説明

空隙孔層を包蔵する軽量磁器およびその製造法

【課題】本発明は、高い透光性と、芳香性を持ち、空隙孔層を包蔵する事を特徴とする軽量磁器製品の製造を可能にする。
【解決手段】アルミナを含まない磁器坏土を填料として抄造した磁器セラミックス紙の両面にアルミナを添加しない磁器坏土泥漿を塗布した後に成形し、乾燥して焼成する。さらに、焼成後にできる磁器素地が包蔵する空隙孔層に芳香剤水溶液を含浸させる事により芳香性を付与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミナを含まない磁器坏土を填料として抄造した薄いセラミックス紙を芯材として、表裏両面にアルミナを含まない磁器坏土泥漿を塗布して成形した後に、焼成する事を特徴とし、素地内部に微細な空隙孔層を包蔵する軽量磁器の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
磁器素地の軽量化には、磁器坏土の中に無機質の中空粒子や、焼成により焼失する有機物粉末を添加して、素地中に気孔を作り素地密度を小さくする方法がある。この素材を軽量化する手段と、製品自体を薄くして軽くする手段の両方を、成形方法の工夫により同時に実現した例は無かった。
【0003】
薄く陶磁器を成形する手段として、轆轤成形や石膏型鋳込みで成形した後に、しばらく乾燥して、薄く削る方法がある。あるいは、多量の有機バインダーを添加し、薄く延ばして板状にしたセラミックシートを、脱脂焼成した後に本焼成する方法などが考えられるが、前者は、削る工程で破損する危険性があり多大な手間と時間を要する。後者は、単純な平板以外の複雑な製品を成形するには無理があり、また工芸品用として手軽に使用できる材料ではなく実用的とは言い難い。
【0004】
その他には、セラミックス紙を原型にし、全面に泥漿を付着させて乾燥後焼成する「薄手の高強度磁器製品の製造法」がある。(特許文献1を参照)この方法では、セラミック紙の填料や付着させる泥漿のどちらにも、アルミナを30%〜45%添加した高強度磁器坏土を規定した。その高強度磁器坏土は、真密度2.6の珪石分を真比重4のアルミナに置き換えた調合坏土であるため、真密度2.6の一般磁器と比較すると、高強度磁器のそれは、アルミナを30%添加した場合は2.94、アルミナを45%添加した場合は3.23と真密度を増大させることとなり、同じ体積であれば、製品重量を13%〜24%増加させた。 薄い磁器製品を作る意義を、軽量な磁器製品を作る事とするとするならば、アルミナ添加は軽量化の観点からはマイナスの要因となる。
【特許文献1】特開平3−253305号公報
【0005】
薄くて紙のような素材感を出す陶磁器材料として、高密度にクレイを充填したセラミックス紙をそのまま焼成して陶磁器を作る方法があるが、セラミック紙のみによって成形された立体物では、含有する紙パルプ繊維分が焼失する際に形態の変形が生じ易く、さらに焼成後に十分な製品密度が得られず強度的に問題があった。また、前記の「薄手の高強度磁器製品の製造法」では、成形の手順を、アルミナを添加した高強度磁器セラミックス紙を用いて所要形態の原型とした後に、高強度磁器泥漿を付着させたため、泥漿中の水分を吸収したセラミックス紙は柔らかくなり腰を失い、かつ、付着させた泥漿はすぐには固まらず流動性を失っていない状況が続くので、強度を期待できず、紙だけでは全体の重量を支えきれなくなり、所要形態を保持する事が困難になる事があった。つまり、大きな立体物や複雑な袋物の成形には不向きであった。
【0006】
さらに、アルミナを30%以上添加する高強度磁器では、素地内でガラス化しないアルミナが光を遮り、磁器本来の特徴である透光性を犠牲にした。
【0007】
陶磁器に芳香性を付与した製品に関しては、例えば、素焼きの人形と液体芳香剤を組み合わせて芳香体とした製品が既にある。しかし、素焼きの素地は空隙孔が比較的大きく製品全体に空隙孔が存在するので、芳香剤が一度に蒸発してしまい、芳香を少量にコントロールする事が困難であった。すなわち長期に渡り少しずつ芳香を持続させることで、まるで陶磁器自体が芳香性を持っているように思わせるような、いわゆる単独で芳香性陶磁器と呼べるような陶磁器製品はなかった。特に、吸水性を持たないのが特徴であった磁器素地に関して芳香性を付与した例は無かった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上のような従来の問題点に鑑み、磁器の軽量化を、空隙孔層を作る事による素地の低密度化と薄く成形する事の両方の手段により解決すると同時に、磁器製品の複雑な形態を手軽に造形する方法を提供し、併せて、紙のような表面素材感を持ち、かつ透光性を際立たせ、しかも、長期にわたって芳香が持続する軽量磁器製品を新たに製造する事を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、磁器セラミックス紙を芯材に使い、その表裏両面に磁器泥漿を塗布し、しばらく乾燥して、磁器セラミックス紙と泥漿塗布層が一体となって柔軟性を持ったいわゆる半乾燥状態になった後で所要の形態に成形し、その形を保持したまま完全乾燥して、焼成し製造する請求項1の方法により解決する。磁器セラミックス紙を抄造する場合に使う填料や、塗布する磁器坏土泥漿は、磁器の特徴である透光性を損なわないようアルミナを含まない磁器坏土を使用する。アルミナは焼成後もガラス化せず光を遮蔽するので透光性を阻害する。本発明で製造される磁器は、基本的に薄く製造されるため、磁器の特性である透光性をよりいっそう活かした製品に使用される事が想定される。従ってセラミックス紙の填料や塗布する磁器坏土泥漿は、焼成後に透光性が高い素地となる磁器坏土を選択する事が望ましい。
【0010】
セラミックス紙は切断する事が容易で鋏やカッターナイフで所要の形や大きさに切り出すことができる。泥漿を塗布した後でも半乾燥状態になれば、折り曲げたり、磁器泥漿を糊材としてシート同士を接着する事が可能である。尚、塗布する泥漿は、磁器坏土を適量の解膠剤と水により水分量を28%から50%に調整して流動性を持たせたものであり、筆などで塗布する。
【0011】
磁器セラミックス紙の片面だけに泥漿を塗布し、成形した後で、塗り残した面を塗布し最終的に磁器セラミックス紙の表裏両面に磁器坏土泥漿を塗布する方法は、複雑な袋物などの立体物を成形する場合、立体物の外側になる泥漿層が成形中に剥離して製品表面を汚す問題を解決する。例えば、磁器セラミックス紙で折り鶴などを成形する場合、両面に泥漿を塗布した後では半乾燥磁器シートが厚くなり折りづらくなるし、折る作業中に接触する機会が多くなる外側の泥漿層が剥離し易い。だからと言って、先にセラミックス紙だけで所要の形態に成形しておき、後から泥漿を塗布する従来の方法では、塗布した泥漿の重量をセラミックス紙の強度だけで支えられず形態が崩れてしまう恐れがある。さらに、例えば、折り鶴を折って成形する場合、泥漿を塗布せずに成形した後では、胴体内部に泥漿を付着させることは困難になる問題が生じる。半乾燥状態の泥漿塗布層がセラミック紙と一体となって重量を支え、立体物の形態を保持させるようにする事が本発明のポイントである。そして塗布する泥漿はセラミックス紙の両面に均等に付着させる事が望ましく、片面だけの泥漿塗布状態のままで完全乾燥させると、セラミックス紙と塗布した泥漿の収縮差により形態の歪みが発生し易い。このように、成形はセラミックス紙の少なくとも片面に泥漿を塗布した後、半乾燥状態になった状態の間におこなうことで、立体物の形態が変形する問題を解決できる。
【0012】
請求項3では、比較的大きな軽量磁器製品を成形する場合の問題点を解決する。
本発明で使用する磁器セラミックス紙は、薄さが0.1mmから0.6mmであり、塗布できる磁器泥漿の厚みは片面でおよそ紙の厚みと同等である。1枚のセラミックス紙の両面に塗布した場合、0.3mmから1.8mmの素地厚が想定され、大きな磁器製品では製品強度が不足する場合がある。その時は、両面に磁器坏土を塗布した磁器セラミック紙を数枚積層する事により必要な強度を確保する事ができる。磁器セラミックス紙に含まれる紙パルプ繊維の焼失により形成される空隙孔を持った低密度層が、重ねた枚数の層となって包蔵された素地になるので軽量である。これにより実用的な強度を持った軽量大型磁器板などが手軽に成形できる。
【0013】
磁器素地に芳香性を付与する課題は、本発明による軽量磁器素地が持つ構造上の特徴である素地中に包蔵される空隙孔層に液体芳香剤を染みこませる事による請求項4の方法により解決できる。磁器セラミックス紙は焼成により、その有機物成分である紙パルプ繊維が焼失し微細な繋がった空隙孔を含む低密度磁器層を形成する。この空隙孔が成す低密度層は塗布した磁器泥漿層が成す緻密磁器層により挟まれる。液体芳香剤は低密度磁器層だけに毛細管現象により染み込み、緻密磁器層には染みこまず、素地の両表面からは蒸発しない。つまり、いったん素地内に染み込んだ液体芳香剤は低密度層の断面からのみ蒸発し芳香を少しずつ発散する。たとえば一度液体芳香剤を染みこませると1年間以上芳香が持続する事が期待できるので、本発明は芳香性磁器素地と呼べる磁器製品を製造可能にする。
【発明の効果】
【0014】
以上の説明から明らかなように、本発明では、軽量磁器をペーパークラフトの手軽さで成形し製造する方法でもあるので、今までになかった新しい感覚の磁器製品を提示する事ができる。その特徴は、軽く、薄く、透光性が高く、紙の表面形態をそのまま残したような素地となる。しかも、芳香性を併せ持つ新しい軽量磁器製品が製造可能になり、工芸的、工業的、技術的価値はきわめて大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
一般的に、磁器とは、ガラス化していること、半透明で透光性があること、白い事、吸水性が無いこと、打つと澄んだ音がする事が特徴であると説明される。本発明で製造する軽量磁器は、構造上吸水性が発生するので上記の特徴の1つを欠くが、それは軽量化と芳香性付与という新しい特徴を代わりに生んでいる。素地自体は本来の磁器素地坏土を使うので磁器であることには違いない。ただし、半透明で透光性があること、という特徴は磁器素地の評価を高めるために重要であるので、原料の中に、アルミナ、ジルコン等のようにガラス化せずに透光性を低下させる原料を添加しない磁器坏土を原料として使う。本発明では軽量磁器の芯材となる磁器セラミックス紙の填料に使用する磁器坏土の重量比率は、60%〜95%で、残りは有機物の紙パルプ繊維である。磁器坏土の含有比率を増すと焼成後の製品強度は増すが、セラミックス紙自体の引っ張り強度が小さくなり、成形時に折り曲げた箇所が破れてしまうことがある。反対に、紙パルプ繊維の含有比率を多くして抄造すると、塗布する泥漿が乾燥時に剥離し易くなったり、焼成後の変形を大きくしたり、製品強度を低下させる。尚、セラミックス紙の引っ張り強度を増すために、パルプ繊維を麻繊維に置き換える事も有効である。磁器セラミックス紙の厚みは0.2mmから0.6mmで、一般的な紙のように、折り曲げたり、鋏やカッターナイフで容易に切断できる。
【0016】
セラミック紙に塗布する磁器泥漿は、必ずしもセラミックス紙の填料と同じ磁器坏土を使う必要はないが、アルミナやジルコンを含まず、透光性が高く、白い素地に焼きあがる坏土を選択する事が望ましい。例えば、ボーンチャイナ磁器坏土の泥漿を使用すれば透光性のより高い軽量磁器が得られる。塗布する場合は、解膠剤により水分量を28%から50%とし、磁器セラミック紙に均一に塗布し易い流動性を持った泥漿とする。水分を多くすると、塗布する泥漿層が薄くなり、半乾燥状態になるまでにより時間がかかる。泥漿塗布後1分から2分程度で、塗布した泥漿の厚みがセラミックス紙の厚みと同じ程度の半乾燥状態になる事が好ましい。それ以上の泥漿の厚塗りは、乾燥時に泥漿層の剥離を引き起こす原因になるし、軽量化の効果を低下させる。 そして、乾燥強度を増すために泥漿中に有機バインダー等を適量添加しておくほうが好ましい。
【0017】
上記の磁器セラミックス紙を所要の形と大きさに切断し平面状に広げ、その表面全体に上記の磁器泥漿を均一に塗布する。塗布する方法は、刷毛ぬり、筆塗り、スプレー掛け、泥漿中に浸漬する方法、あるいはスキージーの方法による。泥漿を塗布すると数分でセラミックス紙が泥漿中の水分を吸収し、流動性を無くし、磁器セラミックス紙と泥漿が一体となり柔軟性を持った半生状態のシートになる。このような表面がべとつかず、変形や細工が可能な状態を半乾燥状態と呼んでいる。半乾燥状態は少なくとも30分間は継続するので、その間に所要の形態に成形する。成形する手順は2つあり、磁器セラミックス紙の両面に泥漿を付着させた後に成形する方法と、片面にだけ泥漿付着させ、成形し終わった後で塗り残したもう片方の面に塗布して仕上げる方法である。前者は単純な形状の場合の方法で、後者は折り曲げる工程が多くて複雑形状の場合の方法である。特に後者は袋物の造形の場合に有効である。例えば、折り紙の手法で立体成形する折り紙風軽量磁器を製造する場合に有効である。泥漿を付着させた面を内側にして成形し、形状が整ってから外側に泥漿を塗布する。両面に泥漿を塗布した状態では、その厚みが成形作業を煩雑にするし、外側に塗布してあった泥漿層が剥離して、結局、再度泥漿塗布を余儀なくさせられる。
【0018】
成形後、完全に乾燥して、デザインを施した後、釉薬を掛けて、磁器坏土に応じた焼成温度、すなわち一般的には1280℃前後の温度にて本焼成する。素焼きをしてから施釉して本焼成する事も可能ではあるが、薄い立体製品の場合は一度本焼成した後で、本焼成より若干低い温度で釉焼成した方が形状を保つためには望ましい。
【0019】
複数枚の磁器セラミックス紙を磁器泥漿で挟むように積層する方法には、両面が半乾燥状態になった後にシート同士を圧着して積層する方法と、2枚目以降は半乾燥状態になるのを待たず、連続的に泥漿の塗布とセラミック紙を重ねて圧着する操作を繰り返す積層方法がある。前者の場合、半乾燥状態のシート同士を接着させるために同じ磁器泥漿を糊材として塗布する必要があるが、後者はその手間が省ける。
【0020】
芳香性磁器を作るためには、液体芳香剤をそのままか、あるいは適当に希釈したものを水槽に用意し、焼成が終わった上記軽量磁器の断面が溶液中に浸るように設置し、その液体芳香剤を染みこませる。浸透速度は緩やかであるため数時間を要する場合がある。
【実施例1】
【0021】
石英30%、インド長石32%、ニュージーランドカオリン38%の組成の磁器坏土を填料として磁器セラミックス紙を漉いた。填料の磁器坏土と紙繊維の重量比率は、磁器坏土填料90%、パルプ繊維5%、マニラ麻繊維5%であり、秤量380g/mで厚みは0.36mmであった。塗布用の磁器坏土泥漿は市販の特白磁器坏土にリン酸塩系解膠剤0.3%を添加し、水分36%の流動状態にし、さらに、乾燥強度を増すために市販の水溶性有機バインダーを少量加えた。上記の磁器セラミックス紙を60cm角の正方形に切り出し、上になる表面に上記磁器坏土泥漿を刷毛で塗布した。2分間放置して、半乾燥状態になった後、折り鶴を折り紙の手法で折って成形した。この時、泥漿を塗布した面が胴体の内側になるようにした。次に、折りあがった折り鶴の塗り残した表面に磁器泥漿を塗布し、全体を磁器泥漿で均一に覆った。3時間ほどで完全乾燥させ、デザインを施し、薄く透明釉をスプレー掛けし、1280℃で酸化焼成して手折り成形による磁器製の折り鶴を作製した。素地の一重分の厚みは、1mmであり、軽くて透光性の高い折り鶴の照明器具ができあがった。図1は、軽量磁器素地の空隙孔層断面に赤インクを染みこませて低密度層を明瞭にした写真である。図2は、実施例1で作った折り鶴の照明器具であり、上が点灯前、下が点灯時のものである。
【実施例2】
【0022】
上記の磁器セラミックス紙と同じ原料で、秤量220g/m、厚みを0.20mmに漉いた磁器セラミックス紙を60cm角の正方形に9枚切り出し、先ず、1枚目の表面に上記と同様の磁器坏土泥漿を均一に塗布し、半乾燥状態になった後に、裏返し同じように磁器泥漿を塗布した。そして、表面が乾かない間に、2枚目の磁器セラミックス紙を積層し、ローラーで押さえて圧着した。同じように連続して泥漿を塗布する工程とセラミックス紙を積層して圧着する工程を7回繰り返して表裏を磁器泥漿で覆い磁器板を成形した。次に完全乾燥して、表面にデザインを施し、透明釉を薄くスプレー掛けした後、1280℃で酸化焼成し、厚みが4mm、大きさ53cm角の磁器タイルを作った。このタイルの嵩比重は、2.1であり、一般的な磁器の2.5と比較して、14%の軽量化になった。さらに、このタイルの一端を、市販の香水を10倍に希釈した液体を入れたパレットの中に5時間沈め、断面から香水液を染み込ませた。こうして香水を染み込ませた積層タイルは、1年経過した現在もほのかな香りを漂わせている。図3は、積層軽量タイルに赤インクを染み込ませた写真である。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、軽量で薄く、透光性が高く、しかも芳香性を有する磁器製品を提供できるので、透光性を活かした照明器具や、透光性と芳香性を備えたインテリア製品への活用が期待できる。さらにセラミックス紙を形態の芯材に使う成形方法は、陶磁器の新しい製造方法であるので、今までになかった陶芸の手法と材料を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】軽量磁器の断面の写真。磁器セラミックス紙の空隙孔層に赤インクを染みこませた写真。
【図2】透光性の高い軽量磁器で折り鶴を折って作った照明器具の例。下が点灯時。
【図3】0.2mm厚の磁器セラミック紙を9枚積層したタイルの断面に赤インクを染みこませた写真。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミナを添加しない磁器坏土を填料として抄造した磁器セラミックス紙を芯材とし、その表裏両面にアルミナを添加しない磁器坏土泥漿を塗布して、半乾燥状態となった後に所要の形態に成形するか、あるいは、磁器セラミックス紙の片面に磁器坏土泥漿を塗布し半乾燥状態となった後に、塗布面が内側になるように立体物を成形し、その次に、外側になる面に磁器坏土泥漿を塗布して、最終的にセラミックス紙の表裏両面に磁器坏土泥漿を塗布し、完全乾燥して、焼成する軽量磁器の製造方法。
【請求項2】
前項に記載の方法を使い、折り紙の手法により立体成形して焼成する折り紙風軽量磁器。
【請求項3】
請求項1に記載の磁器セラミックス紙の表裏両面にアルミナを含まない磁器坏土泥漿を塗布したシートを半乾燥状態となった後に複数枚積層するか、あるいは、積層する磁器セラミックス紙の2枚目以降は、半乾燥状態を待たずに連続的に磁器泥漿をはさみ込みながら複数枚積層して一体となし、最終的に積層板の表裏全面に磁器坏土泥漿を塗布し、平面状、あるいは、所要の形状に成形した後、完全乾燥して、焼成する軽量磁器の製造方法。
【請求項4】
請求項1または3に記載の磁器坏土を両面に塗布された磁器セラミックス紙は、焼成により、その有機物成分である紙繊維分が焼失し、微細な空隙孔を持つ低密度な磁器素地層となり、塗布した磁器泥漿層が成す緻密な磁器素地層に挟まれる。この素地中に包蔵される微細な空隙孔層に液体芳香剤を染み込ませた芳香性磁器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−100882(P2008−100882A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−285918(P2006−285918)
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【出願人】(503330048)
【Fターム(参考)】