説明

窓ガラス用断熱シート

【課題】 窓ガラスに対して容易に長期間にわたって貼着状態とさせることができるようにする。
【解決手段】 窓ガラスGに対して貼着され窓ガラスGにおける熱伝導を低減させる窓ガラス用断熱シートであって、窓ガラスGの側のシートであるガラス側フィルム10と、窓ガラスGとは反対側のシートである離隔側フィルム30と、ガラス側フィルム10と離隔側フィルム30との間に位置し、離隔側フィルム30及び/又はガラス側フィルム10との間で複数の気泡25を形成する気泡形成フィルム20とを有し、ガラス側フィルム10は、合成樹脂を主原材料として形成されており、密度が0.88〜0.92g/cm3 である、窓ガラス用断熱シートである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓ガラスに対して貼着され当該窓ガラスにおける熱伝導を低減させる窓ガラス用断熱シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
家屋等の建物においては、その内部を所定の温度に維持することが求められている。
一方では、地球温暖化の防止や経済性の観点から、空調のためのエネルギーの消費量はできるだけ少ない方が好ましい。
このため、建物の内部と外部との間の断熱を図ることが必要である。すなわち、冬期等においては建物の内部から外部への熱伝導を低減化し、夏期等においては建物の外部から内部への熱伝導を低減化する必要がある。
【0003】
現在、特に壁については、高い断熱性を有する材料がかなり普及している。
しかし、窓ガラスは、壁と比較して熱伝導率が高い。このため、熱伝導性のことのみを考慮すれば窓はより小さい方が好ましいのであるが、その建物内の人の精神衛生上、所定以上の大きさは必要である。
このため、建物の断熱性を高める上で、窓ガラスにおける断熱性を高めることが非常に重要である。
【0004】
窓ガラスにおける断熱性を高めるためのものとして、特許文献1には、種々の態様のプラスチック製の気泡シートがある。
そのうちの1つの気泡シートは、バックフィルム,ライナーフィルム,両者間のキャップフィルムを有している。そして、バックフィルム及びライナーフィルムの少なくとも一方は、親水性の物質を混練したポリオレフィン樹脂が使用されている。
そして、その気泡シートは、その当該一方のフィルムを窓ガラスの側にした状態で、窓ガラスに対して水貼りされる。
すなわち、窓ガラス(ガラス板)に対して水を塗り(水をつけ)、そのガラス板に対して気泡シートをのせ、ガラス板と気泡シートとの間の空気を追い出して気泡シートをガラス板に対して密着させる。こうして、その気泡シートは、ガラス板に対して貼り付き、3ヶ月又はそれ以上の長期間にわたってガラス板に対して貼り付いた状態を維持する、とのことである。
【0005】
しかしながら、上記の特許文献1の気泡シートでは、本来的に、窓側のフィルムが粘着性を有しているわけではない。
このため、水貼りする際には、ガラス板に対して十分な量の水を供給し、ガラス板と気泡シートとの間の空気は、十分に念を入れて追い出す必要がある。しかしながら、その作業は煩雑である。
逆にいえば、上記の特許文献1の気泡シートでは、そのような煩雑な作業を行わない場合には、長期間にわたってガラス板に貼り付いた状態を維持することは困難であると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3721952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、窓ガラスに対して容易に長期間にわたって貼着状態とさせることができる窓ガラス用断熱シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、窓ガラスに対して貼着され当該窓ガラスにおける熱伝導を低減させる窓ガラス用断熱シートであって、前記窓ガラスの側のシートであるガラス側フィルムと、前記窓ガラスとは反対側のシートである離隔側フィルムと、前記ガラス側フィルムと前記離隔側フィルムとの間に位置し、前記離隔側フィルム及び/又は前記ガラス側フィルムとの間で複数の気泡を形成する気泡形成フィルムとを有し、前記ガラス側フィルムは、合成樹脂を主原材料として形成されており、密度が0.88〜0.92g/cm3 である、窓ガラス用断熱シートである。
【0009】
本発明には、前記ガラス側フィルムが直鎖状低密度ポリエチレンを主原材料として形成されている態様と、前記ガラス側フィルムが直鎖状低密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンを主原材料として形成されている態様とがある。
【0010】
また、本発明のうち、前記ガラス側フィルムの密度の下限が0.89g/cm3 である態様が、より好ましい。窓ガラスからより容易に剥離することができるからである。
また、本発明のうち、前記ガラス側フィルムの密度の上限が0.91g/cm3 である態様が、より好ましい。窓ガラスに対する粘着性がより高くなるからである。
さらに、本発明のうち、前記ガラス側フィルムの密度が0.90g/cm3 である態様が、最も好ましい。窓ガラスに対する粘着性と窓ガラスからの剥離作業のしやすさとのバランスが最も良い値であるからである。
【発明の効果】
【0011】
この発明の窓ガラス用断熱シートでは、合成樹脂を主原材料として形成されているガラス側フィルムの密度が0.88〜0.92g/cm3 であるために、本来的に、そのガラス側フィルム(窓ガラス用断熱シート)は、十分な粘着性を有する。
このため、この窓ガラス用断熱シートは、窓ガラスに対して水を付着させ、その水が付着した窓ガラスに対してガラス側フィルムを添わせ、窓ガラスとガラス側フィルムとの間の空気を(両者間の水とともに)排除させる、という作業を簡易に行うだけで、窓ガラスに対して容易に貼着し、窓ガラスとガラス側フィルムとの間の水がなくなった後においても、その貼着状態が長期間にわたって維持される。
このようにして、この窓ガラス用断熱シートでは、適切な断熱効果を容易に得ることができる。
また、ガラス側フィルムの密度が上述の範囲であるために、過度に粘着性を有することもないために、窓ガラスに接着させて使用した後に除去する際にも、容易に剥離させることができる。
すなわち、密度(単位体積あたりの質量)が小さいほど粘着性が高くなり、粘着性が高くなりすぎると剥離しにくくなるのであって、上述の範囲が適切であることが判明したのである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態の窓ガラス用断熱シートを示す正面図である。
【図2】本発明の一実施形態の窓ガラス用断熱シートを示す断面図である。
【図3】本発明の一実施形態の窓ガラス用断熱シートを示す分解断面図である。
【図4】本発明の一実施形態の窓ガラス用断熱シートの使用状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
図2及び図3に示すように、この窓ガラス用断熱シートは、ガラス側フィルム10,気泡形成フィルム20,離隔側フィルム30の3重のフィルムによって形成されている。
【0014】
ガラス側フィルム10及び離隔側フィルム30は、ほぼ一平面状をしている。
気泡形成フィルム20は、略平面部22をベースとして、多数の凸状部24を有している。多数の凸状部24は、縦横の各方向に整列して形成されている。各凸状部24は、離隔側フィルム30に向かって突出している。
気泡形成フィルム20は、略平面部22において、離隔側フィルム30と熱溶着されている。こうして、気泡形成フィルム20の各凸状部24と離隔側フィルム30との間に気泡25(図1も参照)が形成されている。
そのように気泡形成フィルム20と離隔側フィルム30とが一体化した状態のものが形成された後に、気泡形成フィルム20は、各凸状部24において、ガラス側フィルム10と熱溶着されて、この窓ガラス用断熱シートは形成されている。
【0015】
ガラス側フィルム10は、次のような成分によって形成されている。
第1の態様として、直鎖状低密度ポリエチレン(すなわちリニアポリエチレン)を主原材料として形成されている、というものがある。
この態様において、1種類の直鎖状低密度ポリエチレンのみの場合と、複数種類の直鎖状低密度ポリエチレンが混合されている場合とがある。
また、第2の態様として、直鎖状低密度ポリエチレン(すなわちリニアポリエチレン)及び低密度ポリエチレン(すなわち高圧法低密度ポリエチレン)を主原材料として、すなわち両者を混合したものを主原材料として形成されている、というものがある。
この態様において、直鎖状低密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンとも、1種類のみからなる場合と、複数種類が混合されている場合とがある。
いずれの態様においても、ガラス側フィルム10には、耐候剤が含まれている。
【0016】
そして、ガラス側フィルム10の密度は、0.88〜0.92g/cm3 である。そのうち、その下限としては、0.89g/cm3 がより好ましく、0.90g/cm3 がさらに好ましい。また、その上限としては、0.91g/cm3 がより好ましく、0.90g/cm3 がさらに好ましい。
密度(単位体積あたりの質量)が小さいほど、ガラス面に対するガラス側フィルム10(窓ガラス用断熱シート)の粘着性が高くなるとともに、その密度が小さすぎると、ガラス面に対する粘着性が高くなりすぎて、ガラス面に接着した状態のガラス側フィルム10(窓ガラス用断熱シート)を剥離するのが困難となる(結果的に破断してしまう)のであり、上述の範囲が適切であることが、実験によって判明したからである。
【0017】
なお、ガラス側フィルム10は、特許文献1のように、(1)ポリエチレンにアクリル酸及び/又は無水マレイン酸をグラフト重合させて得たポリマー、及び、(2)モノ又はジグリセリン脂肪酸エステル、から選んだ1種または2種の親水性物質を混練し、成膜したフィルム等ではない。
【0018】
離隔側フィルム30は、次のような成分によって形成されている。
第1の態様として、低密度ポリエチレン(すなわち高圧法低密度ポリエチレン)を主原材料として形成されている、というものがある。
第2の態様として、直鎖状低密度ポリエチレン(すなわちリニアポリエチレン)及び低密度ポリエチレン(すなわち高圧法低密度ポリエチレン)を主原材料として、すなわち両者を混合したものを主原材料として形成されている、というものがある。
第3の態様として、直鎖状低密度ポリエチレン(すなわちリニアポリエチレン)を主原材料として形成されている、というものがある。
離隔側フィルム30には、防曇剤が含まれている。
【0019】
気泡形成フィルム20は、各種の材料によって製造され得る。しかしながら、この窓ガラス用断熱シートが製造される際の能率を考慮して、離隔側フィルム30と同一の材料が使用されることが望ましい。
【0020】
次に、この窓ガラス用断熱シートの使用方法及び作用効果について、図4に基づいて説明する。
窓ガラスGの内側又は外側の面に対して、微量の水Wを塗布し、この窓ガラス用断熱シートを窓ガラスGの内側又は外側の面に対して付着させる。
その際、直前に塗布した水Wによって、窓ガラスGと窓ガラス用断熱シートとの間に空気ができるだけ存在しないように、窓ガラス用断熱シートの中央部分から各周辺部分に向けて、窓ガラス用断熱シートを窓ガラスに対して押圧する。
こうして、この窓ガラス用断熱シートを窓ガラスに対して密着状態とする。
【0021】
そうすることによって、ガラス側フィルムの密度が上述の範囲であるために本来的にこの窓ガラス用断熱シート(ガラス側フィルム)が粘着性を有していることから、この窓ガラス用断熱シートは、窓ガラスGに対して確実に接着状態となる。
すなわち、塗布する水Wの量が微量であっても、窓ガラスGと窓ガラス用断熱シートとの間の空気を追い出す作業が簡易なものであっても、この窓ガラス用断熱シートは窓ガラスGに対して確実に接着するのである。
そして、窓ガラスGとガラス側フィルムとの間の水Wがなくなった後においても、その接着状態が長期間にわたって維持される。
【0022】
上述のように窓ガラスGに対してこの窓ガラス用断熱シートが貼着された状態で、この窓ガラス用断熱シートに存在する複数の気泡25によって、この窓ガラスGにおける断熱効果を得ることができる。
また、ガラス側フィルムの密度が上述の範囲であるためにこの窓ガラス用断熱シート(ガラス側フィルム)が過度に粘着性を有してもいないために、この窓ガラス用断熱シートを窓ガラスGから除去する際にも、容易に剥離させることができる。
【実施例】
【0023】
次に、本発明の実施例について、比較例とともに説明する。この実施例・比較例は、本発明の窓ガラス用断熱シートが長期間にわたって貼着状態が維持されるか否か、使用後に剥離する際に容易に剥離され得るか否かを確認するものである。
いずれにおいても、次のようにして屋内で実験を行った。
【0024】
まず、950mm×450mmの大きさのガラス板を用意し、そのガラス板を水平に設置した。
そのガラス板の上面に、0.94mL(ミリリットル)の微量の水道水を均一に塗布した。その方法としては、濡れた布材で多数のガラス板を拭くことによった。その水道水の体積は、上記のように濡れた布材で多数のガラス板に対して水道水を塗布した前後において当該布材の重量が減少した分を当該ガラス板の枚数で除することによって、1枚のガラス板に対して塗布した水の重量を算出し、求めたのである。
上述の水の量は、単位面積あたりでは2.2mL(ミリリットル)/m2 であり、従来における窓ガラス用断熱シートの水貼りの際と比較して、少ない量である。本発明の窓ガラス用断熱シート(ガラス側フィルム)が本来的に粘着性を有しているために、この程度の少ない量でも足りるのである。
【0025】
次に、上述のようにして微量の水が塗布されたガラス板の上面に対して、窓ガラス用断熱シートを載置した。その窓ガラス用断熱シートの大きさは950mm×450mmである。
次に、ローラによって、窓ガラス用断熱シートをガラス板に対して圧着させた。具体的には、窓ガラス用断熱シートの中央の直線(各長辺の中心を結び短辺方向に延びる仮想直線)である基準線から一方の短辺に向けて(基準線から直角方向に)2kgのローラを転動させる、という押圧作業を前記基準線の中央から両端部に向けて順次行い、次に、前記基準線から他方の短辺に向けて同様の押圧作業を行った。その際、そのローラによる押圧作業は、窓ガラス用断熱シートに対して重ねて行うことなく、各部位とも1回のみ行われるようにした。
なお、この空気の排除の作業は、従来と比較して簡易なものであり、完全には空気は排除されない。しかしながら、本発明の窓ガラス用断熱シート(ガラス側フィルム)が本来的に粘着性を有しているために、この程度の簡易な作業で足りるのである。
【0026】
次に、上述のようにして窓ガラスシートが貼着されたガラス板を上下反転させた。すなわち、水平なガラス板の下面に窓ガラスシートが貼着された状態とした。そして、その状態を30日間維持し、観察した。
なお、室温は16℃,湿度は40%の環境で実験を行った。
【0027】
ところで、窓ガラス用断熱シートは、通常は、鉛直状態のガラス板に貼着して使用される。しかしながら、今回の実験は、窓ガラス用断熱シートが窓ガラスに対して長期間にわたって貼着した状態に維持されるか否かを確認することを目的の1つとしており、通常の使用の条件(鉛直状態のガラス板に対する貼着)よりも厳しい条件で実験することによって、実験期間を短縮しようとするものである。
【0028】
各実験例・比較例の内容をまとめると、表1のとおりである。
【表1】

【0029】
[実施例1A・1B]
実施例1Aにおける窓ガラス用断熱シートのガラス側フィルム10は、直鎖状低密度ポリエチレン(リニアポリエチレン)を主原材料として形成されている。すなわち、直鎖状低密度ポリエチレンに対して耐候剤が含まれて形成されており、その密度(単位体積あたりの質量密度)は0.90g/cm3 である。なお、いずれも、密度の値は、小数点3桁以下を四捨五入したものである。
また、実施例1Bにおける窓ガラス用断熱シートのガラス側フィルム10は、直鎖状低密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレン(両者の質量比は6:4)に対して耐候材が含まれて形成されており、その密度は0.90g/cm3 である。
【0030】
そして、各々、上述のようにしてガラス板に貼付して30日間観察したところ、30日経過した時点においても、その窓ガラス用断熱シートは、ガラス板に対して全面的に確実に接着していた。
一方、作業員がその窓ガラス用断熱シートをガラス板から剥離しようとしたところ、そのガラス側フィルム10の一部がガラス板に対して付着したまま残る、ということなく、円滑に剥離された。
このように、実施例1A・1Bにおいては非常に良好な結果が得られた。
【0031】
[実施例2A・2B]
実施例2Aにおける窓ガラス用断熱シートのガラス側フィルム10は、直鎖状低密度ポリエチレン(リニアポリエチレン)を主原材料として形成されており、その密度は0.89g/cm3 である。
実施例2Bにおける窓ガラス用断熱シートのガラス側フィルム10は、直鎖状低密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレン(両者の質量比は7:3)を主原材料として形成されており、その密度は0.89g/cm3 である。
そして、実施例2A・2Bにおいても、実施例1A・1Bと同様に非常に良好な結果が得られた。
【0032】
[実施例3A・3B]
実施例3Aにおける窓ガラス用断熱シートのガラス側フィルム10は、直鎖状低密度ポリエチレン(リニアポリエチレン)を主原材料として形成されており、その密度は0.91g/cm3 である。
実施例3Bにおける窓ガラス用断熱シートのガラス側フィルム10は、直鎖状低密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレン(両者の質量比は5:5)を主原材料として形成されており、その密度は0.91g/cm3 である。
そして、実施例3A・3Bにおいても、実施例1A・1Bと同様に非常に良好な結果が得られた。
【0033】
[実施例4A・4B]
実施例4Aにおける窓ガラス用断熱シートのガラス側フィルム10は、直鎖状低密度ポリエチレン(リニアポリエチレン)を主原材料として形成されており、その密度は0.88g/cm3 である。
実施例4Bにおける窓ガラス用断熱シートのガラス側フィルム10は、直鎖状低密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレン(両者の質量比は8:2)を主原材料として形成されており、その密度は0.88g/cm3 である。
【0034】
そして、実施例4A・4Bにおいては、実施例1A・1Bと同様に、貼付してから30日経過した時点においても、その窓ガラス用断熱シートは、ガラス板に対して全面的に確実に接着していた。
一方、作業員がその窓ガラス用断熱シートをガラス板から剥離しようとしたところ、ほぼ円滑に剥離された。すなわち、そのガラス側フィルム10のごく一部がガラス板に対して付着したまま残ったが、その残ったものも個別的に容易に剥離することができ、実用的には大きな問題とはならないことが判明した。
このように、実施例4A・4Bにおいてはかなり良好な結果が得られた。
【0035】
[実施例5A・5B]
実施例5Aにおける窓ガラス用断熱シートのガラス側フィルム10は、直鎖状低密度ポリエチレン(リニアポリエチレン)を主原材料として形成されており、その密度は0.92g/cm3 である。
実施例5Bにおける窓ガラス用断熱シートのガラス側フィルム10は、直鎖状低密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレン(両者の質量比は4:6)を主原材料として形成されており、その密度は0.92g/cm3 である。
【0036】
そして、実施例5A・5Bにおいては、貼付してから30日経過した時点において、その窓ガラス用断熱シートは、ガラス板に対してほぼ全面的に接着していた。すなわち、部分的には剥離していたが、大半部分は接着していた。
そして、作業員がその窓ガラス用断熱シートをガラス板から剥離しようとしたところ、そのガラス側フィルム10の一部がガラス板に対して付着したまま残る、ということなく、円滑に剥離された。
このように、実施例5A・5Bにおいてはかなり良好な結果が得られた。
【0037】
[比較例1A・1B]
比較例1Aにおける窓ガラス用断熱シートのガラス側フィルム10は、直鎖状低密度ポリエチレン(リニアポリエチレン)を主原材料として形成されており、その密度は0.87g/cm3 である。
比較例1Bにおける窓ガラス用断熱シートのガラス側フィルム10は、直鎖状低密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレン(両者の質量比は9:1)を主原材料として形成されており、その密度は0.87g/cm3 である。
【0038】
そして、比較例1Aにおいては、実施例1Aと同様に、貼付してから30日経過した時点においても、その窓ガラス用断熱シートは、ガラス板に対して全面的に確実に接着していた。
一方、作業員がその窓ガラス用断熱シートをガラス板から剥離しようとしたところ、あまり円滑に剥離されなかった。すなわち、そのガラス側フィルム10のうちのかなりの部分がガラス板に対して付着したまま残り、その残ったものを個別的に剥離しようとする作業は煩雑であった。
このように、比較例1A及び1Bでは、良好な結果は得られなかった。
【0039】
[比較例2A・2B]
比較例2Aにおける窓ガラス用断熱シートのガラス側フィルム10は、直鎖状低密度ポリエチレン(リニアポリエチレン)を主原材料として形成されており、その密度は0.93g/cm3 である。
実施例2Bにおける窓ガラス用断熱シートのガラス側フィルム10は、直鎖状低密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレン(両者の質量比は3:7)を主原材料として形成されており、その密度は0.93g/cm3 である。
【0040】
そして、比較例2A・2Bにおいては、貼付してから30日経過した時点において、その窓ガラス用断熱シートは、ガラス板から全面的に剥離して、ガラス板から落下していた。
このように、比較例2A及び2Bでは、良好な結果は得られなかった。
【符号の説明】
【0041】
10 ガラス側フィルム
20 気泡形成フィルム
25 気泡
30 離隔側フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓ガラスに対して貼着され当該窓ガラスにおける熱伝導を低減させる窓ガラス用断熱シートであって、
前記窓ガラスの側のシートであるガラス側フィルムと、
前記窓ガラスとは反対側のシートである離隔側フィルムと、
前記ガラス側フィルムと前記離隔側フィルムとの間に位置し、前記離隔側フィルム及び/又は前記ガラス側フィルムとの間で複数の気泡を形成する気泡形成フィルムとを有し、
前記ガラス側フィルムは、合成樹脂を主原材料として形成されており、密度が0.88〜0.92g/cm3 である、
窓ガラス用断熱シート。
【請求項2】
請求項1に記載の窓ガラス用断熱シートであって、
前記ガラス側フィルムは、直鎖状低密度ポリエチレンを主原材料として形成されている、
窓ガラス用断熱シート。
【請求項3】
請求項1に記載の窓ガラス用断熱シートであって、
前記ガラス側フィルムは、直鎖状低密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンを主原材料として形成されている、
窓ガラス用断熱シート。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の窓ガラス用断熱シートであって、
前記ガラス側フィルムの密度の下限が0.89g/cm3 である、
窓ガラス用断熱シート。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の窓ガラス用断熱シートであって、
前記ガラス側フィルムの密度の上限が0.91g/cm3 である、
窓ガラス用断熱シート。
【請求項6】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の窓ガラス用断熱シートであって、
前記ガラス側フィルムの密度が0.90g/cm3 である、
窓ガラス用断熱シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−251426(P2011−251426A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125278(P2010−125278)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(399055764)株式会社和泉 (4)
【Fターム(参考)】