説明

空輸用水そう

【課題】 ヘリコプター等による吊下げ時安定姿勢で運搬可能であるとともに、多少の不整地に着地しても十分な自立性を有し、枠等の使用を必要としないもので、主として周辺の残火の完全鎮火に要する水、液体消火剤等の運搬に便利な空輸用水そうを提供する。
【解決手段】 截頭円錐筒状の水そう本体部、内容水量を概ね4等分割する十字状仕切部を有するほか、内容水量の確認可能な観測窓、吊りロープと吊りベルト部の共同による運搬・吊上げ下げ手段その他を有する。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、山火事における周辺の残り火を消すために必要な水その他の液体等を輸送するために有用な空輸用水そうに関する。
【0002】
【従来の技術】
林野等の火災に対処するため、多くの場合、航空機、ヘリコプター等による大量の化学剤等の空中散布の手段が採用されている。しかしながら、主要部は消火されても、周辺部等には、部分的になお、残火が存することが多く、これを完全に仕末しなければ結局は鎮火完了に至らないこととなる。このため、消火作業員が背負式水のう等を持って山中にはいり、要所で水又は液状消火剤等の補給を受けて上記残り火の仕末をすることが屡々である。従って、必要な水又は液状消火剤等を補給に便利な地点までへリコプター等で空輸するための手段が入用であり、これがための有効な資材の開発が夙に要望されていたものである。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
本考案は、かかる実状に鑑みてなされたもので、ヘリコプターによる運搬が安定した姿勢でなされる容器であって、しかも現地に荷卸しした場合、たとえ多少の不整地であっても、十分に自立して安定状態に保持されるものであり、また容器を収容するための金属や木製等の枠等を使用せずにすみ、さらに、補給完了後、軽量かつフレキシブルで返送に便利がよく繰り返しの使用に支障を来すことがない空輸用水そうを提供することをその目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本考案は、 a.截頭円錐筒状の水そう本体部と、該本体部上面に覆設される円筒形状の注入口部とからなる水そうであって、 b.該本体部には、内容水量を概ね4等分割する十字状仕切部を有し、 c.また、その側面部には、内容水量の視認可能な観測窓と、 d.吊りロープを挿通可能な複数個の吊りベルト部とを設けてなる e.空輸用水そうをその要旨として成立するものである。
【0005】
【考案の実施の形態】
図1は、本考案に係る空輸用水そうの一例を示す斜視的説明図、図2は、水そう本体部を底部から支持する底部補強下敷部を示す平面的説明図、図3は、十字状仕切部を示す斜視的説明図である。
【0006】
【実施例】
水そうは、図1に示す如く、水そう本体部1と、注入口部2とから構成される。水そう本体部は截頭円錐筒状に形成されているので、注水後重心が底面近くに存在し、吊下げによる揺れが少なくなり安定した姿勢を有して運搬されるとともに、多少の不整地に着地しても、十分に自立性を有する。本考案の水そうには水そうの自立を援用するための外枠等を必要としない。
【0007】
次に、本考案に係る水そうの特徴のひとつは、水そう本体の内部に、内容水量を概ね4等分割して等高に保持させる図3に示す如き十字状仕切部3を有することである。仕切部3は通常水が相互に連通できるよう下方は開放3aされている。仕切部3の存在により水はそう内で均等に配置され、運搬中に偏在し、一端部に過重が掛ることがなく、この結果水の洩出や水そう本体の早期の破壊を生じない。
【0008】
水そう本体1には、その側面部に観測窓4を有し、内容水量が視認可能となっている。従って、残量が知得されて、適切な対処が可能である。
【0009】
吊上げ用に供するため、吊りロープ5が挿通可能な複数個の吊りベルト部6が設けられる。吊りベルト部は対面同位置にも設けられて、吊りロープ5と合計4個の吊りベルト部とが共同して強固な耐吊力を有する。符号7は排出ホース部を示し、排水しないときは、固定フック部7aに係止される。
【0010】
注入口部2は、水そう本体上面に縫着等により覆設される。開口部2aからの注水は、水そう本体1の開口部1aを通じて本体内に封入される。開口部2aは、注水後周辺に環設される結びロープ8で結着され、結び紐9で閉塞される。なお、本考案に係る水そうは、水以外の液状物質例えば液体消火剤等の運搬吊下げに利用できることはいうまでもない。
【0011】
以上が本考案に係る空輸用水そうの構造・作用効果であるが、本考案水そうには、図2に示す底部補強下敷部10が別設されることが可能である。下敷部10は、水そうを、本体部底部1bから支持し、周端のテープ10aを、水そう本体部の底部近傍に取付けられるフック部11に挿通し、テープ10aの繊維性面ファスナー等により係着する。
【0012】
【考案の効果】
本考案に係る空輸用水そうは、以上の構成に基づくものであって、水そう本体が截頭円錐筒状に形成されるので、空輸中の安定性が良好であり、また、着地に際し、多少の不整地であっても十分に自立可能で、通常フレキシブルコンテナにおいて使用される金属、木材等製の枠体が一切不用となって都合がよい。
また、内容水量を均等分割する十字状仕切部を有するので、水の動揺を防止して水そうの早期損壊、洩出等をなくし、さらに、内容水量の視認可能な観測窓等を備え、吊りロープと吊りベルト部との共同による強固な運搬・吊上げ下げ手段を形成する等多くの利点を有するもので極めて有用な考案である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係る空輸用水そうを示す斜視的説明図である。
【図2】水そう本体部を底部から支持する底部補強下敷部を示す平面的説明図である。
【図3】十字状仕切部を示す斜視的説明図である。
【符号の説明】
1 水そう本体部
1a 水そう本体部の開口部
1b 水そう本体部の底部
2 注入口部
2a 注入口部の開口部
3 十字状仕切部
4 観測窓
5 吊りロープ
6 吊りベルト部
7 排出ホース部
7a 固定フック部
8 結びロープ
9 結び紐
10 底部補強下敷部
10a テープ
11 フック部

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 截頭円錐筒状の水そう本体部と、該本体部上面に覆設される円筒形状の注入口部とからなる水そうであって、該本体部には、内容水量を概ね4等分割する十字状仕切部を有し、また、その側面部には、内容水量の視認可能な観測窓と、吊りロープを挿通可能な複数個の吊りベルト部とを設けて、構成されることを特徴とする空輸用水そう。
【請求項2】 前記水そうを本体部底部から支持し、周端のテープを水そう本体部に取付ける底部補強下敷部を別設する請求項1に記載の空輸用水そう。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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