説明

立体構造ネットを用いた覆砂工法

【課題】 沿岸海域、湖沼等の水底に堆積する軟弱泥土層からなる底質を改善するために覆砂層を形成する際に、底部において覆砂層を安定保持させる。
【解決手段】 第1の網目12側の紐条部11から第2の網目22側の複数の紐条部21に掛け渡されることにより、第1の網目側12及び第2の網目22を形成する紐部内に所定の連続した立体空間形状が形成された立体構造ネットAを、網目を構成する立体紐部が畳まれた状態で、水底泥土30表面上に接地する。水底30で網目をネットの展開方向に引き伸ばすことで所定の目合いを確保して水底泥土表面30に密着させる。第2の網目12側から水底泥土31を立体空間内に充填して水底泥土表面に敷設する。さらに立体構造ネットの上面側から覆砂34を投入して第1の網目12側の立体空間内に覆砂34を充填し、所定層厚まで覆砂35を堆積させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は立体構造ネットを用いた覆砂工法に係り、沿岸海域、湖沼等の水底に堆積する軟弱泥土層からなる底質を改善するために行う覆砂工法において、水底の軟弱泥土層を覆うように、所定の剛性を有する立体構造ネットを展開して敷設し、その上に所定厚さとなるように投入された覆砂層を安定保持できるようにした立体構造ネットを用いた覆砂工法に関する。
【背景技術】
【0002】
覆砂を底汚泥上にそのまま投入して敷設する従来の覆砂工法では、投入した砂が軟弱な汚泥層へ埋没してしまい、砂の投入量が過大になるとういう問題点や、海域等が荒れた際に、覆砂と底汚泥との層が逆転してしまい、汚泥が水底に露出してしまうという問題点が知られている。それらを解決するために、覆砂を支持するとともに底汚泥を押さえるためにシートを底汚泥上に敷設し、その上に覆砂を行う覆砂工法等が一般に行われている。
【0003】
ところが、シートを覆砂を行う全面に敷設する作業は、大規模である上、シートがめくれたり、破けたりすることもあるため、完全に覆砂を行った状態を保持するためのメンテナンスも欠かせない。
【0004】
一方、シートには不透水性の合成樹脂あるいは合成ゴム製シートが用いられることがほとんどであり、その場合、底汚泥表面に広がる藻類や種々の低棲生物の生物環境を悪化させることが予想される。以上の問題を考慮して、半透過性構造体からなる砂面の安定化構造が提案されている(特許文献1)。
【0005】
特許文献1に開示された半透過性構造体は、合成樹脂製あるいは金属製の線条がランダムな多数のループを形成してヘチマ状に絡み合った状態を保持した所定厚さを有するマット状体で、線条自体、および線条がヘチマ状に絡み合ったマット形状が海底面等で受ける波、潮流等の影響で変形しない程度の剛性が確保されている。
【0006】
このマットは、覆砂を行わないで、水底の安定化を図ることが特徴であるため、ヘチマ状構造を構成する線条が合成樹脂等で構成されている場合、マットの比重が小さくなるため、敷設されたマットの安定化を図るために、マット内に重錘として機能するエキスパンドメタル等を心材として用いるようにしている。
【0007】
また、従来の覆砂工法の問題点を解決した工法としては、特許文献2に開示された発明が提案されている。この工法は、従来のゴム製シートに代えて、貝殻類故紙、セメントレイタンス、石炭灰、鉱滓等の粒状物を層状に敷設して構成した土壌保持材層を設け、その上に覆砂を行うようになっている。この工法では、土壌保持材層を構成する土壌保持材が複雑に嵌合するような状態になり、その間の間隙部に軟泥土が充填され、強固な土壌保持材層が形成され、覆砂層と軟弱泥土層とが反転したり、泥土層が上層に吹き出したりするのを防止するようになっている。
【0008】
【特許文献1】特開平9−235713号公報参照。
【特許文献2】特開平5−5304号公報参照。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、特許文献1に開示された安定化構造は、水底に敷設された際に、マット状の半透過性構造体を構成する線条が不規則なループ状をなして構成するヘチマ状構造によって、その表面を流れる海流や波のエネルギーを減衰させて、水底に敷設された際の安定を図ることを目的としており、特に覆砂を要しないでも、対象とした水底の安定化を図ることができる。しかし、マット自体の厚さ及び剛性が大きいため、水底に敷設した際の連続性を保持させることが難しく、スパイク部材等での固定を行う必要がある。
【0010】
また、特許文献2に開示された覆砂工法では、均質な層厚の土壌保持材層を形成するのが難しいため、薄層部分では、下層の軟弱泥土が噴出するおそれもある。また、ネット袋状体を層状に敷設することも可能であるが、その場合、個々の袋状体が連続して保持され、層状となるようにさせることが難しい。
【0011】
このように、覆砂工法の場合、所定の層厚に砂層を保持させるとともに、軟弱泥土上にシート状体を安定して敷設することができることが必要であり、さらに施工後においても、水底近くの波や潮流等の影響を受けても、覆砂やシート状体が安定保持されるような構造とすることが必要である。
そこで、本発明の目的は上述した従来の技術が有する問題点を解消し、敷設時に軟弱程度に安定して敷設できると共に、その上に投入された覆砂により、さらに確実にネット部材を保持できるようにした立体構造ネットを用いた覆砂工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は経編編成により、網状をなす表裏の素地と、これら両素地を所要の間隔を存して連結する連結糸とにより形成されてなり、表裏の素地の網目の大きさを表裏で異にし、表裏一方の素地の第1の網目を形成する紐条部と他方の素地の第2の網目を形成する紐条部とに連結糸が掛け渡された立体紐部の全部または一部において、前記連結糸が、第1の網目の側の紐条部から第2の網目の側の複数の紐条部に掛け渡されることにより、第1の網目の側、及び第2の網目を形成する該紐部内に所定の連続した立体空間形状が形成された立体構造ネットを、前記第1の網目及び第2の網目を構成する立体紐部が畳まれた状態で、水底泥土表面上に接地し、前記網目をネットの展開方向に引き伸ばすことで所定の目合いを確保して前記水底泥土表面に密着させて、前記第2の網目側から前記水底泥土を前記立体空間内に充填して前記水底泥土表面に敷設し、さらに前記立体構造ネットの上面側から覆砂を投入して前記第1の網目側の立体空間内に前記覆砂を充填し、その後所定層厚まで前記立体構造ネット上に覆砂を堆積させるようにしたことを特徴とする。
【0013】
前記第1の網目が、前記第2の網目より大きな目合い寸法に設定された立体小僧ネットを利用することが好ましい。
【0014】
または、前記第1の網目と、前記第2の網目とがほぼ等しい目合い寸法に設定され、網目位置が表側の素地に形成された前記第1の網目と、裏側の素地に形成された前記第2の網目とが該目合いのほぼ1/2程度ずれて配置された立体構造ネットを利用することが好ましい。
【0015】
このとき、前記立体構造ネットは、畳まれた状態の網目の目合い寸法から、所定寸法目合いまで展開方向に引き伸ばされて敷設され、前記水底泥土上に密着させることが好ましい。
【0016】
前記網目の目合い寸法は5倍程度まで引き伸ばされて敷設することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、折りたたまれたネットを所定の目合い寸法となるように引き伸ばして展開して水底泥土上に敷設された立体構造ネットの表裏面において、大きな網目と小さな網目が設けられ、その間に形成された十分な剛性のネット目空間の構成により、覆砂工法を行う際に、ネットの敷設工事が容易に行えるとともに、水底泥土面との密着が図られることで、覆砂が前記ネット目空間に充填され、堆積される覆砂の安定を図ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の立体構造ネットを用いた覆砂工法の実施するための最良の形態として、以下の実施例について添付図面を参照して説明する。
【実施例】
【0019】
[立体構造ネット]
以下、本発明で用いる立体構造ネットの構成について、図1〜図4を参照して説明する。なお、この立体構造ネットは、特許第3482489号を取得した立体構造状ネットを用いることを基本としているが、覆砂工法において、その敷設工程に特徴を有するものである。
【0020】
図1は、合成繊維糸条により編成された実施例に係る立体構造ネットAを、矢印T方向に引張り、展開して面状体を構成するように略示した斜視図、図2各図は、立体構造ネットが当初の編み上がり状態を示した拡大平面図と、矢印T方向に引張り、展開して図1に示した面状のネットの拡大平面図、図3、図4はそれぞれ図2(a),(b)のX−X断面線およびY−Y断面線に沿ったネットの一部拡大断面図である。
【0021】
図1〜図4において、図中の符号1,2はそれぞれ表裏の網状をなす素地、符号11,21は表裏それぞれにおいて網目12,22を形成する紐条部を示している。また符号3は表裏両素地1,2を所要の間隔を確保して連結する連結糸を示している。さらに連結糸3により、所要の厚みを持つ空隙率の高い立体構造ネットAが形成されている。本実施例では、立体構造ネットの糸の材質としては、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等の公知の熱可塑性合成樹脂が適宜採用できる。
【0022】
本実施例の立体構造ネットAは表裏の素地1,2の一方、例えば素地1の網目12が他方の素地2の網目22より大きく形成され、一方の素地1の第1の網目としての大きい網目12を形成する紐条部11と、他方の素地2の第2の網目としての小さい網目22を形成する紐条部21とに連結糸3が掛け渡されて、通気および通水可能な空隙を内部に有する立体紐部4が形成されている。この立体紐部4は、その全部または一部において、連結糸3が、大きい網目12の側の紐条部11から小さい網目22の側の複数の紐条部21に掛け渡されることにより、小さい網目22の側で該紐部内に小さい網目22を保有する幅を持った立体状をなしている。
【0023】
また、この立体構造ネットAは編み上がり当初、紐条部11,12の編みが密になっているため、図2(a)に示したように、ネット目空間Sがほとんど閉じた状態でT方向の幅が十分畳まれた状態にある。この状態では、立体構造ネットAのかさ容積が展開時より大幅に小さいため、現場への搬入が容易に行える。
【0024】
立体構造ネットの形状の特徴は、立体紐部4の全部または一部において、連結糸3の掛け渡し部分が、大きい網目12の側から見て両側に傾斜して小さい網目22の側の紐条部21に掛け渡されることにより、断面が略三角形、略逆三角形、略台形または略逆台形等の立体空隙を内部に有する実質的に中空の立体形状をなすように編成され、この立体紐部4に囲まれ空間がネット目空間Sが形成された点である。これにより、立体紐部4において両側に傾斜した連結糸3の掛け渡し部分が、厚み方向の荷重を支持する作用を果すことができ、ネットとして面荷重を受けた際の形状が保持できるようになっている。また、立体紐部4は、傾斜した連結糸3により形成される立体空隙が、編方向および/または編幅方向に連続するトンネル状をなし、十分な連通状態をなすように形成しておくことができる。その平面形状としては、具体的には、それぞれ編方向の所要間隔毎に両側に隣接する紐条部と交互に結節されることにより、ジグザグ状をなして編方向に連続しており、これにより略六角形の多角形の網目12,22が形成されている。
【0025】
さらに、表裏の素地1,2の紐条部11,21の対応する編目列間に連結糸3が掛け渡されて編成されることにより、立体紐部4の全部または一部の連結糸3が、大きい網目12の側の紐条部11から、小さい網目22の側の複数本(たとえば2本)以上の紐条部21に両側に傾斜して掛け渡され、これにより、ほぼ中空の立体形状、つまり内部に立体空隙を有する立体形状が形成され。符号13は紐条部11,11同士の結節部、23は紐条部21,21同士の結節部を示している。
【0026】
一方の素地1の大きい網目12と、他方の素地2の小さい網目22の大きさの割合については、編方向および編幅方向ともに適宜任意に設定できる。その割合は、編方向および編幅方向において大きい編目12の1個が小さい網目22の複数個分に相当する場合のほか、前記大きい網目12の複数個が、小さい網目22の複数個(ただし大きい網目の数より多い)分に相当するように設定することもできる。このように設定することにより、経編編成が容易になる。
【0027】
図3,図4に示した糸構成図に示したように、その編方向において、表裏一方の素地1の大きい網目12の1個分の編成コース数、つまり隣接する二つの紐条部11,11間の結節部13から次の結節部13までの編成コース数が、他方の素地2の小さい網目22の1個分の編成コース数の2倍、すなわち大きい網目12が小さい網目22の2倍となるようにし、さらに編幅方向においても表裏一方の素地1の大きい網目12が、他方の素地2の小さい網目22の2個分について1個の割合で、つまりは幅が2倍になるように形成している。また、図示していないが、その編方向において、表裏一方の素地1の大きい網目12の1個分の編成コース数が、他方の素地2の小さい網目22の3個分の編成コース数になるようにし、さらに編幅方向においては、大きい網目12の1個が、小さい網目22の2個分に相当するように編成して実施することができる。さらに、この実施例の場合、表裏一方の素地1の大きい網目12の略中央部に、他方の素地2の小さい網目22の1個が対応位置するように編成され、この対応する双方の網目12,22を画成する紐条部11,21間に網目12,22の全周にわたって連結糸3が掛け渡されて、その内方に形成されたネット目空間Sが略漏斗状をなすように形成されている。
【0028】
これにより、ネット目空間Sの周囲の立体紐部4が、その全周にわたって内部に立体空隙を有する断面略三角形等の実質的に中空の立体形状をなし、かつこの立体形状がトンネル状に連続して、厚み方向の圧縮荷重に対してバランスよく支えることができるようになっている。また、立体形状をなす立体紐部4が、ネット全体にわたってトンネル状に連続していることで、構造安定性や倒れ防止の効果がさらに大きくなり、また内部の立体空隙を、後述するような覆砂等の充填物の充填空間や、通気、通水等のための流通空間として機能させることができる。立体紐部4の立体形状において、図3,図4に示したように、大きい網目12の側の紐条部11より両側に傾斜する連結糸3の掛け渡し部分がなす角度αが、45゜〜75゜、特に好ましくは60゜前後となる断面が略正三角形に近い立体形状をなすように、網目の大きさやネットの厚みを設定して編成すれば、構造安定性が最も良好なものになるが、用途に応じて要求されるネットの厚み、目合の大きさ及び使用される糸条によっては、上述の角度に限定されるものではない。
【0029】
なお、上述した大きい網目12と小さい網目11とを同一の大きさの網目とし、その網目の配置を素地1と素地2との間で網目の1/2幅分ずれるように設定することで、上述の大きい網目12と小さい網目11の立体形状としての機能と同様の機能を奏するようにすることができる。
【0030】
[立体構造ネットを用いた覆砂工法]
以下、上述した立体構造ネットを、覆砂工法に適用した実施例について説明する。図5は、この覆砂工法の完成状態を示した水底30の一部断面図である。同図に示したように、本発明の立体構造ネットを用いた覆砂工法では、立体構造ネットAが覆砂作業を行う施工範囲の水底の軟弱泥土30の表面に敷設さ、立体構造ネットAの下面の小さな網目22側の一部が泥土30に埋まって網目22側からネット目空間Sに泥土31が詰まり、その状態でネット上面側から良質な覆砂35がネット上に所定の層厚となるまで投入され、覆砂工が完成する。このため、立体構造ネットAの下面の網目22には泥土31が詰まり、上面の網目12には覆砂34が確実に充填され、水底の泥土30と覆砂35とが確実に分離できるため、泥土30の噴出し現象等を確実に遮断できる一方、立体構造ネットAが通気、通水性に富むため、ヘドロに近い泥土30の場合に発生するようなメタンガスや、湧水は立体構造ネットAを通過し、覆砂35内に形成された透過経路(図示せず)を通って排出することができる。
【0031】
本実施例の覆砂工法で使用する立体構造ネットAの厚さは30〜50mm程度が好ましく、下面の小さい網目22の目合いは、ネットの厚さによるが、例えば亀甲の対辺が10〜15mm程度、上面の大きい網目の目合いは同様に30〜45mm程度が好ましい。
【0032】
[立体構造ネットの敷設〜覆砂工程]
【0033】
水底泥土上30に立体構造ネットAを敷設し、立体構造ネットA面を覆う覆砂工程の一連の手順について、図6,図7各図を参照して説明する。本実施例では、立体構造ネットAの原反幅を2mとして、完全に展開した状態での平面寸法として(2m×n列)×網目が引き伸ばし方向へ展開された状態での全長を考慮して、当初のマット敷設枚数を設定することが好ましい。図6は展開した状態の1列、その一列に隣接したマット展開中の1列及び、畳まれた状態のマットを模式的に示したマットの敷設状況を示した説明図である。展開された状態の立体構造ネットAは、隣接部分を必要に応じて紐等の結束材で連結することが好ましい。この結束材としては、天然繊維資材あるいは生分解性樹脂繊維資材を用いた紐や、海水中で腐食が進みやすい軟鉄線(針金、番線)等を用いることにより、敷設後の時間経過により各マットは連結部が解放され、単体材料が敷設された状態に近くなる。このため、台風時等に大きな波浪による沿岸被災を受けた場合にも、部分的に単体のマットが流失する程度の被害で済み、その場合の修復作業においても流失個所のマット部分の追加程度の作業でおさまる。このため、被災等を考慮した場合における維持コストも小さいという利点がある。
【0034】
以下、立体構造ネットAの敷設手順について、図7各図を参照して説明する。まず、畳まれた状態の立体構造ネットAを所定長さのロール状のまま敷設対象場所に沈設して接地させ、一端をピン部材等の固定具(図示せず)で泥土表面30に固定する(図7(a)参照)。この状態からフリーの端部を図7(b)に示したように、T方向に引張るように目合いが、たとえば亀甲形状をなす上面の網目12の対辺の距離(たとえば、これを網目の目合い幅とする)が畳まれた状態で10mm程度であった場合、その目合い幅から5倍程度の50mm程度となるまで広げられた亀甲形状となるように引き伸ばされ、その展開した状態が保持され図7(c)に示したように、泥土30の表面に立体構造ネットAを押圧することにより、下面の網目から泥土が侵入するように立体構造ネットAを泥土30に密着させることができる。
【0035】
さらに、良質の覆砂35を図7(d)に示したように薄層にわたって、あるいは図7(e)に示したように所定の層厚になるように一度に砂を投入することで、立体構造ネットAの上面の網目12に砂34が充填され、立体構造ネットAを境として水底泥土30と覆砂35とが互いに噛み合った状態を構成するように、水底泥土30と覆砂35とを完全に遮断することができる。覆砂35は、施工場所に応じて厚さ50〜200cm程度まで堆積させるが、立体構造ネットAは鉛直方向荷重を支持できるだけの剛性を保持しているため、立体構造ネットAが泥土表面上に確実に保持される。
【0036】
なお、立体構造ネットA上に堆積させる覆砂としては、良質の砂の他、比重の大きい鉱滓スラグ等を用いれば、覆砂の安定性が図れるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の覆砂工法に用いられる立体構造ネットの一部を示した斜視図。
【図2】図1に示した立体構造ネットを畳んだ状態から所定の目合いまで引き伸ばして展開した状態を示した一部拡大断面図。
【図3】図2(b)に示したX-X断面線、Y-Y断面線に沿って示した糸構成断面図。
【図4】図2(b)に示したX-X断面線、Y-Y断面線に沿って示した糸構成断面図。
【図5】覆砂工法施工完了状態を模式的に示した部分断面図。
【図6】立体構造ネットを敷設する過程を模式的に示した斜視図。
【図7】立体構造ネットを敷設し、さらに覆砂を行う手順を模式的に示した施工順序説明図。
【符号の説明】
【0038】
1,2 素地
3 連結糸
4 立体紐部
11,21 紐条部
12 大きい網目(第1の網目)
22 小さい網目(第2の網目)
30,31 泥土
34,35 覆砂
A 立体構造ネット
S ネット目空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経編編成により、網状をなす表裏の素地と、これら両素地を所要の間隔を存して連結する連結糸とにより形成されてなり、表裏の素地の網目の大きさを表裏で異にし、表裏一方の素地の第1の網目を形成する紐条部と他方の素地の第2の網目を形成する紐条部とに連結糸が掛け渡された立体紐部の全部または一部において、前記連結糸が、前記第1の網目の側の紐条部から第2の網目の側の複数の紐条部に掛け渡されることにより、第1の網目の側、及び第2の網目を形成する該紐部内に所定の連続した立体空間形状が形成された立体構造ネットを、前記第1の網目及び第2の網目を構成する立体紐部が畳まれた状態で、水底泥土表面上に接地し、前記網目をネットの展開方向に引き伸ばすことで所定の目合いを確保して前記水底泥土表面に密着させて、前記第2の網目側から前記水底泥土を前記立体空間内に充填して前記水底泥土表面に敷設し、さらに前記立体構造ネットの上面側から覆砂を投入して前記第1の網目側の立体空間内に前記覆砂を充填し、その後所定層厚まで前記立体構造ネット上に覆砂を堆積させるようにしたことを特徴とする立体構造ネットを用いた覆砂工法。
【請求項2】
前記第1の網目が、前記第2の網目より大きな目合い寸法に設定されたことを特徴とする請求項1記載の立体構造ネットを用いた覆砂工法。
【請求項3】
前記第1の網目と、前記第2の網目とがほぼ等しい目合い寸法に設定され、網目位置が表側の素地に形成された前記第1の網目と、裏側の素地に形成された前記第2の網目とが該目合いのほぼ1/2程度ずれて配置されたことを特徴とする請求項1記載の立体構造ネットを用いた覆砂工法。
【請求項4】
前記立体構造ネットは、畳まれた状態の網目の目合い寸法から、所定寸法目合いまで展開方向に引き伸ばされて敷設され、前記水底泥土上に密着されることを特徴とする請求項1記載の立体構造ネットを用いた覆砂工法。
【請求項5】
前記網目の目合い寸法は5倍程度まで引き伸ばされて敷設されたことを特徴とする請求項4に記載の立体構造ネットを用いた覆砂工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−113231(P2007−113231A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−304344(P2005−304344)
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【出願人】(505390129)
【出願人】(591154902)旭土建株式会社 (1)
【Fターム(参考)】