説明

竪型無線ICタグ投入装置

【課題】接地面積が小さく、無線ICタグの投入対象物の混練槽から離れた自由な位置に設置可能で、また、多数の無線ICタグを混練槽に確実かつ短時間で投入できる竪型無線ICタグ投入装置を提供する。
【解決手段】無線ICタグを振動作用で整列させる振動整列装置と、整列状態で送られてきた無線ICタグを1個づつ切り離して垂直落下通路11へ落し込む切出し装置15と、垂直落下通路11に沿って上下に配置された複数のICタグ処理ユニットと、各ユニットの側方にそれぞれ配置されたICタグ圧送部31,32,33と、装置下部に設けられた無線ICタグのNG品受け部30と、この各ユニットの動作を制御する制御装置とを設ける。ICタグ処理ユニットは、垂直落下通路を開閉するストッパ部と、落し込みを振り分ける振分け部と、ストッパ部の位置に設けられたデータ書込み部、および振分け部の位置に設けられたデータ読出し部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、竪型の無線ICタグ投入装置に関し、特に、液体状、粘性体状または半固体状の混練物質に投入されるICタグに対し、投入に先立って品質管理に必要な各種のデータを無線通信により書き込み、あるいは書き込まれたデータを読み出した後、投入対象物に無線ICタグを投入する竪型無線ICタグ投入装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばコンクリート構造物においては、耐震強度の調査や工事等の履歴の検証の観点から各種の製品情報を書き込んだ無線ICタグを前記コンクリート構造物に取り付け、この無線ICタグを用いた管理システムによりコンクリートの品質や工事履歴等を管理することが知られている。また、コンクリート構造物に限らず、樹脂成形品等の日常製品においても、トレーサビリティの観点から無線ICタグを用いた品質管理を行うことが要望されている。
【0003】
生コンクリートや熱可塑性樹脂等のように、製造工程で液体状、粘性体状または半固体状の性状をもつ製品については、予め無線ICタグに対して各種のデータを書き込むとともに、データ書き込み済みの無線ICタグを硬化前の製品に投入して製品内部に封入してしまえば、硬化した製品内の無線ICタグと無線通信によりデータの書き込みや読み出しを行うことができ、製品ごとの製品管理に役立つ。また、製品内部に無線ICタグを封入することにより、後から無線ICタグを埋設、貼付する必要がないという利点がある。
【0004】
また、コンクリートミキサー車内において無線ICタグを生コンクリートに投入し、コンクリート打設時に無線ICタグに生コンクリートの製造情報を書き込み、これによって製造時の各種情報が付加されたコンクリート構造物とする品質管理方法が提案されている(特許文献1)。また、生コンクリートの製造工程で投入した無線ICタグを用いてコンクリートの品質管理を行う品質管理システムおよび無線ICタグ内蔵の生コンクリートも開示されている(特許文献2)。
【0005】
これらのシステムは、硬化前の生コンクリートに無線ICタグを混練しておき、この無線ICタグに対して生コンクリートの情報や、打設時の情報、あるいは打設後のコンクリート構造物に関する情報を書き込み、必要に応じてデータを読み取ることにより、コンクリート構造物の製品管理を行うシステムである。しかし、これらの品質管理システムにおいて、無線ICタグに対するデータ書き込み手段あるいは無線ICタグの投入装置の構成は必ずしも明確ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−145385号公報
【特許文献2】特開2008−63900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来の無線ICタグの混入によるコンクリート構造物の品質管理においては、投入工程での無線ICタグに確実かつ正確に所要のデータを書き込む必要があり、また、無線ICタグの投入装置内で、特に投入装置の投入口近くで粉塵の発生による無線ICタグの詰まり事故を起さないようにしなければならない。しかし、従来のこの種の無線ICタグ投入装置では、ホッパから供給される無線ICタグを詰まらせないように単に振動を加えながらデータ書込み/読出し装置へ送出するという構成のため、無線ICタグのデータ書込み面の方向性が一定とならず、書込みエラーが発生していた。
【0008】
また、従来のこの種の装置では、投入装置から自然落下で無線ICタグを投入対象物へ落し込む構造のため、投入対象物となるセメントの粉塵が舞い上がって投入口の詰まりを起したり、投入対象物を収容した混練槽の真上に投入装置を位置させるか、あるいは落下送出用のパイプを使用する場合でも混練槽の極近位置に投入装置を設置しなければならない等の問題があった。
【0009】
また、一般に生コンクリートの混練は、砂や砂利、水等を計量して混練槽に投入するとともに練り込み、ミキサー車へ落し込むが、ここまでの工程を約40秒で行う必要があり、それから逆算してミキサー車へ落し込む生コンクリートの組成計量からICタグのデータ書き込み、投入までを15秒〜25秒で行わなければならない。このように混練槽への無線ICタグの投入は迅速化が要求され、データの書込みエラーがあっても正常な無線ICタグの全体投入量に影響を与えないようにする必要がある。
【0010】
本発明は、接地面積が小さくてすみ、無線ICタグの投入対象物の混練槽から離れた自由な位置に設置可能で、また、複数の無線ICタグを混練槽上の広い範囲にわたって投入でき、かつ多数の無線ICタグを短時間で投入できる竪型無線ICタグ投入装置を提供することを目的とする。
【0011】
本発明はまた、装置稼働に際しての電源の入、切を遠隔位置から、かつ指定された権限をもつ者にのみ行えるようにし、さらに投入状況を現場以外の場所からでも判明できる竪型無線ICタグ投入装置を提供することを目的とする。
【0012】
本発明はさらに、無線ICタグの投入機構部およびデータの書込み/読出し部、書込みエラー検出部、NG品の振分け部をユニット化して複数のユニットを縦方向に配置することにより、一部分が故障しても全体として無線ICタグの投入量に影響することなく継続して稼働できる竪型無線ICタグ投入装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る竪型無線ICタグ投入装置は、無線ICタグを振動作用で整列させる振動整列装置と、整列状態で送られてきた無線ICタグを1個づつ切り離して垂直落下通路へ落し込む切出し装置と、前記垂直落下通路に沿って上下に配置された複数のICタグ処理ユニットと、前記各ユニットの側方にそれぞれ配置されたICタグ圧送部と、装置下部に設けられた無線ICタグのNG品受け部と、前記各ユニットの動作を制御する制御装置とを有し、前記ICタグ処理ユニットは、前記垂直落下通路を開閉するストッパ部と、前記ストッパ部の下方に配置され、かつ、前記垂直落下通路上で無線ICタグを受け止めて側方のICタグ圧送部への押し出しと垂直落下通路下方への落し込みを振り分ける振分け部と、前記ストッパ部の位置に設けられ、かつ該ストッパ部上の無線ICタグに無線通信手段でデータを書き込むデータ書込み部、および前記振分け部の位置に設けられ、かつ該振分け部で受け止められた無線ICタグの書込みデータを無線通信手段で読み出すデータ読出し部とを有することを特徴とする。
【0014】
本発明の1つの形態によれば、上下に配置された複数の前記ICタグ処理ユニットのうち、無線ICタグの処理中のユニット以外の他のユニットが開状態に保持されることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の他の形態によれば、前記制御装置は上段の前記ユニットから下段の前記ユニットにかけて順次無線ICタグの処理動作がなされるように制御することを特徴とする。
【0016】
本発明のさらに他の形態によれば、前記データ読出し部は前記無線ICタグのデータ書込みエラーを検出するNG品検出機能を兼ねることを特徴とする。
【0017】
本発明のさらに他の形態によれば、 前記装置下部に設けられるNG品受け部は、前記垂直落下通路の下方に設けられ、データ書込みエラーが検出されたNG品が前記振分け部から前記垂直落下通路を落下して前記NG品受け部に収容されることを特徴とする。
【0018】
本発明のさらに他の形態によれば、前記無線ICタグ投入対象物は、混練槽に収納されてなる液体状、粘性体状または半固体状の物質であることを特徴とする。
【0019】
本発明のさらに他の形態によれば、前記無線ICタグ投入対象物は、混練槽に収納されてなるセメント、水、骨材を混練してなる生コンクリートであることを特徴とする。
【0020】
本発明のさらに他の形態によれば、前記振動整列装置は、無線ICタグを収容する凹状円盤と、前記円盤の外周に形成された円形送出路と、前記円盤および前記円形送出路を振動させる加振駆動部材とを有し、前記円形送出路は、一端に前記円盤に連通するICタグ取込み口と、他端にICタグ落下シュートに連通する排出口とを有することを特徴とする請求項1〜7に記載の竪型無線ICタグ投入装置。
【0021】
本発明のさらに他の形態によれば、前記振動整列装置は、前記無線ICタグを収容してなるカートリッジを着脱自在に取り付ける開口部を有することを特徴とする。
【0022】
本発明のさらに他の形態によれば、前記ICタグ落下シュートに該シュートを通過する無線ICタグの個数を計数する計量手段が設けられることを特徴とする。
【0023】
本発明のさらに他の形態によれば、前記ICタグ圧送部に前記無線ICタグを放出するホースが連結されることを特徴とする。
【0024】
本発明のさらに他の形態によれば、前記ICタグ圧送部の空気吹出し口に取り付けられる前記ホースの先端に、前記無線ICタグの送出を検出するセンサー機構をもつセンサーユニットが設けられることを特徴とする。
【0025】
本発明のさらに他の形態によれば、遠隔操作可能な装置作動電源を有し、装置作動状況がインターネットシステムを介して監視可能であることを特徴とする。
【0026】
本発明のさらに他の形態によれば、前記装置作動電源は、タッチパネル盤IDの入力によって遠隔操作されることを特徴とする。
【0027】
本発明のさらに他の形態によれば、前記無線通信手段は、データベースと有線または無線により電気的に接続され、かつ前記無線ICタグのアンテナ部に対して、所定の周波数帯の無線電波を出力して無線通信し、前記データベースに蓄積されている製品情報データを書き込む非接触型の無線通信手段であることを特徴とする。
【0028】
本発明のさらに他の形態によれば、前記無線ICタグは、前記無線通信手段との間で無線通信によりデータの書き込み、または読み出しが可能な無線ICタグであって、前記無線ICタグには、前記無線通信手段からの無線電波を受信しこれと共振して電流を発生する電源部と所定の周波数帯域で無線通信するためのアンテナ部を有する強誘電体を利用した強誘電体メモリを基板上に実装し、前記データを前記強誘電体メモリに記憶させる無線ICタグとし、前記無線通信手段は前記無線ICタグの通信周波数帯の無線電波を出力する無線通信装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る竪型無線ICタグ投入装置は、ICタグ投入機構部、書込み・読出し部、エラー検査部等のICタグ処理部をユニット化し、このユニット複数個縦方向に配列する構成としたので、装置の設置面積が小さくてすみ、また短時間で多数の無線ICタグを混練槽の広い範囲に投入できる。また、一部分が故障しても、故障部分のユニットのみを補修すればよく、さらに状況に応じて作動するユニット数を増減して投入量の変更も容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施例に係る竪型無線ICタグ投入装置の全体外観斜視図である。
【図2】図1に示す竪型無線ICタグ投入装置の正面図である。
【図3】本発明の実施例に係る竪型無線ICタグ投入装置の1つのユニット部を示す概略的な拡大斜視図である。
【図4】本発明の実施例に適用される無線ICタグ収容カートリッジの一例を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施例に係る振動整列部の概略的な斜視図である。
【図6】本発明の実施例に係るICタグ落下シュートおよび切出し機構部の正面図である。
【図7】本発明の実施例に適用される無線ICタグの一例を示す側面図および横断面図である。
【図8】本発明の実施例に適用される無線ICタグの一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態では生コンクリートに無線ICタグを投入する場合を例示したが、無線ICタグの投入対象物としてはこのような生コンクリートに限るものではなく、液体状、粘性体状あるいは半固体状のもの、例えば溶融状態の熱可塑性樹脂材、硬化前の石膏材などにも同様に適用可能である。
【0032】
まず、本発明の実施例に適用される無線ICタグの一例について説明する。図7に示すように、本実施例の無線ICタグ1は、平面視(図7(a))で楕円形の輪郭形状を有し、正面視(同図(b))では上下面が大略円弧形の形状を成している。図7(c)は図7(b)の矢視Fからみた右側面図である。図7(a)に示すように、全体として円弧状にわん曲した上面の片側は周縁に向って傾斜面1aとなっており、また、わん曲面上には複数個の円形小凹部21と複数本(図示の例では3本)の長形凹部22が形成されている。図7(b)のICタグ正面の形状は中心Oに対して点対象に形成されている。さらに、ICタグ1の下面は図7(a)に示す上面に対して、またICタグ1の背面は図7(b)の正面に対して、また該タグの左側面は図7(c)の右側面に対して、それぞれ対称な形状となっている。この無線ICタグ1は図7(b)の正面の中心線Cに沿って上下に2分割され、その分割面に図7(d)に示すように板状のICチップ(図示せず)を収容する凹部23が形成されている。無線ICチップ1がこの凹部23に収容された後、分割した半体24,25どおしが一体に接着されて無線ICタグ1が構成される。
【0033】
このような形状の無線ICタグ1は、左右両側縁1bが傾斜面1aで尖がった形態となるため、生コンクリートに投入したとき、混練に伴なって生コンクリート内に深く侵入し易くなり、また上下面の複数個の円形小凹部21により生コンクリートに対して固着性がよく、さらに上下面の長形凹部22により、生コンクリートとの密着性が向上する。さらに、内蔵されるICチップは広い面積の板状の形状のため、ICタグ1の任意の方向から無線手段によるデータの書き込み、読み出しが可能となる。なお、本発明に適用される無線ICタグは上述した形態のものに限定されるものではなく、他の形状のもの、例えば円筒形の周部をもつ俵状の外形形状のものであってもよい。
【0034】
このような無線ICタグ1の外殻は熱可塑性樹脂材で形成され、内蔵される無線ICタグチップはRFIDと称されるデータ書込み/読出しが可能な記憶素子であり、例えばICタグ用メモリ素子として強誘電体を利用した強誘電体メモリであるFeRAMチップが金属板、セラミック板等から成る基板上に実装される。
【0035】
無線ICタグのFeRAMチップを構成するFeRAMのタイプは、どのようなものでもよく、例えばキャパシタ型、トランジスタ型いずれのタイプであってもよい。なお、製品等の管理システムに用いやすいのは、電源を搭載せず外部からのデータアクセス用の電波を整流して電源とするパッシブ型のFeRAMである。このFeRAMチップには、強誘電体を利用した不揮発性メモリであるFeRAMと、駆動用に電池を内蔵せずに外部からの電波を受信して共振し、電流を発生する電源部と、無線交信するためのフィルム状のアンテナ部が搭載されている。
尚、図8に示す俵形の無線ICタグ8の場合は、後述する投入装置内の通路をスムーズに、かつ方向性を確保した状態で、周部で転動しながら通過することができる。この場合、データの書き込み、読み出しは俵形の端面に対して行われる。無線ICタグ8は、平坦ないし若干凸状となった両端面83と円筒形の周部81とを有する俵形の外形形状を成し、両端面83の中心を通る軸線(回転軸線)Cに対して対称形を有している。周部には複数の凸条82が略等間隔に形成され、これによって投入対象物の生コンクリートとの密着性、親和性が得られる。この無線ICタグ8の俵形の外殻は熱可塑性樹脂材の被覆体で構成され、内部の中心に無線ICタグのチップが収容されている。
【0036】
図1は本実施例に係る無線ICタグの竪型データ処理・投入装置の全体構成を正面側からみた概略的な斜視図であり、図2は図1に示す竪型ICタグ投入装置の正面図である。まず図1,図2を参照して本実施例装置10の構成および無線ICタグの投入動作を概略的に説明すれば、この実施例では、垂直なICタグ落下通路11に沿って上下方向に4段のユニット化されたICタグのデータ処理部が設置される。なお、図示の例では4個のユニットのうち最下段のユニットは便宜上取り外した状態となっている。
【0037】
まず、装置上部のホッパ12に収容された無線ICタグは振動整列装置40で向きが整えられた後、傾斜した落下シュート14を滑動、落下し、切出し部15で1個づつ所定の間隔をもって下方の垂直落下通路11に送り出される。装置10の稼働開始時にはこの実施例の最下段のユニット3が閉状態(ストッパ16の前進状態、後述)となっており、最上段のユニット1および次段のユニット2が共に開状態(ストッパ後退状態)となって垂直落下通路11が前記最下段のユニット3に至る位置まで開通している。したがって垂直落下通路11に入った第1番目の無線ICタグは最下段のユニット3に受け止められ、このユニット3でデータの書き込みがなされ、さらにデータの読み出しを兼ねた書込みエラーの有無検出がなされ、書込みエラーがない場合にはユニット3の側方に位置する圧送部31へICタグが押し出され、加圧エアによって装置前面のエア吹出し口18に取り付けられたホース19(図1)を介して高速で無線ICタグが混練槽(図示省略)へ投入される。
【0038】
ユニット3で無線ICタグの書込みエラーが検出された場合には、その検出信号によりユニット3に付属する振分け部70が働いてユニット3位置の垂直落下通路11が開となり、ICタグのNG品は装置下部のNG品受け部30に収容される。なお、書込みエラーが検出されない正常品の場合は前記振分け部70によってICタグはNG品受け部30へ落下することなく側方の圧送部31へ送られる。符号71は振分け部70を作動させる振分けシリンダである。
【0039】
上述のごとく1番目の無線ICタグの処理が終った後、最上段のユニット1および最下段のユニット3は開となり、同時に、これらにそれぞれ付属する振分け部も開状態となっており、次段のユニット2のみが閉となり、したがって後続の2番目の無線ICタグは垂直落下通路11からユニット2に受け止められ、前述したユニット3の場合と同様にユニット2で2番目のICタグに対しデータの書き込みがなされ、さらに書込みエラーの有無検出がなされ、書込みエラーがない場合、ユニット2の振分け部によって無線ICタグはユニット2に対応する側方の圧送部32へ押し出されて加圧エアにより混練槽へ投入される。書込みエラーが検出された場合は、ユニット2の振分け部が働いてユニット2位置の垂直落下通路11が開となってNG品は装置下部のNG品受け部30へ落下する。
【0040】
その後の3番目の無線ICタグに対しては、ユニット1が閉状態となっており、ユニット2およびその振分け部が開、ユニット3およびその振分け部が共に開となり、上述と同様にして最上段のユニット1で3番目の無線ICタグのデータ書込み、書込みエラーの検出、ユニット1に対応した圧送部33への送出、等の処理がなされ、以後このような動作が順次繰り返される。この反復動作は落下シュート14の切出し部15そのほかの部位に設けられた各種センサの信号で動作する制御装置によりタイミングがとられて実行される。
【0041】
次に、装置各部の具体的な構成について説明する。図5は本発明の実施例に係る振動整列装置40を示す図であり、図4は振動整列装置に取り付けられるICタグカートリッジの一例を示した図である。図1および図5を参照すれば、振動整列装置40は底が皿状に窪んだ凹状円盤41と、この凹状円盤41を囲む円形送出路42と、凹状円盤41の下側に配置された加振駆動装置43(図2)とを有している。ホッパ12内の無線ICタグはシュート45を介して振動整列装置40の凹状円盤41に供給され、振動作用によって無線ICタグは、図5の破線矢印44で示す如く、凹状円盤41から円形送出路42へ向って無線ICタグの端面どおしを連接した整列状態で徐々に送り出され、円形送出路42の排出口42aからICタグ落下シュート14へ滑動あるいは転動し、切出し装置15によって1個づつ分離されて垂直落下通路11へ送出される。
【0042】
また、図4に示すように、ホッパ12へ投入する無線ICタグ1は、あらかじめカートリッジ51に入れた状態で供給することができる。無線ICタグ入りのカートリッジ51をホッパ12の開口部へ取り付けることにより、無線ICタグ1はホッパ12内に投入される。無線ICタグのデータ処理・投入装置10のホッパ12の投入口は、カートリッジ51が着脱自在に取り付けられるように形成されている。
【0043】
カートリッジ51は、円筒状の筐体52内にあらかじめデータ書き込み前の無線ICタグが複数個入れられている。カートリッジ51の底部には、ホッパ12の投入口に嵌合する開口部53が形成されており、この開口部53から無線ICタグ1はホッパ12へと落下投入される。また、カートリッジ51の底部は、開口部53へ向って傾斜しており、開口部53へ無線ICタグ1を案内するレール部54が形成されている。なお、カートリッジ51の形状は一例であって上述したものに限られるものではない。
【0044】
ホッパ12内の無線ICタグ1が不足したときには、このカートリッジ51を交換することにより、容易に無線ICタグ1を供給することができる。また、カートリッジ51に無線ICタグ1を入れた後、封入すれば、他の無線ICタグの投入を防ぐことができ、偽造した無線ICタグ等の投入を防止することができ、正しいデータを書き込んだ無線ICタグ1を用いてコンクリート品質管理システムを安全に運用することができる。
【0045】
図6は本発明の実施例に係るICタグ落下シュートおよび切出し機構部を示した図である。図2〜図6を参照すれば、ICタグ落下シュート14には一対の交互に突出、退避動作するストッパ部材61,62を有する切出し機構60と、この切出し機構60の位置で落下シュート14に対峙し、かつ無線ICタグ1の一時停止を検知して切出し機構60の動作を制御する一時停止検知センサが設けられている。また、ICタグ落下シュート14には切出し機構60より上流側位置に無線ICタグ1の通過を検知して該ICタグの通過個数を計数する計量センサ63が設けられている。
【0046】
無線ICタグ1は落下シュート14に設けられた計量センサ63にて通過個数がカウントされた後、退避位置にある上側ストッパ部材61を通過し、突出(前進)状態の下側のストッパ部材62に接当して停止すると(図6の状態)、これを検知した前記一時停止検知センサの信号により下側のストッパ部材62が落下シュート14から退避してICタグ1を送り出すとともに、上側ストッパ部材61がシュート14に向って前進して落下シュート14を閉塞し、後続のICタグを停止させ、次いで下側ストッパ部材62が前進するとともに上側ストッパ部材61が退避し、無線ICタグ1は下側ストッパ部材62によって一時的に停止され、前記一時停止検知センサの信号が出力される。このようにして落下シュート14を連続して落下してくる無線ICタグ1は1個づつ分離して垂直落下通路へと送られる。
【0047】
図3は本発明の実施例に係る無線ICタグの垂直落下通路に配置されたICタグ処理ユニット部を示した前面斜視図である。図2,図3を参照すれば、各々のユニット1,2,3はそれぞれ対応する圧送部33,32,31の位置よりやや上方に寄った位置で垂直落下通路11を開閉する板状のストッパ16が前後進可能に設けられている。なお、ここで垂直落下通路11を閉塞する方向への動作をストッパ前進、垂直落下通路11を開成する方向への動きをストッパ後退と称することとする。ストッパ16の後端にはシリンダ装置35が連結され、このシリンダ装置35の作動により垂直落下通路11を横断するようにストッパ16が前進、後退する。
【0048】
ストッパ16が前進して垂直落下通路11が閉塞されたとき、垂直落下通路11を落下してきた無線ICタグ1はストッパ16上に載せられて一時停止する。このICタグ1の一時停止位置に対峙するように無線通信手段によるデータ書込み装置36(ライタ部)が配置されており、ここで各種のデータがICタグ1に書き込まれる。ストッパ16の下方には振分け部70の振分けシリンダ71によって前進、後退動作(出入動作)する振分け板72が垂直落下通路11を横切るように設けられており、ストッパ16の開成動作でストッパ位置から落下してきたデータ書込み済みの無線ICタグが前進状態の振分け板72上に受け止められる。振分け板72の位置で該振分け板72上の無線ICタグに対峙するように、無線手段によるデータ読出し装置37(リーダ部)が配置され、これによって振分け板72上の無線ICタグのデータが読み出される。
【0049】
データ読出し装置37はストッパ位置から落下してきた無線ICタグの検査機能も備えており、データが正常に書き込まれている場合には、振分けシリンダ71の作動で振分け板72はこれに対応した側方の圧送部31(33,32)まで伸長し、振分け板71上の無線ICタグは装置の背後側から噴射される加圧空気により装置前方へ吹き飛ばされ、圧送部31の吹出し口18に連結したホース19(図1)を介して図外混練槽へ投入される。データ書込み装置36でデータが正常に書き込まれなかった場合、つまりデータの書込みエラーがあった場合には、前記データ読出し装置37の検出信号で振分け制御部が作動し、振分けシリンダ71により振分け板72が後退し、無線ICタグはNG品として垂直落下通路11の下部へ落下し、NG品受け部30(トレイ)に収容される。
【0050】
このように振分けシリンダ71および振分け板72は無線ICタグの正常品とNG品とを振リ分ける機能を有している。また、1つのユニット(例えばユニット2)でICタグの処理を行っているとき、他のユニット(例えばユニット1,3)は動作中のユニット2によるICタグの処理が終るまで、これら他のユニット1,3におけるストッパおよび振分け板は垂直落下通路11から後退した状態に維持されている。このようにして、上下に配置された複数個のICタグ処理ユニットは上段から下段のユニットにかけて順次上述の動作を繰り返す。
【0051】
また、各ICタグ圧送部31,32,33のエア吹出し口18に取り付けられるホース19の先端に、無線ICタグ1の投入を検出するセンサー内蔵のセンサーユニット(図示省略)が設けられている。前記センサーユニットは混練槽に鉤等で容易に外れないように取り付けられる。このようにホースの先をユニット化し、センサー機構を設けることで実際に無線ICタグが混練槽に投入されたかどうかをモニターすることができる。
【0052】
このように本発明では、エアホースを用いた加圧空気によるICタグ投入構造とすることにより、投入口でのタグ詰まりの激減、および設置場所の自由な選定が可能となる。また、本発明に係る竪型ICタグ投入装置はICタグの処理・投入機構部をユニット化して上下に配置する構成としたので、装置の設置面積が小さくてすむとともに、使用対象や状況に応じて前記ユニットを増減して無線ICタグの投入量を容易に変更することが可能となる。さらに、本発明に係る竪型無線ICタグ投入装置の設置位置は混練槽と同じ高さ位置である必要はなく、場合によっては地面上に直接設置することもでき、これによって安全性が確保されるとともに、保守点検も容易となる。なお、上述の実施例ではICタグの処理ユニットを3段としたが、本発明ではこの形態に限定されるものでなく、例えば混練槽の大きさに応じて任意の個数のユニットとしてもよいことは勿論である。なお、加圧空気の圧力は通常の場合、数気圧である。
【0053】
本発明では、無線ICタグの処理・投入装置の電源の入、切は遠隔操作で行えるようにしている。さらに、場合によってはインターネット経由で、前記データ処理・投入装置の電源の操作が可能としているので、稼働現場以外の場所でも前記処理・投入装置の稼働状況が判定でき、トラブルが発生した場合にも、適切かつ迅速な対応が可能となる。
【0054】
また、従来のこの種の装置では、電源の投入を始め、各種の装置操作を任意の作業者や操作員が自由に行うことができるという構造であったが、本発明においては、データの書き込み、読み出しを始めとしてこれらの作業を例えばタッチパネル盤でのID入力によって行えるようにしているので、操作員およびその操作権限を限定でき、装置運用の信頼性を高めることができる。また従来は、例えば投入するICタグの形状が変更したような場合、装置全体を全面的に改修する必要があったが、本発明では例えばユニットのみを交換したり、故障したユニットのみを補修など部分的な改修で対応することができるという効果がもたらされる。
【符号の説明】
【0055】
1 無線ICタグ
10 竪型無線ICタグ投入装置
11 垂直落下通路
12 ホッパ
14 落下シュート
15 切出し部
16 ストッパ
31,32,33 圧送部
19 ホース
30 NG品受け部
36 データ書込み装置
37 データ読出し装置
40 振動整列装置
51 カートリッジ
60 切出し機構
70 振分け部
71 振分けシリンダ
72 振分け板
8 無線ICタグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線ICタグを振動作用で整列させる振動整列装置と、整列状態で送られてきた無線ICタグを1個づつ切り離して垂直落下通路へ落し込む切出し装置と、前記垂直落下通路に沿って上下に配置された複数のICタグ処理ユニットと、前記各ユニットの側方にそれぞれ配置されたICタグ圧送部と、装置下部に設けられた無線ICタグのNG品受け部と、前記各ユニットの動作を制御する制御装置とを有し、
前記ICタグ処理ユニットは、前記垂直落下通路を開閉するストッパ部と、前記ストッパ部の下方に配置され、かつ、前記垂直落下通路上で無線ICタグを受け止めて側方のICタグ圧送部への押し出しと垂直落下通路下方への落し込みを振り分ける振分け部と、前記ストッパ部の位置に設けられ、かつ該ストッパ部上の無線ICタグに無線通信手段でデータを書き込むデータ書込み部、および前記振分け部の位置に設けられ、該振分け部で受け止められた無線ICタグの書込みデータを無線通信手段で読み出すデータ読出し部とを有することを特徴とする竪型無線ICタグ投入装置。
【請求項2】
上下に配置された複数の前記ICタグ処理ユニットのうち、前記無線ICタグの処理中のユニット以外の他のユニットが開状態に保持されることを特徴とする請求項1に記載の竪型無線ICタグ投入装置。
【請求項3】
前記制御装置は上段の前記ユニットから下段の前記ユニットにかけて順次無線ICタグの処理動作がなされるように制御することを特徴とする請求項1または2に記載の竪型無線ICタグ投入装置。
【請求項4】
前記データ読出し部は前記無線ICタグのデータ書込みエラーを検出するNG品検出機能を兼ねることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の竪型無線ICタグ投入装置。
【請求項5】
前記装置下部に設けられるNG品受け部は、前記垂直落下通路の下方に設けられ、データ書込みエラーが検出されたNG品が前記振分け部から前記垂直落下通路を落下して前記NG品受け部に収容されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の竪型無線ICタグ投入装置。
【請求項6】
前記無線ICタグ投入対象物は、混練槽に収納されてなる液体状、粘性体状または半固体状の物質であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の竪型無線ICタグ投入装置。
【請求項7】
前記無線ICタグ投入対象物は、混練槽に収納されてなるセメント、水、骨材を混練してなる生コンクリートであることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の竪型無線ICタグ投入装置。
【請求項8】
前記振動整列装置は、無線ICタグを収容する凹状円盤と、前記円盤の外周に形成された円形送出路と、前記円盤および前記円形送出路を振動させる加振駆動部材とを有し、前記円形送出路は、一端に前記円盤に連通するICタグ取込み口と、他端にICタグ落下シュートに連通する排出口とを有することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の竪型無線ICタグ投入装置。
【請求項9】
前記振動整列装置は、前記無線ICタグを収容してなるカートリッジを着脱自在に取り付ける開口部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の竪型無線ICタグ投入装置。
【請求項10】
前記ICタグ落下シュートに該シュートを通過する無線ICタグの個数を計数する計量手段が設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の竪型無線ICタグ投入装置。
【請求項11】
前記ICタグ圧送部に前記無線ICタグを放出するホースが連結されることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の竪型無線ICタグ投入装置。
【請求項12】
前記ICタグ圧送部の空気吹出し口に取り付けられる前記ホースの先端に、前記無線ICタグの送出を検出するセンサー機構をもつセンサーユニットが設けられることを特徴とする請求項11に記載の竪型無線ICタグ投入装置。
【請求項13】
遠隔操作可能な装置作動電源を有し、装置作動状況がインターネットシステムを介して監視可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の竪型無線ICタグ投入装置。
【請求項14】
前記装置作動電源は、タッチパネル盤IDの入力によって遠隔操作されることを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれかに記載の竪型無線ICタグ投入装置。
【請求項15】
前記無線通信手段は、データベースと有線または無線により電気的に接続され、かつ前記無線ICタグのアンテナ部に対して、所定の周波数帯の無線電波を出力して無線通信し、前記データベースに蓄積されている製品情報データを書き込む非接触型の無線通信手段であることを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の竪型無線ICタグ投入装置。
【請求項16】
前記無線ICタグは、前記無線通信手段との間で無線通信によりデータの書き込み、または読み出しが可能な無線ICタグであって、前記無線ICタグには、前記無線通信手段からの無線電波を受信しこれと共振して電流を発生する電源部と所定の周波数帯域で無線通信するためのアンテナ部を有する強誘電体を利用した強誘電体メモリを基板上に実装し、前記データを前記強誘電体メモリに記憶させる無線ICタグとし、前記無線通信手段は前記無線ICタグの通信周波数帯の無線電波を出力する無線通信装置であることを特徴とする請求項1乃至請求項15のいずれかに記載の竪型無線ICタグ投入装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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