説明

立体模様装飾体及びこの立体模様装飾体を備えた電気製品

【課題】 耐久性と深みのある立体装飾が得られ、かつ安価で自由に変更可能な立体模様装飾体、及びこの立体模様装飾体を備えた電気製品を提供する。
【解決手段】 電気製品に適用される立体模様装飾体100は、この立体模様装飾体100のベース部材となる透明シート110と、この透明シート110の一面に印刷される色味を付加する透過性のあるカラー層120と、このカラー層120に重ね印刷される連続した線模様で形成される干渉縞で構成される透明な紫外線硬化型インキ層130と、この透明な紫外線硬化型インキ層130に重ね印刷される鏡面層140と、この鏡面層140に重ね印刷される抑え印刷層150とを備え、紫外線硬化型インキ層130を複数の波形の線が連続して配列される線模様で構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、干渉縞を用いて透明材料に立体模様を浮き立たせる立体模様装飾体、及びこの立体模様装飾体を備えた電気製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、洗濯機などの電気製品においては、操作部や洗濯機の開閉蓋などに透明な飾り部材を設けて、深みのある立体模様を加飾した電気製品が提案されている。これら深みのある立体模様を出現させる飾り部材として、干渉縞を用いて深みのある立体模様を出現させる技術が提案されている。
【0003】
例えば、上記従来技術においては、透明性を有する多数の独立した凸状集光素と、多数の着色画素を印刷又は形成した点描画模様とを透明基板の表面と裏面に分けて設けた装飾体が提案されている。あるいは、他の従来技術では、透明性シートの一面に、所定のピッチで繰り返された第1の模様を有する第1のパターン部を設け、前記透明性シートの他面に、前記第1の模様と相似形状又は所定のピッチで繰り返された第2の模様を用いて形成されたモアレ模様(干渉縞)を有する第2のパターン部を設けた装飾シートが提案されている。
【0004】
これらの従来技術によれば、凸状集光素及び着色画素と、第1及び第2の模様とを所定のピッチで規則正しく配列しているので、何れの方向から見てもモアレ模様が略同一に変化することができる。しかし、模様密度の変化や色の濃淡が無く、見る方向及び角度によって、模様密度及び色の濃度が密状態と粗状態とに変化するようなグラデーションのモアレ模様を立体的に現出する効果が得られないという課題もある。
【0005】
そこで、他の従来技術では、所望の色に着色したドット状の模様を連続して所定のパターンに複数層付設し、この装飾体及び各模様の表面に、略半球形状断面を有する透明なドット状の凸レンズを連続して上記模様と略同一のパターンに付設し、上記各模様及び凸レンズのパターンをモアレ模様が現出する角度に変位させて、各模様及び凸レンズ或いはこれら模様及び凸レンズを、装飾体表面に設定した密領域に向けて徐々に密状態となるように配列し、該密領域から遠くなる部分に設定した粗領域に向けて徐々に粗状態となるようなグラデーションに配列した立体模様装飾体が提案されている。
【0006】
一方、電気洗濯機の立体装飾体においては、透明材の表面をフラットに形成し、裏面には連続した凹凸形状を設けた技術が開示されている。この技術によれば、表面側が光沢感のある深みのある外観が得られるとともに、表面側がざらつくことがなく手触りよい外観を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3338860号公報
【特許文献2】特許第3131771号公報
【特許文献3】特開2005−193501号公報
【特許文献4】特開2008−253488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記印刷技術を用いた立体模様装飾体によれば、透明部材の表面に、透明なドット状の凸レンズを連続して設けているので、表面側がざらついてしまう課題がある。しかも、表面側に凹凸が形成されているので、耐久性に課題がある。
【0009】
一方、透明部材の裏面側に凹凸形状を設ける従来例では、凹凸を型成形する必要があるので、成形型の作成コストに課題がある。
【0010】
そこで、本発明の目的とするところは、耐久性と深みのある立体装飾が得られ、かつ安価で自由に変更可能な立体模様装飾体、及びこの立体模様装飾体を備えた電気製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明に係る立体模様装飾体、及びこの立体模様装飾体を備えた電気製品では、立体模様装飾体のベース部材となる透明シートと、鏡面層との間に、連続した線模様で形成される干渉縞で構成される透明な紫外線硬化型インキ層を備えるようにする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、透明な紫外線硬化型インキ層がレンズ効果の作用を備えているので、透明シートを透過した光は、透明な紫外線硬化型インキ層を透過することにより、その連続した線模様に対応して屈折し、この屈折した線模様が鏡面層を介して変化するので、見る角度に対応して変化する深みのある干渉縞を出現させることができる。また、透明部材(透明シート)に凹凸を型成形する必要がないので、安価で自由に変更可能な立体模様装飾体を提供することができる。しかも、立体模様装飾体の表面は、フラットに形成されているので耐久性に優れ、かつ、表面側がざらつくことがなく手触りよい外観を得られるため、電気製品に良好に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例に係る立体模様装飾体を備えた電気洗濯機の概略構成図である。
【図2】本発明の一実施例に係る立体模様装飾体の製造工程を示す製造工程図である。
【図3】本発明の一実施例に係る立体模様装飾体の光の反射作用を示す断面図である。
【図4】本発明の一実施例に係る立体模様装飾体の光の反射作用を示す表面図である。
【図5】本発明の他の実施例に係る立体模様装飾体を示すパターン図である
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明に係る立体模様装飾体を電気洗濯機に適用した事例を具体的に説明する。ここで、図1から図4が第1の実施例に係る立体模様装飾体を電気洗濯機に適用した事例を示し、図5は他の応用例に係る立体模様装飾体を示している。
【0015】
先ず、図1を参照して、この実施例に係る電気洗濯機の概略構造を具体的に説明する。ここで、図1は、本発明に係る立体模様装飾体を備えた電気洗濯機の概略構成図である。
【0016】
図1において、符号1で総括的に示す電気洗濯機は、その筺体10内に、回転軸を垂直とし、上方が開放した図示しない洗濯槽を備えた縦型電気洗濯機と呼ばれるものである。筺体10は、鋼板製のベース筺体11と、このベース筺体11の上部を覆う樹脂成型品のトップカバー12と、ベース筺体11の下部を覆う樹脂成型品の下部筺体13とを含んで構成される。
【0017】
トップカバー12は、その上面中央に設けられる図示しない衣類投入口を覆う開閉蓋20が設けられ、この開閉蓋20の前部には、操作スイッチ部14を備えた前部配置面15、開閉蓋20の後部には、給水口16を備えた後部配置面17がそれぞれ形成されている。
【0018】
この実施例に係る開閉蓋20は、中央の連結部21を介して前後に2つ折れする開放構造を備えており、連結部21の前部に設けたハンドル22を介して後方に向かって押し込む操作により、連結部21が上方に立ちあがるように折れて開閉蓋20を開放することができる。この開閉蓋20の開放動作により、前記衣類投入口が露出するので、洗濯槽への衣類の出し入れを上方より行うことができる。
【0019】
そして、この電気洗濯機1の大きな特徴の1つは、耐久性と深みのある立体装飾が得られるシート状の立体模様装飾体100を開閉蓋20に設けた点にある。
【0020】
即ち、従来から電気洗濯機においては、意匠性を向上するために、装飾パネルを設けることが一般化している。特に、近年においては、単なる平面模様から深みのある模様を備えた装飾部材が提案されている。例えば、透明樹脂材料の裏面に凹凸模様を形成することで、前記課題を解決しようとした事例も見られる。しかし、透明な樹脂成型品では適用範囲も限られており、また、成形型の作成に精度がいるなどの課題がある。
【0021】
そこで、この実施例では、透明なシート材をベースとする立体模様装飾体100を、例えば、開閉蓋20の所定の位置に貼り付ける構造を採用した。これにより、適用範囲を拡大することができる。
【0022】
また、本発明に係るシート状の立体模様装飾体100の大きな特徴の他の1つは、立体模様装飾体100のベース部材となる透明シート110と、鏡面層140との間に、連続した線模様で形成される干渉縞で構成される透明な紫外線硬化型インキ層130を積層して印刷した点にある。
【0023】
即ち、従来の干渉縞を利用した立体模様装飾体は、レンズ効果を得られるドット状の凸レンズと模様とを透明シートの表面と裏面に分けて設けたり、あるいは、印刷した模様の表面にドット状の凸レンズを印刷するものが知られている。しかし、これらの従来技術は、その表面にドット状の凸レンズが付されているため、これを電気洗濯機に適用しようとした場合、表面に露出するドット状の凸レンズの耐久性に課題がある。また、この構造では、表面に凹凸が形成されるので、表面がざらつき、手触りが良好でないとの課題がある。
【0024】
そこで、この実施例に係る立体模様装飾体100では、透明シート110の表面をフラットに形成し、その裏面側にレンズ効果をもたらす紫外線硬化型インキ層130を備えるようにしている。これにより、紫外線硬化型インキ層130の耐久性を向上させるとともに、表面がざらつくことなく手触りが良好な外観を得ることができる。しかも、透明部材(透明シート110)に凹凸を形成する必要がないので、安価でデザインを自由に変えることができる立体模様装飾体を提供することができる。
【0025】
また、従来技術では、レンズ効果を得られるドット状の凸レンズと、干渉模様とを対で設けることで、奥行きのある干渉縞を得ようとしている。しかし、この実施例に係る立体模様装飾体100では、干渉縞自体を連続した線模様で形成される立体模様としているので、ドット状の凸レンズとパターンとの位置合わせを気にする必要がない。
【0026】
特に、この実施例では、連続した線模様で形成される模様を、規則性を備えた波形で形成される1本の波形線131を横方向に同一ピッチで多数配列させた模様とすることで、見る角度により、あるいは、光源の位置により変化する深みのある干渉縞を出現させることができる。
【0027】
また、この実施例では、透明シート110と鏡面層140との間に紫外線硬化型インキ層130を設けたので、連続した線模様で形成される模様を鏡面層140で反射させて、模様がはっきりした深みのある干渉縞を出現させることができる。
【0028】
このように、この実施例によれば、透明な紫外線硬化型インキ層130がレンズ効果の作用を備えているので、透明シート110を透過した光は、透明な紫外線硬化型インキ層130を透過することにより、その連続した線模様に対応して屈折し、この屈折した線模様が鏡面層140を介して変化するので、見る角度に対応して変化する深みのある干渉縞を見やすく出現させる立体模様装飾体100を提供することができる。しかも、立体模様装飾体100の表面は、フラットに形成されているので耐久性に優れ、電気製品に良好に適用することができる。
【0029】
また、この実施例に係る立体模様装飾体100の大きな特徴の他の1つは、深みのある干渉縞に色味を付加させるカラー層120を紫外線硬化型インキ層とともに透明シート110と鏡面層140との間に積層させた点にある。
【0030】
特に、この実施例のカラー層120は、透明シート110と紫外線硬化型インキ層130との間に積層させているので、透明シート110を透過した光は、カラー層120を通過することで色味が付加され、この色味を付加された光は、紫外線硬化型インキ層130を通過することで、その線模様に対応して屈折して、ずれた模様として鏡面層140で反射されるので、色味が付加された深みのある干渉縞を出現させることができる。
【0031】
そして、この実施例の立体模様装飾体100では、立体模様装飾体100のベース部材となる透明シート110の裏面側に、色味を付加させたカラー層120を印刷し、そのカラー層120の上に連続した線模様で形成される干渉縞で構成される透明な紫外線硬化型インキ層130を重ね印刷し、その紫外線硬化型インキ層130の上に光を反射させる鏡面層140を重ね印刷し、最後に前記積層した印刷を安定させる抑え印刷層150を鏡面層140の上に印刷することにより、多様な家電品に適用可能な立体模様装飾体100を提供することができる。
【0032】
以下、この実施例に係る立体模様装飾体100を、図2から図4を参照して更に詳細に説明する。ここで、図2は、本発明の一実施例に係る立体模様装飾体の製造工程を示す製造工程図である。図3は、本発明一実施例に係る立体模様装飾体の光の反射作用を示す断面図である。図4は、本発明一実施例に係る立体模様装飾体の光の反射作用を示す表面図である。
【0033】
先ず、図2を参照して、この実施例に係る立体模様装飾体100の製造工程を説明する。図2において、この実施例では、柔軟性のある透明シート110をPETフィルムと呼ばれるポリエチレンテレフタレート樹脂からなる高分子フィルムで形成する。
【0034】
図2(a)に示すように、立体模様装飾体100の製造に当たっては、先ず、透明シート110の一面に、透明なインキまたは、この透明なインキに色素を付加させた透光性のあるインキでスクリーン印刷することによりカラー層120を形成する。
【0035】
次に、図2(b)に示すように、カラー層120の上に、図1に示す規則性を備えた波形で形成される1本の波形線131を横方向に同一ピッチで多数配列させた模様をUVインキ(紫外線硬化型インキ)でスクリーン印刷する。
【0036】
そして、図2(c)に示すように、スクリーン印刷した模様に紫外線を照射させることにより、UVインキを硬化させる。この紫外線の照射により、各波形線131の断面は丸みのあるほぼ半円形状となって、レンズ効果を得やすくすることができる。
【0037】
次に、図2(d)に示すように、UVインキを硬化させた紫外線硬化型インキ層130の上に、粉状の光反射成分を含有せしめてなる反射効率が良好なインキでスクリーン印刷することにより鏡面層140を形成する。
【0038】
次に、図2(e)に示すように、鏡面層140の上に、耐スクラッチ性を高めるためだけでなく、耐性(耐環境性)を向上させる抑え印刷を施して抑え印刷層150を形成する。
【0039】
なお、この実施例では、柔軟性のある透明シート110に多層に印刷を施すことで立体模様装飾体100を製造する事例で説明した。この実施例によれば、立体模様装飾体100に柔軟性があるので、開閉蓋20のように電気製品の筺体10に簡単に張り付けて意匠性を向上することができる。なお、柔軟性のある透明シート110に換えて、硬性を備えて透明素材に前記した多層の印刷を施すことで同様な効果が得られる立体模様装飾体100を制作することもできる。
【0040】
次に、図3と図4を用いて、立体模様装飾体100の作用効果をさらに説明する。
【0041】
先ず、図3において、この実施例では、紫外線硬化型インキ層130を構成する波形模様の各波形線131(図1参照)がほぼ半円形状の断面形状で形成されるのでレンズの作用を備えている。
【0042】
つまり、透明シート110に所定角度θ1で入射する光P1は、透明シート110を通過してカラー層120を通過することでカラー層120の色味が付加されて紫外線硬化型インキ層130に至り、そのレンズ効果により、屈折されて、鏡面層140により反射して、カラー層120と透明シート110とを通過して観察することができる。この観察の際、紫外線硬化型インキ層130の波型の模様と、鏡面層140で反射する紫外線硬化型インキ層130の模様とにずれが生じる。
【0043】
一方、透明シート110に入射する角度が異なると、鏡面層140で反射する紫外線硬化型インキ層130の模様のずれが異なって生じる。つまり、所定角度θ2で透明シート110に入射する光P2は、紫外線硬化型インキ層130により異なる角度で屈折されて鏡面層140で反射するので、外から観察する模様のずれも異なることとなる。
【0044】
そして、この実施例では、紫外線硬化型インキ層13を構成する模様が各波形線131が連続する線模様となっているので、観察位置から観察する線模様のそれぞれの位置でも屈折率が異なる。したがって、観察位置を移動させて、紫外線硬化型インキ層131を観察すると、線模様のそれぞれの位置の模様のずれが異なって変化することとなる。これにより、深みのある干渉縞を出現させることができる。
【0045】
図4には、この実施例に係る立体模様装飾体100で得られる干渉縞の変化の対応を説明している。なお、この実施例では、凸模様の頂点が5mmピッチの波模様を採用している。
【0046】
先ず、この実施例では、立体模様装飾体100を取り付ける際に、波形線131の連続する方向が図4に示すように電気洗濯機1の前後方向(紙面の上下方向)となる姿勢で取り付ける。
【0047】
このような取り付け姿勢をとると、観察者の見る角度(P1、P2、P3)が変化すると、立体模様装飾体100に出現する光の横模様が見る角度により変化する深みのある干渉縞を得ることができる。
【0048】
つまり、図4には、観察者の見る角度θ1の図4(a)から、角度θ2の図4(b)を経て、図4(c)の角度θ3に移動する状態を示している。各図は、立体模様装飾体100の上面図と、側面図とを左右に並べて図示している。
【0049】
先ず、図4(a)に示す角度θ1では、波形の頂点Qの手前側の裾野部Q1が光って左右方向に連続する光の帯160として観察することができる。この実施例では、波形模様を同一ピッチで形成しているので、この光の帯160は前後方向(紙面の上下方向)に同一ピッチで出現するように観察することができる。
【0050】
この光の帯160は、角度θ1を小さくして図4(c)に示す角度θ3に移動すると、この光の帯160は、波形の頂点Qの後側の裾野部Q2に移動した状態で観察することができる。そして、この実施例では、立体模様装飾体100の模様を連続した線模様で形成される波型模様とすることで、図4(a)の状態から図4(c)の状態に至る変化を連続した変化で観察することができる。
【0051】
この変化の対応を図4(b)に示す。つまり、角度θ1から角度θ3に至る角度θ2では、波形の頂点Qの手前側の裾野部Q1に出現する光の帯160は、角度が変化するに従って、2本の光の帯160a、160bに分かれて、頂点Q側の光の帯160aは徐々に移動して頂点Qの後側に移動し、頂点Qの反対側の光の帯160bは徐々に移動して隣の頂点Qの後側に移動する。そして、移動した2本の光の帯160a、160bが合体して図4(c)に示す波形の頂点Qの反対側の裾野部Q2に出現する光の帯160となる。
【0052】
この移動の際、光の帯160aは、波形の頂点Qの頂点近傍の波形角度の小さい位置を移動するので、移動量は小さく、かつ光の帯160aの太さも細い。一方、光の帯160bは、波形の裾野近傍の波形角度が大きい位置を移動するので、移動量も大きく、また光の帯160bの太さも太くなる。更に、分かれた2本の光の帯160aと160bは、分かれたと言っても、その間はグラデーションで連続して他の部分よりも明るく出現する。
【0053】
このように、この実施例によれば、横縞模様がグラデーション効果を得ながら徐々に太くなったり細くなったり変化する干渉縞となって出現するので、深みのある効果的な装飾効果を得ることができる。
【0054】
(他の応用例)
図5に、他の応用例を示す。この発明に係る立体模様装飾体100は、紫外線硬化型インキ層130を構成する線模様132が多数本隣り合うように連続した模様で構成する。そして、各線模様132は、矢印で示す観察者の見る方向に対して、斜めに位置するように設けることにより、その角度に対応して移動量(変化量)が変化する干渉縞を得ることができる。
【0055】
例えば、図5(a)では、ジグザグ模様が連続した模様を示している。この実施例では、見る方向に対して、各線模様132が一律な角度で設けられているので、その移動量(変化量)は一律となる。また、頂点Q1が鋭角なため、この頂点Q1近傍の変化は連続したものでなく、急激に変化することとなる。
【0056】
また、図5(b)の実施例は、斜め模様が施された菱形の区画180を、斜め模様が交差するように千鳥状に配置した模様の実施例である。また、図5(c)の実施例では、マトリックス状に配置された区画180に、曲線または直線の線模様を配列し、隣り合う区画180の模様を異なる方向性をもったものとするものである。この図5(b)および図5(c)に示すように、線模様を一律に配列された区画180に分割し、その各区画180に設けられる線模様を異なる模様で形成することにより、各区画180ごとに変化する深みのある干渉縞を得ることができる。
【0057】
また、図5(d)に示す実施例は、この柔軟性のある透明シート110で形成される立体模様装飾体100と透明な樹脂材料190を同時にインサート成型した実施例を示している。この実施例によれば、透明な樹脂成型の部品自体に、深みのある干渉縞を付与することができる。
【0058】
また、以上の実施例では、耐久性を備えた立体模様装飾体100を説明したが、透明な樹脂材料の表面に前記実施例と同様な印刷を施すことにより、装飾効果の高い干渉縞を得ることができる。
【0059】
例えば、樹脂材料の表面に第1層となる鏡面層140を印刷し、その表面に紫外線硬化型インキ層130を形成し、その表面にカラー層120を形成し、最上部に、耐久のある透明なUV塗装を施すことでもよい。
【符号の説明】
【0060】
1…電気洗濯機、10…筺体、11…ベース筺体、12…トップカバー、13…下部筺体、14…操作スイッチ部、15…前部配置面、16…給水口、17…後部配置面、20…開閉蓋、21…連結部、22…ハンドル、100…立体模様装飾体、110…透明シート、120…カラー層、130…紫外線硬化型インキ層、131…波形線、132…線模様、140…鏡面層、150…抑え印刷層、160…光の帯、180…区画、190…樹脂材料。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体模様装飾体のベース部材となる透明シートと、この透明シートの一面に印刷される鏡面層との間に、連続した線模様で形成される干渉縞で構成される透明な紫外線硬化型インキ層を備えた
ことを特徴とする立体模様装飾体。
【請求項2】
請求項1記載の立体模様装飾体において、
前記透明シートは、柔軟性のある樹脂材料で形成した
ことを特徴とする立体模様装飾体。
【請求項3】
請求項1または2記載の立体模様装飾体において、
前記紫外線硬化型インキ層は、複数の波形の線が連続して配列される線模様である
ことを特徴とする立体模様装飾体。
【請求項4】
請求項1から3の何れかに記載の立体模様装飾体において、
前記透明シートと前記鏡面層との間に、色味を付加する透過性のあるカラー層を設けた
ことを特徴とする立体模様装飾体。
【請求項5】
請求項4記載の立体模様装飾体において、
前記カラー層は、前記透明シートと前記紫外線硬化型インキ層との間に設けられている
ことを特徴とする立体模様装飾体。
【請求項6】
請求項1から5の何れかに記載の立体模様装飾体において、
前記鏡面層の裏面側に抑え印刷層を備えた
ことを特徴とする立体模様装飾体。
【請求項7】
立体模様装飾体を筺体の表面に設けた電気製品であって、
前記立体模様装飾体は、
この立体模様装飾体のベース部材とる透明シートと、この透明シートの一面に印刷される鏡面層との間に、連続した線模様で形成される干渉縞で構成される透明な紫外線硬化型インキ層を備えた
ことを特徴とする立体模様装飾体を備えた電気製品。
【請求項8】
立体模様装飾体を筺体の表面に設けた電気製品であって、
前記立体模様装飾体は、
この立体模様装飾体のベース部材とる透明シートと、
この透明シートの一面に印刷される色味を付加する透過性のあるカラー層と、
このカラー層に重ね印刷される連続した線模様で形成される干渉縞で構成される透明な紫外線硬化型インキ層と、
この透明な紫外線硬化型インキ層に重ね印刷される鏡面層と、
この鏡面層に重ね印刷される抑え印刷層とを備えた
ことを特徴とする立体模様装飾体を備えた電気製品。
【請求項9】
請求項7または8記載の立体模様装飾体を備えた電気製品において、
前記紫外線硬化型インキ層は、複数の波形の線が連続して配列される線模様である
ことを特徴とする立体模様装飾体を備えた電気製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−245627(P2011−245627A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−117929(P2010−117929)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】