説明

端子圧着装置と端子搬送方法及び端子切断方法並びにクランプ位置決め方法

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、端子を一つづつに切断してコンベヤ上のクランプに供給し、コンベヤと移載手段で圧着機に搬送する端子圧着装置と、端子圧着装置を用いた端子搬送方法及び端子切断方法並びにクランプ位置決め方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図16は、特開平6−36854号公報に記載された従来の端子圧着装置を示すものである。この装置105は、電線106を検尺ローラ107で送り出し、反転機構108でUターンさせてカッタ109で切断し、皮剥き機110で電線端末の被覆を剥ぎ、圧着機111で電線端末に端子を圧着接続させるものである。電線112はベルト上のクリップ113に把持されて支持台114上を横移動する。
【0003】圧着機111は電線106の種類に応じて複数並列に配置され、各圧着機111は台車115ごと装置105から離脱可能である。図17にその脱着機構を示す如く、台車115上のレール116に圧着機111の車輪117が係合し、支持台114側の水平シリンダ118が圧着機111をレール116に沿って装置側に引き寄せてストッパ119に突き当てて固定させる。
【0004】圧着機111には端子120が縦連鎖状に供給され、アプリケータ121の下降動作で電線112に圧着されると同時に連鎖122が切断される。端子120の品番切替えに際しては、装置外に予め離脱させた圧着機111からアプリケータ121を脱着交換し、装置105に台車115ごとセットする。これにより、装置105を停止させる時間が短縮される。
【0005】しかしながら、上記従来の構造にあっては、装置専従作業者とは別に切替え準備作業者が必要であり、それにより生産コストが上昇してしまうという問題があった。
【0006】図18は、実開昭61−18592号公報に記載された端子圧着装置を示すものである。この装置125は、リール状に巻かれた連鎖端子126から切断機127のカッタ128で端子129を一つづつ切断し、シュート130,132と搬送ベルト133とで圧着機134に送る端子搬送手段を備え、圧着機134で端子129に電線135を圧着接続させるものである。
【0007】しかしながら、この装置125にあっては、端子129の種類に応じて圧着機134のアプリケータを交換する手間がかかり、また、切断機127や圧着機134において端子129を精度良く位置決めできないという懸念があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した各装置の問題点に鑑み、端子を効率良く且つ位置決め精度良く圧着機に搬送することができ、しかも多種類の端子に対応して簡単且つ迅速にアプリケータの段取り替えを行うことのできる端子圧着装置及び端子圧着装置を用いた各種方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、連鎖端子を案内する端子ガイドと、該端子ガイドを該連鎖端子と一体に端子供給方向に移動させる駆動手段と、該端子ガイドの前端方に一体的に設置された端子切断レバーとを備える端子供給部と、端子供給方向と直交する方向に延びるコンベヤと、該コンベヤ上に着脱自在に複数配列され、該端子ガイドの前進端側に位置して、端子の連鎖帯を把持するクランプと、該コンベヤ上に位置するクランプ開閉手段と端子切断レバー駆動手段と、該コンベヤの前進端側に位置する圧着機と、該コンベヤと該圧着機との間で該クランプを受け渡す移載手段と、を備える端子圧着装置(請求項1)を基本とする。そして、複数種の前記連鎖端子に対応して複数の前記端子供給部が並列に配置され、前記圧着機に複数種のアプリケータが水平移動可能に並列に配置された端子圧着装置(請求項2)も有効である。また、前記端子切断レバーと前記クランプとが共にばね部材で開方向に付勢され、前記クランプ開閉手段と端子切断レバー駆動手段とが各昇降シリンダと、各昇降シリンダに連結した押圧部とで構成された端子圧着装置(請求項3)や、前記端子切断レバーが、端子保持溝と、連鎖帯切断用のカッタ部とを有し、前記端子ガイドが、該連鎖帯に対する当接ガイド壁と、該カッタ部に対向する切断用段部とを有する端子圧着装置(請求項4)や、前記カッタ部と前記切断用段部とが、前記連鎖帯を斜めに切断するように斜めに形成された端子圧着装置(請求項5)や、前記端子ガイドの前端に位置決め用の突部が設けられ、前記クランプに、該突部に対する水平溝と、垂直方向のV字溝とが設けられ、前記クランプ開閉手段である昇降シリンダに、該V字溝に対する位置決めピンが連結された端子圧着装置(請求項6)や、前記端子ガイドに後退時可倒式の端子送り爪が設けられた端子圧着装置(請求項7)も有効である。また、前記クランプが、前記コンベア上のクランプ台と前記圧着機のアプリケータとに対するスライド係合部と固定用のボールプランジャとを有する端子圧着装置(請求項8)や、前記移載手段が、前記クランプに対するチャックハンドと、該チャックハンドを配置したシャフトと、該シャフトを進退させる駆動手段とで構成される端子圧着装置(請求項9)や、前記圧着機のアプリケータが、端子の電気接触部側を押さえる変形防止ガイドを有する端子圧着装置(請求項10)も有効である。さらに、前記連鎖端子を前記端子ガイドと一体に前記クランプ方向に前進させ、該連鎖端子を前記端子切断レバーで一つの端子に切断し、該端子切断レバーで該端子を押えた状態で、該端子の連鎖部を該クランプに把持させ、該クランプを前記コンベヤで前記圧着機方向に移動させ、該クランプを前記移載手段で該コンベヤから圧着機に載せ換えて、該端子に電線を圧着した後、該移載手段で該クランプのみを該圧着機から該コンベヤに戻す端子搬送方法(請求項11)や、連鎖端子の連鎖帯を前記カッタ部で押さえ付け、前記当接ガイド壁に該連鎖帯を押し付けた状態で、前記切断用段部との間で該連鎖帯を切断し、該端子を前記端子保持溝内に位置決め保持させる端子切断方法(請求項12)や、前記クランプの前記V字溝に前記位置決めピンを係合させると共に、前記端子ガイドの前記突部を該クランプの前記水平溝に係合させて、該クランプを三点支持で固定させるクランプ位置決め方法(請求項13)も有効である。
【0010】以下に上記構成に基づく主要な作用を説明する。請求項1記載の端子圧着装置及び請求項11記載の端子搬送方法においては、端子ガイドが連鎖端子と一体にコンベヤ側に前進し、端子切断レバーで連鎖帯から端子が一つ切断される。端子切断レバーは端子ガイドと一体に移動する。切断された端子はコンベヤ上のクランプで連鎖部を把持される。端子はクランプごと圧着機に向けて搬送され、移載手段で圧着機上に載せ換えられ、圧着機で電線が圧着接続される。クランプは、端子付電線を外した状態で移載手段でコンベヤに戻される。端子ガイドは、端子をクランプに受け渡した後、駆動手段で後退する。その際、連鎖端子は端子送り爪(請求項7)で前進した状態に保たれる。請求項2記載の端子圧着装置においては、端子の種類に応じた端子供給部が使用され、前述の如くクランプに端子が供給される。それと同時に、端子の種類に応じたアプリケータが圧着機に自動配置される。請求項4記載の端子圧着装置及び請求項12記載の端子切断方法においては、切断レバーが閉じる途中で連鎖帯に当接した際に、連鎖帯を当接ガイド壁に押し付ける力が働き、それにより端子が正確に位置決めされる。請求項5記載の端子圧着装置においては、連鎖帯が斜めに切断されることで、クランプに対する掴み代が増す。請求項6記載の端子圧着装置及び請求項13記載のクランプ位置決め方法においては、クランプがV字溝と位置決めピンとで前後と左右方向に二点支持されると共に、水平溝と突部とで上下方向に一点支持され、合わせて三点支持により確実に位置決めされる。請求項8,9記載の端子圧着装置においては、クランプがボールプランジャでクランプ台に仮係止される。そして、移載手段のチャックハンドでクランプを把持し、シャフトで前に押すことで、ボールプランジャがクランプ台から外れ、クランプが前進し、ボールプランジャでアプリケータ側に係合する。後退時は逆の動作になる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態の具体例を図面を用いて詳細に説明する。図1〜図3は、本発明に係る端子圧着装置の一実施例を示すものである。この端子圧着装置1は、端子リール(図示せず)からの横連鎖端子2を1つづつの端子3に切断してコンベヤ4に供給する端子供給部5と、コンベア4上に複数等配に設置され、端子供給部5から端子3を受け取って固定させるクランプ6と、コンベヤ4の前進端においてクランプ6を端子圧着機7(図2)のアプリケータ8に移し換える移載手段(ピックアンドプレース機構)9とを備える。
【0012】連鎖端子2(図1)は複数種(21 ,22 …)が並列に配置され、各連鎖端子2ごとに端子供給部5(51 〜55 )が並列に設置されている。各端子供給部5の間隔と同間隔にコンベヤ4上にクランプ6が配置されている。通常は何れか一つの連鎖端子2が選択的に使用され、コンベヤ4はその端子3を圧着機7側に連続的に搬送する。なお、複数種ないし同一種の複数個の端子3(31 ,32 …)を同時に各クランプ6に把持させて圧着機7側に搬送することも可能である。
【0013】圧着機7(図3)には、端子3の種類の応じて複数種のアプリケータ8(81〜86 )がコンベヤ4と直交する方向に移動可能に並列に配設されている。各アプリケータ8は横長の基板10上に固定され、上側のレール11に円板状のシャンク12がスライド自在に係合している。レール11は圧着機7に固定され、レール11のほぼ中央に圧着機7の昇降スライダ13が位置し、レール11の溝14が昇降スライダ13の溝15に連続している。基板10には連結板16が垂設され、連結板16は搬送部25のベルト17に固定され、ベルト17の駆動でレール11に沿ってアプリケータ81 〜86 と一体的に水平移動する。それにより、端子3の種類に応じたアプリケータ8が選択されて圧着機7に自動配置される。
【0014】圧着機7(図2)は従来と同様のものであり、駆動用のサーボモータ18と、サーボモータ18で回動する偏心軸19と、偏心軸19に係合した昇降スライダ13とを備える。昇降スライダ13の溝14にアプリケータ8のシャンク12が係合する。アプリケータ8の上型20と下型21とは一体的に連続している(図3R>3,図14)。下型21の前方には、電線22をクリップ23で把持した電線搬送装置24が位置している。
【0015】前記クランプ6(図2)はコンベヤ4上のクランプ台26(図9)に着脱自在に係合し、ばね付勢のボールプランジャ27(図9)で固定されている。クランプ6は端子3を把持したまま移載手段9のチャックハンド28で把持されてアプリケータ8の下型21に移動され、上型20の下降で端子3に電線22が圧着接続される。上記構成は端子搬送方法としても有効である。
【0016】以下に上記端子圧着装置1を各ユニット毎に詳細に説明する。図4,図5は端子供給部5を示すものである。端子供給部5は連鎖端子2を端子ガイド30に沿って端子切断レバー31に送り、端子3を一つづつに切断して前記コンベヤ4に供給する。端子ガイド30はガイド基板32とカバー33とを含み、水平シリンダ34(駆動手段)(図5)でコンベヤ4側に水平移動する。ガイド基板32は連鎖端子2の連鎖帯35を摺接させる突出した当接ガイド壁36(図4)を有する。当接ガイド壁36に連鎖帯35の後端面35aが摺接する。
【0017】図6(a)(b)にも示す如く、ガイド基板32の前進端側には端子切断用の段部37がガイド基板32を斜めに横断する如く掘り下げて形成されている。段部37の先端には直角なカッタ刃38が形成されている。段部37を有する凹所39に端子切断レバー31が係合する。
【0018】端子切断レバー31は、図7,図8にも示す如く、ガイド基板32から突出した軸受部40にピン41で上下方向回動(揺動)自在に支持され、図示しないばね部材で開方向に付勢されて、自由状態において半開きとなっている。レバー31の中間部に、段部37に沿う、テーパ状に切欠されたカッタ部42が形成されている。カッタ部42の下端部には端子位置決め用の保持溝43がレバー長手方向に形成されている。
【0019】カッタ部42の反対側のレバー側部には、前記コンベヤ4上のクランプ6に対する逃がし溝44(図4)が切欠形成されている。前記ガイド基板32の前進端には、クランプ6に対する位置決め用の突条(突部)45(図5,図6)が水平に形成されている。
【0020】端子3はレバー31の保持溝43に係合し、連鎖帯35がレバー31の底部31a(図8)で押さえ付けられ、段部37とカッタ部42との間で斜めに、例えば45°の角度で切断される。その際、連鎖帯35が図8の如くレバー31の押圧力Pの分力P1 で当接ガイド壁36に突き当てられて正確に位置決めされる。それにより、連鎖帯35がクランプ6に正確に把持され、且つクランプ6で把持した端子3の位置精度が向上する。また、切断時に端子3がレバー31の保持溝43内で保持固定されるために、端子3の変形が防止される。切断された端子3は保持溝43内で保持されてクランプ6に供給される。上記構成は端子切断方法としても有効である。
【0021】図5で、ガイド基板32は基台46に固定され、基台46は水平シリンダ34のロッド47に連結され、フレーム48上をスライドして進退可能である。フレーム48の前後にはストッパ49,50が設けられ、端子ガイド5の前進端と後退端とを規定している。基台46には端子送り爪51が設けられ、送り爪51は連鎖帯35の円孔52(図4)に係合し、水平シリンダ34の駆動で基台46と一体に前進して連鎖端子2を一ピッチづつ送り出す。送り爪51は基台46の後退時にばね53の付勢に抗して前方に倒れる。連鎖端子2はカバー33とガイド基板32との間を移動する。
【0022】ガイド基板32には略コの字状のロック板54(図5,図8)が設けられ、ロック板54はばね104の付勢力で連鎖帯35に接して連鎖端子2をロックさせ得る。ロック板54はカムレバー55の回動操作でロック及びロック解除される。ロック板54は段取り時等に連鎖端子2の後退を防止するためのものであるが、図示しない回動レバー等でカムレバー55を自動操作し、端子送り時にロックさせ、端子ガイド5の後退時にロック解除させることも可能である。
【0023】前記コンベヤ4(図5)には搬送ベルト56が設けられ、搬送ベルト56に、図9に示す断面略T字状のクランプ台26が固定され、クランプ台26にクランプ6が係合している。コンベヤ4(図5)の上方には、端子切断レバー31に対する押圧ローラ57を有する垂直シリンダ(昇降シリンダ)58と、クランプ6に対する垂直方向の位置決めピン59とクランプ開き用の押圧ピン(ボルト)60とを一体に有する垂直シリンダ(昇降シリンダ)61とがフレーム62に固定して配設されている。押圧ピン60は位置決めピン59にクランプ63で固定され、両ピン59,60は一体的に昇降する。押圧ローラ57と垂直シリンダ58とで端子切断レバー駆動手段が構成され、押圧ピン60と垂直シリンダ61とでクランプ開閉手段が構成される。
【0024】図9の如くクランプ台26は、両側に張り出したレール部64と、後端側で上向きに突出したストッパ65と、クランプ側のボールプランジャ27に対するボール係合孔66とを有する。クランプ6は、クランプ台26に対する断面略T字状のスライド係合溝(スライド係合部)67と、スライド係合溝67と平行に形成され、前記端子ガイド5の突条45(図5)を係合させる位置決め用の水平溝68とを有する基台69と、基台69の前後壁70,70の間にピン71で回動自在に軸支された開閉部72と、基台69の後壁70に一体に形成され、ボールプランジャ27を有する移載用の掴み部73とで構成される。
【0025】ボールプランジャ27は雄ねじ筒部74と筒部内のコイルばね75と、コイルばね75に付勢されたボール76とで構成される。開閉部72は内側の捩りばね77で閉じ方向に付勢されている。開閉部72の先端側には押え部78がピン79で回動自在に軸支され、開閉部72の基端に、前記位置決めピン59(図5)に対するV字溝80が垂直方向に形成されている。掴み部73には、移載手段9のチャックハンド28に対する一対の把持溝81が直交方向に形成されている。
【0026】クランプ6は、クランプ台26のレール部64に溝67をスライド係合させ、後壁70をストッパ65に当接させ、ボール76を係合孔66に係合させて、クランプ台26に着脱自在に係止される。端子3の連鎖帯35は、開いた開閉部72と基台69との間に挿入され、閉じた開閉部72の押え部78で押圧固定される。
【0027】図4,図10の如く連鎖端子2の連鎖帯35は切断レバー31で切断され、クランプ6で把持される。すなわち、先ず図5の状態で位置決めピン59が下降してクランプ6のV字溝80(図4,図9)に係合し、同時に押圧ピン60でクランプ6が押されて開く。
【0028】次いで図11,図12の如く端子ガイド5が水平シリンダ34に駆動されて連鎖端子2と一体に前進し、連鎖帯3の先端が、開いたクランプ6内に挿入され、同時にガイド基板32の突条45がクランプ6の水平溝68に係合して、クランプ6が上下方向不動に位置決め固定され、且つV字溝80が位置決めピン59に押し当てられて前後左右方向不動に位置決め固定される。クランプ6は三点支持で正確に位置決めされる。それにより、クランプ6に対して端子3が高い位置精度でセットされる。上記構成はクランプ位置決め方法としても有効である。
【0029】連鎖帯35が、開いたクランプ6内に挿入された際に、切断レバー31は押圧ローラ57の真下に位置する。垂直シリンダ58の駆動で図12の如く押圧ローラ57が下降し、切断レバー31を押し下げて前述の如く連鎖帯35を切断する。
【0030】連鎖帯35は、切断レバー31の斜めのカッタ部42とガイド基板32の斜めの刃部38(図6)により図9,図10の如く斜めに切断される。斜めに切断されることでクランプ6に対する長い掴み代が確保される。
【0031】次いで押圧ローラ57(図11)が上昇すると共に、位置決めピン59と押圧ピン60とが一体的に上昇する。これによりクランプ6がばね77(図9)の付勢で閉じ、一つの端子3の連鎖帯(連鎖部)35がクランプ6に固定される。これで一つの端子3が切断されてクランプ6に供給されたことになる。上記構成は端子供給及び搬送方法としても有効である。
【0032】端子3が多種類あっても連鎖帯35の形状は同様であるので、クランプ6で連鎖帯35を把持することで、安定した端子搬送が可能となる。端子ガイド30は水平シリンダ34の駆動で後退し、図5の元位置に復帰する。この際、端子送り爪51(図11)は鎖線の如く前方に倒れて連鎖帯35の下側を通過し、連鎖端子2は前進したままの位置に保たれる。クランプ6で把持された端子3は図1,2の如くコンベヤ4で圧着機7側に搬送される。
【0033】図13は、コンベヤ4から圧着機7にクランプ6を受け渡す移載手段9を示すものである。移載手段9は、先端に一対の垂直方向のチャックハンド28を有するチャックシリンダ85と、チャックシリンダ85を先端に固定したボールねじシャフト86あるいはスプラインシャフトと、シャフト86に係合する雌ねじ部(図示せず)を有する回動部87と、回動部87をプーリ88,89とベルト90で駆動するサーボモータ91とで構成される。回動部87とモータ91とで駆動手段が構成される。モータ91で回動部87が回転し、回転方向に応じてシャフト86が前進ないし後退する。チャックハンド28には、クランプ6の掴み部73(図9)の溝81に対する断面三角形状の係合突条92が形成されている。
【0034】チャックハンド28はクランプ6をコンベヤ4のクランプ台26(図9)から外して前進させ、図2R>2の如く圧着機7の下型21の図示しないクランプ台に受け渡す。このクランプ台にも、ボールプランジャ26に対する係合孔が形成されている。そしてアプリケータ8の上型20の下降により端子3に電線22が圧着される。上記構成は端子搬送方法としても有効である。
【0035】圧着に際しては、図14〜図15に示す如く、アプリケータ8の端子変形防止ガイド93により端子3の電気接触部3a側が下型21との間で押えられ、その状態でクリンパ94とアンビル95とにより端子3の圧着片3bに電線22(図2)が圧着される。端子3は端子直交方向の揺動カッタ96で圧着と同時に連鎖部35の付け根から切り離される。端子変形防止ガイド93は、上型20から垂設された垂直なシャフト97の先端に固定され、電気接触部3aに対する水平方向の保持溝98を有している。端子変形防止ガイド93により圧着時の端子3の変形が防止される。
【0036】圧着後は、前記移載手段9により再度クランプ6が圧着機7からコンベヤ4に戻される。クランプ6に残された連鎖帯35は、例えば圧着と同時にアプリケータの一部で押圧されて開いたクランプ6から排除される。電線22(図2)はベルト99(図1)の回動でクリップ23ごと搬送され、次の電線22が圧着機7に供給される。そして、次の端子3を把持したクランプ6が移載手段9で圧着機7上に運ばれる。
【0037】ワイヤハーネス(端子付電線の集合体)の品番を切り替えるには、図1において端子供給部5を例えば51 から52 に切り替えて、他種の端子32 をコンベヤ4上のクリップ6に供給する。それと同時に、前述の如くアプリケータ8(図3)を水平移動させて他のアプリケータ(例えば85 )を圧着機7にセットする。なお、アプリケータ8を回転移動させる機構としてもよい。
【0038】
【発明の効果】以上の如くに、請求項1,11の発明によれば、端子の切断を圧着機とは分離して行い、且つ端子を個々に圧着機に確実に供給できるから、圧着機のアプリケータが小型軽量化され、アプリケータの切替え作業が容易化する。そして、請求項2の発明により、端子の種類に応じた個々の端子の供給とアプリケータの自動切替えが可能となる。それにより、端子付電線の多品種少量生産が容易化する。アプリケータの段取り替えに人手が不要となるから、人件費が削減され、また自動切替えにより、少ロット生産に対応したリードタイム削減と中間在庫削減が可能となる。また、請求項3の発明によれば、端子切断レバーとクランプとがクランプ開閉手段と端子切断レバー駆動手段とから分離されたことにより、端子切断レバーを含む端子ガイドとクランプとが小型化し、端子ガイドとクランプの移動がスムーズに行われる。また、請求項4,12の発明によれば、端子切断レバーでの切断時に、連鎖端子が当接ガイド壁に押圧位置決めされて、切断が位置精度良く行われ、且つ端子が端子保持溝で保持されて、クランプでの把持位置精度が向上する。また、請求項5の発明によれば、連鎖帯が斜めに切断されて、クランプでの掴み代が増加し、位置ずれのない確実な搬送が可能となる。また、請求項6,13の発明によれば、クランプが上下前後左右に三点支持で確実に位置決め固定されるから、クランプに端子が位置精度良くセットされる。また、請求項7の発明によれば、端子ガイドと一体に連鎖端子を確実に前進させることができる。また、請求項8,9の発明によれば、シャフトの一次元方向の動き(前進後退)のみで、クランプ台やアプリケータにクランプをスムーズ且つ確実に受け渡すことができ、移載手段の構造の簡素化が図られる。また、請求項10の発明によれば、変形防止ガイドにより端子圧着時の端子の変形が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る端子圧着装置の全体形状を示す平面図である。
【図2】同じく端子圧着装置の全体形状を示す正面図である。
【図3】同じく端子圧着装置の全体形状を示す側面図である。
【図4】端子供給部を示す平面図である。
【図5】端子供給部を示す側面図である。
【図6】(a) は図4のA部を示す拡大平面図、(b) は同じく側面図である。
【図7】端子供給部を示す正面図である。
【図8】同じく端子を保持した端子供給部を示す正面図である。
【図9】端子クランプとクランプ台と端子を示す分解斜視図である。
【図10】端子を把持したクランプを示す平面図である。
【図11】コンベヤに端子を供給する状態を示す端子供給部の側面図である。
【図12】クランプの開閉と端子の切断操作を示す要部側面図である。
【図13】クランプ移載手段を示す一部断面した正面図である。
【図14】アプリケータを示す側面図である。
【図15】同じくアプリケータを示す正面図である。
【図16】一従来例を示す全体斜視図である。
【図17】同じく要部側面図である。
【図18】他の従来例を示す側面図である。
【符号の説明】
1 端子圧着装置
2 連鎖端子
3 端子
4 コンベヤ
5 端子供給部
6 クランプ
7 圧着機
8 アプリケータ
9 移載手段
26 クランプ台
27 ボールプランジャ
28 チャックハンド
31 端子切断レバー
30 端子ガイド
34 水平シリンダ
35 連鎖帯
36 当接ガイド壁
37 切断用段部
42 カッタ部
43 端子保持溝
45 位置決め突条
51 端子送り爪
57 押圧ローラ
58,61 垂直シリンダ
59 位置決めピン
60 押圧ピン
67 スライド係合溝
68 水平溝
80 V字溝
86 ボールねじシャフト
87 回動部
91 モータ
93 端子変形防止ガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】 連鎖端子を案内する端子ガイドと、該端子ガイドを該連鎖端子と一体に端子供給方向に移動させる駆動手段と、該端子ガイドの前端方に一体的に設置された端子切断レバーとを備える端子供給部と、端子供給方向と直交する方向に延びるコンベヤと、該コンベヤ上に着脱自在に複数配列され、該端子ガイドの前進端側に位置して、端子の連鎖帯を把持するクランプと、該コンベヤ上に位置するクランプ開閉手段と端子切断レバー駆動手段と、該コンベヤの前進端側に位置する圧着機と、該コンベヤと該圧着機との間で該クランプを受け渡す移載手段と、を備えることを特徴とする端子圧着装置。
【請求項2】 複数種の前記連鎖端子に対応して複数の前記端子供給部が並列に配置され、前記圧着機に複数種のアプリケータが水平移動可能に並列に配置されたことを特徴とする請求項1記載の端子圧着装置。
【請求項3】 前記端子切断レバーと前記クランプとが共にばね部材で開方向に付勢され、前記クランプ開閉手段と端子切断レバー駆動手段とが各昇降シリンダと、各昇降シリンダに連結した押圧部とで構成されたことを特徴とする請求項1又は2記載の端子圧着装置。
【請求項4】 前記端子切断レバーが、端子保持溝と、連鎖帯切断用のカッタ部とを有し、前記端子ガイドが、該連鎖帯に対する当接ガイド壁と、該カッタ部に対向する切断用段部とを有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の端子圧着装置。
【請求項5】 前記カッタ部と前記切断用段部とが、前記連鎖帯を斜めに切断するように斜めに形成されたことを特徴とする請求項4記載の端子圧着装置。
【請求項6】 前記端子ガイドの前端に位置決め用の突部が設けられ、前記クランプに、該突部に対する水平溝と、垂直方向のV字溝とが設けられ、前記クランプ開閉手段である昇降シリンダに、該V字溝に対する位置決めピンが連結されたことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の端子圧着装置。
【請求項7】 前記端子ガイドに後退時可倒式の端子送り爪が設けられたことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の端子圧着装置。
【請求項8】 前記クランプが、前記コンベア上のクランプ台と前記圧着機のアプリケータとに対するスライド係合部と固定用のボールプランジャとを有することを特徴とする請求項1,2,3,6の何れかに記載の端子圧着装置。
【請求項9】 前記移載手段が、前記クランプに対するチャックハンドと、該チャックハンドを配置したシャフトと、該シャフトを進退させる駆動手段とで構成されることを特徴とする請求項1,2,3,6,8の何れかに記載の端子圧着装置。
【請求項10】前記圧着機のアプリケータが、端子の電気接触部側を押さえる変形防止ガイドを有することを特徴とする請求項1,2,8の何れかに記載の端子圧着装置。
【請求項11】請求項1記載の端子圧着装置を用いて端子を搬送する方法であって、前記連鎖端子を前記端子ガイドと一体に前記クランプ方向に前進させ、該連鎖端子を前記端子切断レバーで一つの端子に切断し、該端子切断レバーで該端子を押えた状態で、該端子の連鎖部を該クランプに把持させ、該クランプを前記コンベヤで前記圧着機方向に移動させ、該クランプを前記移載手段で該コンベヤから圧着機に載せ換えて、該端子に電線を圧着した後、該移載手段で該クランプのみを該圧着機から該コンベヤに戻すことを特徴とする端子搬送方法。
【請求項12】請求項4又は5記載の端子圧着装置を用いて端子を切断する方法であって、連鎖端子の連鎖帯を前記カッタ部で押さえ付け、前記当接ガイド壁に該連鎖帯を押し付けた状態で、前記切断用段部との間で該連鎖帯を切断し、該端子を前記端子保持溝内に位置決め保持させることを特徴とする端子切断方法。
【請求項13】請求項6記載の端子圧着装置を用いてクランプを位置決めする方法であって、前記クランプの前記V字溝に前記位置決めピンを係合させると共に、前記端子ガイドの前記突部を該クランプの前記水平溝に係合させて、該クランプを三点支持で固定させることを特徴とするクランプ位置決め方法。

【図1】
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【図2】
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【図6】
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【図7】
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【図3】
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【図4】
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【図10】
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【図11】
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【図14】
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【図5】
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【図8】
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【図9】
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【図12】
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【図13】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【特許番号】特許第3485233号(P3485233)
【登録日】平成15年10月24日(2003.10.24)
【発行日】平成16年1月13日(2004.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平9−49010
【出願日】平成9年3月4日(1997.3.4)
【公開番号】特開平10−247577
【公開日】平成10年9月14日(1998.9.14)
【審査請求日】平成13年6月28日(2001.6.28)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【参考文献】
【文献】特開 平6−36854(JP,A)
【文献】特開 平7−335365(JP,A)
【文献】特開 平7−335366(JP,A)
【文献】特開 平8−190979(JP,A)
【文献】特開 平8−111275(JP,A)
【文献】特開 平8−315950(JP,A)
【文献】実開 昭61−18592(JP,U)
【文献】実開 平1−122292(JP,U)
【文献】実開 平5−17981(JP,U)