説明

空調室内機

【課題】昇降パネルが昇降或は可動するとき以外、昇降パネルが本体に確実に固定されている天井設置の空調室内機を提供する。
【解決手段】空調室内機2は、本体20と、可動パネル24と、昇降装置7と、ロック装置8とを備えている。本体20は、下面に吸込口20bを有している。可動パネル24は、メンテナンス時に所定位置まで降下する。昇降装置7は、可動パネル24を上昇方向および降下方向に移動させる。ロック装置8は、可動パネル24が吸込口20aを閉じているときに可動パネル24を拘束する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井設置の空調室内機に関し、特に、フィルタの清掃機能を有する空調室内機に関する。
【背景技術】
【0002】
天井設置の空調室内機の分野では、フィルタ清掃の手間を省くために、フィルタ清掃機構を備えたものが普及している。例えば、特許文献1(特開2007−40689号公報)に開示されている空調室内機は、ブラシによってフィルタから除去された塵埃をダストボックスに貯えるタイプであって、使用者は、適切な時期に昇降部を介して、ダストボックスを本体から降下させ、内部に貯えられた塵埃を捨てる。
【0003】
ダストボックスはブラシと共に移動してフィルタを清掃するので、ダストボックスを移動させる移動機構に組み込まれており、ダストボックス及び移動機構を伴って降下する昇降部の昇降パネルは、通常、昇降部のワイヤで本体に装着されている。そして、このワイヤを停止させているのが昇降部のモータである。このため、モータによるワイヤの保持力が低下した場合は、昇降パネルが勝手に降下する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、昇降パネルが昇降或は可動するとき以外、昇降パネルが本体に確実に固定されている天井設置の空調室内機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1発明に係る空調室内機は、天井設置の空調室内機であって、本体と、昇降パネルと、昇降機構と、ロック機構とを備えている。本体は、下面に吸込口を有している。昇降パネルは、メンテナンス時に所定位置まで降下する。昇降機構は、昇降パネルを上昇方向および降下方向に移動させる。ロック機構は、昇降パネルが吸込口を閉じているときに昇降パネルを拘束する。また、ロック機構は、可動体とモータとを有している。可動体は、昇降パネルを拘束する。モータは、可動体を、昇降パネルを拘束する位置から昇降パネルを拘束しない位置へ移動させる。
【0006】
この空調室内機では、昇降機構の故障等によって昇降パネルを静止させる機能が著しく低下したときでも、ロック機構が昇降パネルを拘束しているので、昇降パネルが吸込口から落下するような事態が回避される。
【0007】
第2発明に係る空調室内機は、第1発明に係る空調室内機であって、本体は、上部本体と下部本体とをさらに有している。下部本体には、吸込口の輪郭を形成する下面パネルが含まれている。
【0008】
この空調室内機では、下面パネル上に、昇降機構及びロック機構を集積することが可能なり、組立性が向上する。
【0009】
第3発明に係る空調室内機は、第1発明又は第2発明に係る空調室内機であって、ロック機構が、スプリングと、第1保持部と、第2保持部とをさらに有している。スプリングは、可動体を、昇降パネルを拘束しない位置から昇降パネルを拘束する位置へ移動させる。第1保持部は、本体側の可動体が移動する軌道上に設けられ、可動体の一部を、移動可能な状態で保持する。第2保持部は、昇降パネル側の可動体が移動する軌道上に設けられ、可動体の一部を、移動可能な状態で保持する。可動体は、本体又は昇降パネルのいずれか一方に、移動可能な状態で配置される。そして、スプリングは、昇降パネルを拘束するとき、可動体が第1保持部及び第2保持部の両方に保持される第1位置へ可動体を移動させる。モータは、昇降パネルを拘束しないとき、可動体が第1保持部又は第2保持部のいずれか一方に保持される第2位置へ移動させる。
【0010】
この空調室内機では、可動体が軌道上を移動するだけで、昇降パネルの拘束と解除が行われるので、ロック機構の構成が簡素化される。また、可動体の第2位置から第1位置への移動は、モータに頼らずスプリングだけで行うことができるので、少なくとも電気系統の故障によるロック機構の不動作を防止することができる。
【0011】
第4発明に係る空調室内機は、第3発明に係る空調室内機であって、ロック機構が、モータに連結されるピニオン歯車と、ピニオン歯車と噛み合うラックとをさらに有している。
【0012】
この空調室内機では、モータの回転を可動体の直線運動に変換できるので、ロック機構の構成が簡単である。
【0013】
第5発明に係る空調室内機は、第3発明に係る空調室内機であって、駆動部が本体に配置されている。
【0014】
この空調室内機では、ロック機構を本体内の未使用空間に配置することができるので、省スペース化を図ることができる。
【0015】
第6発明に係る空調室内機は、第1発明から第5発明のいずれか1つに係る空調室内機であって、フィルタと、フィルタ清掃機構とをさらに備えている。フィルタは、吸込口から流入する空気に含まれる塵埃を除去する。フィルタ清掃機構は、フィルタに付着した塵埃を除去する。そして、フィルタ清掃機構の一部が昇降パネルに配置されている。
【0016】
この空調室内機では、フィルタ清掃機構の一部が昇降パネルに配置されることによって、昇降パネルの重量が増す。その結果、昇降パネルが揺れ難くなり、静止姿勢が安定する。
【0017】
第7発明に係る空調室内機は、第6発明に係る空調室内機であって、フィルタ清掃機構が、清掃部材と、ダストボックスとを有している。清掃部材は、フィルタに付着した塵埃をフィルタから脱離させる。ダストボックスは、フィルタから脱離した塵埃を貯める。そして、少なくともダストボックスが昇降パネルに配置されている。
【0018】
この空調室内機では、ダストボックスが昇降パネルに配置されることによって、昇降パネルの重量が増し、昇降パネルが揺れ難くなり、静止姿勢が安定する。さらに、ダストボックスを昇降パネルで降下させることができるので、ダストボックスの清掃が可能となる。
【0019】
第8発明に係る空調室内機は、第1発明から第7発明のいずれか1つに係る空調室内機であって、昇降機構が、昇降パネルを吊るすワイヤと、ワイヤの繰り出し及び巻き取りを行うモータとを有している。
【0020】
この空調室内機では、昇降機構は、昇降パネルがワイヤによって吊られる簡単な構成であるので、小型で低コストである。なお、室内空調機は、昇降パネルのロック機構を備えているので、ワイヤが緩んで吸込口から昇降パネルが降下するような事態は回避される。
【0021】
第9発明に係る空調室内機は、第4発明に係る空調室内機であって、ロック機構が、可動体を強制的に移動させる手動操作部をさらに有している。
【0022】
この空調室内機では、モータが故障したときに、手動で可動体を移動させて、昇降パネルの拘束を解除することができる。
【0023】
第10発明に係る空調室内機は、第9発明に係る空調室内機であって、昇降パネルの一端近傍を本体側にヒンジ式で連結するヒンジ連結機構をさらに有している。ヒンジ連結機構は、昇降パネルの回動軸となるヒンジと、ヒンジ受と、スライド部材とを含んでいる。ヒンジ受は、ヒンジを本体側の所定位置で支持する。スライド部材は、移動することによってヒンジ受と接触しヒンジ受を所定位置から遠ざける。
【0024】
この空調室内機では、ヒンジ連結機構が設けられたことによって、昇降パネルは、吸込口付近で回動することができ、「運転時は、昇降パネルが開方向へ回動して吸込口が開状態となり、停止時は、昇降パネルが閉方向へ回動して吸込口が閉じる」という動作が可能である。この結果、停止時に吸込口が人目に触れず、空調室内機の意匠性が向上する。また、スライド部材の移動だけで、本体と昇降パネルとの連結を解除することができるので、昇降パネルの回動動作と昇降動作の切り替えが容易である。
【0025】
第11発明に係る空調室内機は、第10発明に係る空調室内機であって、スライド部材が、ロック機構のモータによって駆動され、モータが回転を開始し予め設定された第1回転角度に達したとき、ロック機構の可動体を移動させ、第1回転角度よりも大きい第2回転角度に達したとき、ヒンジ受と接触する。
【0026】
この空調室内機では、ヒンジ連結機構を使ってロック機構の解除を行なうことができ、機構の兼用化によって構造が簡素になる。
【0027】
第12発明に係る空調室内機は、第10発明又は第11発明に係る空調室内機であって、手動操作部が、スライド部材に設けられている。
【0028】
この空調室内機では、部材の兼用化によって、小型化が達成される。
【発明の効果】
【0029】
第1発明に係る空調室内機では、昇降機構の故障等によって昇降パネルを静止させる機能が著しく低下したときでも、ロック機構が昇降パネルを拘束しているので、昇降パネルが吸込口から落下するような事態が回避される。
【0030】
第2発明に係る空調室内機では、下面パネル上に、昇降機構及びロック機構を集積することが可能なり、組立性が向上する。
【0031】
第3発明に係る空調室内機では、可動体が軌道上を移動するだけで、昇降パネルの拘束と解除が行われるので、ロック機構の構成が簡素化される。また、可動体の第2位置から第1位置への移動は、モータに頼らずスプリングだけで行うことができるので、少なくとも電気系統の故障によるロック機構の不動作を防止することができる。
【0032】
第4発明に係る空調室内機では、モータの回転を可動体の直線運動に変換できるので、ロック機構の構成が簡単である。
【0033】
第5発明に係る空調室内機では、ロック機構を本体内の未使用空間に配置することができるので、省スペース化を図ることができる。
【0034】
第6発明に係る空調室内機では、フィルタ清掃機構の一部が昇降パネルに配置されることによって、昇降パネルの重量が増す。その結果、昇降パネルが揺れ難くなり、静止姿勢が安定する。
【0035】
第7発明に係る空調室内機では、ダストボックスが昇降パネルに配置されることによって、昇降パネルの重量が増し、昇降パネルが揺れ難くなり、静止姿勢が安定する。さらに、ダストボックスを昇降パネルで降下させることができるので、ダストボックスの清掃が可能となる。
【0036】
第8発明に係る空調室内機では、昇降機構は、昇降パネルがワイヤによって吊られる簡単な構成であるので、小型で低コストである。なお、室内空調機は、昇降パネルのロック機構を備えているので、ワイヤが緩んで吸込口から昇降パネルが降下するような事態は回避される。
【0037】
第9発明に係る空調室内機では、モータが故障したときに、手動で可動体を移動させて、昇降パネルの拘束を解除することができる。
【0038】
第10発明に係る空調室内機では、ヒンジ連結機構が設けられたことによって、昇降パネルは、吸込口付近で回動することができ、「運転時は、昇降パネルが開方向へ回動して吸込口が開状態となり、停止時は、昇降パネルが閉方向へ回動して吸込口が閉じる」という動作が可能である。この結果、停止時に吸込口が人目に触れず、空調室内機の意匠性が向上する。また、スライド部材の移動だけで、本体と昇降パネルとの連結を解除することができるので、昇降パネルの回動動作と昇降動作の切り替えが容易である。
【0039】
第11発明に係る空調室内機では、ヒンジ連結機構を使ってロック機構の解除を行なうことができ、機構の兼用化によって構造が簡素になる。
【0040】
第12発明に係る空調室内機では、部材の兼用化によって、小型化が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1実施形態に係る空調室内機の外観斜視図。
【図2】(a)空調室内機の運転停止時の側面図。(b)空調室内機の運転時の側面図。(c)メンテナンス時の側面図。
【図3】空調室内機の断面図。
【図4】空調室内機の本体の分解斜視図。
【図5】下部本体の分解斜視図。
【図6】化粧パネルの平面図。
【図7】図6のA方向から視た化粧パネルの斜視図。
【図8】図6のB方向から視た化粧パネルの斜視図。
【図9】フィルタ清掃機構のフィルタ収納枠の分解斜視図。
【図10】フィルタ収納枠の内部の断面図。
【図11】(a)フィルタが前方収納部にあるときのフィルタ収納部の断面図。(b)フィルタが後方収納部にあるときのフィルタ収納部の断面図。(c)フィルタを取り出すときのフィルタ収納部の断面図。
【図12】可動パネルの分解斜視図。
【図13】化粧パネルの斜視図。
【図14】ヒンジ連結装置の分解斜視図。
【図15】昇降装置の分解斜視図。
【図16】昇降装置内部の部品の配置図。
【図17】ロック装置の斜視図。
【図18】可動パネルが吸込口を開いた状態の斜視図。
【図19】可動パネルが降下している状態の斜視図。
【図20】ダストボックス及びダストボックスが取り出された後の昇降パネルの斜視図。
【図21】取り出し機構の斜視図。
【図22】取り出し機構の分解斜視図。
【図23】吹出口モジュールの拡大断面図。
【図24】吹出口モジュールの斜視図。
【図25】第2実施形態に係る空調室内機の可動パネルの斜視図。
【図26】図25のC部の拡大図。
【図27】ヒンジ単品の側面図。
【図28】可動パネルが吸込口を閉じているときのヒンジ及びヒンジ連結機構の平面図。
【図29】可動パネルが吸込口を開けるときのヒンジ及びヒンジ連結機構の平面図。
【図30】可動パネルが吸込口から離れるときのヒンジ及びヒンジ連結機構の平面図。
【図31】(a)下部本体の断面図。(b)可動パネルが吸込口を開ける直前の下部本体の部分断面図。(c)可動パネルが吸込口を開けた直後の下部本体の部分断面図。
【図32】(a)下部本体の断面図。(b)可動パネルが降下を開始した直後の下部本体の部分断面図。(c)可動パネルが降下したときの下部本体の部分断面図。
【図33】(a)パネルロック部がパネルロックリングから抜け出たあとの断面図。(b)パネルロック部がパネルロックリングに押されて後退するときの断面図。(c)パネルロック部がパネルロックリングに収まったときの断面図。
【図34】可動パネルの端部の平面図。
【図35】昇降装置のワイヤの先端に連結される吊り金具の正面図。
【図36】(a)吊り金具が連結される吊り金具連結部材の平面図。(b)(a)のX−X線での断面図。
【図37】(a)吊り金具が連結される直前の吊り金具連結部材の平面図。(b)(a)のY−Y線での断面図。
【図38】(a)ロック装置の平面図。(b)ロック装置の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0043】
〔第1実施形態〕
<空調室内機2の構成>
図1は本発明の第1実施形態に係る空調室内機の外観斜視図である。図1において、空調室内機2は、下面に吸込口20a及び吹出口20bを有する本体20と、吸込口20aを開閉する可動パネル24及び吹出口20bを開閉する第1風向調節羽根52とを備えている。吸込口20aと吹出口20bとは一定距離を隔てて隣接しており、吹出口20bから吹き出された空気が吸込口20aに吸い込まれる現象、いわゆるショートサーキットが発生しないようになっている。本体20の下面は、化粧パネル21によって覆われており、実際に天井面に露出するのは化粧パネル21であって、吸込口20a及び吹出口20bの輪郭は化粧パネル21によって形成されている。
【0044】
図2(a)は、空調室内機の運転停止時の側面図であり、(b)は、その空調室内機の運転時の側面図であり、(c)は、メンテナンス時の側面図である。図2(a),(b),(c)において、空調室内機2が停止しているとき、可動パネル24は化粧パネル21と見かけ上一体化している。図2(b)において、空調室内機2が稼動するとき、可動パネル24は吸込口20aを開き、第1風向調節羽根52は吹出口20bを開く。可動パネル24の一端は蝶番によって本体20に支持されており、可動パネル24は回動して吸込口20aを開ける。
【0045】
また、図2(c)において、可動パネル24は、本体20側から延びるワイヤ71に吊られた状態で使用者の手が届くメンテナンス位置まで降下することができる。但し、可動パネル24は、一端が蝶番によって本体20に支持されている状態ではメンテナンス位置まで降下することができないので、一旦、吸込口20aを閉じて、本体20による支持が解除されたのちにメンテナンス位置まで降下する。
【0046】
図3は、空調室内機の断面図である。図3において、空調室内機2は、フィルタ9、フィルタ清掃機構10、室内熱交換器12、室内ファン13、ドレンパン14及び吹出口モジュール50をさらに備えている。空調室内機2の運転時、吸込口20a及び吹出口20bが開き、室内ファン13が回転し、空気が吸込口20aから吸い込まれる。
【0047】
(室内熱交換器12)
室内熱交換器12は、2つの熱交換器が異なる傾斜姿勢で隣接した形状をしており、説明の便宜上、上側の熱交換器を上部熱交換器12a、下側の熱交換器を下部熱交換器12bと呼ぶ。
【0048】
上部熱交換器12aの上端は本体20の内側上部に位置し、上端から下端に向って傾斜する角度は、鉛直線に対して45°以下に設定されており、結露水が確実に上部熱交換器12aを伝わってドレンパン14に向う。このため、ドレンパン14は、上部熱交換器12aの下方全域に配置される必要が無く、上部熱交換器12aの下端近傍の下方にだけ配置されている。
【0049】
下部熱交換器12bの上端は、上部熱交換器12aの下端に近接して配置されており、上端から下端に向って傾斜する角度は、鉛直線に対して45°を超えている。このため、結露水が直接落下する可能性があるので、ドレンパン14は、下部熱交換器12bの下方全域に配置されている。
【0050】
上部熱交換器12aは、下部熱交換器12bよりも長い寸法に設定されており、下端コーナーが、下部熱交換器12bの上端中央に近接している。このため、上部熱交換器12aを下部熱交換器12bより長くした分量を相殺している。
【0051】
(室内ファン13)
室内ファン13は、クロスフローファンであり、幅寸法が直径よりも長く、回転軸と垂直な方向から空気を吸い込むので、単一の吸込口20aから空気を吸い込んで、単一の吹出口20bへ吹き出すことができる。吸い込まれた空気は、フィルタ9及び室内熱交換器12を通過して室内ファン13に入る。これ以後、吸込口20aから室内ファン13までの空気流路を吸込流路31aと呼ぶ。
【0052】
室内ファン13から吹き出された空気は、吹出口モジュール50を通過して吹出口20bから吹き出される。吹出口20bには、吹出口モジュール50の構成部品である第1風向調節羽根52が配置されており、第1風向調節羽根52は、モータによって傾斜角度の調節が可能であり、運転停止時は、第1風向調節羽根52が吹出口20bを閉じる。これ以後、室内ファン13から吹出口20bまでの空気流路を吹出流路(第2吹出流路41a、第1吹出流路51a)と呼ぶ。室内ファン13とドレンパン14との間で且つ第2吹出流路41a側には、舌部15が設けられており、この舌部15が吹出空気の漏れを防止して、性能を向上させている。そして、下部熱交換器12bの下端部が、舌部15の下方に位置するので、従来(例えば、特開平10−205796参照)のような舌部と熱交換器との位置関係に比べてデッドスペースを有効利用することができる。なお、舌部15は、室内ファン13及びドレンパン14とは独立した部材である。
【0053】
(本体20)
空調室内機2は、可動パネル24の上方に、フィルタ清掃機構10を備えているので、フィルタ清掃機構10を備えていない標準空調室内機と比較して本体20の高さ寸法が大きくなる。空調室内機2は、標準空調室内機の本体を利用するために、標準空調室内機の本体に拡張枠を連結している。
【0054】
図4は、空調室内機の本体の分解斜視図である。図4において、本体20は、上部本体26、本体拡張枠27及び下部本体28に大別される。上部本体26には、図3で示した吸込流路31a及び第2吹出流路41aを形成する発泡スチロール、室内熱交換器12及び室内ファン13が含まれる。本体20の組立順序は、上部本体26に本体拡張枠27を連結し、本体拡張枠27に下部本体28が連結される。本体拡張枠27は、上部本体26と下部本体28とを繋ぐ中間部材であり、外殻は板金製で直方体形状をしており、下部本体28の重量増加に対して、充分な強度を有している。下部本体28には、図3で示したフィルタ清掃機構10、化粧パネル21及び吹出口モジュール50などが配置される。
【0055】
図5は、下部本体の分解斜視図である。図5において、化粧パネル21の上面には、ヒンジ連結装置6、昇降装置7、フィルタ清掃機構10のフィルタ収納枠104、吹出口モジュール50及び吹出口モジュールケース50aが装着されている。化粧パネル21の下面には、可動パネル24が装着されている。
【0056】
図6は、空調室内機の化粧パネルの平面図であり、図7は、図6のA方向から視た化粧パネルの斜視図であり、図8は、図6のB方向から視た化粧パネルの斜視図である。図6、図7及び図8において、吹出口モジュール50及びフィルタ清掃機構10のフィルタ収納枠104は、化粧パネル21の上面に長手方向に沿って配置される。吹出口モジュール50及びフィルタ収納枠104は、化粧パネル21の幅方向に並んで隣接している。
【0057】
フィルタ収納枠104の両端には、フィルタ駆動モータ104fが取り付けられている。フィルタ駆動モータ104fは、歯車を介してローラー102を回転させ、フィルタ9を移動させる。化粧パネル21の両端近傍には、昇降装置7がフィルタ収納枠104を挟むように配置されている。なお、説明の便宜上、図6の平面視左側の昇降装置7を第1昇降装置701と呼び、平面視右側の昇降装置7を第2昇降装置702と呼ぶ。
【0058】
第2昇降装置702の周辺領域は、第1昇降装置701の周辺領域と比べて狭く、第2昇降装置702は、占有空間を抑制するために、化粧パネル21の幅方向に対して傾斜した状態でフィルタ収納枠104に近接しており、図7に示すように、フィルタ駆動モータ104fが、第2昇降装置702の中央の隙間を占有するように位置している。
【0059】
一方、第1昇降装置701の周辺領域は、第2昇降装置702の周辺領域に比べて広く設定されており、フィルタ駆動モータ104f以外に、ブラシ駆動モータ108f、第1風向調節羽根駆動部57、第2風向調節羽根駆動部58及び電装品箱40(図8参照)が配置されている。
【0060】
<フィルタの掃除機構10>
図9は、フィルタ清掃機構のフィルタ収納枠の分解斜視図である。図9において、フィルタ収納枠104には、縁にラック101が形成されているフィルタ9、ピニオン歯車102aを有するローラー102、フィルタ9の浮き上がりを防止するフィルタ安定板103、及びフィルタ9の移動経路を形成するフィルタ収納枠104が取り付けられる。
【0061】
(フィルタ9)
フィルタ9は、網部9aと網部9aの周囲を保持する縁部9bを有しており、図3に示すように室内熱交換器12の前面側に配置され、室内から取り込まれた空気から塵埃を除去する。これにより、フィルタ9は、空気中に浮遊する塵埃が室内熱交換器12の表面を汚染することを防止している。フィルタ9の縁部9bには、ピニオン歯車102aと噛み合うラック101が形成されている。
【0062】
(ローラー102)
ローラー102は、複数のピニオン歯車102aと、複数のピニオン歯車102aを同軸上に連結する連結軸102bとを有している。ピニオン歯車102aは、フィルタ9のラック101と噛み合い、回転することによってフィルタ9を水平に移動させる。
【0063】
(フィルタ収納内枠104)
フィルタ収納枠104は、上枠104aと下枠104bとを有しており、上枠104aと下枠104bとが一定の間隔を隔てて上下に重なることによって、フィルタ収納部が形成される。また、上枠104aには、モータ収納部104cが形成されており、ピニオン歯車102aと噛み合う伝達歯車104d、伝達歯車104dを駆動する駆動歯車104e、及び駆動歯車104eを回転させるフィルタ駆動モータ104fが収納される。
【0064】
ここで、フィルタ駆動モータ104f及びブラシ駆動モータ108fのフィルタ収納枠104に対する位置関係、及び上記フィルタ収納部について図面を参照しながら詳細を説明する。図10は、フィルタ収納枠の内部の断面図である。なお、図10では、フィルタ駆動モータ104f及びブラシ駆動モータ108fのフィルタ収納枠104に対する位置が明確になるように、フィルタ駆動モータ104f及びブラシ駆動モータ108fを2点鎖線で表示している。フィルタ駆動モータ104f及びブラシ駆動モータ108fは、フィルタ収納枠104の長手方向の両側、すなわち吸込口20aの長手方向の両側の上方に位置している。
【0065】
図10において、フィルタ駆動モータ104fの回転軸に駆動歯車104eが連結され、この駆動歯車104eに伝達歯車104dが噛み合っている。この伝達歯車104dがローラー102のピニオン歯車102aを回転させる。フィルタ収納部は、前方収納部105と後方収納部106とから成り、前方収納部105及び後方収納部106の長さは、フィルタ9の長手方向の長さに相当する。
【0066】
図11(a)は、フィルタが前方収納部にあるときのフィルタ収納部の断面図であり、(b)は、フィルタが後方収納部にあるときのフィルタ収納部の断面図であり、(c)は、フィルタを取り出すときのフィルタ収納部の断面図である。図11(a),(b),(c)において、前方収納部105は、フィルタ9が後方収納部106へ移動するときの経路となる直線状の前方収納経路105aを有し、後方収納部106は、前方収納部105から移動してくるフィルタ9を導く後方収納経路106aを有する。
【0067】
図3に示すように、前方収納部105の終端部は、吸込流路31aを形成する壁から外側方向へ窪んだ凹部32に嵌まり込んでおり、空調室内機2が稼動しているとき、フィルタ9の縁部9bが吸込流路31aに露出しないようになっている。また、後方収納部106は、吸込口20aと吹出口20bとの間で、且つドレンパンの下方に位置している。
【0068】
後方収納経路106aには、第1湾曲領域106bと第2湾曲領域106cとがあり、第1湾曲領域106bは、ローラー102によって繰り出されたフィルタ9をピニオン歯車102aの中心へ近づく方向に湾曲させる。第2湾曲領域106cは、第1湾曲領域106bと反対の方向へフィルタ9を湾曲させる。
【0069】
また、フィルタ9は、フィルタ押え91によって下方から支えられており、使用者が、フィルタ9をメンテナンスするためにフィルタ収納枠104から取り出すときは、フィルタ押え91を下方へ回動させて、フィルタ9を引き出す。
【0070】
(位置検知スイッチ107)
図11において、フィルタ9は、フィルタ収納枠104内を移動し所定の位置で停止する。フィルタ9の停止位置は、位置検知スイッチ107によって検知される。位置検知スイッチ107は、前方収納部105の終端近傍、及び後方収納部106の終端近傍に配置されている。位置検知スイッチ107の外側には、レバーが蝶番によって装着されており、外力が加わると回動して位置検知スイッチ107のボタンを押す。
【0071】
(ブラシ108)
図10に示すように、ブラシ108の毛108aは、フィルタ9を挟んでローラー102と反対側に位置しフィルタ9に接触している。つまり、フィルタ9の上側にローラー102があり、フィルタ9の下方にブラシ108がある。毛108aの回転軸上には、最終伝達歯車108cが連結されており、ブラシ駆動モータ108fの回転軸には駆動歯車108eが連結されている。この駆動歯車108eと中間伝達歯車108dとが噛み合い、中間伝達歯車108dと最終伝達歯車108cとが噛み合っている。
【0072】
また、ブラシ108は、直線状の前方収納経路105aと湾曲した後方収納経路106aとの間に位置するので、フィルタ9が前方収納経路105aと後方収納経路106aとの間を移動するときに、ブラシ108は、フィルタ9の網部9a全域に接触することができる。
【0073】
なお、最終伝達歯車108cと中間伝達歯車108dとの噛み合いは、可動パネル24の開時および下降時には外れ、最終伝達歯車108cは、可動パネル24及びブラシ108と共に移動する。そして、可動パネル24が吸込口20aを閉じたとき、最終伝達歯車108cと中間伝達歯車108dとは再び噛み合う。
【0074】
図12は、可動パネルの分解斜視図であり、図12において、ブラシ108の毛108aは、回転軸108bに固定されている。毛108aは、プラスチック製の細い毛であるので、フィルタ9の網目に入り込んで塵埃を確実に除去することができる。最終伝達歯車108cは、回転軸108bの両端に連結されている。
【0075】
(ダストボックス109)
図12において、ダストボックス109は、上部の吹出口20b寄りに、塵埃取り込み口109aを有しており、塵埃取り込み口109aの長手方向の両端で、軸受109bを介して回転軸108bを支持する。さらに、塵埃取り込み口109aには、ブラシ108がフィルタ9から掻き取った塵埃をブラシ108からふるい落とす櫛部109cが取り付けられている。
【0076】
図2(b)に示すように、ダストボックス109は可動パネル24の回動軸側に寄って取り付けられており、ブラシ108が吸込口20aの端のさらに吹出口20b寄りに近づくので、可動パネル24が回動して吸込口20aを開けたとき、ブラシ108と共にフィルタ9から離れ、吸込空気の進路を妨害しない。また、ダストボックス109へ向って来る空気を滑らかにフィルタ9へ向わせるために、ダストボックス109の吸込空気と対向する面109dは傾斜し、空気抵抗を低減している。
【0077】
ダストボックス109が可動パネル24に固定されたとき、可動パネル24はダストボックス109によって構造的に補強されるので、従来、補強用として使用されていた板金部材の使用率が減少する。
【0078】
(フィルタの清掃動作)
空調室内機2では、制御部により定期的に、或いは使用者が必要とするときにリモコンによってフィルタ9が自動的に清掃される。以下、その仕組みについて説明する。
【0079】
図11において、フィルタ9のラック101は、前方収納経路105aに収まっており、ラック101の一端(以後、第1端部101aとよぶ)はピニオン歯車102aと噛み合っている。ローラー102が回転するとき、ピニオン歯車102aからラック101に回転が伝達され、フィルタ9のラック101は、ローラー102によって後方収納経路106a側へ搬送される。ローラー102が回転し続けることによって、ラック101の第1端部101aは後方収納経路106aの終端に到達する。
【0080】
ラック101の第1端部101aが後方収納経路106aの終端に到達したとき、第1端部101aが位置検知スイッチ107のレバーを回動させオン動作させる。制御部は、位置検知スイッチ107から出力されるオン信号からラック101の第1端部101aが後方収納経路106aの終端に到達したと判断し、ローラー102の回転を停止させる。このとき、フィルタ9のラック101の全域が、後方収納経路106aに収まっており、ラック101の他端(以後、第2端部101bとよぶ)はピニオン歯車102aと噛み合っている。
【0081】
図3及び図11において、フィルタ9が移動する際に、フィルタ9の表面に付着していた塵埃はブラシ108によって掻き取られ、ダストボックス109に貯えられる。ブラシ108は、少なくともフィルタ9が前方収納経路105aから後方収納経路106aへ移動している期間中は回転しており、その回転方向は、フィルタ9の進行方向に逆らう方向である。
【0082】
フィルタ9が前方収納経路105aから後方収納経路106aへ移動し塵埃の除去が終了したとき、制御部は、ローラー102を逆回転させる。フィルタ9のラック101の第2端部101bは、ピニオン歯車102aと噛み合っているので、ピニオン歯車102aからラック101に回転が伝達され、フィルタ9は、ローラー102によって前方収納経路105a側へ搬送される。ローラー102が逆回転し続けることによって、ラック101の第2端部101bは前方収納経路105aの終端に到達する。
【0083】
ラック101の第2端部101bが前方収納経路105aの終端に到達しととき、第2端部101bが位置検知スイッチ107のレバーを回動させオン動作させる。制御部は、位置検知スイッチ107から出力されるオン信号からラック101の第2端部101bが前方収納経路105aの終端に到達したと判断し、ローラー102の回転を停止させる。このとき、フィルタ9のラック101は、前方収納経路105aに収まっており、ラック101の第1端部101aはピニオン歯車102aと噛み合っている。
【0084】
<可動パネル24の動作に関連する装置>
図13は、化粧パネルの斜視図である。図13に示すように、化粧パネル21の天井側の面上には、昇降装置7以外に、ヒンジ連結装置6及びロック装置8が配置されている。以下、ヒンジ連結装置6、昇降装置7及びロック装置8の詳細構造について順に説明する。
【0085】
(ヒンジ連結装置6)
ヒンジ連結装置6は、空調室内機2が稼動するとき、可動パネル24の一端を回動可能に支持し、可動パネル24をメンテナンス位置まで降下させるとき、可動パネル24の一端の支持を解除する。
【0086】
図14は、ヒンジ連結装置の分解斜視図である。図14において、ヒンジ連結装置6は、回動部材61、滑り部材62、第1ピン63、ピニオン歯車64、モータ65、固定部材66、第2ピン67及びネジ68を有している。回動部材61は、U字状の固体物であって、端面から外側に向ってと棒状の支持軸61aが突出している。さらに、回動部材61の一端部には、軸孔61bが形成されている。
【0087】
滑り部材62は、ピニオン歯車64と噛み合うラック62aと、回動部材61の軸孔61bの両端を挟むアーム62bとが形成されている。さらに、アーム62bには、第1滑り孔62cが形成され、ラック62aの根元近傍には、第2滑り孔62dが形成されている。モータ65は、ステッピングモータであり、ピニオン歯車64を回転させる。モータ65は、ネジ68が通る貫通孔65aを有する。
【0088】
固定部材66には、滑り部材62を滑り移動可能に保持する滑り空間66aと、ピニオン歯車64が挿入される歯車空間66bと、ネジ68と螺合するネジ孔66cとが形成されている。さらに、滑り空間66aを形成する壁には、第1貫通孔66dと第2貫通孔66eとが形成されている。
【0089】
固定部材66の滑り空間66aに滑り部材62が配置され、その滑り部材62のアーム62bに回動部材61の軸孔61bが挟まれるように配置される。第1ピン63は、固定部材66の第1貫通孔66dの一端から挿入され、滑り部材62の第1滑り孔62c及び回動部材61の軸孔61bを通って第1貫通孔66dの他端に出る。
【0090】
第2ピン67は、第2貫通孔66eの一端から挿入され、滑り部材62の第2滑り孔62dを通って第2貫通孔66eの他端に出る。その結果、滑り部材62は、第1ピン63及び第2ピン67に沿って滑り空間を水平移動することができ、回動部材61は、第1ピン63を中心に回動することができる。
【0091】
(ヒンジ連結装置6の動作)
図13、図14において、モータ65がピニオン歯車64を回転させると、ピニオン歯車64と噛み合うラック62aに動力が伝達されて滑り部材62は第1ピン63に沿って滑り移動し、滑り部材62の移動に伴って回動部材61が可動パネル24の方向、或はその反対の方向へ移動する。ここで説明の便宜上、回動部材61を可動パネル24と連結する方向へ移動するようにモータ65が回転することを正転と呼び、回動部材61と可動パネル24との連結を解除する方向へ移動するようにモータ65が回転することを逆転と呼ぶ。
【0092】
可動パネル24の端部には、回動部材61に支持軸61aと対峙する支持孔24c(図12参照)が設けられており、モータ65が正転し、支持軸61aが可動パネル24の支持孔24cに挿入されたときは、回動部材61と可動パネル24との連結が成立し、可動パネル24は、第1ピン63を中心に回動することができる。
【0093】
一方、モータ65が逆転し、支持軸61aが可動パネル24の支持孔24cから抜け出たときは、回動部材61と可動パネル24との連結が解消され、可動パネル24は、第1ピン63を中心に回動することができない。
【0094】
(昇降装置7)
図15は、昇降装置の分解斜視図である。図15において、昇降装置7は、ワイヤ71、滑車72、ボビン73、巻取り歯車74、駆動歯車75、昇降モータ76、スイッチ77及びケース78を有している。
【0095】
滑車72は、滑車部72aとカム部72bとが一体に成形されており、滑車部72aは、ワイヤ71を支え、ワイヤ71の移動に伴って回転する。カム部72bは、小径曲面と大径曲面とそれら両曲面を結ぶ平面とから成る。
【0096】
ボビン73は、ワイヤ71を巻取る。巻取り歯車74は、ボビン73と同軸で連結され一体的に回転する。駆動歯車75は、巻取り歯車74と噛み合いボビン73を回転させる。
【0097】
昇降モータ76は、ステッピングモータであり駆動歯車75を回転させる。昇降モータ76の回転数は、制御部から供給されるパルス数によって制御される。なお、制御部は、CPU、メモリ及びモータドライブ回路を搭載しており、昇降装置7から離れた他の位置に配置されている。昇降モータ76と制御部はワイヤハーネスによって電気的に接続されている。
【0098】
スイッチ77は、レバー77aを有するマイクロスイッチであり、レバー77aが押されることによってオンする。レバー77aは、常に滑車72のカム部72bと接触しており、カム部72bの大径曲面と対峙したときに押される。スイッチ77も、制御部とワイヤハーネスによって電気的に接続されている。
【0099】
ケース78は、支持ケース78aとカバー78bとに分割されている。支持ケース78aには、滑車72を支持する第1軸79a、ボビン73と巻取り歯車74とを支持する第2軸79b、スイッチ77を支持する第3軸79cが形成されている。カバー78bは、支持ケース78aに支持された各部品を覆って保護する。
【0100】
(昇降装置7の動作)
図16は、昇降装置内部の部品の配置図である。図16において、昇降装置7がワイヤ71を繰り出す場合、昇降モータ76は駆動歯車75をCCW方向へ回転させ、巻取り歯車74をCW方向へ回転させる。これによって、ボビン73がワイヤ71を繰り出す方向に回転する。
【0101】
一方、昇降装置7がワイヤ71を巻き取る場合、昇降モータ76は駆動歯車75をCW方向へ回転させ、巻取り歯車74をCCW方向へ回転させる。これによって、ボビン73がワイヤ71を巻き取る方向に回転する。紐の繰り出し量および巻き取り量は、昇降モータ76の回転量に比例しており、制御部が、昇降モータ76へ供給するパルス数を制御することによって、ワイヤ71の繰り出し量および巻き取り量が制御される。
【0102】
ワイヤ71の先端には可動パネル24が連結されるため、ワイヤ71には常に張力が発生しており、ワイヤ71が繰り出されるとき、又はワイヤ71が巻き取られるとき、滑車部72aがワイヤ71との摩擦力によって回転する。このとき、カム部72bも回転するので、スイッチ77は、レバー77aがカム部72bの大径曲面と対峙したときにオン信号を発し、レバー77aが小径曲面と対峙したときにはオフ信号を発する。滑車72が回転している間は、オン信号とオフ信号が交互に発生し、これらの信号は、すべて制御部に入力される。
【0103】
しかし、何らかの要因でワイヤ71が弛み張力がなくなった場合、例えば、メンテナンスのためにワイヤ71を繰り出して可動パネル24を降下させているときに、所定の繰り出し量に達する前に、可動パネル24がテーブルなどの上に着地して停止した場合には、ワイヤ71と滑車部72aとの摩擦力が減退し滑車72が停止する。このため、スイッチ77からは、オン信号又はオフ信号のいずれか一方が連続的に出力される。このとき、制御部では、昇降モータ76が回転しているときにスイッチ77からの信号が一定になっていることから、可動パネル24が何らかの障害物によって停止したと推定し、直ちに昇降モータ76を停止させる。
【0104】
(ロック装置8)
可動パネル24が吸込口20aを閉じているとき、可動パネル24を本体20に支持しているのは、ヒンジ連結装置6と昇降装置7である。不測の要因で、ヒンジ連結装置6が誤動作し可動パネル24の支持を解除し、昇降装置7のワイヤ71が緩んでしまったときでも可動パネル24が落下しないように、空調室内機2はロック装置8をさらに備えている。
【0105】
図17は、ロック装置の斜視図である。図17において、ロック装置8は、可動体81、第1保持部82、第2保持部83、モータ84及びスプリング85を有している。可動体81は、四角柱形状を成し、その一端には傾斜面811が形成され、全長が最長である長側面812には所定の歯車と噛み合うラック81aが形成され、ラック81aの下方には中空部81bが形成されている。可動体81は、長側面812を鉛直上方に向け、第1保持部82に移動可能な状態で保持されている。
【0106】
第1保持部82は、上面と一側面とが開放された直方体形状の筐体であり、底面に案内溝82aが形成されており、可動体81がその案内溝82aに沿って水平移動する。案内溝82aの両端は壁821,822で挟まれており、一方の壁821には可動体81が通る貫通口82bが形成されている。案内溝82aの両端を挟む壁821,822には壁823が隣接しており、壁823には、案内溝82aと直交する方向に突出する板状突起82cが形成されている。可動体81は第1保持部82に保持されているとき、傾斜面811は常に第1保持部82の外側に位置し、ラック81aは常に第1保持部82の内部に位置する。そして、第1保持部82の板状突起82cは、可動体81の中空部81bを貫通している。
【0107】
壁823は、モータ84を固定し、モータ84の回転軸に連結されたピニオン歯車84aを回転可能に支持している。ピニオン歯車84aは、可動体81のラック81aと噛み合い、ラック&ピニオン機構を成している。可動体81の中空部81bには、スプリング85が収納されている。スプリング85は、圧縮コイルスプリングであって、中空部81bの端部と板状突起82cとで挟まれている。
【0108】
第2保持部83は、可動体81が通る案内孔83aが形成された固体物であって、可動パネル24側に設置される。第2保持部83の上面には滑らかな曲面831が形成されている。
【0109】
(ロック装置8の動作)
図17において、可動体81は、第1保持体82と第2保持体83に保持された状態であり、その状態でモータ84がピニオン歯車84aをCCW方向へ回転させたとき、ピニオン歯車84aの回転運動はラック81aによって直線運動に変換され、可動体81が壁822に向って滑り移動する。可動体81が所定距離移動したとき、可動体81は第2保持部83の案内孔83aから離れる。可動体81を保持しない第2保持体83は、上下方向の移動が許容されるので、可動パネル24の降下を妨げない。
【0110】
可動体81の移動によって、中空部81bの側面と板状突起82cとの距離が短くなるので、スプリング85は圧縮され反発力を貯える。モータ84は、電力が供給されている間、スプリング85の増加する反発力に抗して回転するが、電力が供給されなくなったとき、スプリング85の反発力によって逆回転し、可動体81は元の位置へ復帰する。
【0111】
可動パネル24が降下せず第2保持部83が移動していないとき、可動体81は第2保持部83の案内孔83aに入る。一方、可動パネル24が降下して第2保持部83が移動しているとき、第2保持部83が復帰する軌道上で待機する。そして、可動パネル24が上昇して吸込口20aを閉じたとき、第2保持部83は、曲面831を可動体81の傾斜面811に当てて、可動体81を押しのけて復帰する。
【0112】
第2保持部83に押された可動体81は、水平移動しスプリング85を圧縮する。第2保持部83が完全に復帰したとき、可動体81は、第2保持部83の案内孔83aを貫通する。その結果、可動体81が可動パネル24の降下を妨げることになる。
【0113】
(可動パネルの開閉動作)
図18は、可動パネルが吸込口を開いた状態の斜視図である。図18において、ヒンジ連結装置6が可動パネル24を連結した状態で、ロック装置8がロックを解除し、昇降装置7がワイヤ71を繰り出したとき、可動パネル24は自重によって降下する。しかし、可動パネル24の端部はヒンジ連結装置6に連結されているので、可動パネル24は端部を軸として吸込口20aを開く方向へ回動する。
【0114】
一方、昇降装置7がワイヤ71を巻き取るとき、可動パネル24は上昇するが、可動パネル24の端部がヒンジ連結装置6に連結されているので、可動パネル24は端部を軸として吸込口20aを閉じる方向へ回動する。可動パネル24が吸込口20aを完全に閉じたとき、ロック装置8が可動パネル24をロックする。
【0115】
(可動パネルの昇降動作)
図19は、可動パネルが降下している状態の斜視図である。図19において、ヒンジ連結装置6が可動パネル24の端部との連結を解除し、ロック装置8が可動パネル24のロックを解除し、昇降装置7がワイヤ71を繰り出したとき、可動パネル24は自重によって降下する。一方、昇降装置7がワイヤ71を巻き取るとき、可動パネル24は上昇し、可動パネル24が吸込口20aを完全に閉じたとき、ロック装置8が可動パネル24をロックする。
【0116】
可動パネル24は2本のワイヤに吊られて、ダストボックス109と共に降下するので、ダストボックス109を含めた可動パネル24の総重量は増加しており、室内の気流によって姿勢が不安定になることはない。但し、塵埃が、ダストボックス109内に偏って集積されているときは重心が変動する。このため、本実施形態では、ダストボックス109内に塵埃が満載されているときの姿勢と、ダストボックス109内が空のときの姿勢とがほぼ同姿勢となるように、可動パネル24上のダストボックス109の寸法と位置が設定されている。
【0117】
具体的には、ダストボックス109の長手方向の全長は、可動パネル24の長手方向の全長の1/2以上に設定されている。また、ダストボックス109の幅方向の全長は、可動パネル24の幅方向の全長の1/3以上に設定されている。そして、ダストボックス109は、可動パネル24が回動するときの回動軸に寄って配置されている。
【0118】
<ダストボックス109の取り出し機構>
ダストボックス109内に貯えられた塵埃を捨てるときは、ダストボックス109が空調室内機2の可動パネル24から取り外される。しかし、ダストボックス109は、使用者の手の届かない可動パネル24に取り付けられているので、使用者は、使用者の手が届くメンテナンス位置まで可動パネル24を降下させてから、ダストボックス109を可動パネル24から取り外す。可動パネル24の降下の仕組みは、可動パネル24の昇降動作のところで詳細を述べているので説明を省略し、ここでは降下した可動パネル24からダストボックス109を取り外す方法について説明する。
【0119】
図20は、ダストボックス及びダストボックスが取り出された後の昇降パネルの斜視図である。図20において、可動パネル24には、ダストボックス109が収納される収納部24aが形成されている。図20を正面から見たとき、左側端部には取り出し機構の第1押し出し部110が配置されており、右側端部には取り出し機構の第2押し出し部210が配置されている。
【0120】
図21は取り出し機構の斜視図であり、図22は取り出し機構の分解斜視図である。図21において、取り出し機構は、第1押し出し部110、第2押し出し部210及び伝達部310から成る。第1押し出し部110は、ボタン151を有しており、ユーザーがこのボタン151を押すことによって、第1押し出し部110がダストボックス109の一端近傍を可動パネル24の上方へ押し出し、同時に、第2押し出し部210がダストボックス109の他端近傍を可動パネル24の上方へ押出す。
【0121】
図22に示すように、第1押し出し部110、第2押し出し部210及び伝達部310は複数の部品で組立てられている。図22において、第1押し出し部110は、第1カム部材111、第1位置決め部材121、第1カバー131、第1板バネ141、ボタン151及びコイルバネ161を含んでいる。第2押し出し部210は、第2カム部材211、第2位置決め部材221、第2カバー231及び第2板バネ241を含んでいる。伝達部310は、伝達部材311、調節ネジ313及び接続部材314を含んでいる。
【0122】
(第1押し出し部110の関連部材)
(第1カム部材111)
第1カム部材111は、フック112、受けカム113、押しカム114、接続部115及び軸116が一体に成形された樹脂部品であり、3つの機能を有している。第1カム部材111の第1の機能は、ダストボックス109を収納部24aに保持する機能であり、ダストボックス109が収納部24aに装着されたときに、フック112がダストボックス109の両端に設けられた凹部109e(図20参照)に嵌り、ダストボックス109が上方へ突出することを防止している。つまり、フック112がダストボックス109の保持部材として機能している。
【0123】
第1カム部材111の第2の機能は、ダストボックス109を収納部24aから押し出す機能であり、受けカム113がボタン151に押されたとき、押しカム114が軸116を中心に回転し、ダストボックス109の端部を収納部24aの上方へ押出す。つまり、押しカム114が、ダストボックス109の押出部材として機能している。
【0124】
第1カム部材111の第3の機能は、伝達部材311を引っ張る機能であり、接続部115に設けられた孔115aには、伝達部材311の一端が掛かっており、接続部115が軸116を中心に回転したときに、伝達部材311が引っ張られる。
【0125】
(第1位置決め部材121)
第1位置決め部材121は、ケース122、ボタンケース123及び取付板124が一体に成形された樹脂部品であり、3つの機能を有している。第1位置決め部材121の第1の機能は、第1カム部材111を保持する機能であり、ケース122が軸受125を介して第1カム部材111の軸116を回転可能に支持している。但し、ケース122が第1カム部材111の押しカム114を囲んでいるので、第1カム部材111は反時計方向へ回転することはできない。
【0126】
第1位置決め部材121の第2の機能は、ボタン151とコイルバネ161を保持する機能である。ボタンケース123の壁面にはボタン151を往復移動可能に支持する案内溝123aが設けられ、ボタンケース123の中央にはコイルバネ161を支持する支持棒123bが設けられている。コイルバネ161は、ボタンケース123とボタン151とで挟まれ圧縮されるので、ボタン151に反発力が生じる。
【0127】
第1位置決め部材121の第3の機能は、第1押し出し部110を可動パネル24に固定する機能であり、第1位置決め部材121が取付板124の取付穴124aを介して収納部24aにネジ締結される。
【0128】
(第1カバー131)
第1カバー131は、隔壁132とバネケース133とが一体に成形された樹脂部品であり、2つの機能を有する。第1カバー131の第1の機能は、ダストボックス109の収納部24aの端部と可動パネル24とを仕切る機能であり、ダストボックス109が収納部24aから取り出されたとき、隔壁132が、収納部24aの端部を塞ぎ、可動パネル24内部が外から見えることを防止している。第1カバー131の第2の機能は、第1板バネ141を保持する機能であり、隔壁132のほぼ中央に第1板バネ141が収納されるバネケース133が設けられている。
【0129】
(第1板バネ141)
第1板バネ141は、バネ用ステンレス鋼板で成形された部品であり、ダストボックス109を長手方向に押して固定する機能を有している。第1板バネ141によって、収納部24aにおけるダストボックス109のガタツキが防止されている。
【0130】
(ボタン151)
ボタン151は、操作部152とガイド部153が一体に成形された樹脂部品であり、第1カム部材111を回転させる機能を有している。操作部152の表面には、押しボタンであることをユーザーに示唆する文字が表示されている。ガイド部153は、第1位置決め部材121のボタンケース123と嵌合し、往復直線運動が許容されている。操作部152を押すと、ガイド部153が直進して第1カム部材111の受けカム113を押し、第1カム部材111を軸116周りに回転させる。
【0131】
ガイド部153の所定の箇所には、ボタンケース123の案内溝123aとスナップフィットで嵌合する爪153aが設けられている。爪153aは、案内溝123aの長手方向に沿って移動が許可されている。
【0132】
(コイルバネ161)
コイルバネ161は、バネ用ステンレス鋼線でコイル状に成形された部品であり、ボタン151に、押し方向とは反対の力を作用させる機能を有している。コイルバネ161は、ボタンケース123の支持棒123bに挿入された後に、ボタンケース123と、ボタン151のガイド部153とによって圧縮されるので、ボタン151に反発力が生じる。
【0133】
(第2押し出し部210の関連部材)
(第2カム部材211)
第2カム部材211は、フック212、押しカム214、接続部215及び軸216が一体に成形された樹脂部品であり、2つの機能を有している。第2カム部材211の第1の機能は、ダストボックス109を収納部24aに保持する機能であり、ダストボックス109が収納部24aに装着されたときに、フック212がダストボックス109の両端に設けられた凹部109e(図20参照)に嵌り、ダストボックス109が上方へ突出することを防止している。つまり、フック212がダストボックス109の保持部材として機能している。
【0134】
第2カム部材211の第2の機能は、ダストボックス109を収納部24aから押し出す機能であり、接続部215が伝達部材311に引っ張られたとき、押しカム214が軸216を中心に回転し、ダストボック109の端部を収納部24aの外側へ押出す。つまり、押しカム214が、ダストボックス109の押出部材として機能している。
【0135】
接続部215は、軸216と並行な方向へ延びる円柱であり、軸216の中心と接続部215の中心とは所定距離だけ離れている。第2カム部材211が回転するとき、接続部215は軸216を中心に円弧を描く。
【0136】
(第2位置決め部材221)
第2位置決め部材221は、ケース222及び取付板224が一体に成形された樹脂部品であり、2つの機能を有している。第2位置決め部材221の第1の機能は、第2カム部材211を保持する機能であり、ケース222が軸受225を介して第2カム部材211の軸216を回転可能に支持している。但し、ケース222が第2カム部材211の押しカム214を囲んでいるので、第2カム部材211は時計方向へ回転することはできない。
【0137】
第2位置決め部材221の第2の機能は、第2押し出し部210を収納部24aに固定する機能であり、第2位置決め部材221が取付板224の取付穴を介して収納部24aにネジ締結される。
【0138】
(第2カバー231)
第2カバー231は、隔壁232とバネケース233とが一体に成形された樹脂部品であり、2つの機能を有する。第2カバー231の第1の機能は、ダストボックス109の収納部24aの端部と可動パネル24とを仕切る機能であり、ダストボックス109が収納部24aから取り出されたとき、隔壁232が、収納部24aの端部を塞ぎ、可動パネル24内部が外から見えることを防止している。第2カバー231の第2の機能は、第2板バネ241を保持する機能であり、隔壁232のほぼ中央に第2板バネ241が収納されるバネケース233が設けられている。
【0139】
(第2板バネ241)
第2板バネ241は、バネ用ステンレス鋼板で成形された部品であり、ダストボックス109を長手方向に押して固定する機能を有している。第2板バネ241によって、収納部24aにおけるダストボックス109のガタツキが防止されている。
【0140】
(伝達部310の関連部材)
伝達部310は、第1押し出し部110の第1カム部材111の変位が第2押し出し部210の第2カム部材211に伝達されるように、第1カム部材111と第2カム部材211とを結ぶ。伝達部310は、伝達部材311と調節手段312とから成り、調節手段312は、調節ネジ313及び接続部材314を含む。
【0141】
(伝達部材311)
伝達部材311は、ステンレス鋼線で加工された部品であり、一方の端部311aが第1押し出し部110の第1カム部材111に連結され、他方の端部311bが第2押し出し部210の第2カム部材211に間接的に連結されている。端部311aは、接続部115の孔115aにかけられるように曲げ加工されている。端部311bは、調節ネジ313を螺合させるために、ネジ切り加工されている。
【0142】
第1カム部材111と第2カム部材211との距離は製品ごとにバラツキがあるため、作業者は、端部311bに調節ネジ313を螺合させて、端部311aから調節ネジ313までの距離を微調整し、距離の調整が完了した後、調節ネジ313を接続部材314に嵌め込んでいる。
【0143】
(調節ネジ313)
調節ネジ313は、黄銅で加工された部品であり、正六角柱状のネジ本体313aの中央には、軸方向に沿ってネジ切り加工されたネジ孔313bが設けられている。このネジ孔313bと伝達部材311の端部311bが螺合する。
【0144】
(接続部材314)
接続部材314は、保持部315と接続部316とが一体に成形された樹脂部品であり、第2カム部材211と伝達部材311とを連結する機能を有する。保持部315は、調節ネジ313を保持できるように、ネジ本体313aの複数の外側面と接触する凹部が設けられている。本実施形態では、凹部の形状は、調節ネジ313の空回りを防止するために、調節ネジ313の4つの外側面と接触するように成形されている。但し、これに限定されるものではなく、例えば、直方体形状に成形されていても、調節ネジ313の空回りを防止することができる。
【0145】
接続部316は、保持部315の所定の端面から片持ち梁状に突出し、その先端には、円形の爪が設けられている。爪は、第2カム部材211の接続部215に設けられたれ連結孔にスナップフィットで嵌合する。伝達部材311が第1カム部材111に引っ張られると、接続部材314が第2カム部材211の接続部215を引っ張る。このとき、第2カム部材211が軸216を中心に回転し、押しカム214がダストボックス109の端部を押す。
【0146】
第2カム部材211が回転するとき、接続部215は軸216を中心に円弧を描きながら移動するので、連結孔と爪とは摺動する。連結孔と爪は嵌合する軸孔と軸の関係であるので、互いにこじることはない。
【0147】
(ダストボックス109の取り外し動作及び取り付け動作)
図19において、ユーザーは、ボタン151を押してダストボックス109を収納部24aから取り外す。ボタン151が押されると、受けカム113が押されて、第1カム部材111が回転し、押しカム114がダストボックス109の一端を押す。
【0148】
第1カム部材111が回転したとき、接続部115が伝達部材311を引っ張るので、第2カム部材211は引っ張られて回転し、押しカム214がダストボックス109の他端を押す。
【0149】
ダストボックス109の両端が押されると同時に、第1カム部材111のフック112及び第2カム部材211のフック212がダストボックス109の凹部109e(図20参照)から離れるので、ダストボックス109は、収納部24aから外側へ突出する。つまり、ボタン151が、フック112,212及び押しカム114,214を動作させる操作部材として機能している。ユーザーは、ダストボックス109が可動パネル24から外れていることを容易に認識することができる。
【0150】
一方、ダストボックス109を収納部24aに取り付けるときは、ダストボックス109を収納部24aに押し込むことによって、第1カム部材111のフック112及び第2カム部材211のフック212がダストボックス109の凹部109e(図20参照)に嵌まり込み、ダストボックス109を収納部24aに保持する。
【0151】
上記のように、ダストボックス109は、ボタン151を押すだけで可動パネル24から取り外すことができ、ダストボックス109を可動パネル24の収納部24aへ押込むだけで可動パネル24にダストボックス109がロックされるので、使い勝手がよい。
【0152】
<吹出口モジュール50の構成部品>
図23は吹出口モジュールの拡大断面図であり、図24は吹出口モジュールの斜視図である。図23、図24において、吹出口モジュール50は、第1吹出流路形成壁部51、第1風向調節羽根52、第2風向調節羽根53、長羽根支持部材54、短冊状羽根支持部材55及び断熱材56がモジュール化されたものである。
【0153】
(第1吹出流路形成壁部51)
第1吹出流路形成壁部51は、空気流路の終端部に位置し吹出口20bに繋がる第1吹出流路51aを形成している。第1吹出流路形成壁部51は、第2吹出流路41aを形成する第2吹出流路形成壁部41(図3参照)の終端と向かい合う部分に、樹脂性のシール部材貼付面511を有しており、そこにシール部材59が貼り付けられる。シール部材貼付面511の幅寸法は、3mm以上に設定されている。
【0154】
第1吹出流路形成壁部51は、シール部材貼付面511から吹出口20bの方向へ延びる外壁512及び内壁513と、外壁512の終端から水平方向に延びるフランジ514をさらに有している。外壁512と内壁513とは所定距離だけ離れて、外壁512と内壁513との間に断熱空気層51bを形成している。フランジ514は、吹出口20bを挟んで吸込口20aと反対側に位置し、化粧パネル21の補強板を兼ねている。
【0155】
(第1風向調節羽根52)
第1風向調節羽根52は、吹出口20bの近傍に位置し、吹出口20bの長手方向と平行に延びる2つの長羽根52a,52bを有している。長羽根52a,52bは、長羽根支持部材54によって第1吹出流路形成壁部51に連結されており、長羽根支持部材54の支持部54a,54bが吹出口20bの長手方向と並行な軸を中心として回動し、長羽根52a,52bの傾き角度を調節する。但し、空調室内機2が停止しているときは吹出口20bを閉じる。
【0156】
(第2風向調節羽根53)
第2風向調節羽根53は、第1風向調節羽根52の上流に位置し、複数の短冊状羽根53aと1本の駆動軸53bとを有している。各短冊状羽根53aは、短冊状羽根支持部材55によって第1吹出流路形成壁部51に連結され、所定の間隔で吹出口20bの長手方向に平行に並んでいる。また、複数の短冊状羽根53aは、駆動軸53bによって繋がっており、駆動軸53bが長手方向に往復運動することによって、吹出口20bの長手方向と直行する軸を中心に遥動する。
【0157】
(第1風向調節羽根駆動部57)
第1風向調節羽根駆動部57は、第1吹出流路形成壁部51の外側で第1風向調節羽根52の延長線上に位置する。第1風向調節羽根駆動部57は、内部にステッピングモータ(図示せず)と、そのステッピングモータの回転を長羽根支持部材54に伝達する伝達歯車(図示せず)を有している。
【0158】
(第2風向調節羽根駆動部58)
第2風向調節羽根駆動部58は、第1吹出流路形成壁部51の外側で第2風向調節羽根53の駆動軸53bの延長線上に位置する。第2風向調節羽根駆動部58は、内部にステッピングモータ(図示せず)と、そのステッピングモータの回転を駆動軸53bに伝達する伝達歯車(図示せず)を有している。
【0159】
<第1実施形態の特徴>
(1)
空調室内機2では、昇降装置7の故障等によって可動パネル24を静止させる機能が著しく低下したときでも、ロック装置8の可動体81が可動パネル24の第2保持部83に嵌まり込んでいるので、可動パネル24が吸込口20aから勝手に降下するような事態が回避される。また、スプリング85だけで可動体81を第2保持部83へ移動させることができるので、電気系統の故障によりモータ84が動作しないときでも、可動パネル24を確実に拘束することができる。
【0160】
(2)
空調室内機2では、ダストボックス109が可動パネル24に配置されることによって可動パネル24の重量が増し静止姿勢が安定している。さらに、ダストボックス109を可動パネルで降下させることができるので、ダストボックス109の清掃が可能である。
【0161】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、第1実施形態と共通する部分は、同一の符号を付して説明を省略する。図25は第2実施形態に係る空調室内機の可動パネルの斜視図であり、図26は図25のC部の拡大図である。
【0162】
(ヒンジ530)
図25において、可動パネル524は、ヒンジ530によって化粧パネル21に回動可能に支持される。図26に示すように、ヒンジ530は、水平方向に延びる水平棒部531と、水平棒部531から垂直に延びるレバー532と、レバー532の端部から鉤状に曲がるフック533を有し、水平棒部531を上にした状態で静止している。
【0163】
図27は、ヒンジ単品の側面図である。図27において、ヒンジ530は、可動パネル524の回動中心となる回動軸部534をさらに有している。ヒンジ530は、可動パネル524内のバネによってD方向へ倒れるようにバネ力が作用している。
【0164】
(ヒンジ連結機構760)
図28は、可動パネルが吸込口を閉じているときのヒンジ及びヒンジ連結機構の平面図であり、図29は、可動パネルが吸込口を開けるときのヒンジ及びヒンジ連結機構の平面図であり、図30は、可動パネルが吸込口から離れるときのヒンジ及びヒンジ連結機構の平面図である。
【0165】
図28において、ヒンジ連結機構760は、ヒンジ受761,762、スライド部材764、モータ765、ヒンジ検知レバー766及びヒンジ検知スイッチ767を含んでいる。ヒンジ受761,762は、回動軸761a,762aと、ヒンジ530の水平棒部531を受ける受け部761b,762bとを有している。受け部761b,762bは、回動軸761a,762aを中心として回動することができる。
【0166】
スライド部材764は、位置決め突起764a,764bと、押し部764c,764dと、ラック764eと、手動操作部764fとを有する。位置決め突起764aはヒンジ受761に接触し、位置決め突起764bはヒンジ受762に接触し、ヒンジ受761,762の揺れを防止する。押し部764c,764dは、スライド部材764がE方向へ移動したときに、ヒンジ受761,762を押して、受け部761b,762bがヒンジ530の水平棒部531を受けないようにする。ラック764eは、モータ765のピニオン歯車765aと噛み合い、ピニオン歯車765aの回転をスライド部材764の水平移動へ変換する。
【0167】
スライド部材764の端部には、パネルロック機構780のカム782が一体成形されている。カム782は、パネルロックレバー781を回動させるためのカム面782aを有している。カム面782aは、カム782がスライド部材764と共に移動したときにパネルロックレバー781を回動させる操作カム面と、パネルロックレバー781を回動した位置で静止させる静止カム面とを含む。即ち、スライド部材764が、操作カム面の範囲相当量だけ移動したときは、パネルロックレバー781は回動するが、ヒンジ受761とスライド部材764とは接触しないので、ヒンジ受761は回動しない。このとき、可動パネル524のロック状態は解除されるが、ヒンジ530と可動パネル524との連結状態は解除されない。しかし、スライド部材764が操作カム面の範囲相当量を超えてさらに静止カム面の範囲相当量まで移動したときは、ヒンジ受761とスライド部材764とが接触するので、ヒンジ受761が回動する。このとき、可動パネル524のロック状態を解除した状態で、ヒンジ530と可動パネル524との連結状態も解除される。
【0168】
手動操作部764fは、スライド部材764の端部には設けられ、手動でスライド部材764を移動させるときに使用される。手動操作部764fが操作されるのは、モータ765が故障したときであって、使用者が、可動パネル524のロック状態を解除したいとき、或は、ヒンジ530と可動パネル524との連結状態を解除したいときに使用される。
【0169】
ヒンジ検知レバー766は、回動軸部766aと、ヒンジ検知部766bと、スイッチ操作部766cとを有している。ヒンジ検知部766bとスイッチ操作部766cとは回動軸部766aを挟んで互いに反対の位置にあり、ヒンジ検知部766bがヒンジ530と接触して押されたときは、スイッチ操作部766cが回動軸部766aを中心に回動し、ヒンジ検知スイッチ767を押す。このとき、ヒンジ検知スイッチ767がオンする。
【0170】
図29において、可動パネル524が吸込口20aを開けるために降下したとき、ヒンジ530はバネ力によってF方向に移動するので、ヒンジ530の水平棒部531の両端が、ヒンジ受761,762の受け部761b,762bに保持される。このとき、ヒンジ検知レバー766は、ヒンジ530と接触していないので、スイッチ操作部766cがヒンジ検知スイッチ767から離れる方向へ回動し、ヒンジ検知スイッチ767がオフする。
【0171】
図30において、スライド部材764がE方向へ移動したとき、押し部764c,764dがヒンジ受761,762を押すので、受け部761b,762bがヒンジ530の降下軌道上から外れる。その結果、ヒンジ530の水平棒部531の両端が、受け部761b,762bに保持されないので、可動パネル524は、回動することなく降下する。
【0172】
(可動パネルの開閉動作)
図31(a)は下部本体の断面図であり、(b)は可動パネルが吸込口を開ける直前の下部本体の部分断面図であり、(c)は可動パネルが吸込口を開けた直後の下部本体の部分断面図である。図28、図31(a)において、ヒンジ530の水平棒部531の下方空間には、水平棒部531を受けるヒンジ受761,762と、フック533と接触する突起部763が化粧パネル21側から突出している。可動パネル524が、吸込口20aを閉じているときは、フック533が突起部763と接触するので、水平棒部531は、回動軸部534を中心に時計方向へ回動した状態で静止している。このとき、水平棒部531とヒンジ受761,762とは未だ接触していない。
【0173】
図29、図31(b)において、可動パネル524が降下したとき、水平棒部531は、ヒンジ受761,762に引っ掛かり停止する。可動パネル524が継続して降下すると、水平棒部531は、ヒンジ受761,762で拘束されているので、可動パネル524とヒンジ530とが離れようとする。しかし、可動パネル524とヒンジ530とは、回動軸部534で連結されているので、図31(c)に示すように、可動パネル524が回動軸部534を中心に回動する。
【0174】
一方、可動パネル524が吸込口20aを閉じるときの動作は、吸込口20aを開けるときの動作と逆であり、可動パネル524を上昇させることによって、図24(a)の状態から(b)の状態を経て(c)の状態となる。
【0175】
(可動パネルの昇降動作)
図32(a)は下部本体の断面図であり、(b)は可動パネルが降下を開始した直後の下部本体の部分断面図であり、(c)は、可動パネルが降下したときの下部本体の部分断面図である。図28、図32(a)において、ヒンジ530の水平棒部531の下方空間には、水平棒部531を受けるヒンジ受761,762と、フック533と接触する突起部763が化粧パネル21側から突出している。可動パネル524が、吸込口20aを閉じているときは、フック533が突起部763と接触するので、水平棒部531は、回動軸部534を中心に時計方向へ回動した状態で静止している。このとき、水平棒部531とヒンジ受761,762とは未だ接触していない。
【0176】
図30、図32(b)(c)において、スライド部材764がE方向へ移動して、押し部764c,764dがヒンジ受761,762を押しているので、受け部761b,762bがヒンジ530の降下軌道上から外れており、ヒンジ530が降下したとき、水平棒部531の両端が受け部761b,762bに保持されず、可動パネル524は回動することなく降下することができる。
【0177】
一方、可動パネル524が吸込口20aを閉じるときの動作は、吸込口20aを開けるときの動作と逆であり、可動パネル524を上昇させることによって、図32(a)の状態から(b)の状態を経て(c)の状態となる。
【0178】
(パネルロック機構780)
図28において、パネルロック機構780は、パネルロックレバー781、カム782、パネルロックリング783、ロック検知スイッチ784、及びスプリング785を含んでいる。カム782は、ヒンジ連結機構760のスライド部材764の端部に固定され、カム面782aを有している。
【0179】
パネルロックレバー781は、回動軸部781aと、カム接触部781bと、パネルロック部781cとを有している。カム接触部781bとパネルロック部781cとは、回動軸部781aを挟んで互いに反対の位置にある。カム接触部781bは、カム面782aに追従することによって回動軸部781aを中心に回動し、パネルロック部781cが回動軸部781aを中心に回動する。
【0180】
パネルロックリング783は、可動パネル524のヒンジ530近傍に設けられており、パネルロックレバー781のパネルロック部781cが挿入される。スプリング785は、パネルロック部781cをパネルロックリング783に挿入する方向へバネ力を与える。
【0181】
図28に示すように、可動パネル524が吸込口20aを閉じているときは、ヒンジ連結機構760のスライド部材764が停止しているので、カム782がカム接触部781bを動作させることはできない。一方、図30に示すように、スライド部材764がE方向へ移動したときは、カム782がカム接触部781bを回動させるので、パネルロック部781cが回動軸部781aを中心に回動し、パネルロックリング783から抜け出る。
【0182】
図33(a)は、パネルロック部がパネルロックリングから抜け出たあとの断面図であり、(b)は、パネルロック部がパネルロックリングに押されて後退するときの断面図であり、(c)は、パネルロック部がパネルロックリングに収まったときの断面図である。図33(a),(b),(c)において、可動パネル524が、図32の(c)の状態から(a)の状態へ復帰するときに、パネルロックリング783の上部がパネルロック部781cの先端を押す。パネルロック部781cの先端は傾斜しているので、スプリング785の圧縮方向へ分力が働き、パネルロック部781cはスプリング785を圧縮しながら後退する。そして、パネルロックリング783が元の位置に戻ったとき、パネルロック部781cはスプリング785に押されてパネルロックリング783の孔に挿入される。
【0183】
<可動パネルの吊り下げ方向>
次に、昇降装置7のワイヤ71による可動パネル524の吊り下げ方法について説明する。図34は、可動パネルの端部の平面図である。図34において、可動パネル524の端部近傍には、昇降装置7のワイヤ71の先端が連結される吊り金具708が取り付けられている。
【0184】
(吊り金具708)
図35は、昇降装置のワイヤの先端に連結される吊り金具の正面図である。図35において、吊り金具708は、上部リング708aと下部リング708bとを有している。上部リング708aと下部リング708bとは、金属線をアラビア数字の8の字状に加工することによって一体成形される。吊り金具708の上部リング708aには、昇降装置7のワイヤ71が接続され、下部リング708bは、可動パネル524の所定の部材に連結される。
【0185】
(吊り金具連結部材570)
図36(a)は、吊り金具が連結される吊り金具連結部材の平面図であり、(b)は、(a)のX−X線での断面図である。なお、図36(b)には、参考として、吊り金具708が連結されている状態を2点鎖線で表示している。図36(a),(b)において、吊り金具連結部材570は、ケース571、スライドレバー572及びスプリング573を含んでいる。
【0186】
ケース571は、フランジ571aを有しており、フランジ571aが可動パネル524の所定位置にネジによって取り付けられる。ケース571は、吊り金具708の下部リング708bが挿入される開口571bと、開口571bから下部リング708bを内部へ導く溝571cと、スライドレバー572が移動するときの案内となるガイド部571dをさらに有している。
【0187】
スライドレバー572は、ケース571の溝571cと交差する方向に移動する部材であり、使用者が指で摘むことができるリブ572aを有する。スライドレバー572は、リブ572aと反対側の面に、スプリング573を支持する突起572bをさらに有する。スプリング573は、圧縮コイルスプリングであって、内側を突起572bに支持され、外側はケース571のガイド部571dとスライドレバー572に囲まれている。
【0188】
スライドレバー572は、ケース571の開口571bを内側から閉じるインナーカバー572cをさらに有している。通常、スライドレバー572は、スプリング573のバネ力によってフランジ571a側へ押されているので、インナーカバー572cが開口571bを閉じている。
【0189】
図37(a)は、吊り金具が連結される直前の吊り金具連結部材の平面図であり、(b)は、(a)のY−Y線での断面図である。なお、図37(b)には、参考として、吊り金具708が挿入された状態を2点鎖線で表示している。図37(a),(b)において、スライドレバー572をフランジ571aから離れる方向へ移動させたとき、インナーカバー572cがケース571の開口571bを開放するので、吊り金具708を開口751bから挿入することが可能となる。
【0190】
吊り金具708は、溝571cに沿って内部へ進入することができる。溝571cの長さは、吊り金具708の下部リング708bが完全に収まる長さに相当するので、下部リング708bは完全にケース571内に収納される。下部リング708bが、ケース571内に収納された後に、スライドレバー572を元の位置に戻したとき、インナーカバー572cが下部リング708bに嵌まり込むので、下部リング708bがケース571から抜けなくなる。
【0191】
(ダストボックスロック装置580)
図34において、ダストボックス109が装着される領域の側方に、ダストボックスロック装置580が取り付けられている。ダストボックスロック装置580は、ダストボックス109が可動パネル524から外れないように固定している。
【0192】
図38(a)は、ダストボックスロック装置の平面図であり、(b)はダストボックスロック装置の正面図である。図38(a),(b)において、ダストボックスロック装置580は、ロックバー581と、ロックバー581を支持するハウジング582と、ロックバー581をハウジング582から突出させるロックスプリング583を含んでいる。
【0193】
ロックバー581の上部には、使用者が指で摘むことができる操作リブ581aが形成されている。使用者は、図38(b)のG方向へ操作リブ581aを指で移動させることによって、ロックバー581がロックスプリング583を圧縮させながら移動する。そして、使用者が手を離したとき、ロックバー581は、ロックスプリング583の力で元の位置へ復帰する。
【0194】
<第2実施形態の特徴>
空調室内機2では、昇降装置7の故障等によって可動パネル524を静止させる機能が著しく低下したときでも、パネルロック機構780のパネルロックレバー781が可動パネル524のパネルロックリング783に嵌まり込んでいるので、可動パネル524が吸込口20aから勝手に降下するような事態が回避される。また、スプリング785だけでパネルロックレバー781をパネルロックリング783へ移動させることができるので、電気系統の故障によりモータ765が動作しないときでも、可動パネル524を確実に拘束することができる。
【産業上の利用可能性】
【0195】
以上のように、本発明によれば、可動パネルのロックと解除を簡単に行うことができるので、重量物支持体と、その重量物支持体を収納する枠体とを連結する装置の分野にも有用である。
【符号の説明】
【0196】
2 空調室内機
7 昇降装置(昇降機構)
8、780 ロック装置(ロック機構)
9 フィルタ
10 フィルタ清掃機構
20 本体
20a 吸込口
21 化粧パネル(下面パネル)
24、524 可動パネル(昇降パネル)
26 上部本体
28 下部本体
71 ワイヤ
76 昇降モータ
81 可動体
81a ラック
82 第1保持部
83 第2保持部
84 モータ
84a ピニオン歯車
85 スプリング
108 ブラシ(清掃部材)
109 ダストボックス
530 ヒンジ
760 ヒンジ連結機構
761,762 ヒンジ受
764 スライド部材
764e ラック
765 モータ
765a ピニオン歯車
781 パネルロックレバー(可動体)
782 カム(第1保持部)
785 スプリング
【先行技術文献】
【特許文献】
【0197】
【特許文献1】特開2007−40689号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井設置の空調室内機であって、
下面に吸込口(20a)を有する本体(20)と、
メンテナンス時に所定位置まで降下する昇降パネル(24、524)と、
前記昇降パネル(24、524)を上昇方向および降下方向に移動させる昇降機構(7)と、
前記昇降パネル(24、524)が前記吸込口(20a)を閉じているときに前記昇降パネル(24、524)を拘束するロック機構(8、780)と、
を備え、
前記ロック機構(8,780)は、
前記昇降パネル(24、524)を拘束する可動体(81、781)と、
前記可動体(81、781)を、前記昇降パネル(24、524)を拘束する位置から前記昇降パネル(24、524)を拘束しない位置へ移動させるモータ(84、765)と、
を有する、
空調室内機(2)。
【請求項2】
前記本体(20)は、上部本体(26)と下部本体(28)とをさらに有し、
前記下部本体(28)には、前記吸込口(20a)の輪郭を形成する下面パネル(21)が含まれる、
請求項1に記載の空調室内機(2)。
【請求項3】
前記ロック機構(8、780)は、
前記可動体(81、781)を、前記昇降パネル(24、524)を拘束しない位置から前記昇降パネル(24、524)を拘束する位置へ移動させるスプリング(85、785)と、
前記本体(20)側の前記可動体(81、781)が移動する軌道上に設けられ、前記可動体(81、781)の一部を、移動可能な状態で保持する第1保持部(82、782)と、
前記昇降パネル(24、524)側の前記可動体(81、781)が移動する軌道上に設けられ、前記可動体(81、781)の一部を、移動可能な状態で保持する第2保持部(83、783)と、
をさらに有し、
可動体(81、781)は、前記本体(20)又は前記昇降パネル(24、524)のいずれか一方に移動可能な状態で配置され、
前記スプリング(85、785)は、前記昇降パネル(24、524)を拘束するとき、前記可動体(81、781)が前記第1保持部(82、782)及び前記第2保持部(83、783)の両方に保持される第1位置へ前記可動体(81、781)を移動させ、
前記モータ(84、765)は、前記昇降パネル(24、524)を拘束しないとき、前記可動体(81、781)が前記第1保持部(82、782)又は前記第2保持部(83、783)のいずれか一方に保持される第2位置へ移動させる、
請求項1又は請求項2に記載の空調室内機(2)。
【請求項4】
前記ロック機構(8、780)は、
前記モータ(84、765)に連結されるピニオン歯車(84a、765a)と、
前記ピニオン歯車(84a、765a)と噛み合うラック(81a、764e)と、
をさらに有する、
請求項3に記載の空調室内機(2)。
【請求項5】
前記駆動部(84、85、765、785)が、前記本体(20)に配置されている、
請求項3に記載の空調室内機(2)。
【請求項6】
前記吸込口(20a)から流入する空気に含まれる塵埃を除去するフィルタ(9)と、
前記フィルタ(9)に付着した塵埃を除去するフィルタ清掃機構(10)と、
をさらに備え、
前記フィルタ清掃機構(10)の一部が前記昇降パネル(24、524)に配置されている、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の空調室内機(2)。
【請求項7】
前記フィルタ清掃機構(10)は、
前記フィルタ(9)に付着した前記塵埃を前記フィルタ(9)から脱離させる清掃部材(108)と、
前記フィルタ(9)から脱離した前記塵埃を貯めるダストボックス(109)と、
を有し、
少なくとも前記ダストボックス(109)が前記昇降パネル(24、524)に配置されている、
請求項6に記載の空調室内機(2)。
【請求項8】
前記昇降機構(7)は、
前記昇降パネル(24、524)を吊るすワイヤ(71)と、
前記ワイヤ(71)の繰り出し及び巻き取りを行う昇降モータ(76)と、
を有する、
請求項1から請求項7に記載の空調室内機(2)。
【請求項9】
前記ロック機構(780)は、前記可動体(781)を強制的に移動させる手動操作部(764f)をさらに有する、
請求項4に記載の空調室内機(2)。
【請求項10】
前記ロック機構(780)は、前記昇降パネル(524)の一端近傍を前記本体(20)側にヒンジ式で連結するヒンジ連結機構(760)をさらに有し、
前記ヒンジ連結機構(760)は、
前記昇降パネル(524)の回動軸となるヒンジ(530)と、
前記ヒンジ(530)を前記本体(20)側の所定位置で支持するヒンジ受(761、762)と、
移動することによって前記ヒンジ受(761、762)と接触し前記ヒンジ受(761、762)を前記所定位置から遠ざけるスライド部材(764)と、
を有している、
請求項9に記載の空調室内機(2)。
【請求項11】
前記スライド部材(764)は、
前記ロック機構(780)の前記モータ(765)によって駆動され、
前記モータ(765)が回転を開始し予め設定された第1回転角度に達したとき、前記ロック機構(780)の前記可動体(781)を移動させ、
前記第1回転角度よりも大きい第2回転角度に達したとき、前記ヒンジ受(761、762)と接触する、
請求項10に記載の空調室内機(2)。
【請求項12】
前記手動操作部(764f)が、前記スライド部材(764)に設けられている、
請求項10又は請求項11に記載の空調室内機(2)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【公開番号】特開2011−202949(P2011−202949A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131237(P2011−131237)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【分割の表示】特願2008−25650(P2008−25650)の分割
【原出願日】平成20年2月5日(2008.2.5)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】