説明

穿孔機

錠剤形成用の穿孔機(10、110)が提供される。穿孔機は、その使用時に加圧面(62)と接触するカム面(24、124)を含む。カム面は実質的に平坦な平坦部(14、114)を含み、該平坦部は、該平坦部に直交する方向(20)に沿って見た場合に非円形形状を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は穿孔機に関し、特には、これに限定しないが錠剤その他の形成用の穿孔機に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬錠剤等の錠剤形成用装置は代表的には少なくとも1台の穿孔機を含む。穿孔機は各々がカム面を有し、このカム面が装置使用中に加圧面に接触し、錠剤形成面を介してダイキャビティ内の材料に圧縮力を負荷し、かくして当該材料を錠剤化する。しかしながら、錠剤製造業者にとっては穿孔機の錠剤形成面に材料が付着する問題がある。ダイキャビティからの排気も問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
穿孔機の錠剤形成面への材料付着及びダイキャビティからの排気等の問題を解決する穿孔機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の1様相によれば、錠剤形成用の穿孔機が提供される。穿孔機は装置使用時に加圧面に接触するカム面を含み、当該カム面は実質的に平坦な部分を含み、当該平坦部は、この平坦部の平面に直交する方向に沿って見た場合に非円形形状を有する。
前記平坦部は細長形状を有し得、その第1軸に沿った長さは第2軸に沿ったそれよりも長くし得る。第2軸は第1軸に直交し得る。
【0005】
第1軸に沿った長さは前記平坦部の最大寸法であり得、第2軸に沿った長さは前記平坦部の最小寸法であり得る。
第1軸は前記加圧面及びカム面の相対動作方向に実質的に整列され得る。
第2軸に沿った長さに対する第1軸に沿った長さの比は1:1以上、及び恐らくは2:1未満であり得る。前記比は約1.5:1であり得る。
前記平坦部は前記方向、即ち、当該平坦部の平面に直交する方向に沿って見た場合に実質的に楕円形状であり得る。
【0006】
穿孔機はシャフトと、シャフトから伸延する比較的細長のヘッドと、ヘッド上に形成されるカム面とを含み得る。
シャフトは、前記平坦部の平面に直交し得る長手方向軸を有し得る。
【0007】
穿孔機はガイド部を含み得、当該ガイド部はその使用時に、各通路内での各穿孔機の向きを調整し、各穿孔機の第1軸を、長手軸と直交する穿孔機の動作方向に実質的に沿って整列させる。ガイド部はシャフトから横方向に突出し得る突起形態のものであり得る。
【0008】
本発明の第2の様相によれば、錠剤その他の形成用装置が提供され、当該装置は、少なくとも1台の穿孔機と、加圧面と、を含み、前記穿孔機はその使用時に前記加圧面と接触するカム面を含み、当該カム面は実質的に平坦な平坦部を含み、当該平坦部は該平坦部の平面と直交する方向に沿って見た場合に非円形形状を有する。
前記穿孔機は先に説明した如きものであり得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】錠剤その他形成用の装置の略側方断面図である。
【図2】錠剤形成用の穿孔機の側面図である。
【図3】図2の穿孔機の平面図である。
【図4】穿孔機の第1側部の側面図である。
【図5】穿孔機の第2側部の側面図である。
【図6】図1の装置の略平面図である。
【図7】第2穿孔機の平面図である。
【図8】第2穿孔機の第1側部の側面図である。
【図9】第2穿孔機の第2側部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照するに、錠剤その他形成用の装置50が示され、図1では参照番号52で全体を示す複数のダイと、各ダイ52の上下に伸延された複数の通路54(その幾つかのみに番号を付記した)と、対向する2つの軌道対56にして、一方が上方の通路54の上方に位置付けられ、他方が下方の通路54の下方に位置付けられた2つの軌道対56と、を含んでいる。
【0011】
装置50は複数の穿孔機10を含み、各通路54には各1台の穿孔機10が配置され、これら通路54に沿って摺動自在に移動可能である。装置50は2対の加圧ロールを含み、各加圧ロール対は前加圧ロール58と主加圧ロール60とからなり、上方の軌道対56の上方と下方軌道対56の下方とに夫々加圧ロール対が配置される。前加圧ロール58及び主加圧ロール60は各々加圧面62を含む。
【0012】
図2〜図5には穿孔機10の1つにおける詳細が示される。穿孔機10は長手軸20を有するシャフト12を含む。穿孔機10はシャフト12から横方向外側に伸延する突起状のガイド部22を含む。穿孔機10のシャフト12の一端には比較的拡大されたヘッド部18が配置され、シャフトの他端には錠剤形成面38が配置される。
【0013】
ヘッド部18は、図3及び図5にその範囲を小×印で略示したカム面24を含む。カム面24は実質的に平らな平坦部14と、傾斜部16の一部分26とを含む。平坦部14の平面は長手軸20に実質的に直交する。傾斜部分26は平坦部14の全側部から周縁部28に掛けて伸延する。図示例では傾斜部分26は凸湾曲状輪郭を有するが、他の例では一定角度で傾斜され得る。平面図で長手軸20に沿って見た場合、周縁部28は実質的に円形である。
【0014】
平坦部14は細長く、長手軸20に沿って見た場合に楕円形状であり、第1軸34に沿ったその長さ30は、前記第1軸34に直交する第2軸36に沿った平坦部の長さである幅32よりも長い。長さ30は平坦部14の最大寸法を構成し、幅32はその最小寸法を構成する。
かくして、平坦部14は当該平坦部14の平面に直交する方向、即ち長手軸20に沿って見た場合に非円形形状となる。
【0015】
1実施例では幅32対長さ30の比は1:1以上であり、また2:1未満であり得る。他の実施例では前記比は約1.5:1であり得る。
使用に際し、各穿孔機10は、対向する軌道対56の内部にヘッド部18の周縁部28の対向する各部が位置付けられるように装置50内に配置される。各穿孔機10のガイド部22は通路54の相当形状部(図示せず)の内部に位置付けられる。
【0016】
穿孔機10は軌道対56に沿って移動し、通路54内での穿孔機10の移動は軌道対56により決定される。穿孔機10が軌道対56に沿って進むと前加圧ロール58と主加圧ロール60(図示せず)との加圧面62が穿孔機10のカム面24と接触し、穿孔機10をダイ52に押し込み、かくしてダイ内部の材料64を圧縮する。
【0017】
カム面24の平坦部14の長さ30で、穿孔機10が材料64に最大圧縮力を負荷し続ける時間が決まる。この時間長さは“休止時間”と称される。この休止時間を延ばすと、穿孔機をダイ52から出す際の錠剤形成面38への材料64の付着量が低減することが分かった。休止時間を延ばすと、ダイキャビティからの排気も改善され、結局、形成した錠剤から圧縮材料の“キャップ”が分離する“キャッピング”の発生率が減少する。休止時間が長くなると、錠剤圧縮プロセスに関わる物理的及び化学的反応が生じる時間も長くなる。非円形の平坦部14を用いることで休止時間が延び、材料の付着量が減少し、他方、穿孔機10はそのシャフト及びヘッド部の周縁部に関して標準的な寸法形状のもので良いため、従来の又は標準的な錠剤形成装置を使用できる。
【0018】
図6に示すように、通路54の相当形状部内に位置付けられた各穿孔機10のガイド部22が、各通路54内での各穿孔機10の方向を修正すると共に、第1軸34を、長手軸20と直交する方向での穿孔機10の移動方向に実質的に沿って整列させる。これにより、平坦部14の最大寸法部分が加圧面62と接触することが保証される。
【0019】
図7〜図9にはその特徴の多くが前述の実施例に類似する、本発明の第2実施例が示される。同じ又は類似する特徴部分は同じ参照番号で示され且つここでは詳細説明は簡略化のために省略される。
図7〜図9には、穿孔機110が示され、実質的に平坦な平坦部114及び、傾斜部16の一部分26を含むカム面124を含むヘッド部118を含んでいる。この実施例では平坦部114は長手軸20に沿って見た場合に実質的に矩形形状を有する。
【0020】
本発明の範囲を逸脱することなく種々のその他変更例が可能とされる。例えば、平坦部は任意の非円形の形状寸法を有し得る。例えば、平坦部は矩形又は楕円形状を有し得る。穿孔機は任意の好適な寸法形状を有し得、任意の好適材料から作製し得る。1例では穿孔機は金属等の硬化性材料から形成され得る。ガイド部は任意の形状寸法を有し得る。1例ではガイド部はシャフトにより画定される凹所を含み得る。
穿孔機は、任意の好適な目的又は用途で使用可能であり、任意の好適な寸法、形式又は形状の錠剤形成に使用できる。
錠剤形成装置は任意の好適な寸法形状及び構成のものであり得る。例えば、錠剤形成装置は、任意の好適数の穿孔機を含み得、穿孔機は1台のみであり得る。
穿孔機で形成される材料は任意の好適な材料であり得る。
以上、本発明を実施例を参照して説明したが、本発明の内で種々の変更をなし得ることを理解されたい。
【符号の説明】
【0021】
10 穿孔機
12 シャフト
14 平坦部
16 傾斜部
18 ヘッド部
20 長手軸
22 ガイド部
24 カム面
26 傾斜部分
28 周縁部
32 幅
34 第1軸
36 第2軸
38 錠剤形成面
50 装置
52 ダイ
54 通路
56 軌道対
58 前加圧ロール
60 主加圧ロール
62 加圧面
64 材料
110 穿孔機
114 平坦部
118 ヘッド部
124 カム面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠剤形成用の穿孔機であって、
その使用時に加圧面と接触するカム面を含み、該カム面が実質的に平坦な平坦部を含み、該平坦部が、該平坦部の平面に直交する方向に沿って見た場合に非円形形状を有する穿孔機。
【請求項2】
前記平坦部が細長形状を有する請求項1に記載の穿孔機。
【請求項3】
前記平坦部が第1軸及び第2軸を有し、第1軸に沿った長さが第2軸に沿った長さよりも長い請求項2に記載の穿孔機。
【請求項4】
前記第2軸が前記第1軸と直交する請求項3に記載の穿孔機。
【請求項5】
前記第1軸に沿った長さが前記平坦部の最大寸法である請求項3又は4に記載の穿孔機。
【請求項6】
前記第2軸に沿った長さが前記平坦部の最小寸法である請求項3〜5の何れかに記載の穿孔機。
【請求項7】
前記第1軸が、前記加圧面及びカム面の相対動作方向に実質的に沿って整列される請求項3〜6の何れかに記載の穿孔機。
【請求項8】
前記第2軸に沿った長さに対する前記第1軸に沿った長さの比が1:1以上である請求項3〜7の何れかに記載の穿孔機。
【請求項9】
前記第2軸に沿った長さに対する前記第1軸に沿った長さの比が2:1未満である請求項3〜8の何れかに記載の穿孔機。
【請求項10】
前記第2軸に沿った長さに対する前記第1軸に沿った長さの比が約1.5:1である請求項8又は9に記載の穿孔機。
【請求項11】
前記平坦部が、該平坦部の平面に直交する方向に沿って見た場合に実質的に楕円形状を有する請求項1〜10の何れかに記載の穿孔機。
【請求項12】
シャフト、該シャフトから伸延する比較的細長のヘッド部、を含み、前記カム面がヘッド部上に形成される請求項1〜11の何れかに記載の穿孔機。
【請求項13】
前記シャフトが長手軸を有する請求項12に記載の穿孔機。
【請求項14】
前記長手軸が前記平坦部の平面に直交する請求項12に記載の穿孔機。
【請求項15】
ガイド部を含み、該ガイド部が、その使用時に錠剤形成装置により画定される通路内で各穿孔機の方向を修正し、穿孔機の前記長手軸に直交する移動方向に実質的に沿って前記第1軸を整列させる請求項3に従属する請求項13に記載の穿孔機。
【請求項16】
前記ガイド部が突起形態を有する請求項15に記載の穿孔機。
【請求項17】
前記突起形態が前記シャフトから横方向に突出する請求項16に記載の穿孔機。
【請求項18】
錠剤その他の形成用装置であって、
少なくとも1つの穿孔機及び加圧面を含み、前記穿孔機は、その使用時に前記加圧面と接触するカム面を含み、該カム面が実質的に平坦な平坦部を含み、該平坦部が、該平坦部の平面に直交する方向に沿って見た場合に非円形形状を有する装置。
【請求項19】
前記穿孔機が請求項1〜17の何れかのみに記載されたものである請求項18に記載の装置。
【請求項20】
説明され且つ付随する図面に参照される如き穿孔機。
【請求項21】
説明され且つ付随する図面に参照される如き装置。
【請求項22】
任意の先行する請求項における如きある発明の範囲内又は当該発明との関連性を問わず、任意の新規な記載事項又はここに開示される新規な記載事項を含む組み合わせ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2012−515089(P2012−515089A)
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−545789(P2011−545789)
【出願日】平成22年1月13日(2010.1.13)
【国際出願番号】PCT/GB2010/000047
【国際公開番号】WO2010/082022
【国際公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(502410990)アイ・ホランド・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】