点灯」,二重丸で示す「点滅」,三重丸で示す「高速点滅」の4態様が含まれる。
【0024】
本発明によると、
(1)異常発生個所の総個所数を表示する総個所数表示、
(2)異常番号を表示する異常番号表示、
(3)異常内容を表示する異常内容表示が、
表示ランプ21,22,23の表示態様の組み合わせにより表示される。
【0025】
まず、(1)の異常発生個所の総個所数を表示する総個所数表示について説明する。この実施形態では、図4に示すように、総個所数表示時には、表示ランプ21が点滅,表示ランプ22が消灯,表示ランプ23が高速点滅する。なお、この実施形態では、総個所数表示を3個所までとしている。
【0026】
この場合、表示ランプ21は、一例として0.5秒オン,0.5秒オフで点滅し、表示ランプ23は、それよりも速い間隔で点滅する(表示ランプ22は常時消灯)。
【0027】
例えば、故障診断機能により、異常が2個所(例えば、室内熱交換の異常過熱と、室内ファンモータの異常の2個所)であれば、表示ランプ23が高速点滅している間に、表示ランプ21は2回点滅する。同様に、異常が3個所であれば、表示ランプ23が高速点滅している間に、表示ランプ21は3回点滅する。
【0028】
次に、(2)の異常番号を表示する異常番号表示について説明する。例えば、異常がこの実施形態で表示可能な最大の3個所である場合、1個所目の異常番号1(図5(a)),2個所目の異常番号2(図5(b)),3個所目の異常番号3(図5(c))をそれぞれ表示する。
【0029】
すなわち、この異常番号表示では、現在発生しているすべての異常のうち、何個所目の異常であるかを番号1,2,3で表示する。なお、図5(a)〜(c)の各表示態様は、例えば異常番号A,B,Cと認識されてもよい。
【0030】
異常番号1〜3のいずれにおいても、表示ランプ23は高速点滅であるが、異常番号1では、図5(a)に示すように、表示ランプ21が点灯,表示ランプ22が消灯、異常番号2では、図5(b)に示すように、表示ランプ21が消灯,表示ランプ22が点灯、異常番号3では、図5(c)に示すように、表示ランプ21,22ともに点灯となる。
【0031】
次に、(3)の異常内容を表示する異常内容表示について説明する。この異常内容表示は、各異常番号で発生している異常の内容を表示するもので、この実施形態では、図6に例示するように、表示ランプ21,22がともに点滅で、表示ランプ23が高速点滅となる。
【0032】
この場合、表示ランプ21,22の点滅回数は、故障診断機能に書き込まれている異常内容に応じて決められており、一例として、異常内容が「室内熱交換器センサーの異常」であれば、表示ランプ23が高速点滅している間に、表示ランプ21が4回点滅した後、表示ランプ21が1回点滅する。また、異常内容が「ファンモータのロック異常」であれば、表示ランプ23が高速点滅している間に、表示ランプ21が5回点滅した後、表示ランプ21が1回点滅する。
【0033】
次に、図7を参照して、表示の切り替えについて説明する。まず、図7(a)に示すように、異常の総個所数表示が行われる。例えば、異常個所が2個所であるとすると、表示ランプ21が2回点滅する。そして、図7(b)に示すように、1個所目の異常番号1が表示され、その後、図7(c)に示すように、異常番号1の異常内容が表示ランプ21,22の点滅回数により表示される。
【0034】
次に、図7(d)に示すように、2個所目の異常番号2が表示され、その後、図7(e)に示すように、異常番号2の異常内容が表示ランプ21,22の点滅回数により表示される。これが、繰り返される。参考として、図8に総個所数表示、異常番号表示、異常内容表示の具体例を示す。
【0035】
なお、異常個所が1個所である場合には、異常個数および異常番号は表示されず、図7(c)の異常内容が表示されることになる。
【0036】
いずれにしても、異常の総個所数表示、異常番号表示および異常内容表示の各表示態様は、上記したように、例えば、機能B用(例えば省エネ運転用)表示ランプ23が高速点滅する等、室内機1の運転状態表示部2に表示される正常運転時の表示態様とは異なる表示内容であるため、その表示を見てユーザーは故障が発生していることを知ることができる。
【0037】
次に、図9(a)のフローチャートにより、上記の表示の切り替えを例えば表示制御部30に設定されているプログラムにより自動的に切り替える場合について説明する。
【0038】
まず、ステップST91で、発生している異常が1個所がどうかを判断し、1個所である場合には、ステップST91aを実行し、上記(3)の異常内容を図6(図7(c))の態様で表示する。
【0039】
異常が複数個所の場合には、ステップST92で、上記(1)の総個所数表示を図4(図7(a))の態様で行い、ステップST93で、2秒間マスク(第1回目のマスク)したのち、ステップST94で、上記(2)の異常番号表示を図5(図7(b))の態様で行い、再びステップST95で、2秒間マスク(第2回目のマスク)したのち、ステップST96で、上記(3)の異常内容表示を図6(図7(c))の態様で行う。
【0040】
そして、ステップST97で、すべての異常個所およびその異常内容を表示したかの判定を行い、YESであればステップST91に戻り、NOであればステップST93に戻り次の異常個所について同様の表示を行う。
【0041】
なお、ステップST93での第1回目のマスク時と、ステップST95での第2回目のマスク時には、表示の切り替えが明確になるようにするため、表示切り替え専用の組み合わせパターンとして、図9(b)に示すように、例えば表示ランプ21,22をともに消灯とし、表示ランプ23のみを高速点滅させることが好ましい。
【0042】
また、別の例として、図10のフローチャートに示すように、ユーザーのリモコン操作(例えば、リモコンの特定のボタン操作)により、上記(1)〜(3)の表示が切り替えられるようにすることもできる。なお、このリモコン操作は、電話等によるユーザーとサービスセンターとの交信時に、サービスセンター側からの要請により逐次行われる。
【0043】
この別の例では、まず、ステップST101で、発生している異常が1個所がどうかを判断し、1個所である場合には、ステップST101aを実行し、上記(3)の異常内容を図6(図7(c))の態様で表示する。
【0044】
異常が複数個所の場合には、ステップST102で、上記(1)の総個所数表示を図4(図7(a))の態様で行い、ステップST103で、リモコン操作の有無を判定し、リモコン操作「有り」の場合に、ステップST104を実行し、上記(2)の異常番号表示を図5(図7(b))の態様で行う。リモコン操作が行われない場合には、先に進まずリモコン操作が行われるまで待つ。
【0045】
次に、ステップST105で、再度リモコン操作の有無を判定し、リモコン操作「有り」の場合に、ステップST106に進み、上記(3)の異常内容表示を図6(図7(c))の態様で行う。リモコン操作が行われない場合には、先に進まずリモコン操作が行われるまで待つ。
【0046】
そして、ステップST107で、再度リモコン操作の有無を判定し、リモコン操作「有り」の場合に、ステップST108に進み、リモコン操作が行われない場合には、先に進まずリモコン操作が行われるまで待つ。
【0047】
ステップST108では、すべての異常個所およびその異常内容を表示したかの判定を行い、YESであればステップST101に戻り、NOであればステップST104に戻り次の異常個所について同様の表示を行う。
【0048】
また、異常が発生した場合、ユーザーに注意を喚起するため、図11(a)のフローチャートに示すように、まず最初のステップST111で、「異常発生表示」を行う。この「異常発生表示」には、図11(b)に示すように、例えば表示ランプ21,22をともに消灯とし、表示ランプ23のみを高速点滅させる図9(b)と同様な表示パターンが採用されてよい。
【0049】
次に、ステップST112で、リモコン操作の有無を判定し、リモコン操作「有り」の場合に、ステップST113に進み、上記(1)の総個所数表示を図4(図7(a))の態様で行う。リモコン操作が行われない場合には、先に進まずリモコン操作が行われるまで待つ。
【0050】
ステップST113を実行したのち、ステップST114で、リモコン操作の有無を判定し、リモコン操作「有り」の場合に、ステップST115に進み、上記(2)の異常番号表示を図5(図7(b))の態様で行う。リモコン操作が行われない場合には、先に進まずリモコン操作が行われるまで待つ。
【0051】
ステップST115を実行したのち、ステップST116で、リモコン操作の有無を判定し、リモコン操作「有り」の場合に、ステップST117に進み、上記(3)の異常内容表示を図6(図7(c))の態様で行う。リモコン操作が行われない場合には、先に進まずリモコン操作が行われるまで待つ。
【0052】
そして、ステップST118で、再度リモコン操作の有無を判定し、リモコン操作「有り」の場合に、ステップST119に進み、リモコン操作が行われない場合には、先に進まずリモコン操作が行われるまで待つ。
【0053】
ステップST119では、すべての異常個所およびその異常内容を表示したかの判定を行い、YESであればステップST111に戻り、NOであればステップST115に戻り次の異常個所について同様の表示を行う。
【0054】
なお、上記実施形態では、表示の切り替えを(1)の総個所数表示→(2)の異常番号表示→(3)の異常内容表示の順としているが、(2)の異常番号表示→(3)の異常内容表示→(1)の総個所数表示の順、あるいは(3)の異常内容表示→(1)の総個所数表示→(2)の異常番号表示の順としてもよい。また、表示ランプは4つ以上あってもよい。
【0055】
いずれの場合にも、ユーザーからのサービスコール時に、各表示時の表示ランプの表示態様を伝えてもらうことにより、サービスセンター側では、異常が複数個所で発生しており、その異常内容を知ることができることができるため、1度の訪問ですべての異常に対応することが可能となる。
【符号の説明】
【0056】
1 室内機
2 運転状態表示部
21,22,23 表示素子(表示ランプ)
30 表示制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に関し、さらに詳しく言えば、室内機に設けられている運転状態を表示する表示素子を利用して、異常(故障)が発生している個所の総個所数およびその異常情報を表示する空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
故障診断機能(自己診断機能とも言う)を有する空気調和機では、何らかの異常(例えば、室内熱交換器の異常過熱等)が発生した場合には、その異常を表示手段によりユーザーに報知する。
【0003】
その表示手段として、異常表示専用の表示素子を設けずに、空気調和機の運転状態を表示する発光ダイオード等からなる表示素子(表示ランプ)が利用される場合がある。
【0004】
例えば、運転状態表示部に、運転ランプ,タイマーランプ,省エネ運転ランプの3つがある場合、異常発生時には、通常の運転時とは異なる表示態様として、例えば運転ランプとタイマーランプとを同時に点滅することにより、異常が発生していることをユーザーに知らせる。
【0005】
これを見たユーザーが、電話等によりサービスセンターにランプの表示状態(上記の例では、運転ランプとタイマーランプとが同時に点滅している表示状態)を通知することにより、サービスセンター側では、予め配布されているサービスマニュアルにより、その異常個所を特定し、サービスマンを修理に出向かわせることになる。
【0006】
しかしながら、従来では、1個所の異常しか表示されないため、サービスマンは、表示されている異常にしか対応することができない。
【0007】
例えば、異常が2個所で発生している場合には、サービスマンの対応により1個所の異常が解消された後に、次の異常が表示されるため、その修理に事前の準備が必要な場合には、1度の訪問ですべての異常に対応することができない。
【0008】
なお、特許文献1には、複数台の室内機を有するマルチエアコンで、室外機側で異常が発生している室内機を特定できるようにしたマルチエアコン異常停止時の異常報知器が提案されている。
【0009】
しかしながら、異常が発生している室内機を特定できたとしても、その異常個所が何個所で、どのような異常であるかまでは分からない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平8−261546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の課題は、修理を迅速かつ的確に行えるようにするため、異常が発生している個所の総個所数およびその異常情報を、室内機に設けられている運転状態を表示する限られた数の表示素子を利用して表示することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明は、故障診断機能を有するとともに、室内機に運転状態を表示する少なくとも3つの表示素子と、上記故障診断機能による異常情報に基づいて上記各表示素子を制御する表示制御部とを備え、上記各表示素子を利用して異常状態を表示する空気調和機において、上記表示制御部は、異常発生個所の総個所数を表示する総個所数表示、異常番号を表示する異常番号表示および異常内容を表示する異常内容表示を、上記各表示素子の表示態様の特定の組み合わせにより所定の順序で行うことを特徴としている。
【0013】
また、本発明には、上記総個所数表示、上記異常番号表示、上記異常内容表示を所定の順序で行う際、各表示の切り替え時には、上記各表示素子の表示態様を所定時間の間、上記特定の組み合わせ以外の表示切り替え専用の組み合わせとする態様が含まれる。
【0014】
本発明において、上記表示制御部は、上記異常発生個所が1個所である場合、上記異常番号表示は行わず、上記異常内容表示のみを行う。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、異常発生個所の総個所数を表示する総個所数表示、異常番号を表示する異常番号表示および異常内容を表示する異常内容表示が、各表示素子の表示態様の特定の組み合わせにより所定の順序で表示されるため、ユーザーからのサービスコール時に、これらの表示態様を伝えてもらうことにより、すべての異常を事前に知ることができ、1度の訪問ですべての異常に対応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)本発明の空気調和機が備える室内機の外観斜視図、(b)その運転表示部の拡大図。
【図2】運転表示部に設けられている表示素子の駆動回路図。
【図3】運転表示部に設けられている表示素子の表示態様を示す模式図。
【図4】異常発生個所の総個所数を表示する総個所数表示の一例を示す模式図。
【図5】(a)〜(c)異常番号を表示する異常番号表示の3例を示す模式図。
【図6】異常内容を表示する異常内容表示の一例を示す模式図。
【図7】(a)〜(e)総個所数表示、異常番号表示、異常内容表示の表示順序を示す模式図。
【図8】総個所数表示、異常番号表示、異常内容表示の具体例を示す説明図。
【図9】(a)自動化された総個所数表示、異常番号表示、異常内容表示の表示順序を示すフローチャート、(b)表示切り替え専用の表示パターンを示す模式図。
【図10】リモコンの操作に基づく総個所数表示、異常番号表示、異常内容表示の表示順序を示すフローチャート。
【図11】(a)リモコンの操作に基づく別の例としての総個所数表示、異常番号表示、異常内容表示の表示順序を示すフローチャート、(b)異常発生表示の表示パターンを示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、図1ないし図10により、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0018】
図1(a)に示すように、この空気調和機は室内機(室内ユニット)1を有し、故障診断機能(自己診断機能とも言う)により発見された異常を室内機1の運転状態表示部2に表示する。
【0019】
故障診断機能について説明すると、室外機および室内機の各制御部は、各種温度センサや圧力センサで検出された制御情報に基づいて、圧縮機や送風ファン、膨張弁等を制御するが、この制御プロセスにおいて、室内機の制御部は、上記制御情報が所定の基準値から外れている等、上記制御情報に異常があると、故障と診断する。
【0020】
故障は複数個所で同時に発生する場合と、後から新たな故障が発生する場合もあるが、いずれにしても、室内機の制御部は、その故障の発生個所や故障の内容を記憶手段に記憶する。これとは別に、制御部は、どこかで故障が発生した場合、他に異常が発生していないかどうかを確認することもある。
【0021】
この実施形態において、図1(b)に示すように、運転状態表示部2には、運転表示素子21,機能A用(例えばタイマ用)表示素子22および機能B用(例えば省エネ運転用)表示素子23の3つの表示素子が設けられている。なお、参照符号24は、リモコン信号を受信する受信部である。
【0022】
表示素子21,22,23は発光ダイオードからなり、以下、表示素子を「表示ランプ」ということがある。発光ダイオードの発光色は任意に決められてよい。
【0023】
図2に示すように、表示ランプ21,22,23は表示制御部30により、その表示態様が制御される。この実施形態において、個々の表示ランプの表示態様には、図3で黒丸で示す「消灯」,白丸で示す「点灯」,二重丸で示す「点滅」,三重丸で示す「高速点滅」の4態様が含まれる。
【0024】
本発明によると、
(1)異常発生個所の総個所数を表示する総個所数表示、
(2)異常番号を表示する異常番号表示、
(3)異常内容を表示する異常内容表示が、
表示ランプ21,22,23の表示態様の組み合わせにより表示される。
【0025】
まず、(1)の異常発生個所の総個所数を表示する総個所数表示について説明する。この実施形態では、図4に示すように、総個所数表示時には、表示ランプ21が点滅,表示ランプ22が消灯,表示ランプ23が高速点滅する。なお、この実施形態では、総個所数表示を3個所までとしている。
【0026】
この場合、表示ランプ21は、一例として0.5秒オン,0.5秒オフで点滅し、表示ランプ23は、それよりも速い間隔で点滅する(表示ランプ22は常時消灯)。
【0027】
例えば、故障診断機能により、異常が2個所(例えば、室内熱交換の異常過熱と、室内ファンモータの異常の2個所)であれば、表示ランプ23が高速点滅している間に、表示ランプ21は2回点滅する。同様に、異常が3個所であれば、表示ランプ23が高速点滅している間に、表示ランプ21は3回点滅する。
【0028】
次に、(2)の異常番号を表示する異常番号表示について説明する。例えば、異常がこの実施形態で表示可能な最大の3個所である場合、1個所目の異常番号1(図5(a)),2個所目の異常番号2(図5(b)),3個所目の異常番号3(図5(c))をそれぞれ表示する。
【0029】
すなわち、この異常番号表示では、現在発生しているすべての異常のうち、何個所目の異常であるかを番号1,2,3で表示する。なお、図5(a)〜(c)の各表示態様は、例えば異常番号A,B,Cと認識されてもよい。
【0030】
異常番号1〜3のいずれにおいても、表示ランプ23は高速点滅であるが、異常番号1では、図5(a)に示すように、表示ランプ21が点灯,表示ランプ22が消灯、異常番号2では、図5(b)に示すように、表示ランプ21が消灯,表示ランプ22が点灯、異常番号3では、図5(c)に示すように、表示ランプ21,22ともに点灯となる。
【0031】
次に、(3)の異常内容を表示する異常内容表示について説明する。この異常内容表示は、各異常番号で発生している異常の内容を表示するもので、この実施形態では、図6に例示するように、表示ランプ21,22がともに点滅で、表示ランプ23が高速点滅となる。
【0032】
この場合、表示ランプ21,22の点滅回数は、故障診断機能に書き込まれている異常内容に応じて決められており、一例として、異常内容が「室内熱交換器センサーの異常」であれば、表示ランプ23が高速点滅している間に、表示ランプ21が4回点滅した後、表示ランプ21が1回点滅する。また、異常内容が「ファンモータのロック異常」であれば、表示ランプ23が高速点滅している間に、表示ランプ21が5回点滅した後、表示ランプ21が1回点滅する。
【0033】
次に、図7を参照して、表示の切り替えについて説明する。まず、図7(a)に示すように、異常の総個所数表示が行われる。例えば、異常個所が2個所であるとすると、表示ランプ21が2回点滅する。そして、図7(b)に示すように、1個所目の異常番号1が表示され、その後、図7(c)に示すように、異常番号1の異常内容が表示ランプ21,22の点滅回数により表示される。
【0034】
次に、図7(d)に示すように、2個所目の異常番号2が表示され、その後、図7(e)に示すように、異常番号2の異常内容が表示ランプ21,22の点滅回数により表示される。これが、繰り返される。参考として、図8に総個所数表示、異常番号表示、異常内容表示の具体例を示す。
【0035】
なお、異常個所が1個所である場合には、異常個数および異常番号は表示されず、図7(c)の異常内容が表示されることになる。
【0036】
いずれにしても、異常の総個所数表示、異常番号表示および異常内容表示の各表示態様は、上記したように、例えば、機能B用(例えば省エネ運転用)表示ランプ23が高速点滅する等、室内機1の運転状態表示部2に表示される正常運転時の表示態様とは異なる表示内容であるため、その表示を見てユーザーは故障が発生していることを知ることができる。
【0037】
次に、図9(a)のフローチャートにより、上記の表示の切り替えを例えば表示制御部30に設定されているプログラムにより自動的に切り替える場合について説明する。
【0038】
まず、ステップST91で、発生している異常が1個所がどうかを判断し、1個所である場合には、ステップST91aを実行し、上記(3)の異常内容を図6(図7(c))の態様で表示する。
【0039】
異常が複数個所の場合には、ステップST92で、上記(1)の総個所数表示を図4(図7(a))の態様で行い、ステップST93で、2秒間マスク(第1回目のマスク)したのち、ステップST94で、上記(2)の異常番号表示を図5(図7(b))の態様で行い、再びステップST95で、2秒間マスク(第2回目のマスク)したのち、ステップST96で、上記(3)の異常内容表示を図6(図7(c))の態様で行う。
【0040】
そして、ステップST97で、すべての異常個所およびその異常内容を表示したかの判定を行い、YESであればステップST91に戻り、NOであればステップST93に戻り次の異常個所について同様の表示を行う。
【0041】
なお、ステップST93での第1回目のマスク時と、ステップST95での第2回目のマスク時には、表示の切り替えが明確になるようにするため、表示切り替え専用の組み合わせパターンとして、図9(b)に示すように、例えば表示ランプ21,22をともに消灯とし、表示ランプ23のみを高速点滅させることが好ましい。
【0042】
また、別の例として、図10のフローチャートに示すように、ユーザーのリモコン操作(例えば、リモコンの特定のボタン操作)により、上記(1)〜(3)の表示が切り替えられるようにすることもできる。なお、このリモコン操作は、電話等によるユーザーとサービスセンターとの交信時に、サービスセンター側からの要請により逐次行われる。
【0043】
この別の例では、まず、ステップST101で、発生している異常が1個所がどうかを判断し、1個所である場合には、ステップST101aを実行し、上記(3)の異常内容を図6(図7(c))の態様で表示する。
【0044】
異常が複数個所の場合には、ステップST102で、上記(1)の総個所数表示を図4(図7(a))の態様で行い、ステップST103で、リモコン操作の有無を判定し、リモコン操作「有り」の場合に、ステップST104を実行し、上記(2)の異常番号表示を図5(図7(b))の態様で行う。リモコン操作が行われない場合には、先に進まずリモコン操作が行われるまで待つ。
【0045】
次に、ステップST105で、再度リモコン操作の有無を判定し、リモコン操作「有り」の場合に、ステップST106に進み、上記(3)の異常内容表示を図6(図7(c))の態様で行う。リモコン操作が行われない場合には、先に進まずリモコン操作が行われるまで待つ。
【0046】
そして、ステップST107で、再度リモコン操作の有無を判定し、リモコン操作「有り」の場合に、ステップST108に進み、リモコン操作が行われない場合には、先に進まずリモコン操作が行われるまで待つ。
【0047】
ステップST108では、すべての異常個所およびその異常内容を表示したかの判定を行い、YESであればステップST101に戻り、NOであればステップST104に戻り次の異常個所について同様の表示を行う。
【0048】
また、異常が発生した場合、ユーザーに注意を喚起するため、図11(a)のフローチャートに示すように、まず最初のステップST111で、「異常発生表示」を行う。この「異常発生表示」には、図11(b)に示すように、例えば表示ランプ21,22をともに消灯とし、表示ランプ23のみを高速点滅させる図9(b)と同様な表示パターンが採用されてよい。
【0049】
次に、ステップST112で、リモコン操作の有無を判定し、リモコン操作「有り」の場合に、ステップST113に進み、上記(1)の総個所数表示を図4(図7(a))の態様で行う。リモコン操作が行われない場合には、先に進まずリモコン操作が行われるまで待つ。
【0050】
ステップST113を実行したのち、ステップST114で、リモコン操作の有無を判定し、リモコン操作「有り」の場合に、ステップST115に進み、上記(2)の異常番号表示を図5(図7(b))の態様で行う。リモコン操作が行われない場合には、先に進まずリモコン操作が行われるまで待つ。
【0051】
ステップST115を実行したのち、ステップST116で、リモコン操作の有無を判定し、リモコン操作「有り」の場合に、ステップST117に進み、上記(3)の異常内容表示を図6(図7(c))の態様で行う。リモコン操作が行われない場合には、先に進まずリモコン操作が行われるまで待つ。
【0052】
そして、ステップST118で、再度リモコン操作の有無を判定し、リモコン操作「有り」の場合に、ステップST119に進み、リモコン操作が行われない場合には、先に進まずリモコン操作が行われるまで待つ。
【0053】
ステップST119では、すべての異常個所およびその異常内容を表示したかの判定を行い、YESであればステップST111に戻り、NOであればステップST115に戻り次の異常個所について同様の表示を行う。
【0054】
なお、上記実施形態では、表示の切り替えを(1)の総個所数表示→(2)の異常番号表示→(3)の異常内容表示の順としているが、(2)の異常番号表示→(3)の異常内容表示→(1)の総個所数表示の順、あるいは(3)の異常内容表示→(1)の総個所数表示→(2)の異常番号表示の順としてもよい。また、表示ランプは4つ以上あってもよい。
【0055】
いずれの場合にも、ユーザーからのサービスコール時に、各表示時の表示ランプの表示態様を伝えてもらうことにより、サービスセンター側では、異常が複数個所で発生しており、その異常内容を知ることができることができるため、1度の訪問ですべての異常に対応することが可能となる。
【符号の説明】
【0056】
1 室内機
2 運転状態表示部
21,22,23 表示素子(表示ランプ)
30 表示制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
故障診断機能を有するとともに、室内機に運転状態を表示する少なくとも3つの表示素子と、上記故障診断機能による異常情報に基づいて上記各表示素子を制御する表示制御部とを備え、上記各表示素子を利用して異常状態を表示する空気調和機において、
上記表示制御部は、異常発生個所の総個所数を表示する総個所数表示、異常番号を表示する異常番号表示および異常内容を表示する異常内容表示を、上記各表示素子の表示態様の特定の組み合わせにより所定の順序で行うことを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
上記表示制御部は、上記総個所数表示、上記異常番号表示、上記異常内容表示を所定の順序で行う際、各表示の切り替え時には、上記各表示素子の表示態様を所定時間の間、上記特定の組み合わせ以外の表示切り替え専用の組み合わせとすることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
上記表示制御部は、上記異常発生個所が1個所である場合、上記異常番号表示は行わず、上記異常内容表示を行うことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項1】
故障診断機能を有するとともに、室内機に運転状態を表示する少なくとも3つの表示素子と、上記故障診断機能による異常情報に基づいて上記各表示素子を制御する表示制御部とを備え、上記各表示素子を利用して異常状態を表示する空気調和機において、
上記表示制御部は、異常発生個所の総個所数を表示する総個所数表示、異常番号を表示する異常番号表示および異常内容を表示する異常内容表示を、上記各表示素子の表示態様の特定の組み合わせにより所定の順序で行うことを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
上記表示制御部は、上記総個所数表示、上記異常番号表示、上記異常内容表示を所定の順序で行う際、各表示の切り替え時には、上記各表示素子の表示態様を所定時間の間、上記特定の組み合わせ以外の表示切り替え専用の組み合わせとすることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
上記表示制御部は、上記異常発生個所が1個所である場合、上記異常番号表示は行わず、上記異常内容表示を行うことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−247119(P2012−247119A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118708(P2011−118708)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000006611)株式会社富士通ゼネラル (1,266)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000006611)株式会社富士通ゼネラル (1,266)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]