立体感のある色彩被覆の作成方法およびそれによる立体的色彩印刷体
【課題】立体感のある色彩被覆の作成方法およびそれによる色彩印刷体を提供する。
【解決手段】被印刷体の非盛り上印刷部分にシリコーンオイル含有の色彩又は透明インキ(I)による印刷被膜を形成する第1A工程と、その後所定の色彩インキ又は塗料(II)によるベタ印刷又は塗装、もしくは盛り上げ部分の印刷による被膜を形成し加熱処理を施しシりコーンオイル含有色彩又は透明インキ(I)の被膜表面上より、その撥水性により前記色彩インキ又は塗料(II)を撥じき排除する第2A工程と、前記第2A工程において、撥じき排除されずに残存する残渣を除去する第3A工程と有する立体感のある色彩被覆の作成方法およびそれによる色彩印刷体。
【解決手段】被印刷体の非盛り上印刷部分にシリコーンオイル含有の色彩又は透明インキ(I)による印刷被膜を形成する第1A工程と、その後所定の色彩インキ又は塗料(II)によるベタ印刷又は塗装、もしくは盛り上げ部分の印刷による被膜を形成し加熱処理を施しシりコーンオイル含有色彩又は透明インキ(I)の被膜表面上より、その撥水性により前記色彩インキ又は塗料(II)を撥じき排除する第2A工程と、前記第2A工程において、撥じき排除されずに残存する残渣を除去する第3A工程と有する立体感のある色彩被覆の作成方法およびそれによる色彩印刷体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、主として携帯電話機等に適用される立体感のある色彩被覆、又は曲面を有する被印刷体への立体感のある色彩被覆の作成方法およびそれにより被覆された携帯電話機又は立体的色彩印刷体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年携帯電話機の普及とともに、携帯電話機の外装は顧客の多様化に伴い種々の多彩な印刷による外装が要求されてきており、アンテナ機能を内蔵させ、且つ携帯電話機の外装としての多彩な美的外観を保つ製品が強く望まれてきている。
【0003】
また、近年の傾向として印刷皮膜そのものに凹凸を付し印刷画面に立体感を与える色彩印刷が求められるようになり、被印刷体が平面体への印刷から、携帯電話機、アクセサリー等の曲面を含む立体的な被印刷体へと拡大されてきている。またこれに伴い印刷方法も従来と異なるいろいろな方法による開発が進んでいる。(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】特開平2−239972号公報
【0004】
被印刷体が平面体であればスクリーン印刷法により重ね塗りすることによって、或程度印刷面を盛り上げ立体感を付与することは容易である。しかしながら、曲面を含む立体的な被印刷体では、色彩印刷面を盛り上げ立体感を付与することはかなり難しく、コスト的にも高価なものとなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、市場要求として、携帯電話機の外装としての多彩な美的外観を保つ製品が求められており、この市場要求に対し本出願人の先行出願になる特願特開2007−307877号(以下、先行技術という)により、より美的な多彩外装コート被覆を得るため方法を提供し、また、他方の市場要求として、曲面を含む広範な被印刷体に立体感のある盛り上がりのある色彩印刷被覆を実用化している。
しかしながら、該先行技術の実施に伴い改善すべき技術が必要であることが発見され、本発明はそのための改良技術を包含する、曲面を含む広範な被印刷体に立体感のある盛り上がりのある美的な色彩印刷被覆を安価に提供することを目的としている。
すなわち、先行技術におけるOP3A非盛り上がり上部より撥水除去処理において、除去されるべきOP2A印刷工程における色彩インキ又は塗料が、若干OP1A工程のシリコーンオイル含有インキによる印刷表面に撥じき残りとして残余する可能性が多々あり、これは外見の見場が悪いばかりでなく、集積回路への悪さをもたらす可能性もある。従って、この残余分の残渣を除去する必要がある。
本発明は、基本的な工程を変更することなく、この残余分の除去を効率よく、且つ安価に処理することを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の立体感のある色彩被覆の作成方法は、
1)被印刷体の非盛り上げ部分にシリコーンオイル含有の色彩又は透明インキ(I)による印刷被膜を形成し、所定の乾燥処理を施す第1工程と、その後所定の色彩インキ又は塗料(II)によるベタ印刷又は塗装を施し、シリコーンオイル含有インキの撥水性によりシリコーンオイル含有の色彩又は透明インキによる印刷被膜表面上のベタ印刷のインキ又は塗料(II)を撥じかせ排除し、所定の乾燥処理を施す第2工程と、前記シリコーンオイル含有の色彩又は透明インキによる印刷被膜表面上に、なお微細に残留する撥じき排除され残りの印刷インキ又は塗料残渣を除去する第3工程を有するものである。2)被印刷体の非盛り上げ部分にシリコーンオイル含有の色彩又は透明インキ(I)による印刷被膜を形成し、所定の乾燥処理を施す第1工程と、前記被印刷体の非盛り上げ部分に、更に剥離用シリコーンオイル含有のインキ(III)による被膜を積層し乾燥処理を施す第2工程と、その後所定の色彩インキ又は塗料(II)によるベタ印刷又は塗装を施し、シリコーンオイル含有インキの撥水性により剥離用シリコーンオイル含有のインキ(III)による印刷被膜表面上からベタ印刷の色彩インキ又は塗料(II)を撥じかせ排除し、所定の乾燥処理を施す第3工程と、前記剥離用シリコーンオイル含有のインキ(III)による印刷被膜表面上に、なお微細に残留する撥じき排除され残りの印刷インキ又は塗料(II)の残渣を、該剥離用シリコーンオイル含有のインキ(III)による印刷被膜を被印刷体より剥離することにより除去する第4工程を有するものである。
3)また、被印刷体の非盛り上げ部分に剥離用シリコーンオイル含有インキ(IV)による印刷被膜を形成し、所定の乾燥処理を施す第1工程と、その後所定の色彩インキ又は塗料II)によるベタ印刷又は塗装を施し、シリコーンオイル含有インキの撥水性により前記剥離用シリコーンオイル含有インキ(IV)による印刷被膜表面上より印刷インキ又は塗料(II)を撥じかせ排除し、所定の乾燥処理を施す第2工程と、前記剥離用シリコーンオイル含有のインキによる印刷被膜表面上になお微細に残留する撥じき排除され残りの印刷インキ又は塗料残渣を、該剥離用シリコーンオイル含有のインキによる印刷被膜より剥離除去する第3工程を有するものである。
【0007】
また、本願発明の立体感のある色彩被覆の作成方法は、
4)被印刷体の非盛り上げ印刷部分にシリコーンオイル含有の色彩又は透明インキ(I)による印刷被膜を形成する第1A工程と、その後所定の色彩インキ又は塗料(II)によるベタ印刷又は塗装し、乃至盛り上げ部分に印刷し被膜を形成する第2A工程と、前記第2工程後所定の加熱処理を施し、シリコーンオイル含有色彩又は透明インキ(I)の印刷被膜表面上より、その撥水性により前記所定の色彩インキ又は塗料(II)を撥じかす第3工程と、該所定の色彩インキ又は塗料(II)を定着固定する第4A工程と、前記被膜を形成された全表面に更に剥離用インキ又は塗料(V)によるベタ印刷又は塗装による被膜を形成する第5A工程と、該剥離用インキ又は塗料(V)を所定の硬化後、該剥離用インキ又は塗料(V)のベタ印刷又は塗装の被膜を被印刷体より剥離する第6A工程を有するものである。
5)上述の1)、2)、4)において、前記シリコーンオイル含有の色彩又は透明インキ(I)は、通常の印刷インキに2〜50%のシリコーンオイルを混合したものであり、且つ、シリコーンオイル含有の色彩又は透明インキ(I)による印刷皮膜の厚さは、前記所定の色彩インキ又は塗料(II)による盛り上げ部分の印刷の被膜厚さに較べ薄い膜厚を有するものであり、
6)上述の1)〜5)において、所定の色彩インキ又は塗料(II)は、レベリング剤の含有量を通常の印刷インキ又は塗料中のレベリング剤の含有量の50%以下としたものであり、
7)上述の4)において、前記所定の色彩インキ又は塗料(II)をUV硬化性インキ又は塗料とし、また前記剥離用インキ又は塗料(V)を、UV硬化性以外のインキ又は塗料とし、該剥離用インキ又は塗料(V)の粘度が通常の印刷インキの粘度に対する粘度比Vが1.0〜1.5倍を有するものであり、また、剥離用インキ又は塗料(IV)によるベタ印刷又は塗装による被膜の厚さを、10〜100μmとしたものである。
【0008】
また、本願発明の立体感のある色彩印刷体は、
8)上述の1)〜7のいずれか1項に記載の立体感のある色彩被覆の作成方法により、表面を被覆された立体的色彩印刷体であり、
9)上述の1)〜7のいずれか1項に記載の立体感のある色彩被覆の作成方法により、表面を被覆された携帯電話機であり、
10)上述の1)〜7のいずれか1項に記載の立体感のある色彩被覆の作成方法により、表面を被覆されたパソコン外装ケースであり、
11)上述の1)〜7のいずれか1項に記載の立体感のある色彩被覆の作成方法により、表面を被覆された自動車用内装部品ある。
【発明の効果】
【0009】
本願発明の立体感のある色彩印刷被覆の作成方法により、市場の多様に亘る色彩化粧コートの要求に対し、安価により立体感のある美的な色彩印刷被覆、およびそれによる携帯電話機および色彩印刷体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の立体感のある色彩印刷被覆の作成方法は、主として、一般用の携帯電話機を対象としているため、その使用者が多岐にわたっており、従って表面の色彩模様も個人の好みにより色々である。即ち、外表面の色彩印刷の各種の立体感と色彩を兼ね備えた性状のものが必要であり、これら色々の性状に対処するための安価で、且つ美的な主として携帯電話機等用の色彩被覆を作成する方法である。
【0011】
[実施の形態1]
図1は、本実施の形態1の工程を説明する工程流れ図である。
図2は、本実施の形態1の各工程後における被印刷体の一部断面を模式的に示す断面説明図であり、(a)、(b)、(c)は、図1の各工程OP1A、OP2A、OP3A後に対応する断面説明図である。
図3は、シリコーンオイル含有インキ(以下、シリコーンインキ(I)という)による排除効率Exを試験した結果を示す図である。
すなわち、シリコーンインキ(I)におけるシリコーンオイルの含有量A(vol%)を変化させ、図3(a)は、次工程における色彩インキ又は塗料(II)(以下、色彩インキ(II)という)の粘度の、通常印刷インキ粘度に対する粘度比Kの関係をパラメータとしてシリコーンインキ(I)の被膜20上よりの排除効率Ex(ルーペによる目視測定)を試験した結果を示す。図3(b)はレベリング剤の標準にたいする割合と上記排除効率Exの関係を試験した結果を示す図である。
図4は、図1のOP2A工程後における一部断面を模式的に拡大して示す断面説明図である。
図において、10は被印刷体、20はシリコーンインキ(I)による被膜部、30は色彩インキ(II)による被膜部、31はシリコーンインキ(I)による被膜上で撥じき残された色彩インキ(II)の残渣、h1はシリコーンインキ(I)による被膜部の被膜厚さ、h2は色彩インキ(II)による盛り上印刷被膜部の被膜厚さである。
【0012】
また図において、OP1Aは、シリコーンインキ(I)による非盛り上げ印刷部への印刷工程、OP2Aは色彩インキ(II)によるベタ印刷又は盛り上がり部のみをパターン印刷し、乾燥処理を施す工程で、OP2A終了時には、基本的にシリコーンインキ(I)の被膜表面上から色彩インキ(II)は撥じかれ排除される。
しかしながら、OP2A終了後シリコーンインキ(I)の被膜表面上に撥じかれ排除されずに残渣として残存するものが有る。この残渣は、製品の美観を損ね、製品価値を低下させる。OP3Aはこの撥じかれ排除され残渣を取り除く工程である。
この撥じかれ排除され残渣除去はハンディングによるブラッシングなどの機械的に除去する方法や、粘着テープを利用して剥離除去する方法などが適用される。
なお、いずれの断面説明図においても、各部寸法は説明を容易にするため誇張されて作図されている。
【0013】
図1、図2のOP1A行程に先立ち、被印刷体10の少なくとも被印刷表面は予め印刷前処理により清浄化される。該前処理は通常実施されている方法による。
OP1Aにおいて、前記被印刷体10の清浄化された面に予めデザインされた盛り上げ印刷部30を除いた非盛り上げ印刷部20をシリコーンインキ(I)により印刷する。この場合に使用されるシリコーンインキ(I)は、シリコーンインキ(I)による撥水作用、効果を期待するものであって、OP2Aによるベタ印刷などによる色彩インキ(II)を前記非盛り上げ印刷部であるシリコーンインキ(I)による被膜部20の表面上から撥じき排除処理する作用効果を十分に有するものであることが必要である。
【0014】
図3(a)より明らかなように、シリコーンインキ(I)中のシリコーン含有量V(vol%が)K値にもよるが2%vol下では、シリコーンインキ(I)による被覆上からの色彩インキ(II)の排除効率Exが悪く、10%vol越えると撥水性による排除効率Exは安定して良好となる。
また、排除効率Exは、排除されるべき色彩インキ(II)の粘度比Kにより影響され、粘度比Kが0.8を超えると良好な排除効率Exを十分に期待することができない。また0.1以下では色彩的に十分でなくなる。
従って、色彩インキ(II)の粘度の通常印刷インキ粘度に対する粘度比Kは0.1〜0.8、好ましくは0.5〜0.8が望ましく、また、図3(b)より色彩インキ(II)中における表面張力と密接な関係を有するレベリング剤の含有量も、通常の印刷インキ又は塗料における標準のレベリング含有量に対して50%以下にすることで望ましい排除効率Exを得ることができる。
また、シリコンインキにおけるシリコーン含有量Vは、2〜50%volが好ましい。
また、シリコーンインキ(I)による被覆の被膜厚さh1は、シリコーンインキ(I)の作用効果を期待できる範囲であれば成るべく薄い方が好ましい。実用的には被膜厚さh1は1〜10μm程度、好ましくは1〜5μmが望ましい。
【0015】
OP2A工程において、まず色彩インキ(II)によりベタ印刷し、又は前記のOP1Aにより被覆されなかった盛り上げ印刷部に印刷し被膜を形成し、直ちに所定の乾燥処理を行う。乾燥処理は、温度50℃〜80℃、時間1〜20min.程度加熱又はUV照射する。
この加熱により、シリコーンインキ(I)表面に被覆された色彩インキ(II)は、シリコーンインキ(I)の被覆されていない色彩インキ(II)部に速やかに集約凝縮される。
このOP2A工程における色彩インキ(II)による盛り上げ印刷は、基本的にシリコーンインキ(I)における撥水性によってシリコーンインキ(I)上からは撥じき排除されやすく、且つ製品としての色彩および盛り上がりを十分満足されるものでなければならない。これら条件は相反する性質をも含み、色彩インキ(II)およびシリコーンインキ(I)における各条件は、多くの試験の結果、特定されたものである。
なお、前記色彩インキ(II)に対してUV硬化性色彩インキ又は塗料を使用する理由は、その定着固定処理を完全に施された被膜表面は、表面エネルギーが比較的小さく安定しており、それにインキ、塗料、接着テ−プ等が積層されても、それらとの密着性が比較的乏しく、その境界面にて剥離し易い性状を利用するものである。
【0016】
OP3Aの工程は、前述のごとくシリコーンインキ(I)上からは撥じき排除されずに残存する残渣を表面上から取り除く工程である。
この撥じかれ排除されずに残存する残渣の除去は、ハンディングによるブラッシングや、バッフィング、ポリッングなどによる色彩インキ(II)被覆面の美観を損なわない範囲内の軽度の機械的方法や、粘着テープや真空スポット吸引などを利用して剥離除去する方法などが適用される。
残渣除去により美的に勝れた立体感のある印刷体、特に携帯電話機の外装ケースを作成することができる。
なお、OP3A後表面に化粧コートによる被覆を行っても良い。
【0017】
[実施の形態2]
図5は、本実施の形態2の工程を説明する工程流れ図である。
図6は、本実施の形態2の各工程後における被印刷体の一部断面を模式的に示す断面説明図であり、(a)、(b)、(c)、(d)は、図5の各工程OP1B、OP2B、OP3B、OP4B後に対応する断面説明図である。
図において、21は剥離用シリコーンオイル含有インキ(III)(以下、剥離用シリコーンインキ(III)という)による積層被膜である。なお、実施の形態1における同一の部分については、同一の番号を付し説明を省略する。
【0018】
本実施の形態は、OP2Bにおいて、OP1Bにおいて被膜形成されたシリコーンインキ(I)の被膜20上に、更に剥離用シリコーンインキ(III)により積層し被膜21を形成するところに特徴がある。
シリコーンインキ(I)の被膜20の被印刷体10との接着力F1より、剥離用シリコーンインキ(III)による被膜21のシリコーンインキ(I)の被膜20との境界面における接着力F2が十分に小さく且つ剥離用シリコーンインキ(III)による被膜21は後工程における色彩インキ(II)をその表面から撥じき排除する機能を有していなければならない。
【0019】
図5、図6において、OP2Bは剥離用シリコーンインキ(III)による積層印刷工程であり、OP4B工程は剥離用シリコンインキ(III)による積層21を被印刷体10よりシリコーンインキ(I)の被膜20との境界面から剥離する工程である。
なお、本実施の形態2におけるOP2B工程、OP4B工程以外の工程は、実施の形態1に記載の工程に準じており詳細の説明を省略する。
【0020】
図5、図6に明かなように本実施の形態2は、実施の形態1に対して色彩インキ(II)のシリコーンインキ被膜20上に残存する残渣を撥じき排除するための予備手段のみを異にするものである。
すなわち、実施の形態1では、色彩インキ(II)のシリコーンインキ(I)被膜20上に残存する残渣に対し、シリコーンインキ(I)被膜20に積層され、境界面で剥離し易い剥離用シリコーンインキ(III)の被膜21上に残存させ、OP5Bにおいて、その残渣31を被膜21の被印刷体(実際はシリコーンインキ(I)被膜20との境界面)よりの剥離と同時に除去するものである。これにより実施の形態1における工数をセーブすることができる。
【0021】
すなわち、剥離用シリコーンインキ(III)の積層21は、下層のシリコーンインキ(I)の被膜20との剥離が容易であり、且つ残渣31を十分に包含維持するものであり、更にOP4B工程における剥離作業に十分耐え得る被膜強度を有していなければならない。
従って、剥離工程OP4Bにおける剥離用シリコーンインキ(III)による被膜21の性状は、適度の硬化処理により、その被膜強度と残渣との密着性、シリコーンインキ(I)の被膜20との剥離容易性のバランスの採れた性状を得るものとして選択されなければならない。
剥離用シリコーンインキ(III)の粘度は、シリコーンインキ(I)の粘度の0.5〜0.8倍程度が好ましい。また、剥離用シリコーンインキ(III)による被膜21の厚さは、20〜50μm程度であることが望ましい。
【0022】
なお、OP3Bの乾燥処理は、色彩インキ(II)の色彩インキ(II)現象は分子的に温度により大きく影響されるものであり、実施の形態1と同様に印刷又は塗装後直ちに温度50℃〜80℃、時間1〜20min.程度にて加熱、又はUV照射する。
この加熱により、剥離用シリコーンインキ(III)被膜21表面に被覆された色彩インキ(II)は、剥離用シリコーンインキ(III)が被覆されていない色彩インキ(II)部分に速やかに集約凝縮される。
しかしながら、実施の形態1の場合と同様に剥離用シリコーンインキ(III)被膜21表面に被覆された色彩インキ(II)の微量分は、上記の集約凝縮されずに残渣として残存する可能性がある。
【0023】
OP4B工程において、積層された剥離用シリコーンインキ(III)の被膜21を非印刷体より剥離(実質的にはシリコーンインキ(I)の被膜20との境界面から剥離)することにより容易に残渣を除去することができる。
上記のごとく残渣を除去することにより美的に勝れた立体感のある印刷体、特に携帯電話機の外装ケースを作成することができる。
なお、OP3A後表面に化粧コートによる被覆を行っても良い。
【0024】
[実施の形態3]
図7は、本実施の形態3の工程を説明する工程流れ図である。
図8は、本実施の形態3の各工程後における被印刷体の一部断面を模式的に示す断面説明図であり、(a)、(b)、(c)は、図5の各工程OP1C、OP2C、OP3C後に対応する断面説明図である。
図において201は被印刷体へ直接印刷された剥離用シリコーンインキ(IV)による被膜である。なお、実施の形態1における同一の部分については、同一の番号を付し説明を省略する。
【0025】
本実施の形態3は、実施の形態1にけるシリコーンインキ(I)の代わりに剥離用シリコーンインキ(IV)を使用する以外は同一の工程によっている。本実施の形態における剥離用シリコーンインキ(IV)は実施の形態2における剥離用シリコーンインキ(III)と基本的には同じであるが、シリコン含有量はシリコーンインキ(I)のシリコン含有量の約1〜2倍程度、厚さはシリコーンインキ(I)の場合の2〜5倍程度が望ましく、製品としての所定の色彩を有するものである。
また、色彩インキ(II)にUV硬化性インキ又は塗料を使用する場合は、インキ又は塗料にその密着性及び皮膜製を補うために添加されているアクリル樹脂やエポキシ樹脂等の添加量は、剥離用シリコーンインキ(IV)と剥離用シリコーンインキ(III)とでは同一程度でよいが、一方、色彩インキ(II)にUV硬化性以外の加温インキを使用する場合は、剥離用シリコーンインキ(III)におけるその添加量をシリコーンインキ(I)、剥離用シリコーンインキ(IV)の場合に比べて少なくすることにより、剥離がより容易となる。本実施の形態3は、実施の形態1における工程に準じており詳細は省略する。
【0026】
[実施の形態4]
図9は、本実施の形態4の工程を説明する工程流れ図である。
図10は、本実施の形態4の各工程後における被印刷体の一部断面を模式的に示す断面説明図であり、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)は、図9の各工程OP1D、OP2D、OP3D、OP5D、OP6D後に対応する断面説明図である。
図において、OP1Dはシリコーンインキ(I)による被盛り上げ部への印刷および乾燥工程、OP2Dは色彩インキ(II)による被膜作成工程、OP3Dはシリコーンインキ(I)による被膜上から効率よく色彩インキ(II)を撥じき排除する加熱処理工程、OP4Dは色彩インキ(II)を定着固定する加熱処理工程、OP5Dは被覆前面に更に剥離用インキ又は塗料(V)によりベタ印刷又は塗装し被膜を作成する工程、OP6Dは剥離用インキ又は塗料(V)によりベタ印刷又は塗装し被膜を被印刷体より剥離する工程、OP50Dは剥離用インキ又は塗料(V)の硬化処理工程を示し、また、40はOP5Dにより作成された被膜を示す。
【0027】
OP5D及びOP6D工程の内容を除き、他工程は基本的には実施の形態1〜3における各対応の工程に準じており、なお本実施の形態4におけるOP3D工程およびOP4D工程は、OP2A、OP3Bの乾燥処理工程における加熱処理を分割したものであり、撥じき排除に効率的な熱処理と定着固定に適した熱処理条件を特定するものでり、同一処理によっても、また連続しておこなっても良い。
OP3Dによる加熱処理は、温度50〜80℃、時間1〜20min.程度の比較的短時間軽条件にて行い、OP4Dによる加熱処理は、通常の定着固定のための加熱処理条件に準じる。
【0028】
OP5Dは、OP3Dはシリコーンインキ(I)による被膜上から効率よく色彩インキ(II)を撥じき排除する加熱処理工程において、なお、撥じき排除され図に残存する残渣を効率良く排除するための手段である。
OP5Dは、剥離用インキ又は塗料(V)により少なくとも前記シリコーンインキ(I)による被膜部20を含む広範な被覆部分を、主としてベタ印刷等により被膜40を作成する工程である。
剥離用インキ又は塗料(V)による作用効果は、前記シリコーンインキ(I)上から色彩インキ又は塗料(II)が撥じかれ排除されずにシリコーンインキ(I)被膜20上に残存した残渣31を、該剥離用インキ又は塗料(V)による被膜下面に包み込み、その包み込み力Fによりシリコーンインキ(I)被膜上より剥離取るものであり、残渣31を包み込む包み込み力Fによる密着性が、残渣31のシリコーンインキ(I)被膜20との接着力を十分に上回るものでなければならない。
【0029】
すなわち、剥離用インキ又は塗料(V)による被膜40は、この剥離作業に十分耐える得る被膜強度を有していなければならない。
従って、剥離工程OP6Dにおける剥離用インキ又は塗料(V)による被膜40の性状は、適度の硬化処理により、その被膜強度と密着性のバランスの採れた性状を得るものとして選択されなければならない。
剥離用インキ又は塗料(V)は、通常の印刷インキの粘度に対する粘度比Vが1.0〜1.5倍を有するものとして選択され、OP50Dにおける硬化処理は、温度温度50℃〜100℃、時間20〜30min.程度の加熱条件が好ましい。100℃以上では被膜40の脆性が増し、剥離処理が思わしくない。また50℃以下では被膜40の密着性が思わしくない。
【0030】
また、被膜40の厚さは、残渣40のサイズが約10〜20μmであり、この残渣31を十分に包み込む厚さを有していることが必要である。
剥離用インキ又は塗料(V)による被膜40の厚さは、残渣31のサイズの約2〜3倍程度がが好ましく、50〜100μm程度であることが望ましい。50μm以下では剥離作業のための被膜強度が十分でなく、また100μm以上では密着性効果がサチュレートしており、コストアップの点で好ましくない。
上記のごとく残渣を除去することにより美的に勝れた立体感のある印刷体、特に携帯電話機の外装ケースを作成することができる。
なお、OP6D工程後表面に化粧コートによる被覆を行っても良い。
【実施例1】
【0031】
(請求項1に対応)
被印刷体 携帯電話機外装ケース(0.2mm鋼板製)
色彩印刷 凹凸皮革模様
シリコーンインキ(I)被膜 シリコーンオイル含有量 10%vol
被膜厚さ(h1) 約3μm
色彩インキ(II)被膜 スクリーン印刷インキ
斑皮革色彩
粘度 150PaS(25℃)
厚さ(h2) 150μm
【0032】
携帯電話機外装ケース(0.2mm鋼板製)の表面を標準的な酸洗いによる清浄化処理をおこなった後、上記シリコーンインキ(I)により巾約2mmの不定形線状模様のパッド印刷を行い、自然乾燥後色彩UVインキ(II)によるベタ印刷を行った。
これを、温度80℃、時間10minにて加熱処理を行った結果、大部分のシリコーンインキ(I)被膜上の色彩インキ(II)は撥じき排除されたが、シリコーンインキ(I)被膜上にサイズ約10〜20μm程度の多数の残渣が認められた。
さらに標準的なUV照射による定着固定処理を行った結果、残渣分布は殆ど変化が無く硬化した。
この撥じかれ残された残渣を、ハンディングによるブラッシング、及び粘着テープにより剥離作業を行った。
【0033】
剥離作業に時間をかけることにより、概ねの残渣は除去され、一応製品としての美観をえることが出来た。皮革色彩を有する化粧コートを被覆した結果、図11に示される本実施例による皮革色彩模様の携帯電話機外装ケースが得られ、これは商品として十分なものであると認められた。
【実施例2】
【0034】
(請求項2に対応)
被印刷体 携帯電話機外装ケース(1.0mmポリカーボネート/ABS樹脂製)
色彩印刷 対角60゜/120゜菱形模様(線間距離8mm、線幅0.5mm)
色彩ピンク全面印刷
色彩シリコーンインキ(I)被膜 シリコーンオイル含有量 10%vol
被膜厚さ(h1)約2μm 色彩ピンク色
剥離用シリコーンインキ(III)被膜 シリコーンオイル含有量 20%vol
被膜厚さ(h4)約5μm 無色
色彩インキ(II)被膜 色彩ピンク色塗料
粘度 200PaS(25℃)
厚さ(h2)200μm
乾燥処理(OP3B) 温度×時間 80℃×10min
【0035】
携帯電話機外装ケース(1.0mmポリカーボネート/ABS樹脂製)の表面を標準的な洗浄を行い清浄化処理をおこなった後、上記ピンク色色彩シリコーンインキ(I)により線間距離8mm、線幅0.5mmの対角60゜/120゜菱形模様の線状のパッド印刷を行い、UN乾燥後更にこれに重ねて同部に剥離用シリコンインキ(III)による被膜を積層し、UV乾燥をした。
更に全面に色彩ピンク色塗料による塗装を行い、UV乾燥を施した。
これを、温度50℃、時間15minにて加熱処理、UV乾燥を行った。剥離用シリコーンインキ(III)による被膜上の色彩インキ(II)の大部分のものは撥じき排除された。
しかし、剥離用シリコーンインキ(III)の被膜上にサイズ約10〜20μm程度の残渣が散在するのが認められた。さらに標準的な定着固定処理を行った結果、残渣分布は殆ど変化が無く硬化した。
定着固定処理後に前記剥離用シリコーンインキ(III)の被膜を徐々に剥離した。この結果残渣は完全に削除されていることが確認された。
これに追加の光沢化粧コートを被覆した結果、図12に示される本実施例によるピンク菱形模様の携帯電話機外装ケースを得ることができ、これは商品として十分なものであると認められた。
【実施例3】
【0036】
(請求項4に対応)
被印刷体 携帯電話機外装ケース(1.0mmポリカーボネート/ABS樹脂製)
色彩印刷 凹凸皮革模様
シリコーンインキ(I)被膜 シリコーンオイル含有量 10%vol
被膜厚さ(h1) 約2μm
色彩インキ(II)被膜 UV硬化性塗料
斑皮革色彩
粘度 150PaS(25℃)
厚さ(h2) 50μm
剥離用インキ(V)被膜 塗料
粘度h3 200PaS(25℃)
厚さ(h3) 100μm
加熱処理(OP3D) 温度×時間 80℃×10min
定着硬化処理(OP4D) 標準UV照射
硬化処理(OP50D) 温度×時間 50℃×10min
【0037】
携帯電話機外装ケース(1.0mmポリカーボネート/ABS樹脂製)の表面を標準的な洗浄による清浄化処理をおこなった後、上記シリコーンインキ(I)により巾約2mmの不定形線状模様のパッド印刷を行い、UV照射後色彩UV塗料(II)による塗装を行った。
これを、温度80℃、時間10minにて加熱処理を行った結果、大部分のシリコーンインキ(I)被膜上の色彩UV塗料(II)は撥じき排除されたが、シリコーンインキ(I)被膜の特に境界表面部付近にサイズ約10〜20μm程度の多数の残渣が認められた。
さらに標準的なUV照射による定着固定処理を行った結果、残渣分布は殆ど変化が無く硬化した。
これに粘度の比較的高い塗料を剥離用塗料(V)として用いて塗装して被膜を形成し、準硬化処理後にこれを徐々に剥離した。
【0038】
剥離後のシリコーンインキ(I)被膜の表面には、目視においては残渣は殆ど認められなかった。これにより色彩インキ(II)にUV硬化性塗料を使用し標準的なUV照射により加熱処理されたた表面は、剥離用塗料(V)との親和力が少なく、剥離用塗料(V)の被膜の剥離は容易に行われることが確認された。また剥離用塗料(V)の下面には残渣を十分包含し、その包含力はシリコーンインキ(I)被膜の表面からの残渣の剥離力を十分にカバーするものであることが確認された。
これに追加の皮革色彩を有する化粧コートを被覆した結果、図11に示される本実施例による皮革色彩模様の携帯電話機外装ケースが得られ、これは商品として十分なものであると認められた。
【産業上の利用可能性】
【0039】
上述における実施例においては、被印刷体1は携帯用電話機の外装ケースを対象として述べられているが、本発明の手段はテレビ、ラジオ、その他一般的な立体感のある色彩被覆を要求される色彩印刷体に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本実施の形態1の工程を説明する工程流れ図。
【図2】本実施の形態1の各工程後における被印刷体の一部断面を模式的に示す断面説明図。
【図3】シリコーンインキ(I)による排除効率Exを試験した結果を示す図。
【図4】図1のOP2A工程後における一部断面を模式的に拡大して示す断面説明図。
【図5】本実施の形態2の工程を説明する工程流れ図。
【図6】本実施の形態2の各工程後における被印刷体の一部断面を模式的に示す断面説明図。
【図7】本発明の実施の形態3の工程を説明する工程流れ図。
【図8】本実施の形態3の各工程後における被印刷体の一部断面を模式的に示す断面説明図。
【図9】本発明の実施の形態4の工程を説明する工程流れ図。
【図10】本実施の形態4の各工程後における被印刷体の一部断面を模式的に示す断面説明図。
【図11】本実施例1による皮革色彩模様の携帯電話機外装ケース表面を示す図。
【図12】本実施例2によるピンク菱形模様の携帯電話機外装ケース表面を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
10 被印刷体、20 色彩又は透明シリコーンインキ(I)による被膜、30 色彩インキ又は塗料(II)による印刷被膜、31 シリコーンインキ(I)による被膜上で撥じき残された色彩インキ又は塗料(II)の残渣、40 剥離用インキ又は塗料(V)のベタ印刷又は塗装による被膜、201 剥離用シリコーンオイル含有のインキ(III)による被膜、h1 シリコーンインキ(I)による被膜部の被膜厚さ、h2 色彩インキ又は塗料(II)による盛り上げ印刷被膜部の被膜厚さ、h3 剥離用シリコーンインキ(IV)の被膜厚さ、h4 剥離用インキ又は塗料(V)の被膜厚さ。
【技術分野】
【0001】
本願発明は、主として携帯電話機等に適用される立体感のある色彩被覆、又は曲面を有する被印刷体への立体感のある色彩被覆の作成方法およびそれにより被覆された携帯電話機又は立体的色彩印刷体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年携帯電話機の普及とともに、携帯電話機の外装は顧客の多様化に伴い種々の多彩な印刷による外装が要求されてきており、アンテナ機能を内蔵させ、且つ携帯電話機の外装としての多彩な美的外観を保つ製品が強く望まれてきている。
【0003】
また、近年の傾向として印刷皮膜そのものに凹凸を付し印刷画面に立体感を与える色彩印刷が求められるようになり、被印刷体が平面体への印刷から、携帯電話機、アクセサリー等の曲面を含む立体的な被印刷体へと拡大されてきている。またこれに伴い印刷方法も従来と異なるいろいろな方法による開発が進んでいる。(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】特開平2−239972号公報
【0004】
被印刷体が平面体であればスクリーン印刷法により重ね塗りすることによって、或程度印刷面を盛り上げ立体感を付与することは容易である。しかしながら、曲面を含む立体的な被印刷体では、色彩印刷面を盛り上げ立体感を付与することはかなり難しく、コスト的にも高価なものとなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、市場要求として、携帯電話機の外装としての多彩な美的外観を保つ製品が求められており、この市場要求に対し本出願人の先行出願になる特願特開2007−307877号(以下、先行技術という)により、より美的な多彩外装コート被覆を得るため方法を提供し、また、他方の市場要求として、曲面を含む広範な被印刷体に立体感のある盛り上がりのある色彩印刷被覆を実用化している。
しかしながら、該先行技術の実施に伴い改善すべき技術が必要であることが発見され、本発明はそのための改良技術を包含する、曲面を含む広範な被印刷体に立体感のある盛り上がりのある美的な色彩印刷被覆を安価に提供することを目的としている。
すなわち、先行技術におけるOP3A非盛り上がり上部より撥水除去処理において、除去されるべきOP2A印刷工程における色彩インキ又は塗料が、若干OP1A工程のシリコーンオイル含有インキによる印刷表面に撥じき残りとして残余する可能性が多々あり、これは外見の見場が悪いばかりでなく、集積回路への悪さをもたらす可能性もある。従って、この残余分の残渣を除去する必要がある。
本発明は、基本的な工程を変更することなく、この残余分の除去を効率よく、且つ安価に処理することを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の立体感のある色彩被覆の作成方法は、
1)被印刷体の非盛り上げ部分にシリコーンオイル含有の色彩又は透明インキ(I)による印刷被膜を形成し、所定の乾燥処理を施す第1工程と、その後所定の色彩インキ又は塗料(II)によるベタ印刷又は塗装を施し、シリコーンオイル含有インキの撥水性によりシリコーンオイル含有の色彩又は透明インキによる印刷被膜表面上のベタ印刷のインキ又は塗料(II)を撥じかせ排除し、所定の乾燥処理を施す第2工程と、前記シリコーンオイル含有の色彩又は透明インキによる印刷被膜表面上に、なお微細に残留する撥じき排除され残りの印刷インキ又は塗料残渣を除去する第3工程を有するものである。2)被印刷体の非盛り上げ部分にシリコーンオイル含有の色彩又は透明インキ(I)による印刷被膜を形成し、所定の乾燥処理を施す第1工程と、前記被印刷体の非盛り上げ部分に、更に剥離用シリコーンオイル含有のインキ(III)による被膜を積層し乾燥処理を施す第2工程と、その後所定の色彩インキ又は塗料(II)によるベタ印刷又は塗装を施し、シリコーンオイル含有インキの撥水性により剥離用シリコーンオイル含有のインキ(III)による印刷被膜表面上からベタ印刷の色彩インキ又は塗料(II)を撥じかせ排除し、所定の乾燥処理を施す第3工程と、前記剥離用シリコーンオイル含有のインキ(III)による印刷被膜表面上に、なお微細に残留する撥じき排除され残りの印刷インキ又は塗料(II)の残渣を、該剥離用シリコーンオイル含有のインキ(III)による印刷被膜を被印刷体より剥離することにより除去する第4工程を有するものである。
3)また、被印刷体の非盛り上げ部分に剥離用シリコーンオイル含有インキ(IV)による印刷被膜を形成し、所定の乾燥処理を施す第1工程と、その後所定の色彩インキ又は塗料II)によるベタ印刷又は塗装を施し、シリコーンオイル含有インキの撥水性により前記剥離用シリコーンオイル含有インキ(IV)による印刷被膜表面上より印刷インキ又は塗料(II)を撥じかせ排除し、所定の乾燥処理を施す第2工程と、前記剥離用シリコーンオイル含有のインキによる印刷被膜表面上になお微細に残留する撥じき排除され残りの印刷インキ又は塗料残渣を、該剥離用シリコーンオイル含有のインキによる印刷被膜より剥離除去する第3工程を有するものである。
【0007】
また、本願発明の立体感のある色彩被覆の作成方法は、
4)被印刷体の非盛り上げ印刷部分にシリコーンオイル含有の色彩又は透明インキ(I)による印刷被膜を形成する第1A工程と、その後所定の色彩インキ又は塗料(II)によるベタ印刷又は塗装し、乃至盛り上げ部分に印刷し被膜を形成する第2A工程と、前記第2工程後所定の加熱処理を施し、シリコーンオイル含有色彩又は透明インキ(I)の印刷被膜表面上より、その撥水性により前記所定の色彩インキ又は塗料(II)を撥じかす第3工程と、該所定の色彩インキ又は塗料(II)を定着固定する第4A工程と、前記被膜を形成された全表面に更に剥離用インキ又は塗料(V)によるベタ印刷又は塗装による被膜を形成する第5A工程と、該剥離用インキ又は塗料(V)を所定の硬化後、該剥離用インキ又は塗料(V)のベタ印刷又は塗装の被膜を被印刷体より剥離する第6A工程を有するものである。
5)上述の1)、2)、4)において、前記シリコーンオイル含有の色彩又は透明インキ(I)は、通常の印刷インキに2〜50%のシリコーンオイルを混合したものであり、且つ、シリコーンオイル含有の色彩又は透明インキ(I)による印刷皮膜の厚さは、前記所定の色彩インキ又は塗料(II)による盛り上げ部分の印刷の被膜厚さに較べ薄い膜厚を有するものであり、
6)上述の1)〜5)において、所定の色彩インキ又は塗料(II)は、レベリング剤の含有量を通常の印刷インキ又は塗料中のレベリング剤の含有量の50%以下としたものであり、
7)上述の4)において、前記所定の色彩インキ又は塗料(II)をUV硬化性インキ又は塗料とし、また前記剥離用インキ又は塗料(V)を、UV硬化性以外のインキ又は塗料とし、該剥離用インキ又は塗料(V)の粘度が通常の印刷インキの粘度に対する粘度比Vが1.0〜1.5倍を有するものであり、また、剥離用インキ又は塗料(IV)によるベタ印刷又は塗装による被膜の厚さを、10〜100μmとしたものである。
【0008】
また、本願発明の立体感のある色彩印刷体は、
8)上述の1)〜7のいずれか1項に記載の立体感のある色彩被覆の作成方法により、表面を被覆された立体的色彩印刷体であり、
9)上述の1)〜7のいずれか1項に記載の立体感のある色彩被覆の作成方法により、表面を被覆された携帯電話機であり、
10)上述の1)〜7のいずれか1項に記載の立体感のある色彩被覆の作成方法により、表面を被覆されたパソコン外装ケースであり、
11)上述の1)〜7のいずれか1項に記載の立体感のある色彩被覆の作成方法により、表面を被覆された自動車用内装部品ある。
【発明の効果】
【0009】
本願発明の立体感のある色彩印刷被覆の作成方法により、市場の多様に亘る色彩化粧コートの要求に対し、安価により立体感のある美的な色彩印刷被覆、およびそれによる携帯電話機および色彩印刷体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の立体感のある色彩印刷被覆の作成方法は、主として、一般用の携帯電話機を対象としているため、その使用者が多岐にわたっており、従って表面の色彩模様も個人の好みにより色々である。即ち、外表面の色彩印刷の各種の立体感と色彩を兼ね備えた性状のものが必要であり、これら色々の性状に対処するための安価で、且つ美的な主として携帯電話機等用の色彩被覆を作成する方法である。
【0011】
[実施の形態1]
図1は、本実施の形態1の工程を説明する工程流れ図である。
図2は、本実施の形態1の各工程後における被印刷体の一部断面を模式的に示す断面説明図であり、(a)、(b)、(c)は、図1の各工程OP1A、OP2A、OP3A後に対応する断面説明図である。
図3は、シリコーンオイル含有インキ(以下、シリコーンインキ(I)という)による排除効率Exを試験した結果を示す図である。
すなわち、シリコーンインキ(I)におけるシリコーンオイルの含有量A(vol%)を変化させ、図3(a)は、次工程における色彩インキ又は塗料(II)(以下、色彩インキ(II)という)の粘度の、通常印刷インキ粘度に対する粘度比Kの関係をパラメータとしてシリコーンインキ(I)の被膜20上よりの排除効率Ex(ルーペによる目視測定)を試験した結果を示す。図3(b)はレベリング剤の標準にたいする割合と上記排除効率Exの関係を試験した結果を示す図である。
図4は、図1のOP2A工程後における一部断面を模式的に拡大して示す断面説明図である。
図において、10は被印刷体、20はシリコーンインキ(I)による被膜部、30は色彩インキ(II)による被膜部、31はシリコーンインキ(I)による被膜上で撥じき残された色彩インキ(II)の残渣、h1はシリコーンインキ(I)による被膜部の被膜厚さ、h2は色彩インキ(II)による盛り上印刷被膜部の被膜厚さである。
【0012】
また図において、OP1Aは、シリコーンインキ(I)による非盛り上げ印刷部への印刷工程、OP2Aは色彩インキ(II)によるベタ印刷又は盛り上がり部のみをパターン印刷し、乾燥処理を施す工程で、OP2A終了時には、基本的にシリコーンインキ(I)の被膜表面上から色彩インキ(II)は撥じかれ排除される。
しかしながら、OP2A終了後シリコーンインキ(I)の被膜表面上に撥じかれ排除されずに残渣として残存するものが有る。この残渣は、製品の美観を損ね、製品価値を低下させる。OP3Aはこの撥じかれ排除され残渣を取り除く工程である。
この撥じかれ排除され残渣除去はハンディングによるブラッシングなどの機械的に除去する方法や、粘着テープを利用して剥離除去する方法などが適用される。
なお、いずれの断面説明図においても、各部寸法は説明を容易にするため誇張されて作図されている。
【0013】
図1、図2のOP1A行程に先立ち、被印刷体10の少なくとも被印刷表面は予め印刷前処理により清浄化される。該前処理は通常実施されている方法による。
OP1Aにおいて、前記被印刷体10の清浄化された面に予めデザインされた盛り上げ印刷部30を除いた非盛り上げ印刷部20をシリコーンインキ(I)により印刷する。この場合に使用されるシリコーンインキ(I)は、シリコーンインキ(I)による撥水作用、効果を期待するものであって、OP2Aによるベタ印刷などによる色彩インキ(II)を前記非盛り上げ印刷部であるシリコーンインキ(I)による被膜部20の表面上から撥じき排除処理する作用効果を十分に有するものであることが必要である。
【0014】
図3(a)より明らかなように、シリコーンインキ(I)中のシリコーン含有量V(vol%が)K値にもよるが2%vol下では、シリコーンインキ(I)による被覆上からの色彩インキ(II)の排除効率Exが悪く、10%vol越えると撥水性による排除効率Exは安定して良好となる。
また、排除効率Exは、排除されるべき色彩インキ(II)の粘度比Kにより影響され、粘度比Kが0.8を超えると良好な排除効率Exを十分に期待することができない。また0.1以下では色彩的に十分でなくなる。
従って、色彩インキ(II)の粘度の通常印刷インキ粘度に対する粘度比Kは0.1〜0.8、好ましくは0.5〜0.8が望ましく、また、図3(b)より色彩インキ(II)中における表面張力と密接な関係を有するレベリング剤の含有量も、通常の印刷インキ又は塗料における標準のレベリング含有量に対して50%以下にすることで望ましい排除効率Exを得ることができる。
また、シリコンインキにおけるシリコーン含有量Vは、2〜50%volが好ましい。
また、シリコーンインキ(I)による被覆の被膜厚さh1は、シリコーンインキ(I)の作用効果を期待できる範囲であれば成るべく薄い方が好ましい。実用的には被膜厚さh1は1〜10μm程度、好ましくは1〜5μmが望ましい。
【0015】
OP2A工程において、まず色彩インキ(II)によりベタ印刷し、又は前記のOP1Aにより被覆されなかった盛り上げ印刷部に印刷し被膜を形成し、直ちに所定の乾燥処理を行う。乾燥処理は、温度50℃〜80℃、時間1〜20min.程度加熱又はUV照射する。
この加熱により、シリコーンインキ(I)表面に被覆された色彩インキ(II)は、シリコーンインキ(I)の被覆されていない色彩インキ(II)部に速やかに集約凝縮される。
このOP2A工程における色彩インキ(II)による盛り上げ印刷は、基本的にシリコーンインキ(I)における撥水性によってシリコーンインキ(I)上からは撥じき排除されやすく、且つ製品としての色彩および盛り上がりを十分満足されるものでなければならない。これら条件は相反する性質をも含み、色彩インキ(II)およびシリコーンインキ(I)における各条件は、多くの試験の結果、特定されたものである。
なお、前記色彩インキ(II)に対してUV硬化性色彩インキ又は塗料を使用する理由は、その定着固定処理を完全に施された被膜表面は、表面エネルギーが比較的小さく安定しており、それにインキ、塗料、接着テ−プ等が積層されても、それらとの密着性が比較的乏しく、その境界面にて剥離し易い性状を利用するものである。
【0016】
OP3Aの工程は、前述のごとくシリコーンインキ(I)上からは撥じき排除されずに残存する残渣を表面上から取り除く工程である。
この撥じかれ排除されずに残存する残渣の除去は、ハンディングによるブラッシングや、バッフィング、ポリッングなどによる色彩インキ(II)被覆面の美観を損なわない範囲内の軽度の機械的方法や、粘着テープや真空スポット吸引などを利用して剥離除去する方法などが適用される。
残渣除去により美的に勝れた立体感のある印刷体、特に携帯電話機の外装ケースを作成することができる。
なお、OP3A後表面に化粧コートによる被覆を行っても良い。
【0017】
[実施の形態2]
図5は、本実施の形態2の工程を説明する工程流れ図である。
図6は、本実施の形態2の各工程後における被印刷体の一部断面を模式的に示す断面説明図であり、(a)、(b)、(c)、(d)は、図5の各工程OP1B、OP2B、OP3B、OP4B後に対応する断面説明図である。
図において、21は剥離用シリコーンオイル含有インキ(III)(以下、剥離用シリコーンインキ(III)という)による積層被膜である。なお、実施の形態1における同一の部分については、同一の番号を付し説明を省略する。
【0018】
本実施の形態は、OP2Bにおいて、OP1Bにおいて被膜形成されたシリコーンインキ(I)の被膜20上に、更に剥離用シリコーンインキ(III)により積層し被膜21を形成するところに特徴がある。
シリコーンインキ(I)の被膜20の被印刷体10との接着力F1より、剥離用シリコーンインキ(III)による被膜21のシリコーンインキ(I)の被膜20との境界面における接着力F2が十分に小さく且つ剥離用シリコーンインキ(III)による被膜21は後工程における色彩インキ(II)をその表面から撥じき排除する機能を有していなければならない。
【0019】
図5、図6において、OP2Bは剥離用シリコーンインキ(III)による積層印刷工程であり、OP4B工程は剥離用シリコンインキ(III)による積層21を被印刷体10よりシリコーンインキ(I)の被膜20との境界面から剥離する工程である。
なお、本実施の形態2におけるOP2B工程、OP4B工程以外の工程は、実施の形態1に記載の工程に準じており詳細の説明を省略する。
【0020】
図5、図6に明かなように本実施の形態2は、実施の形態1に対して色彩インキ(II)のシリコーンインキ被膜20上に残存する残渣を撥じき排除するための予備手段のみを異にするものである。
すなわち、実施の形態1では、色彩インキ(II)のシリコーンインキ(I)被膜20上に残存する残渣に対し、シリコーンインキ(I)被膜20に積層され、境界面で剥離し易い剥離用シリコーンインキ(III)の被膜21上に残存させ、OP5Bにおいて、その残渣31を被膜21の被印刷体(実際はシリコーンインキ(I)被膜20との境界面)よりの剥離と同時に除去するものである。これにより実施の形態1における工数をセーブすることができる。
【0021】
すなわち、剥離用シリコーンインキ(III)の積層21は、下層のシリコーンインキ(I)の被膜20との剥離が容易であり、且つ残渣31を十分に包含維持するものであり、更にOP4B工程における剥離作業に十分耐え得る被膜強度を有していなければならない。
従って、剥離工程OP4Bにおける剥離用シリコーンインキ(III)による被膜21の性状は、適度の硬化処理により、その被膜強度と残渣との密着性、シリコーンインキ(I)の被膜20との剥離容易性のバランスの採れた性状を得るものとして選択されなければならない。
剥離用シリコーンインキ(III)の粘度は、シリコーンインキ(I)の粘度の0.5〜0.8倍程度が好ましい。また、剥離用シリコーンインキ(III)による被膜21の厚さは、20〜50μm程度であることが望ましい。
【0022】
なお、OP3Bの乾燥処理は、色彩インキ(II)の色彩インキ(II)現象は分子的に温度により大きく影響されるものであり、実施の形態1と同様に印刷又は塗装後直ちに温度50℃〜80℃、時間1〜20min.程度にて加熱、又はUV照射する。
この加熱により、剥離用シリコーンインキ(III)被膜21表面に被覆された色彩インキ(II)は、剥離用シリコーンインキ(III)が被覆されていない色彩インキ(II)部分に速やかに集約凝縮される。
しかしながら、実施の形態1の場合と同様に剥離用シリコーンインキ(III)被膜21表面に被覆された色彩インキ(II)の微量分は、上記の集約凝縮されずに残渣として残存する可能性がある。
【0023】
OP4B工程において、積層された剥離用シリコーンインキ(III)の被膜21を非印刷体より剥離(実質的にはシリコーンインキ(I)の被膜20との境界面から剥離)することにより容易に残渣を除去することができる。
上記のごとく残渣を除去することにより美的に勝れた立体感のある印刷体、特に携帯電話機の外装ケースを作成することができる。
なお、OP3A後表面に化粧コートによる被覆を行っても良い。
【0024】
[実施の形態3]
図7は、本実施の形態3の工程を説明する工程流れ図である。
図8は、本実施の形態3の各工程後における被印刷体の一部断面を模式的に示す断面説明図であり、(a)、(b)、(c)は、図5の各工程OP1C、OP2C、OP3C後に対応する断面説明図である。
図において201は被印刷体へ直接印刷された剥離用シリコーンインキ(IV)による被膜である。なお、実施の形態1における同一の部分については、同一の番号を付し説明を省略する。
【0025】
本実施の形態3は、実施の形態1にけるシリコーンインキ(I)の代わりに剥離用シリコーンインキ(IV)を使用する以外は同一の工程によっている。本実施の形態における剥離用シリコーンインキ(IV)は実施の形態2における剥離用シリコーンインキ(III)と基本的には同じであるが、シリコン含有量はシリコーンインキ(I)のシリコン含有量の約1〜2倍程度、厚さはシリコーンインキ(I)の場合の2〜5倍程度が望ましく、製品としての所定の色彩を有するものである。
また、色彩インキ(II)にUV硬化性インキ又は塗料を使用する場合は、インキ又は塗料にその密着性及び皮膜製を補うために添加されているアクリル樹脂やエポキシ樹脂等の添加量は、剥離用シリコーンインキ(IV)と剥離用シリコーンインキ(III)とでは同一程度でよいが、一方、色彩インキ(II)にUV硬化性以外の加温インキを使用する場合は、剥離用シリコーンインキ(III)におけるその添加量をシリコーンインキ(I)、剥離用シリコーンインキ(IV)の場合に比べて少なくすることにより、剥離がより容易となる。本実施の形態3は、実施の形態1における工程に準じており詳細は省略する。
【0026】
[実施の形態4]
図9は、本実施の形態4の工程を説明する工程流れ図である。
図10は、本実施の形態4の各工程後における被印刷体の一部断面を模式的に示す断面説明図であり、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)は、図9の各工程OP1D、OP2D、OP3D、OP5D、OP6D後に対応する断面説明図である。
図において、OP1Dはシリコーンインキ(I)による被盛り上げ部への印刷および乾燥工程、OP2Dは色彩インキ(II)による被膜作成工程、OP3Dはシリコーンインキ(I)による被膜上から効率よく色彩インキ(II)を撥じき排除する加熱処理工程、OP4Dは色彩インキ(II)を定着固定する加熱処理工程、OP5Dは被覆前面に更に剥離用インキ又は塗料(V)によりベタ印刷又は塗装し被膜を作成する工程、OP6Dは剥離用インキ又は塗料(V)によりベタ印刷又は塗装し被膜を被印刷体より剥離する工程、OP50Dは剥離用インキ又は塗料(V)の硬化処理工程を示し、また、40はOP5Dにより作成された被膜を示す。
【0027】
OP5D及びOP6D工程の内容を除き、他工程は基本的には実施の形態1〜3における各対応の工程に準じており、なお本実施の形態4におけるOP3D工程およびOP4D工程は、OP2A、OP3Bの乾燥処理工程における加熱処理を分割したものであり、撥じき排除に効率的な熱処理と定着固定に適した熱処理条件を特定するものでり、同一処理によっても、また連続しておこなっても良い。
OP3Dによる加熱処理は、温度50〜80℃、時間1〜20min.程度の比較的短時間軽条件にて行い、OP4Dによる加熱処理は、通常の定着固定のための加熱処理条件に準じる。
【0028】
OP5Dは、OP3Dはシリコーンインキ(I)による被膜上から効率よく色彩インキ(II)を撥じき排除する加熱処理工程において、なお、撥じき排除され図に残存する残渣を効率良く排除するための手段である。
OP5Dは、剥離用インキ又は塗料(V)により少なくとも前記シリコーンインキ(I)による被膜部20を含む広範な被覆部分を、主としてベタ印刷等により被膜40を作成する工程である。
剥離用インキ又は塗料(V)による作用効果は、前記シリコーンインキ(I)上から色彩インキ又は塗料(II)が撥じかれ排除されずにシリコーンインキ(I)被膜20上に残存した残渣31を、該剥離用インキ又は塗料(V)による被膜下面に包み込み、その包み込み力Fによりシリコーンインキ(I)被膜上より剥離取るものであり、残渣31を包み込む包み込み力Fによる密着性が、残渣31のシリコーンインキ(I)被膜20との接着力を十分に上回るものでなければならない。
【0029】
すなわち、剥離用インキ又は塗料(V)による被膜40は、この剥離作業に十分耐える得る被膜強度を有していなければならない。
従って、剥離工程OP6Dにおける剥離用インキ又は塗料(V)による被膜40の性状は、適度の硬化処理により、その被膜強度と密着性のバランスの採れた性状を得るものとして選択されなければならない。
剥離用インキ又は塗料(V)は、通常の印刷インキの粘度に対する粘度比Vが1.0〜1.5倍を有するものとして選択され、OP50Dにおける硬化処理は、温度温度50℃〜100℃、時間20〜30min.程度の加熱条件が好ましい。100℃以上では被膜40の脆性が増し、剥離処理が思わしくない。また50℃以下では被膜40の密着性が思わしくない。
【0030】
また、被膜40の厚さは、残渣40のサイズが約10〜20μmであり、この残渣31を十分に包み込む厚さを有していることが必要である。
剥離用インキ又は塗料(V)による被膜40の厚さは、残渣31のサイズの約2〜3倍程度がが好ましく、50〜100μm程度であることが望ましい。50μm以下では剥離作業のための被膜強度が十分でなく、また100μm以上では密着性効果がサチュレートしており、コストアップの点で好ましくない。
上記のごとく残渣を除去することにより美的に勝れた立体感のある印刷体、特に携帯電話機の外装ケースを作成することができる。
なお、OP6D工程後表面に化粧コートによる被覆を行っても良い。
【実施例1】
【0031】
(請求項1に対応)
被印刷体 携帯電話機外装ケース(0.2mm鋼板製)
色彩印刷 凹凸皮革模様
シリコーンインキ(I)被膜 シリコーンオイル含有量 10%vol
被膜厚さ(h1) 約3μm
色彩インキ(II)被膜 スクリーン印刷インキ
斑皮革色彩
粘度 150PaS(25℃)
厚さ(h2) 150μm
【0032】
携帯電話機外装ケース(0.2mm鋼板製)の表面を標準的な酸洗いによる清浄化処理をおこなった後、上記シリコーンインキ(I)により巾約2mmの不定形線状模様のパッド印刷を行い、自然乾燥後色彩UVインキ(II)によるベタ印刷を行った。
これを、温度80℃、時間10minにて加熱処理を行った結果、大部分のシリコーンインキ(I)被膜上の色彩インキ(II)は撥じき排除されたが、シリコーンインキ(I)被膜上にサイズ約10〜20μm程度の多数の残渣が認められた。
さらに標準的なUV照射による定着固定処理を行った結果、残渣分布は殆ど変化が無く硬化した。
この撥じかれ残された残渣を、ハンディングによるブラッシング、及び粘着テープにより剥離作業を行った。
【0033】
剥離作業に時間をかけることにより、概ねの残渣は除去され、一応製品としての美観をえることが出来た。皮革色彩を有する化粧コートを被覆した結果、図11に示される本実施例による皮革色彩模様の携帯電話機外装ケースが得られ、これは商品として十分なものであると認められた。
【実施例2】
【0034】
(請求項2に対応)
被印刷体 携帯電話機外装ケース(1.0mmポリカーボネート/ABS樹脂製)
色彩印刷 対角60゜/120゜菱形模様(線間距離8mm、線幅0.5mm)
色彩ピンク全面印刷
色彩シリコーンインキ(I)被膜 シリコーンオイル含有量 10%vol
被膜厚さ(h1)約2μm 色彩ピンク色
剥離用シリコーンインキ(III)被膜 シリコーンオイル含有量 20%vol
被膜厚さ(h4)約5μm 無色
色彩インキ(II)被膜 色彩ピンク色塗料
粘度 200PaS(25℃)
厚さ(h2)200μm
乾燥処理(OP3B) 温度×時間 80℃×10min
【0035】
携帯電話機外装ケース(1.0mmポリカーボネート/ABS樹脂製)の表面を標準的な洗浄を行い清浄化処理をおこなった後、上記ピンク色色彩シリコーンインキ(I)により線間距離8mm、線幅0.5mmの対角60゜/120゜菱形模様の線状のパッド印刷を行い、UN乾燥後更にこれに重ねて同部に剥離用シリコンインキ(III)による被膜を積層し、UV乾燥をした。
更に全面に色彩ピンク色塗料による塗装を行い、UV乾燥を施した。
これを、温度50℃、時間15minにて加熱処理、UV乾燥を行った。剥離用シリコーンインキ(III)による被膜上の色彩インキ(II)の大部分のものは撥じき排除された。
しかし、剥離用シリコーンインキ(III)の被膜上にサイズ約10〜20μm程度の残渣が散在するのが認められた。さらに標準的な定着固定処理を行った結果、残渣分布は殆ど変化が無く硬化した。
定着固定処理後に前記剥離用シリコーンインキ(III)の被膜を徐々に剥離した。この結果残渣は完全に削除されていることが確認された。
これに追加の光沢化粧コートを被覆した結果、図12に示される本実施例によるピンク菱形模様の携帯電話機外装ケースを得ることができ、これは商品として十分なものであると認められた。
【実施例3】
【0036】
(請求項4に対応)
被印刷体 携帯電話機外装ケース(1.0mmポリカーボネート/ABS樹脂製)
色彩印刷 凹凸皮革模様
シリコーンインキ(I)被膜 シリコーンオイル含有量 10%vol
被膜厚さ(h1) 約2μm
色彩インキ(II)被膜 UV硬化性塗料
斑皮革色彩
粘度 150PaS(25℃)
厚さ(h2) 50μm
剥離用インキ(V)被膜 塗料
粘度h3 200PaS(25℃)
厚さ(h3) 100μm
加熱処理(OP3D) 温度×時間 80℃×10min
定着硬化処理(OP4D) 標準UV照射
硬化処理(OP50D) 温度×時間 50℃×10min
【0037】
携帯電話機外装ケース(1.0mmポリカーボネート/ABS樹脂製)の表面を標準的な洗浄による清浄化処理をおこなった後、上記シリコーンインキ(I)により巾約2mmの不定形線状模様のパッド印刷を行い、UV照射後色彩UV塗料(II)による塗装を行った。
これを、温度80℃、時間10minにて加熱処理を行った結果、大部分のシリコーンインキ(I)被膜上の色彩UV塗料(II)は撥じき排除されたが、シリコーンインキ(I)被膜の特に境界表面部付近にサイズ約10〜20μm程度の多数の残渣が認められた。
さらに標準的なUV照射による定着固定処理を行った結果、残渣分布は殆ど変化が無く硬化した。
これに粘度の比較的高い塗料を剥離用塗料(V)として用いて塗装して被膜を形成し、準硬化処理後にこれを徐々に剥離した。
【0038】
剥離後のシリコーンインキ(I)被膜の表面には、目視においては残渣は殆ど認められなかった。これにより色彩インキ(II)にUV硬化性塗料を使用し標準的なUV照射により加熱処理されたた表面は、剥離用塗料(V)との親和力が少なく、剥離用塗料(V)の被膜の剥離は容易に行われることが確認された。また剥離用塗料(V)の下面には残渣を十分包含し、その包含力はシリコーンインキ(I)被膜の表面からの残渣の剥離力を十分にカバーするものであることが確認された。
これに追加の皮革色彩を有する化粧コートを被覆した結果、図11に示される本実施例による皮革色彩模様の携帯電話機外装ケースが得られ、これは商品として十分なものであると認められた。
【産業上の利用可能性】
【0039】
上述における実施例においては、被印刷体1は携帯用電話機の外装ケースを対象として述べられているが、本発明の手段はテレビ、ラジオ、その他一般的な立体感のある色彩被覆を要求される色彩印刷体に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本実施の形態1の工程を説明する工程流れ図。
【図2】本実施の形態1の各工程後における被印刷体の一部断面を模式的に示す断面説明図。
【図3】シリコーンインキ(I)による排除効率Exを試験した結果を示す図。
【図4】図1のOP2A工程後における一部断面を模式的に拡大して示す断面説明図。
【図5】本実施の形態2の工程を説明する工程流れ図。
【図6】本実施の形態2の各工程後における被印刷体の一部断面を模式的に示す断面説明図。
【図7】本発明の実施の形態3の工程を説明する工程流れ図。
【図8】本実施の形態3の各工程後における被印刷体の一部断面を模式的に示す断面説明図。
【図9】本発明の実施の形態4の工程を説明する工程流れ図。
【図10】本実施の形態4の各工程後における被印刷体の一部断面を模式的に示す断面説明図。
【図11】本実施例1による皮革色彩模様の携帯電話機外装ケース表面を示す図。
【図12】本実施例2によるピンク菱形模様の携帯電話機外装ケース表面を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
10 被印刷体、20 色彩又は透明シリコーンインキ(I)による被膜、30 色彩インキ又は塗料(II)による印刷被膜、31 シリコーンインキ(I)による被膜上で撥じき残された色彩インキ又は塗料(II)の残渣、40 剥離用インキ又は塗料(V)のベタ印刷又は塗装による被膜、201 剥離用シリコーンオイル含有のインキ(III)による被膜、h1 シリコーンインキ(I)による被膜部の被膜厚さ、h2 色彩インキ又は塗料(II)による盛り上げ印刷被膜部の被膜厚さ、h3 剥離用シリコーンインキ(IV)の被膜厚さ、h4 剥離用インキ又は塗料(V)の被膜厚さ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印刷体の非盛り上部分にシリコーンオイル含有の色彩または透明インキ(I)による印刷被膜を形成し、所定の乾燥処理を施す第1工程と、その後所定のインキまたは塗料(II)によるベタ印刷または塗装を施し、シリコーンオイル含有インキの撥水性によりシリコーンオイル含有の色彩または透明インキ(I)による被膜表面上のベタ印刷のインキまたは塗料(II)を撥じかせ排除し、所定の乾燥処理を施す第2工程と、前記シリコーンオイル含有の色彩または透明インキ(I)による印刷被膜表面上に、なお微細に残留する撥じき排除され残りの印刷インキまたは塗料(II)の残渣を除去する第3工程を有することを特徴とする立体感のある色彩被覆の作成方法。
【請求項2】
被印刷体の非盛り上部分にシリコーンオイル含有の色彩または透明インキ(I)による印刷被膜を形成し、所定の乾燥処理を施す第1工程と、前記被印刷体の非盛り上部分に、更に剥離用シリコーンオイル含有のインキ(III)による被膜を積層し、乾燥処理を施す第2工程と、その後所定のインキまたは塗料(II)によるベタ印刷または塗装を施し、シリコーンオイル含有インキの撥水性によりシリコーンオイル含有の色彩または透明インキ(I)による被膜表面上から、ベタ印刷した所定のインキまたは塗料(II)を撥じかせ排除し、所定の乾燥処理を施す第3工程と、前記剥離用シリコーンオイル含有のインキ(III)による被膜表面上に、なお微細に残留する撥じき排除され残りの印刷インキまたは塗料(II)の残渣を、該剥離用シリコーンオイル含有のインキ(III)による被膜を被印刷体より剥離することにより除去する第4工程を有することを特徴とする立体感のある色彩被覆の作成方法。
【請求項3】
被印刷体の非盛り上部分に剥離用シリコーンオイル含有インキ(IV)により印刷被膜を形成し、所定の乾燥処理を施す第1工程と、その後所定のインキまたは塗料(II)によるベタ印刷または塗装を施し、シリコーンオイル含有インキの撥水性により前記剥離用シリコーンオイル含有インキ(IV)による被膜表面上より印刷インキまたは塗料を撥じかせ排除し、所定の乾燥処理を施す第2工程と、前記剥離用シリコーンオイル含有のインキ(IV)による被膜表面上になお微細に残留する撥じき排除され残りの印刷インキまたは塗料残渣を、該剥離用シリコーンオイル含有のインキ(IV)による被膜上より剥離除去する第3工程を有することを特徴とする立体感のある色彩被覆の作成方法。
【請求項4】
被印刷体の非盛り上印刷部分にシリコーンオイル含有の色彩または透明インキ(I)による印刷被膜を形成する第1工程と、その後所定の色彩インキまたは塗料(II)によるベタ印刷または塗装し、または盛り上部分に印刷して被膜を形成する第2工程と、前記第2工程後所定の加熱処理を施し、シリコーンオイル含有の色彩または透明インキ(I)の印刷被膜表面上より、その撥水性により前記色彩インキまたは塗料(II)を撥じかす第3工程と、該色彩インキまたは塗料(II)を定着固定する第4A工程と、前記被膜を形成された全表面に、更に剥離用インキまたは塗料(V)によるベタ印刷または塗装による被膜を形成する第5A工程と、該剥離用インキまたは塗料(V)による被膜を所定の硬化後、該剥離用インキまたは塗料(V)による被膜を被印刷体より剥離する第6A工程を有することを特徴とする立体感のある色彩被覆の作成方法。
【請求項5】
前記シリコーンオイル含有の色彩または透明インキ(I)は、通常の印刷インキに2〜50%のシリコーンオイルを混合したものであり、且つ、シリコーンオイル含有の色彩または透明インキ(I)による印刷皮膜の厚さは、前記色彩インキたは塗料(II)による盛り上げ部分印刷の被膜厚さに較べ薄い膜厚を有することを特徴とする請求項1、2、4のいずれか1項に記載の立体感のある色彩被覆の作成方法。
【請求項6】
所定の色彩インキたは塗料(II)は、レベリング剤含有量が通常の印刷インキまたは塗料中のレベリング剤の含有量の50%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の立体感のある色彩被覆の作成方法。
【請求項7】
所定の色彩インキたは塗料(II)が、UV硬化性インキまたはUV硬化性塗料であり、前記剥離用インキまたは塗料(V)が、UV硬化性インキ以外のインキまたは塗料であって、通常の印刷インキの粘度に対する粘度比Vが1.0〜1.5倍を有するものであり、また、剥離用インキまたは塗料(V)によるベタ印刷または塗装の被膜の厚さは、10〜100μmであることを特徴とする請求項4に記載の立体感のある色彩被覆の作成方法。
【請求項8】
前記請求項1〜7のいずれか1項に記載の立体感のある色彩被覆の作成方法により、表面を被覆されたことを特徴とする立体的色彩印刷体。
【請求項9】
前記請求項1〜7のいずれか1項に記載の立体感のある色彩被覆の作成方法により、表面を被覆されたものが携帯電話機であることを特徴とする立体的色彩印刷体。
【請求項10】
前記請求項1〜7のいずれか1項に記載の立体感のある色彩被覆の作成方法により、表面を被覆されたものがパソコン外装ケースであることを特徴とする立体的色彩印刷体。
【請求項11】
前記請求項1〜7のいずれか1項に記載の立体感のある色彩被覆の作成方法により、表面を被覆されたものが自動車用内装部品であることを特徴とする立体的色彩印刷体。
【請求項1】
被印刷体の非盛り上部分にシリコーンオイル含有の色彩または透明インキ(I)による印刷被膜を形成し、所定の乾燥処理を施す第1工程と、その後所定のインキまたは塗料(II)によるベタ印刷または塗装を施し、シリコーンオイル含有インキの撥水性によりシリコーンオイル含有の色彩または透明インキ(I)による被膜表面上のベタ印刷のインキまたは塗料(II)を撥じかせ排除し、所定の乾燥処理を施す第2工程と、前記シリコーンオイル含有の色彩または透明インキ(I)による印刷被膜表面上に、なお微細に残留する撥じき排除され残りの印刷インキまたは塗料(II)の残渣を除去する第3工程を有することを特徴とする立体感のある色彩被覆の作成方法。
【請求項2】
被印刷体の非盛り上部分にシリコーンオイル含有の色彩または透明インキ(I)による印刷被膜を形成し、所定の乾燥処理を施す第1工程と、前記被印刷体の非盛り上部分に、更に剥離用シリコーンオイル含有のインキ(III)による被膜を積層し、乾燥処理を施す第2工程と、その後所定のインキまたは塗料(II)によるベタ印刷または塗装を施し、シリコーンオイル含有インキの撥水性によりシリコーンオイル含有の色彩または透明インキ(I)による被膜表面上から、ベタ印刷した所定のインキまたは塗料(II)を撥じかせ排除し、所定の乾燥処理を施す第3工程と、前記剥離用シリコーンオイル含有のインキ(III)による被膜表面上に、なお微細に残留する撥じき排除され残りの印刷インキまたは塗料(II)の残渣を、該剥離用シリコーンオイル含有のインキ(III)による被膜を被印刷体より剥離することにより除去する第4工程を有することを特徴とする立体感のある色彩被覆の作成方法。
【請求項3】
被印刷体の非盛り上部分に剥離用シリコーンオイル含有インキ(IV)により印刷被膜を形成し、所定の乾燥処理を施す第1工程と、その後所定のインキまたは塗料(II)によるベタ印刷または塗装を施し、シリコーンオイル含有インキの撥水性により前記剥離用シリコーンオイル含有インキ(IV)による被膜表面上より印刷インキまたは塗料を撥じかせ排除し、所定の乾燥処理を施す第2工程と、前記剥離用シリコーンオイル含有のインキ(IV)による被膜表面上になお微細に残留する撥じき排除され残りの印刷インキまたは塗料残渣を、該剥離用シリコーンオイル含有のインキ(IV)による被膜上より剥離除去する第3工程を有することを特徴とする立体感のある色彩被覆の作成方法。
【請求項4】
被印刷体の非盛り上印刷部分にシリコーンオイル含有の色彩または透明インキ(I)による印刷被膜を形成する第1工程と、その後所定の色彩インキまたは塗料(II)によるベタ印刷または塗装し、または盛り上部分に印刷して被膜を形成する第2工程と、前記第2工程後所定の加熱処理を施し、シリコーンオイル含有の色彩または透明インキ(I)の印刷被膜表面上より、その撥水性により前記色彩インキまたは塗料(II)を撥じかす第3工程と、該色彩インキまたは塗料(II)を定着固定する第4A工程と、前記被膜を形成された全表面に、更に剥離用インキまたは塗料(V)によるベタ印刷または塗装による被膜を形成する第5A工程と、該剥離用インキまたは塗料(V)による被膜を所定の硬化後、該剥離用インキまたは塗料(V)による被膜を被印刷体より剥離する第6A工程を有することを特徴とする立体感のある色彩被覆の作成方法。
【請求項5】
前記シリコーンオイル含有の色彩または透明インキ(I)は、通常の印刷インキに2〜50%のシリコーンオイルを混合したものであり、且つ、シリコーンオイル含有の色彩または透明インキ(I)による印刷皮膜の厚さは、前記色彩インキたは塗料(II)による盛り上げ部分印刷の被膜厚さに較べ薄い膜厚を有することを特徴とする請求項1、2、4のいずれか1項に記載の立体感のある色彩被覆の作成方法。
【請求項6】
所定の色彩インキたは塗料(II)は、レベリング剤含有量が通常の印刷インキまたは塗料中のレベリング剤の含有量の50%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の立体感のある色彩被覆の作成方法。
【請求項7】
所定の色彩インキたは塗料(II)が、UV硬化性インキまたはUV硬化性塗料であり、前記剥離用インキまたは塗料(V)が、UV硬化性インキ以外のインキまたは塗料であって、通常の印刷インキの粘度に対する粘度比Vが1.0〜1.5倍を有するものであり、また、剥離用インキまたは塗料(V)によるベタ印刷または塗装の被膜の厚さは、10〜100μmであることを特徴とする請求項4に記載の立体感のある色彩被覆の作成方法。
【請求項8】
前記請求項1〜7のいずれか1項に記載の立体感のある色彩被覆の作成方法により、表面を被覆されたことを特徴とする立体的色彩印刷体。
【請求項9】
前記請求項1〜7のいずれか1項に記載の立体感のある色彩被覆の作成方法により、表面を被覆されたものが携帯電話機であることを特徴とする立体的色彩印刷体。
【請求項10】
前記請求項1〜7のいずれか1項に記載の立体感のある色彩被覆の作成方法により、表面を被覆されたものがパソコン外装ケースであることを特徴とする立体的色彩印刷体。
【請求項11】
前記請求項1〜7のいずれか1項に記載の立体感のある色彩被覆の作成方法により、表面を被覆されたものが自動車用内装部品であることを特徴とする立体的色彩印刷体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−69684(P2010−69684A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−238411(P2008−238411)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(000145378)株式会社秀峰 (32)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(000145378)株式会社秀峰 (32)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]