説明

空気調和装置及び空気調和方法

【課題】 起動時の冷気の立ち上がりを速くしながら、吹き出し空気の温度分布を均一にする。
【解決手段】 冷媒を圧縮する圧縮機3と、圧縮された冷媒を放熱する放熱器5と、放熱した冷媒を断熱膨張によって気化する圧力制御弁7と、気化した冷媒と空気とで熱交換する蒸発器11とを有する空気調和装置であって、蒸発器11を通過する空気の温度分布を検知する温度分布検知手段13と、温度分布検知手段13が検知した温度分布が所定の値に適合しているか否かを判別する判別手段15とを設け、温度分布検知手段13が検知した温度分布が所定の値に適合していないと判別手段15が判別した場合、冷媒の循環量を増加させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車両に用いられる空気調和装置及び空気調和方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に「冷凍サイクル」が記載されている。
【0003】
この冷凍サイクルは、圧縮機で圧縮した冷媒を放熱させ、圧力制御弁で断熱膨張させて気化した冷媒を蒸発器で空気と熱交換して調和空気を作り出す冷凍システムでの冷凍サイクルである。
【0004】
冷凍システムでは、起動時に冷気の立ち上がりを速くする(所望の調和空気を早く作り出す)ために、冷媒の圧力をできるだけ速く所定の圧力まで昇圧させなればならない。
【0005】
また、起動時には、圧力制御弁前後での冷媒の圧力差が大きい程(高圧ラインの圧力が高い程)冷気の立ち上がりを速くし易い。
【0006】
上記の冷凍サイクルは、システム(圧縮機)の起動時に、膨張弁を閉じる(開度を零にする)ことによって冷媒の圧力を上昇させて冷気の立ち上がりを促進させている。また、この冷凍サイクルは炭酸ガスを冷媒に用いたシステムを念頭に置いている。
【特許文献1】特開2003−28522号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような冷凍サイクルを車両用の空調システムに用いた場合、夏季などに車両を発進させるとき、調和空気(冷気)が素早く立ち上がることが求められる。
【0008】
しかし、上記冷凍サイクルでは、起動時に圧力制御弁が閉止されるから冷媒の循環量が過小になり、蒸発器の各部で空気の温度分布が不均一になり、調和空気の温度分布が不均一になる。従って、例えば、運転席側の吹き出し口と助手席側の吹き出し口とで空気の吹き出し温度が不均一になり、快適性が損なわれる恐れがある。
【0009】
そこで、この発明は、起動時に、冷気の立ち上がりを速くしながら、吹き出し空気の温度分布を均一にする空気調和装置及び空気調和方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の空気調和装置は、冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮された前記冷媒を放熱させる放熱器と、前記放熱器で放熱された冷媒を断熱膨張して気化させる圧力制御弁と、気化した前記冷媒と空気とで熱交換し、空調空気を作り出す蒸発器とを有する空気調和装置であって、前記蒸発器を通過する空気の温度分布を検知する温度分布検知手段と、前記温度分布検知手段によって検知された温度分布が所定の値に適合しているか否かを判別する判別手段とを設け、前記温度分布検知手段によって検知された温度分布が前記所定の値に適合していないと前記判別手段が判別した場合、冷媒の循環量を制御して増加させることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載された空気調和装置であって、前記温度分布検知手段は、前記蒸発器の冷媒入口側を通過した空気の温度を検知する入口側温度検知手段と、前記蒸発器の冷媒出口側を通過した空気の温度を検知する出口側温度検知手段とを備えていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載された空気調和装置であって、前記冷媒循環量の増加が、前記圧力制御弁の開度を増加させることによって行われることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載された空気調和装置であって、前記冷媒循環量の増加が、前記圧縮機の冷媒吐出量を増加させることによって行われることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載された空気調和装置であって、前記冷媒循環量の増加が、前記圧力制御弁の開度増加と、前記圧縮機の冷媒吐出量増加との両方によって行われることを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の空気調和方法は、冷媒を圧縮し、放熱させて液化し、断熱膨張させ、空気と熱交換して調和空気を作り出す空気調和方法であって、前記熱交換中の空気の温度分布を検知し、その温度分布が所定の値に適合していない場合は、前記冷媒の循環量を増加させる制御を行うことを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載された空気調和方法であって、前記調和空気の温度分布を、温度分布検知手段によって検知すると共に、前記温度分布検知手段が、空気と前記冷媒との熱交換を行う蒸発器の冷媒入口側を通過した空気の温度を検知する入口側温度検知手段と、前記蒸発器の冷媒出口側を通過した空気の温度を検知する出口側温度検知手段とを備えていることを特徴とする。
【0017】
請求項8に記載の発明は、請求項6または請求項7に記載された空気調和方法であって、前記冷媒循環量の増加を、前記冷媒を断熱膨張させる圧力制御弁の開度を増加することによって行うことを特徴とする。
【0018】
請求項9に記載の発明は、請求項6または請求項7に記載された空気調和方法であって、前記冷媒循環量の増加を、前記冷媒を圧縮する圧縮機の冷媒吐出量を増加させることによって行うことを特徴とする。
【0019】
請求項10に記載の発明は、請求項6または請求項7に記載された空気調和方法であって、前記冷媒循環量の増加を、前記冷媒を断熱膨張させる圧力制御弁の開度を増加すること、及び、前記冷媒を圧縮する圧縮機の冷媒吐出量を増加させることの両方によって行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載の空気調和装置は、蒸発器を通過した空気(調和空気)の温度分布を検知し、これが所定の温度分布範囲に適合していないと判断した場合は、冷媒の循環量を増加させることによって蒸発器からの吹き出し空気の温度分布を均一な状態に戻すので、車両用空気調和装置では、運転席側吹き出し口と助手席側吹き出し口とで吹き出し空気の温度分布(温度差)が均一に保たれて、車室の快適性が高く維持される。
【0021】
また、冷媒回路の圧力制御弁前後での高圧ラインと低圧ラインとの圧力差を大きく保つために再起動前の装置停止時に圧力制御弁(膨張弁)を閉止しておいても、本発明の装置は、実施する際に、圧力制御弁を閉止したことによる悪影響を受けることはない。従って、再起動時に、大きな圧力差によって冷気を速く立ち上げながら、上記のように吹き出し空気の温度分布を均一にすることができる。
【0022】
請求項2に記載の空気調和装置は、蒸発器の冷媒入口側と冷媒出口側に空気の温度を検知する温度検知手段をそれぞれ配置したことによって、通過空気の温度分布をそれだけ正確に検知することが可能になり、温度分布をさらに均一に保ち、快適性を向上させることができる。
【0023】
請求項3に記載の空気調和装置は、圧力制御弁(膨張弁)の開度を大きくして冷媒循環量を増加させることにより、吹き出し空気の温度分布を均一に保ち、快適性を高く維持することができる。
【0024】
また、上記のように圧力制御弁を閉止しておいても本発明の実施に悪影響はないから、再起動時は、大きな圧力差によって冷気を速く立ち上げながら、吹き出し空気の温度分布を均一に保つことができる。
【0025】
請求項4に記載の空気調和装置は、圧縮機の冷媒吐出量を増やして冷媒循環量を増加させることにより、吹き出し空気の温度分布を均一に保ち、快適性を高く維持することができる。
【0026】
また、冷媒循環量の増加を圧縮機によって行うこの構成では、再起動前の装置停止時に圧力制御弁を閉止させることが可能であり、従って、起動させる際に圧力制御弁を閉止させたままにして冷媒回路の圧力差を大きく保つことができるから、それだけ速く冷気を立ち上げることができる。
【0027】
請求項5に記載の空気調和装置は、圧力制御弁の開度と圧縮機の冷媒吐出量をそれぞれ増加させることによって冷媒循環量を増加させるから、温度分布を迅速に均一化し、快適性を高く維持することができる。
【0028】
請求項6に記載の空気調和方法は、熱交換後の調和空気の温度分布(蒸発器を通過した空気)の温度分布が所定値に適合していない場合は、冷媒の循環量を増加させることによって調和空気の温度分布を均一な状態に戻すので、車両の空気調和システムに用いた場合は、運転席側吹き出し口と助手席側吹き出し口とで吹き出し空気の温度分布が均一に保たれて、車室の快適性が高く維持される。
【0029】
また、膨張弁前後で冷媒回路の高圧ラインと低圧ラインとの圧力差を大きく保つために再起動前の装置停止時に圧力制御弁(膨張弁)を閉止しておいても、本発明の方法は、実施する際に、圧力制御弁を閉止したことによる悪影響を受けることはない。従って、再起動時に、大きな圧力差によって冷気を速く立ち上げながら、上記のように吹き出し空気の温度分布を均一にすることができる。
【0030】
請求項7に記載の空気調和方法は、蒸発器の冷媒入口側と冷媒出口側で通過空気の温度を検知することにより、温度分布をそれだけ正確に検知することが可能であり、温度分布をさらに均一に保ち、快適性を向上させることができる。
【0031】
請求項8に記載の空気調和方法は、圧力制御弁(膨張弁)の開度を大きくして冷媒循環量を増加させることにより、吹き出し空気の温度分布を均一に保ち、快適性を高く維持することができる。
【0032】
また、上記のように圧力制御弁を閉止しておいても本発明の実施に悪影響はないから、再起動時は、大きな圧力差によって冷気を速く立ち上げながら、吹き出し空気の温度分布を均一に保つことができる。
【0033】
請求項9に記載の空気調和方法は、圧縮機の冷媒吐出量を増やして冷媒循環量を増加させることにより、吹き出し空気の温度分布を均一に保ち、快適性を高く維持することができる。
【0034】
また、冷媒循環量の増加を圧縮機によって行うこの構成では、再起動前の装置停止時に圧力制御弁を閉止させることが可能であり、従って、起動させる際に圧力制御弁を閉止させたままにして冷媒回路の圧力差を大きく保つことができるから、それだけ速く冷気を立ち上げることができる。
【0035】
請求項10に記載の空気調和方法は、圧力制御弁の開度と圧縮機の冷媒吐出量をそれぞれ増加させることによって冷媒循環量を増加させるから、温度分布を迅速に均一化し、快適性を高く維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
<一実施形態>
図1〜図3を参照しながら本発明の空気調和装置1及び空気調和方法の説明をする。図1は空気調和装置1の構成を示すブロック図であり、図2は空気調和装置1の空調サイクルを示すシステム図であり、図3は空気調和装置1で調和空気の温度分布を制御する際のフローチャートである。
【0037】
空気調和装置1は、図1のように、冷媒(炭酸ガス:R744)を圧縮する圧縮機3と、圧縮された冷媒を放熱させて液化する室外熱交換器5(放熱器)と、室外熱交換器5で放熱した冷媒を断熱膨張して気化させる減圧器7(圧力制御弁:膨張弁)と、気化した冷媒と空気(外気)とで熱交換し、空調空気を作り出す室内熱交換器11(蒸発器:エバポレータ)とを有し、室内熱交換器11を通過する空気の温度分布を検知する温度分布検知手段13と、温度分布検知手段13によって検知された温度分布が所定の温度分布範囲(値)に適合しているか否かを判別する判別手段15とを設け、温度分布検知手段13によって検知された温度分布が所定の温度分布範囲(値)に適合していないと判別手段15が判別した場合、冷媒の循環量を増加させる制御が行われるように構成されており、
温度分布検知手段13は、室内熱交換器11の入口側を通過した空気の温度を検知する空気温度センサ17(入口側温度検知手段)と、室内熱交換器11の出口側を通過した空気の温度を検知する空気温度センサ19(出口側温度検知手段)とを備え、
冷媒循環量の増加は、減圧器7の開度を増加する(大きくする)ことによって行われる。
【0038】
なお、判別手段15は、減圧器7の開度制御と圧縮機3の冷媒吐出量制御などを行う制御ユニットに、その機能の一部として組み込まれている。
【0039】
空気調和装置1は、炭酸ガス(R744)を冷媒に用いた車両用の空調システムであり、図2は冷房モードと暖房モードを示している。
【0040】
冷房モードでは、暖房モード用の減圧器9が閉止されており、実線の矢印が示すように、圧縮機3で圧縮され高圧高温の気体になった冷媒は、冷媒温度センサ31による温度測定と圧力センサ33による圧力測定の後、室内放熱器35で車室内の空気と熱交換して適度に冷却され、冷媒温度センサ37によって温度が測定され、室内放熱器35の出口側で空気温度センサ39により空気温度が測定される。室内放熱器35から流出した冷媒は、電磁弁41を閉止し三方弁43を切り替えることによって室外熱交換器5に導かれ、外気と熱交換して放熱され、放熱した冷媒は冷媒温度センサ47による温度測定の後、逆止弁49を通って内部熱交換器51まで移動し、さらに減圧器7で断熱膨張して気化し、室内熱交換器11で外気と熱交換して冷気を作りだす。室内熱交換器11の冷媒入口側では通過した空気の温度が空気温度センサ17で測定され、冷媒出口側では通過した空気の温度が空気温度センサ19で測定される。室内熱交換器11で作り出された冷気はエアミックスドア53の開度調整により外気との混合比を0%〜100%の範囲で調整されて調和空気になり、車室内に吹き出される。室内熱交換器11から流出した冷媒はアキュムレータ55で気体と液体とが分離され、内部熱交換器51で上記断熱膨張前後の高圧ラインの冷媒と低圧ラインの冷媒とで熱交換した後、圧縮機3に戻り、以下、このサイクルを繰り返す。
【0041】
また、暖房モードでは、冷房モード用の減圧器7が閉止されており、一点鎖線の矢印が示すように、圧縮機3で圧縮され高圧高温の気体になった冷媒は、室内放熱器35で車室内の空気と熱交換して暖気を作り出し、この暖気は車室内に吹き出される。室内放熱器35で冷却された冷媒は電磁弁41の開放と三方弁43の閉止と逆止弁49の逆流防止機能によって内部熱交換器51に導かれ、さらに減圧器9で断熱膨張して気化し、逆止弁57を通って室外熱交換器5に導かれ、外気と熱交換して吸熱し、三方弁43と逆止弁59を通り、アキュムレータ55で気体と液体とが分離され、内部熱交換器51で上記断熱膨張前後の高圧ラインの冷媒と低圧ラインの冷媒とで熱交換した後、圧縮機3に戻り、以下、このサイクルを繰り返す。
【0042】
なお、圧力センサの配置箇所は、圧縮機3の吐出側から圧力制御弁までの高圧ライン上であればよい。
【0043】
空気調和装置1では、冷房モードで、室内熱交換器11を通過する空気の温度分布を均一にするために、冷媒の循環量を増加する制御を下記のようなステップで行う。これらのステップを図3のフローチャートで説明する。
【0044】
ステップS0では、空気調和装置1(圧縮機3)が稼働中であるか否かを判断し、稼働中であればS10へ進み、稼働中でなければ、空気調和装置1が停止していると判断して制御を中止する。
【0045】
ステップS10では、室内熱交換器11の冷媒入口側で空気温度センサ17が測定した空気温度Tint_inと、冷媒出口側で空気温度センサ19が測定した空気温度Tint_outが読み込まれ、ステップS11へ進む。
【0046】
ステップS11では、空気温度センサ17が測定した空気温度と、空気温度センサ19が測定した空気温度との差を基準値と比較し、この差が3deg(3K)を超えていれば、調和空気の温度分布が不均一になっていると判断してステップS12へ進み、差がdeg以下であれば、調和空気の温度分布が均一性を保ち、車室内の快適性が維持されていると判断して制御を中止する。
【0047】
なお、上記のように、温度分布の均一化制御を行うか否かの基準値を温度差3degに設定した理由は、一般に、空気の温度差が3degを超えると人間がこれを感知するとされているからである。
【0048】
ステップS12では、減圧器7の開度を大きくし、室内熱交換器11に流入する冷媒の量(冷媒の循環量)を増やし、調和空気の温度分布を均一な状態に戻すことによって、車室内の快適性を高く維持する。
【0049】
次に、空気調和装置1及び空気調和方法の効果を説明する。
【0050】
室内熱交換器11を通過する空気の温度分布が所定値より大きいときは、減圧器7の開度を大きくし冷媒の循環量を増やすことによって吹き出し空気(冷気)の温度分布を均一な状態に戻すので、例えば、運転席側吹き出し口と助手席側吹き出し口とで空気の吹き出し温度分布が均一に保たれて、車室の快適性が高く維持される。
【0051】
また、高圧ラインと低圧ラインとの圧力差を大きく保つために再起動前の停止時に減圧器7を閉止しておいても、本発明の空気調和装置1及び空気調和方法は、実施する際に、減圧器7を閉止したことによる悪影響を受けることはない。従って、大きな圧力差によって冷気を速く立ち上げながら、上記のように吹き出し空気の温度分布を均一にすることができる。
【0052】
また、室内熱交換器11の冷媒入口側と冷媒出口側に空気温度センサ17と空気温度センサ19をそれぞれ配置し、空気の温度分布を正確に測定するから、温度分布の均一化機能と快適性の維持機能がそれだけ向上している。
【0053】
[本発明の範囲に含まれる他の態様]
なお、本発明は上述した実施形態のみに限定解釈されるものではなく、本発明の技術的な範囲内で様々な変更が可能である。
【0054】
例えば、冷媒の循環量は、圧縮機の冷媒吐出量を増やすことによって増加させてもよい。この場合、冷媒循環量の制御に圧力制御弁を用いないので、再起動前の装置停止時に圧力制御弁を閉止させることが可能であり、従って、起動させる際に圧力制御弁を閉止させたままにして冷媒回路の圧力差を大きく保つことができるから、再起動時にはそれだけ速く冷気を立ち上げることができる。
【0055】
また、冷媒の循環量を、圧力制御弁の開度を大きくし、さらに、圧縮機の冷媒吐出量を増やすことによって増加させてもよい。この場合、温度分布をそれだけ迅速に均一化し、快適性を高く維持することができる。
【0056】
また、本発明では冷媒が炭酸ガス(R744)に限定されない。実施形態は冷媒に炭酸ガスを用いたシステムであるが、本発明は他の冷媒を用いて実施しても、同様の効果が得られる。
【0057】
また、温度分布の均一化制御を行うか否かの基準値である温度差は、3℃に限らず、必要に応じて任意に設定してよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】空気調和装置1の構成を示すブロック図である。
【図2】空気調和装置1の空調サイクルを示すシステム図である。
【図3】空気調和装置1で調和空気の温度分布を制御する際のフローチャートである。
【符号の説明】
【0059】
1 空気調和装置
3 圧縮機
5 室外熱交換器(放熱器)
7,9 減圧器(圧力制御弁:膨張弁)
11 室内熱交換器(蒸発器:エバポレータ)
13 温度分布検知手段
15 判別手段
17 空気温度センサ(入口側温度検知手段)
19 空気温度センサ(出口側温度検知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮する圧縮機(3)と、圧縮された前記冷媒を放熱させる放熱器(5)と、前記放熱器(5)で液化された冷媒を断熱膨張して気化させる圧力制御弁(7)と、気化した前記冷媒と空気とで熱交換し、空調空気を作り出す蒸発器(11)とを有する空気調和装置(1)であって、
前記蒸発器(11)を通過する空気の温度分布を検知する温度分布検知手段(13)と、前記温度分布検知手段(13)によって検知された温度分布が所定の値に適合しているか否かを判別する判別手段(15)とを設け、前記温度分布検知手段(13)によって検知された温度分布が前記所定の値に適合していないと前記判別手段(15)が判別した場合、冷媒の循環量を制御して増加させることを特徴とする空気調和装置(1)。
【請求項2】
請求項1に記載された空気調和装置(1)であって、
前記温度分布検知手段(13)は、前記蒸発器(11)の入口側を通過した空気の温度を検知する入口側温度検知手段(17)と、前記蒸発器(11)の出口側を通過した空気の温度を検知する出口側温度検知手段(19)とを備えていることを特徴とする空気調和装置(1)。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載された空気調和装置(1)であって、
前記冷媒循環量の増加が、前記圧力制御弁(7)の開度を増加させることによって行われることを特徴とする空気調和装置(1)。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載された空気調和装置(1)であって、
前記冷媒循環量の増加が、前記圧縮機(3)の冷媒吐出量を増加させることによって行われることを特徴とする空気調和装置(1)。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載された空気調和装置(1)であって、
前記冷媒循環量の増加が、前記圧力制御弁(7)の開度増加と、前記圧縮機(3)の冷媒吐出量増加との両方によって行われることを特徴とする空気調和装置(1)。
【請求項6】
冷媒を圧縮し、放熱させ、断熱膨張させ、空気と熱交換して調和空気を作り出す空気調和方法であって、
前記熱交換中の空気の温度分布を検知し、その温度分布が所定の値に適合していない場合は、前記冷媒の循環量を増加させる制御を行うことを特徴とする空気調和方法。
【請求項7】
請求項6に記載された空気調和方法であって、
前記調和空気の温度分布を、温度分布検知手段(13)によって検知すると共に、
前記温度分布検知手段(13)が、空気と前記冷媒との熱交換を行う蒸発器(11)の入口側を通過した空気の温度を検知する入口側温度検知手段(17)と、前記蒸発器(11)の出口側を通過した空気の温度を検知する出口側温度検知手段(19)とを備えていることを特徴とする空気調和方法。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載された空気調和方法であって、
前記冷媒循環量の増加を、前記冷媒を断熱膨張させる圧力制御弁(7)の開度を増加することによって行うことを特徴とする空気調和方法。
【請求項9】
請求項6または請求項7に記載された空気調和方法であって、
前記冷媒循環量の増加を、前記冷媒を圧縮する圧縮機(3)の冷媒吐出量を増加させることによって行うことを特徴とする空気調和方法。
【請求項10】
請求項6または請求項7に記載された空気調和方法であって、
前記冷媒循環量の増加を、前記冷媒を断熱膨張させる圧力制御弁(7)の開度を増加すること、及び、前記冷媒を圧縮する圧縮機(3)の冷媒吐出量を増加させることの両方によって行うことを特徴とする空気調和方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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