説明

立体駐車場における入出庫口の扉装置及び立体駐車場

【課題】 機械式駐車装置の入出庫口における車両の円滑な入出庫及び利用者の安定した通行を確保することができる扉装置を提供すること。
【解決手段】 立体駐車場1の入出庫口6に設ける吊り下げ両開き方式の扉体41を有する扉装置40に、前記扉体41の下部の開閉方向に形成した凹溝42に係合してこの扉体41を案内するガイドローラ55,56を備えさせ、このガイドローラ55,56が、前記入出庫口6の開口幅領域の間の、少なくとも車両Vの左・右タイヤが通行する領域を除外した部分に設置されているようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車装置を備えた立体駐車場における入出庫口に設けられる扉装置及びそれを備えた立体駐車場に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、地上や地下に種々の機械式駐車装置(エレベータ式、垂直循環式、平面往復式、水平循環式、箱型循環式、パズル縦横移動式等)を設置した立体駐車場では、1ケ所又は複数箇所に乗り入れ部(入出庫室、入出庫部、入出庫階等、全て含む)が設けられている。
【0003】
そして、この乗り入れ部と外部とを隔てる入出庫口には、車両の入・出庫及び利用者の出入りを制限したり許容したりする開閉式の扉装置が設けられている。
【0004】
この扉装置としては、一般的に「吊り下げ両開き方式」のものが使用されている。この「吊り下げ両開き方式」の扉装置としては、例えば、左・右2枚の扉体の上部を吊下げて左右開閉方向に移動自在に支持し、これら左・右2枚の扉体を入出庫口の中央部を境に左右相互反対方向に移動させることで入出庫口の開閉を行う構造となっている。また、この扉装置には、上記扉体が左・右各2枚1組で構成され、それぞれの扉体が入出庫口の内外にずれて配置された4枚構成の扉体もある。このような扉装置により、扉体を開閉することで乗り入れ部の内部と外部とを連通開放及び遮断するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
この扉装置では、各扉体の下部に、左右開閉方向全長にわたって下方開放の凹溝が形成され、入出庫口の床に、左・右内外2枚の扉体に対応して2条のガイドレールが敷設され、各扉体の左・右開閉移動時にはこのガイドレールが各扉体の凹溝に係合して各扉体の下部を案内するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−259422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、立体駐車場への入出庫時には、図6(a) に示すように、乗り入れ部100には車両搭載用パレット101が配置された後、図6(b) に示すように、扉体103の開閉移動領域の幅方向全長にわたって敷設されたガイドレール104に沿って扉体103が開放され、その後、車両の入場及びパレット101への乗り入れと利用者の退場、又は利用者の入場および車両のパレット101からの乗り出しが行われる。この入・出庫時には、利用者は必然的に入出庫口102の端領域部と上記パレット101の入出庫口側の角部との間(二点鎖線矢印で示すパレット101と入出庫口102との間)を通行して出入りすることになる。
【0008】
しかしながら、上記扉体103の下部開閉方向に形成した凹溝を開閉方向に案内するガイドレール104は、図7(a) に示すように、概ね断面矩形状又は凸形状で、床面からの高さHは約20mm程度と低いものの、入出庫口102の床面を横幅全長にわたって横断するように突出しているため、利用者Mが通行時に躓くおそれがある。特に、高齢者は障害となる場合がある。また、図7(b) に示すように、車椅子利用者は、車椅子105の前輪106が小径であるため、自力で乗り越えるのは非常に困難である。
【0009】
しかも、図7(c) に示すように、車両Vの入出庫時においては、車両Vのタイヤ107はガイドレール104を容易に乗り越えて通行できるものの、利用者M(車両Vに乗車)は乗り越え時に生じる衝撃及び騒音で不快感を伴う。
【0010】
そこで、本発明は、機械式駐車装置の入出庫口における車両の円滑な入出庫及び利用者の安定した通行を確保することができる扉装置と、それを備えた立体駐車場を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の扉装置は、立体駐車場の入出庫口に設ける吊り下げ両開き方式の扉体を有する扉装置であって、前記扉体の下部の開閉方向に形成した凹溝に係合して該扉体を開閉方向に案内する案内手段を備え、該案内手段は、前記入出庫口の開口幅領域の間の、少なくとも車両の左・右タイヤが通行する領域を除外した部分に設置されている。この明細書及び特許請求の範囲の書類中における「案内手段」は、吊り下げた状態の両開き方式の扉体の下部が開閉方向と異なる方向に揺れるのを阻止して開閉方向に案内する手段をいう。これにより、車両の入・出庫時にタイヤが通行する部分をフラットな床面として、タイヤによる衝撃及び騒音を生じることなく入・出庫を行うことができる。その上、利用者もフラットな床面を通行して容易に乗り入れ部と外部との間で出入りすることができる。
【0012】
また、前記案内手段は、前記入出庫口の開口幅領域の間の、車両の左・右タイヤが通行する領域とその外側部分を除外した部分に設置されていてもよい。このようにすれば、入出庫口の開口幅領域の車両の左・右タイヤが通行する領域とその外側部分をフラットな床面にして、車両の入・出庫及び利用者の出入りをより容易に行えるようにできる。
【0013】
さらに、前記案内手段は、前記扉体の下部に形成した凹溝を案内するガイドレールを有していてもよい。このようにすれば、簡単な構成で扉体を開閉方向に安定して案内するようにできる。
【0014】
また、前記案内手段は、前記扉体の下部に形成した凹溝を案内するガイドローラを有していてもよい。このようにすれば、凹溝との接触抵抗が点接触となって小さいガイドローラで扉体を開閉方向に安定して案内することができる。
【0015】
さらに、前記案内手段は、前記扉体の下部に形成した凹溝を案内するガイドレールと、前記扉体の下部に形成した凹溝を案内するガイドローラとの組み合わせで構成されていてもよい。このようにすれば、点で凹溝と接触するガイドローラと線又は面で凹溝と接触するガイドレールとを扉体の大きさ等の種々の条件に応じて適用し、その種々の条件に対応して扉体を開閉方向に安定して案内するようにできる。
【0016】
また、前記ガイドローラは、前記扉体の閉鎖時に入出庫口の開口幅領域中央部で案内する中央部ガイドローラと、開口幅領域外側方で案内する側部ガイドローラとを有していてもよい。このようにすれば、扉体の閉鎖時には中央部ガイドローラと側部ガイドローラとで扉体下部が案内され、開放時には側部ガイドローラで扉体下部が案内されて、開閉する扉体を開閉方向に安定して案内することができる。
【0017】
さらに、前記側部ガイドローラは、前記扉体の閉鎖時に前記凹溝と係合する主側部ガイドローラと、前記扉体の開放時に該主側部ガイドローラの外方で前記凹溝と係合する副側部ガイドローラとを有していてもよい。このようにすれば、開放時に主側部ガイドローラと副側部ガイドローラとで扉体の下部を開閉方向に安定して案内することができる。
【0018】
一方、本発明の立体駐車場は、入出庫口に設ける吊り下げ両開き方式の扉体を有する扉装置を備えた立体駐車場であって、前記入出庫口に前記いずれかの扉装置を備えている。これにより、車両の入出庫時に衝撃及び騒音を生じることなく、利用者がフラットな床面を通行して容易に乗り入れ部に出入りできる立体駐車場を提供することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、立体駐車場の入出庫口における車両の円滑な入出庫及び利用者の安定した通行を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の扉装置を採用したエレベータ式駐車装置を備えた立体駐車場の全体概略正面図である。
【図2】図1に示すII−II矢視拡大側面図である。
【図3】図1に示す扉装置の開閉機構を示す正面図である。
【図4】図3に示す扉装置の平面視における作用説明図であり、(a) は扉体が閉じた状態を示し、(b) は扉体が開いた状態において車両が乗り入れ部に待機しているパレットに乗り込む状況を示し、(c) は扉体が開いた状態において一般利用者及び車椅子利用者が入出庫口を出入りする状況を示している。
【図5】(a) 〜(c) は、本発明に係る扉装置の変形例を示す平面視の模式図である。
【図6】従来の扉装置における平面視の作用説明図であり、(a) は扉体が閉じた状態を示し、(b) は扉体が開いた状態を示している。
【図7】(a) 〜(c) は、図6に示す従来の扉装置における課題を説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。以下の実施形態では、機械式駐車装置の一例であるエレベータ式駐車装置が備えられた立体駐車場を例に説明する。また、この明細書及び特許請求の範囲の書類中における上下左右方向の概念は、図1に示すように駐車装置の正面に向った状態の上下左右方向の概念と一致するものとする。
【0022】
図1に示すように、この実施形態の立体駐車場1は、鉄骨構造体の外面に外装板3が設けられた駐車塔2を有し(図は上部の正面外装板3を除去した状態)、この駐車塔2の内部にエレベータ式駐車装置4が設けられている。駐車塔2の地上1階に乗り入れ部5が設けられ、この乗り入れ部5には三方枠で形成された入出庫口6が設けられている。この入出庫口6には扉装置40が設けられており、この実施形態の扉装置40には、左右方向に開閉する各1枚、合計2枚の扉体41が設けられている。この実施形態では2枚の扉体41を有する例を示しているが、左右各2枚1組、合計4枚の扉体で構成されていてもよい。入出庫口6の外部の右方側部には、運転操作盤9が設けられている。
【0023】
また、上記駐車塔2の中央鉛直方向には昇降路10が形成され、この昇降路10を挟んで左右両側部の鉛直方向に複数段の格納棚11が設けられている。さらに、上記昇降路10には、駐車塔2の上部機械室に設けられた昇降駆動部12によって巻かれる昇降用ワイヤロープ13で昇降させられるエレベータ搬器14が設けられている。このエレベータ搬器14によって、車両Vが搭載されるパレット15が上記乗り入れ部5と上記格納棚11との間で鉛直方向に昇降させられるとともに、このエレベータ搬器14に設けられたパレット移載機構(図示略)によって格納棚11との間で移載させられる。このパレット移載機構は、パレット15を乗り入れ部5で持上げて180°旋回させるパレット持上旋回兼移載機構であってもよく、公知の手段が採用される。また、この実施形態のパレット15は、中央隆起部16と左右側部立ち上がり部17及び左・右凹状車路18が形成されたパレットを例にしている。
【0024】
図2に示すように、上記扉装置40は、扉体41を吊り下げた状態で左右方向に開閉させる吊り下げ両開き方式となっており、駐車塔2の躯体に設けられた取付ブラケット20に水平方向に設けられた横行レール21に沿って扉体41が左右方向に開閉するようになっている。この実施形態の横行機構は、上記取付ブラケット20に設けられた横行レール21の上面に支持される横行支持ローラ22と、横行レール21の下面に設けられたガイドレール23に沿って左右方向に移動するガイドローラ24とが設けられた吊持移動体25に、上記扉体41が吊持具26で吊下げられており、駐車塔2の躯体に設けられた駆動モータ27によって吊持移動体25が左右方向に移動(「横行」ともいう)させられるようになっている。
【0025】
図3に示すように、吊持移動体25を横行させる機構としては、上記駆動モータ27の駆動スプロケット28によって駆動される駆動チェーン29で伝動スプロケット30が回転させられ、この伝動スプロケット30と同軸上に設けられた被動スプロケット31が回転させられる。そして、この被動スプロケット31が回転させられることにより、この被動スプロケット31と両端部の取付ブラケット20に設けられたガイドスプロケット32及び従動スプロケット33との間に巻き掛けられた移動チェーン34が、上記2枚の扉体41の吊持移動体25を逆方向に横行させるようになっている。従って、上記駆動モータ27の回転方向を制御することで、左右の扉体41を相反する方向に横行させて開閉することができる。なお、両扉体41の接触面には戸当り部材が設けられている。
【0026】
一方、図2,3に示すように、上記吊下げられた状態で左右方向に開閉させられる扉体41は、下部が開閉方向とは異なる方向に揺れるのを阻止するための案内手段50によって案内されながら左右方向に開閉するようになっている。
【0027】
この実施形態の案内手段50としては、乗り入れ床7に設けられたガイドローラ51で扉体41の下部に形成された凹溝42を案内するようになっている。
【0028】
図2に示すように、上記ガイドローラ51は、乗り入れ床7に埋め込まれた支持板52に固定された支持金具53に設けられている。支持金具53は、上面が乗り入れ床7と面一となっており、乗り入れ床7からはガイドローラ51のみが突出した状態で設けられている。ガイドローラ51は、上記支持金具53に支持軸54が取り付けられ、この支持軸54の鉛直方向軸周りで回転可能に設けられている。
【0029】
また、上記扉体41の下部に形成された凹溝42は、扉体41の下枠下面の開閉方向に形成されている。この凹溝42は、下向きに開放したコ状のシュー43を扉体41の下枠の下面に設けることで形成されている。このシュー43によって形成された凹溝42に上記ガイドローラ51が入り込んだ状態で案内されるようになっている。この凹溝42と上記ガイドローラ51との間には所定の隙間が設けられ、扉体41のスムーズな開閉と、開閉方向と異なる方向への揺れ阻止とを両立させている。
【0030】
さらに、図3に示すように、上記ガイドローラ51は、上記扉体41の閉鎖時に入出庫口6の開口幅領域中央部で案内する中央部ガイドローラ55と、開口幅領域外側方で案内する側部ガイドローラ56とからなる複数のガイドローラで構成されている。
【0031】
この実施形態では、上記側部ガイドローラ56が、左右方向に適宜離間した入出庫口側縁に近い主側部ガイドローラ56Aと入出庫口側縁から離れた副側部ガイドローラ56Bが1組として設けられている。主側部ガイドローラ56Aは、扉体41の閉鎖時に上記凹溝42と係合し、副側部ガイドローラ56Bは、扉体41の開放時に上記凹溝42と係合する位置に配置されている。この例では、主側部ガイドローラ56A、副側部ガイドローラ56B、及び上記中央部ガイドローラ55を一連の支持板52に固定した支持金具53に設けているが、支持板52は個別に設けられていてもよい。なお、中央部ガイドローラ55及び主側部ガイドローラ56A、副側部ガイドローラ56Bは、それぞれ便宜上、左・右中央部ガイドローラ55及び側部ガイドローラ組56ともいう。
【0032】
具体的な上記左・右中央部ガイドローラ55と側部ガイドローラ組56の扉体開閉方向における位置関係としては、左・右中央部ガイドローラ55が、乗り入れ部5に待機したパレット15の左・右車路の内側(中央側)を規定する中央隆起部16の左・右外端の両立上がり部分の入出庫口方向延長線上にほぼ整合する位置に配置されている。これにより、乗り入れ床7における車両Vの左・右タイヤが通行する領域を除外した部分に中央部ガイドローラ55を配置している。
【0033】
この実施形態では、中央隆起部16と左右側部立ち上がり部17及び左・右凹状車路18を形成したパレット15を例に説明したが、パレット15は、バリアフリー対応の全面がほぼフラットで中央隆起部及び側部立ち上り部を有さないものでもよい。この場合、パレット上面には車両タイヤの侵入路即ち車路を明示して描いているので、その車路の内側部分に中央部ガイドローラ55を設ければよい。
【0034】
また、側部ガイドローラ組56の主側部ガイドローラ56Aは、入出庫口6の開口幅領域外の側方近接位置に配置されている。これにより、扉体41の閉鎖状態(図示する二点鎖線)で、扉体41の中央部と入出庫口6の開口幅領域の外部の2点で扉体下部を支持するようにしている。
【0035】
さらに、上記主側部ガイドローラ56Aと副側部ガイドローラ56Bとの位置関係としては、入出庫口6の中央、すなわち扉体41の接合部から中央部ガイドローラ55までの距離とほぼ同一の距離で主側部ガイドローラ56Aの外方位置に副側部ガイドローラ56Bが配置されている。
【0036】
このような位置関係とすることにより、扉体41の開放時に凹溝42が中央部ガイドローラ55から離れる時には凹溝42の他端部が副側部ガイドローラ56Bと係合しているようにでき、開閉する扉体41の凹溝42を常に2点で支持することができるようにして、扉体41の上部左・右位置における吊持移動体25による2点の吊り下げ支持部とによって、扉体41の上下4点を支持して開閉させるようにしている。
【0037】
これにより、扉開状態(実線状態)では、扉体41の上部における吊持移動体25による左・右吊り下げ支持部と、下部の凹溝42における主側部ガイドローラ56A及び副側部ガイドローラ56Bの4点で支持している。この実施形態では、上記したように、扉体41の開状態において、扉体41の上部の吊持移動体25による2点の吊り下げ支持部と、下部の凹溝42における主側部ガイドローラ56A及び副側部ガイドローラ56Bの4点支持としているが、扉体41の大きさや開閉条件等によっては、副側部ガイドローラ56Bを無くして、扉開状態で上部2点、下部1点の3点支持としてもよい。
【0038】
その後、この扉開状態から扉体41が閉じる際(中央方向に移動)、閉動作の途中まで上記4点支持で案内される。そして、閉動作の最終段階において、扉体41の下部の凹溝42内方部分が中央部ガイドローラ55に係合されるに代わり、下部の凹溝42外方部分が副側部ガイドローラ56Bから離脱し、扉体41の上部の吊持移動体25による左・右吊り下げ支持部と下部の凹溝42における主側部ガイドローラ56A及び中央部ガイドローラ55の4点で支持される。
【0039】
次に、図4(a) 〜(c) に基いて上記扉装置40の扉体41を開放させた状態における車両Vの入場及び利用者や車椅子の出入り状況を説明する。
【0040】
図4(a) に示すように、扉装置40の扉体41を開閉方向に案内する案内手段50としては、入出庫口6の中央部に配置された左・右中央部ガイドローラ55と、開口幅領域外左・右側部の主側部ガイドローラ56A及び副側部ガイドローラ56Bの側部ガイドローラ組56とが設けられている。図示する扉体41の閉状態では、これら中央部ガイドローラ55と主側部ガイドローラ56Aとによって、扉体41の下部が開閉方向と異なる方向に揺れるのを阻止している。
【0041】
また、図4(b) に示すように、扉体41を開放した状態では、扉体41は下部の凹溝42が主側部ガイドローラ56A及び副側部ガイドローラ56Bで支持された状態となる。そして、車両Vの入庫時には、運転者は左・右中央部ガイドローラ55を目印に入出庫口6を通過し、乗り入れ部5に待機しているパレット15の車路18に車両Vを乗り込ませる。
【0042】
さらに、図4(c) に示すように、例えば、出庫時、即ち乗り入れ部5に配置されたパレット15に車両Vが搭載された状態で、利用者M又は車椅子利用者Wが乗り入れ部5に入るときには、入出庫口6の側縁と待機しているパレット15の角部との間に形成されたフラットな床スペースを通行することができ、容易に出入りすることが可能となる。
【0043】
図5(a) 〜(c) は、上記実施形態の変形例であり、図5(a) に示すように、上記実施形態における左・右中央部ガイドローラ55に代えて、乗り入れ部5に待機したパレット15の中央隆起部16の横幅に整合させて中央部ガイドレール60を配置するようにしてもよい。この場合、扉体41の閉鎖時に、扉体41の下部に形成された凹溝42が中央部ガイドレール60によって案内される。
【0044】
また、図5(b) に示すように、上記実施形態における主・副側部ガイドローラ56A,56Bに代えて、側部ガイドレール61としてもよい。この場合、扉体41の閉鎖時から開放時にかけて、扉体41の下部に形成された凹溝42が中央部ガイドローラ55および側部ガイドレール61によって案内される。
【0045】
さらに、図5(c) に示すように、上記実施形態における左・右中央部ガイドローラ55に代えて、乗り入れ部5に待機したパレット15の中央隆起部16の横幅に整合させて配置した中央部ガイドレール60とするととともに、主・副側部ガイドローラ56A,56Bに代えて、側部ガイドレール61としてもよい。この場合、扉体41の閉鎖時から開放時にかけて、扉体41の下部に形成された凹溝42が両ガイドレール60,61によって案内される。
【0046】
これらの変形例によっても、車両Vの入庫時及び利用者や車椅子利用者の出入り時に、入出庫口6の側縁と待機しているパレット15の角部との間がフラットな床スペースに形成されるので、車両V及び利用者の容易な通行が可能となる。なお、これらの変更は、機械式駐車装置の種類や大きさ等に応じて適宜変更すればよい。
【0047】
以上のように、上記扉装置40によれば、扉体41を左右開閉方向に案内する案内手段50の配置場所が入出庫口6の開口幅領域の間の、車両Vの左・右タイヤが通行する領域を除外した部分となるので、入出庫口6の開口左右部の乗り入れ床7はフラットな床面となり、車両Vの入出庫時に衝撃や騒音を生じることが無いようにできるとともに、利用者Mが躓いたりする恐れがなく、また車椅子利用者Wも何ら障害無く入出庫口6を出入りすることが可能となる。
【0048】
特に、案内手段50の配置場所を入出庫口6の開口幅領域の間の、車両の左・右タイヤが通行する領域とその外側部分を除外した部分とすれば、入出庫口6の開口左右部の乗り入れ床7により広いフラットな床面を形成し、利用者Mや車椅子利用者Wがより容易に出入りすることが可能となる。
【0049】
なお、上記実施形態における扉体41を吊下げて横行させる駆動機構は一例であり、他の構成で吊下げた状態の扉体41を左右方向に横行させるようにしてもよく、上記扉体41を横行させる駆動機構は上記実施形態に限定されるものではない。
【0050】
また、上記実施形態では、機械式駐車装置の一例としてエレベータ式駐車装置4を例に説明したが、他の形式の機械式駐車装置が設置された立体駐車場であっても同様に適用でき、機械式駐車装置は上記実施形態に限定されるものではない。
【0051】
さらに、上述した実施形態は一例を示しており、本発明の要旨を損なわない範囲での種々の変更は可能であり、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明に係る入出庫口の扉装置は、車椅子利用者等が利用しやすいバリアフリーの機械式駐車装置に利用できる。
【符号の説明】
【0053】
1 立体駐車場
4 エレベータ式駐車装置(機械式駐車装置)
5 乗り入れ部
6 入出庫口
7 乗り入れ床
15 パレット
16 中央隆起部
17 側部立ち上がり部
18 左・右凹状車路
20 取付ブラケット
21 横行レール
22 横行支持ローラ
23 ガイドレール
24 ガイドローラ
25 吊持移動体
40 扉装置
41 扉体
42 凹溝
50 案内手段
51 ガイドローラ
55 中央部ガイドローラ
56 側部ガイドローラ
56A 主側部ガイドローラ
56B 副側部ガイドローラ
60 中央部ガイドレール
61 側部ガイドレール
V 車両
M 利用者
W 車椅子利用者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体駐車場の入出庫口に設ける吊り下げ両開き方式の扉体を有する扉装置であって、
前記扉体の下部の開閉方向に形成した凹溝に係合して該扉体を開閉方向に案内する案内手段を備え、
該案内手段は、前記入出庫口の開口幅領域の間の、少なくとも車両の左・右タイヤが通行する領域を除外した部分に設置されていることを特徴とする立体駐車場における入出庫口の扉装置。
【請求項2】
前記案内手段は、前記入出庫口の開口幅領域の間の、車両の左・右タイヤが通行する領域とその外側部分を除外した部分に設置されている請求項1に記載の立体駐車場における入出庫口の扉装置。
【請求項3】
前記案内手段は、前記扉体の下部に形成した凹溝を案内するガイドレールを有している請求項1又は請求項2に記載の立体駐車場における入出庫口の扉装置。
【請求項4】
前記案内手段は、前記扉体の下部に形成した凹溝を案内するガイドローラを有している請求項1又は請求項2に記載の立体駐車場における入出庫口の扉装置。
【請求項5】
前記案内手段は、前記扉体の下部に形成した凹溝を案内するガイドレールと、前記扉体の下部に形成した凹溝を案内するガイドローラとの組み合わせで構成されている請求項1又は請求項2に記載の立体駐車場における入出庫口の扉装置。
【請求項6】
前記ガイドローラは、前記扉体の閉鎖時に入出庫口の開口幅領域中央部で案内する中央部ガイドローラと、開口幅領域外側方で案内する側部ガイドローラとを有している請求項4に記載の立体駐車場における入出庫口の扉装置。
【請求項7】
前記側部ガイドローラは、前記扉体の閉鎖時に前記凹溝と係合する主側部ガイドローラと、前記扉体の開放時に該主側部ガイドローラの外方で前記凹溝と係合する副側部ガイドローラとを有している請求項6に記載の立体駐車場における入出庫口の扉装置。
【請求項8】
入出庫口に設ける吊り下げ両開き方式の扉体を有する扉装置を備えた立体駐車場であって、
前記入出庫口に前記請求項1〜7のいずれか1項に記載の扉装置を備えたことを特徴とする立体駐車場。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−36631(P2012−36631A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−177301(P2010−177301)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)