空調ダクト及び輸送機
【課題】水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーを用いずに、カーテンエアバッグの展開等による衝撃が加わった場合であっても、飛散割れが生じず、且つ、軽量化及び低コスト化を図ることが可能な空調ダクトを提供する。
【解決手段】本実施形態の空調ダクト(200)は、輸送機に搭載されたカーテンエアバッグ(600)に隣接して配置される空調ダクトであり、空調ダクト(200)本体を構成する壁部において、カーテンエアバック(600)側に位置する第1の壁部(203)は、未発泡樹脂で構成し、輸送機の室外側に位置する第2の壁部(202)は、発泡樹脂で構成する。
【解決手段】本実施形態の空調ダクト(200)は、輸送機に搭載されたカーテンエアバッグ(600)に隣接して配置される空調ダクトであり、空調ダクト(200)本体を構成する壁部において、カーテンエアバック(600)側に位置する第1の壁部(203)は、未発泡樹脂で構成し、輸送機の室外側に位置する第2の壁部(202)は、発泡樹脂で構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、列車、船舶、航空機等の輸送機内部に設置される空調ダクトに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、RV車等のような広い車室の自動車には、車室内の空調性能を高めるために、図12、図13に示すように、自動車の天井両側(ルーフサイド)に空調ダクト200'(200'a,200'b)が設けられている。図12は、自動車に搭載された空調ダクト200'の配置状態例を示し、図13は、図12に示す空調ダクト200'周辺の断面構成例(図12のX-X'断面構成例)を示す。
【0003】
図12に示す空調ダクト200'は、図13に示すように、空調ダクト200'の内部に通気路205'が形成されており、図12に示す自動車後部のタイヤハウス付近等に設置されたエアコンユニット300'の冷温風を空調ダクト200'内の通気路205'に導き、その通気路205'を経由して、空調ダクト200'に形成された空気排出口104'から車室内の後部に冷暖風を排出している。
【0004】
なお、図12に示す空調ダクト200'(200'a,200'b)は、エアコン接続ダクト101'の上部、後面ドア上方の車室内の天井に配設された連結ダクト102'を介して連結されている。
【0005】
図12に示す空調ダクト200'のダクト本体は、図13に示すように、自動車の室内側(内装天井フレーム400'側)に位置する内側壁部201'と、自動車の室外側(車体天井フレーム500'側)に位置する外側壁部202'と、内側壁部201'と外側壁部202'とを連結する第1の側壁部203'及び第2の側壁部204'と、を有して構成し、空調ダクト200'の内部に通気路205'を形成している。なお、空調ダクト200'は、例えば、内側壁部201'を介して車体の内装天井フレーム400'にネジ等(図示せず)で適宜固定される。内装天井フレーム400'は、車体内板を構成するものであり、車体天井フレーム500'は、車体外板を構成するものである。
【0006】
図13に示す空調ダクト200'は、車体天井フレーム500'と内装天井フレーム400'との間に構成される装備品収納空間A'内に配置されており、空調ダクト200'を内装天井フレーム400'で車室内から隠蔽し、車室内の装飾性を向上させている。
【0007】
なお、近年では、燃費の向上及び原料の低減を目的として、輸送機及びその輸送機に搭載される各種部品の軽量化が図られている。
【0008】
このため、輸送機内部に設置される空調ダクト200'についても所望の物性を維持しつつ、且つ、軽量化を図ることが要望視されている。
【0009】
なお、空調ダクト200'の軽量化を図るには、高い発泡倍率の発泡樹脂を用いることが好ましい。しかし、発泡倍率を高くすると、基材の引張り特性等が急激に低下することになる。特に、高い発泡倍率を得るために、溶融張力の高い長鎖分岐構造を有するポリプロピレン系単独重合体等を用いた場合には、低温時の耐衝撃が劣り、割れ等の問題が生じることになる。
【0010】
このため、例えば、図13に示すように、搭乗者を保護するためのカーテンエアバッグ600'が空調ダクト200'の近傍に取り付けられている場合には、加圧ガスの勢いによりカーテン状に展開されたカーテンエアバッグ600'の衝撃が空調ダクト200'に伝わり、空調ダクト200'の飛散割れが生じる虞がある。
【0011】
このようなことから、本発明より先に出願された技術文献として、低温時にカーテンエアバッグの展開等による衝撃が加わった場合であっても、飛散割れが生じることのない薄肉かつ高発泡の空調ダクトについて開示された文献がある(例えば、特許文献1参照)。
【0012】
上記特許文献1(特開2009-243860号公報)の空調ダクトは、ポリプロピレン系樹脂と、少なくとも5〜40wt%の水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーと、を混合させたブレンド樹脂で構成し、発泡倍率2.0倍以上で、独立気泡構造からなる発泡状態を有し、−10℃における引張破壊伸びが40%以上で、かつ、常温時における引張弾性率が1000kg/cm2以上としている。
【0013】
これにより、低温時にカーテンエアバッグの展開等による衝撃が加わった場合であっても、飛散割れが生じないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2009−243860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかし、上記特許文献1の空調ダクトは、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーを用いているため、材料コストが増加することになる。
【0016】
また、上記特許文献1の空調ダクトは、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーの添加量が過剰になると、常温での引張弾性率が極端に低下し、空調ダクトとしての剛性を維持できなくなり、さらには、発泡倍率の低下及び部分的な薄肉により成形時にピンホールが発生して成形不良が発生することになる。
【0017】
このため、上記特許文献1の空調ダクトを成形するには、その空調ダクトを構成する各種材料(ポリプロピレン系樹脂や水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー)の混合比を適宜調整し、カーテンエアバッグの展開等による衝撃が加わった場合であっても、飛散割れが生じないようにするための最適な混合比にする必要がある。
【0018】
従って、上記特許文献1の空調ダクトを成形するには、その空調ダクトを構成する各種材料の混合比の調整が従来よりも複雑になってしまうことになる。
【0019】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーを用いずに、カーテンエアバッグの展開等による衝撃が加わった場合であっても、飛散割れが生じず、且つ、軽量化及び低コスト化を図ることが可能な空調ダクト及びそのフロアダクトを搭載した輸送機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
かかる目的を達成するために、本発明は、以下の特徴を有することとする。
【0021】
<空調ダクト>
本発明にかかる空調ダクトは、
輸送機に搭載されたカーテンエアバッグに隣接して配置される空調ダクトであって、
前記空調ダクト本体を構成する壁部において、
前記カーテンエアバック側に位置する第1の壁部は、未発泡樹脂で構成し、
前記輸送機の室外側に位置する第2の壁部は、発泡樹脂で構成することを特徴とする。
【0022】
<輸送機>
本発明にかかる輸送機は、
上記記載の空調ダクトを搭載したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーを用いずに、カーテンエアバッグの展開等による衝撃が加わった場合であっても、飛散割れが生じず、且つ、軽量化及び低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態の空調ダクト200を搭載した自動車の構成例を示す図である。
【図2】図1に示す空調ダクト200の拡大構成例を示す図である。
【図3】空調ダクト200周辺の断面構成例を示す図である。
【図4】本実施形態の空調ダクト200を成形する成形装置100の構成例を示す図である。
【図5】図4に示す成形装置100において、一対の分割金型13,13内に熱可塑性樹脂シート18,19を配置し、分割金型13,13のキャビティ14,14間を型枠17,17により閉じた工程を示す図である。
【図6】図5に示す態様からそれぞれの熱可塑性樹脂シート18,19を、分割金型13,13のキャビティ14,14に真空吸引させた工程を示す図である。
【図7】図6に示す態様から分割金型13,13を閉じ、空調ダクト200を成形する工程を示す図である。
【図8】図7に示す態様から分割金型13,13を開き、空調ダクト200の成形品を取り出す工程を示す図である。
【図9】第2の実施形態の空調ダクト200の断面構成例を示す図である。
【図10】第3の実施形態の空調ダクト200の断面構成例を示す図である。
【図11】第4の実施形態の空調ダクト200の断面構成例を示す図である。
【図12】本発明と関連する空調ダクト200'を搭載した自動車の構成例を示す図である。
【図13】図12に示す空調ダクト200'周辺の断面構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<本実施形態の空調ダクト200の概要>
まず、図3を参照しながら、本実施形態の空調ダクト200の概要について説明する。図3は、空調ダクト200周辺の断面構成例を示す図である。
【0026】
本実施形態の空調ダクト200は、輸送機に搭載されたカーテンエアバッグ600に隣接して配置される空調ダクトである。
【0027】
本実施形態の空調ダクト200本体を構成する壁部において、カーテンエアバック600側に位置する第1の壁部203は、未発泡樹脂で構成し、輸送機の室外側に位置する第2の壁部202は、発泡樹脂で構成することにしている。
【0028】
これにより、加圧ガスの勢いによりカーテン状に展開されたカーテンエアバッグ600の衝撃が第1の壁部203に伝わった場合でも、第1の壁部203は、未発泡樹脂で構成しているため、その衝撃に耐えることができる。また、第2の壁部202は、発泡樹脂で構成しているため、軽量化及び低コスト化を実現することができる。
【0029】
従って、本実施形態の空調ダクト200は、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーを用いずに、カーテンエアバッグ600の展開等による衝撃が加わった場合であっても、飛散割れが生じず、且つ、軽量化及び低コスト化を図ることができる。以下、添付図面を参照しながら、本実施形態の空調ダクト200について詳細に説明する。
【0030】
(第1の実施形態)
<空調ダクト200の構成例>
まず、図1〜図3を参照しながら、本実施形態の空調ダクト200の構成例について説明する。図1は、自動車に搭載された空調ダクト200の外観構成例を示す図であり、図2は、図1に示す空調ダクト200の拡大構成例を示す図である。図3は、図1、図2に示す空調ダクト200の断面構成例(図1、図2のX-X'の断面構成例)を示す図である。
【0031】
本実施形態の空調ダクト200(200a,200b)は、図2に示すように、空気供給口103から供給される冷暖風を空気排出口104から所望の部位へ通風させるためのダクトである。
【0032】
本実施形態の空調ダクト200(200a,200b)は、図1に示すように、エアコン接続ダクト101の上部、後面ドア上方の車室内の天井に配設された連結ダクト102を介して連結されている。エアコンユニット300の冷暖風は、エアコン接続ダクト101の下部に形成された空気供給口103からエアコン接続ダクト101内に導き、連結ダクト102を介して空調ダクト200に供給している。そして、空調ダクト200に形成された空気排出口104から車室内の後部に冷暖風を排出している。
【0033】
本実施形態の空調ダクト200のダクト本体は、図3に示すように、自動車の室内側(内装天井フレーム400側)に位置する内側壁部201と、自動車の室外側(車体天井フレーム500側)に位置する外側壁部202と、内側壁部201と外側壁部202とを連結する第1の側壁部203及び第2の側壁部204と、を有して構成し、空調ダクト200の内部に通気路205を形成している。
【0034】
また、本実施形態の空調ダクト200は、内側壁部201と第1の側壁部203とを同一の材料(樹脂シート)で構成し、外側壁部202と第2の側壁部204とを同一の材料(樹脂シート)で構成している。このため、第1の側壁部203と外側壁部202との間にパーティングラインL2が形成されており、第2の側壁部204と内側壁部201との間にパーティングラインL1が形成されている。
【0035】
本実施形態の空調ダクト200は、例えば、内側壁部201を介して内装天井フレーム400にネジ等(図示せず)で適宜固定され、カーテンエアバッグ600に隣接して配置される。なお、空調ダクト200は、カーテンエアバッグ600と第1の側壁部203との間が50〜100mm程度となるように配置される。図3では、内側壁部201を介して内装天井フレーム400にネジ等(図示せず)で空調ダクト200を固定することにした。しかし、外側壁部202を介して車体天井フレーム500にネジ等で空調ダクト200を固定するように構築することも可能である。
【0036】
本実施形態の空調ダクト200を構成する第1の側壁部203は、カーテンエアバック600側に位置し、第2の側壁部204は、カーテンエアバック600側とは反対側に位置する。カーテンエアバック600は、自動車の衝突時又は横転時等に、車室内の乗員を保護するために、車室内の側部にエアバッグ本体をカーテン状に展開膨張させるものである。図3に示すカーテンエアバック600は、車体天井フレーム500側にネジ等(図示せず)で適宜固定されている。内装天井フレーム400は、車体内板を構成するものであり、車体天井フレーム500は、車体外板を構成するものである。
【0037】
また、本実施形態の空調ダクト200は、車体天井フレーム500と内装天井フレーム400との間に構成される装備品収納空間A内に配置されており、空調ダクト200を内装天井フレーム400で車室内から隠蔽し、車室内の装飾性を向上させている。
【0038】
なお、図3に示す空調ダクト200と車体天井フレーム500との間には隙間が設けられており、断熱効果を奏するように設計している。なお、図3では、空調ダクト200と車体天井フレーム500との間に隙間を設けたが、隙間を設けないように構成することも可能である。隙間を設けないように構成することで、手押し剛性を高めたり、空調ダクト200の断面積(通気路205の断面積)を大きく確保したりすることができる。なお、手押し剛性とは、乗車者が、内装天井フレーム400を上方に向かって押したときの変形に対する剛性を意味する。手押し剛性が高いと、空調ダクト200が支えになり、内装天井フレーム400の変形を防止することができる。なお、図3では、空調ダクト200と車体天井フレーム500との間に隙間を設けたが、空調ダクト200と車体天井フレーム500とが部分的にくっつくように構成し、空調ダクト200と車体天井フレーム500との間に隙間がある部分と隙間がない部分とが存在するように構成することも可能である。
【0039】
<空調ダクト200を構成する各壁部の構成>
次に、図3を参照しながら、空調ダクト200を構成する各壁部の構成について説明する。
【0040】
内側壁部201は、空調ダクト200のダクト本体の下面側を構成するものであり、自動車の室内側(内装天井フレーム400側)に位置することになる。内側壁部201は、公知の未発泡樹脂を用いて構成する。内側壁部201の肉厚は、3.5mm以下であることが好ましい。内側壁部201の肉厚は、任意に調整することが可能である。
【0041】
外側壁部202は、空調ダクト200のダクト本体の上面側を構成するものであり、自動車の室外側(車体天井フレーム500側)に位置することになる。外側壁部202は、発泡倍率が2.0倍以上の公知の発泡樹脂で構成する。外側壁部202の肉厚は、3.5mm以下であることが好ましい。外側壁部202を発泡樹脂で構成することで、外側壁部202の軽量化及び低コスト化を実現することができる。また、外側壁部202の断熱性を向上することができる。なお、外側壁部202の肉厚は、任意に調整することが可能である。
【0042】
本実施形態で用いる発泡倍率の定義を以下に記載する。
発泡倍率:後述する本実施形態の成形方法で用いた熱可塑性樹脂の密度を、本実施形態の成形方法により得られた空調ダクト200を構成する壁部の壁面の見かけ密度で割った値を発泡倍率とした。
【0043】
第1の側壁部203は、空調ダクト200のダクト本体の側面を構成するものであり、カーテンエアバック600側に位置することになる。第1の側壁部203は、公知の未発泡樹脂を用いて構成する。第1の側壁部203の肉厚は、3.5mm以下であることが好ましい。第1の側壁部203を未発泡樹脂で構成することで、カーテンエアバッグ600の展開等による衝撃が加わった場合であっても、飛散割れが生じないようにすることができる。第1の側壁部203の肉厚は、カーテンエアバッグ600の展開等による衝撃に耐えることが可能な強度を確保することが可能な範囲で、任意に調整することが可能である。
【0044】
第2の側壁部204は、空調ダクト200のダクト本体の側面を構成するものであり、カーテンエアバック600側とは反対側に位置することになる。第2の側壁部204は、発泡倍率が2.0倍以上の発泡樹脂で構成する。第2の側壁部204の肉厚は、3.5mm以下であることが好ましい。第2の側壁部204を発泡樹脂で構成することで、第2の側壁部204の軽量化及び低コスト化を実現することができる。また、第2の側壁部204の断熱性を向上することができる。なお、第2の側壁部204の肉厚は、任意に調整することが可能である。
【0045】
本実施形態の空調ダクト200は、カーテンエアバック600側に位置する第1の側壁部203は、未発泡樹脂で構成し、自動車の室外側に位置する外側壁部202は、発泡樹脂で構成している。これにより、加圧ガスの勢いによりカーテン状に展開されたカーテンエアバッグ600の衝撃が第1の側壁部203に伝わった場合でも、第1の側壁部203は、未発泡樹脂で構成しているため、その衝撃に耐えることができる。また、外側壁部202は、発泡樹脂で構成しているため、軽量化及び低コスト化を実現することができる。
【0046】
このため、本実施形態の空調ダクト200は、カーテンエアバッグ600の展開等による衝撃に耐えることが可能な強度を確保しつつ、空調ダクト200の軽量化及び低コスト化を図ることができる。従って、本実施形態の空調ダクト200を自動車に搭載することで、自動車の軽量化及び低コスト化を図ることができる共に、自動車の燃費も向上させることができる。
【0047】
また、本実施形態の空調ダクト200は、外側壁部202を発泡樹脂で構成し、内側壁部201を未発泡樹脂で構成しているため、外側壁部202に断熱効果を持たせ、内側壁部201に放熱効果を持たせることができる。これにより、外側壁部202から熱が外部(車体天井フレーム500側)に放出するのを抑制し、内側壁部201から熱が外部(内装天井フレーム400側)に放出し易くすることができる。その結果、空調ダクト200の通気路205内の熱を車内側(内装天井フレーム400側)に放熱し易くすることができる。
【0048】
このため、本実施形態の空調ダクト200は、空調ダクト200の通気路205内の熱を効率的に使用し、自動車の室内を長時間暖かくしたり、冷たくしたりすることができる。従って、本実施形態の空調ダクト200を自動車に搭載することで、エアコンユニット300の冷暖風を効率的に使用し、車内全体に冷暖風を供給することができるため、省エネ効果に寄与することができる。
【0049】
また、本実施形態の空調ダクト200は、外側壁部202を発泡樹脂で構成しているため、外側壁部202に吸音効果を持たせることができる。
【0050】
<空調ダクト200の成形方法例>
次に、図4〜図8を参照しながら、本実施形態の空調ダクト200の成形方法例について説明する。図4は、本実施形態の空調ダクト200を成形する成形装置100の構成例を示し、図5〜図8は、本実施形態の空調ダクト200を成形する工程例を示す図である。
【0051】
まず、図4を参照しながら、本実施形態の空調ダクト200を成形する成形装置100の構成例について説明する。
【0052】
本実施形態の空調ダクト200を成形するための成形装置100は、押出装置101と、型締装置102と、を有して構成し、押出装置101から溶融状態の熱可塑性樹脂シートを型締装置102に押し出し、型締装置102で熱可塑性樹脂シートを型締めし、図1〜図3に示す空調ダクト200を成形する。
【0053】
押出装置101は、第1のアキュムレータ1と、第2のアキュムレータ2と、第1のプランジャー3と、第2のプランジャー4と、第1のTダイ5と、第2のTダイ6と、第1の押出機7と、第2の押出機8と、第1の熱可塑性樹脂供給ホッパ9と、第2の熱可塑性樹脂供給ホッパ10と、第1の一対のローラ11と、第2の一対のローラ12と、を有して構成する。
【0054】
型締装置102は、分割金型13,13と、型枠17,17と、を有して構成する。型枠17,17は、分割金型13,13の外周に位置している。分割金型13,13は、キャビティ14,14と、ピンチオフ形成部15,15と、を有して構成する。
【0055】
次に、図4〜図8を参照しながら、本実施形態の空調ダクト200の成形工程について説明する。
【0056】
まず、図4に示すように、外側壁部202及び第2の側壁部204を形成するための第1の熱可塑性樹脂シート18(溶融状態で、且つ、気泡セルを有する熱可塑性樹脂シート)を第1のTダイ5から押し出し、第1の熱可塑性樹脂シート18を一対の分割金型13,13の間に垂下させる。
【0057】
また、図4に示すように、内側壁部201及び第1の側壁部203を形成するための第2の熱可塑性樹脂シート19(溶融状態で、かつ、気泡セルを有しない熱可塑性樹脂シート)を第2のTダイ6から押し出し、第2の熱可塑性樹脂シート19を一対の分割金型13,13の間に垂下させる。
【0058】
次に、型枠17,17及び一対の分割金型13,13を水平方向に前進させ、図5に示すように、一対の分割金型13,13の外周に位置する型枠17,17を、第1の熱可塑性樹脂シート18及び第2の熱可塑性樹脂シート19に密着させる。これにより、型枠17,17により第1の熱可塑性樹脂シート18及び第2の熱可塑性樹脂シート19を保持することができる。
【0059】
次に、第1の熱可塑性樹脂シート18及び第2の熱可塑性樹脂シート19を型枠17,17により保持した状態で、一対の分割金型13,13を水平方向に前進させ、図6に示すように、第1の熱可塑性樹脂シート18と、第2の熱可塑性樹脂シート19と、をそれぞれ一対の分割金型13,13のキャビティ14,14に真空吸引し、第1の熱可塑性樹脂シート18と、第2の熱可塑性樹脂シート19と、をキャビティ14に沿った形状にする。
【0060】
次に、型枠17,17及び一対の分割金型13,13を水平方向に前進させ、図7に示すように、型枠17,17及び一対の分割金型13,13を閉じ、型締めする。これにより、一対の分割金型13,13のピンチオフ形成部15,15が当接し、第1の熱可塑性樹脂シート18と、第2の熱可塑性樹脂シート19と、が接合して熱融着し、第1の熱可塑性樹脂シート18と、第2の熱可塑性樹脂シート19と、の接合面にパーティングラインL1,L2が形成され、通気路205を有する空調ダクト200を成形することになる。
【0061】
次に、空調ダクト200を一対の分割金型13,13内で冷却する。
【0062】
次に、型枠17,17及び一対の分割金型13,13を水平方向に後退させ、図8に示すように、型枠17,17及び一対の分割金型13,13を空調ダクト200から離型させる。
【0063】
次に、ピンチオフ形成部15,15によって形成されたパーティングラインL1,L2の外周でバリ208を切除し、図1〜図3に示す空調ダクト200を得ることになる。
【0064】
なお、一対の分割金型13,13の間に垂下された第1の熱可塑性樹脂シート18及び第2の熱可塑性樹脂シート19は、ドローダウン、ネックインなどにより肉厚のバラツキが発生するのを防止するため、樹脂シートの厚み、押出速度、押出方向の肉厚分布などを個別に調整することが必要になる。
【0065】
第1の熱可塑性樹脂シート18は、発泡剤を添加した熱可塑性樹脂を第1の押出機7により溶融混練した後、第1のアキュムレータ1のアキュム室に一時的に貯留され、一定間隔毎に第1のプランジャー3によって第1のTダイ5に供給されることになる。
【0066】
また、第2の熱可塑性樹脂シート19は、発泡剤を添加していない熱可塑性樹脂を第2の押出機8により溶融混練した後、第2のアキュムレータ2のアキュム室に一時的に貯留され、一定間隔毎に第2のプランジャー4によって第2のTダイ6に供給されることになる。
【0067】
第1のTダイ5により押し出された第1の熱可塑性樹脂シート18は、第1の一対のローラ11,11によって挟圧されて一対の分割金型13,13間に配置される。また、第2のTダイ6により押し出された第2の熱可塑性樹脂シート19は、第2の一対のローラ12,12によって挟圧されて一対の分割金型13,13間に配置される。この時、第1の熱可塑性樹脂シート18及び第2の熱可塑性樹脂シート19の厚み、肉厚分布などを個別に調整することになる。
【0068】
具体的には、まず、第1のアキュムレータ1及び第2のアキュムレータ2、第1のTダイ5及び第2のTダイ6により押出速度がそれぞれ別個に設定される。
【0069】
第1のアキュムレータ1及び第2のアキュムレータ2にそれぞれ接続される第1の押出機7及び第2の押出機8の押出能力は、空調ダクト200の大きさにより適宜選択することが可能である。しかし、第1の押出機7及び第2の押出機8の押出能力は、50kg/時以上であることが、空調ダクト200の成形サイクルを短縮させる観点から好ましい。
【0070】
また、ドローダウンの発生を防止する観点から、第1のTダイ5からの第1の熱可塑性樹脂シート18の押し出しは、40秒以内、さらに好ましくは、30秒以内に完了する必要がある。同様に、第2のTダイ6からの第2の熱可塑性樹脂シート19の押し出しも、40秒以内、さらに好ましくは、30秒以内に完了する必要がある。
【0071】
このため、第1のアキュムレータ1のアキュム室及び第2のアキュムレータ2のアキュム室に貯留された熱可塑性樹脂は、第1のTダイ5及び第2のTダイ6のスリットの開口から1cm2当り50kg/時以上、好ましくは、60kg/時以上で押し出されることになる。この際、第1のTダイ5及び第2のTダイ6の各スリット隙間を熱可塑性樹脂シート18,19の押し出しに併せて変動させることによりドローダウンの影響を最小限に抑えることができる。
【0072】
つまり、ドローダウン現象により熱可塑性樹脂シート18,19の上方へ行くに従い自重により引き伸ばされて薄くなる肉厚に対して、第1のTダイ5及び第2のTダイ6の各スリット隙間を、樹脂シートの押出開始から徐々に広げて、熱可塑性樹脂シート18,19の上方ほどスリット隙間を広くすることで、熱可塑性樹脂シート18,19の上方から下方にわたって均一な厚みに調整することができる。
【0073】
さらに、第1のTダイ5及び第2のTダイ6から押し出された熱可塑性樹脂シート18,19の押出速度に対して、第1の一対のローラ11,11及び第2の一対のローラ12,12の回転速度を変動させることで、第1のTダイ5及び第2のTダイ6からの熱可塑性樹脂シート18,19の押出速度と、第1の一対のローラ11,11及び第2の一対のローラ12,12による熱可塑性樹脂シート18,19の送り速度と、の差により、第1のTダイ5及び第2のTダイ6から第1の一対のローラ11,11及び第2の一対のローラ12,12まで熱可塑性樹脂シート18,19を延伸させて樹脂シートの厚みを薄く調整することができる。
【0074】
第1のTダイ5及び第2のTダイ6にそれぞれ供給された熱可塑性樹脂は、図示しない各Tダイ本体のマニホールドから樹脂流路を通ってスリットから樹脂シートとして押し出される。各Tダイ本体は、一方のダイ及び他方のダイを重ね合わせて構成し、各Tダイ本体の先端部分において一方のダイリップ及び他方のダイリップがスリット隙間をもって対向しており、スリット隙間の間隔は、スリット隙間調整装置23により設定される。
【0075】
第1のTダイ5及び第2のTダイ6から押し出される樹脂シートの厚みは、スリット隙間により決定されるが、そのスリット隙間は、公知のスリット隙間調整装置23によって樹脂シートの幅方向における均一性が調整されることになる。更に、図示しないスリット隙間駆動装置により、間欠的に押し出される樹脂シートの押出開始から樹脂シートの押出終了までの間で他方のダイリップを変動させて、樹脂シートの押出方向の厚みが調整されることになる。
【0076】
スリット隙間調整装置23としては、熱膨張式または機械式があり、その両方の機能を併せ持つ装置を用いることが好ましい。
【0077】
スリット隙間調整装置23は、スリットの幅方向に沿って等間隔に複数配置され、各スリット隙間調整装置23によってスリット隙間をそれぞれ狭くしたり、広くしたりすることで幅方向における樹脂シートの厚みを均一なものにすることができる。
【0078】
スリット隙間調整装置23は、一方のダイリップに向けて進退自在に設けたダイボルトを有し、その先端に圧力伝達部を介して調整軸が配置されている。調整軸には締結ボルトにより係合片が結合されており、係合片は一方のダイリップに連結されている。ダイボルトを前進させると圧力伝達部を介して調整軸が先端方向に押し出されて一方のダイリップが押圧される。これにより、ダイリップは凹溝の部位で変形されてスリット隙間が狭くなる。スリット隙間を広くするにはこれと逆にダイボルトを後退させる。
【0079】
さらに、上記機械式の調整手段に合わせて熱膨張式の調整手段を用いることで精度良くスリット隙間を調整することができる。具体的には、図示しない電熱ヒーターにより調整軸を加熱して熱膨張させることで一方のダイリップが押圧され、スリット隙間が狭くなる。
【0080】
また、スリット隙間を広くするには電熱ヒーターを停止させ、図示しない冷却手段により調整軸を冷却して収縮させる。
【0081】
第1のTダイ5及び第2のTダイ6から押し出された樹脂シートは、一対の分割金型13,13間に垂下された状態で、つまり、型締めされる時点において押出方向の厚みが均一となるように調整することが好ましい。この場合、スリット隙間を、樹脂シートの押出開始から徐々に広げ、樹脂シートの押出終了時に最大となるように変動させる。
【0082】
これにより、第1のTダイ5及び第2のTダイ6から押し出される樹脂シートの厚みは、樹脂シートの押出開始から徐々に厚くなるが、溶融状態で押し出された樹脂シートは、自重により引き伸ばされて樹脂シートの下方から上方へ徐々に薄くなるため、スリット隙間を広げて厚く押し出した分とドローダウン現象により引き伸ばされて薄くなった分とが相殺されて、樹脂シート上方から下方にわたって均一な厚みに調整することができる。
【0083】
なお、本実施形態の空調ダクト200を成形する際に適用可能な発泡剤としては、物理発泡剤、化学発泡剤及びその混合物が挙げられる。物理発泡剤としては、空気、炭酸ガス、窒素ガス、水等の無機系物理発泡剤、及び、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ジクロロメタン、ジクロロエタン等の有機系物理発泡剤、更には、それらの超臨界流体を適用することができる。超臨界流体としては、二酸化炭素、窒素などを用いて作ることが好ましく、窒素であれば臨界温度−149.1℃、臨界圧力3.4MPa以上、二酸化炭素であれば臨界温度31℃、臨界圧力7.4MPa以上とすることで作ることができる。
【0084】
本実施形態の空調ダクト200を成形する際に適用可能なポリプロピレン系樹脂としては、230℃におけるメルトテンションが30〜350mNの範囲内のポリプロピレンが好ましい。特に、ポリプロピレン系樹脂は、長鎖分岐構造を有するプロピレン単独重合体であることが好ましく、エチレン−プロピレンブロック共重合体を添加することが更に好ましい。
【0085】
一対の分割金型13,13内に垂下させる第1の熱可塑性樹脂シート18は、ドローダウン、ネックインなどにより肉厚のバラツキが発生するのを防止し、高い発泡倍率とすることにより良好な軽量性、断熱性を有する外側壁部202及び第2の側壁部204を得る観点から溶融張力の高い材料を用いることが必要である。
【0086】
具体的には、230℃におけるMFR(JIS K-7210に準じて試験温度230℃、試験荷重2.16kgにて測定)が5.0g/10分以下、更に好ましくは、1.5〜3.0g/10分とする。なお、一般に、Tダイのスリットから薄く押し出す観点から、フィルム等の成形では230℃におけるMFR(JIS K-7210に準じて試験温度230℃、試験荷重2.16kgにて測定)が3.0g/10分より大きく、具体的には5.0〜10.0g/10分のものが用いられている。
【0087】
また、一対の分割金型13,13内に垂下させる第2の熱可塑性樹脂シート19は、ドローダウン、ネックインなどにより肉厚のバラツキが発生するのを防止し、カーテンエアバッグの展開等による衝撃に耐えることが可能な強度を有する第1の側壁部203を得る観点から耐衝撃強度の高い樹脂材料を用いることが必要である。
【0088】
具体的には、エチレン、プロピレン、ブテン、イソプレンペンテン、メチルペンテン等のオレフィン類の単独重合体あるいは共重合体であるポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン)であって、230℃におけるMFR(JIS K-7210に準じて試験温度230℃、試験荷重2.16kgにて測定)が3.0g/10分以下、更に好ましくは、0.3〜1.5g/10分のもので、且つ、230℃におけるメルトテンション(株式会社東洋精機製作所製メルトテンションテスターを用い、余熱温度230℃、押出速度5.7mm/分で、直径2.095mm、長さ8mmのオリフィスからストランドを押し出し、このストランドを直径50mmのローラに巻き取り速度100rpmで巻き取ったときの張力を示す)が50mN以上、好ましくは、120mN以上のものとする。
【0089】
なお、外側壁部202及び第2の側壁部204を形成するための第1の熱可塑性樹脂シート18(溶融状態で、且つ、気泡セルを有する熱可塑性樹脂シート)は、内側壁部201及び第1の側壁部203を形成するための第2の熱可塑性樹脂シート19(溶融状態で、かつ、気泡セルを有しない熱可塑性樹脂シート)と同一の基材樹脂に発泡剤を添加させて発泡させたものを用いることが好ましい。これにより、空調ダクト200の成形時に発生するバリ208や、不良品などを再利用する際に、発泡樹脂と未発泡樹脂とを分別することなく、一緒に回収して再利用することができる。
【0090】
<本実施形態の空調ダクト200の作用・効果>
このように、本実施形態の空調ダクト200のダクト本体は、カーテンエアバック600側に位置する第1の壁部203は、未発泡樹脂で構成し、輸送機の室外側に位置する第2の壁部202は、発泡樹脂で構成することにしている。
【0091】
これにより、カーテンエアバッグ600の展開等による衝撃に耐えることが可能な強度を確保しつつ、空調ダクト200の軽量化及び低コスト化を図ることができる。従って、本実施形態の空調ダクト200を自動車に搭載することで、自動車の軽量化及び低コスト化を図ることができる共に、自動車の燃費も向上させることができる。
【0092】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
【0093】
第1の実施形態の空調ダクト200は、図3に示すように、外側壁部202及び第2の側壁部204を発泡樹脂で構成し、内側壁部201及び第1の側壁部203を未発泡樹脂で構成することにした。
【0094】
第2の実施形態の空調ダクト200は、図9に示すように、第1の側壁部203を未発泡樹脂で構成し、外側壁部202、第2の側壁部204、内側壁部201を発泡樹脂で構成する。この構成であっても、第1の側壁部203を未発泡樹脂で構成しているため、カーテンエアバッグ600の展開等による衝撃に耐えることが可能な強度を確保することができる。また、内側壁部201を発泡樹脂で構成しているため、第1の実施形態の空調ダクト200よりも軽量化及び低コスト化を図ることができる。
【0095】
なお、図9に示す空調ダクト200を成形する際には、外側壁部202、第2の側壁部204、内側壁部201は、第1の熱可塑性樹脂シート18(溶融状態で、且つ、気泡セルを有する熱可塑性樹脂シート)を用いて形成し、第1の側壁部203は、第2の熱可塑性樹脂シート19(溶融状態で、かつ、気泡セルを有しない熱可塑性樹脂シート)を用いて形成することになる。また、図4に示す成形装置100の分割金型13,13のキャビティ14の形状を、図9に示す空調ダクト200を成形するための形状にすることになる。
【0096】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
【0097】
上記実施形態の空調ダクト200は、内側壁部201と、外側壁部202と、第1の側壁部203と、第2の側壁部204と、でダクト本体を構成することにした。
【0098】
第3の実施形態の空調ダクト200は、ダクト本体の側面から突出したフランジ部210を有して構成する。これにより、本実施形態の空調ダクト200は、第1、第2の実施形態の空調ダクト200よりも強度を向上させることができる。また、フランジ部210を用いて、内装天井フレーム400に空調ダクト200を固定することで、空調ダクト200を内装天井フレーム400に容易に固定することができる。以下、図10を参照しながら、本実施形態の空調ダクト200について説明する。
【0099】
<本実施形態の空調ダクト200の構成例>
まず、図10を参照しながら、本実施形態の空調ダクト200の構成例について説明する。
【0100】
本実施形態の空調ダクト200は、第2の側壁部204と内側壁部201とを連結する連結部は、フランジ部210を構成している。
【0101】
これにより、第2の側壁部204と内側壁部201との接合面の領域を第1の実施形態の空調ダクト200よりも大きくすることができる。また、空調ダクト200全体の断面積を第1の空調ダクト200よりも大きくすることができる。その結果、本実施形態の空調ダクト200は、第1の実施形態の空調ダクト200よりも強度を向上させることができる。
【0102】
また、本実施形態の空調ダクト200は、フランジ部210を有して構成しているため、空調ダクト200の長手方向の曲げに対する強度も向上させることができる。また、長期間の使用によっても撓み変形することがなく、初期形状を長期に亘り維持することができる。
【0103】
また、フランジ部210を用いて、空調ダクト200を内装天井フレーム400に固定することで、空調ダクト200を内装天井フレーム400に容易に固定することができる。
【0104】
なお、フランジ部210を設ける位置は、特に限定せず、空調ダクト200の長手方向全体に亘って設けても良く、また、空調ダクト200の取付箇所並びに空調ダクト200に負荷が掛かる部位に設けるように構成することも可能である。
【0105】
なお、本実施形態のフランジ部210を構成する第2の側壁部204は、発泡樹脂を含んで構成しているため、ネジ700を用いてフランジ部210と、内装天井フレーム400と、を固定した際に、フランジ部210を構成する第2の側壁部204の発泡樹脂が圧縮することになる。これにより、内装天井フレーム400と、フランジ部210と、の間に隙間が発生しないようにすることができる。また、内装天井フレーム400と、フランジ部210と、の間の締め付け強度を向上させることができる。
【0106】
なお、図10に示す空調ダクト200は、図4に示す成形装置100の分割金型13,13のキャビティ14の形状を、図10に示す空調ダクト200を成形するための形状にすることで、所望のフランジ部210を有する空調ダクト200を成形することができる。
【0107】
また、図10では、第2の側壁部204と内側壁部201とを連結する連結部がフランジ部210を構成するようにした。しかし、第1の側壁部203と内側壁部201とを連結する連結部が図10に示すフランジ部210を構成するようにすることも可能である。これにより、第1の側壁部203と内側壁部201とを連結する連結部で構成したフランジ部を用いて、空調ダクト200を内装天井フレーム400に固定することができる。
【0108】
また、空調ダクト200を内装天井フレーム400側に固定するのではなく、車体天井フレーム500側に固定する場合には、第1の側壁部203と外側壁部202とを連結する連結部や第2の側壁部204と外側壁部202とを連結する連結部が図10に示すフランジ部210を構成するようにすることも可能である。これにより、第1の側壁部203と外側壁部202とを連結する連結部や第2の側壁部204と外側壁部202とを連結する連結部で構成したフランジ部を用いて、空調ダクト200を車体天井フレーム500に固定することができる。
【0109】
<本実施形態の空調ダクト200の作用・効果>
このように、本実施形態の空調ダクト200は、第1の側壁部203と外側壁部202とを連結する第1の連結部と、第1の側壁部203と内側壁部201とを連結する第2の連結部と、第2の側壁部204と外側壁部202とを連結する第3の連結部と、第2の側壁部204と内側壁部201とを連結する第4の連結部と、の少なくとも1つの連結部は、図10に示すようなダクト本体の側面から突出したフランジ部を構成するようにする。これにより、第1の実施形態の空調ダクト200よりも強度を向上させることができる。また、フランジ部を用いて、空調ダクト200を内装天井フレーム400や車体天井フレーム500等に容易に固定することができる。
【0110】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。
【0111】
第1の実施形態の空調ダクト200は、図3に示すように、外側壁部202及び第2の側壁部204を発泡樹脂(発泡倍率2.0倍以上の発泡樹脂)で構成し、内側壁部201及び第1の側壁部203を未発泡樹脂(発泡倍率1.0倍の発泡樹脂)で構成することにした。
【0112】
第4の実施形態の空調ダクト200は、図11に示すように、外側壁部202及び第2の側壁部204を発泡倍率2.0倍以上の発泡樹脂で構成し、内側壁部201及び第1の側壁部203を、発泡倍率1.5倍以下の発泡樹脂で構成する。
【0113】
これにより、加圧ガスの勢いによりカーテン状に展開されたカーテンエアバッグ600の衝撃が第1の壁部203に伝わった場合でも、第1の壁部203は、発泡倍率1.5倍以下の発泡樹脂で構成しているため、その衝撃に耐えることができる。また、第1の壁部203及び内側壁部201は、発泡樹脂で構成しているため、第1の実施形態よりも軽量化及び低コスト化を実現することができる。以下、図11を参照しながら、本実施形態の空調ダクト200について説明する。
【0114】
<本実施形態の空調ダクト200の構成例>
まず、図11を参照しながら、本実施形態の空調ダクト200の構成例について説明する。
【0115】
本実施形態の空調ダクト200は、図11に示すように、外側壁部202及び第2の側壁部204を発泡倍率2.0倍以上の発泡樹脂で構成し、内側壁部201及び第1の側壁部203を発泡倍率1.5倍以下の発泡樹脂で構成する。
【0116】
第1の側壁部203は、カーテンエアバック600側に位置するため、加圧ガスの勢いによりカーテン状に展開されたカーテンエアバッグ600の衝撃に耐える必要がある。このため、第1の側壁部203は、発泡倍率1.5倍以下の発泡樹脂(未発泡樹脂を含む)で構成する必要がある。これにより、カーテンエアバッグ600の展開等による衝撃に耐えることが可能な強度を確保しつつ、第1の側壁部203の軽量化、低コスト化を図ることができる。また、第1の壁部203は、発泡樹脂で構成しているため、軽量化、低コスト化を図ることができる。なお、内側壁部201及び第1の側壁部203を構成する発泡樹脂の発泡倍率を1.0倍にした場合は、内側壁部201及び第1の側壁部203は、第1の実施形態と同様な未発泡樹脂で構成することになる。
【0117】
なお、図11では、外側壁部202及び第2の側壁部204を発泡倍率2.0倍以上の発泡樹脂で構成し、内側壁部201及び第1の側壁部203を発泡倍率1.5倍以下の発泡樹脂で構成することにした。しかし、第2の実施形態のように、第1の側壁部203を発泡倍率1.5倍以下の発泡樹脂で構成し、外側壁部202、第2の側壁部204、内側壁部201を発泡倍率2.0倍以上の発泡樹脂で構成するようにすることも可能である。この構成であっても、第1の側壁部203を発泡倍率1.5倍以下の発泡樹脂で構成しているため、カーテンエアバッグ600の展開等による衝撃に耐えることが可能な強度を確保することができる。
【0118】
<本実施形態の空調ダクト200の作用・効果>
このように、本実施形態の空調ダクト200は、第1の側壁部203を発泡倍率1.5倍以下の発泡樹脂(未発泡樹脂を含む)で構成することで、カーテンエアバッグ600の展開等による衝撃に耐えることが可能な強度を確保しつつ、第1の側壁部203の軽量化、低コスト化を図ることができる。
【0119】
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0120】
例えば、上述する実施形態では、空調ダクト200は、図3に示すように、車体天井フレーム500と内装天井フレーム400との間に構成される装備品収納空間A内に配置し、内側壁部201は、自動車の室内側(内装天井フレーム400側)に位置し、外側壁部202は、自動車の室外側(車体天井フレーム500側)に位置するように構成した。
【0121】
しかし、本実施形態の空調ダクト200は、図3に示す配置位置に限定せず、例えば、特開2006-168671号公報の図5に示すように、ピラーインナパネル52とピラートリム54との間に空調ダクト200を配置するように構成することも可能である。この場合、本実施形態の空調ダクト200の内側壁部201は、自動車の室内側(特開2006-168671号公報のピラートリム54側)に位置し、外側壁部202は、自動車の室外側(特開2006-168671号公報のピラーインナパネル52側)に位置することになる。
【0122】
また、上述した実施形態では、溶融状態の熱可塑性樹脂シートを用いて型締めし、空調ダクト200を成形する好適な成形方法を用いた場合について説明した。しかし、本実施形態の空調ダクト200は、上記実施形態で説明した成形方法に限定せず、例えば、特開2009−233960号公報等に開示されている成形方法(固形化した板状のシートを、再加熱し、その再加熱したシートをブロー成形して空調ダクトを成形する方法)等を適用して成形することも可能である。
【0123】
また、上述した実施形態では、自動車に好適な空調ダクト200について説明した。しかし、本実施形態の空調ダクト200は、自動車に限定するものではなく、空調ダクト200の形状を適宜設計変更し、列車、船舶、航空機等の輸送機にも適用することができる。なお、本実施形態の空調ダクト200は、ある程度の強度を確保しつつ、且つ、軽量化及び低コスト化を図ることができるため、輸送機のコストを低減することができると共に、輸送機の燃費も向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明は、自動車、列車、船舶、航空機等の輸送機の床面に沿って設置される空調ダクトに好適である。
【符号の説明】
【0125】
200 空調ダクト
201 内側壁部(第3の壁部)
202 外側壁部(第2の壁部)
203 第1の側壁部(第1の壁部)
204 第2の側壁部(第4の壁部)
205 通気路
A 装備品収納空間
L1、L2 パーティングライン
300 エアコンユニット
101 エアコン接続ダクト
102 連結ダクト
103 空気供給口
104 空気排出口
400 内装天井フレーム
500 車体天井フレーム
600 カーテンエアバック
700 ネジ
100 成形装置
101 押出装置
102 型締装置
1 第1のアキュムレータ
2 第2のアキュムレータ
3 第1のプランジャー
4 第2のプランジャー
5 第1のTダイ
6 第2のTダイ
7 第1の押出機
8 第2の押出機
9 第1の熱可塑性樹脂供給ホッパ
10 第2の熱可塑性樹脂供給ホッパ
11,11 第1の一対のローラ
12,12 第2の一対のローラ
13,13 分割金型
14,14 キャビティ
15,15 ピンチオフ形成部
17,17 型枠
18 第1の熱可塑性樹脂シート
19 第2の熱可塑性樹脂シート
23 スリット隙間調整装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、列車、船舶、航空機等の輸送機内部に設置される空調ダクトに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、RV車等のような広い車室の自動車には、車室内の空調性能を高めるために、図12、図13に示すように、自動車の天井両側(ルーフサイド)に空調ダクト200'(200'a,200'b)が設けられている。図12は、自動車に搭載された空調ダクト200'の配置状態例を示し、図13は、図12に示す空調ダクト200'周辺の断面構成例(図12のX-X'断面構成例)を示す。
【0003】
図12に示す空調ダクト200'は、図13に示すように、空調ダクト200'の内部に通気路205'が形成されており、図12に示す自動車後部のタイヤハウス付近等に設置されたエアコンユニット300'の冷温風を空調ダクト200'内の通気路205'に導き、その通気路205'を経由して、空調ダクト200'に形成された空気排出口104'から車室内の後部に冷暖風を排出している。
【0004】
なお、図12に示す空調ダクト200'(200'a,200'b)は、エアコン接続ダクト101'の上部、後面ドア上方の車室内の天井に配設された連結ダクト102'を介して連結されている。
【0005】
図12に示す空調ダクト200'のダクト本体は、図13に示すように、自動車の室内側(内装天井フレーム400'側)に位置する内側壁部201'と、自動車の室外側(車体天井フレーム500'側)に位置する外側壁部202'と、内側壁部201'と外側壁部202'とを連結する第1の側壁部203'及び第2の側壁部204'と、を有して構成し、空調ダクト200'の内部に通気路205'を形成している。なお、空調ダクト200'は、例えば、内側壁部201'を介して車体の内装天井フレーム400'にネジ等(図示せず)で適宜固定される。内装天井フレーム400'は、車体内板を構成するものであり、車体天井フレーム500'は、車体外板を構成するものである。
【0006】
図13に示す空調ダクト200'は、車体天井フレーム500'と内装天井フレーム400'との間に構成される装備品収納空間A'内に配置されており、空調ダクト200'を内装天井フレーム400'で車室内から隠蔽し、車室内の装飾性を向上させている。
【0007】
なお、近年では、燃費の向上及び原料の低減を目的として、輸送機及びその輸送機に搭載される各種部品の軽量化が図られている。
【0008】
このため、輸送機内部に設置される空調ダクト200'についても所望の物性を維持しつつ、且つ、軽量化を図ることが要望視されている。
【0009】
なお、空調ダクト200'の軽量化を図るには、高い発泡倍率の発泡樹脂を用いることが好ましい。しかし、発泡倍率を高くすると、基材の引張り特性等が急激に低下することになる。特に、高い発泡倍率を得るために、溶融張力の高い長鎖分岐構造を有するポリプロピレン系単独重合体等を用いた場合には、低温時の耐衝撃が劣り、割れ等の問題が生じることになる。
【0010】
このため、例えば、図13に示すように、搭乗者を保護するためのカーテンエアバッグ600'が空調ダクト200'の近傍に取り付けられている場合には、加圧ガスの勢いによりカーテン状に展開されたカーテンエアバッグ600'の衝撃が空調ダクト200'に伝わり、空調ダクト200'の飛散割れが生じる虞がある。
【0011】
このようなことから、本発明より先に出願された技術文献として、低温時にカーテンエアバッグの展開等による衝撃が加わった場合であっても、飛散割れが生じることのない薄肉かつ高発泡の空調ダクトについて開示された文献がある(例えば、特許文献1参照)。
【0012】
上記特許文献1(特開2009-243860号公報)の空調ダクトは、ポリプロピレン系樹脂と、少なくとも5〜40wt%の水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーと、を混合させたブレンド樹脂で構成し、発泡倍率2.0倍以上で、独立気泡構造からなる発泡状態を有し、−10℃における引張破壊伸びが40%以上で、かつ、常温時における引張弾性率が1000kg/cm2以上としている。
【0013】
これにより、低温時にカーテンエアバッグの展開等による衝撃が加わった場合であっても、飛散割れが生じないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2009−243860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかし、上記特許文献1の空調ダクトは、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーを用いているため、材料コストが増加することになる。
【0016】
また、上記特許文献1の空調ダクトは、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーの添加量が過剰になると、常温での引張弾性率が極端に低下し、空調ダクトとしての剛性を維持できなくなり、さらには、発泡倍率の低下及び部分的な薄肉により成形時にピンホールが発生して成形不良が発生することになる。
【0017】
このため、上記特許文献1の空調ダクトを成形するには、その空調ダクトを構成する各種材料(ポリプロピレン系樹脂や水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー)の混合比を適宜調整し、カーテンエアバッグの展開等による衝撃が加わった場合であっても、飛散割れが生じないようにするための最適な混合比にする必要がある。
【0018】
従って、上記特許文献1の空調ダクトを成形するには、その空調ダクトを構成する各種材料の混合比の調整が従来よりも複雑になってしまうことになる。
【0019】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーを用いずに、カーテンエアバッグの展開等による衝撃が加わった場合であっても、飛散割れが生じず、且つ、軽量化及び低コスト化を図ることが可能な空調ダクト及びそのフロアダクトを搭載した輸送機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
かかる目的を達成するために、本発明は、以下の特徴を有することとする。
【0021】
<空調ダクト>
本発明にかかる空調ダクトは、
輸送機に搭載されたカーテンエアバッグに隣接して配置される空調ダクトであって、
前記空調ダクト本体を構成する壁部において、
前記カーテンエアバック側に位置する第1の壁部は、未発泡樹脂で構成し、
前記輸送機の室外側に位置する第2の壁部は、発泡樹脂で構成することを特徴とする。
【0022】
<輸送機>
本発明にかかる輸送機は、
上記記載の空調ダクトを搭載したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーを用いずに、カーテンエアバッグの展開等による衝撃が加わった場合であっても、飛散割れが生じず、且つ、軽量化及び低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態の空調ダクト200を搭載した自動車の構成例を示す図である。
【図2】図1に示す空調ダクト200の拡大構成例を示す図である。
【図3】空調ダクト200周辺の断面構成例を示す図である。
【図4】本実施形態の空調ダクト200を成形する成形装置100の構成例を示す図である。
【図5】図4に示す成形装置100において、一対の分割金型13,13内に熱可塑性樹脂シート18,19を配置し、分割金型13,13のキャビティ14,14間を型枠17,17により閉じた工程を示す図である。
【図6】図5に示す態様からそれぞれの熱可塑性樹脂シート18,19を、分割金型13,13のキャビティ14,14に真空吸引させた工程を示す図である。
【図7】図6に示す態様から分割金型13,13を閉じ、空調ダクト200を成形する工程を示す図である。
【図8】図7に示す態様から分割金型13,13を開き、空調ダクト200の成形品を取り出す工程を示す図である。
【図9】第2の実施形態の空調ダクト200の断面構成例を示す図である。
【図10】第3の実施形態の空調ダクト200の断面構成例を示す図である。
【図11】第4の実施形態の空調ダクト200の断面構成例を示す図である。
【図12】本発明と関連する空調ダクト200'を搭載した自動車の構成例を示す図である。
【図13】図12に示す空調ダクト200'周辺の断面構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<本実施形態の空調ダクト200の概要>
まず、図3を参照しながら、本実施形態の空調ダクト200の概要について説明する。図3は、空調ダクト200周辺の断面構成例を示す図である。
【0026】
本実施形態の空調ダクト200は、輸送機に搭載されたカーテンエアバッグ600に隣接して配置される空調ダクトである。
【0027】
本実施形態の空調ダクト200本体を構成する壁部において、カーテンエアバック600側に位置する第1の壁部203は、未発泡樹脂で構成し、輸送機の室外側に位置する第2の壁部202は、発泡樹脂で構成することにしている。
【0028】
これにより、加圧ガスの勢いによりカーテン状に展開されたカーテンエアバッグ600の衝撃が第1の壁部203に伝わった場合でも、第1の壁部203は、未発泡樹脂で構成しているため、その衝撃に耐えることができる。また、第2の壁部202は、発泡樹脂で構成しているため、軽量化及び低コスト化を実現することができる。
【0029】
従って、本実施形態の空調ダクト200は、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーを用いずに、カーテンエアバッグ600の展開等による衝撃が加わった場合であっても、飛散割れが生じず、且つ、軽量化及び低コスト化を図ることができる。以下、添付図面を参照しながら、本実施形態の空調ダクト200について詳細に説明する。
【0030】
(第1の実施形態)
<空調ダクト200の構成例>
まず、図1〜図3を参照しながら、本実施形態の空調ダクト200の構成例について説明する。図1は、自動車に搭載された空調ダクト200の外観構成例を示す図であり、図2は、図1に示す空調ダクト200の拡大構成例を示す図である。図3は、図1、図2に示す空調ダクト200の断面構成例(図1、図2のX-X'の断面構成例)を示す図である。
【0031】
本実施形態の空調ダクト200(200a,200b)は、図2に示すように、空気供給口103から供給される冷暖風を空気排出口104から所望の部位へ通風させるためのダクトである。
【0032】
本実施形態の空調ダクト200(200a,200b)は、図1に示すように、エアコン接続ダクト101の上部、後面ドア上方の車室内の天井に配設された連結ダクト102を介して連結されている。エアコンユニット300の冷暖風は、エアコン接続ダクト101の下部に形成された空気供給口103からエアコン接続ダクト101内に導き、連結ダクト102を介して空調ダクト200に供給している。そして、空調ダクト200に形成された空気排出口104から車室内の後部に冷暖風を排出している。
【0033】
本実施形態の空調ダクト200のダクト本体は、図3に示すように、自動車の室内側(内装天井フレーム400側)に位置する内側壁部201と、自動車の室外側(車体天井フレーム500側)に位置する外側壁部202と、内側壁部201と外側壁部202とを連結する第1の側壁部203及び第2の側壁部204と、を有して構成し、空調ダクト200の内部に通気路205を形成している。
【0034】
また、本実施形態の空調ダクト200は、内側壁部201と第1の側壁部203とを同一の材料(樹脂シート)で構成し、外側壁部202と第2の側壁部204とを同一の材料(樹脂シート)で構成している。このため、第1の側壁部203と外側壁部202との間にパーティングラインL2が形成されており、第2の側壁部204と内側壁部201との間にパーティングラインL1が形成されている。
【0035】
本実施形態の空調ダクト200は、例えば、内側壁部201を介して内装天井フレーム400にネジ等(図示せず)で適宜固定され、カーテンエアバッグ600に隣接して配置される。なお、空調ダクト200は、カーテンエアバッグ600と第1の側壁部203との間が50〜100mm程度となるように配置される。図3では、内側壁部201を介して内装天井フレーム400にネジ等(図示せず)で空調ダクト200を固定することにした。しかし、外側壁部202を介して車体天井フレーム500にネジ等で空調ダクト200を固定するように構築することも可能である。
【0036】
本実施形態の空調ダクト200を構成する第1の側壁部203は、カーテンエアバック600側に位置し、第2の側壁部204は、カーテンエアバック600側とは反対側に位置する。カーテンエアバック600は、自動車の衝突時又は横転時等に、車室内の乗員を保護するために、車室内の側部にエアバッグ本体をカーテン状に展開膨張させるものである。図3に示すカーテンエアバック600は、車体天井フレーム500側にネジ等(図示せず)で適宜固定されている。内装天井フレーム400は、車体内板を構成するものであり、車体天井フレーム500は、車体外板を構成するものである。
【0037】
また、本実施形態の空調ダクト200は、車体天井フレーム500と内装天井フレーム400との間に構成される装備品収納空間A内に配置されており、空調ダクト200を内装天井フレーム400で車室内から隠蔽し、車室内の装飾性を向上させている。
【0038】
なお、図3に示す空調ダクト200と車体天井フレーム500との間には隙間が設けられており、断熱効果を奏するように設計している。なお、図3では、空調ダクト200と車体天井フレーム500との間に隙間を設けたが、隙間を設けないように構成することも可能である。隙間を設けないように構成することで、手押し剛性を高めたり、空調ダクト200の断面積(通気路205の断面積)を大きく確保したりすることができる。なお、手押し剛性とは、乗車者が、内装天井フレーム400を上方に向かって押したときの変形に対する剛性を意味する。手押し剛性が高いと、空調ダクト200が支えになり、内装天井フレーム400の変形を防止することができる。なお、図3では、空調ダクト200と車体天井フレーム500との間に隙間を設けたが、空調ダクト200と車体天井フレーム500とが部分的にくっつくように構成し、空調ダクト200と車体天井フレーム500との間に隙間がある部分と隙間がない部分とが存在するように構成することも可能である。
【0039】
<空調ダクト200を構成する各壁部の構成>
次に、図3を参照しながら、空調ダクト200を構成する各壁部の構成について説明する。
【0040】
内側壁部201は、空調ダクト200のダクト本体の下面側を構成するものであり、自動車の室内側(内装天井フレーム400側)に位置することになる。内側壁部201は、公知の未発泡樹脂を用いて構成する。内側壁部201の肉厚は、3.5mm以下であることが好ましい。内側壁部201の肉厚は、任意に調整することが可能である。
【0041】
外側壁部202は、空調ダクト200のダクト本体の上面側を構成するものであり、自動車の室外側(車体天井フレーム500側)に位置することになる。外側壁部202は、発泡倍率が2.0倍以上の公知の発泡樹脂で構成する。外側壁部202の肉厚は、3.5mm以下であることが好ましい。外側壁部202を発泡樹脂で構成することで、外側壁部202の軽量化及び低コスト化を実現することができる。また、外側壁部202の断熱性を向上することができる。なお、外側壁部202の肉厚は、任意に調整することが可能である。
【0042】
本実施形態で用いる発泡倍率の定義を以下に記載する。
発泡倍率:後述する本実施形態の成形方法で用いた熱可塑性樹脂の密度を、本実施形態の成形方法により得られた空調ダクト200を構成する壁部の壁面の見かけ密度で割った値を発泡倍率とした。
【0043】
第1の側壁部203は、空調ダクト200のダクト本体の側面を構成するものであり、カーテンエアバック600側に位置することになる。第1の側壁部203は、公知の未発泡樹脂を用いて構成する。第1の側壁部203の肉厚は、3.5mm以下であることが好ましい。第1の側壁部203を未発泡樹脂で構成することで、カーテンエアバッグ600の展開等による衝撃が加わった場合であっても、飛散割れが生じないようにすることができる。第1の側壁部203の肉厚は、カーテンエアバッグ600の展開等による衝撃に耐えることが可能な強度を確保することが可能な範囲で、任意に調整することが可能である。
【0044】
第2の側壁部204は、空調ダクト200のダクト本体の側面を構成するものであり、カーテンエアバック600側とは反対側に位置することになる。第2の側壁部204は、発泡倍率が2.0倍以上の発泡樹脂で構成する。第2の側壁部204の肉厚は、3.5mm以下であることが好ましい。第2の側壁部204を発泡樹脂で構成することで、第2の側壁部204の軽量化及び低コスト化を実現することができる。また、第2の側壁部204の断熱性を向上することができる。なお、第2の側壁部204の肉厚は、任意に調整することが可能である。
【0045】
本実施形態の空調ダクト200は、カーテンエアバック600側に位置する第1の側壁部203は、未発泡樹脂で構成し、自動車の室外側に位置する外側壁部202は、発泡樹脂で構成している。これにより、加圧ガスの勢いによりカーテン状に展開されたカーテンエアバッグ600の衝撃が第1の側壁部203に伝わった場合でも、第1の側壁部203は、未発泡樹脂で構成しているため、その衝撃に耐えることができる。また、外側壁部202は、発泡樹脂で構成しているため、軽量化及び低コスト化を実現することができる。
【0046】
このため、本実施形態の空調ダクト200は、カーテンエアバッグ600の展開等による衝撃に耐えることが可能な強度を確保しつつ、空調ダクト200の軽量化及び低コスト化を図ることができる。従って、本実施形態の空調ダクト200を自動車に搭載することで、自動車の軽量化及び低コスト化を図ることができる共に、自動車の燃費も向上させることができる。
【0047】
また、本実施形態の空調ダクト200は、外側壁部202を発泡樹脂で構成し、内側壁部201を未発泡樹脂で構成しているため、外側壁部202に断熱効果を持たせ、内側壁部201に放熱効果を持たせることができる。これにより、外側壁部202から熱が外部(車体天井フレーム500側)に放出するのを抑制し、内側壁部201から熱が外部(内装天井フレーム400側)に放出し易くすることができる。その結果、空調ダクト200の通気路205内の熱を車内側(内装天井フレーム400側)に放熱し易くすることができる。
【0048】
このため、本実施形態の空調ダクト200は、空調ダクト200の通気路205内の熱を効率的に使用し、自動車の室内を長時間暖かくしたり、冷たくしたりすることができる。従って、本実施形態の空調ダクト200を自動車に搭載することで、エアコンユニット300の冷暖風を効率的に使用し、車内全体に冷暖風を供給することができるため、省エネ効果に寄与することができる。
【0049】
また、本実施形態の空調ダクト200は、外側壁部202を発泡樹脂で構成しているため、外側壁部202に吸音効果を持たせることができる。
【0050】
<空調ダクト200の成形方法例>
次に、図4〜図8を参照しながら、本実施形態の空調ダクト200の成形方法例について説明する。図4は、本実施形態の空調ダクト200を成形する成形装置100の構成例を示し、図5〜図8は、本実施形態の空調ダクト200を成形する工程例を示す図である。
【0051】
まず、図4を参照しながら、本実施形態の空調ダクト200を成形する成形装置100の構成例について説明する。
【0052】
本実施形態の空調ダクト200を成形するための成形装置100は、押出装置101と、型締装置102と、を有して構成し、押出装置101から溶融状態の熱可塑性樹脂シートを型締装置102に押し出し、型締装置102で熱可塑性樹脂シートを型締めし、図1〜図3に示す空調ダクト200を成形する。
【0053】
押出装置101は、第1のアキュムレータ1と、第2のアキュムレータ2と、第1のプランジャー3と、第2のプランジャー4と、第1のTダイ5と、第2のTダイ6と、第1の押出機7と、第2の押出機8と、第1の熱可塑性樹脂供給ホッパ9と、第2の熱可塑性樹脂供給ホッパ10と、第1の一対のローラ11と、第2の一対のローラ12と、を有して構成する。
【0054】
型締装置102は、分割金型13,13と、型枠17,17と、を有して構成する。型枠17,17は、分割金型13,13の外周に位置している。分割金型13,13は、キャビティ14,14と、ピンチオフ形成部15,15と、を有して構成する。
【0055】
次に、図4〜図8を参照しながら、本実施形態の空調ダクト200の成形工程について説明する。
【0056】
まず、図4に示すように、外側壁部202及び第2の側壁部204を形成するための第1の熱可塑性樹脂シート18(溶融状態で、且つ、気泡セルを有する熱可塑性樹脂シート)を第1のTダイ5から押し出し、第1の熱可塑性樹脂シート18を一対の分割金型13,13の間に垂下させる。
【0057】
また、図4に示すように、内側壁部201及び第1の側壁部203を形成するための第2の熱可塑性樹脂シート19(溶融状態で、かつ、気泡セルを有しない熱可塑性樹脂シート)を第2のTダイ6から押し出し、第2の熱可塑性樹脂シート19を一対の分割金型13,13の間に垂下させる。
【0058】
次に、型枠17,17及び一対の分割金型13,13を水平方向に前進させ、図5に示すように、一対の分割金型13,13の外周に位置する型枠17,17を、第1の熱可塑性樹脂シート18及び第2の熱可塑性樹脂シート19に密着させる。これにより、型枠17,17により第1の熱可塑性樹脂シート18及び第2の熱可塑性樹脂シート19を保持することができる。
【0059】
次に、第1の熱可塑性樹脂シート18及び第2の熱可塑性樹脂シート19を型枠17,17により保持した状態で、一対の分割金型13,13を水平方向に前進させ、図6に示すように、第1の熱可塑性樹脂シート18と、第2の熱可塑性樹脂シート19と、をそれぞれ一対の分割金型13,13のキャビティ14,14に真空吸引し、第1の熱可塑性樹脂シート18と、第2の熱可塑性樹脂シート19と、をキャビティ14に沿った形状にする。
【0060】
次に、型枠17,17及び一対の分割金型13,13を水平方向に前進させ、図7に示すように、型枠17,17及び一対の分割金型13,13を閉じ、型締めする。これにより、一対の分割金型13,13のピンチオフ形成部15,15が当接し、第1の熱可塑性樹脂シート18と、第2の熱可塑性樹脂シート19と、が接合して熱融着し、第1の熱可塑性樹脂シート18と、第2の熱可塑性樹脂シート19と、の接合面にパーティングラインL1,L2が形成され、通気路205を有する空調ダクト200を成形することになる。
【0061】
次に、空調ダクト200を一対の分割金型13,13内で冷却する。
【0062】
次に、型枠17,17及び一対の分割金型13,13を水平方向に後退させ、図8に示すように、型枠17,17及び一対の分割金型13,13を空調ダクト200から離型させる。
【0063】
次に、ピンチオフ形成部15,15によって形成されたパーティングラインL1,L2の外周でバリ208を切除し、図1〜図3に示す空調ダクト200を得ることになる。
【0064】
なお、一対の分割金型13,13の間に垂下された第1の熱可塑性樹脂シート18及び第2の熱可塑性樹脂シート19は、ドローダウン、ネックインなどにより肉厚のバラツキが発生するのを防止するため、樹脂シートの厚み、押出速度、押出方向の肉厚分布などを個別に調整することが必要になる。
【0065】
第1の熱可塑性樹脂シート18は、発泡剤を添加した熱可塑性樹脂を第1の押出機7により溶融混練した後、第1のアキュムレータ1のアキュム室に一時的に貯留され、一定間隔毎に第1のプランジャー3によって第1のTダイ5に供給されることになる。
【0066】
また、第2の熱可塑性樹脂シート19は、発泡剤を添加していない熱可塑性樹脂を第2の押出機8により溶融混練した後、第2のアキュムレータ2のアキュム室に一時的に貯留され、一定間隔毎に第2のプランジャー4によって第2のTダイ6に供給されることになる。
【0067】
第1のTダイ5により押し出された第1の熱可塑性樹脂シート18は、第1の一対のローラ11,11によって挟圧されて一対の分割金型13,13間に配置される。また、第2のTダイ6により押し出された第2の熱可塑性樹脂シート19は、第2の一対のローラ12,12によって挟圧されて一対の分割金型13,13間に配置される。この時、第1の熱可塑性樹脂シート18及び第2の熱可塑性樹脂シート19の厚み、肉厚分布などを個別に調整することになる。
【0068】
具体的には、まず、第1のアキュムレータ1及び第2のアキュムレータ2、第1のTダイ5及び第2のTダイ6により押出速度がそれぞれ別個に設定される。
【0069】
第1のアキュムレータ1及び第2のアキュムレータ2にそれぞれ接続される第1の押出機7及び第2の押出機8の押出能力は、空調ダクト200の大きさにより適宜選択することが可能である。しかし、第1の押出機7及び第2の押出機8の押出能力は、50kg/時以上であることが、空調ダクト200の成形サイクルを短縮させる観点から好ましい。
【0070】
また、ドローダウンの発生を防止する観点から、第1のTダイ5からの第1の熱可塑性樹脂シート18の押し出しは、40秒以内、さらに好ましくは、30秒以内に完了する必要がある。同様に、第2のTダイ6からの第2の熱可塑性樹脂シート19の押し出しも、40秒以内、さらに好ましくは、30秒以内に完了する必要がある。
【0071】
このため、第1のアキュムレータ1のアキュム室及び第2のアキュムレータ2のアキュム室に貯留された熱可塑性樹脂は、第1のTダイ5及び第2のTダイ6のスリットの開口から1cm2当り50kg/時以上、好ましくは、60kg/時以上で押し出されることになる。この際、第1のTダイ5及び第2のTダイ6の各スリット隙間を熱可塑性樹脂シート18,19の押し出しに併せて変動させることによりドローダウンの影響を最小限に抑えることができる。
【0072】
つまり、ドローダウン現象により熱可塑性樹脂シート18,19の上方へ行くに従い自重により引き伸ばされて薄くなる肉厚に対して、第1のTダイ5及び第2のTダイ6の各スリット隙間を、樹脂シートの押出開始から徐々に広げて、熱可塑性樹脂シート18,19の上方ほどスリット隙間を広くすることで、熱可塑性樹脂シート18,19の上方から下方にわたって均一な厚みに調整することができる。
【0073】
さらに、第1のTダイ5及び第2のTダイ6から押し出された熱可塑性樹脂シート18,19の押出速度に対して、第1の一対のローラ11,11及び第2の一対のローラ12,12の回転速度を変動させることで、第1のTダイ5及び第2のTダイ6からの熱可塑性樹脂シート18,19の押出速度と、第1の一対のローラ11,11及び第2の一対のローラ12,12による熱可塑性樹脂シート18,19の送り速度と、の差により、第1のTダイ5及び第2のTダイ6から第1の一対のローラ11,11及び第2の一対のローラ12,12まで熱可塑性樹脂シート18,19を延伸させて樹脂シートの厚みを薄く調整することができる。
【0074】
第1のTダイ5及び第2のTダイ6にそれぞれ供給された熱可塑性樹脂は、図示しない各Tダイ本体のマニホールドから樹脂流路を通ってスリットから樹脂シートとして押し出される。各Tダイ本体は、一方のダイ及び他方のダイを重ね合わせて構成し、各Tダイ本体の先端部分において一方のダイリップ及び他方のダイリップがスリット隙間をもって対向しており、スリット隙間の間隔は、スリット隙間調整装置23により設定される。
【0075】
第1のTダイ5及び第2のTダイ6から押し出される樹脂シートの厚みは、スリット隙間により決定されるが、そのスリット隙間は、公知のスリット隙間調整装置23によって樹脂シートの幅方向における均一性が調整されることになる。更に、図示しないスリット隙間駆動装置により、間欠的に押し出される樹脂シートの押出開始から樹脂シートの押出終了までの間で他方のダイリップを変動させて、樹脂シートの押出方向の厚みが調整されることになる。
【0076】
スリット隙間調整装置23としては、熱膨張式または機械式があり、その両方の機能を併せ持つ装置を用いることが好ましい。
【0077】
スリット隙間調整装置23は、スリットの幅方向に沿って等間隔に複数配置され、各スリット隙間調整装置23によってスリット隙間をそれぞれ狭くしたり、広くしたりすることで幅方向における樹脂シートの厚みを均一なものにすることができる。
【0078】
スリット隙間調整装置23は、一方のダイリップに向けて進退自在に設けたダイボルトを有し、その先端に圧力伝達部を介して調整軸が配置されている。調整軸には締結ボルトにより係合片が結合されており、係合片は一方のダイリップに連結されている。ダイボルトを前進させると圧力伝達部を介して調整軸が先端方向に押し出されて一方のダイリップが押圧される。これにより、ダイリップは凹溝の部位で変形されてスリット隙間が狭くなる。スリット隙間を広くするにはこれと逆にダイボルトを後退させる。
【0079】
さらに、上記機械式の調整手段に合わせて熱膨張式の調整手段を用いることで精度良くスリット隙間を調整することができる。具体的には、図示しない電熱ヒーターにより調整軸を加熱して熱膨張させることで一方のダイリップが押圧され、スリット隙間が狭くなる。
【0080】
また、スリット隙間を広くするには電熱ヒーターを停止させ、図示しない冷却手段により調整軸を冷却して収縮させる。
【0081】
第1のTダイ5及び第2のTダイ6から押し出された樹脂シートは、一対の分割金型13,13間に垂下された状態で、つまり、型締めされる時点において押出方向の厚みが均一となるように調整することが好ましい。この場合、スリット隙間を、樹脂シートの押出開始から徐々に広げ、樹脂シートの押出終了時に最大となるように変動させる。
【0082】
これにより、第1のTダイ5及び第2のTダイ6から押し出される樹脂シートの厚みは、樹脂シートの押出開始から徐々に厚くなるが、溶融状態で押し出された樹脂シートは、自重により引き伸ばされて樹脂シートの下方から上方へ徐々に薄くなるため、スリット隙間を広げて厚く押し出した分とドローダウン現象により引き伸ばされて薄くなった分とが相殺されて、樹脂シート上方から下方にわたって均一な厚みに調整することができる。
【0083】
なお、本実施形態の空調ダクト200を成形する際に適用可能な発泡剤としては、物理発泡剤、化学発泡剤及びその混合物が挙げられる。物理発泡剤としては、空気、炭酸ガス、窒素ガス、水等の無機系物理発泡剤、及び、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ジクロロメタン、ジクロロエタン等の有機系物理発泡剤、更には、それらの超臨界流体を適用することができる。超臨界流体としては、二酸化炭素、窒素などを用いて作ることが好ましく、窒素であれば臨界温度−149.1℃、臨界圧力3.4MPa以上、二酸化炭素であれば臨界温度31℃、臨界圧力7.4MPa以上とすることで作ることができる。
【0084】
本実施形態の空調ダクト200を成形する際に適用可能なポリプロピレン系樹脂としては、230℃におけるメルトテンションが30〜350mNの範囲内のポリプロピレンが好ましい。特に、ポリプロピレン系樹脂は、長鎖分岐構造を有するプロピレン単独重合体であることが好ましく、エチレン−プロピレンブロック共重合体を添加することが更に好ましい。
【0085】
一対の分割金型13,13内に垂下させる第1の熱可塑性樹脂シート18は、ドローダウン、ネックインなどにより肉厚のバラツキが発生するのを防止し、高い発泡倍率とすることにより良好な軽量性、断熱性を有する外側壁部202及び第2の側壁部204を得る観点から溶融張力の高い材料を用いることが必要である。
【0086】
具体的には、230℃におけるMFR(JIS K-7210に準じて試験温度230℃、試験荷重2.16kgにて測定)が5.0g/10分以下、更に好ましくは、1.5〜3.0g/10分とする。なお、一般に、Tダイのスリットから薄く押し出す観点から、フィルム等の成形では230℃におけるMFR(JIS K-7210に準じて試験温度230℃、試験荷重2.16kgにて測定)が3.0g/10分より大きく、具体的には5.0〜10.0g/10分のものが用いられている。
【0087】
また、一対の分割金型13,13内に垂下させる第2の熱可塑性樹脂シート19は、ドローダウン、ネックインなどにより肉厚のバラツキが発生するのを防止し、カーテンエアバッグの展開等による衝撃に耐えることが可能な強度を有する第1の側壁部203を得る観点から耐衝撃強度の高い樹脂材料を用いることが必要である。
【0088】
具体的には、エチレン、プロピレン、ブテン、イソプレンペンテン、メチルペンテン等のオレフィン類の単独重合体あるいは共重合体であるポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン)であって、230℃におけるMFR(JIS K-7210に準じて試験温度230℃、試験荷重2.16kgにて測定)が3.0g/10分以下、更に好ましくは、0.3〜1.5g/10分のもので、且つ、230℃におけるメルトテンション(株式会社東洋精機製作所製メルトテンションテスターを用い、余熱温度230℃、押出速度5.7mm/分で、直径2.095mm、長さ8mmのオリフィスからストランドを押し出し、このストランドを直径50mmのローラに巻き取り速度100rpmで巻き取ったときの張力を示す)が50mN以上、好ましくは、120mN以上のものとする。
【0089】
なお、外側壁部202及び第2の側壁部204を形成するための第1の熱可塑性樹脂シート18(溶融状態で、且つ、気泡セルを有する熱可塑性樹脂シート)は、内側壁部201及び第1の側壁部203を形成するための第2の熱可塑性樹脂シート19(溶融状態で、かつ、気泡セルを有しない熱可塑性樹脂シート)と同一の基材樹脂に発泡剤を添加させて発泡させたものを用いることが好ましい。これにより、空調ダクト200の成形時に発生するバリ208や、不良品などを再利用する際に、発泡樹脂と未発泡樹脂とを分別することなく、一緒に回収して再利用することができる。
【0090】
<本実施形態の空調ダクト200の作用・効果>
このように、本実施形態の空調ダクト200のダクト本体は、カーテンエアバック600側に位置する第1の壁部203は、未発泡樹脂で構成し、輸送機の室外側に位置する第2の壁部202は、発泡樹脂で構成することにしている。
【0091】
これにより、カーテンエアバッグ600の展開等による衝撃に耐えることが可能な強度を確保しつつ、空調ダクト200の軽量化及び低コスト化を図ることができる。従って、本実施形態の空調ダクト200を自動車に搭載することで、自動車の軽量化及び低コスト化を図ることができる共に、自動車の燃費も向上させることができる。
【0092】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
【0093】
第1の実施形態の空調ダクト200は、図3に示すように、外側壁部202及び第2の側壁部204を発泡樹脂で構成し、内側壁部201及び第1の側壁部203を未発泡樹脂で構成することにした。
【0094】
第2の実施形態の空調ダクト200は、図9に示すように、第1の側壁部203を未発泡樹脂で構成し、外側壁部202、第2の側壁部204、内側壁部201を発泡樹脂で構成する。この構成であっても、第1の側壁部203を未発泡樹脂で構成しているため、カーテンエアバッグ600の展開等による衝撃に耐えることが可能な強度を確保することができる。また、内側壁部201を発泡樹脂で構成しているため、第1の実施形態の空調ダクト200よりも軽量化及び低コスト化を図ることができる。
【0095】
なお、図9に示す空調ダクト200を成形する際には、外側壁部202、第2の側壁部204、内側壁部201は、第1の熱可塑性樹脂シート18(溶融状態で、且つ、気泡セルを有する熱可塑性樹脂シート)を用いて形成し、第1の側壁部203は、第2の熱可塑性樹脂シート19(溶融状態で、かつ、気泡セルを有しない熱可塑性樹脂シート)を用いて形成することになる。また、図4に示す成形装置100の分割金型13,13のキャビティ14の形状を、図9に示す空調ダクト200を成形するための形状にすることになる。
【0096】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
【0097】
上記実施形態の空調ダクト200は、内側壁部201と、外側壁部202と、第1の側壁部203と、第2の側壁部204と、でダクト本体を構成することにした。
【0098】
第3の実施形態の空調ダクト200は、ダクト本体の側面から突出したフランジ部210を有して構成する。これにより、本実施形態の空調ダクト200は、第1、第2の実施形態の空調ダクト200よりも強度を向上させることができる。また、フランジ部210を用いて、内装天井フレーム400に空調ダクト200を固定することで、空調ダクト200を内装天井フレーム400に容易に固定することができる。以下、図10を参照しながら、本実施形態の空調ダクト200について説明する。
【0099】
<本実施形態の空調ダクト200の構成例>
まず、図10を参照しながら、本実施形態の空調ダクト200の構成例について説明する。
【0100】
本実施形態の空調ダクト200は、第2の側壁部204と内側壁部201とを連結する連結部は、フランジ部210を構成している。
【0101】
これにより、第2の側壁部204と内側壁部201との接合面の領域を第1の実施形態の空調ダクト200よりも大きくすることができる。また、空調ダクト200全体の断面積を第1の空調ダクト200よりも大きくすることができる。その結果、本実施形態の空調ダクト200は、第1の実施形態の空調ダクト200よりも強度を向上させることができる。
【0102】
また、本実施形態の空調ダクト200は、フランジ部210を有して構成しているため、空調ダクト200の長手方向の曲げに対する強度も向上させることができる。また、長期間の使用によっても撓み変形することがなく、初期形状を長期に亘り維持することができる。
【0103】
また、フランジ部210を用いて、空調ダクト200を内装天井フレーム400に固定することで、空調ダクト200を内装天井フレーム400に容易に固定することができる。
【0104】
なお、フランジ部210を設ける位置は、特に限定せず、空調ダクト200の長手方向全体に亘って設けても良く、また、空調ダクト200の取付箇所並びに空調ダクト200に負荷が掛かる部位に設けるように構成することも可能である。
【0105】
なお、本実施形態のフランジ部210を構成する第2の側壁部204は、発泡樹脂を含んで構成しているため、ネジ700を用いてフランジ部210と、内装天井フレーム400と、を固定した際に、フランジ部210を構成する第2の側壁部204の発泡樹脂が圧縮することになる。これにより、内装天井フレーム400と、フランジ部210と、の間に隙間が発生しないようにすることができる。また、内装天井フレーム400と、フランジ部210と、の間の締め付け強度を向上させることができる。
【0106】
なお、図10に示す空調ダクト200は、図4に示す成形装置100の分割金型13,13のキャビティ14の形状を、図10に示す空調ダクト200を成形するための形状にすることで、所望のフランジ部210を有する空調ダクト200を成形することができる。
【0107】
また、図10では、第2の側壁部204と内側壁部201とを連結する連結部がフランジ部210を構成するようにした。しかし、第1の側壁部203と内側壁部201とを連結する連結部が図10に示すフランジ部210を構成するようにすることも可能である。これにより、第1の側壁部203と内側壁部201とを連結する連結部で構成したフランジ部を用いて、空調ダクト200を内装天井フレーム400に固定することができる。
【0108】
また、空調ダクト200を内装天井フレーム400側に固定するのではなく、車体天井フレーム500側に固定する場合には、第1の側壁部203と外側壁部202とを連結する連結部や第2の側壁部204と外側壁部202とを連結する連結部が図10に示すフランジ部210を構成するようにすることも可能である。これにより、第1の側壁部203と外側壁部202とを連結する連結部や第2の側壁部204と外側壁部202とを連結する連結部で構成したフランジ部を用いて、空調ダクト200を車体天井フレーム500に固定することができる。
【0109】
<本実施形態の空調ダクト200の作用・効果>
このように、本実施形態の空調ダクト200は、第1の側壁部203と外側壁部202とを連結する第1の連結部と、第1の側壁部203と内側壁部201とを連結する第2の連結部と、第2の側壁部204と外側壁部202とを連結する第3の連結部と、第2の側壁部204と内側壁部201とを連結する第4の連結部と、の少なくとも1つの連結部は、図10に示すようなダクト本体の側面から突出したフランジ部を構成するようにする。これにより、第1の実施形態の空調ダクト200よりも強度を向上させることができる。また、フランジ部を用いて、空調ダクト200を内装天井フレーム400や車体天井フレーム500等に容易に固定することができる。
【0110】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。
【0111】
第1の実施形態の空調ダクト200は、図3に示すように、外側壁部202及び第2の側壁部204を発泡樹脂(発泡倍率2.0倍以上の発泡樹脂)で構成し、内側壁部201及び第1の側壁部203を未発泡樹脂(発泡倍率1.0倍の発泡樹脂)で構成することにした。
【0112】
第4の実施形態の空調ダクト200は、図11に示すように、外側壁部202及び第2の側壁部204を発泡倍率2.0倍以上の発泡樹脂で構成し、内側壁部201及び第1の側壁部203を、発泡倍率1.5倍以下の発泡樹脂で構成する。
【0113】
これにより、加圧ガスの勢いによりカーテン状に展開されたカーテンエアバッグ600の衝撃が第1の壁部203に伝わった場合でも、第1の壁部203は、発泡倍率1.5倍以下の発泡樹脂で構成しているため、その衝撃に耐えることができる。また、第1の壁部203及び内側壁部201は、発泡樹脂で構成しているため、第1の実施形態よりも軽量化及び低コスト化を実現することができる。以下、図11を参照しながら、本実施形態の空調ダクト200について説明する。
【0114】
<本実施形態の空調ダクト200の構成例>
まず、図11を参照しながら、本実施形態の空調ダクト200の構成例について説明する。
【0115】
本実施形態の空調ダクト200は、図11に示すように、外側壁部202及び第2の側壁部204を発泡倍率2.0倍以上の発泡樹脂で構成し、内側壁部201及び第1の側壁部203を発泡倍率1.5倍以下の発泡樹脂で構成する。
【0116】
第1の側壁部203は、カーテンエアバック600側に位置するため、加圧ガスの勢いによりカーテン状に展開されたカーテンエアバッグ600の衝撃に耐える必要がある。このため、第1の側壁部203は、発泡倍率1.5倍以下の発泡樹脂(未発泡樹脂を含む)で構成する必要がある。これにより、カーテンエアバッグ600の展開等による衝撃に耐えることが可能な強度を確保しつつ、第1の側壁部203の軽量化、低コスト化を図ることができる。また、第1の壁部203は、発泡樹脂で構成しているため、軽量化、低コスト化を図ることができる。なお、内側壁部201及び第1の側壁部203を構成する発泡樹脂の発泡倍率を1.0倍にした場合は、内側壁部201及び第1の側壁部203は、第1の実施形態と同様な未発泡樹脂で構成することになる。
【0117】
なお、図11では、外側壁部202及び第2の側壁部204を発泡倍率2.0倍以上の発泡樹脂で構成し、内側壁部201及び第1の側壁部203を発泡倍率1.5倍以下の発泡樹脂で構成することにした。しかし、第2の実施形態のように、第1の側壁部203を発泡倍率1.5倍以下の発泡樹脂で構成し、外側壁部202、第2の側壁部204、内側壁部201を発泡倍率2.0倍以上の発泡樹脂で構成するようにすることも可能である。この構成であっても、第1の側壁部203を発泡倍率1.5倍以下の発泡樹脂で構成しているため、カーテンエアバッグ600の展開等による衝撃に耐えることが可能な強度を確保することができる。
【0118】
<本実施形態の空調ダクト200の作用・効果>
このように、本実施形態の空調ダクト200は、第1の側壁部203を発泡倍率1.5倍以下の発泡樹脂(未発泡樹脂を含む)で構成することで、カーテンエアバッグ600の展開等による衝撃に耐えることが可能な強度を確保しつつ、第1の側壁部203の軽量化、低コスト化を図ることができる。
【0119】
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0120】
例えば、上述する実施形態では、空調ダクト200は、図3に示すように、車体天井フレーム500と内装天井フレーム400との間に構成される装備品収納空間A内に配置し、内側壁部201は、自動車の室内側(内装天井フレーム400側)に位置し、外側壁部202は、自動車の室外側(車体天井フレーム500側)に位置するように構成した。
【0121】
しかし、本実施形態の空調ダクト200は、図3に示す配置位置に限定せず、例えば、特開2006-168671号公報の図5に示すように、ピラーインナパネル52とピラートリム54との間に空調ダクト200を配置するように構成することも可能である。この場合、本実施形態の空調ダクト200の内側壁部201は、自動車の室内側(特開2006-168671号公報のピラートリム54側)に位置し、外側壁部202は、自動車の室外側(特開2006-168671号公報のピラーインナパネル52側)に位置することになる。
【0122】
また、上述した実施形態では、溶融状態の熱可塑性樹脂シートを用いて型締めし、空調ダクト200を成形する好適な成形方法を用いた場合について説明した。しかし、本実施形態の空調ダクト200は、上記実施形態で説明した成形方法に限定せず、例えば、特開2009−233960号公報等に開示されている成形方法(固形化した板状のシートを、再加熱し、その再加熱したシートをブロー成形して空調ダクトを成形する方法)等を適用して成形することも可能である。
【0123】
また、上述した実施形態では、自動車に好適な空調ダクト200について説明した。しかし、本実施形態の空調ダクト200は、自動車に限定するものではなく、空調ダクト200の形状を適宜設計変更し、列車、船舶、航空機等の輸送機にも適用することができる。なお、本実施形態の空調ダクト200は、ある程度の強度を確保しつつ、且つ、軽量化及び低コスト化を図ることができるため、輸送機のコストを低減することができると共に、輸送機の燃費も向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明は、自動車、列車、船舶、航空機等の輸送機の床面に沿って設置される空調ダクトに好適である。
【符号の説明】
【0125】
200 空調ダクト
201 内側壁部(第3の壁部)
202 外側壁部(第2の壁部)
203 第1の側壁部(第1の壁部)
204 第2の側壁部(第4の壁部)
205 通気路
A 装備品収納空間
L1、L2 パーティングライン
300 エアコンユニット
101 エアコン接続ダクト
102 連結ダクト
103 空気供給口
104 空気排出口
400 内装天井フレーム
500 車体天井フレーム
600 カーテンエアバック
700 ネジ
100 成形装置
101 押出装置
102 型締装置
1 第1のアキュムレータ
2 第2のアキュムレータ
3 第1のプランジャー
4 第2のプランジャー
5 第1のTダイ
6 第2のTダイ
7 第1の押出機
8 第2の押出機
9 第1の熱可塑性樹脂供給ホッパ
10 第2の熱可塑性樹脂供給ホッパ
11,11 第1の一対のローラ
12,12 第2の一対のローラ
13,13 分割金型
14,14 キャビティ
15,15 ピンチオフ形成部
17,17 型枠
18 第1の熱可塑性樹脂シート
19 第2の熱可塑性樹脂シート
23 スリット隙間調整装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送機に搭載されたカーテンエアバッグに隣接して配置される空調ダクトであって、
前記空調ダクト本体を構成する壁部において、
前記カーテンエアバック側に位置する第1の壁部は、未発泡樹脂で構成し、
前記輸送機の室外側に位置する第2の壁部は、発泡樹脂で構成することを特徴とする空調ダクト。
【請求項2】
前記輸送機の室内側に位置する第3の壁部は、未発泡樹脂で構成し、
前記カーテンエアバック側とは反対側に位置する第4の壁部は、発泡樹脂で構成することを特徴とする請求項1記載の空調ダクト。
【請求項3】
前記第1の壁部を構成する未発泡樹脂と、前記第3の壁部を構成する未発泡樹脂と、は、一枚の未発泡樹脂シートで形成されており、
前記第2の壁部を構成する発泡樹脂と、前記第4の壁部を構成する発泡樹脂と、は一枚の発泡樹脂シートで形成されていることを特徴とする請求項2記載の空調ダクト。
【請求項4】
前記第1の壁部と、前記第2の壁部と、を連結する第1の連結部と、
前記第1の壁部と、前記第3の壁部と、を連結する第2の連結部と、
前記第4の壁部と、前記第2の壁部と、を連結する第3の連結部と、
前記第4の壁部と、前記第3の壁部と、を連結する第4の連結部と、の少なくとも1つの連結部は、
前記空調ダクト本体の側面から突出したフランジ部を構成することを特徴とする請求項2または3記載の空調ダクト。
【請求項5】
前記発泡樹脂シートは、前記未発泡樹脂シートと同一の基材樹脂に発泡剤を添加させて発泡させたものであることを特徴とする請求項3記載の空調ダクト。
【請求項6】
前記第1の壁部を構成する前記未発泡樹脂を、発泡倍率が1.5倍以下の発泡樹脂にしたことを特徴とする請求項1記載の空調ダクト。
【請求項7】
請求項1から6の何れか1項に記載の空調ダクトを搭載した輸送機。
【請求項1】
輸送機に搭載されたカーテンエアバッグに隣接して配置される空調ダクトであって、
前記空調ダクト本体を構成する壁部において、
前記カーテンエアバック側に位置する第1の壁部は、未発泡樹脂で構成し、
前記輸送機の室外側に位置する第2の壁部は、発泡樹脂で構成することを特徴とする空調ダクト。
【請求項2】
前記輸送機の室内側に位置する第3の壁部は、未発泡樹脂で構成し、
前記カーテンエアバック側とは反対側に位置する第4の壁部は、発泡樹脂で構成することを特徴とする請求項1記載の空調ダクト。
【請求項3】
前記第1の壁部を構成する未発泡樹脂と、前記第3の壁部を構成する未発泡樹脂と、は、一枚の未発泡樹脂シートで形成されており、
前記第2の壁部を構成する発泡樹脂と、前記第4の壁部を構成する発泡樹脂と、は一枚の発泡樹脂シートで形成されていることを特徴とする請求項2記載の空調ダクト。
【請求項4】
前記第1の壁部と、前記第2の壁部と、を連結する第1の連結部と、
前記第1の壁部と、前記第3の壁部と、を連結する第2の連結部と、
前記第4の壁部と、前記第2の壁部と、を連結する第3の連結部と、
前記第4の壁部と、前記第3の壁部と、を連結する第4の連結部と、の少なくとも1つの連結部は、
前記空調ダクト本体の側面から突出したフランジ部を構成することを特徴とする請求項2または3記載の空調ダクト。
【請求項5】
前記発泡樹脂シートは、前記未発泡樹脂シートと同一の基材樹脂に発泡剤を添加させて発泡させたものであることを特徴とする請求項3記載の空調ダクト。
【請求項6】
前記第1の壁部を構成する前記未発泡樹脂を、発泡倍率が1.5倍以下の発泡樹脂にしたことを特徴とする請求項1記載の空調ダクト。
【請求項7】
請求項1から6の何れか1項に記載の空調ダクトを搭載した輸送機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−168255(P2011−168255A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−36493(P2010−36493)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(000104674)キョーラク株式会社 (292)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(000104674)キョーラク株式会社 (292)
【Fターム(参考)】
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