説明

空気調和機

【課題】ドレンポンプの異常を早期に検知して、ドレンポンプの詰まりを起因とした不具合を抑制することが可能な空気調和機を提供することを目的とする。
【解決手段】熱交換器から滴下するドレン水が貯留するドレンパンと、ドレンパン内のドレン水を排水経路へと排出するドレンポンプと、ドレンポンプを駆動する電動機6と、電動機6の運転を制御部21と電動機6の過電流を検出する過電流検出部22とを有する制御手段と、を備え、過電流検出部22が過電流を検知した際には、制御部21が電動機6の運転を停止した後に電動機6の運転を再始動することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に関し、特に、ドレンポンプの詰まりの検知に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、空気調和機は、ケーシング内に配置されている熱交換器と、ケーシング内に設置された熱交換器の下方に配置されているドレンパンと、ドレンパン内に溜まったドレン水を排水経路を経てケーシングの外部に排水するドレンポンプと、ドレンパン内のドレン水の最高水位を検知するフロートスイッチ等の水位検知手段とを備えている(例えば、特許文献1)。
【0003】
このような空気調和機において、ドレン水に含まれている異物等のごみによってドレンポンプの吸込口が詰まった際には、ドレンポンプがロック状態となる。しかし、ドレンポンプは、回転数を検知する手段を有していないので、ロック状態になってもドレンポンプ自体の異常を検知することができないこととなる。そのため、フロートスイッチによりドレンパンの水位が異常(最高水位、ドレンパンからドレン水が溢れる状態)であることを検知することにより、間接的にドレンポンプが異常になっていることを検知していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−55107号公報
【特許文献2】特開2007−240112号公報
【特許文献3】特許第3379496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の発明では、ドレンパンのドレン水が最高水位を超えなければドレンポンプの異常を検知することができず、その結果として、ドレン水がドレンパンから溢れて空気調和機に多大な影響を及ぼす恐れがあった。
【0006】
また、特許文献2に記載の発明では、排水経路内に残留しているごみの残留量を把握して排水経路内のごみを一気に洗い流すことについて開示されているが、ドレンポンプの吸込口の詰まりによるドレンポンプの異常の検知については開示されていない。
【0007】
また、特許文献3に記載の発明では、ドレンポンプの回転数が所定回転数以上になった場合にドレンポンプに異常が生じたと判定して、空気調和機の冷房運転を停止してドレン水のドレンパンからのオーバーフローを防止している。しかし、ドレンポンプの回転数が所定回転数以上になる度に冷房運転の即時停止が繰り返されることとなり、利用者の利便性に劣るという問題があった。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、ドレンポンプの異常を早期に検知して、ドレンポンプの詰まりを起因とした不具合を抑制することが可能な空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
即ち、本発明の空気調和機は、熱交換器から滴下するドレン水が貯留するドレンパンと、該ドレンパン内のドレン水を排水経路へと排出するドレンポンプと、該ドレンポンプを駆動する電動機と、該電動機の運転を制御する制御部と前記電動機の過電流を検出する過電流検出部とを有する制御手段と、を備え、該過電流検出部が前記過電流を検知した際には、前記制御部が前記電動機の運転を停止した後に該電動機の運転を再始動することを特徴とする。
【0010】
従来は、ドレンポンプに詰まりが生じてドレン水をドレンパンから排水経路へと排水することができなくなった場合であっても、ドレンポンプの異常(詰まり)を検知することができず、水位検知手段によりドレン水がドレンパンから溢れる前に水位を検知して、空気調和機の運転を停止していた。しかし、ドレンポンプが詰まり、水位を検知する水位検知手段が故障している場合には、水位の異常を検知することができず、オーバーフローに至る恐れがあり、ドレンパンからドレン水が溢れて空気調和機に不具合が生じる恐れがあった。
【0011】
ここで、ドレンポンプに詰まりが生じた際には、ドレンポンプを駆動している電動機の電流値が上昇することから、本発明では、制御手段には、電動機の運転を制御する制御部と電動機の過電流を検出する過電流検出部とを設けて、過電流検出部が過電流を検知した際には制御部が電動機の運転を停止した後に再始動することとした。このようにドレンポンプが停止することによって、排水経路からドレンポンプを経てドレンパンへとドレン水が戻る逆流現象が生じる。そのため、逆流現象によるドレン水によってドレンポンプの詰まりを解消することができる。したがって、ドレンポンプの異常によって、ドレンパンからドレン水が溢れること(水漏れ)による空気調和機の不具合を抑制することができる。
【0012】
また、本発明の空気調和機に係る前記制御手段は、前記過電流検出部が前記過電流を検知した回数を数えるカウンタ部と、タイマー部と、前記電動機の運転を遮断すると共に前記ドレンポンプが異常であることを出力する遮断部と、を備え、前記タイマー部に設定された所定時間内に前記カウンタ部が前記過電流を所定回数検知した場合には、前記遮断部が作動することを特徴とする。
【0013】
逆流現象によってドレンポンプの詰まりが解消されない場合には、過電流検出部が過電流の検知を繰り返すこととなる。しかし、その間は、空気調和機の運転が継続されているので、ドレン水が増加してドレンパンからドレン水が溢れる恐れがある。
【0014】
そこで、電動機の運転を遮断すると共にドレンポンプが異常であることを出力する遮断部と、過電流検出部が過電流を検知した回数を数えるカウンタ部と、タイマー部とを制御手段に設けて、タイマー部に設定された所定時間内にカウンタ部が過電流を所定回数検知した際には、遮断部が作動して電動機の運転の遮断およびドレンポンプが異常であることを出力することとした。これにより、ドレンパンが異常水位(ドレン水が溢れる水位)になる前にドレンポンプの異常状態を検知することができる。したがって、ドレンポンプの異常により、空気調和機に不具合が生じることを防止することができる。
なお、ここで所定回数および所定時間とは、ドレンポンプをロック状態で運転した場合であっても、ドレン水がドレンパンから溢れることがない程度の回数および時間をいう。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明に係る空気調和機は、制御手段に、電動機の運転を制御する制御部と電動機の過電流を検出する過電流検出部とを設けて、過電流検出部が過電流を検知した際には制御部が電動機の運転を停止した後に再始動することとした。このようにドレンポンプが停止することによって、排水経路からドレンポンプを経てドレンパンへとドレン水が戻る逆流現象が生じる。そのため、逆流現象によるドレン水によってドレンポンプの詰まりを解消することができる。したがって、ドレンポンプの異常によって、ドレンパンからドレン水が溢れること(水漏れ)による空気調和機の不具合を抑制することができる。
【0016】
また、ドレンポンプが詰まるということは、ドレンパンに異物があって汚れていることを意味する。
そこで、本発明では、ドレンポンプの詰まりを検知することにより、ドレンパンの清掃を促すことができ、衛生面のメンテナンスを促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る空気調和機の概略構成図である。
【図2】図1に示す空気調和機の制御装置の概略構成図である。
【図3】ドレンポンプの電流値または回転数と粘度との関係を示す図である。
【図4】図1に示すドレンポンプの異常の検知を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の一実施形態について、図1〜図4を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る空気調和機の概略構成図である。この空気調和機は、分離型の空気調和機であり、空気調和機を構成している室内機1内に、送風機(図示せず)と、送風機の外周を取り囲むようにして配置されている熱交換器2と、熱交換器2の下方であって、熱交換器2から滴下するドレン水が貯留するドレンパン3と、ドレンパン3内のドレン水をドレン配管(排水経路)4へと排出するドレンポンプ5と、ドレンポンプ5を駆動するモータ(電動機)6と、モータ6の運転を制御する制御装置(制御手段)とを備えている。
なお、図1において、熱交換器2は略長方形状で1つ示されているが、本実施形態の空気調和機の室内機1を上方視した場合には、一体に繋がって送風機を取り囲んで配置されている。
【0019】
ドレンポンプ5は、遠心ポンプであり、ポンプハウジング8内に回転羽根(図示せず)が収容されており、ポンプハウジング8の下部に形成されてドレン水を吸引する吸込口9と、吸引したドレン水を吐出する吐出口10とを有している。さらに、ドレンポンプ5には、回転羽根を駆動するモータ6が接続されている。ドレンポンプ5は、このモータ6が回転羽根を駆動することによって生じる遠心力により吸込口9からドレン水を吸い上げて、吐出口10からドレン水を吐出する。ドレンポンプ5の吐出口10にはドレン配管4が接続されており、室内機1外にドレン水を排出するようになっている。
【0020】
ドレンパン3は、熱交換器2において熱交換した空気中の水分が凝縮してドレン水となって貯留するものであり、滴下したドレン水を貯留するために熱交換器2の下部に設置されている。ドレンパン3には、フロートスイッチ11が設けられている。このフロートスイッチ11は、ドレンパン3に貯留するドレン水が最高水位(ドレンパン3からドレン水が溢れる水位)になる前に、水位が異常であることを検出するものである。
【0021】
制御装置は、図2に示すように、直流電源25から過電流検知回路(過電流検知部)22、モータ出力回路23を経てモータ6に電流が供給されている。制御装置は、モータ6の運転制御を行うマイクロコンピュータ(制御部)21と、モータ6の過電流を検知する過電流検知回路22と、マイクロコンピュータ21からの出力信号に基づいてモータ6に出力電流を送信するモータ出力回路23と、後述する過電流検知スイッチオン信号に基づいて、モータ6への電流供給を即座に遮断する遮断信号をモータ出力回路23へと出力する強制停止回路(遮断部)24とを備えている。
また、制御装置は、過電流検知回路22が過電流を検知した回数を数えるカウンタ部(図示せず)と、タイマー部(図示せず)とを有している。
【0022】
マイクロコンピュータ21は、モータ6の制御用の出力信号をモータ出力回路23へと出力するものである。マイクロコンピュータ21から出力される出力信号は、モータ6を始動する際には2段階に渡って出力される。まず、モータ6を駆動する電流値(例えば約200mA)を100%としたときに、その30%である電流値をモータ6に送信する出力信号がマイクロコンピュータ21からモータ出力回路23へと送信される。その後、100%の電流値(すなわち、約200mA)を送信する出力信号がマイクロコンピュータ21からモータ出力回路23へと送信される。
【0023】
また、マイクロコンピュータ21は、過電流検知信号を受信してモータ6を停止する際には、モータ6への電流供給を即座に停止して、例えば約10秒間、モータ6への電流の供給を停止しつづける出力信号をモータ出力回路23へと送信する。さらに、マイクロコンピュータ21は、ドレンポンプ5(図1参照)の吸込口9に詰まりが生じて、ドレンポンプ5に異常が生じていることを発報する出力信号を送信するものである。このドレンポンプ5が異常である出力信号は、例えば室内機1のリモコン(図示せず)等に表示される。
制御装置に設けられているカウンタ部は、過電流検知回路22が過電流を検知した際にその回数をカウントするものである。
【0024】
過電流検知回路22は、モータ6が出力する過電流(例えば、600mA)を検知する基板回路である。過電流検知回路22は、過電流を検知した際に過電流検知信号をマイクロコンピュータ21へと送信する。
モータ出力回路23は、マイクロコンピュータ21または強制停止回路24から送信される出力信号または遮断信号に応じてモータ6へと電流を供給、停止または遮断を行う回路である。
【0025】
強制停止回路24は、マイクロコンピュータ21を経てモータ出力回路23へと出力信号を送信することなく、直接モータ出力回路23へとモータ6の運転を遮断する出力信号(遮断信号)を送信するものである。
【0026】
次に、図2から図4を用いて本実施形態に係る空気調和器のドレンポンプ5(図1参照)の吸込口9に詰まりが生じた際におけるドレンポンプ5の異常検知の方法について説明する。
図3には、ドレンポンプ5の一般的な特性を示すグラフが示されている。図3において、縦軸はモータ6の電流値またはドレンポンプ5の回転数を示し、横軸は粘度を示している。ここで、粘度とは、ドレンポンプ5が吸引するドレン水の粘度であり、図3の横軸の右側に向かうほど粘度が大きなものとなっている。
【0027】
図3に示すように、吸引するドレン水の粘度が大きくなるほど、すなわち吸引側の抵抗が大きくなるほどドレンポンプ5のモータ6の電流値が高くなり、ドレンポンプ5の回転数が低下する。この吸引側の抵抗の変化する様子は、ドレンポンプ5の吸込口9の詰まり具合と同様な傾向であることが一般的に知られており、ドレンポンプ5の吸込口9の詰まり具合が増すほどモータ6の電流値が増してドレンポンプ5の回転数が低下する。
【0028】
図4には、本実施形態のドレンポンプ5を駆動するモータ6の過電流によってドレンポンプ5の異常を検知するためのタイムチャートが示されている。図4は、紙面右側に向かって時間が経過することを示している。
【0029】
ドレンポンプ5の運転を始動する際には、制御装置のマイコンピュータ21から出力信号がモータ出力回路23へと送信される(ポンプオン)。ここで、マイクロコンピュータ21から出力される出力信号は、前述したように2段階に渡って出力される。2段階に渡ってマイクロコンピュータ21からモータ出力回路23へと送信された出力信号に基づいて、モータ出力回路23がモータ6に電流を供給してモータ6が始動する。モータ6が始動することによって、ドレンポンプ5の始動が開始する。
【0030】
このようにして運転を行っているドレンポンプ5の吸込口9が詰まった場合には、モータ6は駆動しているが、ドレンポンプ5の回転羽根が回転しなくなるロック状態になる。ドレンポンプ5がロック状態になった際(吸入側の抵抗が大きくなった際)には、図3に示したようにモータ6の電流値が上昇する。このように、モータ6の電流値が上昇して600mAの電流値がモータ6から出力された際には、制御装置に設けられている過電流検知回路22がその電流値600mAを過電流(以下、「第1回目の過電流」という。)として検知する。第1回目の過電流を検知した過電流検知回路22は、過電流検知信号をマイクロコンピュータ21へと送信する。また、制御装置に設けられているカウンタ部が、過電流検知回路22が第1回目の過電流を検知することによって第1回目の過電流検知をカウントする。
【0031】
過電流検知信号を受信したマイクロコンピュータ21は、ドレンポンプ5の運転を即時停止すると共に、例えばドレンポンプ5が停止してから10秒間停止状態を維持する出力信号をモータ出力回路23へと送信する。ドレンポンプ5を停止する出力信号を受信したモータ出力回路23は、モータ6への供給電流を即時に停止する。
【0032】
このようにモータ6への供給電流が即時停止されることによって、ドレンポンプ5の運転が即座に停止する。ドレンポンプ5の運転が即座に停止するため、ドレン排水管4内に残留していたドレン水が一気にドレンポンプ5の吐出口10から吸込口9を経てドレンパン3へと逆流する逆流現象が生じる。その際、ドレン水がドレンポンプ5の吐出口10から吸込口9を経てドレンパン3に一気に逆流することによって、吸込口9の詰まりが解消される。
【0033】
ドレンポンプ5の運転を停止してから約10秒経過後、マイクロコンピュータ21は、ドレンポンプ5の運転を再始動(ポンプオン)する出力信号をモータ出力回路23へと送信する。モータ出力回路23は、ポンプオンの出力信号を受けて、モータ6へと前述した2段階に渡る電流値を送信する。これにより、ドレンポンプ5の運転が再始動される。
【0034】
再始動されたドレンポンプ5が、前述した逆流現象によってドレンポンプ5の吸込口9の詰まりが解消されていない場合には、ドレンポンプ5は、再度ロック状態となる。ドレンポンプ5が再度ロック状態になることにより、600mAの第2回目の過電流がモータ6から出力される。出力された第2回目の過電流により、過電流検知回路22によって検知されて、前述した第1回目の過電流の場合と同様に、過電流検知回路22からマイクロコンピュータ21へと過電流検知信号が送信されると共にカウンタ部が第2回目の過電流検知をカウントする。
【0035】
過電流検知信号を受信したマイクロコンピュータ21は、ドレンポンプ5の運転を即時停止し、かつ、停止後約10秒間ドレンポンプ5の停止を維持する出力信号をモータ出力回路23へと送信する。ドレンポンプ5を停止する出力信号を受信したモータ出力回路23は、モータ6への供給電流を即時停止する。再度、モータ6への供給電流が即時停止されることによって、ドレンポンプ5の運転が即座に停止して、前述したようにドレンパンプ5に逆流現象が生じる。
【0036】
ドレンポンプ5の運転を即時停止してから約10秒経過後に、ドレンポンプ5の運転を再始動(ポンプオン)する。この再始動したドレンポンプ5の吸込口9の詰まりが逆流現象により解消されていない場合には、ドレンポンプ5が再三ブロック状態となり、600mAの第3回目の過電流がモータ6から出力される。この出力された第3回目の過電流は、過電流検知回路22によって検知される。そして、過電流検知回路22が第3回目の過電流を検知することにより、前述した第1回目および第2回目の過電流の場合と同様に、過電流検知回路22からマイクロコンピュータ21へと過電流検知信号が送信される共にカウンタ部が第3回目の過電流検知をカウントする。
【0037】
ここで、カウンタ部が第1回目の過電流検知をカウントしてから例えば約3分以内に第3回目の過電流検知をカウントした場合には、マイクロコンピュータ21に備えられているソフトによって過電流検知スイッチオンが出力される。この過電流検知スイッチオンの信号が出力された場合には、カウンタ部が第1回目の過電流検知スイッチオンをカウントする。
なお、カウンタ部が第1回目の過電流検知をカウントしてから約3分以内に第3回目の過電流検知をカウントしなかった場合には、過電流検知のカウントがリセットされる。
【0038】
カウンタ部が第1回目の過電流検知スイッチオンをカウントした場合には、第1回目の過電流検知スイッチオンのカウントと共に、ドレンポンプ5が再始動(ポンプオン)する。その後、前述の場合と同様に、再始動したドレンポンプ5から過電流が約3分以内に3回検知された場合には、カウンタ部が第2回目の過電流検知スイッチオンをカウントする。
【0039】
さらに、カウンタ部が第2回目の過電流検知スイッチオンをカウントした場合には、第2回目の過電流検知スイッチオンのカウントと共に、ドレンポンプ5が再始動(ポンプオン)する。その後、前述の場合と同様に、再始動したドレンポンプ5から過電流が約3分以内に3回検知された場合には、カウンタ部が第3回目の過電流検知スイッチオンをカウントする。
【0040】
このように、カウンタ部が第1回目の過電流をカウントしてから例えば8分以内に過電流検知スイッチオンが合計3回カウントされた場合には、強制停止回路24(図2参照)からモータ出力回路23へと、直接、モータ6の運転を遮断する遮断信号が送信される。また、強制停止回路24は、モータ出力回路23への遮断信号の送信と共にドレンポンプ5に異常が生じていることを発報する出力信号をリモコンに送信する。
【0041】
このように、マイクロコンピュータ21からの制御によってドレンポンプ5の運転の即座の停止を行って、所定の時間(例えば約8分)内に9回(複数回)、ドレン水の逆流現象を繰り返した場合であっても、なお、ドレンポンプ5の吸込口9が詰まったままの状態である場合には、強制停止回路24からの遮断信号によってドレンポンプ5の運転を遮断すると共にドレンポンプ5の異常を検知することができる。
【0042】
次に、ドレンポンプ5の異常により運転が遮断した場合の解除方法について説明する。
ドレンポンプ5の運転が異常によりドレンポンプ5の運転が遮断された後に、ドレンパン3に設けられているフロートスイッチ11が正常状態(オフ状態、ドレンパン3の水位が低水位)であり、かつ、室内機1のリモコンに表示されているドレンポンプ5が異常である旨の表示がリセットされていることを条件に、ドレンポンプ5の異常を解除することができる。
【0043】
以上の通り、本実施形態に係る空気調和機によれば、以下の作用効果を奏する。
制御装置(制御手段)には、モータ(電動機)6の運転を制御するマイクロコンピュータ(制御部)21とモータ6の過電流を検出する過電流検出回路(過電流検出部)22を設けて、過電流検出回路22が過電流を検知した際には、マイクロコンピュータ21、または、強制停止回路24がモータ出力回路23へと出力信号もしくは遮断信号を出力してモータ6の運転を一時停止することによってドレンポンプ5の運転を即時停止し、その後にマイクロコンピュータ21がモータ出力回路23へと出力信号を出力してモータ6の運転を再始動することによってドレンポンプ5の運転を始動することとした。このようにドレンポンプ5が即時停止することによって、ドレン配管(排水経路)4からドレンポンプ5を経てドレンパン3へとドレン水が戻る逆流現象が生じる。そのため、逆流現象によるドレン水によってドレンポンプ5の吸込口9の詰まりを解消することができる。したがって、ドレンポンプ5の異常(詰まり)によって、ドレンパン3のドレン水が溢れて空気調和機(図示せず)の室内機1に不具合が生じることを抑制することができる。
【0044】
マイクロコンピュータ21を介することなく、ドレンポンプ5の運転を遮断する強制停止回路(遮断部)24と、過電流検出回路22が過電流を検知した回数を数えるカウンタ部(図示せず)と、タイマー部(図示せず)とを制御装置(図示せず)に設けて、タイマー部に設定された約8分以内(所定時間内)にカウンタ部が過電流を9回(所定回数)検知した際には、マイクロコンピュータ21がモータ6への出力信号を停止しドレンポンプ5の運転を遮断すること、および、ドレンポンプ5が異常であることをリモコン(図示せず)に出力することとした。これにより、ドレンパン3が異常水位(ドレン水が溢れる水位)になる前にドレンポンプ5の異常状態を検知することができる。したがって、ドレンポンプ5の異常により、空気調和機の室内機1に不具合が生じることを防止することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 室内機(空気調和機)
2 熱交換器
3 ドレンパン
4 ドレン配管(排水経路)
5 ドレンポンプ
6 モータ(電動機)
21 マイクロコンピュータ(制御部)
22 過電流検出回路(過電流検出部)
24 強制停止回路(遮断部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器から滴下するドレン水が貯留するドレンパンと、
該ドレンパン内のドレン水を排水経路へと排出するドレンポンプと、
該ドレンポンプを駆動する電動機と、
該電動機の運転を制御する制御部と前記電動機の過電流を検出する過電流検出部とを有する制御手段と、を備え、
該過電流検出部が前記過電流を検知した際には、前記制御部が前記電動機の運転を停止した後に該電動機の運転を再始動することを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記制御手段は、前記過電流検出部が前記過電流を検知した回数を数えるカウンタ部と、タイマー部と、前記電動機の運転を遮断すると共に前記ドレンポンプが異常であることを出力する遮断部と、を備え、
前記タイマー部に設定された所定時間内に前記カウンタ部が前記過電流を所定回数検知した場合には、前記遮断部が作動することを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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