説明

窓サッシおよび構築物における窓の防水構造

【課題】本発明は、雨水が窓枠上部に浸入した場合であっても、かかる雨水を、縦枠外部を流して排出させ、外壁内や部屋内に雨水が浸入することを防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】外壁10の開口部11に取り付けられる窓枠2と、前記窓枠内に室外側に向けて開閉自在に設けられた障子3とを備えた窓サッシである。前記窓枠2は、上下枠20、23と一対の縦枠21、22とを備え、前記上枠20には、雨水が前記上枠に沿って流れる流路が設けられ、前記上枠の一端には、前記縦枠21と障子3の一端側とで形成される間隙65に連通する排水孔43が設けられている。前記下枠23には、前記間隙に連通し且つ外部に開口する排出口62が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビルディング、マンション、一般家屋等の構築物の外壁に取り付けられる窓サッシおよび構築物における窓の防水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビルディング、マンション、一般家屋等の構築物の外壁に形成された開口部には、上下枠と一対の縦枠とから構成された窓枠が固定され、この窓枠には、例えば、すべり出し式の障子や、内開き式の障子等の障子が、開閉自在に取り付けられている。
【0003】
かかる窓枠と外壁との間には、シーリング材が介在されており、このシーリング材により、雨水が窓枠と外壁との間から外壁内に浸入するのを防止している。
【0004】
しかし、経年等によりシーリング材が劣化したり、破断したりして、窓枠と外壁との間のシール機能が低下するおそれがある。特に、窓枠の上部は、雨水に晒されやすく、外壁を伝って落下する雨水が滞留しやすい。この結果、かかる雨水は、シール性が低下した窓枠と外壁との間から、外壁内や部屋内に浸入するおそれがあった。
【0005】
そこで、窓枠の上部と外壁との間から浸入した雨水が、外壁内や部屋内に浸入するのを防止する手段を備えた窓サッシが提案されている(例えば、特許文献1参照)。かかる 窓サッシは、窓枠の上下枠と縦枠の各枠に設けられた中空部を、水抜き貫孔によって互いに連通させ、下枠の前方に屋外に通ずる排水孔を形成したものである。そして、雨水は、上枠の水抜き貫孔から上枠の中空部内を流れて、水抜き孔によって連通する縦枠の中空部へ流れ、さらに下枠の中空部と水抜き孔を経て、排出孔から屋外に流れるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公昭56−4153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記特許文献1に開示された窓サッシは、雨水が縦枠の中空部内を流れる構成である。このため、縦枠内に雨水が残存しやすく湿った状態となる。また、縦枠内部から下枠内部へと雨水が流通するため、縦枠と下枠との連結部分から雨水が漏れるおそれもあった。
【0008】
本発明の課題は、窓サッシの窓枠上部と外壁との間に介在されたシーリング材が、経年等により劣化し、雨水が窓枠上部に浸入した場合であっても、かかる雨水を、縦枠外部を流して排出させ、外壁内や部屋内に雨水が浸入することを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明が講じた解決手段は、外壁の開口部に取り付けられる窓枠と、前記窓枠内に、室外側に向けて開閉自在に設けられた障子とを備えた窓サッシにおいて、前記窓枠は、上下枠と一対の縦枠とを備え、前記上枠には、雨水が前記上枠に沿って流れる流路が設けられ、前記上枠の一端には、前記縦枠と障子の一端側とで形成される間隙に連通する排水孔が設けられ、前記下枠には、前記間隙に連通し且つ外部に開口する排出口が設けられたことにある。
【0010】
前記本発明は、窓枠上部から浸入した雨水は、上枠の流路を流れて、排水孔に達する。そして、雨水は、排水孔を通って前記縦枠と障子の一端とで形成される間隙に流れる。さらに、間隙を流れた雨水は、下枠の排出口から屋外へ排出される。
【0011】
前記窓サッシにおいて、前記縦枠の上端には、雨水を前記上枠の流路に向けて案内する案内部材が設けられている。
【0012】
前記本発明は、案内部材を設けたため、縦枠上端からの浸水に対しては、上枠側へ雨水を誘導することができるとともに、縦枠に設けられた中空部を通じて外壁内に雨水が浸入することも防止することができる。
【0013】
前記窓サッシにおいて、前記上枠は、中空部を有し、前記中空部の上片には、排水孔が設けられ、前記中空部の下片には、前記間隙の上端開口に連通する排水孔が設けられていることにある。
【0014】
前記本発明は、上枠は、中空部を有していることから、上枠の補強も図ることが可能である。
【0015】
本発明は、外壁の開口部に取り付けられる窓枠と、前記窓枠内に、室内側に向けて開閉自在に設けられた障子とを備えた窓サッシにおいて、前記窓枠は、上下枠と一対の縦枠とを備え、前記上枠には、雨水が前記上枠に沿って流れる流路が設けられ、前記上枠の一端には、前記流路に連通し且つ外部に開口する排出口が設けられたことにある。
【0016】
前記本発明は、窓枠上部から浸入した雨水は、上枠の流路を流れて、排出口から屋外へ排出される。
【0017】
前記窓サッシにおいて、前記上枠は、中空部を有し、前記中空部の上片に、排水孔が設けられ、前記中空部の屋外側には、前記排出口が設けられたことにある。
【0018】
本発明の構築物における窓の防水構造は、開口部を有する外壁と、前記外壁の開口部に取り付けられた窓枠と、前記窓枠内に、室外側に向けて開閉自在に設けられた障子とを備え、前記窓枠は、上下枠と一対の縦枠とを備え、前記上枠には、雨水が前記上枠に沿って流れる流路が設けられ、前記上枠の一端には、前記縦枠と障子の一端側とで形成される間隙に連通する排水孔が設けられ、前記下枠には、前記間隙に連通し且つ外部に開口する排出口が設けられたことにある。
【0019】
前記本発明の構築物における窓の防水構造は、前記請求項1に記載の窓サッシを使用して容易に実施することができる。
【0020】
本発明の構築物における窓の防水構造は、開口部を有する外壁と、外壁の開口部に取り付けられた窓枠と、前記窓枠内に、室内側に向けて開閉自在に設けられた障子とを備え、前記窓枠は、上下枠と一対の縦枠とを備え、前記上枠には、雨水が前記上枠に沿って流れる流路が設けられ、前記上枠の一端には、前記流路に連通し且つ外部に開口する排出口が設けられたことにある。
【0021】
前記本発明の構築物における窓の防水構造は、前記請求項4に記載の窓サッシを使用して容易に実施することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、浸入して上枠を流れる雨水を、障子と縦枠との間に形成され間隙を利用して下枠の排出口から屋外へ排出することができる。この結果、縦枠内を雨水が流れないので、縦枠内に雨水が残存することなく、雨水を容易且つ迅速に掃除することが可能となる。また、縦枠内を雨水が流れないため、縦枠と下枠との連結部分から雨水が漏れることもない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る縦すべり出し窓の断面側面図である。
【図2】同縦すべり出し窓の正面図である。
【図3】同縦すべり出し窓の上部を示す斜視図である。
【図4】同縦すべり出し窓の上部を示す分解斜視図である。
【図5】同縦すべり出し窓の上部を示す断面側面図である。
【図6】同縦すべり出し窓の断面平面図である。
【図7】図1に示すA―A線断面平面図である。
【図8】同縦すべり出し窓の障子を開放した状態の断面平面図である。
【図9】本発明の他実施形態に係る内倒し窓の断面側面図である。
【図10】同内倒し窓の正面図である。
【図11】同内倒し窓の上部を示す断面側面図である。
【図12】同内倒し窓の断面平面図である。
【図13】図9に示すB−B線断面平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1〜図8は、本発明の一実施形態を示す。本実施の形態では、窓サッシとしてビルディング、マンション、一般家屋等の構築物の外壁10に対して設置される縦すべり出し窓1を例示する。
【0025】
この縦すべり出し窓1は、外壁10の開口部11に適宜取り付けられる窓枠2と、この窓枠2に、その窓枠開口2aを開閉すべく設けられた障子3とを備えている。図1において、矢印O方向が前方の屋外(室外)方向で、矢印I方向が後方の屋内(室内)方向を表している。
【0026】
窓枠2は、図2に示すように、正面視が矩形状に形成されており、上枠20と、一方の縦枠21および他方の縦枠22(一対の縦枠)と、下枠23とから構成されている。なお、図2において、一方の縦枠21を左側に、他方の縦枠22を右側に表示し、同図の左右方向が窓枠幅方向に相当する。
【0027】
上枠20は、図1および図5に示すように、窓枠幅方向の中空部からなる上枠本体20aと、上枠本体20aから上方に延設された窓枠幅方向の中空部からなる上枠前部20bと、上枠本体20aから屋内方向に延設されたサブ上枠20cとを備えている。なお、サブ上枠20cは、内壁10A側に支持されている。
【0028】
また、上枠20、縦枠21、22および下枠23は、シ−ル材としての環状のシーリング材40を介して外壁10側に密着している。すなわち、窓枠2の全周と外壁10との間が、シーリング材40により水密状にシールされている。
【0029】
上枠本体20aの上片部20a1の窓枠幅方向の中央部には、図3および図4に示すように、上枠本体20a内(中空部内)に連通する排水孔41が形成されている。また、上片部20a1における排水孔41よりも屋内側には、リブ20dが、上枠本体20aの全長にわたって突設されている。
【0030】
上片部20a1の下方に平行に設けられた下片部20a2の一端(一方の縦枠21側)には、排水孔43が形成されている。なお、一方の縦枠21側が障子吊元側となっている。
【0031】
上枠20の両端は、両方の縦枠21、22の上端間に、水密状に連結されている。両方の縦枠21、22は、上下端が開口する中空部15、16をそれぞれ有している。両方の縦枠21、22の中空部15、16の上端は開口されているため、この中空部15、16の上端部には、案内部材としてのキャップ50が上方からそれぞれ嵌合され、このキャップ50により、中空部15、16の上端開口は閉塞されている。中空部15、16の下端開口は、図示省略のキャップ等で適宜閉塞されている。
【0032】
なお、図3および図4は、一方の縦枠21およびこの一方の縦枠21に嵌合されるキャップ50は、図示省略されている。
【0033】
キャップ50は、図4に示すように、中空部15、16の上端開口に嵌合される嵌合部51と、この嵌合部51の上面に設けられた天壁部52とを備えている。天壁部52の周縁には、天壁部52の上面52aよりも上方に突出する周縁部54、55が設けられている。周縁部54は、天壁部52の屋内側および窓枠幅方向の外側に設けられ、周縁部55は、天壁部52の屋外側に設けられている。
【0034】
天壁部52の上枠20側(窓枠幅方向の内側)には、周縁部は設けられておらず、天壁部52の上面52aは、窓枠幅方向の外側から内側に向けて若干低くなるように傾斜している。しかも、天壁部52の上面52aは、上枠20の上片部20a1よりも高く設定されている。そして、天壁部52の周縁部が設けられていない最も低くなった縁からは、係合片56が下向きに延設されている。この係合片56は、縦枠21、22の中空部15、16の上端に上方から嵌合されている。
【0035】
また、両方の縦枠21、22の下端内面間には、下枠23の両端が水密状に連結されている。下枠23は、窓枠幅方向の中空部からなる下枠本体23aと、下枠本体23aから下方に延設された水平方向の中空部からなる下枠前部23bと、下枠本体23aから後方に延設されたサブ下枠23cとを備えている。
【0036】
下枠本体23aの上片部23a1における両端部には、中空部に連通する排水孔60が形成されている。
【0037】
また、下枠本体23aと下枠前部23bとを区画する区画リブ23dには、下枠本体23a内と下枠前部23b内とを連通する排水孔61が形成されている。また、下枠前部23bには、下枠前部23bと外部とを連通する排出口62が形成されている。なお、本実施の形態では、この排出口62は、下枠23の両端部の2箇所に設けたものを例示するが、その個数は特に限定されるものではない。各排出口62には、排出弁63がそれぞれ設けられている。この排出弁63は、下枠前部23b内の水の排出は許容するが、屋外から下枠前部23b内に外気が流入するのを防止するものである。
【0038】
障子3は、窓枠2内に収納できるように矩形に形成されている。障子3は、ハンドル45と、ギアケース46および複数のロッド(図示省略)からなる開閉機構47により、室外側に開閉できるように構成されており、室内側のハンドル45を回すことによって、障子3をスムーズに開閉させることが可能である(図7および図8参照)。
【0039】
障子3は、上框30a、下框30b、一方の縦框30c及び他方の縦框30dと、各框で形成される開口を閉塞するガラス31とから構成されている。
【0040】
各框30a、30b、30c、30dの外周には、フランジ片32が突設され、このフランジ片32には、環状の気密材33が室内向きに固定されている。気密材33は、障子3を閉じた際に、窓枠2の各枠20、21、22、23側に室外側から密着するようになっている。
【0041】
また、窓枠2の各枠20、21、22、23の内周面側に設けらえたリブ27a、27b、27c、27dには、環状の気密材34が、室外側に向けて取り付けられている。そして、障子3の各框30a、30b、30c、30dが、前記気密材34に密着するようになっている。
【0042】
ここで、図6に示すように、縦枠21の窓枠幅方向の内面21aと、障子3の縦框30cとの間には、上下に開口する間隙65が形成されている。そして、前記排水孔43が、間隙65の上開口に位置している。このため、排水孔43を介して上枠本体20aの中空部と、間隙65とが連通している。
【0043】
また、下枠23の排水孔60が、間隙65の下開口に位置している。このため、排水孔60を介して、間隙65と下枠本体23aの中空部とが連通している。
【0044】
本実施の形態の縦すべり出し窓1は以上の構成からなり、次に、前記構成からなる縦すべり出し窓1を使用する場合について説明する。
【0045】
まず、障子3を閉じた状態において、シーリング材40の機能により、外壁10と窓枠2との間がシーリング材40により密着しシールされている。従って、シーリング材40により、外壁10と窓枠2との間から、雨水が外壁10内や室内に浸入することはない。
【0046】
かかる縦すべり出し窓1を長期間使用することにより、前記シーリング材40が劣化したり、破断等したりした場合には、シーリング材40の機能が低下するおそれがある。このため、窓枠2上部から、外壁10の開口部11を介して外壁10内や部屋内に、雨水が浸入する場合がある。このように、窓枠2上部と外壁10との間から雨水が浸入した場合について、説明する。なお、図1〜図5において、雨水の流れを矢印で示す。
【0047】
例えば、窓枠2上部の任意の部分から浸入した雨水は、先ず、上枠本体20aの上片部20a1に流れる。この上片部20a1の中央部には、排水孔41が形成されているため、雨水は上片部20a1を流れて排水孔41を通り、下片部20a2に達する。なお、リブ20dは、雨水が屋内側に流れるのを防止しており、このリブ20dと上枠前部20bと上片部20a1とにより、雨水の上段流路が構成されている。
【0048】
また、雨水が縦枠21、22の上部に浸入する場合もある。かかる場合には、雨水は、キャップ50に落下することとなる。天壁部52の上面52a上の雨水は、天壁部52の上面52aが傾斜しているため、上枠本体20aの上片部20a1側に誘導される。このとき、天壁部52には、下向きの係合片56が設けられているため、雨水は、この係合片56を伝って上枠本体20aの上片部20a1にスムーズに流れる。
【0049】
このように、下片部20a2に達した雨水は、下片部20a2上を流れて、下片部20a2の端部に形成された排水孔43に達する。なお、上枠本体20aの中空部(下片部20a2)が下段流路を構成している。
【0050】
さらに、雨水は、排水孔43を通り、縦枠21の内面21aと障子3の障子吊元側との間に形成されている間隙65に流入する。この間隙65が流路を構成することとなり、雨水は間隙65に沿って落下し下枠23に達する。
【0051】
下枠23に達した雨水は、排水孔60を通って、下枠本体23a内に流入し、下枠本体23a内に流入した雨水は、排水孔61を通って下枠前部23b内に流入する。さらに、下枠前部23b内の雨水は、排出口62を介して屋外へ排出される。
【0052】
なお、この排出口62には、排出弁63が設けられていることから、雨水の排出は許容するが、外気が逆流するのを防止することが可能である。この結果、雨水が外気とともに排出口62内に不用意に浸入するのを防止できる。
【0053】
以上のように、本実施の形態は、上枠20の上段流路および下段流路、縦枠21と障子3との間に形成される流路、下枠23の流路から一連の流路を構成し、雨水をこの一連の流路を流して外部に排出することができる。
【0054】
また、障子3を開放することにより、間隙65を形成していた縦枠21の内面21aと障子3の障子吊元側とを開放(露出)させることができる(図8参照)。従って、縦枠21の内面21aと障子3の障子吊元側とに付着して残存する雨水を、拭き取ることにより、容易且つ迅速に除去することができ、縦枠21の内面21aと障子3の障子吊元側との掃除を簡単に行える。
【0055】
しかも、本実施の形態は、上枠20の両端は、両方の縦枠21、22の上端間(上端部の内面間)に連結され、且つ、下枠23の両端は、両方の縦枠21、22の下端間(下端部の内面間)に連結されている。このように、上枠20および下枠23を、両方の縦枠21、22の間に連結するため、上枠20および下枠23は、それぞれの長さに切断するだけでよく、特に連結するための加工が不要となる。しかも、縦枠21の内面21aと障子3の障子吊元側との間隙65を流路として利用するため、かかる流路を形成するための特別の加工が不要となる。この結果、本実施の形態の縦すべり出し窓1を簡易に製造することも可能で、製造コストも安価である。
【0056】
本実施の形態では、障子吊元側に流路を形成したが、障子吊元側とは反対側の戸先側に設けることも可能である。すなわち、他方の縦枠22と障子3との間にも間隙65Aが形成されており(図6参照)、この間隙65Aを流路として利用することは可能である。かかる場合には、排水孔43は、上枠本体20aの下片部20a2の他端部に設けることとなる。かかる戸先側には、障子3を解除自在に固定するロック機構70が、通常、障子3と縦枠22との間に設けられている。
【0057】
従って、ロック機構70が、雨水の流れの支障となる場合には、前記流路は障子吊元側に設けるのが好ましい。
【0058】
本実施の形態は、上枠20と上框30aとの間には、間隙65Bが形成され、下枠23と下框30bとの間には、間隙65Cが形成されている。そして、これら間隙65B、65Cは、前記間隙65、65Aと連通している。従って、これら間隙65、65A、65B、65Cは、排水孔41および排水孔43を介して、外気と同気圧である外壁10の内側空間(外壁10と内壁10Aとの間の空間)Sと連通する。
【0059】
仮に、窓枠2と障子3との間に形成された間隙が、外気と遮断されていると、外気温度差等により、負圧となるおそれがある。このように、間隙が負圧となると、雨水が窓枠2と障子3との間から吸引され浸入し易くなる。
【0060】
しかしながら、本実施の形態は、かかる間隙65、65A、65B、65Cを大気圧と同等にしているため、間隙65、65A、65B、65C内が負圧となる場合に比し、雨水が間隙65、65A、65B、65C内に浸入し難くなり、縦すべり出し窓1の水密性能が向上する。
【0061】
また、上枠20の上枠本体20aの上片部20a1の上面側は、両端側から排水孔41に向けて若干低くなるように傾斜させることも可能である。例えば、上片部20a1の上面に、図示省略のテーパ部材を固定し、このテーパ部材の上面が排水孔41に向けて低くなるように傾斜する傾斜面として形成することも可能である。このように、上片部20a1の上面側を傾斜させることにより、雨水を排水孔41に向けて流れやすくできる。また、同様の目的から、下片部20a2も排水孔43に向けて若干低くなるように傾斜させることも可能である。
【0062】
また、排水孔41を、上枠本体20aの上片部20a1の窓枠幅方向の中央部に形成した場合を例示したが、排水孔41は、排水孔43と相対的にずれた位置であれば、上片部20a1の任意の位置に形成することが可能である。
【0063】
図9〜図13は、本発明の他の実施の形態を示す。本実施の形態は、内倒し窓1Aを例示する。なお、前記縦すべり出し窓1と同一部材は同一符号を付して、それぞれの具体的な説明は省略する。
【0064】
内倒し窓1Aは、窓枠2と障子3とを備えている。窓枠2は、上枠20、一方の縦枠21及び他方の縦枠22および下枠23とから構成されている。
【0065】
上枠本体20aの上片部20a1の水平方向の中央部には、中空部に連通する排水孔41が形成されている。また、上枠本体20aの前片部20a3の両端側には、排出口66がそれぞれ形成されている。各排出口66には、排出弁63がそれぞれ設けられている。
【0066】
また、上枠本体20aには、前記各排出口66の前方に位置するように、庇片67が下向きに延設されている。なお、庇片67は、排出口66への外気の逆流を防止したり、排出弁63が雨水に曝されるのを防止したりする機能を備えるため、排出弁63とともに設けることが好ましいが、庇片67は必ずしも設ける必要はない。
【0067】
また、上枠20、縦枠21、22および下枠23には、気密材33を有するリブ28a、28b、28c、28dがそれぞれ設けられている。そして、この気密材33に、障子3が屋内側から密着している。
【0068】
障子3の上框30aには、ロック機構68が設けられおり、このロック機構68を操作することにより、障子3を図9の仮想線で示すように、屋内側に傾斜して開放することが可能である。
【0069】
本実施の形態に係る内倒し窓1Aは、以上の構成からなり、次に、かかる内倒し窓1Aを長期間使用することにより、前記シーリング材40が劣化等した場合には、窓枠2上部から、外壁10の開口部11を介して外壁10内や部屋内に雨水が浸入するおそれがある。
【0070】
このように、窓枠2上部と外壁10との間から雨水が浸入した場合について、説明する。窓枠2上部の任意に部分から浸入した雨水は、先ず、上枠本体20aの上片部20a1に流れる。この上片部20a1の中央部には、排水孔41が形成されているため、雨水は上片部20a1を流れて排水孔41を通り、下片部20a2に達する。
【0071】
また、雨水が縦枠21、22の上部に浸入する場合において、雨水は、キャップ50に落下し、天壁部52の上面52a上の雨水は、上枠本体20aの上片部20a1側に誘導される。
【0072】
そして、下片部20a2に達した雨水は、排出口66を介して屋外へ排出される。
【0073】
本発明は、前記実施形態に限定されることはない。例えば、縦すべり出し窓1を例示したが、横すべり出し窓も可能である。通常の丁番で障子を開閉することも可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 縦すべり出し窓
2 窓枠
2a 窓枠開口
10 外壁
11 開口部
20 上枠
20a 上枠本体
20a1 上片部
20a2 下片部
20b 上枠前部
20c サブ上枠
21 一方の縦枠
22 他方の縦枠
23 下枠
23a 下枠本体
23b 下枠前部
23d 区画リブ
40 シーリング材
41 排水孔
43 排水孔
50 キャップ(案内部材)
60 排水孔
61 排水孔
62 排出口
63 排出弁
65 間隙
66 排出口
67 庇片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁の開口部に取り付けられる窓枠と、前記窓枠内に、室外側に向けて開閉自在に設けられた障子とを備えた窓サッシにおいて、
前記窓枠は、上下枠と一対の縦枠とを備え、
前記上枠には、雨水が前記上枠に沿って流れる流路が設けられ、
前記上枠の一端には、前記縦枠と障子の一端側とで形成される間隙に連通する排水孔が設けられ、
前記下枠には、前記間隙に連通し且つ外部に開口する排出口が設けられたことを特徴とする窓サッシ。
【請求項2】
前記請求項1に記載の窓サッシにおいて、
前記縦枠の上端には、雨水を前記上枠の流路に向けて案内する案内部材が設けられていることを特徴とする窓サッシ。
【請求項3】
前記請求項1または2に記載の窓サッシにおいて、
前記上枠は、中空部を有し、前記中空部の上片には、排水孔が設けられ、
前記中空部の下片には、前記間隙の上端開口に連通する排水孔が設けられていることを特徴とする窓サッシ。
【請求項4】
外壁の開口部に取り付けられる窓枠と、前記窓枠内に、室内側に向けて開閉自在に設けられた障子とを備えた窓サッシにおいて、
前記窓枠は、上下枠と一対の縦枠とを備え、
前記上枠には、雨水が前記上枠に沿って流れる流路が設けられ、
前記上枠の一端には、前記流路に連通し且つ外部に開口する排出口が設けられたことを特徴とする窓サッシ。
【請求項5】
前記請求項4に記載の窓サッシにおいて、
前記上枠は、中空部を有し、前記中空部の上片に、排水孔が設けられ、
前記中空部の屋外側には、前記排出口が設けられたことを特徴とする窓サッシ。
【請求項6】
開口部を有する外壁と、前記外壁の開口部に取り付けられた窓枠と、前記窓枠内に、室外側に向けて開閉自在に設けられた障子とを備え、
前記窓枠は、上下枠と一対の縦枠とを備え、
前記上枠には、雨水が前記上枠に沿って流れる流路が設けられ、
前記上枠の一端には、前記縦枠と障子の一端側とで形成される間隙に連通する排水孔が設けられ、
前記下枠には、前記間隙に連通し且つ外部に開口する排出口が設けられたことを特徴とする構築物における窓の防水構造。
【請求項7】
開口部を有する外壁と、外壁の開口部に取り付けられた窓枠と、前記窓枠内に、室内側に向けて開閉自在に設けられた障子とを備え、
前記窓枠は、上下枠と一対の縦枠とを備え、
前記上枠には、雨水が前記上枠に沿って流れる流路が設けられ、
前記上枠の一端には、前記流路に連通し且つ外部に開口する排出口が設けられたことを特徴とする構築物における窓の防水構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−172412(P2012−172412A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35977(P2011−35977)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
【出願人】(000101776)アルメタックス株式会社 (22)
【Fターム(参考)】