説明

空調システム

【課題】室内ユニット交換時に、以前の室内ユニットの空調グループの設定を簡単に引き継がせて複数の空調グループの管理や制御を行う空調システムを提供する。
【解決手段】
リモコン50の設定CPU71は、室内ユニットに対してリモコンユニット番号を自動的に割り当てる自動アドレス処理を行う。リモコンメモリ72は、ユーザから受け付けた空調グループとリモコンユニット番号とを対応させて格納している。室内メモリ21b、22b・・・は、自己のリモコンユニット番号を格納している。設定CPU71は、室内メモリ21b、22bのリモコンユニット番号を確認しながら、空調グループ毎に室内ユニットを管理・制御する。設定CPU71は、室内ユニットの1台がリモコンユニット番号未付与の更新室内メモリを有する更新室内ユニットに更新されたことを確認した場合に、前回の室内ユニットのリモコンユニット番号と空調グループとを引き継がせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の空調機が設けられた設備において、空調対象となる区切られた特定のエリアに設けられている複数の空調機を同一の空調機グループに属するものとして制御や管理を行う空調システムが知られている。
【0003】
このような空調システムの制御や管理を行う場合において、例えば、特許文献1(特開平05−257296号公報)には、複数の空調グループの中から制御や管理を行おうとする特定の空調グループの選択を行うことが可能な集中管理装置が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の集中管理装置によって制御や管理が行われる空調システムにおいては、複数の室内ユニットのうちのある室内ユニットが故障した場合や、新しいバージョンの室内ユニットに更新させる場合等、既設の室内ユニットを新しい室内ユニットに交換する場合がある。
【0005】
この場合、交換することで新たに設置される室内ユニットの設置位置と、交換前に設置されていた室内ユニットの設置位置と、は同じである。このため、利用者側において空調グループの変更が求められない場合には、新たに設置される室内ユニットについて、以前に設置されていた室内ユニットと同じ空調グループに属するようにリモコン等に把握させるための設定操作が必要になる。このような設定操作が行われることにより、新たに設置された室内ユニットについても、空調グループ毎の制御や管理を、以前に設置されていた室内ユニットと同じように実行させることができる。
【0006】
このような場合に、室内ユニットを交換するに際して、新たに設置される室内ユニットにどのような情報を割り当てる必要があるのか把握することが困難であったり、設定操作を終えた後において適切に空調グループ設定が行われているか否かの確認作業が煩雑であったりする。
【0007】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、複数の空調グループについて管理や制御が行われている空調システムにおいて、室内ユニットが交換される場合に、以前の室内ユニットの空調グループに関する設定を簡単に引き継がせることが可能な空調システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1観点に係る空調システムは、複数の室内ユニットと、リモコンと、を備えている。複数の室内ユニットは、それぞれ、室内メモリを有している。リモコンは、処理部と、リモコンメモリと、受付部と、を有している。処理部は、通信可能に接続された室内ユニットそれぞれに対して、互いを区別する特定情報を自動的に割り当てる自動特定処理を行う。リモコンメモリは、室内ユニットそれぞれが属している空調グループを示す空調グループ情報を特定情報と対応させて格納している。受付部は、特定情報および空調グループ情報の設定若しくは変更を受け付けることが可能である。室内メモリは、自己に割り当てられている最新の特定情報を格納している。処理部は、室内メモリに格納されている特定情報とリモコンメモリに格納されている空調グループ情報に基づいて室内ユニットを空調グループ毎に管理する。処理部は、複数の室内ユニットのうちの1台が、特定情報が未だ格納されていない室内メモリ(以下、更新室内メモリという場合がある)を有する更新室内ユニットに更新されたことを確認した場合に、リモコンメモリに格納されている特定情報のうち、特定情報を確認できなくなった室内ユニットに対して割り当てられていた特定情報である更新特定情報と、リモコンメモリにおいて更新特定情報と対応付けて格納されている空調グループ情報である更新空調グループ情報と、の両方を更新室内ユニットに割り当てる。
【0009】
なお、処理部は、複数の室内ユニットのうちの1台が更新室内ユニットに更新されたことを確認した場合の処理は特に限定されるものではない。例えば、処理部は、更新室内ユニットに対して自動特定処理を行うことなく更新特定情報と更新空調グループ情報の両方を更新室内ユニットに割り当てるようにしてもよいし、更新室内ユニットに対して自動特定処理を行った後にさらに更新特定情報と更新空調グループ情報の両方を更新室内ユニットに割り当てることで上書きするようにしてもよい。
【0010】
この空調システムでは、室内ユニットに対してリモコンが接続されることでシステムが構築された際には、リモコンの処理部が、各室内ユニットに対して、互いを区別する特定情報を自動的に割り当てる自動特定処理を行うことができる。
【0011】
ここで、一度構築された空調システムについて、複数の室内ユニットのうちの一台を更新室内ユニットに更新させる場合においても、処理部が、自動特定処理を行ってしまうと、更新室内ユニットに対して、更新前の室内ユニットの特定情報とは異なる特定情報が自動的に割り当てられてしまうことがある。この場合には、更新室内ユニットに対しても、以前の室内ユニットが属していた空調グループと同じ空調グループに属させて以前と同様のグループ制御やグループ管理の継続をユーザが望んでいたとしても、更新室内ユニットは意図しない特定情報が割り当てられることにより、ユーザの望み通りの空調グループに属させることができないおそれがある。
【0012】
これに対して、上記第1観点に係る空調システムでは、一度構築された空調システムについて、複数の室内ユニットのうちの一台を更新室内ユニットに更新させる場合には、処理部は、自動特定処理を行うことなく、処理部が、以前の室内ユニットの空調グループに関する設定を更新室内ユニットに対して簡単に引き継がせることが可能になる。
【0013】
本発明の第2観点に係る空調システムは、第1観点に係る空調システムにおいて、処理部は、通信可能に接続されている室内ユニットから取得する最新情報とそれ以前の古い情報とを比較することにより、複数の室内ユニットのうちの1台が更新室内ユニットに更新されたことを確認する。
【0014】
この空調システムでは、処理部は、通信可能に接続されている室内ユニットから取得する最新情報と、リモコンメモリに格納されたままの古い情報とを比較することにより、複数の室内ユニットのうちの1台が更新室内ユニットに更新されたことを確認することができる。
【0015】
本発明の第3観点に係る空調システムは、第2観点に係る空調システムにおいて、室内メモリおよび更新室内メモリは、自己の機種情報および/または自己の馬力情報を格納している。処理部は、最新情報が示す通信可能に接続された室内ユニットの数と古い情報が示す室内ユニットの数とが一致し、特定情報が未だ格納されていない更新室内メモリを有する更新室内ユニットが1台のみであり、特定情報を確認できなくなった室内ユニットの室内メモリと更新室内メモリとの間で、格納されている自己の機種情報および/または自己の馬力情報が一致する場合に、複数の室内ユニットのうちの1台が更新室内ユニットに更新されたと確認する。
【0016】
この空調システムでは、処理部が、各条件を満たしているか否か判断することにより、複数の室内ユニットのうちの1台が更新室内ユニットに更新されたと確認している。このため、まず、最新情報が示す通信可能に接続された室内ユニットの数と、古い情報が示す室内ユニットの数と、が一致することを処理部が確認することで、取り外された室内ユニットの台数と新たに取り付けられた更新室内ユニットの台数が一致している場合を特定することができ、例えば、古い室内ユニットが取り外されることなく単に新しい室内ユニットが増設された場合等を排除することができる。また、特定情報が未だ格納されていない更新室内メモリを有する更新室内ユニットが1台のみであることを処理部が確認することで、1台の室内ユニットが1台の更新室内ユニットに交換された場合を特定することができ、複数台の室内ユニットが一度に交換される場合を排除することができる。さらに、特定情報を確認できなくなった室内ユニットの室内メモリと更新室内メモリとの間で、格納されている自己の機種情報および/または自己の馬力情報が一致するか否かを処理部が確認することにより、空調システムの機種構成および/または馬力構成が変更されてしまうことを防止できる。以上により、空調システムの機種構成および/または馬力構成を維持したままで、室内ユニットを交換する際の誤設定を防止することができる。
【0017】
本発明の第4観点に係る空調システムは、第3観点に係る空調システムにおいて、リモコンメモリは、室内メモリから取得した機種情報および/または馬力情報を、当該室内メモリに割り当てられている最新の特定情報と対応させて格納している。リモコンは、報知部をさらに有している。処理部は、更新特定情報と対応して格納されている機種情報および/または馬力情報が、更新室内メモリに格納されている機種情報および/または馬力情報と一致しない場合には、報知部に報知させる。一致しない場合としては、機種情報についてのみ一致するか否か判断するものであってもよいし、馬力情報についてのみ一致するか否か判断するものであってもよい。また、機種情報と馬力情報との両方についてそれぞれ一致するか否か判断するものであってもよく、その場合には、少なくともいずれか一方が一致しない場合に報知するか、もしくは、両方とも一致しない場合にのみ報知するようにしたものであってもよい。ここでの報知の態様は特に限定されるものではなく、例えば、音声出力による報知や、視覚的表示出力による報知や、これらの両方による報知等の態様が含まれる。
【0018】
この空調システムでは、交換するために新しく用意された室内ユニットの機種および/または馬力が、交換前の室内ユニットの機種および/または馬力と一致しない場合に、報知部が報知を行う。このため、ユーザは、空調システムに適合しない室内ユニットが接続されることを把握することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の第1観点に係る空調システムでは、以前の室内ユニットの空調グループに関する設定を簡単に引き継がせることができる。
【0020】
本発明の第2観点に係る空調システムでは、処置部が、複数の室内ユニットのうちの1台が更新室内ユニットに更新されたことを確認することができる。
【0021】
本発明の第3観点に係る空調システムでは、空調システムの機種構成および/または馬力構成を維持したままで、室内ユニットを交換する際の誤設定を防止することができる。
【0022】
本発明の第4観点に係る空調システムでは、ユーザは、空調システムに適合しない室内ユニットが接続されることを把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る空調システムの概略構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る空調システムのブロック構成図である。
【図3】室内ユニットの室内メモリが格納しているデータの内容を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る空調コントローラの外観図である。
【図5】リモコンメモリが格納している所属空調グループテーブルの内容を示す図である。
【図6】リモコンメモリが格納している接続台数情報の内容を示す図である。
【図7】リモコンメモリが前回格納していた室内情報テーブルの前半部分を示す図である。
【図8】リモコンメモリが前回格納していた室内情報テーブルの後半部分を示す図である。
【図9】空調システムが構築された際に行われるデータ処理等のフローチャートである。
【図10】室内ユニットが更新される際に行われるデータ処理等のフローチャートである。
【図11】更新室内ユニットの更新室内メモリが格納しているデータの内容を示す図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る更新された空調システムのブロック構成図である。
【図13】リモコンメモリが現在格納している室内情報テーブルの前半部分を示す図である。
【図14】リモコンメモリが現在格納している室内情報テーブルの後半部分を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の空調システムの一実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0025】
<1>全体概略構成
図1に、空調システム100の概略構成図を示す。
【0026】
本実施形態の空調システム100は、2つの冷媒系統A,B・・・を有しており、かつ、複数の空調グループG1、G2、G3・・・G7を有しており、空調コントローラ50によって各種制御が行われる。
【0027】
(1−1)冷媒系統A、Bについて
本実施形態の空調システム100は、室外ユニット1の圧縮機を介して冷媒が循環している冷媒回路10aを備える冷媒系統Aと、室外ユニット2の圧縮機を介して冷媒が循環している冷媒回路10bを備える冷媒系統Bと、他の図示しない冷媒系統を有している。
【0028】
冷媒系統Aは、室外ユニット1、室内ユニット21、室内ユニット22、室内ユニット23、室内ユニット24、および、室内ユニット25を有している。室外ユニット1には、図示しない圧縮機、室外熱交換器、室外膨張弁、室外ファン、四路切換弁、室外制御基板等が設けられている。各室内ユニット21、22、23、24、25には、それぞれ、図示しない室内膨張弁、室内熱交換器、室内ファン、室内制御基板等が設けられている。冷媒系統Aの冷媒回路10aは、室外ユニット1の圧縮機、室外熱交換器、室外膨張弁、四路切換弁、各室内ユニット21、22、23、24、25の室内熱交換器、室内膨張弁等が冷媒配管を介して接続されることで構成されている。
【0029】
冷媒系統Bは、冷媒系統Aを流れる冷媒とは独立して設けられた冷媒系統であり、室外ユニット2、室内ユニット31、室内ユニット32、および、室内ユニット33を有している。室外ユニット2には、図示しない圧縮機、室外熱交換器、室外膨張弁、室外ファン、四路切換弁、室外制御基板等が設けられている。各室内ユニット31、32、33には、それぞれ、図示しない室内熱交換器、室内ファン、室内制御基板等が設けられている。冷媒系統Bの冷媒回路10bは、室外ユニット2の圧縮機、室外熱交換器、室外膨張弁、四路切換弁、各室内ユニット31、32、33の室内熱交換器、室内膨張弁等が冷媒配管を介して接続されることで構成されている。
【0030】
なお、他の図示しない冷媒系統についても、冷媒系統A、Bから独立して構成されている。
【0031】
(1−2)空調グループG1、G2、G3・・・G7について
本実施形態の空調システム100の室内ユニット21、22、23、24、25、31、32、33は、空調グループG1と、空調グループG2と、空調グループG3と、図示しない他の空調グループG4、G5、G6、G7に分けられている。
【0032】
室内ユニット21、22、23は、空調グループG1に属している。この空調グループG1に属する室内ユニット21は、空調グループG1の親機であり、他の室内ユニット22、23は、それぞれ空調グループG1の子機である。
【0033】
室内ユニット24、25は、空調グループG2に属している。この空調グループG2に属する室内ユニット24は、空調グループG2の親機であり、他の室内ユニット25は、空調グループG2の子機である。
【0034】
室内ユニット31、32、33は、空調グループG3に属している。この空調グループG3に属する室内ユニット31は、空調グループG3の親機であり、他の室内ユニット32、33は、それぞれ空調グループG3の子機である。
【0035】
なお、他の空調グループG4、G5、G6、G7については、説明を省略する。
【0036】
(1−3)空調コントローラ50および伝送線について
空調システム100は、ユーザが操作する空調コントローラ50によって、各種制御を実行する。
【0037】
この空調コントローラ50からは、伝送線が延びており、各空調グループG1、G2、G3・・・G7の親機である室内ユニット21、24、31・・・の室内制御基板と通信可能に接続されている。
【0038】
各空調グループG1、G2、G3に属している子機である室内ユニット22、23、25、32、33の室内制御基板は、それぞれ自分が属している空調グループG1、G2、G3の親機である室内ユニット21、24、31の室内制御基板と伝送線を介して通信可能に接続されている。
【0039】
このような伝送線の接続形態によって、各室内ユニット21〜25、31〜33は、空調グループ毎の設定条件に従って運転制御が行われる。すなわち、空調コントローラ50から出される運転指示は、まず、対象となる空調グループの親機の室内制御基板に伝えられ、次に、当該親機の空調グループに属している子機の室内制御基板それぞれに対して親機の室内制御基板と同じ動きをするように運転指示が伝えられる。これにより、空調システム100の各空調グループG1、G2、G3・・・G7は、グループ毎の設定条件に沿って運転制御が行われる。
【0040】
<2>室内ユニット21、22・・・の詳細構成
図2に、空調システム100の一部を示すシステムブロック構成図を示す。なお、ここで、室内ユニット21、22以外は省略して図示しているが、各内容構成は同様である。
【0041】
室内ユニット21は、室内CPU21a、室内メモリ21b、室内通信部21cを有している。なお、室内ユニット22についても同様に、室内CPU22a、室内メモリ22b、室内通信部22cを有している。
【0042】
ここでは、室内ユニット21について主として説明するが、他の室内ユニットについても同様である。
【0043】
室内CPU21aは、室内通信部21cにリモコン50等と通信させることにより、空調処理の情報を得たり、後述するリモコンユニット番号の割り当て処理を受け付ける。室内CPU21aは、リモコン50から割り当てられたリモコンユニット番号を、室内メモリ21bに格納させる。なお、室内メモリ21bには、図3に示すように、室内ユニット21の製造当初から、室内ユニット21の機種コードを示す情報や、馬力を示す情報が格納されており、上記割り当てられたリモコンユニット番号と対応させた情報が格納されている。なお、室内ユニット21の製造当初は、リモコンユニット番号は割り当てられていない状態になっており、空調システム100が構成された後にリモコン50からの通信によって割り当てられる。このようにして割り当てられたリモコンユニット番号は、ユーザがリモコン50を操作することにより変更することができるものであり、変更される度に通信によって新しいリモコンユニット番号が割り当てられ、室内メモリ21bのメモリは常に最新のリモコンユニット番号に上書きされた状態になっている。
【0044】
<3>空調コントローラ50の詳細構成
図4に、空調コントローラ50の外観構成図を示す。
【0045】
空調コントローラ50は、設定部60と、グループ選択部80とを有している。設定部60は、グループ選択部80によって選択された空調グループG1、G2、G3・・・G7のいずれかについて、設定入力を受け付ける。なお、設定部60とグループ選択部80とは、樹脂製のケーシング50aによって一体的に覆われている。
【0046】
(3−1)設定部60について
設定部60は、液晶表示部61、運転切換ボタン62、風量風向ボタン63、運転停止ボタン64、キャンセルボタン65、十字キー66、確定ボタン67、設定基板70、および、報知部99を有している。
【0047】
液晶表示部61は、設定基板70からの指令を受けて、各種情報を表示出力する。
【0048】
運転切換ボタン62は、ユーザに押されることにより、冷房運転、暖房運転、送風運転等の運転切換を選択されている空調グループG1、G2、G3・・・G7に行わせるための指示を、設定基板70に受け付けさせる。
【0049】
風量風向ボタン63は、ユーザに押されることにより、選択されている空調グループG1、G2、G3・・・G7における風量と風向を設定する指示を、設定基板70に受け付けさせる。風量については、4段階の風量のうちのいずれかの指定を受け付けさせる。風向については、3段階のフラップ傾斜角度のうちのいずれかの指定もしくはフラップを回動させるスイング状態の指定を受け付けさせる。
【0050】
運転停止ボタン64は、ユーザに押されることにより、選択されている空調グループG1、G2、G3・・・G7における運転を開始させる指示や運転を停止させる指示を、設定基板70に受け付けさせる。
【0051】
キャンセルボタン65は、ユーザに押されることにより、設定途中の内容をキャンセルさせたり、1つ前の(1つ上位の階層の)画面表示に戻らせる指示を、設定基板70に受け付けさせる。
【0052】
十字キー66は、上方キー66u、下方キー66d、左方キー66l、右方キー66rを有しており、それぞれ、ユーザに押されることにより、設定基板70に以下の指示を受け付けさせる。すなわち、上方キー66uが押された場合には、設定基板70は、カーソルを上方に移動させたり設定数値を上げる指示を受け付ける。下方キー66dが押されると、設定基板70は、カーソルを下方に移動させたり設定数値を下げる指示を受け付ける。左方キー66lが押されると、設定基板70は、カーソルを左方に移動させたり選択された項目についての設定画面に移行させる(より下位の階層の画面に遷移させる)指示を受け付ける。右方キー66rが押されると、設定基板70は、カーソルを右方に移動させたり選択された設定画面から前の画面に移行させる(一階層上位の画面に遷移させる)指示を受け付ける。
【0053】
確定ボタン67は、ユーザに押されることにより、設定可能なメニュー項目が表示される画面に移行してユーザからの空調処理に関する設定を受け付ける状態にさせる機能や、ユーザから入力された内容の実行を確定させる機能が割り当てられている。例えば、確定ボタン67を押すことによりメニュー項目が画面表示された状態では、ユーザが十字キー66を操作してカーソルを移動させることにより、メニュー項目を選択できる。そして、カーソルが合わせられた状態で確定ボタン67が押されると、カーソルが位置していたメニュー項目が選択され、ユーザが十字キー66等を用いて具体的な内容を入力して、再度確定ボタン67を押すことにより、空調処理の具体的な内容を入力し、設定基板70に受け付けさせることができる。このような空調処理のメニュー項目としては、例えば、「設定温度の変更」、「タイマ機能の時間設定」等が備えられている。
【0054】
報知部99は、後述する特定の場合に、設定CPU71によってブザー音を発するように指示され、ユーザ等に報知を行う。
【0055】
設定基板70は、各種処理を行う設定CPU71と、各空調グループG1、G2、G3・・・G7毎の設定条件(例えば、空調処理としてユーザから入力された設定温度、設定風向、設定風量等の情報)、各空調グループG1、G2、G3・・・G7毎の状態情報(例えば、空調対象空間の温度等の情報)、所属空調グループテーブル、接続台数情報、室内情報テーブル等それぞれを格納するリモコンメモリ72と、各空調グループG1、G2、G3・・・G7の親機の室内制御基板との間で通信を行うためおよびグループ選択基板90との間で通信を行うための設定通信部73と、を有している。
【0056】
設定CPU71は、上記運転切換ボタン62や、風量風向ボタン63や、運転停止ボタン64や、キャンセルボタン65や、十字キー66や、確定ボタン67が押されることで受け付けた空調グループの設定情報や空調処理の指示をリモコンメモリ72に格納させると共に、空調グループG1、G2、G3・・・G7のうちの選択された空調グループの親機の室内制御基板に向けて、伝送線を介して設定通信部73に送信させる。このようにして、設定基板70の設定通信部73からの指示を受け付けた親機の室内制御基板は、同じ指令を同じ空調グループに属している子機の室内制御基板に向けて、伝送線を介して送信する。これにより、同一の空調グループに属している室内制御基板が、同じ空調処理の指示を受け付けることになり、空調グループ毎の制御や管理を、空調コントローラ50から行うことができるようになっている。なお、設定CPU71は、室内ユニットの室内制御基板との間で、設定通信部73を用いた通信を行っており、現時点での空調対象空間の温度の情報等を取得し、リモコンメモリ72に格納している情報を更新させていく。
【0057】
設定CPU71は、後述するように、室外ユニット1、2、室内ユニット21−25・・・、リモコン50等が接続されることで空調システム100が構築されると、各室内ユニットに対して自動アドレス処理(自動特定処理)を行う。この自動アドレス処理は、空調システム100が構築されることにより互いに通信可能に接続された状態になっている室内ユニットのそれぞれに対して、室内ユニット同士を区別するためのリモコンユニット番号(特定情報)を自動的に割り当てる処理である。このリモコンユニット番号は、重複することなく、室内ユニットと一対一に対応するように付与され、室内ユニットにおいても保持される情報である。
【0058】
設定CPU71は、ユーザによってリモコン50の十字キー66や確定ボタン67が操作されることにより、室内ユニット毎にユーザが選定した空調グループの設定を受け付ける処理を行い、さらに、設定済みの内容の変更についても受け付ける処理を行う。具体的には、特定のリモコンユニット番号が割り当てられている室内ユニットについて、ユーザが希望する空調グループに属するように設定する処理や、その設定の変更処理が行われる。
【0059】
そして、このようにして各室内ユニット毎に、対応するリモコンユニット番号と属する空調グループが対応付けられて、図5に示すように、所属空調グループテーブルとして、リモコンメモリ72に格納される。
【0060】
また、リモコンメモリ72には、図6に示すように、構築された空調システム100において通信可能に接続されている室内ユニットの台数を示す情報およびその履歴情報として、接続台数情報を格納している。本実施形態では、空調システム100に接続された室内ユニットの数が合計14台である場合を例に説明している。
【0061】
さらに、リモコンメモリ72には、図7、図8に示すように、各室内ユニット(0)〜(15)毎に、リモコンユニット番号、機種コード、馬力の情報が対応付けられた室内情報テーブルが格納されている。本実施形態のリモコン50では、登録可能な室内ユニットの台数が16台(室内ユニット(0)〜(15)の16台)と定められており、空調システム100に接続されている室内ユニット21、22・・・は14台であるため、図8に示すように、室内ユニット(14)、(15)の欄は、未使用の状態になっている。なお、本実施形態では、室内ユニット21が室内情報テーブルにおける室内ユニット(1)に対応し、室内ユニット22が室内情報テーブルにおける室内ユニット(2)に対応する(以下、同様)場合を例に示している。
【0062】
(3−2)グループ選択部80について
グループ選択部80は、空調グループ直接選択ボタン81、82、83、84、85、86、87、88、一括運転ボタン89a、一括停止ボタン89b、運転中表示部89c、空調エリア表示部80a、発光部81a、82a、83a、84a、85a、86a、87a、88a、および、グループ選択基板90を有している。
【0063】
空調グループ直接選択ボタン81は、ユーザに押されることにより、空調グループG1が選択されたことをグループ選択基板90に把握させる。空調グループ直接選択ボタン82〜87についても同様に、ユーザに押されることにより、空調グループG2〜G7が選択されたことをグループ選択基板90に把握させる。このように、空調グループ直接選択ボタン81〜87は、空調グループG1〜G7と一対一に対応するように設けられている。なお、空調グループ直接選択ボタン88は、空調コントローラ50のグループ選択部80に設けられてはいるが、本実施形態の空調システム100には空調グループG8は存在していないため、ユーザからの設定を受け付ける機能は割り振られていない。
【0064】
一括運転ボタン89aは、ユーザに押されることにより、設定基板70のリモコンメモリ72に格納されている各空調グループG1、G2、G3・・・G7の設定条件に従って、空調グループG1、G2、G3・・・G7の全ての空調グループの運転を開始させる指示を、グループ選択基板90に受け付けさせる。なお、一括運転ボタン89aが押された時点で既に運転状態にある空調グループについては、そのまま運転状態を継続させることになる。
【0065】
一括停止ボタン89bは、ユーザに押されることにより、空調グループG1、G2、G3・・・G7の全ての空調グループの運転を停止させる指示を、グループ選択基板90に受け付けさせる。
【0066】
運転中表示部89cは、グループ選択部80に設けられており、空調コントローラ50が制御を行う対象となる空調グループG1、G2、G3・・・G7のいずれかが駆動している場合に、発光することで、ユーザにその旨を知らせる。
【0067】
空調エリア表示部80aは、各空調グループ直接選択ボタン81、82、83、84、85、86、87、88と一対一に対応するように割り振られた1〜8までの数字および各数字の横に設けられており空調エリアを記入するための欄が示された空調エリア記入シートと、空調エリアシートを覆う透明の樹脂カバーと、を有している。本実施形態では、空調グループは空調グループG1〜G7の7つであるため、空調グループ直接選択ボタン81〜87に対して一対一に対応した1〜7までの数字の横の空調エリア記入シートに、具体的な部屋の名前等の各空調エリアの場所を特定する情報が記入される。
【0068】
発光部81a、82a、83a、84a、85a、86a、87a、88aは、各空調グループ直接選択ボタン81、82、83、84、85、86、87、88に一対一に対応するようにして設けられており、横の空調エリア記入シートの数字部分を後ろ側から照らすためのLEDによって構成されている。これらの発光部81a〜88aは、ケーシング50aの内部に設けられており、グループ選択基板90によって発光制御が行われる。
【0069】
グループ選択基板90は、各種演算処理を行うグループCPU91と、グループ通信部92を有している。グループ通信部92は、空調グループ直接選択ボタン81、82、83、84、85、86、87、88や、一括運転ボタン89aや、一括停止ボタン89bが押されることで受け付けた指示に応じた指示を、通信線95を介して設定基板70に送る。また、グループ通信部92は、設定基板70から空調グループG1、G2、G3のうちで稼働中の空調グループが存在しているか否かの情報を、通信線95を介して設定基板70から受信する。
【0070】
<4>空調システム100の構築時のデータ処理について
図9に、空調システム100の構築時のデータ処理のフローチャートを示す。
【0071】
空調システム100は、室外ユニット1、2や室内ユニット21、22・・・が施工現場に搬入されて冷媒系統の接続が行われ、室外ユニット1、2、室内ユニット21、22・・・、リモコン50が通信可能に接続される場合の初期設定として、以下のデータ処理が行われる。
【0072】
ステップS11では、まず、サービスエンジニアによって、上記のようにして空調システム100が構築される。この段階では、各室内ユニットにはリモコンユニット番号が割り当てられていない状態であり、各室内ユニットの室内メモリには、機種コードと馬力の情報のみが格納された状態である。
【0073】
ステップS12では、設定CPU71が、空調システム100のうち通信可能に接続されている室内ユニットに対して自動アドレス処理を行い、リモコンユニット番号を付与する。この自動アドレス処理では、設定CPU71は、空いているリモコンユニット番号を小さい数の順に各室内ユニットに対して自動的に割り当てていく。
【0074】
ステップS13では、各室内CPU21a、22aは、自己に割り振られたリモコンユニット番号を、室内メモリ21b、22bに格納させる。
【0075】
ステップS14では、設定CPU71は、各室内ユニット21、22・・・の室内メモリ21b、22b・・・に格納されているリモコンユニット番号、機種コード、および、馬力の情報を、室内ユニット毎に通信によって取得する。そして、設定CPU71は、図7、図8に示すような室内情報テーブルを作成し、リモコンメモリ72に格納する。
【0076】
ステップS15では、リモコン50の十字キー66や確定ボタン67がユーザによって操作されることにより、設定CPU71は、空調グループの設定処理を受け付ける。
【0077】
ステップS16では、設定CPU71は、ステップS15におけるユーザからの入力にしたがって、図5に示したような所属空調グループテーブルを作成し、リモコンメモリ72に格納する。
【0078】
ステップS17では、設定CPU71は、定期的な通信によって各室内ユニットの室内メモリに格納されているリモコンユニット番号を確認しながら(指示を送信する対象としての室内ユニットの存否を確認しながら)、室内情報テーブルおよび所属空調グループテーブルに基づいて空調グループ毎の制御や管理を行う。
【0079】
<5>空調システム100の更新時のデータ処理について
図10に、空調システム100の更新時のデータ処理のフローチャートを示す。
【0080】
次に、構築され、上記データ処理を済ませた空調システム100について、故障等により取り外される1台の室内ユニット(以下、「取り外し室内ユニット」という場合がある)を、新たに用意される室内ユニット(以下、「更新室内ユニット」という場合がある)に交換する場合のデータ処理について以下に説明する。
【0081】
なお、以下、本実施形態における更新の一例として、図11に示すように、室内ユニット22が「取り外し室内ユニット」として取り外され、新しい室内ユニット122が「更新室内ユニット」として取り付けられる場合について説明する。室内ユニット122は、上述した室内ユニット22と同様に、室内CPU122a、室内通信部122cを備えている。この室内ユニット122は、室内メモリ122bを備えているが、この室内メモリ122bには、未だ、リモコンユニット番号が割り当てられておらず、未設定の状態であり、機種コードおよび馬力の情報のみが格納されている。
【0082】
ステップS21では、まず、故障等が生じた「取り外し室内ユニット」を、空調システム100における通信が不可能となるように、サービスエンジニアによって取り外される。
【0083】
ステップS22では、新たに用意された「更新室内ユニット」を、空調システム100における通信が可能となるように、サービスエンジニアによって取り付けられる。
【0084】
ステップS23では、「更新室内ユニット」が新たに接続され、リモコンユニット番号が未設定の室内メモリを有する室内ユニットが接続されたことをきっかけとして、設定CPU71は、ステップS21において取り外されることによりリモコンユニット番号を確認することができなくなった室内ユニットを「取り外し室内ユニット」として特定する。そして、設定CPU71は、特定された「取り外し室内ユニット」に対して割り当てられていたリモコンユニット番号、機種コード、および、馬力の情報を、室内情報テーブルを参照しながら特定する。具体的には、図7の室内情報テーブルにおいて示すように、室内ユニット22に対応する、室内ユニット(1)についてのリモコンユニット番号、機種コード、および、馬力の情報を特定する。
【0085】
ステップS24では、設定CPU71は、リモコンユニット番号が格納されておらず、未設定である室内メモリを有する室内ユニットを、「更新室内ユニット」として特定する。ここでは、上述のように、設定CPU71が、定期的な通信によって各室内ユニットの室内メモリに格納されているリモコンユニット番号を確認しているため、ステップS24において「更新室内ユニット」が取り付けられた場合には、直ぐに、「更新室内ユニット」を特定することができる。
【0086】
なお、設定CPU71は、新たに「更新室内ユニット」が接続されたことにより、空調システム100において通信可能に接続されている室内ユニットの合計台数を改めて特定し、リモコンメモリ72に格納している接続台数情報を上書きする。ここでは、ステップS21において1台の室内ユニットが取り外されたが、ステップS22において新たに一台の室内ユニットが取り付けられているため、合計台数は14台のまま変わらないことになる。仮に、ステップS22において、2台以上の室内ユニットが増設された場合には、合計台数が14台以上の値に変化することになる。
【0087】
さらに、設定CPU71は、新たに「更新室内ユニット」が接続されたことにより、当該「更新室内ユニット」に設けられている更新室内メモリ122bに格納されている機種コードおよび馬力の情報を読み出して、リモコンメモリ72に格納する。
【0088】
ステップS25では、ステップS24によって新たに「更新室内ユニット」が空調システム100において通信可能に接続されたことになるが、設定CPU71は、空調システム100の構築時のような自動アドレス処理は行わずに、更新継続条件を満たすか否かの判断を行う。具体的には、設定CPU71は、(i)リモコンメモリ72に格納された接続台数情報において、前回の室内ユニット接続台数と現在の室内ユニット接続台数とが一致していること、(ii)リモコンユニット番号が格納されておらず、未設定である室内メモリを有する室内ユニットが1台だけ存在していること、(iii)室内情報テーブルにおいて「取り外し室内ユニット」と対応付けて格納されていた機種コードおよび馬力の情報と、ステップS24において読み出した「更新室内ユニット」の機種コードおよび馬力の情報と、が一致すること、の(i)〜(iii)の3つの条件を判断する。ここで、この更新継続条件を満たすと判断した場合には、ステップS26に移行し、満たさないと判断した場合には、ステップS28に移行し、更新継続条件を満たさなかったことをユーザに知らせるために、設定CPU71は報知部99にブザー音を出力させて、本発明の実施形態で述べている更新処理を終了する。
【0089】
ステップS26では、設定CPU71は、室内情報テーブルにおいて「取り外し室内ユニット」に割り当てられていたリモコンユニット番号を、「更新室内ユニット」のリモコンユニット番号として割り当て、室内ユニット122の室内メモリ122bに格納することで、リモコンユニット番号を引き継がせる。また、設定CPU71は、図13、図14に示すように、室内情報テーブルを更新させる。ここでは、「取り外し室内ユニット」に相当する室内ユニット22(室内情報テーブルにおける室内ユニット(1)が対応)が取り外されたことは、図13の室内情報テーブルの室内ユニット(1)について、リモコンユニット番号、機種コード、および、馬力の情報が全て未設定(「未」)とされることで更新が反映された状態となっている。また、「更新室内ユニット」に相当する室内ユニット122に割り当てられたリモコンユニット番号、機種コードおよび馬力の情報については、室内情報テーブルの室内ユニット(0)〜(15)の欄のうち空いていた室内ユニット(14)の欄に各値が上書きされることにより更新が反映された状態になっている。
【0090】
ステップS27では、設定CPU71は、ステップS17と同様に、定期的な通信によって各室内ユニットの室内メモリおよび更新室内メモリに格納されているリモコンユニット番号を確認しながら室内情報テーブルおよび所属空調グループテーブルに基づいて空調グループ毎の制御や管理を行う。ここで、新たに空調システム100に接続された室内ユニット122については、設定CPU71は、室内情報テーブルに基づいてリモコンユニット番号が「1」であることを把握し、所属空調グループテーブルを参照して、空調グループG1に属しているものとして、空調グループ毎の制御や管理を行うことになる。
【0091】
<6>空調システム100の特徴
上記実施形態の空調グループ毎に制御や管理が行われる空調システム100では、空調システム100の構築時には各室内ユニットに対して自動アドレス処理を行うことでリモコンユニット番号の割り当て作業が行われている。
【0092】
ここで、仮に、一度構築された空調システム100について、その後に1台の室内ユニットを更新する場合においても、自動アドレス処理を行ってしまうと、室内ユニットに対して、上記実施形態における「取り外し室内ユニット」のリモコンユニット番号とは異なるリモコンユニット番号が自動的に割り当てられてしまうおそれがある。そうすると、更新された室内ユニットに対しても、以前の室内ユニットが属していた空調グループと同じ空調グループに属させて以前と同様の空調グループ制御や管理を継続することをユーザが望んでいた場合であっても、更新された室内ユニットに対して意図しないリモコンユニット番号が自動で割り当てられることにより、ユーザの望み通りの空調グループ制御や管理を行うことができないおそれがある。
【0093】
これに対して、上記実施形態の空調システム100では、室内ユニットの一台が故障などによって交換・更新された場合には、設定CPU71は、上記自動アドレス設定を行うことなく、リモコン50のリモコンメモリ72に格納されている以前のリモコンユニット番号を自動的に引き継がせる処理を行う。これにより、ユーザは、更新のためにリモコンユニット番号を予め確認しておく作業や、更新後にリモコンユニット番号を設定する作業等に要する負担を軽減することができ、以前の室内ユニットの空調グループに関する設定を更新された室内ユニットに対して簡単に引き継がせることができている。
【0094】
しかも、以前の室内ユニットのリモコンユニット番号をそのまま自動で引き継がせることになるため、誤設定が生じることを防ぎ、設定忘れを防止することもできる。
【0095】
また、更新継続条件としては、(i)の条件である、リモコンメモリ72に格納された接続台数情報が前回と現在とで一致することを要求することで、取り外された室内ユニットの台数と新たに取り付けられた室内ユニットの台数とが一致しており、システム構成が大きく変化していない場合に限って、空調グループに関する設定情報を引き継がせることができ、以前の空調グループ制御と同様の制御を行ったとしても問題が生じにくいようにすることができる。
【0096】
また、更新継続条件としては、(ii)の条件である、リモコンユニット番号が格納されておらず、未設定である室内メモリを有する室内ユニットが1台だけ存在していることを要求することで、1台の室内ユニットが1台の更新室内ユニットに交換された場合に限って、空調グループに関する設定情報を引き継がせることができ、複数台の室内ユニットが一度に交換される場合を排除することができる。
【0097】
さらに、更新継続条件としては、(iii)の条件である、機種コードおよび馬力の情報の一致を要求することで、システムの機種構成や馬力構成が同じ場合に限って、空調グループに関する設定情報を引き継がせることができ、システムの機種構成や馬力構成が変更された場合を排除することができる。
【0098】
<7>他の実施形態
(7−1)
上記実施形態では、(i)〜(iii)の3つの条件を重畳的に満たすことを更新継続条件とする場合を例に挙げて説明した。
【0099】
しかし、本発明はこれに限られるものではなく、更新継続条件としては、(i)〜(iii)の3つの条件のうちの、(i)の条件を要求しないものであってもよいし、(ii)の条件を要求しないものであってもよいし、(iii)の条件を要求しないものであってもよい。
【0100】
(7−2)
上記実施形態では、各通信が、伝送線を介して行われている場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限られず、例えば、無線によって通信が可能なシステム構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明の空調システムは、例えば、複数の空調グループ毎に管理を行うものとして用いた場合に特に有用である。
【符号の説明】
【0102】
21〜33 室内ユニット
21b、22b・・・ 室内メモリ
50 空調コントローラ
66 十字キー(受付部)
67 確定ボタン(受付部)
70 設定基板
71 設定CPU(処理部)
72 リモコンメモリ
95 通信線
99 報知部
100 空調システム
122 更新室内ユニット
122b 室内メモリ
G1〜G7 空調グループ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0103】
【特許文献1】特開平05−257296号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内メモリ(21b、22b・・・)を有している複数の室内ユニット(21、22・・・)と、
通信可能に接続された前記室内ユニット(21、22・・・)それぞれに対して、互いを区別する特定情報を自動的に割り当てる自動特定処理を行う処理部(71)、
前記室内ユニット(21、22・・・)それぞれが属している空調グループを示す空調グループ情報を前記特定情報と対応させて格納しているリモコンメモリ(72)、および、
前記特定情報および前記空調グループ情報の設定若しくは変更を受付可能な受付部(66、67)
を有するリモコン(50)と、
を備え、
前記室内メモリ(21b、22b・・・)は、自己に割り当てられている最新の前記特定情報を格納しており、
前記処理部(71)は、前記室内メモリ(21b、22b・・・)に格納されている前記特定情報と、前記リモコンメモリ(72)に格納されている前記空調グループ情報に基づいて前記室内ユニット(21、22・・・)を前記空調グループ毎に管理し、
前記処理部(71)は、
前記複数の室内ユニット(21、22・・・)のうちの1台が、前記特定情報が未だ格納されていない更新室内メモリ(122b)を有する更新室内ユニット(122)に更新されたことを確認した場合に、
前記リモコンメモリ(72)に格納されている前記特定情報のうち、前記特定情報を確認できなくなった前記室内ユニット(22)に対して割り当てられていた前記特定情報である更新特定情報と、前記リモコンメモリ(72)において前記更新特定情報と対応付けて格納されている前記空調グループ情報である更新空調グループ情報と、の両方を前記更新室内ユニット(122)に割り当てる、
空調システム(100)。
【請求項2】
前記処理部(71)は、通信可能に接続されている前記室内ユニット(21、22、31・・・)から取得する最新情報とそれ以前の古い情報とを比較することにより、前記複数の室内ユニット(21、22、31・・・)のうちの1台が更新室内ユニット(122)に更新されたことを確認する、
請求項1に記載の空調システム。
【請求項3】
前記室内メモリ(21b、22b・・・)および前記更新室内メモリ(122b)は、自己の機種情報および/または自己の馬力情報を格納しており、
前記処理部(71)は、
前記最新情報が示す通信可能に接続された前記室内ユニット(21、122・・・)の数と、前記古い情報が示す前記室内ユニットの数(21、22・・・)と、が一致し、
前記特定情報が未だ格納されていない更新室内メモリ(122m)を有する更新室内ユニット(122)が1台のみであり、
前記特定情報を確認できなくなった前記室内ユニット(22)の前記室内メモリ(21b)と前記更新室内メモリ(122b)との間で、格納されている前記自己の機種情報および/または前記自己の馬力情報が一致する場合に、
前記複数の室内ユニット(21、22・・・)のうちの1台が前記更新室内ユニット(122)に更新されたと確認する、
請求項2に記載の空調システム。
【請求項4】
前記リモコンメモリ(72)は、前記室内メモリ(21b、22b・・・)から取得した前記機種情報および/または前記馬力情報を、当該室内メモリ(21b、22b・・・)に割り当てられている最新の前記特定情報と対応させて格納しており、
前記リモコン(50)は、報知部(99)をさらに有しており、
前記処理部(71)は、前記更新特定情報と対応して格納されている前記機種情報および/または前記馬力情報が、前記更新室内メモリ(122b)に格納されている前記機種情報および/または前記馬力情報と一致しない場合には、前記報知部(99)に報知させる、
請求項3に記載の空調システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−202662(P2012−202662A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69940(P2011−69940)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】