説明

【課題】 施工が容易で且つ強度や水漏れ等に対する信頼性が高いと共に、採光性に優れた窓を提供する。
【解決手段】 本発明の窓1において、筒枠3は、屋内側及び屋外側が開口した筒状部7と、筒状部7の屋外側開口端部19の下部に設けてあり外壁よりも屋外側に位置する屋外側水切り部9と、筒状部7の内周面における屋内側開口端部21の周方向に沿って突設した堰部11と、筒状部7の内周面上部で堰部11よりも屋外側の位置に垂下した内部水切り部15と、筒状部7の屋内側開口端部21の外周面に設けた内壁見切り部13と、筒状部7の外周面に設けた躯体取付部17a、17bとを有する鋳物製であり、筒状部7は内部空間23の断面積が屋内側から屋外側に向けて徐々に広くなっており、突き出し障子5は内部水切り部15と堰部11との間に配置して筒枠3内に開閉自在に取付けてあり、閉じたときに屋内側面が堰部11の屋外側面に当接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、筒状部を屋内側枠材と屋外側枠材とを接合した筒枠が開示されている。また、この特許文献1の筒枠は内部空間の断面積が屋内側開口端部と屋外側開口端部とで略同じ面積になっている
【0003】
【特許文献1】特開2003−184434号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、筒枠は複数の枠材を接合して構成しているので、部品点数が多く施工に手間がかかると共に接合部がある為に強度や水漏れ等の信頼性に劣るという問題がある。
筒枠は内部空間の断面積が屋内側開口端部と屋外側開口端部とで略同じ面積になっているので、屋外側開口端部に斜めに射し込む光を屋内に導き難く、採光性に劣るという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、施工が容易で且つ強度や水漏れ等に対する信頼性が高いと共に、採光性に優れた窓の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、筒枠と、突き出し障子とを備え、筒枠は、屋内側及び屋外側が開口した筒状部と、筒状部の屋外側開口端部の下部に設けてあり外壁よりも屋外側に位置する屋外側水切り部と、筒状部の内周面における屋内側開口端部に周方向に連続して設けた堰部と、筒状部の内周面上部で堰部よりも屋外側の位置に垂下した内部水切り部と、筒状部の屋内側開口端部の外周面に周方向に連続して設けた内壁見切り部と、筒状部の外周面に設けた躯体取付部とを有する鋳物製であり、筒状部は内部空間の断面積が屋内側から屋外側に向けて徐々に広くなっており、突き出し障子は内部水切り部と堰部との間に配置して筒枠内に開閉自在に取付けてあり、閉じたときに屋内側面が堰部の屋外側面に当接することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、筒枠は鋳物製であるから、筒状部に接合部がなく、強度や水漏れ等における信頼性が高い。また、筒枠を鋳物製としたことから、部品点数が少なくできる。
筒枠の筒状部は内部空間の断面積が屋内側から屋外側に向けて徐々に広くなっており、屋外側開口端部に斜めに差し込む光を屋内に導き易いので、採光性が高い。
筒状部の内部空間に吹き込んだ雨水等は、屋外側水切り部により外壁に伝って流れるのを防止しているので、外壁面に雨筋汚れを生じ難い。
筒状部の内周面上部には内部水切りが設けてあるので、雨水等が筒状部の内周面上部を伝わって屋内に入るのを防止できる。
筒状部の屋内側開口端部には内周面の周方向に突設した堰部が設けてあるので、雨の吹き込み等による屋内への雨水の侵入を防止できる。
堰部は障子の戸当りを兼ねているので、別に戸当りを設ける必要がない。
筒状部の外周面に内壁見切り部を設けてあり、屋内側には内壁見切り部の厚み分のみが見付け面になって現れるので室内側見付け面を小さくでき、筒枠が目立ち難くいので意匠性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、添付図面を参照して本発明の第1実施の形態を説明するが、まず、図1及び図2を参照して本発明の第1実施の形態を説明する。図1(a)は第1実施の形態にかかる窓の縦断面図であり、(b)は屋内側から見た正面図であり、図2は第1実施の形態にかかる窓の横断面図である。
第1実施の形態にかかる窓1は、縦断面が矩形の筒枠3と、筒枠3内に設けてあり正面視矩形の突き出し障子5とを備えている。
筒枠3は、屋内側と屋外側とに開口した筒状部7と、筒状部7の屋外側開口端部19の下部に設けた屋外側水切り部9と、筒状部7の屋内側開口端部21の内周面に設けた堰部11及び外周面に設けた内壁見切り部13と、筒状部7の内周面に設けた内部水切り部15と、筒状部7の外周面に設けた躯体取付部17a、17bとを備えている。筒枠3は鋳物製であり、筒状部7と、屋外側水切り部9と、堰部11と、内壁見切り部13と、内部水切り部15及び躯体取付部17a、17bは鋳造により一体に成形してある。
筒状部7は、内部空間23の断面積が屋内側から屋外側に向けて徐々に広くなっている。内部空間23は室内側開口端部の面積S2よりも室外側開口端部の面積S1のほうが大きく且つ内部空間内23で徐々に面積を変えている。また、筒状部7の内周面の上部25aは屋外側が高くなるように傾斜しており、内周面下部25bは屋外側が低くなるように傾斜している。
屋外側水切り部9は筒状部7の屋外側開口端部19の下部において、下面を屋外側が低くなるようにして外壁27よりも屋外側に突設しており、屋外側水切り部9には外壁27から離れた位置に垂下部9aが設けてある。
堰部11は、筒状部7の内周面25における屋内側開口端部21において、内周に沿って設けてあり、筒状部7の内周面に段部を形成している。この堰部11の屋外側面は突き出し障子5が閉じたときに当接する当接面29になっている。
内壁見切り部13は筒状部7の外周面で且つ屋内側開口端部21に設けてあり、内壁31の開口端が当接している。内壁見切り部13の室内側端面が室内側見付け面40となっている。
躯体取付部17a、17bは筒状部7において、内壁見切り部13よりも屋外側の位置で外周面から突設しており、本実施の形態では屋外側と屋内側とに2つの躯体取付部17a、17bが間隔を開けて設けてあると共に、屋外側躯体取付部17aと屋内側駆体取付部17bとは筒状部7の外周囲に設けてある。屋外側躯体取付部17aの屋内側面に躯体33の屋外側係合部33aが当接しており、屋内側躯体取付部17bの屋外側面には躯体33の屋内側係合部33bが当接している。即ち、筒状部7の上下左右において、躯体の屋外側係合部33aと屋内側係合部33bとを屋外側躯体取付部17aと屋内側駆体取付部17bとで挟持している。
突き出し障子5は、筒状部7の内部空間23において、内部水切り部15と堰部11との間に配置して筒枠3内に開閉自在に取付けてある。筒枠の上部にはヒンジ37が固定されており、水平軸回りに回動自在な回動端部39に障子本体5aの上端が固定されている。
突き出し障子5は、閉じたときに、障子本体5aの四周端部の屋内側面が堰部11の屋外側面に当接するようになっている。
【0009】
次に、本実施の形態にかかる窓1の施工、作用及び効果について説明する。
窓1の施工は、躯体開口に筒枠3を配置して屋外側躯体取付部17aを躯体33の屋外側係合部材33aの屋外側面に当接し、屋内側駆体取付け部17bを躯体33の屋内側係合部材33bの屋内側面に当接させて屋外側躯体取付部17aと屋内側駆体取付部17bとで躯体係合部33a、33bを挟持するように取付ける。そして、筒枠3の内周面において、屋内側上部にヒンジ37を固定し、ヒンジの回動端部39に障子本体5aを固定する。
筒枠3は鋳造により製造しているので、筒状部7に接合部がなく、強度や水漏れ等における信頼性が高い。また、筒枠3を鋳物製としたことから部品点数が少なくできる。
筒枠3の筒状部7は内部空間23の断面積が、屋外側開口端部19の屋内側から屋外側に向けて徐々に広くなっており、屋外側開口端部19に斜め方向から入る光を屋内側開口端部に導き易いので、採光性が高い。
雨等が筒枠3内に吹き込んだときには、筒枠3内に吹き込んだ水は、筒状部7の内周面を伝わって屋外側に流れるが、屋外側水切り部9は外壁27よりも屋外側に突設して、雨水が外壁27に伝って流れるのを防止しているので、外壁27に雨筋汚れを生じ難い。
筒状部7の内周面上部25aには内部水切り部15が設けてあるので、屋外側開口端部19の内周面上部25aを伝わって屋内に入った水は内部水切り部15により筒状部7の内周面下部25bに落下し、屋内側開口端部21側に伝わらないようにしているので、雨水等が屋内に入るのを防止する。
筒状部7の内周面25における屋内側開口端部19には内部空間23に突設した堰部11が設けてあるので、雨の吹き込み等による屋内への雨水の侵入を防止できる。
堰部11は突き出し障子5の戸当りを兼ねているので、別に戸当りを設ける必要がない。
筒枠3には筒状部7の外周面の屋内側に内壁見切り部13を設けてあるので、内壁見切り部13の厚み分Eのみが見付け面40になり、見付け面40を小さくできるので、屋内側から見た筒枠3が目立ち難く、意匠性に優れる。
本実施の形態では、建物の壁に複数の窓1を配置した場合にも、突き出し障子5が内部水切り部15と堰部11との間に配置してあり、筒状部7の屋内側に位置しているので、外から窓1見た場合に、突き出し障子5の開閉状態が見え難く、各窓の開閉状態がまちまちでも外観が良い。
【0010】
次に、図3及び図4を参照して本発明の第2実施の形態について説明するが、以下に説明する実施の形態において、上述した実施の形態と同一の作用効果を奏する部分には同一の符号を付することによってその部分の詳細な説明を省略し、以下の説明では第1実施の形態と異なる点を主に説明する。
図3(a)は第2実施の形態にかかる窓の縦断面図であり、(b)は屋内側から見た正面図であり、図2は第2実施の形態にかかる窓の横断面図である。
第2実施の形態にかかる窓1は、筒枠3は縦断面が円形になっており、突き出し障子5も正面視円形になっている。
筒状部7の屋外側開口端部19は上部よりも下部が屋外側に突設するように円筒を斜めに切断した形状になっている。
内部水切り部15は筒状部7の内周面上部25aに約90度の円弧状に設けてある。
堰部11は筒状部7と別体に製造してあり、筒状部7の内周にねじで固定してある。また、ヒンジ37の一端部38は堰部11に固定してある。
屋外側水切り部9には、第1実施の形態にある垂下部9aを設けておらず、筒状部7の屋外側を下方に傾斜した端が屋外側水切り部9になっている。
この第2実施の形態によれば、堰部11を筒状部7と一体に鋳造していない点を除いて、上述した第1実施の形態と同様な効果を得ることができる。
【0011】
本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
例えば、躯体取付部17a、17bは躯体にねじやボルトで止めるものであってもよい。また、躯体取付部17a、17bは一つであってもよい。
筒状部7の断面形状や突き出し障子5の正面形状は円形や矩形に限らず、6角形や8角形等でも良く、形状は限定されない。
第2実施の形態において、屋外側水切り部9に第1実施の形態のような垂下部9aを設けてもよいし、第1実施の形態の屋外側水切り部9に垂下部9aを設けなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)は第1実施の形態にかかる窓の縦断面図であり、(b)は屋内側から見た正面図である。
【図2】第1実施の形態にかかる窓の横断面図である。
【図3】(a)は第2実施の形態にかかる窓の縦断面図であり、(b)は屋内側から見た正面図である。
【図4】第2実施の形態にかかる窓の横断面図である。
【符号の説明】
【0013】
1 窓
3 筒枠
5 突き出し障子
7 筒状部
9 屋外側水切り部
11 堰部
13 内壁見切り部
15 内部水切り部
17a、17b 躯体取付部
19 屋外側開口端部
21 屋内側開口端部
23 内部空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒枠と、突き出し障子とを備え、筒枠は、屋内側及び屋外側が開口した筒状部と、筒状部の屋外側開口端部の下部に設けてあり外壁よりも屋外側に位置する屋外側水切り部と、筒状部の内周面における屋内側開口端部に周方向に連続して設けた堰部と、筒状部の内周面上部で堰部よりも屋外側の位置に垂下した内部水切り部と、筒状部の屋内側開口端部の外周面に周方向に連続して設けた内壁見切り部と、筒状部の外周面に設けた躯体取付部とを有する鋳物製であり、筒状部は内部空間の断面積が屋内側から屋外側に向けて徐々に広くなっており、突き出し障子は内部水切り部と堰部との間に配置して筒枠内に開閉自在に取付けてあり、閉じたときに屋内側面が堰部の屋外側面に当接することを特徴とする窓。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−37623(P2006−37623A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−221973(P2004−221973)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000175560)三協アルミニウム工業株式会社 (529)
【Fターム(参考)】