端子圧着装置
【目的】 アプリケータ(圧着機)の取り替え作業が楽に行える端子圧着装置を提供する。
【構成】 圧着端子の連鎖体5を巻いたリール6と、外部から駆動力が与えられることにより連鎖体5から圧着端子を切り離して電線に加締めるアプリケータ30と、アプリケータ30がセット位置にセットされた状態で駆動されることにより該アプリケータ30に対して端子圧着のための駆動力を与える圧着駆動装置1とを備えた端子圧着装置において、リール6とアプリケータ30を一組にしてこれを複数組ストック部Sに備える。圧着駆動装置1のアプリケータセット位置とストック部Sとの間に、少なくともストック部Sに備えた複数のアプリケータ30のうちの一つをストック部Sと圧着駆動装置1のアプリケータセット位置との間で搬送するための搬送レール12を設けた。
【構成】 圧着端子の連鎖体5を巻いたリール6と、外部から駆動力が与えられることにより連鎖体5から圧着端子を切り離して電線に加締めるアプリケータ30と、アプリケータ30がセット位置にセットされた状態で駆動されることにより該アプリケータ30に対して端子圧着のための駆動力を与える圧着駆動装置1とを備えた端子圧着装置において、リール6とアプリケータ30を一組にしてこれを複数組ストック部Sに備える。圧着駆動装置1のアプリケータセット位置とストック部Sとの間に、少なくともストック部Sに備えた複数のアプリケータ30のうちの一つをストック部Sと圧着駆動装置1のアプリケータセット位置との間で搬送するための搬送レール12を設けた。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、1台の駆動源に対して、端子毎に用意した圧着機(以下、「アプリケータ」という)を選択的にセットできるようにした端子圧着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、電線に圧着端子を加締める場合、端子圧着のための駆動力を与える圧着駆動装置としてプレス機を用い、このプレス機に、端子サイズに応じたアプリケータをセットして圧着作業を行っている。アプリケータは駆動源を持たず、外部から与えられる駆動力、この場合プレス機のスライド(ラム)から与えられる下動力により、端子の送り、切断、加締め等の一連の動作を起こすようになっている。
【0003】図12は従来の端子圧着装置の側面図である。図において、1はプレス機等の圧着駆動装置であり、下部に位置する固定台2に対してスライド3が、圧力をもって下動するようになっている。スライド3と固定台2の間には、アプリケータセットスペースが確保され、ここにアプリケータ30がセットされている。
【0004】圧着端子は連鎖状に繋がれて連鎖体5として成形されており、リール6に巻かれている。そして、リール6からガイド7を介して連鎖体5が水平にアプリケータ30に供給されている。
【0005】この状態で圧着駆動装置1を駆動することにより、アプリケータ30が一連の動作を起こして、連鎖体5を間欠送りしながら、連鎖体5から圧着端子を切り離して、圧接端子を電線に加締める。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような1台の駆動源(圧着駆動装置)を複数のアプリケータ(圧着機)で共用するタイプの端子圧着装置では、圧着端子の種類に応じて、リールはもちろん、アプリケータも交換しなくてはならない。従来、その場合の作業として、(a)アプリケータ30をストック場所から選んで運んでくる。
(b)アプリケータ30を圧着駆動装置1の所定のセット位置に正しくセットする。
(c)リールをストック場所から選んで運んでくる。
(d)リールをアプリケータに対してセットする。
等の作業が必要であり、そのため特に重量のあるアプリケータを運んで、正しくセットするのに多大な労力がかかる上、作業が煩雑である等の問題があった。
【0007】本発明は、上記事情を考慮し、圧着駆動装置に対するアプリケータ(圧着機)の取り替えおよびリールの取り替え作業が楽に行える端子圧着装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、圧着端子の連鎖体を巻いたリールと、外部から駆動力が与えられることにより、前記リールより供給される連鎖体から圧着端子を切り離して、電線に加締める圧着機と、この圧着機が圧着機セット位置にセットされた状態で駆動されることにより、該圧着機に対して端子圧着のための駆動力を与える圧着駆動装置とを備えた端子圧着装置において、前記リールと圧着機を一組にしてこれを複数組ストック部に備えると共に、前記圧着駆動装置の圧着機セット位置と前記ストック部との間に、少なくとも前記ストック部に備えた複数の圧着機のうちの一つをストック部と圧着駆動装置の圧着機セット位置との間で搬送するための搬送レールを設けたことを特徴とする。
【0009】請求項2の発明は、請求項1記載の端子圧着装置であって、前記ストック部に、前記圧着機が載置されかつ前記搬送レールの一端に前記圧着機の載置位置を選択的に位置合わせ可能な可動台を備えたことを特徴とする。
【0010】請求項3の発明は、請求項2記載の端子圧着装置であって、前記可動台が直線状に配されたガイドレール上に移動自在に設けられていることを特徴とする。
【0011】請求項4の発明は、請求項2記載の端子圧着装置であって、前記可動台が、水平面内で回転自在に支持された載置板からなることを特徴とする。
【0012】請求項5の発明は、請求項4記載の端子圧着装置であって、前記載置板に圧着機が載置され、各圧着機の上方位置にそれぞれの圧着機に対応したリールが固定的に支持されていることを特徴とする。
【0013】請求項6の発明は、請求項5記載の端子圧着装置であって、前記各リールが、水平回転軸により垂直面内で回転自在に支持され、かつ各回転面を、前記載置板の回転軸を中心にして放射状に位置させて配置されていることを特徴とする。
【0014】請求項7の発明は、請求項6記載の端子圧着装置であって、前記載置板の回転軸側で前記リールから連鎖体が下方に向けて引き出されていることを特徴とする。
【0015】請求項8の発明は、請求項7記載の端子圧着装置であって、前記リールから下方に向けて送り出される連鎖体を対応する圧着機に案内する案内部材が設けられていることを特徴とする。
【0016】
【作用】請求項1の発明では、ストック部に格納してある複数の圧着機の中から、電線サイズ等に応じた圧着端子用の圧着機を選択し、選択した圧着機を、搬送レールに載せて、圧着駆動装置の圧着機セット位置に搬送する。そして、その状態で圧着駆動装置を駆動することにより、その駆動力により圧着機を動作させて、リールから供給される連鎖体から圧着端子を切り離し、電線に加締める。その際、リールは圧着機と組になっており、要求される圧着端子を連鎖体の形で、圧着駆動装置にセットされた圧着機に供給する。作業が終了したら、圧着機を搬送レールに載せてストック部に戻す。
【0017】請求項2の発明では、可動台を動かすことにより、任意の圧着機を搬送レールの一端に位置合わせすることができ、位置合わせした状態で圧着機を搬送レールを介して圧着駆動装置に移動することができる。
【0018】請求項3の発明では、直線状のガイドレールに沿って可動台を動かすことで、任意の圧着機を搬送レールの一端に位置合わせすることができ、位置合わせした状態で圧着機を搬送レールを介して圧着駆動装置に移動することができる。
【0019】請求項4の発明では、載置板を回転させることで、任意の圧着機を搬送レールの一端に位置合わせすることができ、位置合わせした状態で圧着機を搬送レールを介して圧着駆動装置に移動することができる。
【0020】請求項5の発明では、圧着機が圧着駆動装置に搬送された際にも、リールはその位置から動かずに、圧着駆動装置にセットされた圧着機に対して圧着端子を供給する。
【0021】請求項6の発明では、放射状に配置されたリールが載置台の回転に応じて羽根車のように回り、圧着駆動装置に向けて位置合わせされる。また、ストック部にあるリールの交換の際には、それぞれ外周側から広いスペースを使って行うことができる。
【0022】請求項7の発明では、放射状に配置されたリールが内回りに回転(リールの載置台の回転軸側の部分が下向きに回転)することにより、載置台の回転軸側でリールから連鎖体が下方へ送り出される。
【0023】請求項8の発明では、載置台の回転軸の周りに各リールから送り出される連鎖体が集中するが、それぞれの連鎖体はそれぞれの案内部材により各対応する圧着機に案内される。
【0024】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0025】図1は本発明の第1実施例の平面図、図2は同側面図である。この実施例の端子圧着装置10では、架台11の上面中央に圧着駆動装置1が配置され、上面端部に平面長方形のスペースとしてストック部Sが確保されている。
【0026】ストック部Sの両側には2本の直線状のガイドレール12、12が平行に配置され、両ガイドレール12、12には可動台15が装備されている。可動台15は、左右のローラ14によってガイドレール12、12に係合されており、ガイドレール12、12に沿って自由に移動できるようになっている。
【0027】可動台15の上面にはアプリケータ30が複数個(この例では5個)載置されている。アプリケータ30は、ガイドレール12の延びる方向に沿って一列に配列されており、可動台15上のレール15aにそれぞれ係合している。可動台15上のレール15aは、ガイドレール12と直交する向きに延びている。
【0028】各アプリケータ30にはそれぞれ対応するリール6が組み合わせられており、各リール6は、アプリケータ30の上方空間に、可動台15に支持された形で固定的に配置されている。なお、可動台15は、アプリケータ30毎に分割されていてもよい。
【0029】また、ガイドレール12、12を配設したストック部Sと、圧着駆動装置1のアプリケータセット位置下部にある固定台2との間には、アプリケータ30を1台だけ搬送できる搬送レール13が配置されている。この搬送レール13の一端は、ストック部Sに配したガイドレール12の側部に横付けされており、可動台15から搬送レール13上に、また搬送レール13から可動台15上にアプリケータ30が自由に乗り移れるようになっている。
【0030】また、搬送レール13の他端は、圧着駆動装置1の固定台2のガイドレール2a、2aの端部に接近して位置させられており、搬送レール13から固定台2のガイドレール2a上に、また固定台2のガイドレール2aから搬送レール13上にアプリケータ30が自由に乗り移れるようになっている。
【0031】ここで、簡単にアプリケータ30について説明する。
【0032】アプリケータには横連鎖型端子に対応したものと、縦連鎖型端子に対応したものとがある。図3〜図7に示すアプリケータ30は、横連鎖型端子に対応したものである。
【0033】この場合の横連鎖型の連鎖体5は、図6に示すように、多数の圧着端子70を連結板72と連結片74とで連結して横に並べ連鎖状に成形したものである。各圧着端子70の後端には導体加締片70aと絶縁体加締片70bとが設けられ、各圧着端子70の後端の連結片74の位置で、圧着端子70が連鎖体5から切り離されると同時に、電線Pの導体露出部Paに導体加締め片70aが加締められると共に、絶縁被覆部に絶縁体加締片70bがそれぞれ加締められるようになっている。
【0034】アプリケータ30は、圧着駆動装置1のスライド3が動作することにより、水平に導入される連鎖体5を間欠送りし、先端の圧着端子70を切り離して、電線に加締める、という一連の動作を行う。
【0035】アプリケータ30は、図3、図4、図5に示すように、前記搬送レール13やガイドレール2aに係合してスライド搬送されるベース板32と、それに一体化された固定台33と、固定台33に連結されたフレーム34とを有し、フレーム34にラム36が上下動自在に装備されている。ラム36の上端にはシャンク部37が設けられ、圧着駆動装置1のスライド3の動きにこのシャンク部37が追従することにより、ラム36が上下動するようになっている。
【0036】固定台33の上面には下型38が設けられ、ラム36の下部には上型40が設けられている。上型40と下型38は、ラム36の下動により、加締めと切断を行う機能を有している。また、このアプリケータ30は、送り爪42を備えた端子送り機構44と端子押さえ機構46とを備えている。
【0037】端子送り機構44は、図6および図7に示すように、前後ロッド48と、ラム36の上下動により前後ロッド48を前後移動させるカム49と、前後ロッド48の前後方向の移動によりピボットブロック50を介して揺動させられる揺動アーム52と、揺動アーム52の揺動動作を送り爪42の送り動作に変換する動作変換アーム54と、動作変換アーム54の動きを制御するガイドピン58およびガイド溝56aを有するガイド板56とからなる。
【0038】この端子送り機構44により、連鎖体5が一端子分ずつ間欠送りされて位置決めされ、位置決めされた連鎖体5の先端に位置する圧着端子70に電線Pを重ねて、端子駆動装置1を駆動させることにより、圧着端子70が連鎖体5から切り離されると共に、加締片70a、70bが電線Pに加締められる。加締めが終わった段階で、ラム36の動作に連動して次の送り動作が行われ、順次これが行われる。
【0039】次に実施例の端子圧着装置10の作用を説明する。
【0040】まず、作業者は、ストック部Sの可動台15に載置してある複数のアプリケータ30の中から、使用する圧着端子用のアプリケータ30を選択する。選択したら、可動台15を適当に動かして、選択したアプリケータ30の載置位置を、搬送レール13に位置合わせする。そして、選択したアプリケータ30を、搬送レール13上に乗り移らせて、圧着駆動装置1のアプリケータセット位置に、図2中矢印(イ)で示すように移動して固定する。
【0041】そして、その状態で圧着駆動装置1のスライド3を駆動することにより、その駆動力によってアプリケータ30を起動させて、リール6から供給される連鎖体5から圧着端子70を切り離して、電線に加締める。その際、リール6はアプリケータ30と組になっており、自動的に必要な圧着端子70を連鎖体5の形で、圧着駆動装置1にセットされたアプリケータ30に供給する。
【0042】作業が終了したら、アプリケータ30を搬送レール13に載せて、ストック部Sに移動し、可動台15上に戻す。
【0043】この端子圧着装置10によれば、圧着端子70の種類毎にリール6とアプリケータ30を組にしてストック部Sに格納しておけば、電線サイズ等に応じてアプリケータ30を選択し、選択したアプリケータ30を圧着駆動装置1にセットするだけで、簡単に圧着作業の段取りを済ませることができる。また、アプリケータ30を圧着駆動装置1に搬送する際には、搬送レール13にアプリケータ30を載せて動かすことができるので、位置決め等の煩わしさを軽減することができると共に、軽い力で楽にアプリケータ30の取り替え作業を実施することができる。
【0044】特に、ガイドレール12上に装備した可動台15を動かすだけで、選択したアプリケータ30を搬送レール13に位置合わせして乗り移らせることができるので、作業者にほとんど負担をかけることなく、段取り作業を行うことができる。また、この装置10の場合は、ガイドレール12が直線状のものであるから、構造が簡単であり、位置合わせも楽に行うことができるという利点がある。
【0045】次に本発明の第2実施例を説明する。
【0046】図8は本発明の他の実施例の端子圧着装置の平面図、図9は同側面図である。この実施例の端子圧着装置100では、架台102の上面に圧着駆動装置1が配置され、そこから離れた位置にストック部Sとして、円形の載置台107が配置されている。円形の載置台107は、鉛直に立てられた回転軸105により水平面内で回転自在に支持されている。円形の載置台107上には、放射状に半径方向に平行なレール107aが複数対配置され、各レール107a上にそれぞれアプリケータ30が載置されている。アプリケータ30はこの場合、NO.1〜NO.10までの10個ある。
【0047】載置台107の上方には、間隔をおいてリール支持フレーム109が配置されている。このリール支持フレーム109は、載置台107と一体に回転するように構成され、該フレーム108上には、下側のアプリケータ30に連鎖体5を供給するリール6がそれぞれ配置されている。
【0048】リール6は、フレーム109に立設したブラケット109aに水平回転軸6aを介して垂直面内で回転自在に支持されており、各回転面を、載置板107の回転軸105を中心にした放射方向に向けて配置されている。そして、載置板107の回転軸105側でリール6から連鎖体5が下方に向けて引き出され、引き出された連鎖体5が、フレーム109に取り付けた案内部材110によって、下方位置にある圧着機30に案内されている。
【0049】次に作用を説明する。
【0050】まず、作業者は、ストック部Sの載置台107に載置してある複数のアプリケータ30の中から、使用する圧着端子用のアプリケータ30を選択する。選択したら、載置台107を適当に回転させて、選択したアプリケータ30の載置位置を、搬送レール13に位置合わせする。そして、選択したアプリケータ30を、搬送レール13上に乗り移らせて、圧着駆動装置1のアプリケータセット位置に図9中矢印(イ)で示すように移動して固定する。この際、リール6は元の位置にある。
【0051】そして、その状態で前記実施例と同様に圧着作業を行う。この際、放射状に配置されたリール6は図9中矢印(ロ)のように内回りに回転して、載置台107の回転軸105側でリール6から連鎖体5が下方へ送り出され、連鎖体5は案内部材110に案内されながら、アプリケータ30に供給され、スムーズに流れて作業が行われる。特に、載置台107の回転軸105の周りには、各リール6から送り出される連鎖体が集中するが、それぞれの連鎖体5が各案内部材110により案内されるので、連鎖体5同士が相互に干渉したりする心配がなく、動作に支障を来すおそれがない。
【0052】この装置100によれば、回転自在な載置板107を可動台として用い、その上にアプリケータ30を載置するようにしているので、第1実施例の直線状のガイドレール12に沿って可動台15を移動させる場合に比較して、小さなスペースでたくさんのアプリケータ30およびリール6を格納することができるというメリットがある。
【0053】また、各アプリケータ30の上方に対応するリール6が配置されているので、対応関係が分かりやすく、リール6の交換や補充も間違いなく簡単にできる。また、平面的なスペースをあまりとらずに、多数種の圧着端子に対応したリール6とアプリケータ30とを格納することができ、スペース効率がよい。また、リール交換の際には、それぞれ外周側から広いスペースを使って作業することができるという利点もある。
【0054】さらに、連鎖体5が外周側(載置台107の回転軸105から見た場合の外周側)に垂れ下がったりしないから、外周側の部分に連鎖体5を案内する装置等を設ける必要がなく、全体をコンパクトに構成することができる。
【0055】なお、上記実施例では、横連鎖型の連鎖体5を供給するアプリケータ30について説明したが、図1212に示すような縦連鎖型の連鎖体5Aを供給するアプリケータ80を、横連鎖型用のアプリケータ30の代わりに設けてもよい。
【0056】縦連鎖型の連鎖体5Aは、端子70を縦に連続させて連結片86で順次つないだ形のものである。
【0057】図11、図12に示すように、アプリケータ80の構造は、大体横連鎖タイプと同じで、同じ機能部材は同符号を付してある。このアプリケータ80も、連鎖体5Aから圧接端子70を切り離して、電線に加締める動作を行う。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明によれば、圧着端子の種類毎にリールと圧着機を組にしてストック部に格納しておけば、電線サイズ等に応じて圧着機を選択し、選択した圧着機を圧着駆動装置にセットするだけで、簡単に圧着作業の段取りを済ませることができる。また、圧着機を圧着駆動装置に搬送する際に、搬送レールに圧着機を載せて動かすことができるので、位置決め等の煩わしさを軽減することができると共に、軽い力で楽に圧着機の取り替え作業ができるという効果が得られる。
【0059】請求項2の発明によれば、ストック部に配した可動台を動かすことで、任意の圧着機を搬送レールの一端に位置合わせすることができるので、作業者にほとんど負担をかけることなく、選択した圧着機を簡単に搬送レール上に乗り移らせることができ、それにより、簡単に圧着駆動装置に任意の圧着機をセットすることができる。
【0060】請求項3の発明によれば、可動台を移動させるために直線状のガイドレールを設けているから、簡単な構造でありながら、可動台の移動を正確かつ楽に行うことができる。
【0061】請求項4の発明によれば、回転自在な載置板を可動台として用い、その上に圧着機を載置するようにしているので、直線状のガイドレールに沿って可動台を移動させる場合に比較して、小さなスペースでたくさんの圧着機およびリールを格納することができ、スペース効率が向上する。
【0062】請求項5の発明によれば、各圧着機の上方にリールが配置されているので、対応関係が分かりやすく、交換や補充も間違いなく簡単にできる。また、平面的なスペースをあまりとらずに、多数種の圧着端子に対応したリールと圧着機とを格納することができ、スペース効率が向上する。
【0063】請求項6の発明によれば、比較的大きな円板状をなすリールが、立てた姿勢で放射状に配置されているので、小さいスペースに多数のリールを配置することができ、スペース効率が向上する。また、ストック部のリール交換は外周方向から広い空間を利用して行うことができるので、作業性がよい。
【0064】請求項7の発明によれば、放射状に位置するリールの中心部側(載置台の回転軸側)から下向きに連鎖体が送り出されるから、連鎖体が外周側(載置台の回転軸から見た場合の外周側)に垂れ下がったりせず、連鎖体が載置台を回転させたりする際の作業の邪魔にならない。従って、外周側の部分に連鎖体を案内する装置等を設ける必要がなく、全体をコンパクトに構成することができ、スペース効率が向上する。
【0065】請求項8の発明によれば、リールから送り出される連鎖体が、案内部材により圧着機まで案内されるので、スムーズに連鎖体が流れて作業が円滑に支障なく行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の平面図である。
【図2】本発明の第1実施例の側面図である。
【図3】本発明の第1実施例に用いられているアプリケータの側面図である。
【図4】本発明の第1実施例に用いられているアプリケータの正面図である。
【図5】本発明の第1実施例に用いられているアプリケータの平面図である。
【図6】本発明の第1実施例に用いられているアプリケータの内部構造を示す斜視図である。
【図7】本発明の第1実施例に用いられているアプリケータの内部構造を示す側面図である。
【図8】本発明の第2実施例の平面図である。
【図9】本発明の第2実施例の側面図である。
【図10】本発明の各実施例に用いることのできるアプリケータの他の例の外観を示す斜視図である。
【図11】本発明の各実施例に用いることのできるアプリケータの他の例の内部構造を示す斜視図である。
【図12】従来の端子圧着装置の側面図である。
【符号の説明】
1 圧着駆動装置
5 連鎖体
6 リール
6a 水平回転軸
10 端子圧着装置
12 ガイドレール
13 搬送レール
15 可動台
30 アプリケータ(圧着機)
70 圧着端子
80 アプリケータ
100 端子圧着装置
105 回転軸
107 載置台(可動台)
110 案内部材
P 電線
S ストック部
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、1台の駆動源に対して、端子毎に用意した圧着機(以下、「アプリケータ」という)を選択的にセットできるようにした端子圧着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、電線に圧着端子を加締める場合、端子圧着のための駆動力を与える圧着駆動装置としてプレス機を用い、このプレス機に、端子サイズに応じたアプリケータをセットして圧着作業を行っている。アプリケータは駆動源を持たず、外部から与えられる駆動力、この場合プレス機のスライド(ラム)から与えられる下動力により、端子の送り、切断、加締め等の一連の動作を起こすようになっている。
【0003】図12は従来の端子圧着装置の側面図である。図において、1はプレス機等の圧着駆動装置であり、下部に位置する固定台2に対してスライド3が、圧力をもって下動するようになっている。スライド3と固定台2の間には、アプリケータセットスペースが確保され、ここにアプリケータ30がセットされている。
【0004】圧着端子は連鎖状に繋がれて連鎖体5として成形されており、リール6に巻かれている。そして、リール6からガイド7を介して連鎖体5が水平にアプリケータ30に供給されている。
【0005】この状態で圧着駆動装置1を駆動することにより、アプリケータ30が一連の動作を起こして、連鎖体5を間欠送りしながら、連鎖体5から圧着端子を切り離して、圧接端子を電線に加締める。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような1台の駆動源(圧着駆動装置)を複数のアプリケータ(圧着機)で共用するタイプの端子圧着装置では、圧着端子の種類に応じて、リールはもちろん、アプリケータも交換しなくてはならない。従来、その場合の作業として、(a)アプリケータ30をストック場所から選んで運んでくる。
(b)アプリケータ30を圧着駆動装置1の所定のセット位置に正しくセットする。
(c)リールをストック場所から選んで運んでくる。
(d)リールをアプリケータに対してセットする。
等の作業が必要であり、そのため特に重量のあるアプリケータを運んで、正しくセットするのに多大な労力がかかる上、作業が煩雑である等の問題があった。
【0007】本発明は、上記事情を考慮し、圧着駆動装置に対するアプリケータ(圧着機)の取り替えおよびリールの取り替え作業が楽に行える端子圧着装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、圧着端子の連鎖体を巻いたリールと、外部から駆動力が与えられることにより、前記リールより供給される連鎖体から圧着端子を切り離して、電線に加締める圧着機と、この圧着機が圧着機セット位置にセットされた状態で駆動されることにより、該圧着機に対して端子圧着のための駆動力を与える圧着駆動装置とを備えた端子圧着装置において、前記リールと圧着機を一組にしてこれを複数組ストック部に備えると共に、前記圧着駆動装置の圧着機セット位置と前記ストック部との間に、少なくとも前記ストック部に備えた複数の圧着機のうちの一つをストック部と圧着駆動装置の圧着機セット位置との間で搬送するための搬送レールを設けたことを特徴とする。
【0009】請求項2の発明は、請求項1記載の端子圧着装置であって、前記ストック部に、前記圧着機が載置されかつ前記搬送レールの一端に前記圧着機の載置位置を選択的に位置合わせ可能な可動台を備えたことを特徴とする。
【0010】請求項3の発明は、請求項2記載の端子圧着装置であって、前記可動台が直線状に配されたガイドレール上に移動自在に設けられていることを特徴とする。
【0011】請求項4の発明は、請求項2記載の端子圧着装置であって、前記可動台が、水平面内で回転自在に支持された載置板からなることを特徴とする。
【0012】請求項5の発明は、請求項4記載の端子圧着装置であって、前記載置板に圧着機が載置され、各圧着機の上方位置にそれぞれの圧着機に対応したリールが固定的に支持されていることを特徴とする。
【0013】請求項6の発明は、請求項5記載の端子圧着装置であって、前記各リールが、水平回転軸により垂直面内で回転自在に支持され、かつ各回転面を、前記載置板の回転軸を中心にして放射状に位置させて配置されていることを特徴とする。
【0014】請求項7の発明は、請求項6記載の端子圧着装置であって、前記載置板の回転軸側で前記リールから連鎖体が下方に向けて引き出されていることを特徴とする。
【0015】請求項8の発明は、請求項7記載の端子圧着装置であって、前記リールから下方に向けて送り出される連鎖体を対応する圧着機に案内する案内部材が設けられていることを特徴とする。
【0016】
【作用】請求項1の発明では、ストック部に格納してある複数の圧着機の中から、電線サイズ等に応じた圧着端子用の圧着機を選択し、選択した圧着機を、搬送レールに載せて、圧着駆動装置の圧着機セット位置に搬送する。そして、その状態で圧着駆動装置を駆動することにより、その駆動力により圧着機を動作させて、リールから供給される連鎖体から圧着端子を切り離し、電線に加締める。その際、リールは圧着機と組になっており、要求される圧着端子を連鎖体の形で、圧着駆動装置にセットされた圧着機に供給する。作業が終了したら、圧着機を搬送レールに載せてストック部に戻す。
【0017】請求項2の発明では、可動台を動かすことにより、任意の圧着機を搬送レールの一端に位置合わせすることができ、位置合わせした状態で圧着機を搬送レールを介して圧着駆動装置に移動することができる。
【0018】請求項3の発明では、直線状のガイドレールに沿って可動台を動かすことで、任意の圧着機を搬送レールの一端に位置合わせすることができ、位置合わせした状態で圧着機を搬送レールを介して圧着駆動装置に移動することができる。
【0019】請求項4の発明では、載置板を回転させることで、任意の圧着機を搬送レールの一端に位置合わせすることができ、位置合わせした状態で圧着機を搬送レールを介して圧着駆動装置に移動することができる。
【0020】請求項5の発明では、圧着機が圧着駆動装置に搬送された際にも、リールはその位置から動かずに、圧着駆動装置にセットされた圧着機に対して圧着端子を供給する。
【0021】請求項6の発明では、放射状に配置されたリールが載置台の回転に応じて羽根車のように回り、圧着駆動装置に向けて位置合わせされる。また、ストック部にあるリールの交換の際には、それぞれ外周側から広いスペースを使って行うことができる。
【0022】請求項7の発明では、放射状に配置されたリールが内回りに回転(リールの載置台の回転軸側の部分が下向きに回転)することにより、載置台の回転軸側でリールから連鎖体が下方へ送り出される。
【0023】請求項8の発明では、載置台の回転軸の周りに各リールから送り出される連鎖体が集中するが、それぞれの連鎖体はそれぞれの案内部材により各対応する圧着機に案内される。
【0024】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0025】図1は本発明の第1実施例の平面図、図2は同側面図である。この実施例の端子圧着装置10では、架台11の上面中央に圧着駆動装置1が配置され、上面端部に平面長方形のスペースとしてストック部Sが確保されている。
【0026】ストック部Sの両側には2本の直線状のガイドレール12、12が平行に配置され、両ガイドレール12、12には可動台15が装備されている。可動台15は、左右のローラ14によってガイドレール12、12に係合されており、ガイドレール12、12に沿って自由に移動できるようになっている。
【0027】可動台15の上面にはアプリケータ30が複数個(この例では5個)載置されている。アプリケータ30は、ガイドレール12の延びる方向に沿って一列に配列されており、可動台15上のレール15aにそれぞれ係合している。可動台15上のレール15aは、ガイドレール12と直交する向きに延びている。
【0028】各アプリケータ30にはそれぞれ対応するリール6が組み合わせられており、各リール6は、アプリケータ30の上方空間に、可動台15に支持された形で固定的に配置されている。なお、可動台15は、アプリケータ30毎に分割されていてもよい。
【0029】また、ガイドレール12、12を配設したストック部Sと、圧着駆動装置1のアプリケータセット位置下部にある固定台2との間には、アプリケータ30を1台だけ搬送できる搬送レール13が配置されている。この搬送レール13の一端は、ストック部Sに配したガイドレール12の側部に横付けされており、可動台15から搬送レール13上に、また搬送レール13から可動台15上にアプリケータ30が自由に乗り移れるようになっている。
【0030】また、搬送レール13の他端は、圧着駆動装置1の固定台2のガイドレール2a、2aの端部に接近して位置させられており、搬送レール13から固定台2のガイドレール2a上に、また固定台2のガイドレール2aから搬送レール13上にアプリケータ30が自由に乗り移れるようになっている。
【0031】ここで、簡単にアプリケータ30について説明する。
【0032】アプリケータには横連鎖型端子に対応したものと、縦連鎖型端子に対応したものとがある。図3〜図7に示すアプリケータ30は、横連鎖型端子に対応したものである。
【0033】この場合の横連鎖型の連鎖体5は、図6に示すように、多数の圧着端子70を連結板72と連結片74とで連結して横に並べ連鎖状に成形したものである。各圧着端子70の後端には導体加締片70aと絶縁体加締片70bとが設けられ、各圧着端子70の後端の連結片74の位置で、圧着端子70が連鎖体5から切り離されると同時に、電線Pの導体露出部Paに導体加締め片70aが加締められると共に、絶縁被覆部に絶縁体加締片70bがそれぞれ加締められるようになっている。
【0034】アプリケータ30は、圧着駆動装置1のスライド3が動作することにより、水平に導入される連鎖体5を間欠送りし、先端の圧着端子70を切り離して、電線に加締める、という一連の動作を行う。
【0035】アプリケータ30は、図3、図4、図5に示すように、前記搬送レール13やガイドレール2aに係合してスライド搬送されるベース板32と、それに一体化された固定台33と、固定台33に連結されたフレーム34とを有し、フレーム34にラム36が上下動自在に装備されている。ラム36の上端にはシャンク部37が設けられ、圧着駆動装置1のスライド3の動きにこのシャンク部37が追従することにより、ラム36が上下動するようになっている。
【0036】固定台33の上面には下型38が設けられ、ラム36の下部には上型40が設けられている。上型40と下型38は、ラム36の下動により、加締めと切断を行う機能を有している。また、このアプリケータ30は、送り爪42を備えた端子送り機構44と端子押さえ機構46とを備えている。
【0037】端子送り機構44は、図6および図7に示すように、前後ロッド48と、ラム36の上下動により前後ロッド48を前後移動させるカム49と、前後ロッド48の前後方向の移動によりピボットブロック50を介して揺動させられる揺動アーム52と、揺動アーム52の揺動動作を送り爪42の送り動作に変換する動作変換アーム54と、動作変換アーム54の動きを制御するガイドピン58およびガイド溝56aを有するガイド板56とからなる。
【0038】この端子送り機構44により、連鎖体5が一端子分ずつ間欠送りされて位置決めされ、位置決めされた連鎖体5の先端に位置する圧着端子70に電線Pを重ねて、端子駆動装置1を駆動させることにより、圧着端子70が連鎖体5から切り離されると共に、加締片70a、70bが電線Pに加締められる。加締めが終わった段階で、ラム36の動作に連動して次の送り動作が行われ、順次これが行われる。
【0039】次に実施例の端子圧着装置10の作用を説明する。
【0040】まず、作業者は、ストック部Sの可動台15に載置してある複数のアプリケータ30の中から、使用する圧着端子用のアプリケータ30を選択する。選択したら、可動台15を適当に動かして、選択したアプリケータ30の載置位置を、搬送レール13に位置合わせする。そして、選択したアプリケータ30を、搬送レール13上に乗り移らせて、圧着駆動装置1のアプリケータセット位置に、図2中矢印(イ)で示すように移動して固定する。
【0041】そして、その状態で圧着駆動装置1のスライド3を駆動することにより、その駆動力によってアプリケータ30を起動させて、リール6から供給される連鎖体5から圧着端子70を切り離して、電線に加締める。その際、リール6はアプリケータ30と組になっており、自動的に必要な圧着端子70を連鎖体5の形で、圧着駆動装置1にセットされたアプリケータ30に供給する。
【0042】作業が終了したら、アプリケータ30を搬送レール13に載せて、ストック部Sに移動し、可動台15上に戻す。
【0043】この端子圧着装置10によれば、圧着端子70の種類毎にリール6とアプリケータ30を組にしてストック部Sに格納しておけば、電線サイズ等に応じてアプリケータ30を選択し、選択したアプリケータ30を圧着駆動装置1にセットするだけで、簡単に圧着作業の段取りを済ませることができる。また、アプリケータ30を圧着駆動装置1に搬送する際には、搬送レール13にアプリケータ30を載せて動かすことができるので、位置決め等の煩わしさを軽減することができると共に、軽い力で楽にアプリケータ30の取り替え作業を実施することができる。
【0044】特に、ガイドレール12上に装備した可動台15を動かすだけで、選択したアプリケータ30を搬送レール13に位置合わせして乗り移らせることができるので、作業者にほとんど負担をかけることなく、段取り作業を行うことができる。また、この装置10の場合は、ガイドレール12が直線状のものであるから、構造が簡単であり、位置合わせも楽に行うことができるという利点がある。
【0045】次に本発明の第2実施例を説明する。
【0046】図8は本発明の他の実施例の端子圧着装置の平面図、図9は同側面図である。この実施例の端子圧着装置100では、架台102の上面に圧着駆動装置1が配置され、そこから離れた位置にストック部Sとして、円形の載置台107が配置されている。円形の載置台107は、鉛直に立てられた回転軸105により水平面内で回転自在に支持されている。円形の載置台107上には、放射状に半径方向に平行なレール107aが複数対配置され、各レール107a上にそれぞれアプリケータ30が載置されている。アプリケータ30はこの場合、NO.1〜NO.10までの10個ある。
【0047】載置台107の上方には、間隔をおいてリール支持フレーム109が配置されている。このリール支持フレーム109は、載置台107と一体に回転するように構成され、該フレーム108上には、下側のアプリケータ30に連鎖体5を供給するリール6がそれぞれ配置されている。
【0048】リール6は、フレーム109に立設したブラケット109aに水平回転軸6aを介して垂直面内で回転自在に支持されており、各回転面を、載置板107の回転軸105を中心にした放射方向に向けて配置されている。そして、載置板107の回転軸105側でリール6から連鎖体5が下方に向けて引き出され、引き出された連鎖体5が、フレーム109に取り付けた案内部材110によって、下方位置にある圧着機30に案内されている。
【0049】次に作用を説明する。
【0050】まず、作業者は、ストック部Sの載置台107に載置してある複数のアプリケータ30の中から、使用する圧着端子用のアプリケータ30を選択する。選択したら、載置台107を適当に回転させて、選択したアプリケータ30の載置位置を、搬送レール13に位置合わせする。そして、選択したアプリケータ30を、搬送レール13上に乗り移らせて、圧着駆動装置1のアプリケータセット位置に図9中矢印(イ)で示すように移動して固定する。この際、リール6は元の位置にある。
【0051】そして、その状態で前記実施例と同様に圧着作業を行う。この際、放射状に配置されたリール6は図9中矢印(ロ)のように内回りに回転して、載置台107の回転軸105側でリール6から連鎖体5が下方へ送り出され、連鎖体5は案内部材110に案内されながら、アプリケータ30に供給され、スムーズに流れて作業が行われる。特に、載置台107の回転軸105の周りには、各リール6から送り出される連鎖体が集中するが、それぞれの連鎖体5が各案内部材110により案内されるので、連鎖体5同士が相互に干渉したりする心配がなく、動作に支障を来すおそれがない。
【0052】この装置100によれば、回転自在な載置板107を可動台として用い、その上にアプリケータ30を載置するようにしているので、第1実施例の直線状のガイドレール12に沿って可動台15を移動させる場合に比較して、小さなスペースでたくさんのアプリケータ30およびリール6を格納することができるというメリットがある。
【0053】また、各アプリケータ30の上方に対応するリール6が配置されているので、対応関係が分かりやすく、リール6の交換や補充も間違いなく簡単にできる。また、平面的なスペースをあまりとらずに、多数種の圧着端子に対応したリール6とアプリケータ30とを格納することができ、スペース効率がよい。また、リール交換の際には、それぞれ外周側から広いスペースを使って作業することができるという利点もある。
【0054】さらに、連鎖体5が外周側(載置台107の回転軸105から見た場合の外周側)に垂れ下がったりしないから、外周側の部分に連鎖体5を案内する装置等を設ける必要がなく、全体をコンパクトに構成することができる。
【0055】なお、上記実施例では、横連鎖型の連鎖体5を供給するアプリケータ30について説明したが、図1212に示すような縦連鎖型の連鎖体5Aを供給するアプリケータ80を、横連鎖型用のアプリケータ30の代わりに設けてもよい。
【0056】縦連鎖型の連鎖体5Aは、端子70を縦に連続させて連結片86で順次つないだ形のものである。
【0057】図11、図12に示すように、アプリケータ80の構造は、大体横連鎖タイプと同じで、同じ機能部材は同符号を付してある。このアプリケータ80も、連鎖体5Aから圧接端子70を切り離して、電線に加締める動作を行う。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明によれば、圧着端子の種類毎にリールと圧着機を組にしてストック部に格納しておけば、電線サイズ等に応じて圧着機を選択し、選択した圧着機を圧着駆動装置にセットするだけで、簡単に圧着作業の段取りを済ませることができる。また、圧着機を圧着駆動装置に搬送する際に、搬送レールに圧着機を載せて動かすことができるので、位置決め等の煩わしさを軽減することができると共に、軽い力で楽に圧着機の取り替え作業ができるという効果が得られる。
【0059】請求項2の発明によれば、ストック部に配した可動台を動かすことで、任意の圧着機を搬送レールの一端に位置合わせすることができるので、作業者にほとんど負担をかけることなく、選択した圧着機を簡単に搬送レール上に乗り移らせることができ、それにより、簡単に圧着駆動装置に任意の圧着機をセットすることができる。
【0060】請求項3の発明によれば、可動台を移動させるために直線状のガイドレールを設けているから、簡単な構造でありながら、可動台の移動を正確かつ楽に行うことができる。
【0061】請求項4の発明によれば、回転自在な載置板を可動台として用い、その上に圧着機を載置するようにしているので、直線状のガイドレールに沿って可動台を移動させる場合に比較して、小さなスペースでたくさんの圧着機およびリールを格納することができ、スペース効率が向上する。
【0062】請求項5の発明によれば、各圧着機の上方にリールが配置されているので、対応関係が分かりやすく、交換や補充も間違いなく簡単にできる。また、平面的なスペースをあまりとらずに、多数種の圧着端子に対応したリールと圧着機とを格納することができ、スペース効率が向上する。
【0063】請求項6の発明によれば、比較的大きな円板状をなすリールが、立てた姿勢で放射状に配置されているので、小さいスペースに多数のリールを配置することができ、スペース効率が向上する。また、ストック部のリール交換は外周方向から広い空間を利用して行うことができるので、作業性がよい。
【0064】請求項7の発明によれば、放射状に位置するリールの中心部側(載置台の回転軸側)から下向きに連鎖体が送り出されるから、連鎖体が外周側(載置台の回転軸から見た場合の外周側)に垂れ下がったりせず、連鎖体が載置台を回転させたりする際の作業の邪魔にならない。従って、外周側の部分に連鎖体を案内する装置等を設ける必要がなく、全体をコンパクトに構成することができ、スペース効率が向上する。
【0065】請求項8の発明によれば、リールから送り出される連鎖体が、案内部材により圧着機まで案内されるので、スムーズに連鎖体が流れて作業が円滑に支障なく行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の平面図である。
【図2】本発明の第1実施例の側面図である。
【図3】本発明の第1実施例に用いられているアプリケータの側面図である。
【図4】本発明の第1実施例に用いられているアプリケータの正面図である。
【図5】本発明の第1実施例に用いられているアプリケータの平面図である。
【図6】本発明の第1実施例に用いられているアプリケータの内部構造を示す斜視図である。
【図7】本発明の第1実施例に用いられているアプリケータの内部構造を示す側面図である。
【図8】本発明の第2実施例の平面図である。
【図9】本発明の第2実施例の側面図である。
【図10】本発明の各実施例に用いることのできるアプリケータの他の例の外観を示す斜視図である。
【図11】本発明の各実施例に用いることのできるアプリケータの他の例の内部構造を示す斜視図である。
【図12】従来の端子圧着装置の側面図である。
【符号の説明】
1 圧着駆動装置
5 連鎖体
6 リール
6a 水平回転軸
10 端子圧着装置
12 ガイドレール
13 搬送レール
15 可動台
30 アプリケータ(圧着機)
70 圧着端子
80 アプリケータ
100 端子圧着装置
105 回転軸
107 載置台(可動台)
110 案内部材
P 電線
S ストック部
【特許請求の範囲】
【請求項1】 圧着端子の連鎖体を巻いたリールと、外部から駆動力が与えられることにより、前記リールより供給される連鎖体から圧着端子を切り離して、電線に加締める圧着機と、この圧着機が圧着機セット位置にセットされた状態で駆動されることにより、該圧着機に対して端子圧着のための駆動力を与える圧着駆動装置とを備えた端子圧着装置において、前記リールと圧着機を一組にしてこれを複数組ストック部に備えると共に、前記圧着駆動装置の圧着機セット位置と前記ストック部との間に、少なくとも前記ストック部に備えた複数の圧着機のうちの一つをストック部と圧着駆動装置の圧着機セット位置との間で搬送するための搬送レールを設けたことを特徴とする端子圧着装置。
【請求項2】 請求項1記載の端子圧着装置であって、前記ストック部に、前記圧着機が載置されかつ前記搬送レールの一端に前記圧着機の載置位置を選択的に位置合わせ可能な可動台を備えたことを特徴とする端子圧着装置。
【請求項3】 請求項2記載の端子圧着装置であって、前記可動台が直線状に配されたガイドレール上に移動自在に設けられていることを特徴とする端子圧着装置。
【請求項4】 請求項2記載の端子圧着装置であって、前記可動台が、水平面内で回転自在に支持された載置板からなることを特徴とする端子圧着装置。
【請求項5】 請求項4記載の端子圧着装置であって、前記載置板に圧着機が載置され、各圧着機の上方位置にそれぞれの圧着機に対応したリールが固定的に支持されていることを特徴とする端子圧着装置。
【請求項6】 請求項5記載の端子圧着装置であって、前記各リールが、水平回転軸により垂直面内で回転自在に支持され、かつ各回転面を、前記載置板の回転軸を中心にして放射状に位置させて配置されていることを特徴とする端子圧着装置。
【請求項7】 請求項6記載の端子圧着装置であって、前記載置板の回転軸側で前記リールから連鎖体が下方に向けて引き出されていることを特徴とする端子圧着装置。
【請求項8】 請求項7記載の端子圧着装置であって、前記リールから下方に向けて送り出される連鎖体を対応する圧着機に案内する案内部材が設けられていることを特徴とする端子圧着装置。
【請求項1】 圧着端子の連鎖体を巻いたリールと、外部から駆動力が与えられることにより、前記リールより供給される連鎖体から圧着端子を切り離して、電線に加締める圧着機と、この圧着機が圧着機セット位置にセットされた状態で駆動されることにより、該圧着機に対して端子圧着のための駆動力を与える圧着駆動装置とを備えた端子圧着装置において、前記リールと圧着機を一組にしてこれを複数組ストック部に備えると共に、前記圧着駆動装置の圧着機セット位置と前記ストック部との間に、少なくとも前記ストック部に備えた複数の圧着機のうちの一つをストック部と圧着駆動装置の圧着機セット位置との間で搬送するための搬送レールを設けたことを特徴とする端子圧着装置。
【請求項2】 請求項1記載の端子圧着装置であって、前記ストック部に、前記圧着機が載置されかつ前記搬送レールの一端に前記圧着機の載置位置を選択的に位置合わせ可能な可動台を備えたことを特徴とする端子圧着装置。
【請求項3】 請求項2記載の端子圧着装置であって、前記可動台が直線状に配されたガイドレール上に移動自在に設けられていることを特徴とする端子圧着装置。
【請求項4】 請求項2記載の端子圧着装置であって、前記可動台が、水平面内で回転自在に支持された載置板からなることを特徴とする端子圧着装置。
【請求項5】 請求項4記載の端子圧着装置であって、前記載置板に圧着機が載置され、各圧着機の上方位置にそれぞれの圧着機に対応したリールが固定的に支持されていることを特徴とする端子圧着装置。
【請求項6】 請求項5記載の端子圧着装置であって、前記各リールが、水平回転軸により垂直面内で回転自在に支持され、かつ各回転面を、前記載置板の回転軸を中心にして放射状に位置させて配置されていることを特徴とする端子圧着装置。
【請求項7】 請求項6記載の端子圧着装置であって、前記載置板の回転軸側で前記リールから連鎖体が下方に向けて引き出されていることを特徴とする端子圧着装置。
【請求項8】 請求項7記載の端子圧着装置であって、前記リールから下方に向けて送り出される連鎖体を対応する圧着機に案内する案内部材が設けられていることを特徴とする端子圧着装置。
【図1】
【図2】
【図6】
【図7】
【図3】
【図4】
【図8】
【図9】
【図5】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図6】
【図7】
【図3】
【図4】
【図8】
【図9】
【図5】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開平8−111275
【公開日】平成8年(1996)4月30日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−247791
【出願日】平成6年(1994)10月13日
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【公開日】平成8年(1996)4月30日
【国際特許分類】
【出願日】平成6年(1994)10月13日
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
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