端子台及びナット
【課題】ナットの締結面に樹脂膜が形成されることを防ぐことで、ナットと導電体との密着性を確保し、端子台の放熱性能を向上させる。
【解決手段】導電体を重ね合わせてボルトによって締結する端子台であって、導電体が載置される上側締結面１０Ａの外周縁部に一段下がった形状をなす段付部１２が形成されたナット１０と、ナット１０の下側に配されるヒートシンク４０と、ナット１０とヒートシンク４０とに挟持される絶縁プレート２０と、三つの部材１０，２０，４０を一体に成形してなる成形樹脂部６０とを備え、段付部１２は、成形樹脂部６０を成形する際に、成形樹脂部６０の上方側を成形する第一金型７１に設けられた樹脂食い切り部７３によって押圧されるようになっており、段付部１２において樹脂食い切り部７３によって押圧される被押圧面１２Ｂよりも外周側の規制面１２Ａは、成形樹脂部６０によって覆われていることを特徴とする。
【解決手段】導電体を重ね合わせてボルトによって締結する端子台であって、導電体が載置される上側締結面１０Ａの外周縁部に一段下がった形状をなす段付部１２が形成されたナット１０と、ナット１０の下側に配されるヒートシンク４０と、ナット１０とヒートシンク４０とに挟持される絶縁プレート２０と、三つの部材１０，２０，４０を一体に成形してなる成形樹脂部６０とを備え、段付部１２は、成形樹脂部６０を成形する際に、成形樹脂部６０の上方側を成形する第一金型７１に設けられた樹脂食い切り部７３によって押圧されるようになっており、段付部１２において樹脂食い切り部７３によって押圧される被押圧面１２Ｂよりも外周側の規制面１２Ａは、成形樹脂部６０によって覆われていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、端子台及びナットに関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、モータやインバータなどの電気機器から延びるバスバーなどの導電体同士を電気的に接続する端子台として特許文献１に記載のものが知られている。この端子台は、内部に金属製のナットをインサート成形した端子台本体に、各電気機器の導電体同士を重ね合わせるように載置し、締結ボルトとナットとによって共締めすることで、導電体同士を電気的に接続する。
【０００３】
ところで、一般に電気機器は発熱量が高く導電体が高温となるため、この端子台は、ナットの下方に平板状の合成樹脂からなる絶縁部材を介して金属製のヒートシンクを配し、導電体からナットに伝わった熱を絶縁部材を介してヒートシンクに伝え、ヒートシンクから熱を放熱するようになっている。また、この端子台は、ナットをインサート成形する際、導電体が載置される締結面全体を成形金型によって上方から押圧することで締結面に樹脂が浸入することを規制し（以下において「樹脂の食い切り」というものとし、成形金型において樹脂の食い切りを行う部分を樹脂食い切り部という）、締結面が樹脂によって覆われないように成形されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開２００８−９８００７号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
ところが、樹脂食い切り部によって締結面全体を押圧してインサート成形すると、樹脂食い切り部の押圧力が締結面全体に分散し、樹脂食い切り部の締結面に対する接圧が低下し、樹脂食い切り部と締結面との境界の一部に僅かな隙間が生じる虞がある。隙間が生じると、その隙間に樹脂が流れ込んで硬化し、締結面上に形成された樹脂膜によって導電体とナットとを直接密着させることができなくなる。すると、導電体からナットへの熱伝達効率が低下し、その結果、導電体及び端子台の放熱性能が低下する。この対策として、樹脂の食い切りを確実に行うべく樹脂食い切り部の押圧力を高くすると、絶縁部材が圧潰されて破損したり、締結面が損傷してバスバーとの接触面積が低下したりする虞がある。
【０００６】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、樹脂の食い切りを確実に行うことでナットの締結面に樹脂膜が形成されることを防ぐと共に、ナットと導電体との密着性を確保し、もって端子台の放熱性能を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
上記の目的を達成するための手段として本発明は、機器から延びる複数の導電体を重ね合わせてボルトによって締結する端子台であって、前記導電体が載置される締結面の外周縁部に前記導電体側とは反対側に凹んだ形状をなす段付部が全周に亘って形成されたナットと、前記ナットの前記締結面とは反対側に配されるヒートシンクと、前記ナットと前記ヒートシンクとに密着した状態で挟持され、前記導電体の熱を前記ナットから前記ヒートシンクに熱伝達する絶縁プレートと、前記ナットと前記絶縁プレートと前記ヒートシンクとを一体に成形してなる成形樹脂部とを備え、前記段付部は、前記成形樹脂部を成形する際に、この成形樹脂部を成形する成形金型に設けられた樹脂食い切り部によって全周に亘って押圧されるようになっており、前記段付部において前記樹脂食い切り部によって押圧される被押圧面と面一をなし、且つ、その被押圧面の外周側に連なる規制面は、前記成形樹脂部によって覆われているところに特徴を有する。
【０００８】
このような構成の端子台によると、ナットの段付部を樹脂食い切り部によって全周に亘って押圧して樹脂成形部を成形するので、樹脂食い切り部の押圧力を高くすることなく、樹脂食い切り部の段付部に対する接圧を高くすることができる。これにより、樹脂食い切り部と段付部との境界部分で、樹脂の食い切りを確実に行うことができ、ナットの締結面に成形樹脂が付着することを防止することができる。
また、樹脂を食い切る位置は、ナットの締結面よりも導電体とは反対側に凹んだ段付部となるため、締結面が損傷して導電体との接触面積を低下させることがない。また、ナットの成形誤差などにより樹脂食い切り部と段付部との間に僅かな隙間が生じ、その隙間に樹脂が流れ込んだ場合においても、段付部が締結面よりも導電体型とは反対側に凹んで高さが異なる位置に形成されているので、ナットの締結面に樹脂が容易に流れ込むことを防止することができる。このように、本発明では、ナットの締結面に樹脂膜が形成されることを防止し、バスバーの熱をナットに効率よく伝えることで、バスバー及び端子台の放熱性能を向上させることができる。
また、段付部における規制面が成形樹脂部によって覆われているので、ナットにボルトを締め付ける場合に、ナットがボルト側に引き寄せられることを規制し、ナットと絶縁プレートとの間に金属や合成樹脂に比べて熱伝導率の低い空気層が形成されることを防ぐことができる。これにより、ナットと絶縁プレートとが密着した状態に保持され、ナットから絶縁プレートを介してヒートシンクへ熱を逃がし易くなることで、端子台の熱伝達性能を向上させることができる。
また、段付部において被押圧面の外周側に面一に連なる規制面を成形樹脂部で覆っているため、被押圧面と規制面とをそれぞれ高さが異なる位置に形成するよりも、ナットの形状を簡素化することができる。
【０００９】
本発明の実施の態様として、以下の構成が好ましい。
前記成形樹脂部は、前記段付部の前記規制面を上方から覆う上方覆い部と、前記ヒートシンクの下端部を下方から覆う下方覆い部と、前記上方覆い部と前記下方覆い部とを繋ぐ側壁部とを備えて構成されており、前記ナットと前記絶縁プレートと前記ヒートシンクとは、それぞれが密着した状態で、前記上方覆い部と前記下方覆い部とによって上下方向両側から挟持されている構成としてもよい。
このような構成によると、成形樹脂部がナットの上面を覆うと共に、ヒートシンクの下面も覆った状態となる。これにより、ナットがボルトに引きつけられることで、ナットと共に成形樹脂部が上方に浮き上がることを規制し、ナットと、絶縁プレートと、ヒートシンクとを密着した状態に維持することができる。
【００１０】
前記段付部は、前記成形金型の前記樹脂食い切り部と面接触可能に設けられている構成としてもよい。
このような構成によると、成形樹脂部を成形する際に、段付部と樹脂食い切り部とによって、樹脂の食い切りを確実に行うことができる。これにより、ナットの上面に樹脂膜が形成されることを防ぎ、導電体をナットに対して密着させることができる。
【００１１】
前記樹脂食い切り部は、前記成形金型が型開きする方向と直交する水平な先端面を有しており、前記段付部の上面は、前記樹脂食い切り部の前記先端面と面接触する水平な面とされており、前記先端面が前記段付部の前記被押圧面に面接触した状態における前記樹脂食い切り部の側面と前記ナットの側面との間には、クリアランスが形成されている構成としてもよい。
樹脂食い切り部の先端面と段付部の上面とが傾斜した面で構成される場合には、ナットが僅かでも位置ずれすると、段付部の上面と樹脂食い切り部の先端面とが面接触できなくなる虞がある。その点、上記のような構成によると、ナットが僅かに水平方向に位置ずれした場合であっても、ナットの段付部の上面に対して樹脂食い切り部の先端面を面接触させることが可能となり、樹脂の食い切りを確実に行うことができる。
【００１２】
また、本発明は、機器から延びる複数の導電体を重ね合わせてボルトによって締結する端子台において前記導電体を載置して前記ボルトを締結するナットであって、前記導電体が締結される締結面側の端部には、前記締結面の外周縁部に前記導電体とは反対側に凹んだ段付部が形成されているところに特徴を有する。
このような構成のナットによると、段付部における導電体側の面を樹脂成形部によって覆うことで、ナットがボルトに引き寄せられることを規制することができる。また、この段付部を樹脂食い切り部で押圧することで、ナットを樹脂成形部と一体に成形する際に、樹脂の食い切りを確実に行うことができる。
【発明の効果】
【００１３】
本発明によれば、樹脂の食い切りを確実に行うことでナットの締結面に樹脂膜が形成されることを防ぐと共に、ナットと導電体との密着性を確保し、もって端子台の放熱性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【００１４】
【図１】端子台の斜視図
【図２】同平面図
【図３】同背面図
【図４】同底面図
【図５】図２のＶ−Ｖ線断面図
【図６】図２のＶＩ−ＶＩ線断面図
【図７】ナットの平面図
【図８】絶縁プレートの平面図
【図９】同背面図
【図１０】同底面図
【図１１】ヒートシンクの平面図
【図１２】同底面図
【図１３】ナットと絶縁プレートとヒートシンクとの組み付け前の状態を示す側面図
【図１４】ナットと絶縁プレートとヒートシンクとの組み付け後の状態を示す平面図
【図１５】図１４のＸＶ−ＸＶ線断面図
【図１６】端子台を第一、第二金型内で成形した状態を示す断面図
【図１７】絶縁プレートが第一、第二成形金型から離型した状態の断面を示した斜視図
【図１８】ナット収容凹部が第一成形金型に嵌り込んだ状態を示す断面図
【図１９】絶縁プレートが第一成形金型から離型した状態を示す断面図
【図２０】図１６の第一金型における樹脂食い切り部がナットの段付部における押圧面を押圧している状態を示す拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【００１５】
＜実施形態＞
本発明の一実施形態について図１乃至図２０を参照しながら説明する。
本実施形態は、電気自動車やハイブリッド車などの車両に搭載されるモータケースに取り付けられ、三相交流型モータに設けられた三極のバスバーと、インバータに設けられた三極のバスバーとを電気的に接続する端子台を例示したものである。
【００１６】
端子台は、電気機器から延びる図示しないバスバーが載置されるナット１０と、ナット１０におけるバスバーが載置される上面側とは反対側の下面側に配されるヒートシンク４０と、ナット１０とヒートシンク４０とによって上下方向両側から挟持される絶縁プレート２０と、これら三つの部材１０，４０，２０を覆う合成樹脂製の成形樹脂部６０を備えて構成されている。尚、以下の説明において、上下方向とは図５における上下方向を基準とし、左右方向とは図２における左右方向を基準とする。
【００１７】
ナット１０は金属製のブロック状をなし、図７及び図１３に示すように、四隅が丸みを帯びた平面視略長方形状をなしている。ナット１０の略中央部には、上下方向（両締結面１０Ａ，１０Ｂと直交する方向）に貫通するボルト締結孔１１が設けられている。このボルト締結孔１１には、ナット１０の上側締結面１０Ａに複数の図示しないバスバーが載置された後、図示しないボルトがボルト締結孔１１に螺合され、バスバー同士が導通可能に接続される。
【００１８】
また、ナット１０の上端部における外周縁部には、段付部１２が形成されている。この段付部１２は、図５に示すように、ナット１０の上側締結面１０Ａに比べて一段低く形成されている。また、段付部１２はナット１０の外周縁部に全周に亘って設けられており、ナット１０の上側締結面１０Ａ及び下側締結面１０Ｂと平行となるように形成されている。また、ナット１０の上側締結面１０Ａと、下側締結面１０Ｂと、段付部１２は凹凸がない平坦状に形成されている。
【００１９】
絶縁プレート２０は合成樹脂製であって、図８に示すように、左右方向に横長な形態をなしている。この絶縁プレート２０は、ナット１０に載置されるバスバーの熱を上方に位置するナット１０から下方に位置するヒートシンク４０に熱伝達する役割を果たしている。尚、ここで用いられる合成樹脂は、ガラス及びタルクの含有量が６６％程度とされており、ガラス及びタルクの含有量が３３％程度の合成樹脂に比べて、熱伝導率が高くなっている。これにより、ナット１０からヒートシンク４０に効率よく熱を伝達できるようになっている。
【００２０】
絶縁プレート２０には、ナット１０を収容可能なナット収容凹部２１が左右方向に並んで複数（本発明では５つ）設けられている。
各ナット収容凹部２１は、図５に示すように、ナット１０の下側締結面１０Ｂが密着可能な底板２２と、底板２２からナット１０の側面を全周に亘って取り囲むように上方に立ち上る囲い壁２３とを備えて構成されている。したがって、ナット収容凹部２１は、上端に開口しており、この上端開口は四隅が丸みを帯びた略矩形状をなしている。各ナット収容凹部２１は長辺側を隣接させるように横並びに形成されている。ナット収容凹部２１のうち、左右方向両側に位置するナット収容凹部２１は小型ナット収容凹部２１Ａとされ、中央部分に位置する３つの大型ナット収容凹部２１Ｂに比べて一回り小さく形成されている。
【００２１】
底板２２は、図１０に示すように、全てのナット収容凹部２１に共通するように一枚板状をなして一括して設けられており、底板２２の上下両面２２Ａ，２２Ｂは平坦に形成されている。これにより、図５に示すように、ナット１０がナット収容凹部２１に収容された状態において、ナット収容凹部２１における底板２２の上面２２Ａとナット１０の下側締結面１０Ｂとを隙間なく互いに密着させることができるようになっている。これにより、ナット１０から底板２２に効率よく熱を伝達できるようになっている。
【００２２】
囲い壁２３は、図８に示すように、その内周形状が略矩形状をなし、ナット１０の外周形状に沿った形態をなしている。また、囲い壁２３の内周形状は、ナット１０の外周形状よりも僅かに大きく設定されており、ナット１０がナット収容凹部２１に収容された状態では、図１４に示すように、囲い壁２３の内周面とナット１０の側面との間に僅かなクリアランスが形成された状態に収容されるようになっている。これにより、各ナット１０はそれぞれのナット収容凹部２１に収容されることで、位置決めされるようになっている。
【００２３】
また、隣り合うナット収容凹部２１の間に位置する囲い壁２３は、両ナット収容凹部２１の共通した囲い壁２３とされ、両ナット収容凹部２１に収容された両ナット１０の間を仕切る隔壁２４とされている。また、囲い壁２３のうち、隔壁２４以外の部分は、外周囲い壁２３Ａとされている。この隔壁２４の高さは、図９に示すように、外周囲い壁２３Ａの高さ寸法の約二倍に設定されており、隣り合う両ナット１０間の沿面距離を確保している。更に、隔壁２４は、ナット１０の上側締結面１０Ａに載置されたバスバーよりも高く形成されているため、ナット１０に載置されるバスバーが左右方向に移動することに起因して、バスバー同士が接触して短絡することを防止している。
【００２４】
また、外周囲い壁２３Ａの各内周面には、図８に示すように、平面視矩形状の押圧突部２７が突出して形成されている。
この押圧突部２７は、小型ナット収容凹部２１Ａの短辺側の囲い壁２３の内周面に一つずつ設けられ、小型ナット収容凹部２１Ａの長辺側の囲い壁２３及び大型ナット収容凹部２１Ｂの短辺側の囲い壁２３における内周面に間隔をあけて二つずつ設けられている。
【００２５】
押圧突部２７は、上下方向に延びた形態をなし、外周囲い壁２３Ａの全高に亘って形成されている。すなわち、押圧突部２７の上端面は、図１７に示すように、外周囲い壁２３Ａの上端面と面一となっている。また、押圧突部２７が設けられた部分の板厚は、押圧突部２７の板厚寸法だけ他の外周囲い壁２３Ａよりも厚く形成されている。
【００２６】
また、各押圧突部２７の上端面と、これに面一をなして隣接する外周囲い壁２３Ａの上端面とによって、第一押圧面２８が構成されている。尚、第一押圧面２８のうち、囲い壁２３の上端面と押圧突部２７の上端面とはほぼ同じ面積となるように設定されている。
【００２７】
また、隔壁２４の上端面には、図８に示すように、平面視矩形状の第二押圧面２９が形成されている。第二押圧面２９は、図６及び図１３に示すように、隔壁２４の上端部における長辺方向略中央部の両側に一段下がった形態で設けられている。
【００２８】
また、第一押圧面２８及び第二押圧面２９は、図１７及び図１８に示すように、上下方向に型開きする成形金型８１，８２によって絶縁プレート２０を成形した後、成形金型８１，８２から絶縁プレート２０を取り外す際に、成形金型８１，８２に設けられたエジェクタピン８３によって押圧される面とされている。詳しくは、絶縁プレート２０は、上側に配置された第一成形金型８１と、下側に配置された第二成形金型８２とによって成形される。第一成形金型８１は、絶縁プレート２０の上面側を成形し、第二成形金型８２は、絶縁プレート２０の下面側を成形するように構成されている。絶縁プレート２０は、第一成形金型８１と第二成形金型８２とによって形成されたキャビティ内に樹脂を射出することで成形され、この樹脂が硬化した後、第一及び第二成形金型８１，８２から取り外すことで完成する。
【００２９】
ところで、絶縁プレート２０のナット収容凹部２１は、第一成形金型８１に設けられた収容部成形部８１Ａによって成形され、冷却硬化すると、僅かに収縮し、図１８に示すように、収容部成形部８１Ａに嵌り込んだ状態となって離型しづらくなる。そのため、第一成形金型８１に設けられたエジェクタピン８３は、第一押圧面２８及び第二押圧面２９を押圧することで、図１７及び図１９に示すように、収容部成形部８１Ａからナット収容凹部２１を離型させ、第一成形金型８１から絶縁プレート２０を取り外すようになっている。このように、絶縁プレート２０は、第一成形金型８１から取り外す際に、底板２２ではなく、第一押圧面２８及び第二押圧面２９を押圧することで、第一成形金型８１から取り外され、底板２２の表面にエジェクタピン跡を形成させることなく成形される。これにより、ナット１０と底板２２との間に、金属や合成樹脂などに比べて熱伝導率が低い空気層が形成されることを防ぐことができる。このように、本実施形態の絶縁プレート２０は、ナット１０と底板２２とを密着させることができるので、ナット１０から絶縁プレート２０への熱伝達性を向上させることができる。
【００３０】
また、第一押圧面２８及び第二押圧面２９は、囲い壁２３に対して間欠的に複数形成されているので、エジェクタピン８３の押圧力が複数の第一及び第二押圧面２８，２９に分散され、第一成形金型８１から絶縁プレート２０を取り外す際に、絶縁プレート２０の底板２２が変形することを防止することができる。
【００３１】
また、第一押圧面２８及び第二押圧面２９は、囲い壁２３の上端面及び隔壁２４の上端面の一部に形成されているので、絶縁プレート２０に別途押圧面を形成する必要がなく、絶縁プレート２０を小型化すると共に、絶縁プレート２０の構造を簡素化することができる。
【００３２】
また、絶縁プレート２０に用いられている合成樹脂は、ガラス及びタルクの含有量が６６％程度となっているので、ガラス及びタルクの含有量が３３％程度の合成樹脂に比べて、成形後にそりが生じ難くなっている。これにより、絶縁プレート２０の底板２２をナット１０に対してより密着させることができ、ナット１０から底板２２への熱伝達を更に向上させることができるようになっている。
【００３３】
また、囲い壁２３の内周面には、ナット収容凹部２１の内側に向かって突出する位置決めリブ２５が設けられている。この位置決めリブ２５は、上下方向に直線的に延びた形態をなし、外周囲い壁２３Ａのほぼ全高に亘って形成されている。また、隔壁２４に設けられた位置決めリブ２５は、隔壁２４の上下方向略中央部までの高さに設定されている。また、位置決めリブ２５の突出端は、ナット収容凹部２１に収容されるナット１０の側面に当接可能に設けられている。
【００３４】
位置決めリブ２５は、図８に示すように、小型ナット収容凹部２１Ａにおける囲い壁２３の四方に位置する各内面にそれぞれ間隔をあけて二本ずつ設けられている。また、位置決めリブ２５は、大型ナット収容凹部２１Ｂにおける囲い壁２３の長辺側の各内面にそれぞれ間隔をあけて二本ずつ設けられ、短辺側の各内面にそれぞれ間隔をあけて三本ずつ設けられている。また、小型ナット収容凹部２１Ａにおける長辺側の囲い壁２３のうち、外側に位置する囲い壁２３に設けられた位置決めリブ２５は、第一押圧部の側面に形成され、短辺側の囲い壁２３に設けられた位置決めリブ２５は、第一押圧部の側面に形成されている。また、大型ナット収容凹部２１Ｂにおける短辺側の囲い壁２３に設けられた位置決めリブ２５は、第一押圧部の側面に形成されている。これにより、ナット１０がナット収容凹部２１に収容された状態では、図１４に示すように、複数の位置決めリブ２５によって更に正確に位置決めされている。
【００３５】
また、囲い壁２３で囲まれた底板２２の略中央部には、ボルト逃がし凹部２６がそれぞれ形成されている。このボルト逃がし凹部２６は、図５及び図８に示すように、底板２２の上面２２Ａに円形状に開口するとともに、下方に膨出した形状とされている。また、ボルト逃がし凹部２６の内面形状は底板２２の上面２２Ａから下方に延びる有底の凹状に形成されている。また、底板２２およびボルト逃がし凹部２６の板厚は、ほぼ均一に形成されている。したがって、ボルト逃がし凹部２６の外面形状は、図９及び図１０に示すように、底板２２の下面２２Ｂから下方に向かって円柱状に突出した形態をなしている。
【００３６】
また、このボルト逃がし凹部２６は、図５に示すように、ナット１０のボルト締結孔１１と同軸をなす配置とされており、ボルト逃がし凹部２６の内径は、ボルト締結孔１１の内径よりも僅かに大径に形成されている。これにより、ナット１０にボルトが螺合されて、ボルト締結孔１１をボルトが貫通した場合においても、ナット１０が絶縁プレート２０の底板２２と干渉することはなく、ボルトによって絶縁プレート２０が破損することを防ぐことができるようになっている。
【００３７】
ヒートシンク４０はアルミダイキャスト製であって、図１１に示すように、左右方向に横長な形態をなしている。ヒートシンク４０は、絶縁プレート２０が載置されるシンク本体部４１と、シンク本体部４１と一体に形成された固定部４２とを備えて構成されている。シンク本体部４１は左右方向に横長な形態をなし、シンク本体部４１における一方の長辺側の側縁に、固定部４２が張り出して形成されている。
【００３８】
シンク本体部４１の上面４１Ａには、絶縁プレート２０が載置されるようになっている。また、シンク本体部４１の上面４１Ａは、平坦な形態をなし、その表面は凹凸が無いように研磨されて形成されている。これにより、図５に示すように、シンク本体部４１の上面４１Ａに絶縁プレート２０が載置された状態において、絶縁プレート２０における底板２２の下面２２Ｂとシンク本体部４１の上面４１Ａとを互いに密着させることができるようになっている。
【００３９】
また、シンク本体部４１には、左右方向にほぼ均等に並んだ５つの収容凹部４３が形成されている。この収容凹部４３は、シンク本体部４１の上面４１Ａに円形状に開口して形成されており、図５に示すように、シンク本体部４１の上面４１Ａから下方に向かって延びる有底の凹状をなしている。また、収容凹部４３は、その内部に絶縁プレート２０のボルト逃がし凹部２６が嵌合可能に形成されている。また、収容凹部４３の内部には、ボルト逃がし凹部２６が、ボルト逃がし凹部２６の外面と収容凹部４３の内周面との間に僅かなクリアランスを有した状態で嵌合されるようになっている。これにより、各収容凹部４３に対して絶縁プレート２０の各ボルト逃がし凹部２６を嵌合させることで、絶縁プレート２０とヒートシンク４０とを互いに位置決めした状態に組み付けることができるようになっている。
【００４０】
また、シンク本体部４１の下端部における外周縁部には、シンク本体部４１の下面よりもやや上方に形成された外縁段付部４４が形成されている。この外縁段付部４４は、図１２に示すように、シンク本体部４１における固定部４２との接続部分を除く全外周縁部に亘って形成されている。
【００４１】
固定部４２は、シンク本体部４１の側面に沿って左右方向に横長に形成されている。また、固定部４２の左右方向両側には上下方向に貫通するボルト挿通孔４２Ａが設けられている。また、固定部４２の上面には、その上面から上方に向かって延びる略円筒状の円筒突部４５が設けられている。この円筒突部４５は、図６に示すように、シンク本体部４１の固定部４２側の側面と連設されており、シンク本体部４１の上面４１Ａよりも僅かに上方まで延びた形態をなしている。また、この円筒突部４５は、上方に開口した有底の凹状をなしている。
【００４２】
また、シンク本体部４１及び固定部４２の下面には、図１２に示すように、それぞれ凹部４６が形成されている。このうち固定部４２側の凹部４６には、放熱用のフィン４６Ａが形成されており、このフィン４６Ａに接触するようにして冷却水が循環するように構成されている。これにより、凹部４６によってヒートシンク４０の下面における表面積が大きくなり、放熱フィン４６Ａによってヒートシンク４０が冷却され、ヒートシンク４０からの放熱性を向上させるようになっている。
【００４３】
成形樹脂部６０は合成樹脂製であって、図１及び図５に示すように、ナット１０と絶縁プレート２０とヒートシンク４０とが互いに組み付けられた状態で、それぞれの一部を覆った形態をなしている。また、成形樹脂部６０は、ナット１０の段付部１２及び絶縁プレート２０における囲い壁２３の上端部に密着する上方覆い部６１と、ヒートシンク４０の外縁段付部４４に密着する下方覆い部６２と、絶縁プレート２０及びヒートシンク４０におけるシンク本体部４１の外側面に密着する側壁部６３とを備えて構成されている。また、側壁部６３は、図３に示すように、上方覆い部６１と、下方覆い部６２とを連結するように、上方覆い部６１及び下方覆い部６２と一体に形成されている。
【００４４】
上方覆い部６１は、図５に示すように、各ナット１０の段付部１２の上面における外周縁部を全周に亘って覆うナット覆い部６１Ａと、囲い壁２３の上端部を覆う囲い壁覆い部６１Ｂとから構成されている。また、段付部１２におけるナット覆い部６１Ａに覆われた面は、図２０に示すように、規制面１２Ａとされ、ナット覆い部６１Ａと密着した状態となっている。また、囲い壁覆い部６１Ｂは、隔壁２４の一部を除く各囲い壁２３の上端部を全周に亘って覆うように形成されている。また、各ナット覆い部６１Ａと、各囲い壁覆い部６１Ｂとは、一体に形成されており、上方覆い部６１は、ナット１０及び囲い壁２３の全てを一括して覆っている。なお、囲い壁覆い部６１Ｂの上端面には、図３及び図６に示すように、隔壁２４の一部が露出した状態となっている。すなわち、ナット１０はナット覆い部６１Ａによって規制面１２Ａを上方から覆われることで、上方に移動することが規制されている。これにより、ナット１０にバスバーを載置して、ボルト締結孔１１にボルトを締め付ける際に、ボルトに引き寄せられたナット１０の浮き上がりを規制し、ナット１０と絶縁プレート２０との間に金属や合成樹脂に比べて熱伝導率の低い空気層が形成されることを防ぎつつ、ナット１０と絶縁プレート２０とを密着した状態に保持することができる。ひいては、ナット１０から絶縁プレート２０を介してヒートシンク４０へ熱を逃がし易くし、端子台の熱伝達性能を向上させることができる。
【００４５】
また、各ナット覆い部６１Ａと、各囲い壁覆い部６１Ｂとは、図５に示すように、一体に形成されているので、それぞれが別体で構成されている場合に比べて、上方覆い部６１の剛性を高めることができる。
【００４６】
下方覆い部６２は、図４及び図５に示すように、ヒートシンク４０におけるシンク本体部４１の外縁段付部４４を全範囲に亘って下方から覆うように形成されている。これにより、成形樹脂部６０は、図５及び図６に示すように、ナット１０と、絶縁プレート２０と、ヒートシンク４０とを上下方向から挟持して、各部材１０，２０，４０を互いに密着させた状態で保持するように形成されている。これにより、ナット１０がボルトに引き寄せられて、ナット覆い部６１Ａがナット１０と共に上方に浮き上がることを規制し、ナット１０と絶縁プレート２０、絶縁プレート２０とヒートシンク４０をそれぞれ密着した状態に維持している。
【００４７】
また、上方覆い部６１は、ナット収容凹部２１の囲い壁２３における内周面とナット１０の側面とのクリアランスを埋めるように形成されており、成形樹脂部６０とナット１０及び絶縁プレート２０との密着度を向上させている。これにより、ナット１０は、ナット覆い部６１Ａだけでなく、ナット１０の外周側面においても、成形樹脂部６０と全周に亘って密着し、上方に浮き上がることが更に規制されている。
【００４８】
側壁部６３は、図３及び図５に示すように、上方覆い部６１と下方覆い部６２との間において、絶縁プレート２０の側面と、ヒートシンク４０におけるシンク本体部４１の側面とを全面に亘って覆うように形成されている。また、側壁部６３には、図６に示すように、ヒートシンク４０の円筒突部４５を覆う突部覆い部６３Ａが設けられている。この突部覆い部６３Ａは、円筒突部４５の内部を埋めると共に、円筒突部４５の上面及び側面のすべてを覆うように形成されており、成形樹脂部６０とヒートシンク４０との密着度を向上させている。
【００４９】
本実施形態の端子台は上記のような構造であって、続いて成形樹脂部６０の製造方法について説明する。
【００５０】
まず、ナット１０を絶縁プレート２０のナット収容凹部２１に収容し、ナット収容凹部２１のボルト逃がし凹部２６をヒートシンク４０の収容凹部４３に嵌合させることで、図１４及び図１５に示すように、ナット１０と、絶縁プレート２０と、ヒートシンク４０とをそれぞれ位置決めした状態に組み付け、図１６に示すように、上下方向に型開きする第一金型７１と第二金型７２とにセットする。このとき、三つの部材１０，２０，４０は、上部を第一金型７１に支持され、下部を第二金型７２によって支持されている。また、第一金型７１は成形樹脂部６０の上方覆い部６１と側壁部６３の上方部を成形し、第二金型７２は下方覆い部６２と側壁部６３の下方部を成形する構成となっている。
【００５１】
第一金型７１には、ナット１０を上方から押圧する樹脂食い切り部７３が設けられている。この樹脂食い切り部７３は、浅い円筒形状をなしている。また、樹脂食い切り部７３の先端は、図１６及び図２０に示すように、第一金型７１の型開き方向と直交し、ナット１０の段付部１２の上面に面接触可能な先端面７３Ａとされている。また、樹脂食い切り部７３の先端面７３Ａの板厚寸法は、ナット１０における段付部１２の奥行寸法(段付部１２の上方側に位置する側面と、段付部１２の下方側に位置する側面との間の長さ寸法)よりも小さく設定されている。
【００５２】
樹脂食い切り部７３は、第一及び第二金型７１，７２内にナット１０と絶縁プレート２０とヒートシンク４０とをセットした際に、ナット１０の段付部１２の中央部分である被押圧面１２Ｂを全周に亘って上方から押圧することで、ナット１０を上方から支持するように設定されている。
【００５３】
また、ナット１０は第一及び第二金型７１，７２内にセットされた際に、樹脂食い切り部７３のみによって押圧され、図２０に示すように、第一金型７１とナット１０の上側締結面１０Ａとの間、及び樹脂食い切り部７３の内周面とナット１０の側面との間には、僅かなクリアランスＣが形成されるように設定されている。これにより、ナット１０の上側締結面１０Ａは、第一金型７１と接触することがなく、第一金型７１によって損傷することを防止することができる。また、クリアランスＣが形成されているので、樹脂食い切り部７３に対してナット１０が僅かに水平方向にずれて配置された場合においても、樹脂食い切り部７３の先端面７３Ａをナット１０の段付部１２の上面に対して面接触させることができ、ナット１０の位置ずれに対しても対応することができる。
【００５４】
一方、第二金型７２は、ヒートシンク４０の下面に凹設された凹部４６に嵌り込むことでヒートシンク４０を位置決め状態で支持するように設定されている。
【００５５】
また、絶縁プレート２０の底板２２の表面は、僅かな凹凸もないように形成されているので、三つの部材１０，２０，４０を第一及び第二金型７１，７２内にセットした際、ナット１０の下側締結面１０Ｂと底板２２の上面２２Ａ、底板２２の下面２２Ｂとヒートシンク４０のシンク本体部４１の上面４１Ａを互いに密着させるようにして、三つの部材１０，２０，４０を第一及び第二金型７１，７２内にセットすることができる。
【００５６】
また、ナット１０と、絶縁プレート２０と、ヒートシンク４０とは、それぞれ位置決めされているので、位置ずれすることなく、第一金型７１と第二金型７２とにセットすることができる。詳しくは、ヒートシンク４０の凹部４６に第二金型７２の位置決め突部７２Ａが挿入することで、ヒートシンク４０を第二金型７２に位置決めされる。また、ヒートシンク４０に絶縁プレート２０が位置決めされ、絶縁プレート２０にナット１０が位置決めされているので、第一金型７１の位置決めピン７１Ａをナット１０のボルト締結孔１１に上方から挿入する際に、位置決めピン７１Ａがボルト締結孔１１から大きく位置ずれして、ナット１０や位置決めピン７１Ａを破損させることを防止することができる。なお、ナット１０は、位置決めピン７１Ａによって固定される前の状態では、ナット収容部２１に対して僅かにガタついた状態で収容されている。そして、第一金型７１と第二金型７２とを型締めする際には、図１６に示すように、位置決めピン７１Ａに設けられた傾斜面７１Ｂに対してナット１０のボルト締結孔１１の上方内周縁に設けられたテーパ面１１Ａを対応させることで、位置決めピン７１Ａとナット１０のボルト締結孔１１との僅かなズレが修正され、ナット１０が位置決めピン７１Ａに固定されるようになっている。
【００５７】
次に、上記の状態のまま、第一及び第二金型７１，７２によって形成されたキャビティ内に樹脂を射出して、図１６に示すように、成形樹脂部６０を成形する。このとき、本実施形態においては、ナット１０は樹脂食い切り部７３の先端面７３Ａによってのみ押圧されているので、第二金型７２に対する第一金型７１の型締め力を一定とした場合、樹脂食い切り部７３と段付部１２との接圧は、ナット１０の上側締結面１０Ａ全体を樹脂食い切り部で押圧する場合の接圧に比べて、接触面積が小さくなる分だけ高くすることができる。これにより、型締め力を高くすることなく、樹脂食い切り部７３の先端面７３Ａと段付部１２の被押圧面１２Ｂとの境界部分で、樹脂の流れを断ち切り易くし、ナット１０の上側締結面１０Ａに樹脂膜が形成されることを防止することができる。
【００５８】
また、樹脂食い切り部７３の先端面７３Ａとナット１０の段付部１２における被押圧面１２Ｂとは、面接触しているので、樹脂食い切り部７３の板厚寸法分だけ更に樹脂が流れ込み難くすることができ、ナット１０の上側締結面１０Ａに樹脂膜が形成されることを防止することができる。
【００５９】
また、ナット１０の成形誤差などによって段付部１２の被押圧面１２Ｂと樹脂食い切り部７３の先端面７３Ａとの境界部分に隙間が生じて、その隙間に樹脂が流れ込んだ場合においても、段付部１２の上面はナット１０の上側締結面１０Ａよりも一段下がった位置に設定されているので、ナット１０の上側締結面１０Ａに樹脂が流れ込むことを規制し易くなっている。
【００６０】
また、ナット１０の側面は、絶縁プレート２０の囲い壁２３における内周面の位置決めリブ２５とのみ当接可能な状態となっているので、囲い壁２３の内面とナット１０の側面との間に隙間が形成され、この隙間に樹脂を流し込むことができる。これにより、ナット１０及び絶縁プレート２０と成形樹脂部６０とをより密着させ、ナット１０と絶縁プレート２０とをガタつきなく固定することができる。
【００６１】
最後に、樹脂が硬化したところで、第一金型７１及び第二金型７２を上下方向両側に型開きすることによって本実施形態の端子台を完成させる。
【００６２】
以上のように、本実施形態における端子台によると、樹脂食い切り部７３が段付部１２の被押圧面１２Ｂのみを押圧しているので、型締め力を高くすることなく、樹脂食い切り部７３と段付部１２との接圧を高くすることができ、樹脂食い切り部７３と段付部１２との境界部分で、樹脂の流れを断ち切り易くすることができる。
【００６３】
また、段付部１２と樹脂食い切り部７３との境界部分に隙間が生じて、その隙間に樹脂が流れ込む場合においても、段付部１２の上面はナット１０の上側締結面１０Ａよりも一段下がった位置に設定されているので、ナット１０の上側締結面１０Ａに樹脂が流れ込むことを規制することができる。これにより、ナット１０の上側締結面１０Ａに樹脂膜が形成されることを確実に防止し、バスバーの熱をナット１０に効率よく伝えることで、バスバー及び端子台の放熱性能を向上させることができる。
【００６４】
さらに、ナット１０の段付部１２の規制面１２Ａを成形樹脂部６０の上方覆い部６１によって上方から覆っているので、ナット１０にボルトを締め付ける際に、ナット１０の浮き上がりが規制され、ナット１０と絶縁プレート２０との間を密着した状態に保持することができるので、端子台の熱伝達性能をより向上させることができる。
【００６５】
また、樹脂食い切り部７３が押圧する段付部１２の外周縁部を成形樹脂部６０の上方覆い部６１で覆うように構成したことで、樹脂食い切り部７３が押圧する被押圧面１２Ｂと、上方覆い部６１が上方から覆う規制面１２Ａとを別々に形成するよりも、ナット１０の形状を簡素化することができる。
【００６６】
＜他の実施形態＞
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
（１）本実施形態では、ナット１０を平面視略長方形状をなすブロック状に構成したが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、ナットを略円筒形状に構成してもよい。
（２）本実施形態では、ヒートシンク４０の下面を成形樹脂部６０の下方覆い部６２によって覆う構成としたが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、ヒートシンク４０の側面に凹部を形成し、この凹部に対して係止する係止部を成形樹脂部６０に設ける構成としてもよい。
【００６７】
（３）本実施形態では、樹脂食い切り部７３の先端面７３Ａとナット１０の段付部１２における被押圧面１２Ｂとを成形金型の型開き方向に直交する水平な面に構成したが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、樹脂食い切り部の先端面とナット１０の段付部１２における被押圧面１２Ｂとを傾斜した面に構成してもよい。
【符号の説明】
【００６８】
１０：ナット
１０Ａ：上側締結面
１２：段付部
１２Ａ：規制面
１２Ｂ：被押圧面
２０：絶縁プレート
４０：ヒートシンク
６０：成形樹脂部
６１：上方覆い部
６２：下方覆い部
６３：側壁部
７１：第一金型（成形金型）
７２：第二金型（成形金型）
７３：樹脂食い切り部
７３Ａ：先端面
Ｃ：クリアランス
【技術分野】
【０００１】
本発明は、端子台及びナットに関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、モータやインバータなどの電気機器から延びるバスバーなどの導電体同士を電気的に接続する端子台として特許文献１に記載のものが知られている。この端子台は、内部に金属製のナットをインサート成形した端子台本体に、各電気機器の導電体同士を重ね合わせるように載置し、締結ボルトとナットとによって共締めすることで、導電体同士を電気的に接続する。
【０００３】
ところで、一般に電気機器は発熱量が高く導電体が高温となるため、この端子台は、ナットの下方に平板状の合成樹脂からなる絶縁部材を介して金属製のヒートシンクを配し、導電体からナットに伝わった熱を絶縁部材を介してヒートシンクに伝え、ヒートシンクから熱を放熱するようになっている。また、この端子台は、ナットをインサート成形する際、導電体が載置される締結面全体を成形金型によって上方から押圧することで締結面に樹脂が浸入することを規制し（以下において「樹脂の食い切り」というものとし、成形金型において樹脂の食い切りを行う部分を樹脂食い切り部という）、締結面が樹脂によって覆われないように成形されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開２００８−９８００７号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
ところが、樹脂食い切り部によって締結面全体を押圧してインサート成形すると、樹脂食い切り部の押圧力が締結面全体に分散し、樹脂食い切り部の締結面に対する接圧が低下し、樹脂食い切り部と締結面との境界の一部に僅かな隙間が生じる虞がある。隙間が生じると、その隙間に樹脂が流れ込んで硬化し、締結面上に形成された樹脂膜によって導電体とナットとを直接密着させることができなくなる。すると、導電体からナットへの熱伝達効率が低下し、その結果、導電体及び端子台の放熱性能が低下する。この対策として、樹脂の食い切りを確実に行うべく樹脂食い切り部の押圧力を高くすると、絶縁部材が圧潰されて破損したり、締結面が損傷してバスバーとの接触面積が低下したりする虞がある。
【０００６】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、樹脂の食い切りを確実に行うことでナットの締結面に樹脂膜が形成されることを防ぐと共に、ナットと導電体との密着性を確保し、もって端子台の放熱性能を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
上記の目的を達成するための手段として本発明は、機器から延びる複数の導電体を重ね合わせてボルトによって締結する端子台であって、前記導電体が載置される締結面の外周縁部に前記導電体側とは反対側に凹んだ形状をなす段付部が全周に亘って形成されたナットと、前記ナットの前記締結面とは反対側に配されるヒートシンクと、前記ナットと前記ヒートシンクとに密着した状態で挟持され、前記導電体の熱を前記ナットから前記ヒートシンクに熱伝達する絶縁プレートと、前記ナットと前記絶縁プレートと前記ヒートシンクとを一体に成形してなる成形樹脂部とを備え、前記段付部は、前記成形樹脂部を成形する際に、この成形樹脂部を成形する成形金型に設けられた樹脂食い切り部によって全周に亘って押圧されるようになっており、前記段付部において前記樹脂食い切り部によって押圧される被押圧面と面一をなし、且つ、その被押圧面の外周側に連なる規制面は、前記成形樹脂部によって覆われているところに特徴を有する。
【０００８】
このような構成の端子台によると、ナットの段付部を樹脂食い切り部によって全周に亘って押圧して樹脂成形部を成形するので、樹脂食い切り部の押圧力を高くすることなく、樹脂食い切り部の段付部に対する接圧を高くすることができる。これにより、樹脂食い切り部と段付部との境界部分で、樹脂の食い切りを確実に行うことができ、ナットの締結面に成形樹脂が付着することを防止することができる。
また、樹脂を食い切る位置は、ナットの締結面よりも導電体とは反対側に凹んだ段付部となるため、締結面が損傷して導電体との接触面積を低下させることがない。また、ナットの成形誤差などにより樹脂食い切り部と段付部との間に僅かな隙間が生じ、その隙間に樹脂が流れ込んだ場合においても、段付部が締結面よりも導電体型とは反対側に凹んで高さが異なる位置に形成されているので、ナットの締結面に樹脂が容易に流れ込むことを防止することができる。このように、本発明では、ナットの締結面に樹脂膜が形成されることを防止し、バスバーの熱をナットに効率よく伝えることで、バスバー及び端子台の放熱性能を向上させることができる。
また、段付部における規制面が成形樹脂部によって覆われているので、ナットにボルトを締め付ける場合に、ナットがボルト側に引き寄せられることを規制し、ナットと絶縁プレートとの間に金属や合成樹脂に比べて熱伝導率の低い空気層が形成されることを防ぐことができる。これにより、ナットと絶縁プレートとが密着した状態に保持され、ナットから絶縁プレートを介してヒートシンクへ熱を逃がし易くなることで、端子台の熱伝達性能を向上させることができる。
また、段付部において被押圧面の外周側に面一に連なる規制面を成形樹脂部で覆っているため、被押圧面と規制面とをそれぞれ高さが異なる位置に形成するよりも、ナットの形状を簡素化することができる。
【０００９】
本発明の実施の態様として、以下の構成が好ましい。
前記成形樹脂部は、前記段付部の前記規制面を上方から覆う上方覆い部と、前記ヒートシンクの下端部を下方から覆う下方覆い部と、前記上方覆い部と前記下方覆い部とを繋ぐ側壁部とを備えて構成されており、前記ナットと前記絶縁プレートと前記ヒートシンクとは、それぞれが密着した状態で、前記上方覆い部と前記下方覆い部とによって上下方向両側から挟持されている構成としてもよい。
このような構成によると、成形樹脂部がナットの上面を覆うと共に、ヒートシンクの下面も覆った状態となる。これにより、ナットがボルトに引きつけられることで、ナットと共に成形樹脂部が上方に浮き上がることを規制し、ナットと、絶縁プレートと、ヒートシンクとを密着した状態に維持することができる。
【００１０】
前記段付部は、前記成形金型の前記樹脂食い切り部と面接触可能に設けられている構成としてもよい。
このような構成によると、成形樹脂部を成形する際に、段付部と樹脂食い切り部とによって、樹脂の食い切りを確実に行うことができる。これにより、ナットの上面に樹脂膜が形成されることを防ぎ、導電体をナットに対して密着させることができる。
【００１１】
前記樹脂食い切り部は、前記成形金型が型開きする方向と直交する水平な先端面を有しており、前記段付部の上面は、前記樹脂食い切り部の前記先端面と面接触する水平な面とされており、前記先端面が前記段付部の前記被押圧面に面接触した状態における前記樹脂食い切り部の側面と前記ナットの側面との間には、クリアランスが形成されている構成としてもよい。
樹脂食い切り部の先端面と段付部の上面とが傾斜した面で構成される場合には、ナットが僅かでも位置ずれすると、段付部の上面と樹脂食い切り部の先端面とが面接触できなくなる虞がある。その点、上記のような構成によると、ナットが僅かに水平方向に位置ずれした場合であっても、ナットの段付部の上面に対して樹脂食い切り部の先端面を面接触させることが可能となり、樹脂の食い切りを確実に行うことができる。
【００１２】
また、本発明は、機器から延びる複数の導電体を重ね合わせてボルトによって締結する端子台において前記導電体を載置して前記ボルトを締結するナットであって、前記導電体が締結される締結面側の端部には、前記締結面の外周縁部に前記導電体とは反対側に凹んだ段付部が形成されているところに特徴を有する。
このような構成のナットによると、段付部における導電体側の面を樹脂成形部によって覆うことで、ナットがボルトに引き寄せられることを規制することができる。また、この段付部を樹脂食い切り部で押圧することで、ナットを樹脂成形部と一体に成形する際に、樹脂の食い切りを確実に行うことができる。
【発明の効果】
【００１３】
本発明によれば、樹脂の食い切りを確実に行うことでナットの締結面に樹脂膜が形成されることを防ぐと共に、ナットと導電体との密着性を確保し、もって端子台の放熱性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【００１４】
【図１】端子台の斜視図
【図２】同平面図
【図３】同背面図
【図４】同底面図
【図５】図２のＶ−Ｖ線断面図
【図６】図２のＶＩ−ＶＩ線断面図
【図７】ナットの平面図
【図８】絶縁プレートの平面図
【図９】同背面図
【図１０】同底面図
【図１１】ヒートシンクの平面図
【図１２】同底面図
【図１３】ナットと絶縁プレートとヒートシンクとの組み付け前の状態を示す側面図
【図１４】ナットと絶縁プレートとヒートシンクとの組み付け後の状態を示す平面図
【図１５】図１４のＸＶ−ＸＶ線断面図
【図１６】端子台を第一、第二金型内で成形した状態を示す断面図
【図１７】絶縁プレートが第一、第二成形金型から離型した状態の断面を示した斜視図
【図１８】ナット収容凹部が第一成形金型に嵌り込んだ状態を示す断面図
【図１９】絶縁プレートが第一成形金型から離型した状態を示す断面図
【図２０】図１６の第一金型における樹脂食い切り部がナットの段付部における押圧面を押圧している状態を示す拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【００１５】
＜実施形態＞
本発明の一実施形態について図１乃至図２０を参照しながら説明する。
本実施形態は、電気自動車やハイブリッド車などの車両に搭載されるモータケースに取り付けられ、三相交流型モータに設けられた三極のバスバーと、インバータに設けられた三極のバスバーとを電気的に接続する端子台を例示したものである。
【００１６】
端子台は、電気機器から延びる図示しないバスバーが載置されるナット１０と、ナット１０におけるバスバーが載置される上面側とは反対側の下面側に配されるヒートシンク４０と、ナット１０とヒートシンク４０とによって上下方向両側から挟持される絶縁プレート２０と、これら三つの部材１０，４０，２０を覆う合成樹脂製の成形樹脂部６０を備えて構成されている。尚、以下の説明において、上下方向とは図５における上下方向を基準とし、左右方向とは図２における左右方向を基準とする。
【００１７】
ナット１０は金属製のブロック状をなし、図７及び図１３に示すように、四隅が丸みを帯びた平面視略長方形状をなしている。ナット１０の略中央部には、上下方向（両締結面１０Ａ，１０Ｂと直交する方向）に貫通するボルト締結孔１１が設けられている。このボルト締結孔１１には、ナット１０の上側締結面１０Ａに複数の図示しないバスバーが載置された後、図示しないボルトがボルト締結孔１１に螺合され、バスバー同士が導通可能に接続される。
【００１８】
また、ナット１０の上端部における外周縁部には、段付部１２が形成されている。この段付部１２は、図５に示すように、ナット１０の上側締結面１０Ａに比べて一段低く形成されている。また、段付部１２はナット１０の外周縁部に全周に亘って設けられており、ナット１０の上側締結面１０Ａ及び下側締結面１０Ｂと平行となるように形成されている。また、ナット１０の上側締結面１０Ａと、下側締結面１０Ｂと、段付部１２は凹凸がない平坦状に形成されている。
【００１９】
絶縁プレート２０は合成樹脂製であって、図８に示すように、左右方向に横長な形態をなしている。この絶縁プレート２０は、ナット１０に載置されるバスバーの熱を上方に位置するナット１０から下方に位置するヒートシンク４０に熱伝達する役割を果たしている。尚、ここで用いられる合成樹脂は、ガラス及びタルクの含有量が６６％程度とされており、ガラス及びタルクの含有量が３３％程度の合成樹脂に比べて、熱伝導率が高くなっている。これにより、ナット１０からヒートシンク４０に効率よく熱を伝達できるようになっている。
【００２０】
絶縁プレート２０には、ナット１０を収容可能なナット収容凹部２１が左右方向に並んで複数（本発明では５つ）設けられている。
各ナット収容凹部２１は、図５に示すように、ナット１０の下側締結面１０Ｂが密着可能な底板２２と、底板２２からナット１０の側面を全周に亘って取り囲むように上方に立ち上る囲い壁２３とを備えて構成されている。したがって、ナット収容凹部２１は、上端に開口しており、この上端開口は四隅が丸みを帯びた略矩形状をなしている。各ナット収容凹部２１は長辺側を隣接させるように横並びに形成されている。ナット収容凹部２１のうち、左右方向両側に位置するナット収容凹部２１は小型ナット収容凹部２１Ａとされ、中央部分に位置する３つの大型ナット収容凹部２１Ｂに比べて一回り小さく形成されている。
【００２１】
底板２２は、図１０に示すように、全てのナット収容凹部２１に共通するように一枚板状をなして一括して設けられており、底板２２の上下両面２２Ａ，２２Ｂは平坦に形成されている。これにより、図５に示すように、ナット１０がナット収容凹部２１に収容された状態において、ナット収容凹部２１における底板２２の上面２２Ａとナット１０の下側締結面１０Ｂとを隙間なく互いに密着させることができるようになっている。これにより、ナット１０から底板２２に効率よく熱を伝達できるようになっている。
【００２２】
囲い壁２３は、図８に示すように、その内周形状が略矩形状をなし、ナット１０の外周形状に沿った形態をなしている。また、囲い壁２３の内周形状は、ナット１０の外周形状よりも僅かに大きく設定されており、ナット１０がナット収容凹部２１に収容された状態では、図１４に示すように、囲い壁２３の内周面とナット１０の側面との間に僅かなクリアランスが形成された状態に収容されるようになっている。これにより、各ナット１０はそれぞれのナット収容凹部２１に収容されることで、位置決めされるようになっている。
【００２３】
また、隣り合うナット収容凹部２１の間に位置する囲い壁２３は、両ナット収容凹部２１の共通した囲い壁２３とされ、両ナット収容凹部２１に収容された両ナット１０の間を仕切る隔壁２４とされている。また、囲い壁２３のうち、隔壁２４以外の部分は、外周囲い壁２３Ａとされている。この隔壁２４の高さは、図９に示すように、外周囲い壁２３Ａの高さ寸法の約二倍に設定されており、隣り合う両ナット１０間の沿面距離を確保している。更に、隔壁２４は、ナット１０の上側締結面１０Ａに載置されたバスバーよりも高く形成されているため、ナット１０に載置されるバスバーが左右方向に移動することに起因して、バスバー同士が接触して短絡することを防止している。
【００２４】
また、外周囲い壁２３Ａの各内周面には、図８に示すように、平面視矩形状の押圧突部２７が突出して形成されている。
この押圧突部２７は、小型ナット収容凹部２１Ａの短辺側の囲い壁２３の内周面に一つずつ設けられ、小型ナット収容凹部２１Ａの長辺側の囲い壁２３及び大型ナット収容凹部２１Ｂの短辺側の囲い壁２３における内周面に間隔をあけて二つずつ設けられている。
【００２５】
押圧突部２７は、上下方向に延びた形態をなし、外周囲い壁２３Ａの全高に亘って形成されている。すなわち、押圧突部２７の上端面は、図１７に示すように、外周囲い壁２３Ａの上端面と面一となっている。また、押圧突部２７が設けられた部分の板厚は、押圧突部２７の板厚寸法だけ他の外周囲い壁２３Ａよりも厚く形成されている。
【００２６】
また、各押圧突部２７の上端面と、これに面一をなして隣接する外周囲い壁２３Ａの上端面とによって、第一押圧面２８が構成されている。尚、第一押圧面２８のうち、囲い壁２３の上端面と押圧突部２７の上端面とはほぼ同じ面積となるように設定されている。
【００２７】
また、隔壁２４の上端面には、図８に示すように、平面視矩形状の第二押圧面２９が形成されている。第二押圧面２９は、図６及び図１３に示すように、隔壁２４の上端部における長辺方向略中央部の両側に一段下がった形態で設けられている。
【００２８】
また、第一押圧面２８及び第二押圧面２９は、図１７及び図１８に示すように、上下方向に型開きする成形金型８１，８２によって絶縁プレート２０を成形した後、成形金型８１，８２から絶縁プレート２０を取り外す際に、成形金型８１，８２に設けられたエジェクタピン８３によって押圧される面とされている。詳しくは、絶縁プレート２０は、上側に配置された第一成形金型８１と、下側に配置された第二成形金型８２とによって成形される。第一成形金型８１は、絶縁プレート２０の上面側を成形し、第二成形金型８２は、絶縁プレート２０の下面側を成形するように構成されている。絶縁プレート２０は、第一成形金型８１と第二成形金型８２とによって形成されたキャビティ内に樹脂を射出することで成形され、この樹脂が硬化した後、第一及び第二成形金型８１，８２から取り外すことで完成する。
【００２９】
ところで、絶縁プレート２０のナット収容凹部２１は、第一成形金型８１に設けられた収容部成形部８１Ａによって成形され、冷却硬化すると、僅かに収縮し、図１８に示すように、収容部成形部８１Ａに嵌り込んだ状態となって離型しづらくなる。そのため、第一成形金型８１に設けられたエジェクタピン８３は、第一押圧面２８及び第二押圧面２９を押圧することで、図１７及び図１９に示すように、収容部成形部８１Ａからナット収容凹部２１を離型させ、第一成形金型８１から絶縁プレート２０を取り外すようになっている。このように、絶縁プレート２０は、第一成形金型８１から取り外す際に、底板２２ではなく、第一押圧面２８及び第二押圧面２９を押圧することで、第一成形金型８１から取り外され、底板２２の表面にエジェクタピン跡を形成させることなく成形される。これにより、ナット１０と底板２２との間に、金属や合成樹脂などに比べて熱伝導率が低い空気層が形成されることを防ぐことができる。このように、本実施形態の絶縁プレート２０は、ナット１０と底板２２とを密着させることができるので、ナット１０から絶縁プレート２０への熱伝達性を向上させることができる。
【００３０】
また、第一押圧面２８及び第二押圧面２９は、囲い壁２３に対して間欠的に複数形成されているので、エジェクタピン８３の押圧力が複数の第一及び第二押圧面２８，２９に分散され、第一成形金型８１から絶縁プレート２０を取り外す際に、絶縁プレート２０の底板２２が変形することを防止することができる。
【００３１】
また、第一押圧面２８及び第二押圧面２９は、囲い壁２３の上端面及び隔壁２４の上端面の一部に形成されているので、絶縁プレート２０に別途押圧面を形成する必要がなく、絶縁プレート２０を小型化すると共に、絶縁プレート２０の構造を簡素化することができる。
【００３２】
また、絶縁プレート２０に用いられている合成樹脂は、ガラス及びタルクの含有量が６６％程度となっているので、ガラス及びタルクの含有量が３３％程度の合成樹脂に比べて、成形後にそりが生じ難くなっている。これにより、絶縁プレート２０の底板２２をナット１０に対してより密着させることができ、ナット１０から底板２２への熱伝達を更に向上させることができるようになっている。
【００３３】
また、囲い壁２３の内周面には、ナット収容凹部２１の内側に向かって突出する位置決めリブ２５が設けられている。この位置決めリブ２５は、上下方向に直線的に延びた形態をなし、外周囲い壁２３Ａのほぼ全高に亘って形成されている。また、隔壁２４に設けられた位置決めリブ２５は、隔壁２４の上下方向略中央部までの高さに設定されている。また、位置決めリブ２５の突出端は、ナット収容凹部２１に収容されるナット１０の側面に当接可能に設けられている。
【００３４】
位置決めリブ２５は、図８に示すように、小型ナット収容凹部２１Ａにおける囲い壁２３の四方に位置する各内面にそれぞれ間隔をあけて二本ずつ設けられている。また、位置決めリブ２５は、大型ナット収容凹部２１Ｂにおける囲い壁２３の長辺側の各内面にそれぞれ間隔をあけて二本ずつ設けられ、短辺側の各内面にそれぞれ間隔をあけて三本ずつ設けられている。また、小型ナット収容凹部２１Ａにおける長辺側の囲い壁２３のうち、外側に位置する囲い壁２３に設けられた位置決めリブ２５は、第一押圧部の側面に形成され、短辺側の囲い壁２３に設けられた位置決めリブ２５は、第一押圧部の側面に形成されている。また、大型ナット収容凹部２１Ｂにおける短辺側の囲い壁２３に設けられた位置決めリブ２５は、第一押圧部の側面に形成されている。これにより、ナット１０がナット収容凹部２１に収容された状態では、図１４に示すように、複数の位置決めリブ２５によって更に正確に位置決めされている。
【００３５】
また、囲い壁２３で囲まれた底板２２の略中央部には、ボルト逃がし凹部２６がそれぞれ形成されている。このボルト逃がし凹部２６は、図５及び図８に示すように、底板２２の上面２２Ａに円形状に開口するとともに、下方に膨出した形状とされている。また、ボルト逃がし凹部２６の内面形状は底板２２の上面２２Ａから下方に延びる有底の凹状に形成されている。また、底板２２およびボルト逃がし凹部２６の板厚は、ほぼ均一に形成されている。したがって、ボルト逃がし凹部２６の外面形状は、図９及び図１０に示すように、底板２２の下面２２Ｂから下方に向かって円柱状に突出した形態をなしている。
【００３６】
また、このボルト逃がし凹部２６は、図５に示すように、ナット１０のボルト締結孔１１と同軸をなす配置とされており、ボルト逃がし凹部２６の内径は、ボルト締結孔１１の内径よりも僅かに大径に形成されている。これにより、ナット１０にボルトが螺合されて、ボルト締結孔１１をボルトが貫通した場合においても、ナット１０が絶縁プレート２０の底板２２と干渉することはなく、ボルトによって絶縁プレート２０が破損することを防ぐことができるようになっている。
【００３７】
ヒートシンク４０はアルミダイキャスト製であって、図１１に示すように、左右方向に横長な形態をなしている。ヒートシンク４０は、絶縁プレート２０が載置されるシンク本体部４１と、シンク本体部４１と一体に形成された固定部４２とを備えて構成されている。シンク本体部４１は左右方向に横長な形態をなし、シンク本体部４１における一方の長辺側の側縁に、固定部４２が張り出して形成されている。
【００３８】
シンク本体部４１の上面４１Ａには、絶縁プレート２０が載置されるようになっている。また、シンク本体部４１の上面４１Ａは、平坦な形態をなし、その表面は凹凸が無いように研磨されて形成されている。これにより、図５に示すように、シンク本体部４１の上面４１Ａに絶縁プレート２０が載置された状態において、絶縁プレート２０における底板２２の下面２２Ｂとシンク本体部４１の上面４１Ａとを互いに密着させることができるようになっている。
【００３９】
また、シンク本体部４１には、左右方向にほぼ均等に並んだ５つの収容凹部４３が形成されている。この収容凹部４３は、シンク本体部４１の上面４１Ａに円形状に開口して形成されており、図５に示すように、シンク本体部４１の上面４１Ａから下方に向かって延びる有底の凹状をなしている。また、収容凹部４３は、その内部に絶縁プレート２０のボルト逃がし凹部２６が嵌合可能に形成されている。また、収容凹部４３の内部には、ボルト逃がし凹部２６が、ボルト逃がし凹部２６の外面と収容凹部４３の内周面との間に僅かなクリアランスを有した状態で嵌合されるようになっている。これにより、各収容凹部４３に対して絶縁プレート２０の各ボルト逃がし凹部２６を嵌合させることで、絶縁プレート２０とヒートシンク４０とを互いに位置決めした状態に組み付けることができるようになっている。
【００４０】
また、シンク本体部４１の下端部における外周縁部には、シンク本体部４１の下面よりもやや上方に形成された外縁段付部４４が形成されている。この外縁段付部４４は、図１２に示すように、シンク本体部４１における固定部４２との接続部分を除く全外周縁部に亘って形成されている。
【００４１】
固定部４２は、シンク本体部４１の側面に沿って左右方向に横長に形成されている。また、固定部４２の左右方向両側には上下方向に貫通するボルト挿通孔４２Ａが設けられている。また、固定部４２の上面には、その上面から上方に向かって延びる略円筒状の円筒突部４５が設けられている。この円筒突部４５は、図６に示すように、シンク本体部４１の固定部４２側の側面と連設されており、シンク本体部４１の上面４１Ａよりも僅かに上方まで延びた形態をなしている。また、この円筒突部４５は、上方に開口した有底の凹状をなしている。
【００４２】
また、シンク本体部４１及び固定部４２の下面には、図１２に示すように、それぞれ凹部４６が形成されている。このうち固定部４２側の凹部４６には、放熱用のフィン４６Ａが形成されており、このフィン４６Ａに接触するようにして冷却水が循環するように構成されている。これにより、凹部４６によってヒートシンク４０の下面における表面積が大きくなり、放熱フィン４６Ａによってヒートシンク４０が冷却され、ヒートシンク４０からの放熱性を向上させるようになっている。
【００４３】
成形樹脂部６０は合成樹脂製であって、図１及び図５に示すように、ナット１０と絶縁プレート２０とヒートシンク４０とが互いに組み付けられた状態で、それぞれの一部を覆った形態をなしている。また、成形樹脂部６０は、ナット１０の段付部１２及び絶縁プレート２０における囲い壁２３の上端部に密着する上方覆い部６１と、ヒートシンク４０の外縁段付部４４に密着する下方覆い部６２と、絶縁プレート２０及びヒートシンク４０におけるシンク本体部４１の外側面に密着する側壁部６３とを備えて構成されている。また、側壁部６３は、図３に示すように、上方覆い部６１と、下方覆い部６２とを連結するように、上方覆い部６１及び下方覆い部６２と一体に形成されている。
【００４４】
上方覆い部６１は、図５に示すように、各ナット１０の段付部１２の上面における外周縁部を全周に亘って覆うナット覆い部６１Ａと、囲い壁２３の上端部を覆う囲い壁覆い部６１Ｂとから構成されている。また、段付部１２におけるナット覆い部６１Ａに覆われた面は、図２０に示すように、規制面１２Ａとされ、ナット覆い部６１Ａと密着した状態となっている。また、囲い壁覆い部６１Ｂは、隔壁２４の一部を除く各囲い壁２３の上端部を全周に亘って覆うように形成されている。また、各ナット覆い部６１Ａと、各囲い壁覆い部６１Ｂとは、一体に形成されており、上方覆い部６１は、ナット１０及び囲い壁２３の全てを一括して覆っている。なお、囲い壁覆い部６１Ｂの上端面には、図３及び図６に示すように、隔壁２４の一部が露出した状態となっている。すなわち、ナット１０はナット覆い部６１Ａによって規制面１２Ａを上方から覆われることで、上方に移動することが規制されている。これにより、ナット１０にバスバーを載置して、ボルト締結孔１１にボルトを締め付ける際に、ボルトに引き寄せられたナット１０の浮き上がりを規制し、ナット１０と絶縁プレート２０との間に金属や合成樹脂に比べて熱伝導率の低い空気層が形成されることを防ぎつつ、ナット１０と絶縁プレート２０とを密着した状態に保持することができる。ひいては、ナット１０から絶縁プレート２０を介してヒートシンク４０へ熱を逃がし易くし、端子台の熱伝達性能を向上させることができる。
【００４５】
また、各ナット覆い部６１Ａと、各囲い壁覆い部６１Ｂとは、図５に示すように、一体に形成されているので、それぞれが別体で構成されている場合に比べて、上方覆い部６１の剛性を高めることができる。
【００４６】
下方覆い部６２は、図４及び図５に示すように、ヒートシンク４０におけるシンク本体部４１の外縁段付部４４を全範囲に亘って下方から覆うように形成されている。これにより、成形樹脂部６０は、図５及び図６に示すように、ナット１０と、絶縁プレート２０と、ヒートシンク４０とを上下方向から挟持して、各部材１０，２０，４０を互いに密着させた状態で保持するように形成されている。これにより、ナット１０がボルトに引き寄せられて、ナット覆い部６１Ａがナット１０と共に上方に浮き上がることを規制し、ナット１０と絶縁プレート２０、絶縁プレート２０とヒートシンク４０をそれぞれ密着した状態に維持している。
【００４７】
また、上方覆い部６１は、ナット収容凹部２１の囲い壁２３における内周面とナット１０の側面とのクリアランスを埋めるように形成されており、成形樹脂部６０とナット１０及び絶縁プレート２０との密着度を向上させている。これにより、ナット１０は、ナット覆い部６１Ａだけでなく、ナット１０の外周側面においても、成形樹脂部６０と全周に亘って密着し、上方に浮き上がることが更に規制されている。
【００４８】
側壁部６３は、図３及び図５に示すように、上方覆い部６１と下方覆い部６２との間において、絶縁プレート２０の側面と、ヒートシンク４０におけるシンク本体部４１の側面とを全面に亘って覆うように形成されている。また、側壁部６３には、図６に示すように、ヒートシンク４０の円筒突部４５を覆う突部覆い部６３Ａが設けられている。この突部覆い部６３Ａは、円筒突部４５の内部を埋めると共に、円筒突部４５の上面及び側面のすべてを覆うように形成されており、成形樹脂部６０とヒートシンク４０との密着度を向上させている。
【００４９】
本実施形態の端子台は上記のような構造であって、続いて成形樹脂部６０の製造方法について説明する。
【００５０】
まず、ナット１０を絶縁プレート２０のナット収容凹部２１に収容し、ナット収容凹部２１のボルト逃がし凹部２６をヒートシンク４０の収容凹部４３に嵌合させることで、図１４及び図１５に示すように、ナット１０と、絶縁プレート２０と、ヒートシンク４０とをそれぞれ位置決めした状態に組み付け、図１６に示すように、上下方向に型開きする第一金型７１と第二金型７２とにセットする。このとき、三つの部材１０，２０，４０は、上部を第一金型７１に支持され、下部を第二金型７２によって支持されている。また、第一金型７１は成形樹脂部６０の上方覆い部６１と側壁部６３の上方部を成形し、第二金型７２は下方覆い部６２と側壁部６３の下方部を成形する構成となっている。
【００５１】
第一金型７１には、ナット１０を上方から押圧する樹脂食い切り部７３が設けられている。この樹脂食い切り部７３は、浅い円筒形状をなしている。また、樹脂食い切り部７３の先端は、図１６及び図２０に示すように、第一金型７１の型開き方向と直交し、ナット１０の段付部１２の上面に面接触可能な先端面７３Ａとされている。また、樹脂食い切り部７３の先端面７３Ａの板厚寸法は、ナット１０における段付部１２の奥行寸法(段付部１２の上方側に位置する側面と、段付部１２の下方側に位置する側面との間の長さ寸法)よりも小さく設定されている。
【００５２】
樹脂食い切り部７３は、第一及び第二金型７１，７２内にナット１０と絶縁プレート２０とヒートシンク４０とをセットした際に、ナット１０の段付部１２の中央部分である被押圧面１２Ｂを全周に亘って上方から押圧することで、ナット１０を上方から支持するように設定されている。
【００５３】
また、ナット１０は第一及び第二金型７１，７２内にセットされた際に、樹脂食い切り部７３のみによって押圧され、図２０に示すように、第一金型７１とナット１０の上側締結面１０Ａとの間、及び樹脂食い切り部７３の内周面とナット１０の側面との間には、僅かなクリアランスＣが形成されるように設定されている。これにより、ナット１０の上側締結面１０Ａは、第一金型７１と接触することがなく、第一金型７１によって損傷することを防止することができる。また、クリアランスＣが形成されているので、樹脂食い切り部７３に対してナット１０が僅かに水平方向にずれて配置された場合においても、樹脂食い切り部７３の先端面７３Ａをナット１０の段付部１２の上面に対して面接触させることができ、ナット１０の位置ずれに対しても対応することができる。
【００５４】
一方、第二金型７２は、ヒートシンク４０の下面に凹設された凹部４６に嵌り込むことでヒートシンク４０を位置決め状態で支持するように設定されている。
【００５５】
また、絶縁プレート２０の底板２２の表面は、僅かな凹凸もないように形成されているので、三つの部材１０，２０，４０を第一及び第二金型７１，７２内にセットした際、ナット１０の下側締結面１０Ｂと底板２２の上面２２Ａ、底板２２の下面２２Ｂとヒートシンク４０のシンク本体部４１の上面４１Ａを互いに密着させるようにして、三つの部材１０，２０，４０を第一及び第二金型７１，７２内にセットすることができる。
【００５６】
また、ナット１０と、絶縁プレート２０と、ヒートシンク４０とは、それぞれ位置決めされているので、位置ずれすることなく、第一金型７１と第二金型７２とにセットすることができる。詳しくは、ヒートシンク４０の凹部４６に第二金型７２の位置決め突部７２Ａが挿入することで、ヒートシンク４０を第二金型７２に位置決めされる。また、ヒートシンク４０に絶縁プレート２０が位置決めされ、絶縁プレート２０にナット１０が位置決めされているので、第一金型７１の位置決めピン７１Ａをナット１０のボルト締結孔１１に上方から挿入する際に、位置決めピン７１Ａがボルト締結孔１１から大きく位置ずれして、ナット１０や位置決めピン７１Ａを破損させることを防止することができる。なお、ナット１０は、位置決めピン７１Ａによって固定される前の状態では、ナット収容部２１に対して僅かにガタついた状態で収容されている。そして、第一金型７１と第二金型７２とを型締めする際には、図１６に示すように、位置決めピン７１Ａに設けられた傾斜面７１Ｂに対してナット１０のボルト締結孔１１の上方内周縁に設けられたテーパ面１１Ａを対応させることで、位置決めピン７１Ａとナット１０のボルト締結孔１１との僅かなズレが修正され、ナット１０が位置決めピン７１Ａに固定されるようになっている。
【００５７】
次に、上記の状態のまま、第一及び第二金型７１，７２によって形成されたキャビティ内に樹脂を射出して、図１６に示すように、成形樹脂部６０を成形する。このとき、本実施形態においては、ナット１０は樹脂食い切り部７３の先端面７３Ａによってのみ押圧されているので、第二金型７２に対する第一金型７１の型締め力を一定とした場合、樹脂食い切り部７３と段付部１２との接圧は、ナット１０の上側締結面１０Ａ全体を樹脂食い切り部で押圧する場合の接圧に比べて、接触面積が小さくなる分だけ高くすることができる。これにより、型締め力を高くすることなく、樹脂食い切り部７３の先端面７３Ａと段付部１２の被押圧面１２Ｂとの境界部分で、樹脂の流れを断ち切り易くし、ナット１０の上側締結面１０Ａに樹脂膜が形成されることを防止することができる。
【００５８】
また、樹脂食い切り部７３の先端面７３Ａとナット１０の段付部１２における被押圧面１２Ｂとは、面接触しているので、樹脂食い切り部７３の板厚寸法分だけ更に樹脂が流れ込み難くすることができ、ナット１０の上側締結面１０Ａに樹脂膜が形成されることを防止することができる。
【００５９】
また、ナット１０の成形誤差などによって段付部１２の被押圧面１２Ｂと樹脂食い切り部７３の先端面７３Ａとの境界部分に隙間が生じて、その隙間に樹脂が流れ込んだ場合においても、段付部１２の上面はナット１０の上側締結面１０Ａよりも一段下がった位置に設定されているので、ナット１０の上側締結面１０Ａに樹脂が流れ込むことを規制し易くなっている。
【００６０】
また、ナット１０の側面は、絶縁プレート２０の囲い壁２３における内周面の位置決めリブ２５とのみ当接可能な状態となっているので、囲い壁２３の内面とナット１０の側面との間に隙間が形成され、この隙間に樹脂を流し込むことができる。これにより、ナット１０及び絶縁プレート２０と成形樹脂部６０とをより密着させ、ナット１０と絶縁プレート２０とをガタつきなく固定することができる。
【００６１】
最後に、樹脂が硬化したところで、第一金型７１及び第二金型７２を上下方向両側に型開きすることによって本実施形態の端子台を完成させる。
【００６２】
以上のように、本実施形態における端子台によると、樹脂食い切り部７３が段付部１２の被押圧面１２Ｂのみを押圧しているので、型締め力を高くすることなく、樹脂食い切り部７３と段付部１２との接圧を高くすることができ、樹脂食い切り部７３と段付部１２との境界部分で、樹脂の流れを断ち切り易くすることができる。
【００６３】
また、段付部１２と樹脂食い切り部７３との境界部分に隙間が生じて、その隙間に樹脂が流れ込む場合においても、段付部１２の上面はナット１０の上側締結面１０Ａよりも一段下がった位置に設定されているので、ナット１０の上側締結面１０Ａに樹脂が流れ込むことを規制することができる。これにより、ナット１０の上側締結面１０Ａに樹脂膜が形成されることを確実に防止し、バスバーの熱をナット１０に効率よく伝えることで、バスバー及び端子台の放熱性能を向上させることができる。
【００６４】
さらに、ナット１０の段付部１２の規制面１２Ａを成形樹脂部６０の上方覆い部６１によって上方から覆っているので、ナット１０にボルトを締め付ける際に、ナット１０の浮き上がりが規制され、ナット１０と絶縁プレート２０との間を密着した状態に保持することができるので、端子台の熱伝達性能をより向上させることができる。
【００６５】
また、樹脂食い切り部７３が押圧する段付部１２の外周縁部を成形樹脂部６０の上方覆い部６１で覆うように構成したことで、樹脂食い切り部７３が押圧する被押圧面１２Ｂと、上方覆い部６１が上方から覆う規制面１２Ａとを別々に形成するよりも、ナット１０の形状を簡素化することができる。
【００６６】
＜他の実施形態＞
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
（１）本実施形態では、ナット１０を平面視略長方形状をなすブロック状に構成したが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、ナットを略円筒形状に構成してもよい。
（２）本実施形態では、ヒートシンク４０の下面を成形樹脂部６０の下方覆い部６２によって覆う構成としたが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、ヒートシンク４０の側面に凹部を形成し、この凹部に対して係止する係止部を成形樹脂部６０に設ける構成としてもよい。
【００６７】
（３）本実施形態では、樹脂食い切り部７３の先端面７３Ａとナット１０の段付部１２における被押圧面１２Ｂとを成形金型の型開き方向に直交する水平な面に構成したが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、樹脂食い切り部の先端面とナット１０の段付部１２における被押圧面１２Ｂとを傾斜した面に構成してもよい。
【符号の説明】
【００６８】
１０：ナット
１０Ａ：上側締結面
１２：段付部
１２Ａ：規制面
１２Ｂ：被押圧面
２０：絶縁プレート
４０：ヒートシンク
６０：成形樹脂部
６１：上方覆い部
６２：下方覆い部
６３：側壁部
７１：第一金型（成形金型）
７２：第二金型（成形金型）
７３：樹脂食い切り部
７３Ａ：先端面
Ｃ：クリアランス
【特許請求の範囲】
【請求項１】
機器から延びる複数の導電体を重ね合わせてボルトによって締結する端子台であって、
前記導電体が載置される締結面の外周縁部に前記導電体側とは反対側に凹んだ形状をなす段付部が全周に亘って形成されたナットと、
前記ナットの前記締結面とは反対側に配されるヒートシンクと、
前記ナットと前記ヒートシンクとに密着した状態で挟持され、前記導電体の熱を前記ナットから前記ヒートシンクに熱伝達する絶縁プレートと、
前記ナットと前記絶縁プレートと前記ヒートシンクとを一体に成形してなる成形樹脂部とを備え、
前記段付部は、前記成形樹脂部を成形する際に、この成形樹脂部を成形する成形金型に設けられた樹脂食い切り部によって全周に亘って押圧されるようになっており、
前記段付部において前記樹脂食い切り部によって押圧される被押圧面と面一をなし、且つ、その被押圧面の外周側に連なる規制面は、前記成形樹脂部によって覆われていることを特徴とする端子台。
【請求項２】
前記成形樹脂部は、前記段付部の前記規制面を上方から覆う上方覆い部と、前記ヒートシンクの下端部を下方から覆う下方覆い部と、前記上方覆い部と前記下方覆い部とを繋ぐ側壁部とを備えて構成されており、
前記ナットと前記絶縁プレートと前記ヒートシンクとは、それぞれが密着した状態で、前記上方覆い部と前記下方覆い部とによって上下方向両側から挟持されていることを特徴とする請求項１記載の端子台。
【請求項３】
前記段付部は、前記成形金型の前記樹脂食い切り部と面接触可能に設けられていることを特徴とする請求項１又は請求項２記載の端子台。
【請求項４】
前記樹脂食い切り部は、前記成形金型が型開きする方向と直交する水平な先端面を有しており、
前記段付部の上面は、前記樹脂食い切り部の前記先端面と面接触する水平な面とされており、
前記先端面が前記段付部の前記被押圧面に面接触した状態における前記樹脂食い切り部の側面と前記ナットの側面との間には、クリアランスが形成されていることを特徴とする請求項１乃至請求項３の何れか一項に記載の端子台。
【請求項５】
機器から延びる複数の導電体を重ね合わせてボルトによって締結する端子台において前記導電体を載置して前記ボルトを締結するナットであって、
前記導電体が締結される締結面側の端部には、前記締結面の外周縁部に前記導電体とは反対側に凹んだ段付部が形成されていることを特徴とするナット。
【請求項１】
機器から延びる複数の導電体を重ね合わせてボルトによって締結する端子台であって、
前記導電体が載置される締結面の外周縁部に前記導電体側とは反対側に凹んだ形状をなす段付部が全周に亘って形成されたナットと、
前記ナットの前記締結面とは反対側に配されるヒートシンクと、
前記ナットと前記ヒートシンクとに密着した状態で挟持され、前記導電体の熱を前記ナットから前記ヒートシンクに熱伝達する絶縁プレートと、
前記ナットと前記絶縁プレートと前記ヒートシンクとを一体に成形してなる成形樹脂部とを備え、
前記段付部は、前記成形樹脂部を成形する際に、この成形樹脂部を成形する成形金型に設けられた樹脂食い切り部によって全周に亘って押圧されるようになっており、
前記段付部において前記樹脂食い切り部によって押圧される被押圧面と面一をなし、且つ、その被押圧面の外周側に連なる規制面は、前記成形樹脂部によって覆われていることを特徴とする端子台。
【請求項２】
前記成形樹脂部は、前記段付部の前記規制面を上方から覆う上方覆い部と、前記ヒートシンクの下端部を下方から覆う下方覆い部と、前記上方覆い部と前記下方覆い部とを繋ぐ側壁部とを備えて構成されており、
前記ナットと前記絶縁プレートと前記ヒートシンクとは、それぞれが密着した状態で、前記上方覆い部と前記下方覆い部とによって上下方向両側から挟持されていることを特徴とする請求項１記載の端子台。
【請求項３】
前記段付部は、前記成形金型の前記樹脂食い切り部と面接触可能に設けられていることを特徴とする請求項１又は請求項２記載の端子台。
【請求項４】
前記樹脂食い切り部は、前記成形金型が型開きする方向と直交する水平な先端面を有しており、
前記段付部の上面は、前記樹脂食い切り部の前記先端面と面接触する水平な面とされており、
前記先端面が前記段付部の前記被押圧面に面接触した状態における前記樹脂食い切り部の側面と前記ナットの側面との間には、クリアランスが形成されていることを特徴とする請求項１乃至請求項３の何れか一項に記載の端子台。
【請求項５】
機器から延びる複数の導電体を重ね合わせてボルトによって締結する端子台において前記導電体を載置して前記ボルトを締結するナットであって、
前記導電体が締結される締結面側の端部には、前記締結面の外周縁部に前記導電体とは反対側に凹んだ段付部が形成されていることを特徴とするナット。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【図２０】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【図２０】
【公開番号】特開２０１２−１５１０４０（Ｐ２０１２−１５１０４０Ａ）
【公開日】平成２４年８月９日（２０１２．８．９）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−１００５８（Ｐ２０１１−１００５８）
【出願日】平成２３年１月２０日（２０１１．１．２０）
【出願人】（０００１８３４０６）住友電装株式会社 (6,135)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年８月９日（２０１２．８．９）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年１月２０日（２０１１．１．２０）
【出願人】（０００１８３４０６）住友電装株式会社 (6,135)
【Ｆターム（参考）】
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