説明

端子圧着装置及び端子圧着方法

【課題】複数の品番の電線と端子金具を圧着可能な端子圧着装置であって、小型化を図ることを可能とする端子圧着装置を提供する。
【解決手段】端子圧着装置1はベース2と駆動源部3と複数のアプリケータ10と接続解除部18と制御装置20を備えている。駆動源部3はアプリケータ10の駆動力を供給する。アプリケータ10は端子金具と電線とを圧着する。接続解除部18はアプリケータ10に対応して設けられている。接続解除部18はアプリケータ10に駆動源部3からの駆動力を伝達する第1の状態と駆動力の伝達を解除する第2の状態とが切り換え自在である。制御装置20は接続解除部18を制御して圧着する端子金具と電線の本番に応じたアプリケータ10に駆動源部3からの駆動力を伝達する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線と端子金具とを互いに圧着する端子圧着装置及び端子圧着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
端子金具のかしめ片をかしめて、前記電線と端子金具とを互いに電気的に接続する即ち電線と端子金具とを互いに圧着して、ワイヤハーネスを組み立てる際には、種々の端子圧着装置(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)が用いられる。端子圧着装置は、互いに接離自在に設けられかつ互いの間に電線の端部と端子金具とを挟んでこれらを圧着するアンビル及びクリンパと、これらのアンビル及びクリンパを互いに接離させる駆動源部と、を有したアプリケータを備えている。
【0003】
前述した自動車には、種々の品番の端子金具や電線が用いられる。これら電線と端子金具のうち少なくとも一方が異なると、前述したアプリケータのアンビル、クリンパやこれらの間隔が異なる。このため、前述した特許文献1及び特許文献2に記載された端子圧着装置は、互いにアンビル、クリンパやこれらの間隔が異なるアプリケータを複数設けて、即ち互いに圧着する電線と端子金具の品番の異なるアプリケータを複数設けて、圧着する電線と端子金具の品番に応じたアプリケータで、電線と端子金具とを互いに圧着してきた。
【0004】
前述した特許文献1及び特許文献2に記載された端子圧着装置は、各々のアプリケータが駆動源部を備えている。このため、各アプリケータ自体が大型化して、端子圧着装置自体も大型化する傾向であった。
【0005】
このような、複数のアプリケータを備えた端子圧着装置の大型化を防止するために、本発明の出願人は、アプリケータに複数のアンビルとクリンパとを取り付ける端子圧着装置(例えば、特許文献3参照)を提案している。この種の端子圧着装置は、複数のアンビル及びクリンパのうち任意のアンビルとクリンパを選択して、該任意のアンビルとクリンパで電線と端子金具とを圧着する。
【特許文献1】特開昭62−116481号公報
【特許文献2】特開平1−313870号公報
【特許文献3】特開平10−247577号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した特許文献3に示された端子圧着装置は、一つのアプリケータに複数のアンビルとクリンパとを取り付けるために、該アプリケータ自体が大型化してしまう。その上、特許文献3に示された端子圧着装置は、電線と端子金具とを圧着しないアンビルとクリンパとを互いに接離させてしまう。即ち、特許文献3に示された端子圧着装置は、電線と端子金具との圧着に用いる一組のアンビルとクリンパとを互いに接離する際に、全てのアンビルとクリンパとを互いに接離させてしまう。
【0007】
このため、特許文献3に示された端子圧着装置は、前述したクリンパとアンビルとを互いに接離させるための駆動源部自体も大型化してしまう。このように、特許文献3に示された端子圧着装置は、大型化する傾向であった。
【0008】
したがって、本発明の目的は、複数の品番の電線と端子金具を圧着可能な端子圧着装置であって、小型化を図ることを可能とする端子圧着装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の端子圧着装置は、第1の型とこの第1の型と相対する第2の型とを備え、これらの型間に端子金具及び電線の端部を挟み込んで前記端子金具と前記電線の端部とを互いに圧着するアプリケータを複数備えた端子圧着装置において、前記アプリケータは、互いに品番の異なる端子金具及び電線を圧着するとともに、前記複数のアプリケータを設置したベースと、前記アプリケータの第1の型と第2の型とを互いに接離させるとともに前記アプリケータより少ない数の駆動源部と、前記駆動源部からの駆動力を前記アプリケータに伝達する第1の状態と、前記駆動源部の前記アプリケータへの接続を解除する第2の状態とが変更自在な接続解除部と、前記接続解除部を制御して、前記複数のアプリケータのうち圧着する端子金具及び電線の品番に応じたアプリケータに前記駆動源部からの駆動力を伝達して、該品番に応じたアプリケータに電線と端子金具とを圧着させる制御部と、を備えたことを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載の本発明の端子圧着装置は、請求項1に記載の端子圧着装置において、前記接続解除部は、前記アプリケータの前記第1の型と前記第2の型とが互いに接離する方向に対して交差する方向に沿って、前記駆動源部と前記アプリケータとの間に位置する接続位置と、前記駆動源部と前記アプリケータとの間から離れた退避位置とに亘って、スライド自在に設けられたスライド部材と、前記駆動源部と前記アプリケータと前記スライド部材とのそれぞれに設けられ、前記スライド部材が前記接続位置に位置付けられると、前記駆動源部と前記アプリケータと前記スライド部材とを互いに連結する連結部と、を備えたことを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載の本発明の端子圧着装置は、請求項2記載の端子圧着装置において、前記連結部は、前記スライド部材のスライド方向に沿って直線状に伸び、かつ前記スライド部材の前記駆動源部と前記アプリケータとの双方寄りの両端部に設けられた幅広部と、前記スライド部材のスライド方向に沿って直線状に伸び、かつ前記スライド部材の幅広部間に設けられているとともに、該幅広部より幅が狭い幅狭部と、前記スライド部材のスライド方向に沿って直線状に伸び、かつ前記駆動源部と前記アプリケータとの双方に設けられているとともに、前記スライド部材が前記接続位置に位置付けられると、内側に前記幅広部が侵入する幅広孔と、前記スライド部材のスライド方向に沿って直線状に伸び、かつ前記駆動源部と前記アプリケータとの双方に設けられているとともに、前記スライド部材が前記接続位置に位置付けられると、内側に前記幅狭部が侵入する幅狭孔と、を備えたことを特徴としている。
【0012】
請求項4に記載の本発明の端子圧着装置は、請求項1ないし請求項3のうちいずれか一項に記載の端子圧着装置において、前記接続位置における前記アプリケータの前記第1の型と前記第2の型との間隔を変更可能とする型間調整部を備えたことを特徴としている。
【0013】
請求項5に記載の本発明の端子圧着装置は、請求項4に記載の端子圧着装置において、前記型間調整部は、前記第1の型と第2の型とが互いに接離する方向の厚みが互いに異なるとともに、前記接続位置に位置付けられたアプリケータと前記スライド部材との間又は前記スライド部材と前記駆動源部との間に侵入可能な複数の楔部を有した楔部材を備えたことを特徴としている。
【0014】
請求項6に記載の本発明の端子圧着装置は、請求項5に記載の端子圧着装置において、前記楔部材は、前記スライド部材と一体に形成されていることを特徴としている。
【0015】
請求項7に記載の本発明の端子圧着装置は、請求項1ないし請求項6のうちいずれか一項に記載の端子圧着装置において、前記接続解除部は、各々のアプリケータに対応して設けられていることを特徴としている。
【0016】
請求項8に記載の本発明の端子圧着方法は、第1の型とこの第1の型と相対する第2の型とを備え、これらの型間に端子金具及び電線の端部を挟み込んで前記端子金具と前記電線の端部とを互いに圧着する複数のアプリケータのうち圧着する端子金具及び電線の品番に応じたアプリケータに駆動力を伝達して、該アプリケータで前記端子金具と前記電線の端部とを互いに圧着することを特徴としている。
【0017】
請求項1に記載した本発明の端子圧着装置によれば、駆動源部がアプリケータより少数であるので、大型化を防止できる。
【0018】
また、接続解除部が駆動源部からの駆動力のアプリケータへの接続・解除を行い、制御部が接続解除部を制御するので、複数のアプリケータのうち任意のアプリケータを用いた電線と端子金具との圧着を行うことができる。
【0019】
さらに、接続解除部が、駆動源部からの駆動力を複数のアプリケータのうち任意のアプリケータに伝達するので、圧着に用いないアプリケータに駆動力を伝達することが無い。
【0020】
請求項2に記載した本発明の端子圧着装置によれば、スライド部材と連結部とを備えているので、接続解除部が駆動源部からの駆動力の接続・解除を確実に行うことができる。
【0021】
請求項3に記載した本発明の端子圧着装置によれば、スライド部材に幅広部と該幅広部より幅が狭いとともに該幅広部間に配置された幅狭部とが設けられている。さらに、駆動源部とアプリケータとの双方に幅広部が侵入する幅広孔と幅狭部が侵入する幅狭孔とが設けられている。このため、連結部が、駆動源部とアプリケータとを連結すると、幅広部と幅広孔の内面とが干渉する。
【0022】
請求項4に記載した本発明の端子圧着装置によれば、型間調整部を備えているので、各々のアプリケータが型間の間隔が異なる複数の品番の電線と端子金具とを圧着できる。
【0023】
請求項5に記載した本発明の端子圧着装置によれば、型間調整部が厚みの異なる複数の楔部を備えた楔部材を備えているので、楔部材の任意の楔部がアプリケータとスライド部材との間又はスライド部材と駆動源部との間に位置付けられることで、確実に型間の間隔を変更することができる。
【0024】
請求項6に記載した本発明の端子圧着装置によれば、楔部材がスライド部材と一体に形成されているので、楔部材がスライド部材と一体にスライドする。このため、楔部材をスライドさせる手段を、スライド部材をスライドさせる手段と別体に設ける必要が生じない。したがって、部品点数の増加を防止できる。
【0025】
請求項7に記載した本発明の端子圧着装置によれば、接続解除部が各々のアプリケータに対応して設けられているので、各々のアプリケータを確実に駆動源部からの駆動力を伝達できる。
【0026】
請求項8に記載した本発明の端子圧着方法によれば、駆動源部からの駆動力を複数のアプリケータのうち任意のアプリケータに伝達して電線と端子金具とを圧着するので、圧着に用いないアプリケータに駆動力を伝達することが無い。
【0027】
また、駆動源部からの駆動力を任意のアプリケータに伝達して電線と端子金具とを圧着するので、駆動源部をアプリケータより少数設ければ良い。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように、請求項1に記載の本発明によれば、駆動源部がアプリケータより少数であるので、大型化を防止できる。
【0029】
また、複数のアプリケータのうち任意のアプリケータを用いて、電線と端子金具との圧着を行うことができる。したがって、駆動源部をアプリケータより少数設けても、電線と端子金具とを確実に圧着できる。
【0030】
さらに、圧着に用いないアプリケータに駆動力を伝達することが無いので、駆動源部の大型化を防止できる。したがって、駆動源部を少数にして、該駆動源部自体の大型化を防止できるので、端子圧着装置の小型化を図ることができる。
【0031】
請求項2に記載の本発明によれば、接続解除部が駆動源部からの駆動力の接続・解除を確実に行うことができるので、複数のアプリケータのうち任意のアプリケータに確実に駆動源部からの駆動力を伝達できる。
【0032】
請求項3に記載の本発明によれば、連結部が駆動源部とアプリケータとを連結すると、幅広部と幅広孔の内面とが干渉するので、駆動源部からの駆動力をアプリケータに確実に伝達でき、該駆動力で電線と端子金具とを確実に圧着できる。
【0033】
請求項4に記載の本発明によれば、各々のアプリケータが型間の間隔が異なる複数の品番の電線と端子金具とを圧着できるので、アプリケータの数以上の品番の電線と端子金具とを圧着できる。即ち、より多数の品番の電線と端子金具とを圧着できる。
【0034】
請求項5に記載の本発明によれば、楔部材が確実に型間の間隔を変更することができるので、確実により多数の品番の電線と端子金具とを圧着できる。
【0035】
請求項6に記載の本発明によれば、部品点数の増加を防止できるので、大型化を防止できる。
【0036】
請求項7に記載の本発明によれば、各々のアプリケータに確実に駆動源部からの駆動力を伝達できるので、各々のアプリケータが電線と端子金具とを確実に圧着できる。
【0037】
請求項8に記載の本発明によれば、圧着に用いないアプリケータに駆動力を伝達することが無いので、駆動源部自体の大型化を防止でき、駆動源部をアプリケータより少数設ければ良いので、端子圧着装置全体の小型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明の一実施形態にかかる端子圧着装置1を図1ないし図11を参照して説明する。端子圧着装置1は、端子金具4(図2に示す)と、電線9の端部(図2に示す)とを互いに圧着する装置である。
【0039】
電線9は、導電性の芯線と、該芯線を被覆する被覆部とを備えた所謂被覆電線である。端子金具4は、導電性を有する板金などから形成されており、相手側の端子金具が接続される電気接触部5と、前記電線9が接続される電線接続部6と、を備えている。
【0040】
電線接続部6は、電線9が載置される底壁6aと、この底壁6aの両縁それぞれに連なる一対の導体かしめ片7と、前記底壁6aの両縁それぞれに連なる一対の被覆部かしめ片8と、を備えている。導体かしめ片7は、底壁6aに向かって曲げられて前記電線9の芯線をかしめる即ち圧着する。被覆部かしめ片8は、底壁6aに向かって曲げられて前記電線9の被覆部をかしめる即ち圧着する。
【0041】
前述した構成によって、電線接続部6は、かしめ片7,8によって、前記電線9の端部をかしめて、該電線9の芯線と電気的及び機械的に接続する。なお、電線接続部6には、種々の理由によって、外径の比較的大きな電線9が接続されたり、外径の比較的小さな電線9が接続されたりする。即ち、電線接続部6には、種々の外径を有する電線9が接続されるようになっている。
【0042】
前述した電線9と端子金具4とには、種々の品番が存在する。電線9は、品番が異なると例えばその外径が異なる。端子金具4は、品番が異なると、その外形、寸法やかしめ片7,8などの各部位の相対的な位置が異なる。
【0043】
端子圧着装置1は、図1及び図2に示すように、工場のフロア上などの設置されるベース2と、駆動源部3と、端子金具4と電線9の端部とを互いに圧着する複数のアプリケータ10と、複数の接続解除部18と、型間調整部19と、制御部としての制御装置20を備えている。
【0044】
ベース2は、底板部21と、該底板部21の外縁より立設した立設板部22と、立設板部22の上縁に連なる天井板部23とを備えている。底板部21と、天井板部23とは、水平方向に沿って略平坦に形成され、勿論互いに平行に配置されている。図示例では、底板部21と天井板部23とは、それぞれ、平面形状が矩形状に形成されている。
【0045】
駆動源部3は、駆動源としてのサーボモータ24と、サーボモータ24で回動する偏芯軸26と、偏芯軸26に係合した昇降スライダ27と、駆動板25とを備えている。サーボモータ24は、図示例では、一つ設けられている。サーボモータ24は、天井板部23に配置され、かつ立設板部22に取り付けられている。偏芯軸26は、サーボモータ24の出力軸に対して偏芯した位置に配置されている。昇降スライダ27は、サーボモータ24の回転及び偏芯軸26の偏芯した回転によって、昇降動作する。昇降スライダ27の長手方向は、鉛直方向と平行である。
【0046】
駆動板25は、図示例では、平面形状が矩形状に形成されている。駆動板25は、その両表面が水平方向に沿って配置されている。駆動板25は、底板部21と天井板部23との間にこれらと平行に配置されているとともに、図示例では図示しないリニアガイドによって鉛直方向に沿ってスライド自在に設けられている。駆動板25には、昇降スライダ27が取り付けられている。駆動板25は、サーボモータ24が回転して昇降スライダ27が昇降すると、鉛直方向に沿ってスライドする。
【0047】
前述した構成の駆動源部3は、サーボモータ24が回転して昇降スライダ27が昇降することで、接続解除部18によって駆動板25に連結されたアプリケータ10の後述するアンビル12とクリンパ13とを互いに接離させる。また、駆動源部3は、図示例では、一つのみ設けられている。このように、駆動源部3は、アプリケータ10より少ない数(少数)設けられている。このように、駆動源部3は、サーボモータ24が回転して昇降スライダ27が昇降することで、アプリケータ10のアンビル12とクリンパ13とを互いに接離させるための駆動力を発生する。
【0048】
複数のアプリケータ10は、ベース2の底板部21の長手方向に沿って等間隔に並設されている。即ち、複数のアプリケータ10は、ベース2に設置されている。アプリケータ10は、図2及び図3に示すように、フレーム11と、第1の型としての下型12(以下アンビルと呼ぶ)と、第2の型としての上型13(以下クリンパと呼ぶ)と、ラム14と、を備えている。
【0049】
フレーム11は、側方からみてコ字状に形成されている。フレーム11は、ベース2の底板部21上に取り付けられる。フレーム11は、アンビルホルダ部15と、上方延在部16と、ラム支持部17と、を備えている。アンビルホルダ部15は、ベース2の底板部21上に配される。アンビルホルダ部15は、アンビル12を固定する。
【0050】
上方延在部16は、アンビルホルダ部15から上方(天井板部23即ちサーボモータ24)に向かって延在している。ラム支持部17は、上方延在部16の上端部に連結している。ラム支持部17は、ラム14を昇降(鉛直方向に沿ってスライド)自在に支持する。ラム支持部17は、ラム14を上方(サーボモータ24)に向かって付勢している。即ち、ラム支持部17は、アンビル12とクリンパ13とが互いに離れる方向に、ラム14を付勢している。
【0051】
アンビル12は、第1のアンビル12aと、第2のアンビル12bと、を備えている。第1のアンビル12aと第2のアンビル12bとは、それぞれ、アンビルホルダ部15に固定されて、フレーム11に取り付けられる。アンビル12には、その上に端子金具4が載置される。
【0052】
アンビル12には、底壁6aが接した状態で端子金具4が載置される。第1のアンビル12aには、底壁6aの導体かしめ片7寄りの箇所が載置される。第2のアンビル12bには、底壁6aの被覆部かしめ片8寄りの箇所が載置される。アンビル12上に載置された端子金具4のかしめ片7,8は、アンビル12の上方に向かって延在している。
【0053】
ラム14は、方体状に形成されている。ラム14は、ラム支持部17に鉛直方向に沿って昇降自在に支持されている。ラム14は、その長手方向が前記昇降方向即ち鉛直方向に沿っている。即ち、ラム14は、昇降スライダ27の長手(昇降)方向に沿って、スライド自在に設けられている。
【0054】
クリンパ13は、ラム14に取り付けられている。クリンパ13は、アンビル12と鉛直方向に沿って相対して設けられている。クリンパ13は、ラム14がラム支持部17に昇降自在に支持されることによって、アンビル12に接離自在に支持されている。クリンパ13は、鉛直方向に沿って変位して、アンビル12に対し接離する。即ち、クリンパ13がアンビル12に接離するのと連動して、ラム14が昇降する。なお、この接離とは、互いに近づいたり離れることをいう。
【0055】
クリンパ13は、第1のクリンパ13aと、第2のクリンパ13bと、を備えている。第1のクリンパ13aは、第1のアンビル12aと鉛直方向に沿って相対向している。第1のクリンパ13aは、アンビル12上に配される端子金具4の導体かしめ片7に相対向する。第1のクリンパ13aは、導体かしめ片7に対し接離する。
【0056】
第2のクリンパ13bは、第2のアンビル12bと鉛直方向に沿って相対向している。第2のクリンパ13bは、アンビル12上に配される端子金具4の被覆部かしめ片8に相対向する。第2のクリンパ13bは、被覆部かしめ片8に対し接離する。
【0057】
前述した構成によって、アプリケータ10は、アンビル12とクリンパ13とを互いに近づけて、これらの間に端子金具4及び電線9の端部を挟み込んで、端子金具4と電線9の端部とを互いに圧着する。このとき、第1のクリンパ13aは、導体かしめ片7を底壁6aに向かって曲げて、導体かしめ片7で電線9の芯線をかしめる。第2のクリンパ13bは、被覆部かしめ片8を底壁6aに向かって曲げて、被覆部かしめ片8で電線9の被覆部をかしめる。
【0058】
なお、前記クリンパ13a,13bそれぞれとアンビル12a,12bそれぞれとの間の間隔は、端子金具4に圧着される電線9の外径に応じて変化する。例えば、比較的大きな外径の電線9を圧着する際には、前記クリンパ13a,13bそれぞれとアンビル12a,12bそれぞれとの間の間隔は比較的大きくなり、比較的小さな外径の電線9を圧着する際には、前記クリンパ13a,13bそれぞれとアンビル12a,12bそれぞれとの間の間隔は比較的小さくなる。
【0059】
また、前述した複数のアプリケータ10は、前述したアンビル12と、クリンパ13と、これらアンビル12とクリンパ13との間隔と、のうち少なくとも一つが互いに異なる。即ち、複数のアプリケータ10が圧着する電線9及び端子金具4は、これら電線9と端子金具4のうち少なくとも一方の品番が互いに異なる。こうして、前述した複数のアプリケータ10は、互いに異なる品番の電線9と端子金具4とを圧着する。
【0060】
接続解除部18は、図1に示すように、各々のアプリケータ10に対応して設けられている。図示例では、接続解除部18は、一つのアプリケータ10に一つ設けられている。接続解除部18は、図2及び図3に示すように、スライド用シリンダ28と、スライド部材29と、連結部30とを備えている。
【0061】
スライド用シリンダ28は、シリンダ本体31と、該シリンダ本体31から突没自在なロッド32とを備えている。シリンダ本体31は、立設板部22に取り付けられている。ロッド32は、その長手方向が水平に配置されている。スライド用シリンダ28は、ロッド32が伸長すると、該ロッド32が各アプリケータ10のラム14の上端と駆動板25との間に近づく状態に配置されている。
【0062】
スライド部材29は、板状に形成されている。スライド部材29は、その長手方向が鉛直方向に沿って配置されている。スライド部材29は、ロッド32に取り付けられている。スライド部材29は、スライド用シリンダ28のロッド32が伸長することで、水平方向即ちアンビル12とクリンパ13とが互いに接離する方向に対し交差する方向に沿ってスライド自在に設けられている。スライド部材29は、ロッド32が伸縮することで、図5ないし図11に示す駆動源部3の駆動板25と各アプリケータ10との間に位置する接続位置と、図2及び図3に示す駆動源部3の駆動板25と各アプリケータ10との間から離れた退避位置とに亘って、スライド(移動)自在に設けられている。
【0063】
連結部30は、スライド部材29に設けられた2つの幅広部33と、スライド部材29に設けられた幅狭部34と、駆動源部3の駆動板25と各アプリケータ10のラム14との双方に設けられた幅広孔35と、駆動源部3の駆動板25と各アプリケータ10のラム14との双方に設けられた幅狭孔36と、を備えている。
【0064】
幅広部33は、スライド部材29の上下端部の双方に設けられている。即ち、幅広部33は、スライド部材29の駆動源部3の駆動板25とアプリケータ10のラム14との双方寄りの両端部に設けられている。幅広部33は、水平方向に沿って略平坦に形成されている。幅広部33は、スライド用シリンダ28のロッド32の長手方向即ちスライド部材29のスライド方向に沿って直線状に伸びている。
【0065】
幅狭部34は、スライド部材29の中央部に設けられている。即ち、幅狭部34は、2つの幅広部33間に設けられている。幅狭部34のアプリケータ10の圧着する電線9と端子金具4の幅方向の幅は、幅広部33のアプリケータ10の圧着する電線9と端子金具4の幅方向の幅より狭い。また、幅狭部34は、その両表面が鉛直方向に沿った平板状に形成されている。幅狭部34は、スライド用シリンダ28のロッド32の長手方向即ちスライド部材29のスライド方向に沿って直線状に伸びている。
【0066】
スライド部材29は、前述した幅広部33と幅狭部34とが設けられて、正面からみてエ字状に形成されている。
【0067】
駆動板25に設けられた幅広孔35と幅狭孔36とは、互いに連通し、かつ駆動板25をスライド用シリンダ28のロッド32の長手方向即ちスライド部材29のスライド方向に沿って貫通した孔である。即ち、幅広孔35と幅狭孔36とは、スライド用シリンダ28のロッド32の長手方向即ちスライド部材29のスライド方向に沿って直線状に伸びている。駆動板25に設けられた幅狭孔36は、駆動板25に設けられた幅広孔35よりアプリケータ10寄りに配置されている。
【0068】
また、ラム14に設けられた幅広孔35と幅狭孔36とは、互いに連通し、かつラム14をスライド用シリンダ28のロッド32の長手方向即ちスライド部材29のスライド方向に沿って貫通した孔である。即ち、幅広孔35と幅狭孔36とは、スライド用シリンダ28のロッド32の長手方向即ちスライド部材29のスライド方向に沿って直線状に伸びている。ラム14に設けられた幅狭孔36は、ラム14に設けられた幅広孔35より駆動源部3の駆動板25寄りに配置されている。
【0069】
幅広孔35のアプリケータ10が圧着する電線9と端子金具4の幅方向の幅は、前述した幅広部33の幅と略等しい。駆動板25に設けられた幅広孔35の厚みは、幅広部33の厚みと等しい。ラム14に設けられた幅広孔35の厚みは、幅広部33の厚みと後述する楔部材37の第3楔部40の厚みとの和と等しい。幅狭孔36のアプリケータ10の圧着する電線9と端子金具4の幅方向の幅は、前述した幅狭部34の幅と略等しい。即ち、幅狭孔36の前述した幅は、幅広孔35の前述した幅より狭い。
【0070】
前述した幅広孔35の内側には、スライド部材29が接続位置に位置付けられると、幅広部33が侵入する。前述した幅狭孔36の内側には、スライド部材29が接続位置に位置付けられると、幅狭部34が侵入する。幅広孔35内に幅広部33が侵入し、幅狭孔36内に幅狭部34が侵入すると、幅広部33の表面が幅広孔35の内面と重なり、幅狭部34の表面が幅狭孔36の内面と重なって、幅広部33が幅広孔35の内面と干渉する。
【0071】
前述した連結部30は、スライド部材29が接続位置に位置付けられると、幅広孔35内に幅広部33が侵入し、幅狭孔36内に幅狭部34が侵入して、幅広部33が幅広孔35の内面と干渉する。そして、連結部30は、スライド部材29で駆動源部3の駆動板25とアプリケータ10のラム14とを連結して、サーボモータ24がアンビル12とクリンパ13とを互いに接離させることを許容する。
【0072】
このように、接続解除部18は、スライド部材29が接続位置と退避位置とに亘ってスライドし、かつスライド部材29が接続位置に位置付けられると連結部30がスライド部材29とアプリケータ10のラム14とを連結することで、駆動源部3のサーボモータ24の駆動力を各アプリケータ10に伝達する第1の状態と、駆動源部3のサーボモータ24の駆動力の各アプリケータ10への伝達を解除する(駆動力を伝達させない)第2の状態とが切り換え(変更)自在となっている。
【0073】
型間調整部19は、図4に示す楔部材37を備えている。楔部材37は、図4に示すように、互いに厚みの異なる第1楔部38と、第2楔部39と、第3楔部40とを一体に備えている。これらの楔部38,39,40は、勿論、特許請求の範囲に記載された楔部に相当する。
【0074】
楔部38,39,40は、それぞれ、平板状に形成されており、その上面が互いに平行に連なっている。第1楔部38が第2楔部39より薄く形成されかつアプリケータ10と駆動源部3の駆動板25寄りに配置されている。第2楔部39が第3楔部40より薄く形成されかつアプリケータ10と駆動源部3の駆動板25寄りに配置されている。
【0075】
前述した楔部材37は、スライド部材29の下面(底板部21寄りの表面)のスライド用シリンダ28寄りの箇所に取り付けられている。図示例では、楔部材37は、スライド部材29と一体に形成されている。楔部38,39,40の角には、面取り加工が施されて面取り部42が形成されている。
【0076】
このため、楔部材37の楔部38,39,40は、スライド部材29が前述した接続位置に位置付けられると、ラム14に設けられた幅広孔35内即ちスライド部材29とアプリケータ10のラム14との間に侵入する。即ち、楔部38,39,40は、スライド部材29とアプリケータ10のラム14との間に侵入可能である。楔部38,39,40がスライド部材29とアプリケータ10のラム14との間に侵入すると、ラム14を押し下げて、クリンパ13をアンビル12に近づける。
【0077】
楔部38,39,40の厚みが前述したように形成されているので、図5に示す楔部材37が侵入していない場合のアンビル12とクリンパ13との間隔より、図6及び図7に示す第1楔部38が侵入した場合のアンビル12とクリンパ13との間隔が狭くなる。また、図6及び図7に示す第1楔部38が侵入した場合のアンビル12とクリンパ13との間隔より、図8及び図9に示す第2楔部39が侵入した場合のアンビル12とクリンパ13との間隔が狭くなる。さらに、図8及び図9に示す第2楔部39が侵入した場合のアンビル12とクリンパ13との間隔より、図10及び図11に示す第3楔部40が侵入した場合のアンビル12とクリンパ13との間隔が狭くなる。
【0078】
前述した構成の型間調整部19は、スライド部材29が接続位置に位置付けられると、前述した楔部38,39,40をスライド部材29とアプリケータ10のラム14との間に侵入させるか否か及びスライド部材29とアプリケータ10のラム14との間に侵入する楔部38,39,40を適宜変更することによって、アンビル12とクリンパ13との間隔を変更する。こうして、型間調整部19は、スライド部材29の接続位置におけるアプリケータ10のアンビル12とクリンパ13との間隔を変更可能とする。
【0079】
制御装置20は、入力装置と、周知のROMと、RAMと、CPUとを備えたコンピュータであって、前述した駆動源部3と各接続解除部18などと接続して、これらを制御することにより、端子圧着装置1全体の制御を司る。
【0080】
入力装置は、制御装置20に互いに圧着する電線9及び端子金具4の品番と、個数などを入力するために用いられる。ROMは、CPU即ち端子圧着装置1の動作プログラムなどを記憶している。ROMは、圧着する電線9及び端子金具4の品番と、各アプリケータ10と、該アプリケータ10のアンビル12とクリンパ13との間隔(楔部材37を挿入するか否かと挿入する楔部38,39,40)とを関連付けて記憶している。
【0081】
RAMは、CPUの演算実行時に必要なデータを一時的に保持する。CPUは、ROMに記載された情報から、入力装置から入力された品番の電線9及び端子金具4を圧着するアプリケータ10及び該アプリケータ10のアンビル12とクリンパ13との間隔(楔部材37を挿入するか否かと挿入する楔部38,39,40)を抽出する。そして、CPUは、抽出したアプリケータ10に対応した接続解除部18のスライド用シリンダ28のロッド32を伸長させて、該接続解除部18のスライド部材29で駆動板25とアプリケータ10とを連結する。さらに、CPUは、スライド用シリンダ28のロッド32の伸長量を適宜変更して、抽出した情報とおりに、楔部材37を挿入しなかったり楔部38,39,40のうち何れかを挿入する。
【0082】
そして、CPUは、アンビル12とクリンパ13との間隔を、入力装置から入力された電線9及び端子金具4の品番に応じた間隔にすると、駆動源部3のサーボモータ24を回転させて昇降スライダ27を降下させて、アンビル12とクリンパ13とを互いに近づけて、電線9の端部と端子金具4とを互いに圧着する。CPUは、入力装置から入力された数、電線9と端子金具4とを圧着すると、前述した接続解除部18のスライド用シリンダ28のロッド32を縮小させて、該接続解除部18の駆動源部3とアプリケータ10との接続を解除する。
【0083】
このように、制御装置20は、複数のアプリケータ10のうち一つのアプリケータ10と駆動源部3とを接続して、該一つのアプリケータ10に電線9と端子金具4とを圧着させる。こうして、制御装置20は、接続解除部18を制御して、複数のアプリケータ10のうち圧着する端子金具4及び電線9の品番に応じたアプリケータ10に駆動源部3からの駆動力を伝達して、該品番に応じたアプリケータ10に電線9と端子金具4とを圧着させる。
【0084】
前述した端子圧着装置1を用いて、電線9と端子金具4とを圧着する際には、まず、互いに圧着する電線9及び端子金具4の品番と個数を入力装置に入力する。このとき、昇降スライダ27が上昇し、全ての接続解除部18のスライド用シリンダ28のロッド32が縮小している。すると、制御装置20は、接続解除部18を制御して、入力された電線9及び端子金具4の品番に応じたアプリケータ10と駆動源部3の駆動板25とを連結する。そして、昇降スライダ27を降下させて、電線9と端子金具4とを圧着する。入力された数、電線9と端子金具4とを圧着すると、スライド用シリンダ28のロッド32が縮小して、駆動板25とアプリケータ10との接続が解除される。こうして、所望の品番の電線9と端子金具4とが互いに所望の数圧着される。
【0085】
本実施形態によれば、駆動源部3がアプリケータ10より少数であるので、端子圧着装置1全体の大型化を防止できる。
【0086】
また、接続解除部18が駆動源部3からの駆動力のアプリケータ10への接続・解除を行い、制御装置20が接続解除部18を制御するので、複数のアプリケータ10のうち任意のアプリケータ10を用いた電線9と端子金具4との圧着を確実に行うことができる。したがって、駆動源部3をアプリケータ10より少数設けても、電線9と端子金具4とを確実に圧着できる。
【0087】
さらに、接続解除部18が、駆動源部3からの駆動力を複数のアプリケータ10のうち任意のアプリケータ10に伝達するので、圧着に用いないアプリケータ10に駆動力を伝達することが無い。このため、駆動源部3のサーボモータ24の大型化を防止できる。したがって、駆動源部3を少数にして、該駆動源部3自体の大型化を防止できるので、端子圧着装置1の小型化を図ることができる。
【0088】
スライド部材29と連結部30とを備えているので、接続解除部18が駆動源部3からの駆動力の接続・解除を確実に行うことができる。このため、複数のアプリケータ10のうち任意のアプリケータ10に確実に駆動源部3からの駆動力を伝達できる。
【0089】
スライド部材29に幅広部33と該幅広部33より幅が狭いとともに該幅広部33間に配置された幅狭部34を設けている。さらに、駆動源部3とアプリケータ10との双方が、幅広部33が侵入する幅広孔35と、幅狭部34が侵入する幅狭孔36とを設けている。このため、連結部30が、駆動源部3とアプリケータ10とを連結すると、幅広部33と幅広孔35の内面とが干渉する。このため、駆動源部3からの駆動力をアプリケータ10に確実に伝達でき、駆動源部3からの駆動力でアプリケータ10のアンビル12とクリンパ13とを確実に接離でき、該駆動力で電線9と端子金具4とを確実に圧着できる。
【0090】
また、端子圧着装置1は、型間調整部19を備えているので、各々のアプリケータ10がアンビル12とクリンパ13との間隔が異なる複数の品番の電線と端子金具とを圧着できる。したがって、端子圧着装置1は、アプリケータ10の数以上の品番の電線9と端子金具4とを圧着できる。即ち、より多数の品番の電線9と端子金具4とを圧着できる。
【0091】
型間調整部19が厚みの異なる複数の楔部38,39,40を備えた楔部材37を備えているので、楔部材37の任意の楔部38,39,40がアプリケータ10とスライド部材29との間に位置付けられることで、確実にアンビル12とクリンパ13との間隔を変更することができる。したがって、確実により多数の品番の電線9と端子金具4とを圧着できる。
【0092】
楔部材37がスライド部材29と一体に形成されているので、楔部材37がスライド部材29と一体にスライドする。このため、楔部材37をスライドさせる手段を、スライド部材29をスライドさせる手段と別体に設ける必要が生じない。したがって、部品点数の増加を防止でき、端子圧着装置1の大型化を防止できる。
【0093】
接続解除部18が各々のアプリケータ10に対応して設けられているので、各々のアプリケータ10に確実に駆動源部3からの駆動力を伝達できる。したがって、各々のアプリケータ10が電線9と端子金具4とを確実に圧着できる。
【0094】
前述した実施形態では、スライド部材29の下面に楔部材37を取り付けて、楔部38,39,40がスライド部材29とアプリケータ10との間に侵入可能としている。しかしながら、本発明では、図12に示すように、スライド部材29の上面(駆動源部3寄りの表面)に楔部材37を取り付けて、楔部38,39,40がスライド部材29と駆動源部3の駆動板25との間に侵入可能としても良い。なお、図12中の前述した実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0095】
図12に示す場合には、スライド用シリンダ28と立設板部22との間に設けられた周知のリニアガイド41を用いてスライド用シリンダ28を鉛直方向に沿ってスライド自在に設けるが望ましい。
【0096】
また、本発明では、楔部材37をスライド部材29と別体に形成しても良い。この場合、楔部材37をスライドさせるための駆動源を設けるのが望ましい。さらに、本発明では、楔部材37やスライド部材29をスライド用シリンダ28などの駆動源を用いることなく、スライドさせても良い。
【0097】
また、本発明では、同時に複数のアプリケータ10と駆動源部3とを連結して、これらのアプリケータ10で互いに品番の異なる電線9と端子金具4とを同時に圧着しても良い。さらに、本発明では、駆動源部3がアプリケータ10より少数であれば、該駆動源部3を複数設けても良い。
【0098】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の一実施形態にかかる端子圧着装置の構成を示す正面図である。
【図2】図1に示された端子圧着装置のアプリケータなどを示す側面図である。
【図3】図2に示されたアプリケータなどの正面図である。
【図4】図1に示された端子圧着装置の楔部材などを示す斜視図である。
【図5】図2に示されたアプリケータが駆動源部と連結された状態を示す側面図である。
【図6】図4に示された楔部材の第1楔部がアプリケータとスライド部材との間に侵入してアプリケータが駆動源部と連結された状態を示す側面図である。
【図7】図6に示されたアプリケータなどの正面図である。
【図8】図4に示された楔部材の第2楔部がアプリケータとスライド部材との間に侵入してアプリケータが駆動源部と連結された状態を示す側面図である。
【図9】図8に示されたアプリケータなどの正面図である。
【図10】図4に示された楔部材の第3楔部がアプリケータとスライド部材との間に侵入してアプリケータが駆動源部と連結された状態を示す側面図である。
【図11】図10に示されたアプリケータなどの正面図である。
【図12】図2に示された端子圧着装置のアプリケータなどの変形例を示す側面図である。
【符号の説明】
【0100】
1 端子圧着装置
2 ベース
3 駆動源部
4 端子金具
9 電線
10 アプリケータ
12 アンビル(第1の型)
13 クリンパ(第2の型)
18 接続解除部
19 型間調整部
20 制御装置(制御部)
29 スライド部材
30 連結部
33 幅広部
34 幅狭部
35 幅広孔
36 幅狭孔
37 楔部材
38 第1楔部(楔部)
39 第2楔部(楔部)
40 第3楔部(楔部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の型とこの第1の型と相対する第2の型とを備え、これらの型間に端子金具及び電線の端部を挟み込んで前記端子金具と前記電線の端部とを互いに圧着するアプリケータを複数備えた端子圧着装置において、
前記アプリケータは、互いに品番の異なる端子金具及び電線を圧着するとともに、
前記複数のアプリケータを設置したベースと、
前記アプリケータの第1の型と第2の型とを互いに接離させるための駆動力を発生するとともに前記アプリケータより少ない数の駆動源部と、
前記駆動源部からの駆動力を前記アプリケータに伝達する第1の状態と、前記駆動源部の前記アプリケータへの接続を解除する第2の状態とが変更自在な接続解除部と、
前記接続解除部を制御して、前記複数のアプリケータのうち圧着する端子金具及び電線の品番に応じたアプリケータに前記駆動源部からの駆動力を伝達して、該品番に応じたアプリケータに電線と端子金具とを圧着させる制御部と、
を備えたことを特徴とする端子圧着装置。
【請求項2】
前記接続解除部は、
前記アプリケータの前記第1の型と前記第2の型とが互いに接離する方向に対して交差する方向に沿って、前記駆動源部と前記アプリケータとの間に位置する接続位置と、前記駆動源部と前記アプリケータとの間から離れた退避位置とに亘って、スライド自在に設けられたスライド部材と、
前記駆動源部と前記アプリケータと前記スライド部材とのそれぞれに設けられ、前記スライド部材が前記接続位置に位置付けられると、前記駆動源部と前記アプリケータと前記スライド部材とを互いに連結する連結部と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の端子圧着装置。
【請求項3】
前記連結部は、
前記スライド部材のスライド方向に沿って直線状に伸び、かつ前記スライド部材の前記駆動源部と前記アプリケータとの双方寄りの両端部に設けられた幅広部と、
前記スライド部材のスライド方向に沿って直線状に伸び、かつ前記スライド部材の幅広部間に設けられているとともに、該幅広部より幅が狭い幅狭部と、
前記スライド部材のスライド方向に沿って直線状に伸び、かつ前記駆動源部と前記アプリケータとの双方に設けられているとともに、前記スライド部材が前記接続位置に位置付けられると、内側に前記幅広部が侵入する幅広孔と、
前記スライド部材のスライド方向に沿って直線状に伸び、かつ前記駆動源部と前記アプリケータとの双方に設けられているとともに、前記スライド部材が前記接続位置に位置付けられると、内側に前記幅狭部が侵入する幅狭孔と、
を備えたことを特徴とする請求項2記載の端子圧着装置。
【請求項4】
前記接続位置における前記アプリケータの前記第1の型と前記第2の型との間隔を変更可能とする型間調整部を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のうちいずれか一項に記載の端子圧着装置。
【請求項5】
前記型間調整部は、前記第1の型と第2の型とが互いに接離する方向の厚みが互いに異なるとともに、前記接続位置に位置付けられたアプリケータと前記スライド部材との間又は前記スライド部材と前記駆動源部との間に侵入可能な複数の楔部を有した楔部材を備えたことを特徴とする請求項4記載の端子圧着装置。
【請求項6】
前記楔部材は、前記スライド部材と一体に形成されていることを特徴とする請求項5記載の端子圧着装置。
【請求項7】
前記接続解除部は、各々のアプリケータに対応して設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のうちいずれか一項に記載の端子圧着装置。
【請求項8】
第1の型とこの第1の型と相対する第2の型とを備え、これらの型間に端子金具及び電線の端部を挟み込んで前記端子金具と前記電線の端部とを互いに圧着する複数のアプリケータのうち圧着する端子金具及び電線の品番に応じたアプリケータに駆動力を伝達して、該アプリケータで前記端子金具と前記電線の端部とを互いに圧着することを特徴とする端子圧着方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−176959(P2008−176959A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−7368(P2007−7368)
【出願日】平成19年1月16日(2007.1.16)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】