説明

空調システムの起動方法、及び、空調システムの起動装置

【課題】停電等により商用系統から電力の供給を受けることができない場合でも、コストアップを招くことなく、複数台の空調装置を起動させて空調運転させること。
【解決手段】空調装置100として、原動機1に圧縮機5と発電機3とが接続されて、商用系統15からの電力及び発電機3の発電電力を蓄電自在な蓄電装置17を備えた第1空調装置101と、蓄電装置17を備えていない第2空調装置102とがあり、第1空調装置101において、蓄電装置17に蓄電されている電力を始動モータ13に供給して始動モータ13にて発電機3が接続された原動機1を始動させて、第1空調装置101を起動させる第1ステップを行い、次に、第2空調装置102において、第1空調装置101における発電機3の発電電力を始動モータ13に供給して始動モータ13にて原動機1を始動させて、第2空調装置102を起動させる第2ステップを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機を駆動させる原動機と、前記圧縮機、第1熱交換器、膨張弁、及び、第2熱交換器から構成されるヒートポンプ回路とを有する空調装置が複数台備えられている空調システムの起動方法、及び、空調システムの起動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような空調システムは、例えば、空調対象箇所が複数存在するマンションやビル等の建物において、複数台の空調装置を備え、各空調装置にて各空調対象箇所を空調するようにしている。複数の空調装置の夫々は、原動機としてのエンジンにて圧縮機を駆動させて、ヒートポンプ回路にて冷房運転や暖房運転等の空調運転を行う。複数台の空調装置の夫々は、商用系統から電力の供給を受けるように構成されており、商用系統からの電力を始動モータに供給してエンジンを始動させることで、空調装置を起動させて空調運転を行うようにしている。
【0003】
このような空調装置としては、エンジンに、圧縮機だけでなく、発電機も接続されている発電機付きのものも知られており、この発電機付きのものでは、エンジンにて圧縮機と発電機との双方を駆動して、発電しながら、空調運転を行うようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
この特許文献1に記載の空調装置では、商用系統からの電力、及び、発電機にて発電した電力を蓄電自在な蓄電装置を備えており、停電等により商用系統から電力の供給を受けることができない場合には、蓄電装置に蓄電されている電力を始動モータに供給して、始動モータにてエンジンを始動させて、空調装置を起動させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−236417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、複数台の空調装置が設けられた建物では、停電等により商用系統から電力の供給を受けることができない場合に、複数台の空調装置を起動させて空調運転させることが求められる。
そこで、上記特許文献1に記載の装置では、発電機及び蓄電装置を備えた空調装置を複数台設けることで、停電等により商用系統から電力の供給を受けることができない場合でも、複数台の空調装置の夫々を起動させて空調運転を行うようにしている。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の装置では、複数台の空調装置の夫々について、発電機及び蓄電装置の夫々を備えさせなければならず、コストアップを招くものとなっていた。
【0007】
本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、停電等により商用系統から電力の供給を受けることができない場合でも、コストアップを招くことなく、複数台の空調装置を起動させて空調運転させることができる空調システムの起動方法、及び、空調システムの起動装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明に係る空調システムの起動方法は、圧縮機を駆動させる原動機と、前記圧縮機、第1熱交換器、膨張弁、及び、第2熱交換器から構成されるヒートポンプ回路と、前記原動機を始動させる始動モータとを有する空調装置が複数台備えられた空調システムの起動方法において、
前記空調装置として、前記原動機に前記圧縮機と発電機とが接続されて、商用系統からの電力及び前記発電機の発電電力を蓄電自在な蓄電装置を備えた第1空調装置と、前記蓄電装置を備えていない第2空調装置とがあり、
前記第1空調装置における前記発電機の発電電力が、前記第2空調装置における前記始動モータに供給自在であり、
前記第1空調装置において、前記蓄電装置に蓄電されている電力を前記始動モータに供給して前記始動モータにて前記発電機が接続された前記原動機を始動させて、前記第1空調装置を起動させる第1ステップを行い、
次に、前記第2空調装置において、前記第1空調装置における前記発電機の発電電力を前記始動モータに供給して前記始動モータにて前記原動機を始動させて、前記第2空調装置を起動させる第2ステップを行う点にある。
【0009】
本発明に係る起動方法によれば、停電等により商用系統から電力の供給を受けることができない場合に、第1ステップを行うことで、蓄電装置に蓄電されている電力を用いて始動モータにて原動機を始動させて第1空調装置を起動させることができる。このように、第1空調装置を起動させることで、その第1空調装置にて、発電しながら、空調運転を行うことができる。そこで、第2ステップを行うことで、第1空調装置における発電機の発電電力を用いて、第2空調装置における始動モータにて原動機を始動させて、第2空調装置を起動させることができ、第2空調装置にて空調運転を行うことができる。したがって、第1ステップ、第2ステップの順に行うことで、停電等により商用系統から電力の供給を受けることができない場合に、第1空調装置、第2空調装置の順に起動させて、第1空調装置及び第2空調装置の夫々にて空調運転を行うことができる。そして、第1空調装置に備える蓄電装置は、その第1空調装置における始動モータにて原動機を始動させるのに必要な電力を蓄電していればよく、その容量を極力小さなものとすることができるとともに、第2空調装置は、蓄電装置を備えていないので、コストの低減及びシステム構成の簡素化を図ることができる。したがって、本発明に係る起動方法によれば、停電等により商用系統から電力の供給を受けることができない場合でも、コストアップを招くことなく、複数台の空調装置を起動させて空調運転させることができる。
【0010】
本発明に係る空調システムの起動方法では、前記第2ステップを行う前に、前記第1ステップにて起動された前記第1空調装置における前記発電機の発電余力にて、前記第2ステップにて起動対象の前記第2空調装置における前記原動機を始動させるのに必要な始動電力を賄うことができるか否かを判別する判別ステップを行い、その判別ステップにより前記発電余力にて前記始動電力を賄うことができると判別した場合に、前記第2ステップを行い、前記判別ステップにより前記発電余力にて前記始動電力を賄うことができないと判別した場合に、前記発電余力を増加させる発電余力増加ステップを行った後、再度、前記判別ステップを行うと好適である。
【0011】
第2ステップにて第2空調装置を起動させる場合に、始動モータの突入電力が発生するため、過渡的に多くの電力が必要となるので、第1空調装置における発電機の発電電力を用いて第2空調装置を起動させるためには、多くの発電電力が必要となる。したがって、例えば、第1空調装置における発電機の発電電力を、第1空調装置における電力消費機器に供給していると、その機器への供給電力が減少してしまい、第1空調装置の運転が不安定となる可能性がある。
そこで、本発明に係る起動方法によれば、第2ステップを行う前に、第1ステップにて起動された第1空調装置における発電機の発電余力にて、第2ステップにて起動対象の第2空調装置における原動機を始動させるのに必要な始動電力を賄うことができるか否かを判別する判別ステップを行い、その判別ステップにより発電余力にて始動電力を賄うことができると判別した場合に、第2ステップを行っている。ここで、例えば、第1空調装置における原動機を定格にて作動させた場合の発電機の定格発電電力に、第1空調装置の台数を掛けたものから、現在の発電電力を引いた値を発電余力とすることができる。これにより、第2空調装置を起動させる際に、始動モータの突入電力等により多くの電力が必要となっても、その電力を第1空調装置における発電機の発電余力にて賄うことができることを確認してから、第2空調装置を起動させるので、第1空調装置の運転が不安定となるのを適切に防止しながら、第2空調装置を起動させることができる。また、本発明に係る起動方法によれば、判別ステップにより発電余力にて始動電力を賄うことができないと判別した場合には、発電余力を増加させる発電余力増加ステップを行った後、再度、判別ステップを行っている。これにより、無駄に発電余力を増加させることなく、第2空調装置を起動させるために発電余力を増加させて、その増加させた発電余力にて始動電力を賄うことができることを確認して、第2空調装置を起動させることができる。
【0012】
本発明に係る空調システムの起動方法では、前記第1空調装置は、前記原動機にクラッチを介して前記圧縮機が接続されており、前記発電余力増加ステップとして、前記原動機の作動を維持したまま前記クラッチを切って前記原動機から前記圧縮機を切り離すクラッチOFFステップ、及び、前記第1空調装置における電力消費機器に対して前記発電機の発電電力を供給する供給電力を減少させる供給電力減少ステップの一方又は双方を行うと好適である。
【0013】
つまり、クラッチOFFステップを行うことで、クラッチを切って原動機から圧縮機を切り離すので、原動機にて発電機のみ駆動させる状態で原動機を作動させることになる。これにより、原動機の駆動力が圧縮機の駆動に消費されることなく、発電機の発電電力を大きくすることができ、発電余力を適切に増加させることができる。また、供給電力減少ステップを行うことで、第1空調装置における電力消費機器に対して発電機の発電電力を供給する供給電力を減少させるので、発電余力を適切に増加させることができる。
【0014】
本発明に係る空調システムの起動方法では、前記第2空調装置が複数台備えられ、それら複数台の前記第2空調装置に対して起動させる優先順位が設定されており、前記発電余力増加ステップとして、前記第2ステップにて起動対象の前記第2空調装置よりも優先順位が低い前記第2空調装置が既に起動されている場合に、その優先順位が低い前記第2空調装置を運転停止させる運転停止ステップを行うと好適である。
【0015】
つまり、第2空調装置を複数台備えた場合には、例えば、空調対象箇所の重要度等に応じて、それら複数台の第2空調装置に対して起動させる優先順位が設定される。よって、この優先順位が高い第2空調装置ほど、起動させる順序としては優先することが望まれる。そこで、第2ステップにて起動対象の第2空調装置よりも優先順位が低い第2空調装置が既に起動されている場合には、その優先順位が低い第2空調装置を運転停止させる運転停止ステップを行うことで、起動対象の第2空調装置よりも優先順位の低い他の第2空調装置を運転停止させて、発電余力を増加させている。これにより、設定されている優先順位を守りながら、発電余力を増加させることできる。
【0016】
本発明に係る空調システムの起動方法では、前記第1空調装置は、前記原動機にクラッチを介して前記圧縮機が接続されており、前記ヒートポンプ回路にて前記圧縮機に供給される冷媒を加熱させる圧縮機ヒータを備えており、前記第1ステップにて前記第1空調装置を起動させるに当たり、前記蓄電装置に蓄電されている電力を前記始動モータに供給し、前記クラッチを切って前記原動機から前記圧縮機を切り離した状態で前記始動モータにて前記発電機が接続された前記原動機を始動させる始動ステップと、前記原動機にて前記発電機を駆動させて前記発電機の発電電力を前記圧縮機ヒータに供給して、或いは、前記蓄電装置に蓄電されている電力を前記圧縮機ヒータに供給して、前記ヒートポンプ回路にて前記圧縮機に供給される冷媒を加熱する加熱ステップとを行い、その後、前記クラッチを入れて前記原動機に前記圧縮機を接続し、前記原動機にて前記圧縮機を駆動させて前記ヒートポンプ回路を作動させる作動ステップを行うと好適である。
【0017】
始動ステップを行うことで、蓄電装置に蓄電されている電力を用いて始動モータにて原動機を始動させることができる。そして、この原動機の始動に当たっては、クラッチを切って原動機から圧縮機を切り離しており、原動機にて発電機のみ駆動させる状態で原動機を始動させている。これにより、圧縮機を停止させたまま原動機を始動させて発電できるとともに、原動機の駆動力が圧縮機の駆動に消費されることなく、発電機の発電電力を大きくすることができる。加熱ステップを行うことで、発電機の発電電力或いは蓄電装置に蓄電されている電力を用いて圧縮機ヒータにてヒートポンプ回路にて圧縮機に供給される冷媒を加熱することができる。これにより、圧縮機の内部や圧縮機の周辺に残存している冷媒の温度が低下して、冷媒が液状態となっていても、その冷媒を加熱して気体の状態にすることができる。作動ステップを行うことで、クラッチを入れて原動機に圧縮機を接続し、原動機にて圧縮機を駆動させてヒートポンプ回路を作動させて空調運転を行うことができる。
【0018】
このように、始動ステップと加熱ステップとを行い、その後、作動ステップを行うことで、作動ステップにおいて原動機にて圧縮機を駆動させる場合には、その以前に、始動ステップ及び加熱ステップを行い、発電機にて発電させてその発電電力或いは蓄電装置に蓄電されている電力を用いて圧縮機ヒータにて冷媒を加熱することができるので、液状態の冷媒が圧縮機に供給されて圧縮機の破損等の問題を生じることを防止できる。しかも、始動ステップにおいて原動機にて発電機を駆動させる場合には、圧縮機を原動機から切り離しているので、発電機の発電電力を大きくすることができる。その結果、停電等により商用系統から電力の供給を受けることができない場合には、発電機の発電電力を大きくすることで、発電機の発電電力を、圧縮機ヒータに供給するだけでなく、その他の機器にも供給することができることから、第1空調装置の起動方法として大変有用なものとなる。
【0019】
本発明に係る空調システムの起動方法では、前記クラッチは、前記原動機に接続する前記圧縮機の容量及び台数の一方又は双方について、複数の接続パターンに設定自在であり、前記作動ステップにおいて、選択条件に基づいて前記複数の接続パターンから選択した1つの接続パターンに前記クラッチを設定して前記原動機に前記圧縮機を接続し、前記ヒートポンプ回路の作動中は、前記クラッチの接続パターンを前記選択条件に基づいて選択した接続パターンに維持すると好適である。
【0020】
第1空調装置では、原動機に圧縮機を接続する場合に、圧縮機の容量及び台数の一方又は双方について、クラッチを複数の接続パターンに設定自在であるので、空調負荷に応じて、クラッチの接続パターンを変更設定することで、空調負荷の変化にも柔軟に対応しながら、その空調負荷を満たすことができる。
しかしながら、クラッチの接続パターンを変更設定する場合には、原動機の回転速度を低い回転速度に落とした状態でクラッチの接続パターンの変更を行う必要がある。したがって、クラッチの接続パターンの変更設定を行うと、原動機の回転速度の低下に伴い、その原動機に接続されている発電機の発電電力が低下することになる。商用系統から電力の供給を受けることができる場合には、発電機の発電電力が低下しても、商用系統から受ける電力が大きくなるだけであるが、停電等により商用系統から電力の供給を受けることができない場合には、発電機の発電電力が低下することによって、第2空調装置を適切に起動できなくなる可能性が生じる。
【0021】
そこで、本発明に係る起動方法では、作動ステップにおいて、選択条件に基づいて複数の接続パターンから選択した1つの接続パターンにクラッチを設定して原動機に圧縮機を接続し、ヒートポンプ回路の作動中は、クラッチの接続パターンを選択条件に基づいて選択した接続パターンに維持している。これにより、ヒートポンプ回路の作動中は、クラッチの接続パターンの変更設定を行うことなく、発電機の発電電力が低下するのを防止することができる。その結果、停電等により商用系統から電力の供給を受けることができない場合には、発電機の発電電力が低下することを防止して、第2空調装置を適切に起動させることができる。
【0022】
本発明に係る空調システムの起動方法では、前記第2空調装置は、前記発電機を備えておらず、発電能力を有していないと好適である。
【0023】
つまり、第2空調装置は、発電機を備えておらず、発電能力を有していないので、停電等により商用系統から電力の供給を受けることができない場合には、その第2空調装置を起動させることができない。したがって、空調システムとして、このような第2空調装置を備えていても、第1空調装置における発電機の発電電力を供給することで、その第2空調装置を起動することができる。そして、蓄電装置に加え、発電機をも備えていない第2空調装置を、空調システムに備えることで、コストの低減及び構成の簡素化をより一層図ることができる。
【0024】
本発明に係る空調システムの起動装置の特徴構成は、圧縮機を駆動させる原動機と、前記圧縮機、第1熱交換器、膨張弁、及び、第2熱交換器から構成されるヒートポンプ回路と、前記原動機を始動させる始動モータとを有する空調装置が複数台備えられた空調システムの起動装置において、
前記空調装置として、前記原動機に前記圧縮機と発電機とが接続されて、商用系統からの電力及び前記発電機の発電電力を蓄電自在な蓄電装置を備えた第1空調装置と、前記蓄電装置を備えていない第2空調装置とがあり、
前記第1空調装置における前記発電機の発電電力が、前記第2空調装置における前記始動モータに供給自在であり、
前記第1空調装置において、前記蓄電装置に蓄電されている電力を前記始動モータに供給して前記始動モータにて前記発電機が接続された前記原動機を始動させて、前記第1空調装置を起動させる第1ステップを行い、
次に、前記第2空調装置において、前記第1空調装置における前記発電機の発電電力を前記始動モータに供給して前記始動モータにて前記原動機を始動させて、前記第2空調装置を起動させる第2ステップを行うシステム起動制御部が備えられている点にある。
【0025】
本特徴構成によれば、本発明に係る発電システムの起動方法で述べたのと同様に、第1ステップ、第2ステップの順に行うことで、停電等により商用系統から電力の供給を受けることができない場合に、第1空調装置、第2空調装置の順に起動させて、第1空調装置及び第2空調装置の夫々にて空調運転を行うことができる。そして、第2空調装置は、蓄電装置を備えていないので、コストの低減及びシステム構成の簡素化を図ることができる。したがって、本発明に係る起動装置によれば、停電等により商用系統から電力の供給を受けることができない場合でも、コストアップを招くことなく、複数台の空調装置を起動させて空調運転させることができる。
【0026】
本発明に係る空調システムの起動装置の更なる特徴構成は、前記システム起動制御部が、前記第2ステップを行う前に、前記第1ステップにて起動された前記第1空調装置における前記発電機の発電余力にて、前記第2ステップにて起動対象の前記第2空調装置における前記原動機を始動させるのに必要な始動電力を賄うことができるか否かを判別する判別ステップを行い、その判別ステップにより前記発電余力にて前記始動電力を賄うことができると判別した場合に、前記第2ステップを行い、前記判別ステップにより前記発電余力にて前記始動電力を賄うことができないと判別した場合に、前記発電余力を増加させる発電余力増加ステップを行った後、再度、前記判別ステップを行う点にある。
【0027】
本特徴構成によれば、本発明に係る発電システムの起動方法で述べたのと同様に、第2空調装置を起動させるために発電余力の増加が必要か否かを判別して、無駄に発電余力を増加させることなく、必要に応じて発電余力を増加させて、発電余力にて始動電力を賄うことができることを確認しながら、第2空調装置を適切に起動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】空調システムの概略構成を示す図
【図2】第1空調装置の概略構成を示す図
【図3】システム制御部の動作を示すフローチャート
【図4】始動ステップにおける第1空調装置の状態を示す図
【図5】加熱ステップにおける第1空調装置の状態を示す図
【図6】作動ステップにおける第1空調装置の状態を示す図
【図7】停電運転制御部の動作を示すフローチャート
【図8】接続パターンの設定についての動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明に係る空調システムの起動方法、及び、本発明に空調システムの起動装置の実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1に示すように、この空調システム200は、複数台の空調装置100を備えており、空調装置100として、第1空調装置101と第2空調装置102との2種類の空調装置100が備えられている。この実施形態では、第1空調装置101が2台備えられ、第2空調装置102が2台備えられている例を示している。図1において、第1空調装置101について、1台のみその概略構成を示しており、もう1台の第1空調装置101について概略構成を省略している。また、図1において、第2空調装置102について、2台とも概略構成を示しているが、発電機無しの第2空調装置102bについては、その一部の構成(室内機S2、ヒートポンプ回路9)を省略して示している。
【0030】
第1空調装置101及び第2空調装置102の双方は、室外機S1と室内機S2とを備えて構成されており、圧縮機5を駆動させるエンジン1(原動機に相当する)と、圧縮機5、第1熱交換器6、膨張弁7、及び、第2熱交換器8から構成されるヒートポンプ回路9とを有している。第1空調装置101は、エンジン1に圧縮機5と発電機3とが接続されて、商用系統15からの電力及び発電機3の発電電力を蓄電自在なバッテリー17(蓄電装置に相当する)を備えているのに対して、第2空調装置102には、このようなバッテリー17が備えられていない。これにより、空調システム200としては、複数台の空調装置100の全てにバッテリー17を備えることなく、コストの低減及び構成の簡素化を図りながら、システムを構成している。また、複数台の第2空調装置102の一部は、バッテリー17に加えて、発電機3も備えておらず、コストの低減及び構成の簡素化により一層貢献している。
【0031】
そして、空調システム200の電力系について、第1空調装置101及び第2空調装置102は、商用系統15に対して並列状態で接続されている。これにより、第1空調装置101及び第2空調装置102は、商用系統15から電力の供給を受けるように構成されている。そして、第1空調装置101と第2空調装置102との間では、第1空調装置101における発電機3の発電電力を第2空調装置102に供給自在に構成されており、第1空調装置101における発電機3の発電電力を第2空調装置102が備える各機器に供給自在に構成されている。
【0032】
上述の如く、第2空調装置102は、第1空調装置101が備える機器の一部(バッテリー17や発電機3)を備えていないので、以下、まず、第1空調装置101の構成について説明し、次に、第2空調装置102の構成について簡単に説明する。
【0033】
(第1空調装置の構成)
図1及び図2に基づいて、第1空調装置101の構成について説明する。図2は、図1において、第1空調装置101の構成を拡大したものである。
第1空調装置101は、室外機S1と室内機S2とを備えて構成されている。室外機S1は、エンジン1(原動機に相当する)を備えており、そのエンジン1が、例えば、都市ガス(13A)等の気体燃料を燃料とするガスエンジンにて構成されている。そして、エンジン1の一方側の出力軸には、発電機側クラッチ2を介して発電機3が連動連結されているとともに、エンジン1の他方側の出力軸には、圧縮機側クラッチ4(クラッチに相当する)を介して圧縮機5が連動連結されており、エンジン1によって発電機3と圧縮機5の双方が駆動自在に構成されている。
【0034】
ここで、図2に示すように、エンジン1の他方側の出力軸に連動連結する圧縮機5については、容量が小さい圧縮機5aと容量が大きい圧縮機5bとが備えられている。図1では、容量が小さい圧縮機5aと容量が大きい圧縮機5bとを省略して、圧縮機5として示している。そして、圧縮機側クラッチ4は、エンジン1に連動連結する圧縮機5の容量及び台数について、複数の接続パターンに設定自在に構成されている。つまり、複数の接続パターンとして、第1〜第3接続パターンの3つの接続パターンがある。第1接続パターンは、容量が小さい圧縮機5aのみを接続する接続パターンであり、第2接続パターンは、容量が大きい圧縮機5bのみを接続する接続パターンであり、第3接続パターンは、容量が小さい圧縮機5aと容量が大きい圧縮機5bとの2台の圧縮機5を接続する接続パターンである。このようにして、圧縮機側クラッチ4は、第1〜第3接続パターンのうちの1つの接続パターンに設定して、エンジン1の他方側の出力軸に圧縮機5を連動連結自在に構成されている。
【0035】
第1空調装置101は、エンジン1を作動させるために、エンジン1を始動させる始動モータ13と、エンジン1を冷却する冷却水を循環させる冷却水ポンプ14とを備えており、始動モータ13と冷却水ポンプ14とが室外機S1に設けられている。
また、第1空調装置101は、冷房運転や暖房運転の空調運転を行うために、圧縮機5、冷媒の通流状態を切換自在な四方弁(図示省略)、第1熱交換器6、膨張弁7、及び、第2熱交換器8から構成されるヒートポンプ回路9(図2中実線矢印参照)と、第1熱交換器6に室外空気を通風させる室外ファン10と、第2熱交換器8に室内空気を通風させる室内ファン11と、ヒートポンプ回路9にて圧縮機5に供給される冷媒を加熱させる圧縮機ヒータ12とを備えている。
【0036】
第1空調装置101は、商用系統15から電力の供給を受けるように構成されており、図1の点線矢印を参照して、第1空調装置101における電力系について説明する。
発電機3と商用系統15との間には、インバータ16が備えられており、このインバータ16には、室外ファン10、室内ファン11、圧縮機ヒータ12、始動モータ13、冷却水ポンプ14等の電力消費機器が接続されている。これにより、インバータ16は、商用系統15からの電力及び発電機3の発電電力を、室外ファン10、室内ファン11、圧縮機ヒータ12、始動モータ13、冷却水ポンプ14等の電力消費機器に供給自在に構成されている。また、インバータ16には、冷房運転や暖房運転等の空調運転の運転開始や運転停止を指令する運転指令スイッチ、空調運転における目標設定温度を設定する温度設定部等を備えたリモコンRも接続されており、商用系統15からの電力及び発電機3の発電電力をリモコンRにも供給自在に構成されている。
【0037】
そして、インバータ16と始動モータ13との間には、商用系統15からの電力及び発電機3の発電電力を蓄電自在なバッテリー17(蓄電装置に相当する)が備えられており、このバッテリー17に蓄電されている電力を始動モータ13に供給自在に構成されている。商用系統15とインバータ16との間には、商用系統15からの電力の供給を断続する遮断器18が備えられており、停電等により商用系統15から電力の供給を受けることができない場合には、この遮断器18が商用系統15からの電力の供給を遮断するように構成されている。また、遮断器18とインバータ16との間には、発電・空調装置100以外の照明機器等の電力負荷19が接続されており、商用系統15からの電力及び発電機3の発電電力を電力負荷19にも供給自在に構成されている。
【0038】
第1空調装置101には、その運転を制御する運転制御部Hが備えられており、この運転制御部Hが、リモコンRからの指令等に基づいて、発電・空調装置100の運転を制御するように構成されている。図示は省略するが、この運転制御部Hに対しては、商用系統15からの電力、及び、バッテリー17に蓄電されている電力の双方が供給自在に構成されている。そして、運転制御部Hには、商用系統15から電力の供給を受けることができる場合に、発電・空調装置100の運転を制御する通常運転制御部H1と、停電等により商用系統15から電力の供給を受けることができない場合に、発電・空調装置100の運転を制御する停電運転制御部H2とが備えられている。
【0039】
通常運転制御部H1による第1空調装置101の運転制御について説明する。
商用系統15から電力の供給を受けることができる場合には、遮断器18が接続されており、商用系統15からの電力が、運転制御部HやリモコンRに供給されるとともに、始動モータ13、圧縮機ヒータ12、冷却水ポンプ14、室外ファン10、及び、室内ファン11等の電力消費機器にも供給自在となっている。このとき、通常運転制御部H1は、リモコンRにて空調運転の開始が指令されると、発電機側クラッチ2を入れてエンジン1の一方側の出力軸に発電機3を連動連結するとともに、圧縮機側クラッチ4を入れてエンジン1の他方側の出力軸に圧縮機5を連動連結して、始動モータ13にてエンジン1を始動させて第1空調装置101を起動させている。そして、通常運転制御部H1は、エンジン1にて発電機3を駆動させて発電するとともに、エンジン1にて圧縮機5を駆動させてヒートポンプ回路9を作動させて空調運転を行っている。
【0040】
空調運転におけるヒートポンプ回路9での冷媒の流れについて説明を加えると、図1及び図2に示すものでは、空調運転として暖房運転を行う場合を示している。暖房運転では、ヒートポンプ回路9によって、圧縮機5、第2熱交換器8、膨張弁7、第1熱交換器6の順に冷媒を流し、その冷媒を圧縮機5に戻している。これにより、第1熱交換器6にて室外空気から吸熱し、その吸熱した熱を第2熱交換器8にて室内空気に放熱させ、その室内空気を室内に通風させて、室内の暖房を行うようにしている。また、空調運転として冷房運転を行う場合には、通常運転制御部H1が、図外の四方弁を切り換えて、ヒートポンプ回路9によって、圧縮機5、第1熱交換器6、膨張弁7、第2熱交換器8の順に冷媒を流し、その冷媒を圧縮機5に戻している。これにより、第2熱交換器8にて室内空気から吸熱し、その吸熱した熱を第1熱交換器6にて室外空気に放熱させ、室内の冷房を行うようにしている。
【0041】
ここで、図示は省略するが、室内機S2等には温度センサが備えられており、通常運転制御部H1は、空調運転中に、その温度センサの検出温度から空調負荷を求め、求めた空調負荷を満たすように、圧縮機側クラッチ4の接続パターンを変更設定自在に構成されている。例えば、圧縮機側クラッチ4にて容量が小さい圧縮機5aのみをエンジン1に接続する第1接続パターンに設定されている場合に、冷房運転中の温度センサの検出温度が目標設定温度よりも高くて空調負荷が大きくなると、通常運転制御部H1が、圧縮機側クラッチ4の接続パターンを、第1接続パターンから、容量が大きい圧縮機5bのみをエンジン1に接続する第2接続パターン、もしくは容量が小さい圧縮機5aと容量が大きい圧縮機5bの双方をエンジン1に接続する第3接続パターンに変更設定している。このように、通常運転制御部H1は、空調負荷の大きさに応じて、圧縮機側クラッチ4の接続パターンを変更設定して、圧縮機5の容量及び台数を変更することで、空調負荷を満たすようにしている。
【0042】
通常運転制御部H1が空調運転を行う際に、発電機側クラッチ2にてエンジン1に発電機3が連動連結されているので、エンジン1にて発電機3を駆動させて発電している。そこで、発電機3の発電電力が、インバータ16を介して、圧縮機ヒータ12、冷却水ポンプ14、室外ファン10、及び、室内ファン11等の電力消費機器に供給されており、余剰電力については、バッテリー17に蓄電されている。
【0043】
そして、通常運転制御部H1は、リモコンRにて空調運転の停止が指令されると、例えば、冷却水ポンプ14や室外ファン10等に一定時間だけ通電させて作動を継続させた後、第1空調装置101の運転を停止している。
【0044】
(第2空調装置の構成)
図1に基づいて、第2空調装置102の構成について、上述の第1空調装置101の構成と比較して説明する。
この実施形態では、第2空調装置102として、発電機3を備えている発電機付きの第2空調装置102a(図1中上方側)と、発電機3を備えずに発電能力を有していない発電機無しの第2空調装置102b(図1中下方側)の2つの第2空調装置を備えている。また、図1では、発電機無しの第2空調装置102bについては、室外機S1のみを示しており、室内機S2については省略している。
【0045】
発電機付きの第2空調装置102aは、第1空調装置101に比べて、バッテリー17が備えられていない点が異なる。したがって、発電機付きの第2空調装置102aは、第1空調装置101と同様に、エンジン1の一方側の出力軸には、発電機側クラッチ2を介して発電機3が連動連結されているとともに、エンジン1の他方側の出力軸には、圧縮機側クラッチ4を介して圧縮機5が連動連結されており、エンジン1によって発電機3と圧縮機5の双方が駆動自在に構成されている。そして、発電機付きの第2空調装置102aは、第1空調装置101と同様に、室外ファン10、室内ファン11、圧縮機ヒータ12、始動モータ13、冷却水ポンプ14等の電力消費機器も備えられている。また、発電機付きの第2空調装置102aは、図示は省略するが、その運転を制御する運転制御部が備えられており、第1空調装置101の通常運転制御部H1と同様に、商用系統15からの電力の供給を受けることで、始動モータ13にてエンジン1を始動させて発電機付きの第2空調装置102aを起動させて、エンジン1にて発電機3を駆動させて発電するとともに、エンジン1にて圧縮機5を駆動させてヒートポンプ回路9を作動させて空調運転を行うようにしている。また、発電機付きの第2空調装置102aは、第1空調装置101における発電機3の発電電力を受けることができるように構成されている。
【0046】
発電機無しの第2空調装置102bは、第1空調装置101に比べて、バッテリー17が備えられていない点に加えて、発電機3も備えられていない点で異なる。そして、発電機無しの第2空調装置102bは、第1空調装置101と同様に、室外ファン10、室内ファン11、圧縮機ヒータ12、始動モータ13、冷却水ポンプ14等の電力消費機器も備えられている。また、発電機無しの第2空調装置102bは、図示は省略するが、その運転を制御する運転制御部が備えられており、第1空調装置101の通常運転制御部H1と同様に、商用系統15からの電力の供給を受けることで、始動モータ13にてエンジン1を始動させて発電機無しの第2空調装置102bを起動させて、エンジン1にて圧縮機5を駆動させてヒートポンプ回路9を作動させて空調運転を行うようにしている。また、発電機無しの第2空調装置102bは、第1空調装置101における発電機3の発電電力を受けることができるように構成されている。
【0047】
上述の如く、商用系統15からの電力の供給を受けることができる場合には、第1空調装置101も、第2空調装置102も、商用系統15からの電力を始動モータ13に供給して、始動モータ13にてエンジン1を始動させて、第1空調装置101及び第2空調装置102を起動させることで、空調運転を行うようにしている。
しかしながら、停電等により商用系統15からの電力の供給を受けることができない場合には、上述のような起動方法では空調システム200を起動させることができない。そこで、本実施形態では、停電等により商用系統15からの電力の供給を受けることができない場合に、空調システム200を起動させるシステム制御部C(システム起動制御部に相当する)が備えられている。
【0048】
(システム制御部Cによる空調システム200の起動方法)
以下、停電等により商用系統15からの電力の供給を受けることができない場合に、システム制御部Cによる空調システム200の起動方法について、図1、図2及び図3のフローチャートに基づいて説明する。
【0049】
図2に示すように、停電等により商用系統15から電力の供給を受けることができない場合には、遮断器18が遮断されており、リモコンRには通電されていないことから、リモコンRによる指令を行うことができない。そこで、図1に示すように、手動操作式の運転ボタン20が備えられており、この運転ボタン20を手動操作することで、空調システム200の運転開始が指令される。ここで、図示は省略するが、システム制御部Cには、第1空調装置101におけるバッテリー17等から電力を供給自在に構成されており、停電等により商用系統15から電力の供給を受けることができない場合でも、システム制御部Cに電力が供給されている。
【0050】
まず、システム制御部Cは、運転ボタン20にて空調システム200の運転開始が指令されると、第1空調装置101において、バッテリー17に蓄電されている電力を始動モータ13に供給して始動モータ13にて発電機3が接続されたエンジン1を始動させて、第1空調装置101を起動させる第1ステップを行う(ステップ#1のYesの場合、ステップ#2)。この第1ステップでは、複数台の第1空調装置101の全て(この実施形態では2台)を起動させるようにしている。そして、この第1ステップを行うことで、第1空調装置101における発電機3にて発電できることから、その発電機3の発電電力を、第1空調装置101におけるリモコンRと、圧縮機ヒータ12、冷却水ポンプ14、室外ファン10、及び、室内ファン11等の電力消費機器とに供給するとともに、第2空調装置102におけるリモコン(図示省略)と、圧縮機ヒータ12、冷却水ポンプ14、室外ファン10、及び、室内ファン11等の電力消費機器にも供給する通電処理を行うようにしている(ステップ#3)。
【0051】
第2空調装置102におけるリモコンに通電されることから、このリモコンにて空調運転の開始を指令することができる。そこで、複数台の第2空調装置102の何れかにおけるリモコンにて空調運転の開始の指令があり、起動対象の第2空調装置102がある場合には、システム制御部Cが、第1ステップにて起動された第1空調装置101における発電機3の発電余力にて、その起動対象の第2空調装置102におけるエンジン1を始動させるのに必要な始動電力を賄うことができるか否かを判別する判別ステップを行う(ステップ#5)。この判別ステップを行うに当たり、起動対象の第2空調装置102は、1台としており、複数台の第2空調装置102におけるリモコンにて空調運転の開始の指令があった場合には、後述する優先順位の一番高い第2空調装置102を起動対象として選択するようにしている。そして、発電余力については、第1空調装置101におけるエンジン1を定格にて作動させた場合の発電機3の定格発電電力P1〔kW〕に、第1空調装置101の台数D(この実施形態では2台)を掛けたものから、現在の発電電力P2〔kW〕を引いた値(=P1×D−P2)となっている。定格発電電力P1〔kW〕及び始動電力については、予め実験等により求められており、現在の発電電力P2については、図外の電力計等にて測定されている。
【0052】
システム制御部Cは、判別ステップにより発電余力にて始動電力を賄うことができると判別した場合に、起動対象の第2空調装置102において、第1空調装置101における発電機3の発電電力を始動モータ13に供給して始動モータ13にてエンジン1を始動させて、起動対象の第2空調装置102を起動させる第2ステップを行う(ステップ#5のYesの場合、ステップ#10)。
【0053】
システム制御部Cは、判別ステップにより発電余力にて始動電力を賄うことができないと判別した場合に、発電余力を増加させる発電余力増加ステップを行う(ステップ#5のNoの場合、ステップ#6)。この場合、システム制御部Cは、ステップ#6に示すように、発電余力増加ステップとして、エンジン1の作動を維持したまま圧縮機側クラッチ4を切ってエンジン1から圧縮機5を切り離すクラッチOFFステップ、及び、第1空調装置101における電力消費機器に対して発電機3の発電電力を供給する供給電力を減少させる供給電力減少ステップの双方を行うようにしている。そして、供給電力減少ステップでは、室内ファン11等の室内機S2に備えられている機器への通電を停止することで、電力消費機器に対して発電機3の発電電力を供給する供給電力を減少させている。
【0054】
そして、システム制御部Cは、発電余力増加ステップを行った後、再度、判別ステップを行う(ステップ#7)。システム制御部Cは、このステップ#7における判別ステップにより発電余力にて始動電力を賄うことができると判別した場合に、起動対象の第2空調装置102において、第1空調装置101における発電機3の発電電力を始動モータ13に供給して始動モータ13にてエンジン1を始動させて、起動対象の第2空調装置102を起動させる第2ステップを行う(ステップ#7のYesの場合、ステップ#10)。逆に、システム制御部Cは、ステップ#7における判別ステップにより発電余力にて始動電力を賄うことができないと判別した場合に、発電余力を増加させる発電余力増加ステップを行う(ステップ#7のNoの場合、ステップ#8、ステップ#9)。この場合、システム制御部Cは、ステップ#8のYesの場合及びステップ#9に示すように、発電余力増加ステップとして、起動対象の第2空調装置102よりも優先順位が低い第2空調装置102が既に起動されている場合に、その優先順位が低い第2空調装置102を運転停止させる運転停止ステップを行う。
【0055】
ステップ#8のYesの場合、及び、ステップ9について説明を加える。
第2空調装置102が複数台備えられている場合に、空調対象箇所の重要度等に応じて、それら複数台の第2空調装置102に対して起動させる優先順位が予め設定されている。したがって、起動対象の第2空調装置102を起動させる場合には、それよりも先に、他の第2空調装置102が既に起動していることがある。このような場合に、起動対象の第2空調装置102と既に起動している第2空調装置102とでどちらか優先順位が高いかを判別している。そして、起動対象の第2空調装置102の優先順位よりも低い優先順位の第2空調装置102が既に起動していると、その優先順位が最下位の第2空調装置102を運転停止させることで、優先順位の高い第2空調装置102を起動させるようにしながら、発電余力を増加させている。
【0056】
ステップ#8のNoの場合には、起動対象の第2空調装置102よりも優先順位が低い第2空調装置102が既に起動されていない。これにより、起動対象の第2空調装置102の優先順位が最下位となるので、起動対象の第2空調装置102が起動待ち状態となって、再度、判別ステップが行われる(ステップ#7)。
【0057】
ステップ#10にて、起動対象の第2空調装置102を起動させると、第1空調装置101において、圧縮機側クラッチ4を切ってエンジン1から圧縮機5を切り離している場合には、圧縮機側クラッチ4を入れてエンジン1に圧縮機5に連動連結させるとともに、ステップ#6にて通電を停止した電力消費機器(室内機S2に備えられている機器)に対して発電機3の発電電力を供給して通電を再開させている(ステップ#11)。
【0058】
そして、システム制御部Cは、他の第2空調装置102の何れかにおけるリモコンにて空調運転の開始の指令があり、他に起動対象の第2空調装置102がある場合には(ステップ#12のYesの場合)、ステップ#5に戻り、第1ステップにて起動された第1空調装置101における発電機3の発電余力にて、その他の起動対象の第2空調装置102におけるエンジン1を始動させるのに必要な始動電力を賄うことができるか否かを判別する判別ステップを行っている。
【0059】
また、システム制御部Cは、他に起動対象の第2空調装置102がない場合には(ステップ#12のNoの場合)、運転ボタン20がOFFされて運転停止指令がなくなると、起動させている第1空調装置101及び第2空調装置102を運転停止させて、空調システム200の運転を停止している(ステップ#13のNoの場合)。
【0060】
(第1空調装置101の起動方法)
ここで、ステップ#2において、システム制御部Cは、バッテリー17に蓄電されている電力を始動モータ13に供給して始動モータ13にて発電機3が接続されたエンジン1を始動させて、第1空調装置101を起動させている。このとき、図2に示すように、システム制御部Cからの指令により、停電運転制御部H2が第1空調装置101を起動させている。
【0061】
以下、図4〜図6、及び、図7のフローチャートに基づいて、この第1空調装置101の起動方法について説明する。図4〜図6では、第1空調装置101の概略構成を示した図2において、各機器について、作動させる機器及び通電させる機器に模様及び太線を付けて示している。
【0062】
停電運転制御部H2は、図4及び図7に示すように、バッテリー17に蓄電されている電力を始動モータ13に供給し、圧縮機側クラッチ4を切ってエンジン1から圧縮機5を切り離した状態で、始動モータ13にて発電機側クラッチ2により発電機3が連動連結されたエンジン1を始動させる始動ステップを行う(ステップ#21)。
【0063】
始動ステップの次に、停電運転制御部H2は、図5及び図7に示すように、エンジン1にて発電機3を駆動させて発電機3の発電電力を圧縮機ヒータ12に供給してヒートポンプ回路9にて圧縮機5に供給される冷媒を加熱する加熱ステップを行う(ステップ#22〜#24)。この加熱ステップでは、発電機3の発電電力を、圧縮機ヒータ12だけでなく、リモコンRと、冷却水ポンプ14、室外ファン10、及び、室内ファン11の電力消費機器にも供給する通電処理を行うようにしている。そして、停電運転制御部H2は、加熱ステップにおいて、図外の温度センサにより圧縮機5の内部等の温度を検出しており、その検出した圧縮機温度が設定温度(例えば、15℃)以上であるか否かを判別して、圧縮機温度が設定温度(例えば、15℃)未満であれば、圧縮機ヒータ12をONさせて、圧縮機5に供給される冷媒を加熱して、液状態のまま冷媒が圧縮機5に供給されるのを防止している(ステップ#23のNoの場合、ステップ#24)。
【0064】
加熱ステップの次に、停電運転制御部H2は、図6及び図7に示すように、圧縮機側クラッチ4を入れてエンジン1に圧縮機5を接続し、エンジン1にて圧縮機5を駆動させてヒートポンプ回路9を作動させる作動ステップを行う(ステップ#25、#26)。この作動ステップでは、圧縮機側クラッチ4の接続パターンを設定する処理を行い、その処理にて設定した接続パターンにて圧縮機側クラッチ4を入れてエンジン1に圧縮機5を接続している(ステップ#25、ステップ#26)。図6は、圧縮機側クラッチ4の接続パターンについて、容量が小さい圧縮機5aと容量が大きい圧縮機5bの2台の圧縮機5を接続する第3接続パターンに設定した場合を示している。
【0065】
このようにして、停電運転制御部H2は、システム制御部Cにより第1空調装置101の起動が指令されると、始動ステップ、加熱ステップ、作動ステップの順に各ステップを行うことで、第1空調装置101を起動させて、発電を行いながら、空調運転を行うようにしている。これにより、作動ステップにおいてエンジン1にて圧縮機5を駆動させる場合には、その以前に、始動ステップ及び加熱ステップを行い、発電機3にて発電させてその発電電力を用いて圧縮機ヒータ12にて冷媒を加熱することができるので、液状態の冷媒が圧縮機5に供給されて圧縮機5の破損等の問題を生じることを防止できる。しかも、始動ステップにおいてエンジン1にて発電機3を駆動させる場合には、圧縮機5をエンジン1から切り離しているので、発電機3の発電電力を大きくすることができ、その発電機3の発電電力を、圧縮機ヒータ12に供給するだけでなく、リモコンR等の電力消費機器にも供給することができる。
【0066】
ここで、ステップ#25における圧縮機側クラッチ4の接続パターンを設定する処理について、図8のフローチャートに基づいて説明する。
上述の如く、圧縮機側クラッチ4は、容量が小さい圧縮機5aのみを接続する第1接続パターン、容量が大きい圧縮機5bのみを接続する第2接続パターン、及び、容量が小さい圧縮機5aと容量が大きい圧縮機5bとの2台の圧縮機5を接続する第3接続パターンの3つの接続パターンに変更設定自在に構成されている。
【0067】
そこで、停電運転制御部H2は、現在の外気温度や室内温度等の各種の条件から空調負荷を求めており、その求めた空調負荷が設定空調負荷以上であるか否かを判別し、空調負荷が設定空調負荷以上であると、圧縮機側クラッチ4の接続パターンを第3接続パターンに設定している(ステップ#41のYesの場合、ステップ#42)。
【0068】
停電運転制御部H2は、求めた空調負荷が設定空調負荷未満である場合に、外気温度で自動設定となっているか否かを判別する(ステップ#41のNoの場合、ステップ#43)。そして、停電運転制御部H2は、外気温度で自動設定となっていると、図外の温度センサ等により測定した外気温度が大容量条件を満たすか否かを判別しており、外気温度が大容量条件を満たしていると、圧縮機側クラッチ4の接続パターンを第2接続パターンに設定しており(ステップ#44のYesの場合、ステップ#45)、外気温度が大容量条件を満たしていないと、圧縮機側クラッチ4の接続パターンを第1接続パターンに設定している(ステップ#44のNoの場合、ステップ#46)。
外気温度の大容量条件について説明すると、冷房運転を行う場合に外気温度が上限温度(例えば、28℃)よりも高い、又は、暖房運転を行う場合に外気温度が下限温度(例えば、2℃)よりも低い場合には、空調負荷が大きくなり、その空調負荷を満たすためには圧縮機5の容量も大きなものが必要となる。そこで、外気温度が上限温度(例えば、28℃)よりも高い、又は、外気温度が下限温度(例えば、2℃)よりも低い場合には、外気温度が大容量条件を満していると判別している。
【0069】
停電運転制御部H2は、外気温度で自動設定となっていないと(ステップ#43のNoの場合)、季節が大容量条件を満たすか否かを判別しており、季節が大容量条件を満たしていると、圧縮機側クラッチ4の接続パターンを第2接続パターンに設定しており(ステップ#47のYesの場合、ステップ#45)、季節が大容量条件を満たしていないと、圧縮機側クラッチ4の接続パターンを第1接続パターンに設定している(ステップ#47のNoの場合、ステップ#46)。
【0070】
このようにして、作動ステップにおいて、選択条件(例えば、空調負荷が設定空調負荷以上であるか否か、外気温度が大容量条件を満たすか否か、季節が大容量条件を満たすか否か)に基づいて、複数の接続パターンから1つの接続パターンを選択して設定している。そして、作動ステップでは、選択条件に基づいて選択した1つの接続パターンに圧縮機側クラッチ4を設定してエンジン1に圧縮機5を接続している。
【0071】
停電運転制御部H2は、選択条件に基づいて選択した1つの接続パターンに圧縮機側クラッチ4を設定してエンジン1に圧縮機5を接続すると、その後のヒートポンプ回路9の作動中は、圧縮機側クラッチ4の接続パターンを選択条件に基づいて選択した接続パターンに維持している。つまり、通常運転制御部H1による空調運転とは異なり、停電運転制御部H2による空調運転では、その空調運転中に、圧縮機側クラッチ4の接続パターンの変更設定を行わず、空調運転を開始した当初の接続パターンをそのまま維持している。
【0072】
(第2空調装置102の起動方法)
図3では、ステップ#10において、システム制御部Cは、第1空調装置101における発電機3の発電電力を、起動対象の第2空調装置102における始動モータ13に供給して始動モータ13にて発電機3が接続されたエンジン1を始動させて、第2空調装置102を起動させている。このとき、システム制御部Cからの指令により、第2空調装置102の運転制御部が第2空調装置102を起動させている。
【0073】
図1に示すように、第1空調装置101における発電機3の発電電力が、図外のリモコンに供給されるとともに、始動モータ13、圧縮機ヒータ12、冷却水ポンプ14、室外ファン10、及び、室内ファン11等の電力消費機器にも供給自在となっている。そこで、第2空調装置102の運転制御部は、圧縮機側クラッチ4を入れてエンジン1の出力軸に圧縮機5を連動連結して、始動モータ13にてエンジン1を始動させて第2空調装置102を起動させている。ちなみに、発電機付きの第2空調装置102については、圧縮機側クラッチ4を入れてエンジン1の出力軸に圧縮機5を連動連結するとともに、発電機側クラッチ2も入れてエンジン1に発電機3を連続連結して、始動モータ13にてエンジン1を始動させて第2空調装置102を起動させている。
【0074】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、発電余力増加ステップとして、クラッチOFFステップと供給電力減少ステップの双方を行うようにしているが、例えば、クラッチOFFステップのみ、或いは、供給電力減少ステップのみを行うようにすることもできる。
【0075】
(2)上記実施形態では、第1空調装置101を起動させるに当たり、加熱ステップにおいて、発電機3の発電電力を圧縮機ヒータ12に供給して、ヒートポンプ回路9にて圧縮機5に供給される冷媒を加熱しており、始動ステップ、加熱ステップ、作動ステップの順に各ステップを行うようにしている。これに代えて、加熱ステップにおいて、バッテリー17に蓄電されている電力を圧縮機ヒータ12に供給して、ヒートポンプ回路9にて圧縮機5に供給される冷媒を加熱することもできる。この場合には、始動ステップと加熱ステップとを同時に行った後、作動ステップを行うようにすることもできる。
【0076】
(3)上記実施形態では、第1空調装置101を起動させるに当たり、圧縮機側クラッチ4が、エンジン1に連動連結する圧縮機5の容量及び台数について、第1〜第3接続パターンに変更設定自在に構成されている。これに代えて、エンジン1に連動連結する圧縮機5の容量のみについて、圧縮機側クラッチ4の接続パターンを変更設定自在として、第1接続パターンと第2接続パターンとに変更設定自在とすることもできる。この場合には、図8において、ステップ#41及びステップ#42を省略して、接続パターンを設定する処理が行われる。
また、圧縮機5を複数台備える場合には、エンジン1に連動連結する圧縮機5の台数のみについて、圧縮機側クラッチ4の接続パターンを変更設定自在とすることもできる。
【0077】
(4)上記実施形態では、発電機3の発電電力を電力負荷19に供給自在に構成しているが、その構成に加えて、或いは、その構成に代えて、発電機3の発電電力を売電できるように構成することもできる。
【0078】
(5)上記実施形態では、第2空調装置102として、発電機付きの第2空調装置102aと発電機無しの第2空調装置102bとを備えた例を示しているが、発電機付きの第2空調装置102aのみを備える、又は、発電機無しの第2空調装置102bのみを備えることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、圧縮機を駆動させる原動機と、前記圧縮機、第1熱交換器、膨張弁、及び、第2熱交換器から構成されるヒートポンプ回路と、前記原動機を始動させる始動モータとを有する空調装置が複数台備えられ、停電等により商用系統から電力の供給を受けることができない場合でも、コストアップを招くことなく、複数台の空調装置を起動させて空調運転させることができる各種の空調システムの起動方法、及び、各種の空調システムの起動装置に適応可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 エンジン(原動機)
3 発電機
4 圧縮機側クラッチ(クラッチ)
5 圧縮機
6 第1熱交換器
7 膨張弁
8 第2熱交換器
9 ヒートポンプ回路
15 商用系統
17 バッテリー(蓄電装置)
200 空調システム
101 第1空調装置
102 第2空調装置
C システム制御部(システム起動制御部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機を駆動させる原動機と、前記圧縮機、第1熱交換器、膨張弁、及び、第2熱交換器から構成されるヒートポンプ回路と、前記原動機を始動させる始動モータとを有する空調装置が複数台備えられた空調システムの起動方法であって、
前記空調装置として、前記原動機に前記圧縮機と発電機とが接続されて、商用系統からの電力及び前記発電機の発電電力を蓄電自在な蓄電装置を備えた第1空調装置と、前記蓄電装置を備えていない第2空調装置とがあり、
前記第1空調装置における前記発電機の発電電力が、前記第2空調装置における前記始動モータに供給自在であり、
前記第1空調装置において、前記蓄電装置に蓄電されている電力を前記始動モータに供給して前記始動モータにて前記発電機が接続された前記原動機を始動させて、前記第1空調装置を起動させる第1ステップを行い、
次に、前記第2空調装置において、前記第1空調装置における前記発電機の発電電力を前記始動モータに供給して前記始動モータにて前記原動機を始動させて、前記第2空調装置を起動させる第2ステップを行う空調システムの起動方法。
【請求項2】
前記第2ステップを行う前に、前記第1ステップにて起動された前記第1空調装置における前記発電機の発電余力にて、前記第2ステップにて起動対象の前記第2空調装置における前記原動機を始動させるのに必要な始動電力を賄うことができるか否かを判別する判別ステップを行い、その判別ステップにより前記発電余力にて前記始動電力を賄うことができると判別した場合に、前記第2ステップを行い、前記判別ステップにより前記発電余力にて前記始動電力を賄うことができないと判別した場合に、前記発電余力を増加させる発電余力増加ステップを行った後、再度、前記判別ステップを行う請求項1に記載の空調システムの起動方法。
【請求項3】
前記第1空調装置は、前記原動機にクラッチを介して前記圧縮機が接続されており、前記発電余力増加ステップとして、前記原動機の作動を維持したまま前記クラッチを切って前記原動機から前記圧縮機を切り離すクラッチOFFステップ、及び、前記第1空調装置における電力消費機器に対して前記発電機の発電電力を供給する供給電力を減少させる供給電力減少ステップの一方又は双方を行う請求項2に記載の空調システムの起動方法。
【請求項4】
前記第2空調装置が複数台備えられ、それら複数台の前記第2空調装置に対して起動させる優先順位が設定されており、前記発電余力増加ステップとして、前記第2ステップにて起動対象の前記第2空調装置よりも優先順位が低い前記第2空調装置が既に起動されている場合に、その優先順位が低い前記第2空調装置を運転停止させる運転停止ステップを行う請求項2又は3に記載の空調システムの起動方法。
【請求項5】
前記第1空調装置は、前記原動機にクラッチを介して前記圧縮機が接続されており、前記ヒートポンプ回路にて前記圧縮機に供給される冷媒を加熱させる圧縮機ヒータを備えており、前記第1ステップにて前記第1空調装置を起動させるに当たり、前記蓄電装置に蓄電されている電力を前記始動モータに供給し、前記クラッチを切って前記原動機から前記圧縮機を切り離した状態で前記始動モータにて前記発電機が接続された前記原動機を始動させる始動ステップと、前記原動機にて前記発電機を駆動させて前記発電機の発電電力を前記圧縮機ヒータに供給して、或いは、前記蓄電装置に蓄電されている電力を前記圧縮機ヒータに供給して、前記ヒートポンプ回路にて前記圧縮機に供給される冷媒を加熱する加熱ステップとを行い、その後、前記クラッチを入れて前記原動機に前記圧縮機を接続し、前記原動機にて前記圧縮機を駆動させて前記ヒートポンプ回路を作動させる作動ステップを行う請求項1〜4の何れか1項に記載の空調システムの起動方法。
【請求項6】
前記クラッチは、前記原動機に接続する前記圧縮機の容量及び台数の一方又は双方について、複数の接続パターンに設定自在であり、前記作動ステップにおいて、選択条件に基づいて前記複数の接続パターンから選択した1つの接続パターンに前記クラッチを設定して前記原動機に前記圧縮機を接続し、前記ヒートポンプ回路の作動中は、前記クラッチの接続パターンを前記選択条件に基づいて選択した接続パターンに維持する請求項5に記載の空調システムの起動方法。
【請求項7】
前記第2空調装置は、前記発電機を備えておらず、発電能力を有していない請求項1〜6の何れか1項に記載の空調システムの起動方法。
【請求項8】
圧縮機を駆動させる原動機と、前記圧縮機、第1熱交換器、膨張弁、及び、第2熱交換器から構成されるヒートポンプ回路と、前記原動機を始動させる始動モータとを有する空調装置が複数台備えられた空調システムの起動装置であって、
前記空調装置として、前記原動機に前記圧縮機と発電機とが接続されて、商用系統からの電力及び前記発電機の発電電力を蓄電自在な蓄電装置を備えた第1空調装置と、前記蓄電装置を備えていない第2空調装置とがあり、
前記第1空調装置における前記発電機の発電電力が、前記第2空調装置における前記始動モータに供給自在であり、
前記第1空調装置において、前記蓄電装置に蓄電されている電力を前記始動モータに供給して前記始動モータにて前記発電機が接続された前記原動機を始動させて、前記第1空調装置を起動させる第1ステップを行い、
次に、前記第2空調装置において、前記第1空調装置における前記発電機の発電電力を前記始動モータに供給して前記始動モータにて前記原動機を始動させて、前記第2空調装置を起動させる第2ステップを行うシステム起動制御部が備えられている空調システムの起動装置。
【請求項9】
前記システム起動制御部が、前記第2ステップを行う前に、前記第1ステップにて起動された前記第1空調装置における前記発電機の発電余力にて、前記第2ステップにて起動対象の前記第2空調装置における前記原動機を始動させるのに必要な始動電力を賄うことができるか否かを判別する判別ステップを行い、その判別ステップにより前記発電余力にて前記始動電力を賄うことができると判別した場合に、前記第2ステップを行い、前記判別ステップにより前記発電余力にて前記始動電力を賄うことができないと判別した場合に、前記発電余力を増加させる発電余力増加ステップを行った後、再度、前記判別ステップを行う請求項8に記載の空調システムの起動装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−229900(P2012−229900A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99918(P2011−99918)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】