説明

立体選択的還元方法

【課題】ステロイド性化合物のエノンのC‐C二重結合を還元し、βケトン生成物及びαケトン生成物の混合物を生成することを課題とする。
【解決手段】触媒及び置換ピリジン存在下で、溶媒中で、水素ガスを用いて、ステロイド性化合物の溶液又は懸濁液を処理する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2007年12月27日に出願されたU.S.特許出願番号11/965,688及び、2007年12月27日に出願されたU.S.仮出願番号61/017,162の利益(優先権)を主張する(これらの各々は、その全体において引用によって本願に組み込まれるものとする)。
【背景技術】
【0002】
ステロイド性(steroidal)化合物の様な多環化合物は、例えば医薬品として、多種多様の用途を有する。エノン部分(enone moieties)を含むステロイド性化合物において、β還元(β-reduced)化合物、又はα還元(α-reduced)化合物のどちらかを選択的に生成するために、C‐C二重結合を立体選択的に還元することが望ましい場合がある。どちらの場合においても、複雑なクロマトグラフィー精製[過程]を省く目的で、立体選択的にC‐C二重結合を還元することは有用である。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、触媒及び置換ピリジンの存在下で、溶媒中でステロイド性化合物の溶液又は懸濁液を水素ガスで処理する[ステップ]により、ステロイド性化合物のエノンのC‐C二重結合を還元して、βケトン生成物及びαケトン生成物の混合物を生成する方法に関連する。いくつかの場合において、αケトン生成物と比較して、より多くの(excess)βケトン生成物が生成される。本発明は、記載の方法により生成された化合物にも関連する。
【発明を実施するための形態】
【0004】
[詳細な記載]
1つの視点において、本発明は、ステロイド性化合物のエノンのC‐C二重結合を還元し、βケトン生成物及びαケトン生成物の混合物を生成する方法であって、触媒及び置換ピリジン存在下で、溶媒中で、水素ガスを用いて、ステロイド性化合物の溶液又は懸濁液を処理する[ステップ]を含む方法に関する。いくつかの実施形態において、αケトン生成物と比較して、より多くのβケトン生成物が生成される。例えば、αケトン生成物に対するβケトン生成物の比率(βケトン生成物:αケトン生成物)は、少なくとも、およそ2:1、およそ3:1、およそ5:1、およそ10:1、およそ20:1、およそ25:1、およそ30:1、およそ40:1、およそ50:1、およそ60:1、およそ70:1、およそ、80:1、およそ90:1、およそ95:1、又はおよそ99:1より大きくすることができる。
【0005】
いくつかの実施形態において、置換ピリジンは、3‐置換ピリジンである。適切な3‐置換ピリジンの例は、3‐ピコリン、3‐メトキシピリジン、3‐エチルピリジン、3‐n‐ブチルピリジン、3‐イソブチルピリジン、3‐ヒドロキシピリジン、3‐アミノピリジン、及び3‐ジメチルアミノピリジンを含む。他の実施形態において、置換ピリジンは、4‐置換ピリジンである(例えば、4‐ピコリン、4‐メトキシピリジン、4‐アミノピリジン、又は4‐ジメチルアミノピリジン)。
【0006】
いくつかの実施形態において、置換ピリジンが、反応溶媒である(reaction solvent)。他の実施形態において、溶媒は、置換ピリジン以外の溶媒である。還元反応を妨げない任意の溶媒を採用することができ、例えば、[該溶媒は、]エーテル(例えば、THF)、塩素化溶媒(chlorinated solvents)(例えば、クロロホルム、ジクロロメタン)、及び芳香族(例えば、ベンゼン、トルエン)を含む。更に、1つ以上の溶媒の混合溶液を使用することができる。他の溶媒が使用される場合において、総容量(total volume)に対する置換ピリジンのv/vパーセンテージは、およそ5%、およそ10%、およそ15%、およそ20%、およそ25%、およそ30%、およそ35%、およそ40%、およそ45%、およそ50%、およそ55%、およそ60%、およそ65%、およそ70%、およそ75%、およそ80%、およそ85%、およそ90%、およそ95%、又はおよそ99%とすることができる。
【0007】
適切な水素化触媒は、不均一系触媒及び均一系触媒を含む。均一系触媒の例は、例えば、ニッケル(例えば、ラネーニッケル(Raney nickel)、ニッケルホウ化物(nickel boride))、パラジウム(例えば、Pd/C)、白金(例えば、酸化白金(platinum oxide))、ロジウム、ルテニウム、又は亜鉛(例えば、酸化亜鉛(zinc oxide))をベースとする金属触媒を含む。均一系触媒の例は、例えば、ロジウム(例えば、ウイルキンソン触媒(Wilkinson's catalyst))、ルテニウム、パラジウム、白金、又はコバルトをベースとする金属触媒を含む。エノンの二重結合を還元することが本発明の技術分野において知られる、任意の水素化触媒を採用することができる(例えば、March著, Advanced Organic Chemistry参照)。いくつかの実施形態において、触媒は、パラジウムベース触媒であり、例えば、炭素担持したパラジウム(例えば、5%又は10% Pd/C)、Al担持したパラジウム、炭素担持した水酸化パラジウム(パールマン触媒)、及び、炭素担持したパラジウム‐白金(例えば、炭素担持した4% Pd/1% Pt)である。適切な水素化触媒は、市販の供給元(例えば、ジョンソン・マッセイ(Johnson Matthey))から得ることができる。
【0008】
いくつかの実施形態において、大気圧、又は大気圧に近い状態(すなわち、1気圧)、例えば,バルーン圧(balloon pressure)の下で、水素は反応に適用される。他の実施形態において、例えば、パール(Parr)シェーカー又は類似の装置を使用することによって増加した圧力(例えば、1から5気圧、又はより高い[気圧](greater))で、水素は反応に適用される。
【0009】
本発明の方法は、ステロイド性化合物に存在するエノン二重結合の立体選択的な水素化を提供する。ステロイド性化合物は、一般的に、融合4環系コア(fused four-ring system core)を含む。例えば、ステロイド性環系は、6,6,6,5環系(例えば、シクロペンタ[α]-フェナントレン)又は6,6,5,6環系を含むことができ、ここで、各環は、以下に表されるように、A、B、C、又はDと指定される:

【0010】
また、ステロイド性化合物は、ホモ‐アナログ(homo-analogs)(すなわち、1つ以上の環が追加の炭素を含む)及びノル‐アナログ(nor-analogs)(すなわち、1つ以上の環が1以上少ない炭素を含む)、そして両方の混合物(すなわち、1つ以上の環が追加の炭素を含み、かつ、1つ以上の環がより少ない炭素を含む)を含む。その1つの例は、下記の6,6,5,7環系である:

【0011】
更に、1つ以上の追加の環が、ステロイド性コアに融合、又は結合できる。このグループ(group)の中に含まれる[もの]には、次の一般的な構造を有するステロイド性アルカロイドがある:



【0012】
また、ステロイド性化合物は、デス‐アナログ(des-analogs)を含み、これは、4つの融合環の1つを欠く。(例えば、6,6,5環系)。
【0013】
一般的に、本願発明に従って還元されるエノンは、ステロイド性化合物のA環に存在する。ケトンカルボニルは、(原子価が許す限り)A環の任意の炭素に結合することができ、そして1つ以上の二重結合が環の中に存在することができる。例えば、エノンは、以下の立体配置のいずれかを有することができる:

【0014】
A環を左側にしてステロイド環を表記した場合に(以下に示す様な場合に)、環に結合する原子又は基(group)が該紙面の下方に位置すれば、該原子又は基はαと称され、該紙面の上方に位置すれば、該原子又は基はβと称される:

【0015】
ステロイド性主鎖における炭素のいずれかは、置換基(substituents)を有することができる。例示的な置換基は、水素、任意的に置換されるアルキル、任意的に置換されるアルケニル、任意的に置換されるアルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、任意的に置換されるアルコキシル、任意的に置換されるアミノ、任意的に置換されるアミド、任意的に置換されるアリール、任意的に置換されるヘテロアリール、カルボニル、カルボキシル、任意的に置換されるエーテル、任意的に置換されるチオエーテル、任意的に置換されるアルキルスルホニル、任意的に置換されるアリールスルホニル、任意的に置換されるケトン、任意的に置換されるエステルなどを含む。
【0016】
ステロイド性化合物は、天然に生じるもの、半合成的な(semi-synthetic)もの、又は全合成的なものであり得る。エノン部分(enone moiety)は、天然に生じるステロイド性化合物(例えば、テストステロン)に存在することができ、又は合成的に導入することができる(例えば、以下に表される様なシクロパミン(cyclopamine)のエノン):

【0017】
エノン部分を有するステロイド性化合物の例、又は修飾して、エノン部分を含ませることができるステロイド性化合物の例は、コレスタン、コラン、プレグナン、アンドロスタン、エストランジ(estranges)、プロゲスターゲン(progestagens)、ブラシノステロイド、ブファジエノリド(bufadienolides)、カルデノリド、ククルビタシン、エクジステロイド、サポゲニン、ステロイドアルカロイド、アナボリックステロイド、ウィザステロイド(withasteroids)、胆汁酸、ホルモン性ステロイド(hormonal steroids)(例えば、性ホルモン、コルチコステロイド(corticosteroids)、ニューロステロイド(neurosteroids))、糖質コルチコイド、鉱質コルチコイドなどを含むが、これらに限定されない。例は、以下の一般的な構造を有する化合物を含む:


【0018】
本発明に従って還元することができる更なるステロイド性化合物の例は、式Aの化合物又はその医薬的に許容可能な塩を含む。

(式A中、
及びRは、それらが結合する炭素と一緒になって、カルボニルを形成し;
は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ハライド、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、ヒドロキシル、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、アラルキルアミノ、ニトロ、アシルチオ、カルボキサミド、スルホンアミド、カルボキシル、ニトリル、スルフェート、‐OP(L)(OR20、‐X‐C(L)‐R21、又は‐X‐C(L)‐X‐R21であり;
Xは、O又はNR(ここで、Rは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、又はアラルキル)であり;
Lは、O又はSであり;
は、H、アルキル, アルケニル, アルキニル, アリール, シクロアルキル, ヘテロシクロアルキル, アラルキル, アルコキシル, アリールオキシ, アシルオキシ, ハライド, スルフヒドリル, アルキルチオ, アリールチオ, アラルキルチオ, ヒドロキシル, アミノ, アルキルアミノ, アリールアミノ, アシルアミノ,アラルキルアミノ, ヘテロアリール, 又はヘテロアラルキルであり;
及びRは、一緒になって二重結合を形成し;
10及びR11は、一緒になって二重結合を形成するか、又は式1bにより表わされる基を形成し

12は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ハロアルキル、アルコキシル、‐C(O)R21、‐CO21、‐SO21、‐C(O)N(R21)(R21)、‐[C(R21‐R21、‐[(W)‐N(R21)C(O)]21、‐[(W)‐C(O)]qR21、‐[(W)‐C(O)O]21、‐[(W)‐OC(O)]21、‐[(W)‐SO21、‐[(W)‐N(R21)SO21、‐[(W)‐C(O)N(R21)]21、‐[(W)‐O]21、‐[(W)‐N(R21)]21、又は‐[(W)‐S]21であり(ここで、Wはジラジカルであり、かつ、qは、1、2、3、4、5、又は6である);
15、R16、及びR17は、独立して、H、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、ハライド、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、アラルキルアミノであるか、又は、R15及びR16は、それらが結合する炭素と一緒になって、‐C(O)‐、又は‐C(S)‐を形成し;
18及び、R19は、独立して、H、アルキル、アラルキル、ハライド、アミド、又はエステルであり;
[前記R、下記R21及びR25中、]R20は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアラルキルであるか、又は、同一の置換基上の任意の2つのR20は、一緒になって、4‐8員環の任意的に置換される環を形成することができ;
[前記R、R12、前記式1bのZ、及び下記R23中、]R21は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、又は‐[C(R20‐R25(pは、0‐6)であるか、又は、同一の置換基上の任意の2つのR21は、一緒になって、4‐8員の任意的に置換される環を形成することができ;
[前記式1bのZ中、]R23は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ハライド、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、シリルオキシ、ニトリル、‐C(O)R21、‐CO21、‐SO21、及び‐C(O)N(R21であり;そして、
[前記R21中、]R25は、ヒドロキシル、アシルアミノ、‐N(R20)COR20、‐N(R20)C(O)OR20、‐N(R20)SO(R20)、‐COR20N(R20、‐OC(O)R20N(R20)(R20)、‐SON(R20)(R20)、‐N(R20)(R20)、‐COOR20、‐C(O)N(OH)(R21)、‐OS(O)OR20、‐S(O)OR20、‐OP(L)(OR20)(OR20)、‐NP(O)(OR20)(OR20)、又は‐P(O)(OR20)(OR20)である。)
【0019】
本発明に従って還元することができる更なるステロイド性化合物の例は、式Bの化合物又はその医薬的に許容可能な塩を含む。

(式B中、
及びRは、それらが結合する炭素と一緒になって、カルボニルを形成し;
は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ハロアルキル、‐OR、‐C(O)R、‐CO、‐SO、‐C(O)N(R)(R)、‐[C(R)‐R、‐[(W)‐N(R)C(O)]、‐[(W)‐C(O)]、‐[(W)‐C(O)O]、‐[(W)‐OC(O)]、‐[(W)‐SO、‐[(W)‐N(R)SO、‐[(W)‐C(O)N(R)]、‐[(W)‐O]、‐[(W)‐N(R)]、‐W‐NR、又は‐[(W)‐S]であり;
[前記R中、]
各Wは、独立して、ジラジカルであり;
各qは、独立して1、2、3、4、5、又は6であり;
は、ハライドであり;
各Rは、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、又は‐[C(R)‐R(ここで、pは、0‐6)であるか、 又は、任意の2つのRは、一緒になって、N、O、S、及びPから選択される0‐3個のヘテロ原子を含む4‐8員の任意的に置換される環を形成でき;
[前記R中、]各Rは、独立して、ヒドロキシル、‐N(R)COR、‐N(R)C(O)OR、‐N(R)SO(R)、‐C(O)N(R)、‐OC(O)N(R)(R)、‐SON(R)(R)、‐N(R)(R)、‐COOR、‐C(O)N(OH)(R)、‐OS(O)OR、‐S(O)OR、‐OP(O)(OR)(OR)、‐NP(O)(OR)(OR)、又は‐P(O)(OR)(OR)であり;
各Rは、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、又はアラルキルである。)
【0020】
本発明に従って還元することができる化合物の例は、[以下の化合物]及びそれらの医薬的に許容可能な塩を含む:



【0021】
1つの視点において、本発明は、式II及び式IIIの化合物の混合物、又は式II及び式IIIの化合物の医薬的に許容可能な塩の混合物を生成する方法であって、下記のステップを含むことを特徴とする方法を提供する。

(式II及び式III中、
nは、0又は1であり;
30は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ハロアルキル、‐OR31、‐C(O)R31、‐CO31、‐SO31、‐C(O)N(R31)(R31)、‐[C(R)‐R31、‐[(W)‐N(R)C(O)]31、‐[(W)‐C(O)]31、‐[(W)‐C(O)O]31、‐[(W)‐OC(O)]、‐[(W)‐SO31、‐[(W)‐N(R31)SO31、‐[(W)‐C(O)N(R31)]31、‐[(W)‐O]31、‐[(W)‐N(R)]31、‐W‐(NR31、又は‐[(W)‐S]31であり;
[前記R30中、]
Wは、それぞれ独立して、アルキレン基であり;
qは、それぞれ独立して、1、2、3、4、5、又は6であり;
は、ハライドであり;
31は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、又は‐[C(R)p‐R32であるか、又は、任意の2つのR31は、それらが結合する原子と一緒になって、N、O、及びSから選択される0‐3個のヘテロ原子を含む任意的に置換される4‐8員環を形成し;
[前記R31中、]
pは、0‐6であり;
各R32は、独立して、ヒドロキシル、‐N(R)COR、‐N(R)C(O)OR、‐N(R)SO(R)、‐C(O)N(R)、‐OC(O)N(R)(R)、‐SON(R)(R)、‐N(R)(R)、‐COOR、‐C(O)N(OH)(R)、‐OS(O)OR、‐S(O)OR、‐OP(O)(OR)(OR)、‐NP(O)(OR)(OR)、又は‐P(O)(OR)(OR)であり;そして、
各Rは、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、又はアラルキルである。)
[当該生成方法に含まれるステップとは、]触媒及び置換ピリジンの存在下において、溶媒中で、水素ガスを用いて、下記式IV:

の化合物の溶液もしくは懸濁液、又は式IVの化合物の医薬的に許容可能な塩の溶液もしくは懸濁液を処理するステップである。いくつかの実施形態において、式IIIの化合物と比較して、より多くの(excess)式IIの化合物が生成される(例えば、式IIIの化合物に対する式IIの化合物の比率(式IIの化合物:式IIIの化合物)は、少なくとも、およそ2:1、およそ3:1、およそ5:1、およそ10:1、およそ20:1、およそ25:1、およそ30:1、およそ40:1、およそ50:1、およそ60:1、およそ70:1、およそ80:1、およそ90:1、およそ95:1、又はおよそ99:1よりも大きい)。置換ピリジンは、3‐置換ピリジンであり得る(例えば、3‐ピコリン、3‐メトキシピリジン、3‐エチルピリジン、3‐n‐ブチルピリジン、3‐イソブチルピリジン、3‐ヒドロキシピリジン、3‐アミノピリジン、又は3‐ジメチルアミノピリジン)。いくつかの実施形態において、溶媒は、置換ピリジンである(例えば、3‐ピコリン)。触媒は、パラジウム触媒であり得る(例えば、炭素担持のパラジウム)。いくつかの実施形態において、nは、0であり、すなわち、式IVの化合物は、次の構造を有する:

他の実施形態において、nは、1であり、すなわち、式IVの化合物は、次の構造を有する:

いくつかの実施形態において、R30は、Hであり、すなわち、式IVの化合物は、次の構造のうち1つを有する:

【0022】
いくつかの実施形態において、式IV、II及び、IIIの化合物は、次の絶対的な立体化学(absolute chemistry[sic, absolute stereochemistry])を有する:

【0023】
他の視点において、本発明は、式V及びVIの化合物の混合物、又は式V及びVIの化合物の医薬的に許容可能な塩の混合物を生成する方法であって、下記のステップを含むことを特徴とする方法を提供する。

[当該生成方法に含まれるステップとは、]パラジウム触媒及び置換ピリジンの存在下において、溶媒中で、水素ガスを用いて、式VII:

の化合物の溶液もしくは懸濁液、又は式VIIの化合物の医薬的に許容可能な塩の溶液もしくは懸濁液を処理するステップである。いくつかの実施形態において、式VIの化合物と比較してより多くの式Vの化合物が生成される(式VIの化合物に対する式Vの化合物の比率(式Vの化合物:式VIの化合物)は、少なくとも、およそ2:1、およそ3:1、およそ5:1、およそ10:1、およそ20:1、およそ25:1、およそ30:1、およそ40:1、およそ50:1、およそ60:1、およそ70:1、およそ80:1、およそ90:1、又はおよそ95:1であり;又は、およそ99:1よりも大きい)。置換ピリジンは、3‐置換ピリジンであり得る(例えば、3‐ピコリン、3‐メトキシピリジン、3‐エチルピリジン、3‐n‐ブチルピリジン、3‐イソブチルピリジン、3‐ヒドロキシピリジン、3‐アミノピリジン、又は、3‐ジメチルアミノピリジン)。あるいは、置換ピリジンは、4‐置換ピリジンであり得る(例えば、4‐ピコリン、4‐メトキシピリジン、4‐アミノピリジン、又は4‐ジメチルアミノピリジン)。いくつかの実施形態において、溶媒は、置換ピリジンである(例えば、3‐ピコリン)。触媒は、パラジウム触媒であり得る(例えば、炭素担持のパラジウム)。該方法は、酸水溶液(例えば、HCl、HBr、HI、HSO、HPO、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸(toluenesufonic acid[sic, toluenesulfonic acid])、クエン酸、安息香酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グルコン酸、乳酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、又は酒石酸)を加える更なるステップ、そして、式V及び/又はVIの化合物の塩を分離する更なるステップを含むことができる。いくつかの実施形態において、式V及び/又はVIの化合物のクエン酸塩が調製され、そして分離される。
【0024】
他の視点において、本発明の方法は、式IX及びXの化合物、そして、[式IX及びXの化合物]の混合物を提供する。

(式[IX及びX]中、
は、医薬的に許容可能な酸のコンジュゲートベース(conjugate base)である(例えば、塩化物イオン(ないしは、塩化物)、臭化物イオン(ないしは、臭化物)、硫酸イオン(ないしは、硫酸塩)、メタンスルホン酸イオン(ないしは、メタンスルホン酸塩)又は、クエン酸イオン(ないしは、クエン酸塩))。いくつかの実施形態において、Xは、クエン酸イオンである。式IX及びXの化合物が混合物に存在する場合、式Xの化合物と比較してより多くの式IXの化合物が存在し得る。例えば、式Xの化合物に対する式IXの化合物の比率(式IXの化合物:式Xの化合物)は、少なくとも、およそ2:1、およそ3:1、およそ5:1、およそ10:1、およそ20:1、およそ25:1、およそ30:1、およそ40:1、およそ50:1、およそ60:1、およそ70:1、およそ80:1、およそ90:1、およそ95:1、又はおよそ99:1より大きい[比率]であり得る。
【0025】
他の視点において、本発明は、式XVの化合物を生成する方法であって、下記のステップ(a)〜(e)を含むことを特徴とする方法を提供する。

ステップ(a):式IXの化合物をアミン保護試薬で処理して、式XIの化合物を生成するするステップ。

(式IX中、Xは、医薬的に許容可能な塩のコンジュゲートベース(例えば、塩化物イオン、臭化物イオン、硫酸イオン、メタンスルホン酸イオン、又はクエン酸イオン)である。)

(式XI中、PGは、アミン保護基(amine protecting group)である。)
ステップ(b):式XIの化合物を還元剤で処理して、式XIIのアルコールを生成するステップ

ステップ(c):式XIIのアルコールを式XIIIのアミンに変換するステップ

ステップ(d):式XIIIのアミンをスルホニル化剤(sulfonylating agent)(例えば、メタンスルホニルクロリド)で処理し、式XIVのスルホンアミドを生成するステップ



ステップ(e):式XIVの化合物のアミンを脱保護し、式XVの化合物を生成するステップ。
【0026】
保護基(PG)は、カルバメート(carbamates)(例えば、カルボベンジルオキシ(Cbz)、t‐ブチルオキシカルボニル(BOC)、アリールオキシカルボニル(Alloc)、9‐フルオレニルメチル(9-fluoenylmethyl[sic, 9-fluorenylmethyl]:Fmoc)など)、アミド‐形成基(例えば、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンゾイルなど)、シリル基、及びベンジルを含む、本発明の技術分野において知られる任意の適切なアミン保護基であり得る。適切なアミン保護試薬は、塩化物、酸塩化物、無水物(混合無水物を含む)、及びアミンと反応し保護基を供給する(deliver)他の活性種(activated species)を含む。例は、BOC‐Cl、(BOC)O、Cbz‐Cl、(Cbz)O、Cbz‐O‐ベンゾトリアゾール、Alloc‐Cl、(Alloc)O、Fmoc‐Cl、(Fmoc)O、ベンジルクロリドなどを含む。例えば、Greene著、Protective Groups in Organic Synthesis参照。
【0027】
ステップ(b)において、還元剤は、ケトンをアルコールに還元する、[本発明の]技術分野において知られる任意の還元剤であり得る。適切な還元剤の例は、ホウ素還元剤(boron reducing agents)(例えば、水素化トリ‐sec‐ブチルホウ素カリウム(potassium tri-sec-butylborohydride)、水素化ホウ素ナトリウム(sodium borohydride))、及び金属水素化物(metallic hydrides)(例えば、水素化リチウムアルミニウム(lithium aluminum hydride))を含む。例えば、March著、Advanced Organic Chemistry参照。
【0028】
ステップ(c)は、以下のステップ(1)〜(3)を含むことができる。
ステップ(1):アルコールを脱離基(leaving group (LG))に変換し、式XVIの化合物を生成するステップ。

(式XVI中、LGは、脱離基である。)
ステップ(2):[ステップ(1)の]次に、式XVIの化合物をアジド試薬で処理し、式XVIIの化合物を生成するステップ

ステップ(3):式XVIIの化合物を還元剤で処理して、式XIIIのアミンを形成するステップ。
【0029】
脱離基(LG)は、スルホン酸基(例えば、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸など)、ハロゲン(例えば、Cl、Br)、又は[本発明の]技術分野において知られる任意の他の適切な脱離基であり得る。脱離基は、対応するスルホニルクロリド(例えば、メタンスルホニルクロリド)、又は酸ハライド(例えば、HBr)で処理することにより形成することができる。例えば、March著、Advanced Organic Chemistry参照。
【0030】
アジド試薬は、例えば、アジ化ナトリウム(ナトリウムアジド)、アジ化カリウム(カリウムアジド)、メタンスルホニルアジド、p‐トルエンスルホニルアジド、p‐アセトアミドベンゼンスルホニルアジド、4‐カルボキシベンゼンスルホニルアジド、p‐ドデシルベンゼンスルホニルアジド、又はトリメチルシリルアジドであり得る。例えば、March著、Advanced Organic Chemistry参照。いくつかの実施形態において、アジド試薬は、アジ化ナトリウムである。
【0031】
[本発明の]技術分野において知られる任意の適切な還元剤を使用することができ、式XVIIの化合物のアジドを、式XIIIのアミンに還元する。還元剤の例は、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム、及びトリフェニルホスフィンを含む。また、アジドは、触媒的水素化(catalytic hydrogenation)によりアミンに還元することができる。例えば、March著、Advanced Organic Chemistry参照。いくつかの実施形態において、トリフェニルホスフィンの使用により、アジドは還元される。
【0032】
アミン保護基(PG)は、[本発明の]技術分野において知られる一般的な条件(ないしは、一般的な環境)(conditions)により取り除くことができる。個々の脱保護の条件(ないしは、環境)は、保護基の特性に依存して変化する。例えば、Cbz基は、触媒(例えば、Pd/C又はパラジウムブラックの様なパラジウム触媒)及び水素ガス、又は他の水素供与体(例えば、シクロヘキセン、1,4‐シクロヘキサジエン、ギ酸)を使用する水素化により取り除くことができる。例えば、Greene著、Protective Groups in Organic Synthesis参照。
【0033】
式IXの化合物から式XVの化合物の合成における1つ以上のステップの順番(オーダー)の変化が結果的に式XVの化合物の完全なる合成に至る場合には、当該ステップの順番を変更することができる。例えば、アミン保護基(PG)の導入は、式XVIIのアジドを還元して式XIIIのアミンを生成するの前の、合成の如何なる時(もしくは、過程)でも生じさせることができる。式IXの化合物を、還元剤で処理し、式XIIaのアルコールを生成することができる:

その後、式XIIaの化合物を、アミン保護剤で処理し、式XIIの化合物を形成し、あるいは、式XIIaの化合物のアルコール部分を、脱離基に変換し、式XVIaの化合物を生成することができる:

その後、式XVIaの化合物をアミン保護剤で処理し、式XVIの化合物を形成することができる。あるいは、式XVIaの化合物をアジド試薬で処理し、式XVIIaの化合物を生成することができる:

その後、式XVIIaの化合物をアミン保護基で処理し、式XVIIの化合物を形成することができる。
【0034】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、式XVの化合物を酸で処理し、式XIXの化合物を生成するステップを更に含む。

(式[XIX]中、Xは、医薬的に許容可能な酸のコンジュゲートベースである(例えば、塩化物イオン、臭化物イオン、硫酸イオン、メタンスルホン酸イオン、又はクエン酸イオン)。いくつかの実施形態において、酸は、HClであり、そしてXは、塩化物イオンである。)
【0035】
いくつかの実施形態において、式XVの化合物は、次の絶対的な立体化学(absolute stereochemistry)を有する:

【0036】
他の実施形態において、本発明の方法は、次の絶対的な立体化学を示す構造を有する化合物の混合物を生成する:

いくつかの場合には、式XVaの化合物は、式XVbの化合物より多く生成される(例えば、式XVbの化合物に対する式XVaの化合物の比率(式XVaの化合物:式XVbの化合物)は、およそ2:1、およそ3:1、およそ5:1、およそ10:1、およそ20:1、およそ25:1、およそ30:1、およそ40:1、およそ50:1、およそ60:1、およそ70:1、およそ80:1、およそ90:1、およそ95:1、又は、およそ99:1よりも大きい)。
【0037】
他の視点において、本発明は、式Vの化合物又はその医薬的に許容可能な塩と、式2aの化合物又はその医薬的に許容可能な塩との混合物を提供する:


いくつかの実施形態において、式2aの化合物は、およそ10%未満、およそ5%未満、およそ2%未満、およそ1%未満、およそ0.5%未満、およそ0.1%未満、又はおよそ0.01%未満で存在する。
【0038】
他の視点において、本発明は、式Vの化合物又はその医薬的に許容可能な塩と、式2bの化合物又はその医薬的に許容可能な塩との混合物を提供する:



いくつかの実施形態において、式2bの化合物は、およそ10%未満、およそ5%未満、およそ2%未満、およそ1%未満、およそ0.5%未満、およそ0.1%未満、又はおよそ0.01%未満で存在する。
【0039】
更に、他の視点において、本発明は、式Vの化合物又はその医薬的に許容可能な塩と、式2cの化合物又はその医薬的に許容可能な塩との混合物を提供する:



いくつかの実施形態において、式2cの化合物は、およそ10%未満、およそ5%未満、およそ2%未満、およそ1%未満、およそ0.5%未満、およそ0.1%未満、又はおよそ0.01%未満で存在する。
【0040】
他の視点において、本発明は、式V及びVIの化合物又は式V及びVIの化合物の医薬的に許容可能な塩と、式2a、2b、2cの化合物又はそれらの医薬的に許容可能な塩の[中の]1つとの混合物を提供する:

いくつかの実施形態において式2a、2b、2cの化合物は、およそ10%未満、およそ5%未満、およそ2%未満、およそ1%未満、およそ0.5%未満、およそ0.1%未満、又はおよそ0.01%未満で存在する。
【0041】
他の視点において、本発明は、式XVaの化合物又はその医薬的に許容可能な塩と、式2a、2b、2cの化合物又はそれらの医薬的に許容可能な塩の中の1つとの混合物を提供する:

いくつかの実施形態において、式2a、2b、2cの化合物は、およそ10%未満、およそ5%未満、およそ2%未満、およそ1%未満、およそ0.5%未満、およそ0.1%未満、又はおよそ0.01%未満で存在する。いくつかの実施形態において、医薬的に許容可能な塩は、塩酸塩である。
【0042】
用語「ヘテロ原子(heteroatom)」は、炭素又は水素以外の任意の元素(element)の原子を意味する。例示的なヘテロ原子は、窒素、酸素、及び硫黄を含む。
【0043】
用語「アルキル」は、飽和脂肪族基を意味し、直鎖アルキル基、分枝鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル基、及びシクロアルキル置換アルキル基を含む。ある実施形態において、直鎖又は分枝鎖アルキルは、およそ10個以下の炭素原子を、その主鎖に有する(例えば、直鎖ではC‐C10、分枝鎖ではC‐C10)。ある実施形態において、直鎖又は分枝鎖アルキルは、およそ6個以下の炭素原子を、その主鎖に有する(例えば、直鎖ではC‐C、分枝鎖ではC‐C)。シクロアルキルは、それらの環構造におよそ3からおよそ10個の炭素原子を有し、例えば、その環構造におよそ3、4、5、6又は7個の炭素を有する。アルキル基は、特段の断りの無い限り、1個以上の水素を適切な置換基で置き換えることにより任意的に置換することができる。アルキル基に関する適切な置換基は、ハロゲン、=O、=N‐CN、=N‐OR´、=NR´、OR´、NR´、SR´、SOR´、SONR´、NR´SOR´、NR´CONR´、NR´COOR´、NR´COR´、CN、COOR´、CONR´、OOCR´、COR´、及びNOを含み、ここで、各R´は、独立して、H、C‐Cアルキル、C‐Cヘテロアルキル、C‐Cアシル、C‐Cヘテロアシル、C‐C10アリール、C‐C10ヘテロアリール、C‐C12アリールアルキル、又はC‐C12ヘテロアリールアルキルであり、各R´は、ハロ、C‐Cアルキル、C‐Cヘテロアルキル、C‐Cアシル、C‐Cヘテロアシル、ヒドロキシ、アミノ、及び=Oから選択される1つ以上の基で任意的に置換することができ、そして、ここで、同一置換基又は隣接する原子上の、2つのR´は連結(linked)して、N、O、及びSから選択される3個までのヘテロ原子を任意的に含む3−7員環を形成することができる。
【0044】
炭素の数に特に断りのない限り、「低級アルキル」は、前記定義の様なアルキル基を意味し、1から6個の炭素原子を主鎖構造に有する。同様に、「低級アルケニル」及び「低級アルキニル」は類似の鎖長を有する。
【0045】
用語「アルケニル」及び「アルキニル」は、それぞれ、少なくとも1つの二重又は三重結合を含む直鎖もしくは分枝鎖不飽和脂肪族基を意味し、そして二重結合及び三重結合の両方の混合[基]を含むことができる。アルケニル及びアルキニル基は、およそ10個以下の炭素原子をそれらの主鎖に有する(例えば、直鎖ではC‐C10、そして分枝鎖ではC‐C10)。ある実施形態において、アルケニル及びアルキニル基は、およそ6個以下の炭素原子をその主鎖に有する(例えば、直鎖ではC‐C、そして分枝鎖ではC‐C)。アルケニル及びアルキニル基は、アルキル基に関して上述の置換基と同一のものにより、任意的に置換することができる。
【0046】
用語「アリール」は、0から4個のヘテロ原子を含むことができる5、6、及び7員の単環(single-ring)芳香族基を意味する。アリールの例は、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ピレン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、及びピリミジンなどを含む。また、ヘテロ原子を環構造に有するアリール基は、「ヘテロアリール」と称される。[単環芳香族基の]芳香環は、1以上の環位置において、前記の様な置換基(例えば、ハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族もしくは複素芳香族部分(moieties)、‐CF、‐CN、または同種のもの)で置換することができる。また、用語「アリール」は、融合多環式環系(fused polycyclic ring systems)をも含み、ここで、少なくとも1つの環は芳香族であり、例えば、他の環式環(複数)は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、及び/又はヘテロシクリルであり得る。
【0047】
用語「アラルキル」は、アリール基(例えば、芳香族又は複素芳香族基)で置換されたアルキル基を意味する。
【0048】
用語「複素環(heterocycle)」、「ヘテロアリール(heteroaryl)」又は「複素環式基(heterocyclic group)」は、3から10員環構造を意味し、あるいは、環構造に1から4個のヘテロ原子を含む3から7員の環構造を意味する。また複素環は、多環(polycycles)であり得る。ヘテロシクリル基(heterocyclyl groups)は、例えば、チオフェン、チアントレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサンテン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソチアゾール、イソキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、ピリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フェナルサジン、フェノチアジン、フラザン、フェノキサジン、ピロリジン、オキソラン、チオラン、オキサゾール、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ラクトン;アゼチジノン及びピロリジノンの様なラクタム;スルタム、スルトンなどを含む。複素環式環は1以上の位置で、前記の様な置換基(例えば、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族又は複素芳香族部分、‐CF、‐CN、または同種のもの)で置換することができる。
【0049】
用語「炭素環」は、環の中の各原子が炭素である、芳香族又は非芳香族環を意味する。
【0050】
用語「アミン」、「アミノ」及び「アンモニウム」は、非置換型及び置換型のアミンの両方(例えば、以下の一般式により表すことができる部分(moiety))を意味する。

(この式中、R50、R51、R52は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、‐(CH‐R61(ここで、R61はアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環、又は多環を表し、mは0又は1から8の範囲の整数である)を表すか、又はR50及びR51は、それらが結合するN原子と一緒になって、環構造に4から8個までの原子を有する複素環を完成し、当該4から8個までの原子の1個以上は、N、O、及びSから選択される追加のヘテロ原子であり得る。)他の実施形態では、R50及びR51(及び任意的にR52)は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、又は‐(CH‐R61を表す。従って、用語「アルキルアミン」は、そこに結合する置換又は非置換アルキルを有する、前記定義の様なアミン基を含む(すなわち、少なくともR50及びR51の1つは、アルキル基である。)
【0051】
用語「アシルアミノ」は、以下の一般式により表すことができる部分を意味する。

(この式中、R50は、前記定義の様な[基]であり、そして、R54は、水素、アルキル、アルケニル、又は‐(CH‐R61を表し、ここで、m及びR61は、前記で定義されるとおりである。)
【0052】
用語「アミド」は、アミノ置換カルボニル(amino-substituted carbonyl)を意味し、そして、以下の一般式により表すことができる部分を含む。

(この式中、R50及びR51は、前記定義の様な[基]である。)本発明における、あるアミドの実施形態は、不安定であり得るイミドを含まないだろう。
【0053】
用語「アルキルチオ」は、そこに結合した硫黄ラジカルを有する前記定義の様なアルキル基を意味する。ある実施形態において、「アルキルチオ」部分(moiety)は、‐S‐アルキル、‐S‐アルケニル、‐S‐アルキニル、及び‐S‐(CH‐R61の1つにより表わされ、ここで、m及びR61は前記で定義されるとおりである。代表的なアルキルチオ基は、メチルチオ、エチルチオなどを含む。
【0054】
用語「カルボキシル」は、以下の一般式により表すことができる様な部分を意味する。

(この式中、X50は、結合であるか、酸素又は硫黄を表し、そして、R55及びR56は、水素、アルキル、アルケニル、‐(CH‐R61、又は医薬的に許容可能な塩を表し、R56は、水素、アルキル、アルケニル、又は‐(CH‐R61(ここで、m及びR61は、前記で定義されるとおりである)を表す。X50が酸素であり、かつ、R55又はR56が水素でない場合、この式は、「エステル」を表す。X50が酸素であり、かつ、R55が前記定義の様な[基]である場合には、この部分は、本願では、カルボキシル基と称し、特に、R55が水素である場合には、この式は、「カルボン酸」を表す。X50が酸素であり、かつ、R56が水素である場合、この式は、「ホルメート(ないしは、ギ酸エステル、ギ酸イオン、ギ酸塩:formate)」を表す。一般的に、前記式の酸素原子が硫黄により置き換えられる場合には、この式は、「チオールカルボニル基(thiolcarbonyl group)」を表す。X50が硫黄であり、かつ、R55又はR56が水素でない場合には、この式は、「チオールエステル(thiolester)」を表す。X50が硫黄であり、かつ、R55が水素である場合には、この式は、「チオールカルボン酸(thiolcarboxylic acid)」を表す。X50が硫黄であり、かつ、R56が水素である場合には、この式は、「チオールホルメート(thiolformate)」を表す。一方で、X50が結合であり、かつ、R55が水素でない場合には、この式は、「ケトン」基を表す。X50が結合であり、かつ、R55が水素である場合には、この式は、「アルデヒド」基を表す。)
【0055】
用語「カルバモイル」は、‐O(C=O)NRR´(ここで、R及びR´は、独立してH、脂肪族基、アリール基、又はヘテロアリール基である)を意味する。
【0056】
用語「オキソ」は、カルボニル酸素(=O)を意味する。
【0057】
用語「アルコキシル」又は、「アルコキシ」は、[本発明の]技術分野で認識されており(art-recognized)、そして、そこに結合する酸素ラジカルを有する前記定義の様なアルキル基を意味する。代表的なアルコキシル基は、メトキシ、エトキシ、プロピロキシ、tert‐ブトキシなどを含む。「エーテル」は、酸素によって共有的に連結された2つの炭化水素である。従って、アルキルの置換基([当該]アルキルをエーテルにする置換基)は、‐O‐アルキル、‐O‐アルケニル、‐O‐アルキニル、‐O‐‐(CH‐R61(ここで、m及びR61は、前記で定義されるとおりである)の1つにより表わすことができるアルコキシルであるか、当該アルコキシルに類似する。
【0058】
用語「スルホネート(sulfonate)」は、[本発明の]技術分野で認識されており、そして、次の一般式により表すことができる部分を意味する。

(この式中のR57は、電子対、水素、アルキル、シクロアルキル、又はアリールである。)
【0059】
用語「スルフェート(sulfate)」は、[本発明の]技術分野で認識されており、そして、次の一般式により表すことができる部分を含む。

(この式中のR57は、前記定義の様な[基]である。)
【0060】
用語「スルホンアミド(sulfonamido)」は、[本発明の]技術分野で認識されており、次の一般式により表すことができる部分を含む

(この式中のR50及びR56は、前記定義の様な[基]である。)
【0061】
用語「スルファモイル(sulfamoyl)」は、[本発明の]技術分野で認識されており、そして、次の一般式により表すことができる部分を意味する

(この式中のR50及びR51は、前記定義の様な[基]である。)
【0062】
用語「スルホニル(sulfonyl)」は、[本発明の]技術分野で認識されており、そして、次の一般式により表すことができる部分を意味する。

(この式中のR58は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールの1つである。)
【0063】
用語「スルホキシド(sulfoxido)」は、[本発明の]技術分野で認識されており、そして、次の一般式により表すことができる部分を意味する。

(この式中のR58は、前記定義される[基]である。)
【0064】
例えば、アルキル、m、nなどの各表現の定義は、任意の構造において1回を超えて現れる場合、同じ構造の他の所での定義とは独立であるものとする。
【0065】
「置換」又は「で置換された」とは、この様な置換が、置換される原子及び置換基の許容される原子価に従い、そしてこの置換が、安定な(例えば、再配列、環化、除去、又は他の反応による様な変換を自然に起こさない)化合物をもたらすという暗黙の条件を含むことが理解される。
【0066】
用語「置換された」も同様に、全ての許容可能な有機化合物の置換基を含むことが考えられる。幅広い視点において、この許容可能な置換基は、非環式及び環式の[置換基]、分岐及び非分岐の[置換基]、炭素環式及び複素環式の[置換基]、有機化合物の芳香族及び非芳香族の置換基を含む。例示的な置換基は、例えば、本願において上述の[置換基]を含む。許容可能な置換基は、1つ以上であり、そして、同一又は異なる適切な有機化合物であり得る。本発明においては、ヘテロ原子(例えば、窒素)は、水素置換基、及び/又はヘテロ原子の原子価を満たす本願に記載される有機化合物の任意の許容可能な置換基を有することができる。
【0067】
値の範囲(range)が本願に記載される場合、[この値の範囲は、]各値及び[この値の]範囲に含まれるサブ範囲(sub-range)を包含するものとする。例えば、「C1‐6アルキル」は、C、C、C、C、C、C、C1‐6、C1‐5、C1‐4、C1‐3、C1‐2、C2‐6、C2‐5、C2‐4、C2‐3、C3‐6、C3‐5、C3‐4、C4‐6、C4‐5、及びC5‐6アルキルを包含するものとする。
【0068】
本発明は、一般的に記載されており、以下の実施例の参照により、より容易に理解されるであろう。なお、下記の実施例は、単に本発明のある視点及び実施形態を示すために含まれ、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0069】
実験において、還元生成物がUV活性(UV active)であった場合、この生成物を確認(ないしは、同定)し、β/α比率を、HPLCの使用により決定した。一般的なHPLC法は、次の通りである:
カラム: シンメトリーC18 5μm カラム(symmetry C18 5um column)、4.6×150mm
溶媒A:0.1%トリフルオロ酢酸/水溶液(0.1% aqueous trifluoroacetic acid)
溶媒B:0.1%トリフルオロ酢酸/アセトニトリル溶液(0.1% trifluoroacetic acid in acetonitrile)
方法1

シグナル:215nm

方法2

シグナル:290nm
【0070】
実施例1:ステロイド性エノンの還元
一般的な方法:
ステロイド性エノン(100mg)及び炭素に担持された5%パラジウム(5% palladium on carbon)(ジョンソン・マッセイ タイプ A503023‐5、20mg (Johnson Matthey type A503023-5, 20mg))を反応容器にチャージし(charged)、1mLの溶媒(3‐ピコリン、ピリジン、又はTHF)を加えた。反応混合溶液を撹拌し、そして、吸引下で脱気することと水素でチャージすることを交互に、3回行った。反応混合溶液を、バルーン圧(balloon-pressure)の水素下で、HPLCが、反応が完了したことを示すまで、撹拌した。反応混合溶液をろ過し、そして、ろ液をLCMS及びHPLCにより分析した。還元生成物がUV活性であった場合において、β/α比率は、各生成物についてのHPLC曲線の下の面積(the area under the HPLC curve)を比較することにより決定した(各反応生成物の保持時間(retention time)は、既知の基準(standards)に対して比較した)。還元生成物がUV活性でなかった(例えば、還元されたテストステロン生成物)場合、LCMSピークを積分する(integrate)ことにより、β/α比率を決定した。結果を、以下の表1に概説する。

表1

シクロパミン エノンは、次の構造を有する:

**テストステロン還元生成物のβ/α比率は、LCMSにより決定した。
【0071】
これら結果は、3‐ピリジン溶媒[である]3‐ピコリンを使用するステロイド性化合物の触媒による還元は、概して、還元生成物のβ/α比率を増加させることを示す。選択性の増加が、プレドニゾン(prednisone)の還元においては見られなかったことが分かった。プレドニゾンの1,2‐エンは、4,5‐エンよりも、2倍近く速く還元されたことが観察された:

最初のエノンの還元の比率の差(ないし相違)は、十分に還元された生成物のβ/α選択性の低下の原因となり得る(そして、プレドニゾンとコルチゾンの間の選択性の相違[の原因ともなり得る])。
【0072】
実施例2:溶媒

一般的な方法:
式1の化合物(〜100mg)及びデグサ(Degussa) タイプ E101 炭素に担持した10%パラジウム(〜20mg)を反応容器にチャージし、1mLの溶媒を加えた。反応混合溶液を撹拌し、そして、吸引下で脱気することと水素(バルーン圧)でチャージすることを交互に、3回行った。反応混合溶液をバルーン圧の水素下で、HPLCが、反応が完了したことを示すまで撹拌した。反応混合溶液をろ過し、そして、ろ液をLCMS及びHPLCにより分析した。β/α比率は、各生成物についてのHPLC曲線下の面積を比較することにより決定した(各反応生成物の保持時間は、既知の基準に対して比較した)。
結果を、以下の表2に概説する。

表2

【0073】
これらの結果は、3‐置換ピリジン溶媒(例えば、3‐メトキシピリジン、3‐ピコリン、3‐エチルピリジン)での式1の化合物のエノン二重結合(enone double bond)の還元は、概して、特に、非置換ピリジン及び2‐置換ピリジン溶媒と比較して、還元生成物のβ/α比率を増加させることを示す。また、結果は、異性体(isomeric)ピリジン溶媒の中(among)で(例えば、2‐、3‐、4‐ピコリンの中や、2‐、3‐、4‐メトキシピリジンの中で)、3‐置換ピリジンは、β還元生成物のもっとも良い選択性を提供することも示す。
【0074】
実施例3:触媒
実験を、式1の化合物を基質として、3‐ピコリンを溶媒として使用し、前記実施例2で記載される様に行った。結果を、以下の表3に概説する。

表3

【0075】
これら結果は、置換ピリジン溶媒を使用することにより得られたβ選択性の増加は、様々な水素化触媒を採用する場合でも維持されることを示す。
【0076】
実施例4:共溶媒(Co-solvents)
実験を、純粋な(neat)3‐ピコリン又は10% 3‐ピコリン/THF溶液(v/v)(10% solution (v/v) of 3-picoline in THF)で、式1の化合物を基質として使用し、種々のパラジウム触媒を使用して、前記実施例2で記載される様に行った。結果を、以下の表4に概説する。

表4

【0077】
更なる実験を、純粋な4‐メトキシピリジン(4‐OMePy)又は、10% 4‐メトキシピリジン/共溶媒溶液(v/v)(a 10% solution (v/v) of 4-methoxypyridine in a co-solvent)において、式1の化合物を基質として使用し、デグサ タイプ E101 10% パラジウム(炭素担持)、又はパールマン触媒(水酸化パラジウム(炭素担持))を使用し、前記実施例2で記載される様に行った。結果を、以下の表5に概説する。

表5

【0078】
これらの結果は、純粋な置換ピリジンの溶媒としての使用が、概してもっとも高いβ/α生成物比率を生じるものの、置換ピリジンが共溶媒と合併して(in conjunction with)使用される場合でも、β還元生成物が優勢であり続ける(continues to be favored)ことを示す。加えて、これら結果は、共溶媒と水素化触媒の様々な組み合わせが採用される場合でも、β還元生成物が優勢であり続けることを示す。
【0079】
実施例5:共溶媒
実験を、純粋な4‐メトキシピリジン(4‐OMePy)、又は10% 4‐メトキシピリジン/共溶媒溶液(v/v)において、式1の化合物を基質として使用し、デグサ タイプ E101 10% パラジウム(炭素担持)を触媒として使用し、前記実施例2で記載される様に行った。
結果を、以下の表6に概説する。

表6

【0080】
これらの結果は、純粋な置換ピリジンの溶媒としての使用は、概してもっとも高いβ/α生成物比率を生じるものの、置換ピリジンが共溶媒と合併して使用される場合でも、β還元生成物が優勢であり続けることを示す。
【0081】
実施例6:副生成物(Side-products)
式2aの副生成物は、ピリジン存在下でのPd/Cを使用した式1の化合物の還元(物)から、HPLC及びLCMSにより確認された:

【0082】
同様に、式2bの副生成物及び式2cの副生成物は、それぞれ、4‐メトキシピリジン及び3‐ピコリン存在下で、Pd/Cを使用した式1の化合物の還元(物)から確認された

【0083】
副生成物の形成を研究するために、実験を、式1の化合物を基質として使用し、デグサ タイプ E101 10% パラジウム(炭素担持)を触媒として使用しつつ、溶媒を変更し、反応時間を延長して、前記実施例2で記載される様に行った。結果を、以下の表7に概説する(パーセンテージは、HPLCにより決定した)。

表7

【0084】
実施例7:式1の化合物の還元

式1の化合物(459mg)及びジョンソン‐マッセイ 5% パラジウム(炭素担持)(A503023−5、101mg)を適切な大きさの多ネック反応容器(multi neck reaction vessel)にチャージした。この容器を窒素でパージ(purged)し、そして3‐ピコリン(2.2g)を溶媒としてチャージした。撹拌を開始し、この容器を、先ず窒素を使用して脱気し、そして次に大気圧の水素下で8時間撹拌した。反応の終了時に、触媒を、0.2ミクロンメディアを通じたろ過によって取り除き、ACN(1.4ml)でリンスした。機械的な撹拌、内部温度プローブ、及び窒素雰囲気を備えたクリーンな(ないし清潔な)反応容器の中で、ろ液及びリンス(液)を合併(combine)した。
【0085】
クエン酸/水溶液(クエン酸:3.7g、水:9.2ml)を反応容器に30℃以下でチャージし、20℃、次に0℃でクエン酸塩として、溶液から還元された化合物が徐々に結晶化する様にした。結晶化生成物(crystalline product)を吸引ろ過により回収し、水(3.7ml)で洗浄した。乾燥後、水和物(3‐5wt% 水)として、89.5%収量(622mg)で、90:1のβ/α比率で、クエン酸塩を分離した。クエン酸塩は、環境温度で保存中は、白色を維持した。
【0086】
実施例8:式1の化合物の他の(alternate)還元法
本願で記載する様に、式1の化合物(20g)を、3‐ピコリン(200mL)中で、ジョンソン‐マッセイ 5% パラジウム(炭素担持)(A503023、4g)存在下、バルーン圧水素ガスで処理した。反応が7.5時間後に完了したと判断された場合、触媒をろ過により取り除き、そして、フラスコ及びろ過媒体(filtration media)をTHF(2×50mL)でリンスした。この溶液を濃縮し、THFを取り除き、そして、5℃の3N HCl(440mL)を加えた。ろ液入りフラスコを、THF溶液(20mL)、及び水(20mL)でリンスし、混合溶液のpHを3N HClで2.0に調節した。水(200mL)を加え、白色沈殿物を形成した。この固形物をビーカーに移し、メチル t‐ブチルエーテル(400mL)、及び飽和NaHCO/水溶液(400mL)を加えた。有機層を回収し、ろ過し、水層をメチル t‐ブチルエーテル(2×100mL)で抽出した。合併した有機層を水(2×200mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。このろ液を濃縮し、76:1のβ/α比率の固形のフリーベース(free-base)生成物(17.42g、87%)が生じた。
【0087】
実施例9:塩形成
A.還元生成物の合成
式1の化合物(30.0g)及びジョンソン‐マッセイ 5% パラジウム(炭素担持)(A503023、6.0g)を3000mL丸底フラスコにチャージし、そして3‐ピコリン(150mL)を加えた。撹拌を開始し、そして、このフラスコを吸引下で脱気することと窒素でチャージすることを、3回行った。バルーン圧水素雰囲気を維持しつつフラスコを8時間撹拌した。HPLCが、反応が完了していないことを示した場合、0.1gの追加の触媒を加え、反応溶液を水素下でさらに1.5時間撹拌した。触媒をろ過により取り除き、このろ液(164g)を、塩析の研究(salting study)のために、複数分画(portions)に分割した。
B.HCl塩の形成
アセトニトリル(3.0g)を5.5gのろ液に加えた。塩酸(17mLの3N 水溶液)を加えた。溶液のpHは、1.0であった。水(10g)を加え、混合溶液を1.5時間撹拌した。固形の沈殿物をろ過(ろ過時間2分52秒)し、乾燥させ、0.95g(87%)の白色固形物を生じた。この塩は、環境温度で保存中に、僅かにピンクに変化した。
C.HBr塩の形成
アセトニトリル(3.0g)を5.5gのろ液に加えた。臭化水素酸(28mLの3N 水溶液)を加えた。溶液のpHは、4.7であった。混合溶液を、1.5時間撹拌した。固形の沈殿物をろ過(ろ過時間1分20秒)し、乾燥させ、0.97g(82%)の白色固形物を生じた。この塩は、環境温度で保存中に、明るい茶色から黒に変化した。
D.HSO塩の形成
アセトニトリル(3.0g)を5.5gのろ液に加えた。硫酸(11mLの3N 水溶液)を加えた。溶液のpHは、1.5であった。水(16g)及び塩化ナトリウム(1.0g)を加え、混合溶液を、固形の沈殿物が形成されるまで撹拌した。固形物をろ過(ろ過時間3分23秒)し、乾燥させ、1.2g(97%)の白色固形物を生じた。この塩は、環境温度で保存中に、僅かにピンクに変化した。
E.メタンスルホン酸塩の形成
アセトニトリル(3.0g)を5.5gのろ液に加えた。メタンスルホン酸(17mLの3N 水溶液)を加えた。溶液のpHは、1.5であった。水(10g)及び臭化ナトリウム(1.73g)を加え、混合溶液を固形の沈殿物が形成されるまで撹拌した。固形物をろ過(ろ過時間2分35秒)し、乾燥させ、1.1g(83%)の白色固形物を生じた。この塩は、環境温度で保存中に、僅かにピンクに変化した。
【0088】
実施例7及び9に記載された、種々の塩生成実験の結果を、以下の表8に概説する。

表8

【0089】
実施例10:式42の化合物の合成

再結晶化したシクロパミン(2.07g)を適切な大きさの反応容器にチャージし、不活性雰囲気下に置いた。EtOAc(7.6g)、トリエチルアミン(1.53g)、及び
DMAP(307mg)を逐次的に加えた。懸濁液を40℃まで温めた。内部温度を45℃未満に維持しつつ、Cbz‐OBtを3部(three portions)で、90分かけて加えた。反応混合溶液を40℃で90分間撹拌した。メタノール(26.4g)を徐々に反応混合溶液に加える間、温度を維持した。結果として生じた懸濁液を室温まで冷却し、少なくとも15時間撹拌した。未精製の生成物をろ過によって回収し、メタノール(5g)でリンスした。白い固形物を吸引下で一定重量まで乾燥させ、ヘプタン(30.3g)及びトルエン(3.2g)から再結晶化し、式24aの化合物(3.0g)を得た。
【0090】

固形のビス(2,6‐ジメチルフェニル)ヒドロジェンホスフェート(bis(2,6-dimethylphenyl)hydrogenphosphate)、及び式24aの化合物を前乾燥し、窒素雰囲気下に置いた。純粋なジエチル亜鉛(722mg)をDCM(9.0g)が入った適切な大きさの反応容器にチャージした。このホスフェート/DCM溶液(DCM solutions of the phosphate)(ホスフェート:1.83g、DCM:17.9g)、及びIPI‐332690(1.34g in 3.6g)を逐次的に25℃以下で加えた。ジヨードメタン(1.58g)をチャージし、この反応溶液を28℃で4‐6時間撹拌した。反応溶液を−45℃まで冷却し、メタンスルホン酸/DCM溶液(メタンスルホン酸:566mg、DCM:1.5g)をチャージした。15分後、モルフォリン(1.711g)を加え、この混合溶液をオーバーナイトで室温まで温まる様にした。有機層を2N HCl(2×13.6g)で2回洗浄し、次に、逐次的に4.8wt%炭酸ナトリウム(水溶液)、4.8wt%亜硝酸ナトリウム(水溶液)及び4.8wt%鹹水(各13.6g)で洗浄した。有機層を乾燥し、ろ過し、4gまで濃縮し、イソプロパノール(4g)で希釈した。メタノール(9.3g)を徐々に添加することにより生成物を溶液から結晶化した。メタノールリンス[液](2.6g)を使用してろ過し、乾燥させ、1.09gの式24bの化合物(79%の分離収量)を得た。
【0091】

ジョンソンマッセイ Pd/C触媒 A‐305038‐5(890mg)、次に式24bの化合物(2.24g)を適切な大きさの反応容器にチャージした。反応容器をNでパージし、トルエン(21.8g)、及び2‐プロパノール(6.7g)を逐次的に加えた。システムを脱気し、そして窒素雰囲気下に置き、そしてこの工程を水素で繰り返した。このシステムを勢い良く撹拌し、そして水素ブランケット(blanket)を1気圧で4‐5時間維持した。エチレンジアミン(12.9mg)をチャージし、そして混合溶液を15分間撹拌した。触媒を、トルエン:IPA(3:1)リンス[液]を使用したろ過によって取り除いた。このろ液及びリンス[液]を濃縮し、溶媒をトルエンに交換した。生成物をトルエン(19.0g)及びヘプタン(18.0g)から結晶化し、白色結晶性固形物(1.34g、98%収量)として式24cの化合物を得た。
【0092】

式24cの化合物(644mg)、次にアルミニウム t‐ブトキシド(525mg)、トルエン(8.34g、15ボリューム)及び2‐ブタノン(7.83g、15ボリューム)を適切な大きさの反応容器にチャージした。フラスコの内容物を、排気/窒素パージ サイクルで脱気し、酸素を取り除き、反応混合溶液を勢い良く撹拌しつつ、75℃で16‐18時間加熱した。反応をロッシェル塩/水溶液(Rochelle's salt)(ロッシェル塩:2.6g、水:10.3g)の添加によって抑え、混合溶液を勢い良く1時間、45℃で撹拌した。水性層及び有機層を分画した。トルエン(2.9g)及びEtOAc(2.9g)の混合溶液で水性層を逆抽出した。有機層を合併し、新鮮なロッシェル塩/水溶液(ロッシェル塩:2.6g、水:10.3g)、次に水(12.9g)で洗浄した。結果として生じた有機層を硫酸ナトリウム(1.97g)で乾燥し、ろ過し、そして真空中(in vacuo)で濃縮した。最初にIPA(6.5g)、次にヘプタン(7.7g)のチャージ及び濃縮溶媒交換を経由して、生成物を結晶化した。濃ヘプタン泥状物(スラリー:slurry)(〜2.7g)をオーバーナイトで撹拌し、固形物をろ過によって回収した。吸引乾燥により式24dの化合物(550mg)を85%の収量で得た。
【0093】

式24dのエノン(459mg)及びジョンソン‐マッセイ 5% パラジウム(炭素担持)(A503023‐5、101mg)を適切な大きさの多ネック反応容器にチャージした。この容器を窒素でパージし、3‐ピコリン(2.2g)を溶媒としてチャージした。撹拌を開始し、そして、容器を、先ず窒素を使用して脱気し、そして次に大気圧の水素下で8時間撹拌した。反応の終了時に触媒を、0.2ミクロンメディアを通じたろ過によって取り除き、ACN(1.4ml)でリンスした。機械的な撹拌、内部温度プローブ、及び窒素雰囲気を備えたクリーンな反応容器の中で、ろ液及びリンス(液)を合併した。クエン酸/水溶液(クエン酸:3.7g、水:9.2ml)を反応容器に30℃以下でチャージし、20℃次に0℃でクエン酸塩として、溶液から生成物が徐々に結晶化する様にした。結晶性生成物を吸引ろ過によって回収し、水(3.7ml)で洗浄した。乾燥後、水和物(3‐5wt% 水)として、89.5%収量(622mg)で、90:1に近いβ:αの割合で、クエン酸塩である式24eの化合物を分離した。
【0094】

式24eの化合物(1.50g)を、2‐メチルテトラヒドロフラン(7.7g)及び1M 炭酸ナトリウム(9.0ml)と共に、適切な大きさの反応器にチャージした。添加漏斗(addition funnel)を介してクロロギ酸ベンジル/2‐メチルテトラヒドロフラン溶液(クロロギ酸ベンジル:454mg、2‐メチルテトラヒドロフラン:300mg)を加え、反応溶液を1‐2時間、環境温度で撹拌した。反応が完了した場合には、撹拌を止め、層を分離し、そして有機層を水で2回(2×6g)洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム(3g)で乾燥し、ろ過し、そして濃縮した。新鮮な2‐メチルテトラヒドロフラン(6.5g)からの濃縮によって残余の水を更に減らし、無水2‐メチルテトラヒドロフランの溶液として物質(material)を次の反応に移した。
【0095】

市販の1M K‐セレクトリド(登録商標)/THF溶液(1 M K-Selectride(登録商標) in THF)(1.20g)を乾燥した反応容器に窒素雰囲気下でチャージし、そして無水2‐メチルテトラヒドロフラン(2.10g)で希釈し、そして−65℃まで冷却した。次に、 式24fの化合物/2‐メチルテトラヒドロフラン溶液(式24fの化合物:0.41g、2‐メチルテトラヒドロフラン:1.5g)を徐々に反応容器に加えて、内部温度を−65℃±5℃にコントロールした。反応溶液を2時間撹拌し、そしておよそ1時間かけて−20℃まで温め、そして更に1時間撹拌した。低温度で、MeOH(0.33g)で反応を抑えた。−20℃で3M NaOH(2.4g)、そして5℃以下で15%過酸化水素水(1.04g)を逐次的に添加することによって試薬(reagent)を破壊し、次に、反応溶液をオーバーナイトで、環境温度で撹拌した。次に、層を分離し、そして有機層を1M NaOH水溶液(2ml)、0.5M NaSO水溶液(2ml)、及びHClでpH3に調節した水(2ml)で逐次的に洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム(0.82g)で乾燥し、ろ過し、そして濃縮した。式24gの生成物(0.457g)をDCM(0.9g)から再濃縮し、次の反応に使用した。
【0096】

式24gの化合物(1.36g)を無水DCM(18.1g)で適切な大きさの反応容器にチャージし、不活性雰囲気下に置き、そして−20℃まで冷却した。トリエチルアミン(0.61mg)をチャージし、次に、メタンスルホニルクロリド/無水DCM溶液(メタンスルホニルクロリド:373mg、無水DCM:300mg)を徐々に添加した。反応溶液を1時間、−20℃で撹拌した。完了した場合、反応を水(13.6g)で抑え、そして温まる様にした。層を分離し、有機層を2.5wt%炭酸水素ナトリウム(13.8g)及び、次に水(10.9g)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム(4g)で乾燥し、ろ過し、そして濃縮した。t‐ブチルメチルエーテル(10.9ml)及び次にl,3‐ジメチル‐3,4,5,6‐テトラヒドロ‐2(1H)‐ピリミジノン(DMPU、4.7ml)のチャージ及び濃縮を経由して、生成溶液を溶媒交換した。DMPU溶液を直接次の反応に使用した。
【0097】

アジ化ナトリウム(0.74g)を適切な大きさの反応容器にチャージした。式24hの化合物/DMPU溶液(式24hの化合物:1.46g、DMPU:5.9g)を反応容器にチャージし、追加のDMPU(1.9g)でリンスした。反応全体において窒素スイープ(sweep)を維持しつつ、懸濁液を60℃まで15時間加熱した。反応溶液を環境温度まで冷却し、MTBE(11.7g)で希釈した。有機溶液を2%生理食塩水(3×8g)で3回洗浄し、硫酸ナトリウム(4.4g)で乾燥し、ろ過し、そして濃縮した。生成物をTHF(6.4g)から濃縮し、直接次の反応に使用した。
【0098】

未精製の式24iの化合物(1.34g)をTHF(12.6g)で溶解し、そして適切な大きさの反応容器に移した。トリフェニルホスフィン(0.70g)及び水(0.44g)をチャージし、そして反応溶液を55℃まで、15‐24時間加熱した。完了したとき、反応溶液を環境温度まで冷却し、硫酸マグネシウム(1.4g)で乾燥し、ろ過し、そして濃縮した。固形物を溶解し、3部(portions)のDCM(3×9g)から濃縮し、そしてDCM/MeOH/EtN勾配を使用するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、試薬ベースの不純物(reagent based impurities)を取り除いた。集めた分画を乾燥状態まで濃縮し、DCM(6.8g)に溶解し、そして再び乾燥状態まで濃縮し、次のステップで使用した非晶質の固形物(1.12g)を得た。
【0099】

式24jの化合物(1.09g)を無水DCM(15.8g)で溶解し、適切な大きさの反応容器に移し、窒素雰囲気下に置いた。溶液を0℃まで冷却した。温度を[0℃から]5℃未満の間に維持しつつ、ジイソプロピルエチルアミン(357mg)及び純粋なメタンスルホニルクロリド(0.165ml)を逐次的にチャージした。反応を0.4M 炭酸水素ナトリウム/水溶液(11.4g)で抑え、環境温度まで温めた。層を分離し、水性相(phase)をDCM(5.8g)で逆抽出した。合併(combine)した有機層を硫酸マグネシウム(0.55g)で乾燥し、ろ過し、そして濃縮した。式24kの生成物を2‐プロパノール(4.0g)に溶解し、それから回収(strip)して、残余のDCMを取り除き、次の反応に直接使用した。
【0100】

アルドリッチ デグサ(Aldrich Degussa) タイプ E101 NE/W 10% Pd/C(249mg)を適切な大きさの反応容器にチャージし、そして窒素雰囲気下に置いた。式24kの化合物/2‐プロパノール溶液(式24kの化合物:1.24g、2‐プロパノール:9.8g)を反応容器にチャージした。システムを脱気し、そして窒素雰囲気下に置き、そしてその工程を水素で繰り返した。反応溶液を1気圧の水素下で、環境温度で8時間撹拌した。不活性雰囲気を容器に戻し、そして泥状化した触媒/2‐プロパノール溶液(触媒:125mg、2‐プロパノール:0.5g)の2度目のチャージを反応溶液に加えた。反応混合溶液を脱気し、そして窒素雰囲気下に置き、その工程を水素で繰り返した。反応溶液を1気圧の水素下でさらに15時間、環境温度で撹拌した。完了した時、反応溶液をろ過し、蒸気活性炭(steam activated carbon)(200mg)で処理し、そして再びろ過した。溶液を、部分濃縮により乾燥し、反応容器に移し、理論的収量に基づく0.09Mまで無水2‐プロパノールで希釈した。1.25M HCl/2‐プロパノール溶液(1.64g)を20分間かけてチャージした。塩酸塩を穏やかな撹拌で徐々に結晶化し、ろ過により分離した。結晶化物を2‐プロパノール(2.5g)で洗浄し、吸引乾燥し、1:1のIPA溶媒和化合物として式42の化合物(916mg、80%収率)を得た。
【0101】
本発明の分野における通常の知識を有する人は、ルーチン的な実験方法を上回る[方法]を使用せずに、本願に記載された発明の特異的な実施形態と同等ないし均等の多数の態様(many equivalents)を認識するだろうし、あるいは、確認することができる。その様な同等ないし均等のものが、特許請求の範囲に記載の請求項に包含されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステロイド性化合物のエノンのC‐C二重結合を還元し、βケトン生成物及びαケトン生成物の混合物を生成する方法であって、触媒及び置換ピリジン存在下で、溶媒中で、水素ガスを用いて、ステロイド性化合物の溶液又は懸濁液を処理するステップを含む方法。
【請求項2】
αケトン生成物と比較して、より多くの(excess)βケトン生成物が生成されることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項3】
αケトン生成物に対するβケトン生成物の比率(βケトン生成物:αケトン生成物)が、少なくとも2:1であることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項4】
αケトン生成物に対するβケトン生成物の比率(βケトン生成物:αケトン生成物)が、少なくとも10:1であることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項5】
αケトン生成物に対するβケトン生成物の比率(βケトン生成物:αケトン生成物)が、少なくとも20:1であることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項6】
αケトン生成物に対するβケトン生成物の比率(βケトン生成物:αケトン生成物)が、少なくとも50:1であることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項7】
前記置換ピリジンが、3‐置換ピリジンであることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項8】
前記3‐置換ピリジンが、3‐ピコリン、3‐メトキシピリジン、3‐エチルピリジン、3‐n‐ブチルピリジン、3‐イソブチルピリジン、3‐ヒドロキシピリジン、3‐アミノピリジン、及び3‐ジメチルアミノピリジンから選択されることを特徴とする請求項7の方法。
【請求項9】
前記3‐置換ピリジンが、3‐ピコリンであることを特徴とする請求項7の方法。
【請求項10】
前記触媒が、パラジウム触媒であることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項11】
前記溶媒が、置換ピリジンを含むことを特徴とする請求項1の方法。
【請求項12】
前記溶媒が、3‐ピコリンを含むことを特徴とする請求項11の方法。
【請求項13】
下記の式II及び式IIIで表される化合物又はその医薬的に許容可能な塩の混合物を生成する方法:

(式II及び式III中、
nは、0又は1であり;
30は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ハロアルキル、‐OR31、‐C(O)R31、‐CO31、‐SO31、‐C(O)N(R31)(R31)、‐[C(R)‐R31、‐[(W)‐N(R)C(O)]31、‐[(W)‐C(O)]31、‐[(W)‐C(O)O]31、‐[(W)‐OC(O)]、‐[(W)‐SO31、‐[(W)‐N(R31)SO31、‐[(W)‐C(O)N(R31)]31、‐[(W)‐O]31、‐[(W)‐N(R)]31、‐W‐(NR31、又は‐[(W)‐S]31であり;
[前記R30中、]
Wは、それぞれ独立してアルキレン基であり;
qは、それぞれ独立して、1、2、3、4、5、又は6であり;
は、ハライドであり;
31は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、又は‐[C(R)‐R32であるか、又は、任意の2つのR31は、それらが結合する原子と一緒になって、N、O、及びSから選択される0‐3個のヘテロ原子を含む任意的に置換される4‐8員環を形成し;
[前記R31中、]
pは、0‐6であり;
各R32は、独立して、ヒドロキシル、‐N(R)COR、‐N(R)C(O)OR、‐N(R)SO(R)、‐C(O)N(R)、‐OC(O)N(R)(R)、‐SON(R)(R)、‐N(R)(R)、‐COOR、‐C(O)N(OH)(R)、‐OS(O)OR、‐S(O)OR、‐OP(O)(OR)(OR)、‐NP(O)(OR)(OR)、又は‐P(O)(OR)(OR)であり;そして、
各Rは、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、又はアラルキルである)であって、
該方法において、
触媒及び置換ピリジンの存在下において、溶媒中で、水素ガスを用いて、式IV:

の化合物の溶液もしくは懸濁液、又は式IVの化合物の医薬的に許容可能な塩の溶液もしくは懸濁液を処理するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
式IIIの化合物と比較して、より多くの式IIの化合物が、生成されることを特徴とする請求項13の方法。
【請求項15】
式IIIの化合物に対する式IIの化合物の比率(式IIの化合物:式IIIの化合物)が、少なくとも10:1であることを特徴とする請求項13の方法。
【請求項16】
式IIIの化合物に対する式IIの化合物の比率(式IIの化合物:式IIIの化合物)が、少なくとも20:1であることを特徴とする請求項13の方法。
【請求項17】
前記置換ピリジンが、3‐置換ピリジンであることを特徴とする請求項13の方法。
【請求項18】
前記3‐置換ピリジンが、3‐ピコリンであることを特徴とする請求項17の方法。
【請求項19】
前記溶媒が、置換ピリジンを含むことを特徴とする請求項13の方法。
【請求項20】
前記溶媒が、3‐ピコリンを含むことを特徴とする請求項19の方法。
【請求項21】
前記触媒が、パラジウム触媒であることを特徴とする請求項13の方法。
【請求項22】
nが、1であることを特徴とする請求項13の方法。
【請求項23】
30が、Hであることを特徴とする請求項22の方法。
【請求項24】
式II及びIIIの化合物が、次の絶対的な立体化学を有することを特徴とする請求項13の方法

【請求項25】
式V及びVI:

の化合物の混合物、又は式V及びVIの化合物の医薬的に許容可能な塩の混合物を生成する方法であって、
パラジウム触媒及び置換ピリジンの存在下において、溶媒中で、水素ガスを用いて、式VII:

の化合物の溶液もしくは懸濁液、又は式VIIの化合物の医薬的に許容可能な塩の溶液もしくは懸濁液を処理するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項26】
式VIの化合物と比較して、より多くの式Vの化合物が生成されることを特徴とする請求項25の方法。
【請求項27】
式VIの化合物に対する式Vの化合物の比率(式Vの化合物:式VIの化合物)が、少なくとも20:1であることを特徴とする請求項25の方法。
【請求項28】
前記置換ピリジンが、3‐置換ピリジンであることを特徴とする請求項25の方法。
【請求項29】
前記3‐置換ピリジンが3‐ピコリンであることを特徴とする請求項28の方法。
【請求項30】
前記置換ピリジンが4‐置換ピリジンであることを特徴とする請求項25の方法。
【請求項31】
前記4‐置換ピリジンが、4‐ピコリン、及び4‐メトキシピリジンから選択されることを特徴とする請求項30の方法。
【請求項32】
前記溶媒が、置換ピリジンを含むことを特徴とする請求項25の方法。
【請求項33】
前記溶媒が、3‐ピコリンを含むことを特徴とする請求項32の方法。
【請求項34】
酸の水溶液を加えるステップそして、式V及びVIの化合物の塩を分離するステップを更に含む請求項25の方法。
【請求項35】
前記酸が、HCl、HBr、HSO、メタンスルホン酸及び、クエン酸から選択されることを特徴とする請求項34の方法。
【請求項36】
式IX:

の化合物であって、
式IX中、Xが、塩化物イオン(ないしは、塩化物)、臭化物イオン(ないしは、臭化物)、硫酸イオン(ないしは、硫酸塩)、メタンスルホン酸イオン(ないしは、メタンスルホン酸塩)、及びクエン酸イオン(ないしは、クエン酸塩)から選択されることを特徴とする化合物。
【請求項37】
が、クエン酸イオンであることを特徴とする請求項36の化合物。
【請求項38】
式IX及びX:

の化合物の混合物であって、
式IX及びX中、Xが、塩化物イオン、臭化物イオン、硫酸イオン、メタンスルホン酸イオン、及びクエン酸イオンから選択されることを特徴とする混合物。
【請求項39】
が、クエン酸イオンであることを特徴とする請求項38の混合物。
【請求項40】
式Xの化合物と比較して、より多くの式IXの化合物を含むことを特徴とする請求項38の混合物。
【請求項41】
式Xの化合物に対する式IXの化合物の比率(式IXの化合物:式Xの化合物)が少なくとも20:1であることを特徴とする請求項38の混合物。
【請求項42】
式Xの化合物に対する式IXの化合物の比率(式IXの化合物:式Xの化合物)が少なくとも50:1であることを特徴とする請求項38の混合物。
【請求項43】
式XV:

の化合物を生成する方法であって、
以下のステップ(a)〜(e)を含むことを特徴とする方法:
ステップ(a):式IXの化合物をアミン保護試薬で処理して、式XIの化合物を生成するステップ

(式IX中、Xは、塩化物イオン、臭化物イオン、硫酸イオン、メタンスルホン酸イオン、及びクエン酸イオンから選択される)

(式XI中、PGは、アミン保護基である);
ステップ(b):式XIの化合物を還元剤で処理して、式XIIのアルコールを生成するステップ

ステップ(c):式XIIのアルコールを式XIIIのアミンに変換するステップ

ステップ(d):式XIIIのアミンをスルホニル化剤で処理し、式XIVのスルホンアミドを生成するステップ

ステップ(e):式XIVのスルホンアミドを脱保護し、式XVの化合物を生成するステップ。
【請求項44】
が、クエン酸イオンであることを特徴とする請求項43の方法。
【請求項45】
前記ステップ(c)が、以下のステップ(1)〜(3)を含むことを特徴とする請求項43の方法:
ステップ(1):前記アルコールを脱離基に変換し、式XVIの化合物を生成するステップ

(式XVI中、LGは、脱離基である);
ステップ(2):式XVIの化合物をアジド試薬で処理し、式XVIIの化合物を生成するステップ

ステップ(3):式XVIIの化合物を還元剤で処理し、式XIIIのアミンを形成するステップ。
【請求項46】
PGがベンジルオキシカルボニル(Cbz)であり、そして、触媒存在下で、水素ガスを用いる処理により式XIVのスルホンアミドを脱保護し、式XVの化合物を形成することを特徴とする請求項43の方法。
【請求項47】
式XVの化合物が、次の絶対的な立体化学を有することを特徴とする請求項43の方法

【請求項48】
式XVの化合物を酸で処理し、式XIX:

の化合物を生成するステップを更に含み、式XIX中、Xが、医薬的に許容可能な酸のコンジュゲートベースであることを特徴とする請求項43の方法。
【請求項49】
前記酸が、HClを含み、そして、Xが塩化物イオンであることを特徴とする請求項48の方法。
【請求項50】
式V:

の化合物又はその医薬的に許容可能な塩と、式2c:

の化合物又はその医薬的に許容可能な塩とを含む混合物。
【請求項51】
式2cの化合物が、1%未満で存在することを特徴とする請求項50の混合物。

【公表番号】特表2011−507967(P2011−507967A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540893(P2010−540893)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【国際出願番号】PCT/US2008/088302
【国際公開番号】WO2009/086451
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(507063584)インフィニティ ファーマスーティカルズ、インク. (6)
【Fターム(参考)】