説明

窯業製品装飾システムおよび窯業製品の製造方法

本発明は、窯業製品の表面に所望の装飾を、簡易に行なうことを目的とする。このため、本発明の実施例である窯業製品装飾システムYSでは、サーバSVは、クライアントのコンピュータ90からネットワークNWを介して装飾データSEを入力し、装飾データを窯業製品に形成した場合の色合いなどを求めて画像データを生成し、これをクライアントのコンピュータ90に表示させる。コンピュータ90上に表示された画像をクライアントが確認すると、この装飾データSEをプリンタ50に送出する。送出された装飾データSEはプリンタ50の工程表FNに印刷ジョブとして格納され、プリンタ50は、この印刷ジョブに基づいて素焼きタイルTLsに印刷を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、窯業製品に表面的装飾を施す技術に関する。
【背景技術】
製品の個別対応化が進展している今日、窯業の分野においても、各人にオリジナルなデザインが施された製品の需要(以下、個別需要という)が高まっている。例えば、タイルや衛生陶器等の陶磁器に好みの表面的装飾(色や模様)を施したいという顧客からの要求は、年々増大している。一方、陶磁器に好みの表面的装飾を施すことは製造技術的には可能であり、このような製造技術の一例として、陶磁器に写真等のカラー画像を形成する製造技術が提案されている(例えば、特開平6−171296号公報参照)。
しかしながら、上記のような製造技術を個別需要に対応して用いた場合には、各製品に施す表面的装飾が多種多様となるため、製造工程において、表面的装飾を施すためのスクリーンの作成やスクリーンの入れ替え等の段取りが頻繁となり、製造効率が極めて悪化するおそれがある。このため、上記のような製造技術は、従来、陶磁器の製造メーカーにおいて、ある程度の製造ロットが確保される大口需要に対応して用いられており、製造ロットが小さい個別需要に対応して用いられることは少なかった。また、上記の製造技術を個別需要に対応して用いた場合、製造効率が悪くなり、また生産に要する工数が大きなものとなってしまう。
この結果、個々の顧客が望む表面的装飾が施される製品(注文生産品)の価格や納期は、大幅に割増されてしまう。これでは、個別需要に対応できるといっても、広く顧客を満足させることは難しかった。
【発明の開示】
本発明は、上記の課題を踏まえ、窯業製品の表面に所望の装飾を、簡易に行なうことを目的とする。
上記目的を達成するための本発明の窯業製品装飾システムは、
窯業製品に表面的装飾を施すシステムであって、
印刷用データを受け取って、焼成前の窯業製品に印刷を行なう印刷装置と、
表面的装飾を指定する装飾データを、顧客の端末からネットワークを介して入力する制御装置と
前記印刷装置による印刷後の窯業製品を焼成する焼成手段と
を備え、
該制御装置は、
前記入力された装飾データに基づいて、窯業製品の焼成後における表面的装飾を表わすイメージデータを生成するデータ生成手段と、
該イメージデータを、前記端末に送信して表示させる送信手段と
を備える
ことを要旨としている。
また、この窯業製品装飾システムに対応した本発明の窯業製品に表面的装飾を施す製造方法は、
表面的装飾を指定する装飾データを、顧客の端末からネットワークを介して入力し、
前記入力された装飾データに基づいて、窯業製品の焼成後における表面的装飾を表わすイメージデータを生成し、
該イメージデータを、前記端末に送信して表示させ、
該端末に表示されたイメージデータを顧客が確認したことを示す信号を受け取ってから、前記装飾データに基づく印刷用データを生成して、焼成前の窯業製品に、該印刷用データによる印刷を行ない、
該印刷後に焼成を行なうこと
を要旨とする。
ここで、窯業製品(ceramic)とは、非金属性無機物を焼結または燃焼して作った製品を意味する。こうした製品としては、例えば、陶磁器、タイル、れんが、ガラス、セメント、耐火性プラスター等を考えることができる。また、印刷装置による印刷の対象となる「焼成前の窯業製品」とは、後に本焼成が行なわれる窯業製品を意味する。例えば、窯業製品がタイルである場合には、素焼きタイルや焼成前の生タイルが、これに相当する。
本発明の窯業製品装飾システムおよび窯業製品の製造方法では、顧客の端末から表面的装飾を表わす装飾データを入力し、該装飾データに基づいて焼成後における表面的装飾を表わすイメージデータを生成し、これを端末に送信して表示させる。従って、実際の焼成に先立って、焼成後の窯業製品表面の装飾の状態を知ることができる。その後、装飾データに基づいて印刷用データを生成して、焼成前の窯業製品しに印刷を行ない、焼成すれば、製品ごとに異なる表面的装飾を施した窯業製品を容易に生産することができる。また、このシステムおよび方法では、窯業製品を製造するのに、製品ごとのスクリーンの作成やスクリーンの入れ替え等の作業が不要となる。従って、多装飾かつ少量の窯業製品を効率良く製造することが可能となり、デザインの個別需要に実質的に対応することができる。
上記の窯業製品装飾システムおよび窯業製品の製造方法には、様々な展開を考えることができる。印刷装置は、制御装置とネットワークを介して接続されるものとし、印刷を行なう際に、制御装置から印刷用データを送信するものとしても良い。もとより、記憶媒体を介して印刷用データを印刷装置に移して、印刷させても良い。印刷装置による印刷のタイミングは種々考えることができる。例えば、端末に送られるイメージデータは、焼成による窯業製品表面の色合いの変化を考慮して生成するものとすることができる。窯業製品は焼成によって色合いの変化が生じやすいという特徴を有するが、端末側に表示するイメージデータを、焼成による窯業製品表面の色合いの変化などを考慮して生成すれば、窯業製品の焼成後における表面的装飾の内容、特に色合いを端末側にフィードバックすることが可能となる。従って、端末を所有する顧客は、自己が決定した表面的装飾と焼成後の製品における表面的装飾とが一致する程度を購入前に確認することが可能となり、意に反した色合いの製品の購入を未然に回避することができる。なお、こうしたイメージデータの生成は、焼成前号の色合いの変化の情報を持っている制御装置側で行なうのが一般的ではあるが、イメージデータを生成するプログラムを端末側に送信し、端末側で生成するものとしても良い。端末側で専用プログラムが実行させる場合はもとより、端末側がブラウザなどの汎用のアプリケーションプログラムを用いて動作している場合でも、アップレットなどの形式でこうしたプログラムを端末に送信して動作させることは用意である。
また、端末に送信するイメージデータは、予め用意した変換テーブルを参照することにより、装飾データから生成することができる。用いる釉薬の成分や焼成温度、製品の素材などが分かっていれば、焼成による変化は予め知ることができる。従って、これをテーブルにして参照するものとすれば、焼成後の状態を示すイメージデータを簡易かつ正確に生成することができる。
制御装置が、印刷対象となる窯業製品に関するデータのうち、装飾の対象となる表面を有する製品部位のデータを、前記表面の表示および該表面に用いる文字画像の指示を端末側において実行可能な形式で、ネットワークを介して端末に提供する提供手段を備えることも好適である。こうすれば、製品部位のデータが提供された端末側で、装飾の対象となる表面の表示や該表面に用いる文字画像の指示を行なうことが可能となる。従って、端末を所有する顧客は、装飾しようとする製品を選択する作業や製品に施す表面的装飾の内容を決定する作業を、簡便に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本実施例の窯業製品装飾システムYSのハードウェア構成を示す説明図である。
図2は、窯業製品装飾システムYSで実現される顧客とメーカーとの間のやり取りの内容を示す説明図である。
図3は、記憶装置20内に記憶されるデータの種類を示す説明図である。
図4は、表面形状データHDの構造を示す説明図である。
図5は、窯業製品装飾システムYSにおける、オリジナルタイルの色・模様に関するデータの流れを示す説明図である。
図6は、色変換マップKMの一例を示す説明図である。
図7は、受注データLEが記憶された状態の受注テーブルLTの一例を示す説明図である。
図8は、デザイン決定処理ルーチンを示すフローチャートである。
図9は、オリジナルタイル作成ページが表示された画面の様子を示す説明図である。
図10は、イメージデータUEの受信後に表示されるオリジナルタイル作成ページの内容を示す説明図である。
図11は、工程管理処理ルーチンを示すフローチャートである。
図12は、プリンタ50のフラッシュメモリ51に設けられた工程表FNの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。図1は本実施例の窯業製品装飾システムYSのハードウェア構成を示す説明図である。この窯業製品装飾システムYSは、タイルや衛生陶器等の表面に顧客の好みのデザインを施すシステムである。
図1に示すように、タイルや衛生陶器の製造業者(以下、メーカーという)の工場AR内は、各製品を製造する製造ラインが配設されたラインフロアAR2と各製造ラインの工程を管理する生産管理室AR1とに分かれている。ラインフロアAR2には、製造する製品の種類(例えば、100角内装タイル,150角内装タイル,二丁掛外装タイル,衛生陶器等)ごとに異なる複数の製造ラインが配設されており、各製造ラインの一部には、焼成前窯業製品に相当する素焼き状態の製品を搬送するコンベヤ60と素焼き状態の製品の表面に印刷を行なう印刷装置としてのプリンタ50とが設けられている。図1では、100角内装タイルの製造ラインのうち、素焼きタイルTLsを搬送するコンベヤ60とプリンタ50とが設けられた領域を表わしている。
生産管理室AR1には、制御装置に相当するサーバSVが配置されている。サーバSVは、CPUやROM,RAM,記憶装置20,各種インターフェース等を備えたコンピュータである。ROMには、後述するデザイン決定処理,工程管理処理,色変換処理の内容が記述されたプログラムが格納されている。サーバSVの出力端子はケーブルを介してプリンタ50の入力端子に接続されている。これにより、サーバSVからプリンタ50に印刷ジョブを送信することができる。送信後の印刷ジョブは、プリンタ50に内蔵された不揮発的な記憶領域であるメモリ51に蓄積して記憶される。
サーバSVは通信回線を介して外部のネットワークNWに接続されている。これにより、サーバSVは、ネットワークNWに接続された端末に相当する他のコンピュータ90a,90b,90cとの間で、ネットワークNWを介して情報をやりとりすることができる。こうしたネットワークNWの代表例として広域ネットワークであるインターネットを考えることができる。勿論、サーバSVとコンピュータ90a,90b,90cとの間を特定のLAN等のネットワークで接続しても差し支えない。
図1に示すコンピュータ90a,90b,90cは、それぞれ、メーカーの顧客であるクライアントCA、CB、CCの所有に係るものであるが、実際には更に多数のコンピュータがネットワークNWに接続されている。このようにネットワークNWに接続された多数のコンピュータを、以下、コンピュータ90と総称する。なお、コンピュータ90は、表示装置を備え、ネットワークNWを介したデータの送受信が可能な端末であればよく、例えば、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)等の携帯情報端末であってもよい。本実施例では、これらの端末に相当するコンピュータ90では、マークアップ言語であるHTMLを解釈して表示可能なブラウザが動作している。ブラウザを用いることにより、コンピュータ90は、サーバSVとの間で、双方向にデータをやり取りすることができ、また文字列のみならず、画像の表示も行なうことができる。
サーバSVは、後述するプログラムを実行することにより、制御装置におけるデータ生成手段、送信手段、更には印刷データ送出手段などとして機能するが、これらの機能の詳細については、後述する。サーバSVには、プリンタ50が接続されており、サーバSVは、後述するコンピュータ90とのやり取りに用いたイメージデータ(RGB)から生成した印刷用データ(RGB)を、プリンタ50に送信する。プリンタ50は、受け取った印刷用データ(RGB)を、C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)の4色に色変換している。プリンタ50は、変換後の4色のそれぞれのデータに基づいて各色のインクIK(顔料および溶剤で構成されたもの)を窯業製品に吐出して、窯業製品の表面にデジタル装飾を行なう。1層白色の釉薬が平滑に施釉された素焼きタイルTLsの表面にインクIKを吐出するために、プリンタ50は、コンベヤ60の搬送路の上方に配置されている。なお、本実施例では、色変換の作業は、プリンタ50側で行なうものとしたが、サーバSV側で行なうものとしても良い。
プリンタ50によって表面に印刷がなされた素焼きタイルTLsは、この後、窯への投入によって焼成される(この焼成のことを、以下、「本焼成」という)。こうした本焼成により、最終製品としてのタイルTLが完成する。なお、本実施例では、素焼きタイルTLsが投入される窯としてローラーハースキルンを用い、このローラーハースキルン内で素焼きタイルTLsを1140℃の温度で40分間焼成することとしている。
こうしたハードウェアにおいて構成を有する窯業製品装飾システムYSでは、クライアントCA、CB、CCあるいは他のコンピュータの使用者は、自己のコンピュータ90a,90b,90c・・90を操作して、各人の好みのデザインのタイル(以下、オリジナルタイルという)の注文を行なう。こうした注文情報は、ネットワークNWを介してサーバSVに送信され、サーバSVからプリンタ50に送信される。
図2は窯業製品装飾システムYSで実現されるクライアントとメーカーとの間のやり取りの内容を示す説明図である。まず、クライアントは、オリジナルタイルの形状と表面的装飾としての色・模様とを選択して、メーカーに指示する。メーカーは、指示されたオリジナルタイルの焼成後イメージを作成してクライアントに提示する。焼成後イメージとは、指示を受けた色・模様を素焼きタイルTLsの表面にプリンタ50で印刷した場合に、この印刷後の素焼きタイルTLsを窯で焼成した後に得られるタイルTLの表面のイメージを意味する。焼成後イメージを予めクライアントに提示するのは、印刷された素焼きタイルTLsの表面の色合いは、後述する理由によって、焼成後に変化するからであり、特に赤系統の色は焼成後の再現が困難であるからである。クライアントは、焼成後イメージに表わされた色・模様が自己が選択した色・模様に適合しているか否かを確認し、適合している場合に色・模様を承認してオリジナルタイルをメーカーに発注する。オリジナルタイルを受注したメーカーは、クライアントに承認された形状・色・模様のタイルTLをオリジナルタイルとして製造する。製造されたオリジナルタイルは、メーカーからクライアントに送付される。こうしたオリジナルタイルのやり取りに付随して代金の請求・支払いといった処理がなされる場合が想定されるが、こうした処理は、銀行決済や代引き配達など、従来の決済の手法のいずれか一つを採用すれば良い。もとより、電話料金による決済や、タイルの一部に広告を入れるといった方法での決済なども可能である。
本実施例の窯業製品装飾システムYSでは、図2に示すクライアントによるオリジナルタイルの形状・色・模様の選択からメーカーによるオリジナルタイルの製造開始までの作業を、コンピュータ90とサーバSVとの間のデータのやり取りによって実現する。例えば、オリジナルタイルの形状・色・模様の選択に際して、クライアントは、自己のコンピュータ90を操作して、タイルへの装飾内容を表わす色・模様の画像を作成し、この装飾データSEをネットワークNWを介してメーカーのサーバSVに送信する。こうしたデータのやり取りの具体的な内容については、デザイン決定処理,工程管理処理として後述する。もとより、サーバSV側が提供する各種デザインからいずれかをコンピュータ90側で選択するだけでも差し支えない。この場合、コンピュータ90からサーバSVに送られるデータに画像データを含む必要はない。
記憶装置20内に記憶されるデータの一例を図3に示す。図示するように、サーバSVの記憶装置20には、デザイン決定処理や工程管理処理の実行に際して用いられる参照データとして、フォームデータGD,表面形状データHD,色変換マップKMが予め記憶されている。また、記憶装置20は、各クライアントからの発注内容を表わす受注データLEが記憶される領域として受注テーブルLTを備える。以下、これらの各種データについて説明する。
フォームデータGDは、メーカーのウェブページの内容を画像や文書を用いて記述したデータであり、HTML形式で記述されている。表面形状データHDは、図4に示すように、オリジナルタイルとして選択可能なタイルについて、その名称や寸法,表面形状を表わしたデータである。なお、本実施例では、衛生陶器についても各人の好みのデザインを施すことを可能としている。このため、図3に示すように、衛生陶器のデザイン可能な部分の名称や寸法,表面形状も、表面形状データHDに含まれている。
色変換マップKMに関し、図5ないし図6を参照しつつ説明する。図5は、窯業製品装飾システムYSにおける、オリジナルタイルの色・模様に関するデータの流れを示す説明図である。コンピュータ90および表示装置では、通常、画像の形成や表示の際に基準とされる色空間としてRGB色空間を採用している。よって、クライアントがコンピュータ90上で作成した色・模様の装飾データSE(画像を含む)では、その色情報が、R(赤),G(緑),B(青)の各色の表色値を用いて表現されている。こうした装飾データSEが、図5に示すように、ネットワークNWを介してサーバSVに送信され、この装飾データSEを含む印刷信号がサーバSVからプリンタ50に送出されると、プリンタ50は、受け取った装飾データSEを色分解してCMYK色空間によって表現された印刷用データTEに変換する。この印刷用データTEの色情報は、C,M,Y,Kの各色の表色値を用いて表現されている。プリンタ50は、この印刷用データTEの色情報に基づいてC,M,Y,Kの各色のインクIKの吐出態様を決定し、決定された吐出態様で素焼きタイルTLsに印刷を行なう。RGB色空間とCMYK色空間との間では色再現域が相違するため、図5に斜線ハッチングで模式的に示したように、印刷用データTEの色情報が装飾データSEの色情報と微妙に異なる場合が生じる。
印刷後の素焼きタイルTLsは窯に投入され、酸化焼成,還元焼成のいずれかの方法で焼成される。酸化焼成の場合には、素地やインクIK内の顔料に含まれる酸化金属が酸素と結合されることによって呈色し、還元焼成の場合には、素地やインクIK内の顔料に含まれる酸化金属から酸素が除去されることによって呈色する。こうした酸化や還元が生じることにより、焼成後のタイルTLの色合いは、焼成前の素焼きタイルTLsの色合いとは異なるものとなる。こうした焼成前の素焼きタイルTLsの色合いと焼成後のタイルTLの色合いとが相違する度合いは、素焼きタイルTLsの素地やインクIK内に含有された顔料の種類、窯内の温度分布状態等の各要素に応じて変化する。これらの各要素によって酸化や還元の程度が異なるからである。このように、印刷用データTEの色情報に基づいて印刷された素焼きタイルTLsの色は焼成によって変化するため、図5に斜線ハッチングで模式的に示したように、焼成後のタイルTLの色が装飾データSEの色情報によって表現される色から更に離れてしまう場合が生じる。
クライアントのコンピュータ90から装飾データSEを受信したサーバSVは、印刷および焼成による上述した色の変化を想定し、図5に示すように、装飾データSEに基づくプリンタ50への印刷指示に先立って、受信した装飾データSEに対応するイメージデータUEを生成し、イメージデータUEをコンピュータ90に送信する。この処理が、データ生成手段に相当する。イメージデータUEは、受信した装飾データSEに基づいて印刷がなされた素焼きタイルTLsが焼成された場合に、タイルTLs表面に呈色された色の情報をR,G,Bの各色の表色値を用いて表わしたデータである。
イメージデータUEの生成は、サーバSVが色変換マップKMを参照することによって実現される。色変換マップKMの一例を図6に示した。図6に示すように、色変換マップKMには、RGB色空間によって表現され得る全ての色情報(オリジナル色情報)とその色情報に基づいた印刷および焼成の後に得られるタイルTLsの色をRGB色空間によって表現したときの色情報(焼成後色情報)との対応関係が表形式で記述されている。例えば、コンピュータ90から受信した装飾データSEの色情報が(R,G,B)=(r0,g0,b0)であった場合には、サーバSVは、色変換マップKMを参照して、受信した色情報に対応する(R,G,B)=(r2,g1,b0)という色情報を有するイメージデータUEをコンピュータ90に送信する。なお、色変換マップKMにおける各オリジナル色情報に対応する焼成後色情報の値は、各オリジナル色情報を有する画像データに基づいて印刷ないし焼成を実際に行ない、焼成後のタイルの色を測色することによって定められている。なお、本実施例では、色変換マップKMを表形式で規定したが、勿論、演算式の形式で色変換マップKMを保持することも可能である。また、装飾データがRGB各色8ビットのデータで構成されている場合、色変換マップKMは、最大、256×256×256の大きさを持つことになるが、色変換マップKMには、これら総てのデータに対する焼成後色情報を記憶しても良いし、データを間引いて、例えば32×32×32程度の大きさのマップとし、その間のデータは、補間演算などにより求めるものとしても良い。
こうして得られたイメージデータUEは、コンピュータ90に送信され、コンピュータ90のディスプレイ上に表示される。この処理が、送信手段に相当する。クライアントは、この表示を確認して発注の処理を行なうことになる。
次に、受注データLEについて説明する。受注データLEは、クライアントがコンピュータ90上でオリジナルタイルの注文指示を行なう際にコンピュータ90からサーバSVに送信されるデータである。図7は受注データLEが記憶された状態の受注テーブルLTの一例を示している。図7に示すように、受注テーブルLTには、管理番号、注文日時、クライアントの氏名や住所等、注文の内容(好みの装飾をする製品の品名、部位の名称、装飾内容、注文数量)、製造工程の進行状況(製品の発送予定日、クライアントへの納品が済んでいるか否か)という各項目についての記入欄が設けられている。図7に示す例では、この記入欄に、クライアントCA、CB、CCに係る3つの受注データLEの内容が記入されている。注文日時の欄に記入された日時は、受注データLEをサーバSVが受信した日時を表わしている。サーバSVは、この日時が早いものから順に若い管理番号を割り当てる。
受注データLEには、クライアントによって承認された色・模様を表わす装飾データSEが含まれている。図7では、説明の便宜上、装飾内容の欄への記入内容を視覚的に示しているが、実際には、装飾内容の欄に装飾データSEの色情報(RGB)が記入される。
次に、上記構成を有する窯業製品装飾システムYSにおいて、コンピュータ90およびサーバSVが行なう具体的な処理(デザイン決定処理,工程管理処理)の内容について説明する。サーバSVは、クライアントのコンピュータ90からネットワークNWを介してアクセスされたとき、アクセスされたコンピュータ90にフォームデータGDをHTMLの書式により既述されたテキストデータとして送信する。コンピュータ90上で動作しているブラウザは、このデータを受け取り、これを解釈して表示を行なおう。この結果、コンピュータ90の画面上にメーカーのウェブページが表示される。このウェブページが表示された画面上で、クライアントの氏名や住所等の入力がなされた後、オリジナルタイルを作成する旨が指示されると、この作成指示を表わすデータが、コンピュータ90からサーバSVに送信され、サーバSVによって受信される。こうした作成指示を表わすデータの送受信が行なわれたときに、図8に示すデザイン決定処理ルーチンが起動する。図8では、コンピュータ90側のCPUが行なう処理をルーチンAとして表わし、サーバSV側のCPUが行なう処理をルーチンBとして表わしている。なお、本ルーチンの説明においては、コンピュータ90の画面の様子を示す図9ないし図10を適宜参照しつつ説明する。
本ルーチンが起動されると、サーバSVは、記憶装置20に記憶された表面形状データHDを読み出して、コンピュータ90に送信する処理を行なう(ステップS200)。こうした表面形状データHDをコンピュータ90が受信することにより、コンピュータ90の画面には図9に示すオリジナルタイル作成ページが表示される。
図9に示すように、オリジナルタイル作成ページの右欄には、受信した表面形状データHDの内容が表示されている。図9では、内装タイルの「100角」というボタン上にマウスポインタMPを配置してクリックしたときの表示状態を示しており、オリジナルタイル作成ページの右欄には、100角タイルの形状枠WKが表示されている。クライアントは、コンピュータ90を操作して、形状枠WK内に自分の好みの画像を配置・作成する処理を行なう(ステップS100)。
この画像配置・作成の方法には、コンピュータ90やデジタルカメラ,スキャナ等の周辺機器によって取得されたJPEG等のデジタル画像を形状枠WK内に貼り付ける画像貼付モードと、画面上のペンやブラシを用いて形状枠WK内に描画するペイントモードとがある。図9に示したページの右欄は、「画像貼付モード」と表示されたボタン91をマウスポインタMPによりポインティングしてクリックしたときの表示状態を示している。勿論、画像貼付モードとペイントモードとを併用し、形状枠WK内に、貼り付けた画像部分とペイント部分とを混在させることも可能である。
画像貼付モードでは、参照ボタン93をクリックしてコンピュータ90内に格納された所望の画像を選択することにより、選択した画像が形状枠WK内に貼り付けられる。この貼り付けの際、自動リサイズボタン94が選択されている場合には、形状枠WKの大きさに合わせて画像がリサイズされて貼り付けられる。任意指定ボタン95が選択されている場合には、マウスポインタMPで指定した範囲に画像がリサイズされて貼り付けられる。貼り付け後の画像については、各種ボタンを操作することにより、色の調整をはじめ、削除,回転,移動,拡大,縮小等の編集作業を行なうことができる。
オリジナルタイル作成ページが表示された画面上で、形状枠WK内への画像の配置後に送信ボタン99がクリックされると、図8に示すように、コンピュータ90は、形状枠WK内に配置された画像のデータを装飾データSEとしてサーバSVに送信する処理を行なう(ステップS105)。装飾データSEを受信したサーバSVは、装飾データSEの色情報(RGB)を読み取り、色変換マップKMを参照して、読み取ったオリジナル色情報に対応する焼成後色情報を特定する処理を行なう(ステップS210,S220)。次に、特定された焼成後色情報によって表わされるイメージデータUEを生成して、コンピュータ90に送信する処理を行なう(ステップS230)。
イメージデータUEを受信したコンピュータ90は、イメージデータUEによって表わされる色合いを画面に表示する処理を行なう(ステップS110)。これにより、今までに表示されていたオリジナルタイル作成ページの画面は図10に示す状態に変わる。
図10に示すように、オリジナルタイル作成ページの右欄には、受信したイメージデータUEによって表わされる色合い(「完成品の色合い」の欄を参照)が、先に送信した装飾データSEによって表わされる色合い(「あなたが作成した色合い」の欄を参照)と共に表示されている。この表示画面を見たクライアントは、双方の色合いを比較検討し、両者の色合いの差が自己にとって許容範囲である場合には「承認」というボタン81をクリックし、両者の色合いの差が自己にとって許容範囲でない場合には「やり直し」というボタン82をクリックする。コンピュータ90は、「承認」,「やり直し」のいずれのボタンがクリックされたかを監視し、「やり直し」ボタン82がクリックされたと判断した場合には(ステップS120)、図9に示した作成前の画面を再度表示した後、ステップS100に戻って上記の処理を繰り返す。
一方、「承認」ボタン82がクリックされたと判断した場合には(ステップS130)、コンピュータ90は、承認を受けた装飾データSEを特定する情報に、製品の品名、部位の名称、装飾内容、注文数量、クライアントの氏名や住所等の情報を加えた注文データをサーバSVに送信する処理を行なう(ステップS140)。注文データを受信したサーバSVは、注文データを受注データLEとして受信し(ステップS240)、この受注データLEの内容を受注テーブルLTに書き込む処理を行ない(ステップS250)、本ルーチンを終了する。図7に示した例では、クライアントCA、CB、CCの各受注データLEが、この順に受信されて受注テーブルLTに書き込まれた状態を表わしている。なお、本ルーチンの終了時点では、受注テーブルLTにおける進行状況の記入欄は空欄のままとされる。各受注データLEについての進行状況の記入欄は、この後、サーバSVが工程管理処理を実行することによって書き込まれる(図11に示すステップS350の処理を参照)。
上記の工程管理処理の実行によって受注テーブルLTに新たな受注データLEが書き込まれると、図11に示す工程管理処理ルーチンが起動する。なお、本ルーチンの説明においては、プリンタ50のメモリ51に設けられた工程表FNの一例を示す図12を適宜参照しつつ説明する。
本ルーチンが起動されると、サーバSVは、まず、書き込まれた受注データLEを特定し(ステップS300)、この受注データLEのうちの品名・部位名称のデータの内容に基づいて製造ラインを決定する処理を行なう(ステップS310)。例えば、図7に示すクライアントCAに係る受注データLEが特定された場合には、品名・部位名称の内容が「100角内装タイル」であるので、製造ラインは「100角内装タイルの製造ライン」に決定される。
次に、サーバSVは、ステップS310の処理で決定した製造ライン(以下、該当製造ラインという)のプリンタ50に、受注データLEのうち、管理番号を表わすデータ、装飾内容を表わす装飾データSEおよび数量を表わすデータを送出する処理を行なう(ステップS320)。これらのデータをプリンタ50が受け取ることによりプリンタ50に印刷ジョブが入力され、入力された印刷ジョブの内容はメモリ51内の工程表FN(図12を参照)に書き込まれる。
図12は100角内装タイルの製造ラインのプリンタ50が備える工程表FNの一例を示している。この図12では、図7に対応する例を示しており、工程表FNには、100角内装タイルを注文したクライアントCA、CBの各受注データLE(管理番号,装飾内容および数量のデータ)が、工程表FNの対応する各欄に、印刷ジョブとして書き込まれている。この工程表FNの状態欄の記載は、プリンタ50における印刷の実行状態によって更新される。例えば、印刷実行中の印刷ジョブについては「送信中」と記入され、待機中の印刷ジョブについては「待機」と記入される。
次に、サーバSVは、該当製造ラインのプリンタ50について未製造分の数量を特定する処理を行なう(ステップS330)。未製造分の数量は、サーバSVがプリンタ50内の工程表FNの状態欄の記載をリアルタイムで読み取ることにより、知ることができる。続いて、サーバSVは、未製造分の数量に基づいた演算により、ステップS300の処理で特定された受注データLEについて発送予定日を決定する処理を行なう(ステップS340)。発送予定日は、例えば、未製造分の数量を素焼きタイルTLsの1日当たりの平均印刷枚数で割った値を求め、この値を現在の日付に加えることにより、決定することができる。
次に、サーバSVは、決定された発送予定日のデータを受注テーブルLTに書き込む処理を行なう(ステップS350)。これにより、図7に示した受注テーブルLTの進行状況の記入欄に、発送予定日とクライアントへの納品が未納品である旨のデータが書き込まれる。
次に、サーバSVは、受注テーブルLTに他の受注データLEの書き込みがなされたか否かを判断し(ステップS360)、他の受注データLEの書き込みがなされたと判断した場合には、ステップS300に戻って上記の処理を繰り返し、他の受注データLEの書き込みがなされていないと判断した場合には本ルーチンを終了する。図7に示す例では、クライアントCA、CBの各受注データLEは、この順にサーバSVに受信されて受注テーブルLTに書き込まれている。このため、ステップS300〜S350の処理は、クライアントCAの受注データLE,クライアントCBの受注データLEの順に実行される。この結果、装飾データSEは、クライアントCAの装飾データSE,クライアントCBの装飾データSEの順にプリンタ50に送出され、印刷ジョブの実行順序は、図12に示すように、クライアントCA、CBの順となる。
以上説明した本実施例の窯業製品装飾システムYSでは、サーバSVは、クライアントのコンピュータ90からネットワークNWを介して装飾データSEを入力し、この装飾データSEをプリンタ50に送出する。送出された装飾データSEはプリンタ50の工程表FNに印刷ジョブとして格納され、プリンタ50は、この印刷ジョブに基づいて素焼きタイルTLsに印刷を行なう。このため、複数の素焼きタイルTLsごとに異なる色や模様を付与する場合に、製造ラインにおいて、色や模様の種類分のスクリーンを作成したり、スクリーンを入れ替えたりする等の作業が不要となる。従って、多装飾かつ少量のタイルTLを効率良く製造することが可能となり、デザインの個別需要に実質的に対応することができる。例えば、本システムによって注文生産品の製造効率が市販品と同等以上となった場合には、メーカー側での製造効率の悪化を理由として、注文生産品の価格や納期が市販品に対して上積みされることがないので、クライアントは、所望の色・模様が施されたタイルTLを、市販品と同様の条件(価格・納期)で入手することができる。
また、本実施例の窯業製品装飾システムYSでは、サーバSVは、コンピュータ90から受信した装飾データSEをプリンタ50に送出する。従って、多装飾かつ少量のタイルTLを製造するに当たり、ラインスタッフによる工程管理が容易となり、製造効率を更に高めることができる。この場合において、サーバSVが装飾データSEを順次にプリンタ50に送出する構成とすれば、各タイルTLを製造する順番(工程順)をラインスタッフが管理することが不要となり、製造効率をより一層高めることができる。例えば、多数のクライアントから異なる色・模様のオリジナルタイルの注文が殺到した場合であっても、注文に係るオリジナルタイルを確実に製造ラインに組み込むことができる。
更に、本実施例の窯業製品装飾システムYSでは、クライアントによるオリジナルタイルのデザイン決定に先立って、サーバSVが、印刷対象となるタイル等に関するデータのうち、装飾の対象となる表面を有する表面形状データHDをネットワークを介してコンピュータ90に送信し、印刷対象となるタイル等の形状枠WKをコンピュータ90の画面に表示させる。従って、クライアントは、表示された形状枠WK内に自分の好みの画像を配置するだけで、所望のオリジナルタイルのデザインを決定することが可能となり、デザインの決定作業を簡便に行なうことができる。
加えて、本実施例の窯業製品装飾システムYSでは、サーバSVは、コンピュータ90から受信した装飾データSEに基づいてイメージデータUEを生成し、このイメージデータUEを、コンピュータ90からの注文データの送信に先立って、コンピュータ90に送信する。これにより、コンピュータ90の画面上に、イメージデータUEに基づいた色・模様が表示され、クライアントによって選択された色・模様がタイルの焼成後にどのような色・模様になるかがクライアントにフィードバックされる。従って、クライアントは、自己が選択した色・模様がタイルの焼成後にどのような色・模様になるかを発注前に確認することが可能となり、意に反した色合いのタイルの購入を未然に回避することができる。
以上、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明したが、本発明はこうした実施例等に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々なる様態で実施し得ることは勿論である。例えば、上記実施例ではタイルや衛生陶器を例として説明したが、上記実施例の窯業製品装飾システムYSは、これ以外の窯業製品(茶碗等の陶磁器、れんが、ガラス、セメント、耐火性プラスター等)にも適用することができる。
上記実施例では、色変換マップKMを参照することによってイメージデータUEを生成したが、これ以外の手法によりイメージデータUEを生成してコンピュータ90に送信しても差し支えない。例えば、サーバSVがコンピュータ90から装飾データSEを受信した後に、素焼きタイルTLsに対して、実際に、装飾データSEに基づいたプリンタ50による印刷ないし焼成を行ない((このことを「見本焼き」という)、見本焼き後のタイルの画像データをディジタルカメラでの撮影等によって生成し、生成された画像データをコンピュータ90に送信してもよい。このような場合においても、クライアントによって選択された色・模様がタイルの焼成後にどのような色・模様になるかをクライアントにフィードバックすることができる。かかる構成では、見本焼きを行なってデジタルカメラでこれを撮影することが、データ生成手段に相当することになる。
また、上記実施例では、プリンタ50による印刷を素焼きタイルTLsに対して行なったが、素焼き前のタイル等のような焼成前の生タイルに印刷して印刷後に本焼成を行なったり、本焼成後のタイルに印刷して印刷後に再び低温で焼成を行なったりすることも可能である。また、施釉した本焼成前のタイルに印刷して印刷後に本焼成を行なうことも可能である。
上記実施例において、サーバSVが、受け取った装飾データSEを解析し、使用される色の種類や数、模様の細かさ等に応じてオリジナルタイルの価格を自動的に演算する処理を行なうことも好適である。こうした演算結果がコンピュータ90に送出されることで、クライアントは、オリジナルタイルの価格を迅速に把握することが可能となる。また、クライアントが指定した装飾データSEを解析して、そのデータを釉薬やタイル部品の発注を行なうシステムにおけるデータと連動させることも可能である。これらのデータを連動させれば、タイルや衛生陶器部品などのオリジナル商品の製造に際して、在庫管理などの手間を軽減でき、また釉薬や部品の不足による納期の遅延といった事態を回避することが容易になる。
また、上記実施例では、素焼きタイルTLsが投入される窯として、短時間で焼成可能なローラーハースキルンを用いたが、勿論、トンネルキルンを用いても差し支えない。また、電気やガスを熱源とするバッチ式の窯で焼成してもよい。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
窯業製品に表面的装飾を施すシステムであって、
印刷用データを受け取って、焼成前の窯業製品に印刷を行なう印刷装置と、
表面的装飾を指定する装飾データを、クライアントの端末からネットワークを介して入力する制御装置と
前記印刷装置による印刷後の窯業製品を焼成する焼成手段と
を備え、
該制御装置は、
前記入力された装飾データに基づいて、窯業製品の焼成後における表面的装飾を表わすイメージデータを生成するデータ生成手段と、
該イメージデータを、前記端末に送信して表示させる送信手段と
を備える
窯業製品装飾システム。
【請求項2】
請求項1記載の窯業製品装飾システムであって、
前記制御装置は、前記端末における前記イメージデータの表示を確認したクライアントからの承認を示す信号を得た後のタイミングで、前記装飾データに対応した印刷用データを生成し、前記印刷装置に送出する印刷データ送出手段を備えた窯業製品装飾システム。
【請求項3】
請求項1に記載の窯業製品装飾システムであって、
前記制御装置の前記データ生成手段は、焼成による前記窯業製品表面の色合いの変化を考慮して、前記イメージデータを生成する手段である
窯業製品装飾システム。
【請求項4】
請求項3記載の窯業製品装飾システムであって、
前記データ生成手段は、予め用意した変換テーブルを参照することにより、前記装飾データから、前記イメージデータを生成する手段である
窯業製品装飾システム。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれかに記載の窯業製品装飾システムであって、
前記制御装置が、印刷対象となる窯業製品に関するデータのうち、装飾の対象となる表面を有する製品部位のデータを、前記表面の表示および該表面に用いる文字画像の指示を端末側において実行可能な形式で、ネットワークを介して前記端末に提供する提供手段を備えた窯業製品装飾システム。
【請求項6】
請求項1記載の窯業製品装飾システムであって、
前記窯業製品は、陶器、磁器、タイル、れんが、ガラス、セメント、耐火性プラスターのうちの一つである窯業製品装飾システム。
【請求項7】
窯業製品に表面的装飾を施す方法であって、
表面的装飾を指定する装飾データを、クライアントの端末からネットワークを介して入力し、
前記入力された装飾データに基づいて、窯業製品の焼成後における表面的装飾を表わすイメージデータを生成し、
該イメージデータを、前記端末に送信して表示させ、
該端末に表示された画像データをクライアントが確認したことを示す信号を受け取ってから、前記装飾データに基づく印刷用データを生成して、焼成前の窯業製品に、該印刷用データによる印刷を行ない、
該印刷後に焼成を行なう
窯業製品の装飾方法。

【国際公開番号】WO2004/087616
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【発行日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−504249(P2005−504249)
【国際出願番号】PCT/JP2004/004567
【国際出願日】平成16年3月30日(2004.3.30)
【出願人】(000010087)東陶機器株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】