説明

空調装置用制御装置

【課題】直流モータ20a、20dを駆動するためのモータ駆動装置30においてその回路構成を簡素化する。
【解決手段】モータ駆動装置30は、直流モータ20a、20dを駆動するためにハーフブリッジ回路31、32、33と、直流モータ20b、20cを駆動するためにハーフブリッジ回路34、35、36を有している。電子制御装置40がハーフブリッジ回路31、32、33を制御することにより電動モータ20a、20dを連動して回転させる際に、ハーフブリッジ回路32を共用する。電子制御装置40がハーフブリッジ回路34、35、36を制御することにより電動モータ20b、20cを連動して回転させる際に、ハーフブリッジ回路35を共用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調装置のドア駆動用電動モータを制御する空調装置用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車用空調装置において、内外気切替ドア、運転席側エアミックスドア、助手席側エアミックスドア、および吹出モード切替ドアのそれぞれに対応してドア毎に設けられた直流モータと、ドア毎の直流モータをそれぞれ駆動する駆動回路とを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、直流モータの駆動回路として、バッテリのプラス端子とマイナス端子との間に直列接続されている一対のトランジスタを二組、並列接続してなるフルブリッジ回路を用いたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
フルブリッジ回路は、フルブリッジ回路自体を構成する4つのトランジスタのうちオンする2つのトランジスタを切り替えることにより、直流モータに流れる電流の向きを変えて直流モータの回転方向を変えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−103413号公報
【特許文献2】特開2000−116184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の空調装置において、内外気切替ドア、運転席側エアミックスドア、助手席側エアミックスドア、および吹出モード切替ドアのそれぞれに対応して、直流モータの駆動回路としてのフルブリッジ回路を用いた場合には、回路構成が複雑になる。
【0007】
本発明は上記点に鑑みて、ドアを駆動するための電動モータを制御する空調装置用制御装置において回路構成を簡素化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、バッテリのプラス端子とマイナス端子との間に直列接続される一対のスイッチ素子をそれぞれ有している第1、第2、第3のハーフブリッジ回路を備え、第1、第2のハーフブリッジ回路の間には、空調装置を構成する第1のドアを駆動するための第1電動モータが接続され、第2、第3のハーフブリッジ回路の間には、空調装置を構成する第2のドアを駆動するための第2電動モータが接続されている空調装置用制御装置であって、
第1、第2のハーフブリッジ回路を構成する4つのスイッチ素子を制御して第1、第2のハーフブリッジ回路の間で第1電動モータに電流を流し、第2、第3のハーフブリッジ回路を構成する4つのスイッチ素子を制御して第2、第3のハーフブリッジ回路の間で第2電動モータに電流を流す制御手段を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、制御手段は、第1、第2のハーフブリッジ回路を構成する4つのスイッチ素子を制御することにより、第1電動モータを回転させることができる。制御手段は、第2、第3のハーフブリッジ回路を構成する4つのスイッチ素子を制御することにより、第2電動モータを回転させることができる。このため、第1、第2電動モータを回転させる際に、第2のハーフブリッジ回路を共用している。このため、1つの電動モータ毎に1つのフルブリッジ回路(すなわち、2つのハーフブリッジ回路)を用いる場合に比べて、回路構成を簡素化することができる。
【0010】
具体的には、請求項2に記載の発明では、第1のドアは、空調装置としての自動車空調装置の室内エアコンユニットにおける内気導入口および外気導入口のうち一方を開口する内外気切替ドアであり、第2のドアは、室内エアコンユニットの吹き出し口から空調風を車室内に吹き出す吹き出し口モードを切り替える吹出モード切替ドアであることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、制御手段が第1、第2の電動モータを回転させることにより内外気切替ドアおよび吹出モード切替ドアを駆動することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明では、制御手段は、
第1のハーフブリッジ回路のうちプラス電極側スイッチ素子をオンし、第2のハーフブリッジ回路のうちマイナス電極側スイッチ素子をオンし、かつ第3のハーフブリッジ回路のうちプラス電極側スイッチ素子をオンすることにより、第1のハーフブリッジ回路から第1の電動モータを通して第2のハーフブリッジ回路に電流を流し、かつ第3のハーフブリッジ回路から第2の電動モータを通して第2のハーフブリッジ回路に電流を流して、第1、第2の電動モータを回転させる第1の手段と、
第1のハーフブリッジ回路のうちマイナス電極側スイッチ素子をオンし、第2のハーフブリッジ回路のうちプラス電極側スイッチ素子をオンし、かつ第3のハーフブリッジ回路のうちマイナス電極側スイッチ素子をオンすることにより、第2のハーフブリッジ回路から第1の電動モータを通して第1のハーフブリッジ回路に電流を流し、かつ第2のハーフブリッジ回路から第2の電動モータを通して第3のハーフブリッジ回路に電流を流して、第1、第2の電動モータを回転させる第2の手段と、を備え、
第1、第2の手段のうちいずれか一方の手段により、内外気切替ドアが外気導入口を開口し、かつ吹出モード切替ドアが吹き出し口としてのデフロスタ吹き出し口を開口するデフロスタモードを実施するようになっていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明では、第1の手段および第2の手段は、第1、第2の電動モータを同時に回転させることを特徴とする。
【0014】
ここで、第1、第2の電動モータを時分割で作動させて内外気切替ドアおよび吹出モード切替ドアを駆動する場合にはデフロスタモードを実施する際に遅延時間が生じる。
【0015】
そこで、請求項4に記載の発明によれば、第1、第2の手段によって、第1、第2の電動モータを同時に回転させることにより、内外気切替ドアおよび吹出モード切替ドアを駆動してデフロスタモードを実施することができる。このため、遅延が生じることなく、十分なデフロスタモードの機能を発揮することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明では、デフロスタモードが解除されたとき、第1、第2の手段のうちの他方の手段により、内外気切替ドアが内気導入口を開口し、かつ吹出モード切替ドアが吹き出し口としてデフロスタ吹き出し口を以外の他の吹き出し口を開口して、デフロスタモード以外の他の吹き出し口モードを実施するようになっていることを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、デフロスタモードが解除されたとき、第1、第2の手段のうち他方の手段によって、第1、第2の電動モータを同時に回転させることにより、デフロスタモード以外の他の吹き出し口モードを実施する。このため、デフロスタモードが解除された後に、短期間で、他の吹き出し口モードに移行することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明では、第1、第2のドアは、空調装置としての自動車空調装置の室内エアコンユニットから車室内に吹き出される吹き出し空気温度を調整するための第1、第2のエアミックスドアであることを特徴とする。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、制御手段が第1、第2の電動モータを回転させて第1、第2エアミックスドアを駆動することができる。
【0020】
請求項7に記載の発明では、制御手段は、
第1のハーフブリッジ回路のうちプラス電極側スイッチ素子をオンし、第2のハーフブリッジ回路のうちマイナス電極側スイッチ素子をオンし、かつ第3のハーフブリッジ回路のうちプラス電極側スイッチ素子をオンすることにより、第1のハーフブリッジ回路から第1の電動モータを通して第2のハーフブリッジ回路に電流を流し、かつ第3のハーフブリッジ回路から第2の電動モータを通して第2のハーフブリッジ回路に電流を流して、第1、第2の電動モータを回転させる第1の手段と、
第1のハーフブリッジ回路のうちマイナス電極側スイッチ素子をオンし、第2のハーフブリッジ回路のうちプラス電極側スイッチ素子をオンし、かつ第3のハーフブリッジ回路のうちマイナス電極側スイッチ素子をオンすることにより、第2のハーフブリッジ回路から第1の電動モータを通して第1のハーフブリッジ回路に電流を流し、かつ第2のハーフブリッジ回路から第2の電動モータを通して第3のハーフブリッジ回路に電流を流して、第1、第2の電動モータを回転させる第2の手段と、を備え、
第1、第2の手段のうち一方の手段により、第1、第2のエアミックスドアがそれぞれマックスホット側に移動し、第1、第2の手段のうち他方の手段により、第1、第2のエアミックスドアがそれぞれマックスクール側に移動するようになっていることを特徴とする。
【0021】
請求項8に記載の発明では、
第1の手段および第2の手段は、第1、第2の電動モータを同時に回転させるものであって、
第1、第2の手段のうち一方の手段により、第1、第2のエアミックスドアがそれぞれ同時にマックスホット側に移動し、第1、第2の手段のうち他方の手段により、第1、第2のエアミックスドアがそれぞれ同時にマックスクール側に移動するようになっていることを特徴とする。
【0022】
ここで、第1、第2の電動モータを時分割で回転させて第1、第2エアミックスドアを駆動する場合には、第1、第2エアミックスドアの移動に伴う室内に対する吹き出し空気温度の変化に遅延が生じる。このため、第1、第2エアミックスドアの移動に伴う車室内の空気調和状態の快適性および応答性を損なうことになる。
【0023】
これに対して、請求項8に記載の発明によれば、第1、第2の手段によって第1、第2の電動モータを同時に回転させることにより、第1、第2エアミックスドアをマックスクール側に、或いはマックスホット側に同時に移動させることができる。このため、第1、第2エアミックスドアの移動に伴う車室内の空気調和状態の快適性、応答性を損なうことはない。
【0024】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態における室内エアコンユニットの概略構成を示す図である。
【図2】上記実施形態におけるモータ駆動装置の回路構成を示す図である。
【図3】上記実施形態において吹き出しモードと直流モータの回転方向との関係と、内外気モードと直流モータの回転方向との関係とを示す図である
【図4】上記実施形態において運転席側エアミックスドアの位置と直流モータの回転方向との関係と、助手席側エアミックスドアの位置と直流モータの回転方向との関係とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1に本発明に係る空調装置用制御装置が適用された自動車用空調装置の一実施形態を示す。図1は自動車用空調装置の概略構成を示す模式図である。
【0027】
本実施形態の自動車用空調装置1は、図1に示すように、室内エアコンユニット1Aを備えている。室内エアコンユニット1Aは、内気導入口3aおよび外気導入口3bを有するダクト2を備えている。内気導入口3aは、車室内の空気(内気)を導入するものである。外気導入口3bは車室外の空気(外気)を導入するものである。ダクト2は、導入口3a、3bから導入した空気を車室内に向けて送風するために設けられたものである。ダクト2には、導入口3a、3bを選択的に開閉する内外気切替ドア4が設けられている。内外気切替ドア4には、リンク機構(図示省略)を介して直流モータ20a(図中M1と記す)が接続されている。
【0028】
ダクト2内のうち導入口3a、3bの空気下流側には、遠心式送風機5が設けられている。ダクト2内のうち遠心式送風機5の空気下流側には、遠心式送風機5から吹き出される空気を冷却するエバポレータ6が設けられている。エバポレータ6は、コンプレッサなどとともに周知の冷凍サイクルを構成するもので、ダクト2内を流れる空気を冷却する熱交換器である。エバポレータ6の空気下流側には、エバポレータ6からの冷風を加熱するヒータコア7が設けられている。ヒータコア7は、当該自動車のエンジン冷却水(温水)を熱源とする熱交換機であって、エバポレータ6からの冷風を加熱する。
【0029】
ダクト2内のうちエバポレータ6の空気下流側には仕切り板8が設けられている。仕切り板8は、ダクト2内を運転席側通路9aおよび助手席側通路9bに仕切っている。運転席側通路9aのうちヒータコア7の側方には、バイパス通路10aが設けられている。バイパス通路10aは、エバポレータ6からの冷風をヒータコア7に対してバイパスさせる。助手席側通路9bのうちヒータコア7の側方には、バイパス通路10bが設けられている。バイパス通路10bは、エバポレータ6からの冷風をヒータコア7に対してバイパスさせる。
【0030】
ヒータコア7の空気上流側には、エアミックスドア11a、11bが設けられている。エアミックスドア11aは、その開度によって、運転席側通路9aを流れる冷風のうちヒータコア7を流れる風量とバイパス通路10aを流れる風量との比を調整する。運転席側通路9aのうちヒータコア7の下流側には、ヒータコア7からの温風とバイパス通路10aからの冷風とを混合する運転席側混合室が設けられている。ヒータコア7からの温風とバイパス通路10aからの冷風とが混合されることにより、運転席側混合室から車室内の運転席側に吹き出される空気温度(すなわち、空調風の温度)が調整されることになる。エアミックスドア11aには、リンク機構(図示省略)を介して直流モータ20b(図中M3と記す)が接続されている。エアミックスドア11aの開度は、直流モータ20bによって調整される。
【0031】
エアミックスドア11bは、その開度により、助手席側通路9bを流通する冷風のうちヒータコア7を流れる風量とバイパス通路10bを流れる風量との比を調整する。助手席側通路9bのうちヒータコア7の空気下流側には、ヒータコア7を流れる空気とバイパス通路10bを流れる空気とを混合する助手席側混合室が設けられている。ヒータコア7からの温風とバイパス通路10bからの冷風とが混合されることにより、助手席側混合室から助手席に着座する乗員に向けて吹き出される空気温度(すなわち、空調風の温度)が調整される。エアミックスドア11bには、リンク機構(図示省略)を介して直流モータ20c(図中M4と記す)が接続されている。エアミックスドア11bの開度は直流モータ20cによって調整される。
【0032】
ダクト2の運転席側通路9aのうちヒータコア7の空気下流側には、運転席側フェイス吹出口FrDr、運転席側フット吹出口FtDr、および運転席側デフロスタ吹出口DfDrが設けられている。運転席側フェイス吹出口FrDrは、運転席側混合室からの空気を運転者上半身に向けて吹き出す。運転席側フット吹出口FtDrは、運転席側混合室から運転者の下半身に空気を吹き出す。運転席側デフロスタ吹出口DfDrは、運転席側混合室からフロントガラスの内表面のうち運転席側領域に空気を吹き出す。
【0033】
ダクト2のうちフェイス吹出口1FrDrの空気上流側には、フェイス吹出口1FrDrを開閉する吹出口切換ドア12aが設けられている。ダクト2のうち運転席側フット吹出口FtDrの空気上流側には、運転席側フット吹出口FtDrを開閉する吹出口切換ドア13aが設けられている。ダクト2のうち運転席側デフロスタ吹出口DfDrの空気上流側には、運転席側デフロスタ吹出口DfDrを開閉する吹出口切換ドア14aが設けられている。
【0034】
同様に、助手席側においても、ダクト2には、助手席側フット吹出口FtPa、助手席側フット吹出口FtPa、助手席側デフロスタ吹出口DfPaが設けられている。ダクト2には、助手席側フット吹出口FtPa、助手席側フット吹出口FtPa、デフロスタ吹出口DfPaをそれぞれ開閉するための吹出口切換ドア12b、13b、14bが設けられている。
【0035】
吹出口切換ドア12a、13a、14a、12b、13b、14bは、リンク機構(図示省略)を介して直流モータ20d(図中M2と記す)に接続されている。吹出口切換ドア12a、13a、14a、12b、13b、14bは、リンク機構を介する直流モータ20dの駆動よりそれぞれ独立して開閉される。
【0036】
次に、本実施形態の自動車用空調装置1の電気的構成について説明する。
【0037】
自動車用空調装置1は、図2に示すように、モータ駆動装置30、および電子制御装置(図中A/CECUと記す)40を備える。
【0038】
モータ駆動装置30は、空調装置用制御装置を構成するもので、直流モータ20a、20b、20c、20dとともに、ハーフブリッジ回路31、32、33、34、35、36、制御部37、LINドライバ38、およびレギュレータ39を備える。
【0039】
ハーフブリッジ回路31は、一対のトランジスタ300、301を備える。トランジスタ300、301は、バッテリBaのプラス電極(図中Vccと記す)とバッテリBaのマイナス電極(図中グランドの記号を示す)との間で直列接続されている。本実施形態では、トランジスタ300、301として電界効果型トランジスタが用いられている。
【0040】
ハーフブリッジ回路32、33、34、35、36は、ハーフブリッジ回路31と同様に、バッテリBaのプラス電極とバッテリBaのマイナス電極との間で直列接続されている一対のトランジスタ300、301を備える。
【0041】
ハーフブリッジ回路31のトランジスタ300、301の共通接続点31aとハーフブリッジ回路32のトランジスタ300、301の共通接続点32aとの間には、第1の電動モータとしての直流モータ20aが接続されている。共通接続点31aは、ハーフブリッジ回路31においてトランジスタ300のソース端子とトランジスタ301のドレイン端子とが接続されている部位である。共通接続点32aは、ハーフブリッジ回路32においてトランジスタ300のソース端子とトランジスタ301のドレイン端子とが接続される部位である。ハーフブリッジ回路31は、ハーフブリッジ回路32とともに、後述するように、直流モータ20aの回転方向の切り替えを実施する。
【0042】
ハーフブリッジ回路32のトランジスタ300、301の共通接続点32aとハーフブリッジ回路33のトランジスタ300、301の共通接続点33aとの間には、第2の電動モータとしての直流モータ20dが接続されている。ハーフブリッジ回路32は、ハーフブリッジ回路33とともに、後述するように、直流モータ20dの回転方向の切り替えを実施する。
【0043】
ハーフブリッジ回路34、35、36は、ハーフブリッジ回路31、32、33と同様に構成され、直流モータ20a、20dに代わる直流モータ20b、20cの回転方向の切り替えを実施する。
【0044】
制御部37は、制御手段を構成するもので、電子制御装置40から出力される制御信号に基づいてハーフブリッジ回路31、32、33、34、35、36を制御するとともに、ポテンショメータ21a、21b、21c、21dの出力信号をLINドライバ38を介して電子制御装置40に出力する。
【0045】
ポテンショメータ21aは、直流モータ20aの回転軸の回転角度を検出するセンサである。ポテンショメータ21b、21c、21dは、それぞれ、対応する直流モータの回転軸の回転角度を検出するセンサである。ポテンショメータ21bは直流モータ20bに対応し、ポテンショメータ21cは直流モータ20cに対応し、ポテンショメータ21dは直流モータ20dに対応している。
【0046】
LINドライバ38は、車載LANを介して電子制御装置40との間で通信を行うもので、電子制御装置40と制御部37との間のインターフェイス回路を構成する。本実施形態の車載LANの通信プロトコルとしては、LIN(Local Interconnect Network)が用いられている。レギュレータ39は、制御部37等に電力供給するために、バッテリBaのプラス電極とマイナス電極との間の電圧に基づいて一定の電源電圧(例えば5V)を制御部37等に出力する。
【0047】
電子制御装置40は、メモリおよびマイクロコンピュータなどから構成されている周知の電子制御装置である。電子制御装置40は、スイッチ41、42、43の出力信号、複数のセンサ(図示省略)の出力信号、およびポテンショメータ21a、21b、21c、21dの出力信号に基づいて、直流モータ20a、20b、20c、20dを制御するための制御処理を実行する。
【0048】
スイッチ41は、車室内に吹き出される空気温度を自動的に制御する自動空調モードを設定するためのスイッチである。スイッチ41は、図中AUTOと記されている。スイッチ42は、デフロスタモードを設定するためのスイッチである。スイッチ42は、図中DEFと記されている。スイッチ43は独立温度コントロールモードを設定するためのスイッチである。独立温度コントロールモードは、運転席側吹出口FrDr、FtDr、DfDrからの吹き出し空気温度と助手席側吹出口FtPa、FtPa、DfPaからの吹き出し空気温度とをそれぞれ独立に制御するモードである。スイッチ43は、図中独立温度コントロールと記されている。
【0049】
複数のセンサは、車室外の空気温度を検出する外気温センサ、車室内の日射強度を検出する日射センサ、乗員により運転席側の設定温度を設定される運転席側温度設定器、乗員により助手席側の設定温度を設定される設定される運転席側温度設定器、およびエンジン冷却水の温度を検出する温度センサから構成されている。
【0050】
次に、本実施形態のハーフブリッジ回路31、32、33、34、35、36の作動について説明する。ハーフブリッジ回路31、32、・・・36は、次の(1)〜(12)のように、制御部37によって制御される。以下、(1)〜(12)について別々に説明する。
【0051】
(1) 制御部37がハーフブリッジ回路31のトランジスタ300(プラス端子側スイッチ素子)をオンし、ハーフブリッジ回路31のトランジスタ301(マイナス端子側スイッチ素子)をオフし、ハーフブリッジ回路32のトランジスタ300をオフし、ハーフブリッジ回路32のトランジスタ301をオンし、ハーフブリッジ回路33のトランジスタ300、301をオフする。
【0052】
これに伴い、バッテリBaのプラス電極とマイナス電極との間で、ハーフブリッジ回路31のトランジスタ300から電流が図2中矢印Aのように直流モータ20aを通してハーフブリッジ回路32のトランジスタ301に流れる。このとき、直流モータ20dが停止した状態で、直流モータ20aの回転軸が一方向に回転する。回転軸の回転力はリンク機構を介して内外気切替ドア4に伝わる。内外気切替ドア4が回転して内気モードから外気モードに切り替わる(図3(a)参照)。
【0053】
なお、内気モードは、内外気切替ドア4により外気導入口3bを閉鎖し、内気導入口3aを開口して車室内の空気を導入するモードである。外気モードは内外気切替ドア4により内気導入口3aを閉鎖し、外気導入口3bを開口して車室外の空気を導入するモードである。
【0054】
(2) 次に、制御部37がハーフブリッジ回路32のトランジスタ300をオンし、ハーフブリッジ回路32のトランジスタ301をオフし、ハーフブリッジ回路31のトランジスタ300をオフし、ハーフブリッジ回路31のトランジスタ301をオンする。
【0055】
これに伴い、バッテリBaのプラス電極とマイナス電極との間で、ハーフブリッジ回路32のトランジスタ300から図2中矢印Bのように直流モータ20aを通してハーフブリッジ回路31のトランジスタ301に流れる。このとき、直流モータ20aの回転軸の回転方向が逆向きになり回転軸が他方向に回転する。回転軸の回転力はリンク機構を介して内外気切替ドア4に伝わる。内外気切替ドア4が回転して外気モードから内気モードに切り替わる(図3(a)参照)。
【0056】
(3) その後、制御部37がハーフブリッジ回路31のトランジスタ300、301をオフし、ハーフブリッジ回路33のトランジスタ300をオンし、ハーフブリッジ回路33のトランジスタ301をオフし、ハーフブリッジ回路32のトランジスタ300をオフし、ハーフブリッジ回路32のトランジスタ301をオンする。
【0057】
これに伴い、バッテリBaのプラス電極とマイナス電極との間で、ハーフブリッジ回路33のトランジスタ300から電流が図2中矢印Dのように直流モータ20dを通してハーフブリッジ回路32のトランジスタ301に流れる。このとき、直流モータ20aが停止した状態で、直流モータ20dの回転軸が一方向に回転する。回転軸の回転力はリンク機構を介して吹出口切換ドア12a、13a、14a、12b、13b、14bに伝わる。これに伴い、吹出口切換ドア12a、13a、14a、12b、13b、14bが作動して、フェイスモード(図3(b)FACEと記す)、バイレベルモード(図中B/Lと記す)、フットモード(図中FOOTと記す)、フット/デフモード(図中F/Dと記す)、およびデフモード(図中DEFと記す)のうちいずれかの吹き出し口モードが実施される。
【0058】
ここで、直流モータ20d、およびリンク機構は、直流モータ20dの回転軸が一方向に回転する際に、フェイスモード→バイレベルモード→フットモード→フット/デフモード→デフモードの順に吹き出し口モードが切り替わり、回転軸が他方向に回転する際には、デフモード→フット/デフモード→フットモード→バイレベルモード→フェイスモード→の順に吹き出し口モードが切り替わるように構成されている(図3(b)参照)。
【0059】
なお、フェイスモードは、吹出口切換ドア12a、12bによりフェイス吹出口FrDr、FtPaを開口し、吹出口切換ドア13a、13bによりフット吹出口FtDr、FtPaを閉鎖し、かつ吹出口切換ドア14a、14bによりデフロスタ吹出口DfDr、DfPaを閉鎖するモードである。
【0060】
バイレベルモードは、吹出口切換ドア12a、12bによりフェイス吹出口FrDr、FtPaを開口し、吹出口切換ドア13a、13bによりフット吹出口FtDr、FtPaを開口し、かつ吹出口切換ドア14a、14bによりデフロスタ吹出口DfDr、DfPaを閉鎖するモードである。
【0061】
フットモードは、吹出口切換ドア12a、12bによりフェイス吹出口FrDr、FtPaを閉鎖し、吹出口切換ドア13a、13bによりフット吹出口FtDr、FtPaを開口し、かつ吹出口切換ドア14a、14bによりデフロスタ吹出口DfDr、DfPaを若干開口するモードである。
【0062】
フット/デフモードは、吹出口切換ドア12a、12bによりフェイス吹出口FrDr、FtPaを閉鎖し、吹出口切換ドア13a、13bによりフット吹出口FtDr、FtPaを開口し、かつ吹出口切換ドア14a、14bによりデフロスタ吹出口DfDr、DfPaを開口するモードである。
【0063】
デフモードは、吹出口切換ドア12a、12bによりフェイス吹出口FrDr、FtPaを閉鎖し、吹出口切換ドア13a、13bによりフット吹出口FtDr、FtPaを閉鎖し、かつ吹出口切換ドア14a、14bによりデフロスタ吹出口DfDr、DfPaを開口するモードである。
【0064】
(4) 次に、制御部37がハーフブリッジ回路32のトランジスタ300をオンし、ハーフブリッジ回路32のトランジスタ301をオフし、ハーフブリッジ回路33のトランジスタ300をオフし、ハーフブリッジ回路33のトランジスタ301をオンする。
【0065】
これに伴い、バッテリBaのプラス電極とマイナス電極との間で、ハーフブリッジ回路32のトランジスタ300からの電流が図2中矢印Cのように直流モータ20dを通過してハーフブリッジ回路33のトランジスタ301に流れる。このとき、直流モータ20dの回転軸の回転方向が逆向きになり回転軸が他方向に回転する。これに伴い、吹出口切換ドア12a、13a、14a、12b、13b、14bが作動して、吹き出し口モードが切り替わる。
【0066】
(5) また、制御部37が、第1、第2の手段として、ハーフブリッジ回路31のトランジスタ300をオンし、ハーフブリッジ回路31のトランジスタ301をオフし、ハーフブリッジ回路32のトランジスタ300をオフし、ハーフブリッジ回路32のトランジスタ301をオンし、ハーフブリッジ回路33のトランジスタ300をオンし、ハーフブリッジ回路33のトランジスタ301をオフする。
【0067】
これに伴い、バッテリBaのプラス電極とマイナス電極との間で、ハーフブリッジ回路31のトランジスタ300からの電流が図2中矢印Aのように直流モータ20aを通してハーフブリッジ回路32のトランジスタ301に流れる。このため、上記(1)と同様に、直流モータ20aがリンク機構を介して内外気切替ドア4を駆動する。
【0068】
これに加えて、バッテリBaのプラス電極とマイナス電極との間で、ハーフブリッジ回路33のトランジスタ300からの電流が図2中矢印Dのように直流モータ20dを通してハーフブリッジ回路32のトランジスタ301に流れる。このため、上記(3)と同様に、直流モータ20dがリンク機構を介して吹出口切換ドア12a、13a、14a、12b、13b、14bを駆動する。
【0069】
なお、ハーフブリッジ回路31は、特許請求の範囲記載の第1のハーフブリッジ回路に相当し、ハーフブリッジ回路32は、特許請求の範囲記載の第2のハーフブリッジ回路に相当し、ハーフブリッジ回路33は、特許請求の範囲記載の第3のハーフブリッジ回路に相当する。
【0070】
(6) 制御部37がハーフブリッジ回路32のトランジスタ300をオンし、ハーフブリッジ回路32のトランジスタ301をオフし、ハーフブリッジ回路31のトランジスタ300をオフし、ハーフブリッジ回路31のトランジスタ301をオンし、ハーフブリッジ回路33のトランジスタ300をオフし、ハーフブリッジ回路33のトランジスタ301をオンする。
【0071】
これに伴い、バッテリBaのプラス電極とマイナス電極との間で、ハーフブリッジ回路32のトランジスタ300から電流が図2中矢印Bのように直流モータ20aを通してハーフブリッジ回路31のトランジスタ301に流れる。このため、上記(2)と同様に、直流モータ20aがリンク機構を介して内外気切替ドア4を駆動する。
【0072】
これに加えて、バッテリBaのプラス電極とマイナス電極との間で、ハーフブリッジ回路32のトランジスタ300から電流が図2中矢印Cのように直流モータ20dを通してハーフブリッジ回路33のトランジスタ301に流れる。このため、上記(4)と同様に、直流モータ20dがリンク機構を介して吹出口切換ドア12a、13a、14a、12b、13b、14bを駆動する。
【0073】
(7) ハーフブリッジ回路34、35、36は、上述のように、ハーフブリッジ回路31、32、33と同様に構成され、直流モータ20a、20dに代わる直流モータ20b、20cを駆動する。そこで、制御部37が、上記(1)と同様、バッテリBaのプラス電極とマイナス電極との間で直流モータ20bに電流を図2中矢印Aのように流すようにハーフブリッジ回路34、35、36を制御したときには、直流モータ20cを停止した状態で、直流モータ20bの回転軸が一方向に回転する。回転軸の回転力はリンク機構を介してエアミックスドア11aに伝わる。エアミックスドア11aがマックスクール側からマックスホット側に移行する(図4(a)参照)。
【0074】
マックスクール(図中MAX COOLと記す)は、エアミックスドア11a(11b)がヒータコア7の空気取り入れ口を全閉し、かつバイパス通路10a(10b)を全開するときのエアミックスドア11a(11b)の位置を示すモードである。マックスホット(図中MAX HOTと記す)は、エアミックスドア11a(11b)がヒータコア7の空気取り入れ口を全開し、かつバイパス通路10a(10b)を全閉するときのエアミックスドア11a(11b)の位置を示すモードである。
【0075】
(8) 次に、制御部37が、上記(2)と同様、バッテリBaのプラス電極とマイナス電極との間で直流モータ20bに対して電流を図2中矢印Bのように流すようにハーフブリッジ回路34、35、36を制御したときには、直流モータ20cを停止した状態で、直流モータ20bの回転軸が他方向に回転する。これに伴い、エアミックスドア11aがマックスホット側からマックスクール側に移行する(図4(a)参照)。
【0076】
(9) その後、制御部37が、上記(3)と同様、バッテリBaのプラス電極とマイナス電極との間で直流モータ20cに対して電流を図2中D方向に流すようにハーフブリッジ回路34、35、36を制御したときには、直流モータ20bを停止した状態で、直流モータ20cの回転軸が一方向に回転する。このため、エアミックスドア11bがマックスクール側からマックスホット側に移行する(図4(b)参照)。
【0077】
(10) 次に、制御部37が、上記(4)と同様、バッテリBaのプラス電極とマイナス電極との間で直流モータ20cに対して電流を図2矢印Cのように流すようにハーフブリッジ回路34、35、36を制御したときには、直流モータ20bを停止した状態で、直流モータ20cの回転軸が他方向に回転する。これに伴い、エアミックスドア11bがマックスホット側からマックスクール側に移行する。
【0078】
(11) 制御部37が、第1、第2の手段のうち一方の手段として、上記(5)と同様、バッテリBaのプラス電極とマイナス電極との間で直流モータ20bに対してA方向に電流を流し、かつ直流モータ20cに対してD方向に電流を流すようにハーフブリッジ回路34、35、36を制御したときには、直流モータ20b、20cが同時に一方向に回転してエアミックスドア11a、11bを同時に回転させる。このため、エアミックスドア11a、11bが同時にマックスクール側からマックスホット側に移行する。
【0079】
(12) 制御部37が、第1、第2の手段のうち他方の手段として、上記(6)と同様、バッテリBaのプラス電極とマイナス電極との間で直流モータ20bに対してB方向に電流を流し、かつ直流モータ20cに対してC方向に電流を流すようにハーフブリッジ回路34、35、36を制御したときには、直流モータ20b、20cが同時にエアミックスドア11a、11bを回転させる。このため、エアミックスドア11a、11bが同時にマックスホット側からマックスクール側に移行する。
【0080】
なお、ハーフブリッジ回路34は、特許請求の範囲記載の第1のハーフブリッジ回路に相当し、ハーフブリッジ回路35は、特許請求の範囲記載の第2のハーフブリッジ回路に相当し、ハーフブリッジ回路36は、特許請求の範囲記載の第3のハーフブリッジ回路に相当する。
【0081】
次に、本実施形態の電子制御装置40の制御処理について説明する。
【0082】
まず、スイッチ41により自動空調モードが設定されている場合には、電子制御装置40は、吹出口FrDr、FtDr、FtPa、FtPaから車室内に吹き出される空気温度を目標温度に近づけるように直流モータ20a、20b、20c、20dを制御するための自動空調制御処理を実行する。自動空調制御処理の実行に際して、電子制御装置40は、直流モータ20a、20b、20c、20dを制御するための制御信号をLINドライバ38を介して制御部37に出力する。
【0083】
これに伴い、制御部37は、上記(1)〜(6)のように、ハーフブリッジ回路34、35、36を制御する。これに伴い、直流モータ20aが内外気切替ドア4を駆動し、直流モータ20dが吹出口切換ドア12a、13a、14a、12b、13b、14bを駆動する。このため、内外気切替ドア4により外気モードおよび内気モードのうち一方の内外気モードが実施され、吹出口切換ドア12a、13a、14a、12b、13b、14bによりフェイスモード、バイレベルモード、フットモード、およびフット/デフモードのうちいずれかの1つの吹き出し口モードが実施される。
【0084】
また、スイッチ42によりデフロスタモードを設定された場合には、制御部37は、上記(5)のように、ハーフブリッジ回路34、35、36を制御することにより、直流モータ20a、20dを同時に一方向に駆動させる。これに伴い、内外気切替ドア4により外気モードが実施され、吹出口切換ドア12a、13a、14a、12b、13b、14bによりデフロスタモードが実施される。
【0085】
その後、スイッチ41により自動空調モードが設定された場合には、デフロスタモードが解除され、制御部37は、上述のように上記(1)〜(6)の如く、ハーフブリッジ回路34、35、36を制御して直流モータ20a、20dを回転させる。このため、内外気切替ドア4により内気モードを実施し、かつ吹出口切換ドア12a、13a、14a、12b、13b、14bにより、フェイスモード、バイレベルモード、フットモード、およびフット/デフモードのうちいずれかを実施する。
【0086】
ここで、スイッチ43により独立温度コントロールモードが設定されていない場合には、上記(11)または(12)のように、ハーフブリッジ回路34、35、36を制御して直流モータ20b、20cを回転させる。このため、直流モータ20b、20cがリンク機構を介してエアミックスドア11a、11bを連動して回転させる。
【0087】
その後、スイッチ43により独立温度コントロールモードが設定された場合には、上記(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)のように、ハーフブリッジ回路34、35、36を制御して直流モータ20b、20cを回転させる。このため、直流モータ20bがリンク機構を介してエアミックスドア11aを回転させ、直流モータ20cがリンク機構を介してエアミックスドア11bを回転させる。
【0088】
以上説明した本実施形態では、モータ駆動装置30の制御部37がハーフブリッジ回路31、32、33を制御して電動モータ20a、20dを同時に回転させる際に、ハーフブリッジ回路32を共用している。制御部37がハーフブリッジ回路34、35、36を制御して電動モータ20b、20cを同時に回転させる際に、ハーフブリッジ回路35を共用している。このため、4つの電動モータ20a、20b、20c、20dを回転させるために、6つのハーフブリッジ回路を用いることになる。
【0089】
ここで、1つの電動モータ毎に2つのハーフブリッジ回路(つまり、1つのフルブリッジ回路)を用いる場合には、4つの電動モータ20a、20b、20c、20dを回転させるために、8つのハーフブリッジ回路が必要になる。このため、本実施形態では、1つの電動モータ毎に2つのハーフブリッジ回路を用いる場合に比べて、ハーフブリッジ回路の使用個数を減らして、モータ駆動装置30の回路構成を簡素化することができる。このため、モータ駆動装置30のコストの低減を図ることができる。
【0090】
本実施形態では、スイッチ42によりデフロスタモードを設定された場合には、上記(5)のようにハーフブリッジ回路31、32、33を制御することにより直流モータ20a、20dを同時に回転させてデフロスタモードを実施することができる。
【0091】
ここで、直流モータ20a、20dを時分割で作動させてデフロスタモードを実施する場合にはデフロスタモードを実施する際に遅延時間が生じる。
【0092】
これに対して、本実施形態では、直流モータ20a、20dを同時に回転させてデフロスタモードを実施するので、遅延を生じることなく、デフロスタモードの機能を十分に発揮できる。
【0093】
本実施形態では、デフロスタモードを設定された後にスイッチ41により自動空調モードが設定された場合には、デフロスタモードが解除されて、内外気モードは、外気モードから内気モードに移行し、吹き出し口モードとしては、デフモードからこのデフモード以外の他の吹き出し口モードに移行する。他のモード吹き出し口は、フェイスモード、バイレベルモード、フットモード、およびフット/デフモードのうちいずれかの1つのモードである。このため、デフロスタモードの解除に伴って、直流モータ20a、20dをそれぞれ他方向に回転させることになる。
【0094】
ここで、制御部37が上述(6)のようにハーフブリッジ回路31、32、33を制御して直流モータ20a、20dを同時に他方向に回転させることにより、デフロスタモードの解除後における内外気モードおよび吹き出し口モードの変更を短期間で実施することができる。
【0095】
本実施形態では、スイッチ43により独立温度コントロールモードが設定されていない場合には、上記(11)または(12)のように、ハーフブリッジ回路34、35、36を制御する。このことにより、直流モータ20b、20cを同時に回転させて、エアミックスドア11a、11bを短期間で駆動させることができる。
【0096】
ここで、直流モータ20b、20cを時分割で回転させてエアミックスドア11a、11bを駆動させる場合には、エアミックスドア11a、11bの移動に遅延が生じることになる。このため、エアミックスドア11a、11bの移動に伴う車室内の空気調和状態の快適性、応答性を損なうことになる。
【0097】
これに対して、本実施形態では、直流モータ20b、20cを同時に回転させて、エアミックスドア11a、11bを短期間で駆動させることができる。このため、エアミックスドア11a、11bの移動に伴う車室内の空気調和状態の快適性、応答性を損なうことはない。
【0098】
(他の実施形態)
上記実施形態では、本発明に係る第1、第2のドアとして、運転席側のエアミックスドア11aと助手席側のエアミックスドア11bとを用いる例を示したが、これに限らず、運転席側のエアミックスドア11aおよび助手席側のエアミックスドア11b以外の2つのエアミックスドアを用いた自動車用空調装置において、2つのエアミックスドアを第1、第2のドアとしてもよい。
【0099】
具体的には、ダクト2内にてヒータコアの上側に上側エアミックスドアを配置し、ヒータコアの下側に下側エアミックスドアを配置して、上側エアミックスドアと下側エアミックスドアとを独立に駆動可能に構成された自動車用空調装置の場合には、上側エアミックスドアを第1のドアとし、下側エアミックスドアを第2のドアとしてもよい。上側エアミックスドアは、例えば車室内前席側を空調するために用いられ、下側エアミックスドアは、例えば、車室内後席側を空調するために用いられる。
【0100】
上記実施形態では、本発明に係る第1のドアとして内外気切替ドア4を用いて、本発明に係る第2のドアとして吹出口切換ドア12a、13a、14a、12b、13b、14bを用いた例を示したが、これに限らず、次の(b)、(c)のようにしてもよい。
(b)車室内の運転席側の吹出口切換ドアを駆動する第1の直流モータと助手席側の吹出口切換ドアを駆動する第2の直流モータとを備える自動車用空調装置において、運転席側の吹出口切換ドアを第1のドアとして、助手席側の吹出口切換ドアを第2のドアとする。
(c)車室内の前席側を空調するための前席用吹出口切換ドアを駆動する第1の直流モータと車室内の後席側を空調するための後席用吹出口切換ドアを駆動する第2の直流モータとを備える室内エアコンユニットにおいて、前席用吹出口切換ドアを第1のドアとして、後席用エアミックスドアを第2のドアとする。
【0101】
上記実施形態では、直流モータ20a、20dの回転軸が同時に一方向に回転したときに、内気モードから外気モードに内外気モードが移行し、フェイスモード→バイレベルモード→フットモード→フット/デフモード→デフモードの順に吹き出し口モードが切り替わるようにした例を示したが、これに限らず、直流モータ20a、20dの回転軸が同時に一方向に回転したときに、外気モードから内気モードに移行し、フェイスモード→バイレベルモード→フットモード→フット/デフモード→デフモードの順に吹き出し口モードが切り替わるようにしてもよい。
【0102】
上記実施形態では、直流モータ20b、20cが同時に回転させることによりエアミックスドア11a、11bを同時に移動させる例について説明したが、これに限らず、直流モータ20b、20cが同時に回転させることによりエアミックスドア11a、11bを時分割で移動させるようにリンク機構を構成してもよい。
【0103】
上記実施形態では、直流モータ20b、20cの回転軸が同時に回転したときに、エアミックスドア11a、11bが連動してマックスホット側からマックスクール側(或いは、マックスクール側からマックスホット側)に移行するようにした例を示したが、これに限らず、直流モータ20b、20cの回転軸が同時に回転したときに、エアミックスドア11a、11bのうち一方のエアミックスドアがマックスホット側からマックスクール側に移行し、他方のエアミックスドアがマックスクール側からマックスホット側に移行するようにしてもよい。
【0104】
上記実施形態では、1つのハーフブリッジ回路32(35)を共用するモータ駆動装置30として、2つの直流モータ20a、20b(20b、20c)を連動して駆動するものを示したが、これに限らず、3つ以上の直流モータを連動して駆動するものを用いてもよい。
【0105】
上記実施形態では、本発明に係る空調装置として自動車用空調装置を用いた例を示したが、これに代えて、本発明に係る空調装置として住宅用空調装置、事務所用空調装置等の設置用空調装置を用いてもよい。
【0106】
上記実施形態では、直流モータ20a、20dを同時に回転させた例を示したが、これに限らず、直流モータ20aが回転する時間と、直流モータ20dが回転する時間とが時間軸上で重なるようにすればよい。
【0107】
上記実施形態では、直流モータ20b、20cを同時に回転させた例をを示したが、これに限らず、直流モータ20bが回転する時間と、直流モータ20cが回転する時間とが時間軸上で重なるようにすればよい。
【符号の説明】
【0108】
1 自動車用空調装置
1A 室内エアコンユニット
2 ダクト
3a 内気導入口
3b 外気導入口
4 内外気切替ドア
5 遠心式送風機
6 エバポレータ
7 ヒータコア
8 仕切り板
9a 運転席側通路
9b 助手席側通路
11a エアミックスドア
11b エアミックスドア
20a 直流モータ
20b 直流モータ
20c 直流モータ
20d 直流モータ
21a ポテンショメータ
21b ポテンショメータ
21c ポテンショメータ
21d ポテンショメータ
30 モータ駆動装置
31 ハーフブリッジ回路
32 ハーフブリッジ回路
33 ハーフブリッジ回路
34 ハーフブリッジ回路
35 ハーフブリッジ回路
36 ハーフブリッジ回路
37 制御部
38 LINドライバ
39 レギュレータ
40 電子制御装置
41 スイッチ
42 スイッチ
43 スイッチ
300 トランジスタ
301 トランジスタ
FrDr フェイス吹出口
FrPa フェイス吹出口
FtDr フット吹出口
FtPa フット吹出口
DfDr デフロスタ吹出口
DfPa デフロスタ吹出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリのプラス端子とマイナス端子との間に直列接続される一対のスイッチ素子をそれぞれ有している第1、第2、第3のハーフブリッジ回路を備え、
前記第1、第2のハーフブリッジ回路の間には、空調装置を構成する第1のドアを駆動するための第1電動モータが接続され、前記第2、第3のハーフブリッジ回路の間には、前記空調装置を構成する第2のドアを駆動するための第2電動モータが接続されている空調装置用制御装置であって、
前記第1、第2のハーフブリッジ回路を構成する4つのスイッチ素子を制御して前記第1、第2のハーフブリッジ回路の間で前記第1電動モータに電流を流し、前記第2、第3のハーフブリッジ回路を構成する4つのスイッチ素子を制御して前記第2、第3のハーフブリッジ回路の間で前記第2電動モータに電流を流す制御手段を備えることを特徴とする空調装置用制御装置。
【請求項2】
前記第1のドアは、前記空調装置としての自動車空調装置の室内エアコンユニットにおける内気導入口および外気導入口のうち一方を開口する内外気切替ドアであり、
前記第2のドアは、前記室内エアコンユニットの吹き出し口から空調風を車室内に吹き出す吹き出し口モードを切り替える吹出モード切替ドアであることを特徴とする請求項1に記載の空調装置用制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記第1のハーフブリッジ回路のうちプラス電極側スイッチ素子をオンし、前記第2のハーフブリッジ回路のうちマイナス電極側スイッチ素子をオンし、かつ前記第3のハーフブリッジ回路のうちプラス電極側スイッチ素子をオンすることにより、前記第1のハーフブリッジ回路から前記第1の電動モータを通して前記第2のハーフブリッジ回路に電流を流し、かつ前記第3のハーフブリッジ回路から前記第2の電動モータを通して前記第2のハーフブリッジ回路に電流を流して、前記第1、第2の電動モータを回転させる第1の手段と、
前記第1のハーフブリッジ回路のうちマイナス電極側スイッチ素子をオンし、前記第2のハーフブリッジ回路のうちプラス電極側スイッチ素子をオンし、かつ前記第3のハーフブリッジ回路のうちマイナス電極側スイッチ素子をオンすることにより、前記第2のハーフブリッジ回路から前記第1の電動モータを通して前記第1のハーフブリッジ回路に電流を流し、かつ前記第2のハーフブリッジ回路から前記第2の電動モータを通して前記第3のハーフブリッジ回路に電流を流して、前記第1、第2の電動モータを回転させる第2の手段と、を備え、
前記第1、第2の手段のうちいずれか一方の手段により、前記内外気切替ドアが前記外気導入口を開口し、かつ前記吹出モード切替ドアが前記吹き出し口としてのデフロスタ吹き出し口を開口するデフロスタモードを実施するようになっていることを特徴とする請求項2に記載の空調装置用制御装置。
【請求項4】
前記第1の手段および前記第2の手段は、前記第1、第2の電動モータを同時に回転させることを特徴とする請求項3に記載の空調装置用制御装置。
【請求項5】
前記デフロスタモードが解除されたとき、前記第1、第2の手段のうちの他方の手段により、前記内外気切替ドアが前記内気導入口を開口し、かつ前記吹出モード切替ドアが前記吹き出し口として前記デフロスタ吹き出し口を以外の他の吹き出し口を開口して、前記デフロスタモード以外の他の吹き出し口モードを実施するようになっていることを特徴とする請求項3または4に記載の空調装置用制御装置。
【請求項6】
前記第1、第2のドアは、前記空調装置としての自動車空調装置の室内エアコンユニットから車室内に吹き出される吹き出し空気温度を調整するための第1、第2のエアミックスドアであることを特徴とする請求項1に記載の空調装置用制御装置。
【請求項7】
前記制御手段は、
前記第1のハーフブリッジ回路のうちプラス電極側スイッチ素子をオンし、前記第2のハーフブリッジ回路のうちマイナス電極側スイッチ素子をオンし、かつ前記第3のハーフブリッジ回路のうちプラス電極側スイッチ素子をオンすることにより、前記第1のハーフブリッジ回路から前記第1の電動モータを通して前記第2のハーフブリッジ回路に電流を流し、かつ前記第3のハーフブリッジ回路から前記第2の電動モータを通して前記第2のハーフブリッジ回路に電流を流して、前記第1、第2の電動モータを回転させる第1の手段と、
前記第1のハーフブリッジ回路のうちマイナス電極側スイッチ素子をオンし、前記第2のハーフブリッジ回路のうちプラス電極側スイッチ素子をオンし、かつ前記第3のハーフブリッジ回路のうちマイナス電極側スイッチ素子をオンすることにより、前記第2のハーフブリッジ回路から前記第1の電動モータを通して前記第1のハーフブリッジ回路に電流を流し、かつ前記第2のハーフブリッジ回路から前記第2の電動モータを通して前記第3のハーフブリッジ回路に電流を流して、前記第1、第2の電動モータを回転させる第2の手段と、を備え、
前記第1、第2の手段のうち一方の手段により、前記第1、第2のエアミックスドアがそれぞれマックスホット側に移動し、前記第1、第2の手段のうち他方の手段により、前記第1、第2のエアミックスドアがそれぞれマックスクール側に移動するようになっていることを特徴とする請求項6に記載の空調装置用制御装置。
【請求項8】
前記第1の手段および前記第2の手段は、前記第1、第2の電動モータを同時に回転させるものであって、
前記第1、第2の手段のうち一方の手段により、前記第1、第2のエアミックスドアがそれぞれ同時にマックスホット側に移動し、前記第1、第2の手段のうち他方の手段により、前記第1、第2のエアミックスドアがそれぞれ同時にマックスクール側に移動するようになっていることを特徴とする請求項7に記載の空調装置用制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−121517(P2012−121517A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275760(P2010−275760)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】