説明

端子嵌合確認構造

【課題】ハウジング内への端子の嵌合確認を少ない工数で行い、また、端子をハウジング内に確実に誘導して係止ランスに確実に係止させる。
【解決手段】絶縁性のハウジング1の端子収容室7と端子8の箱状部9とを貫通する端子嵌合確認用のピン5を備え、ピンは先端に爪部6を有し、爪部で箱状部のピン貫通方向の端部10aを係止した状態で、端子を端子収容室にピン貫通方向とは逆方向に挿入嵌合し、端子収容室内の可撓性の係止ランス31で爪部を係止解除方向に押圧しつつ、係止ランスを箱状部の端部に係止させることで、ピンを端子挿入方向に抜き出し可能とした。ピン5が長手方向中間部に段差部16を有し、段差部と爪部6との間のピン部分5aを箱状部9の端部側の内面10bに向けて偏心させた。相手端子に対する一対の接触リブ20を箱状部9の内面10bに設け、ピン5を一対の接触リブの間を通して箱状部に貫通させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続箱やワイヤハーネスのコネクタ等におけるハウジングに端子を挿入係止させたことを確認するための端子嵌合確認構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図6(a)(b)は、従来の端子嵌合確認構造の一形態を示すものである。
【0003】
この端子嵌合確認構造は、例えばリレーブロックやコネクタ等における絶縁樹脂製のハウジング51の端子収容室52内に電線付きの雌端子53を挿入して、端子収容室52内の可撓性の係止ランス54で雌端子53の矩形状の電気接触部55を係止し、図6(a)の雌端子53の正規嵌合状態で、係止ランス54の撓み空間56にチェッカ(治具棒)57を完全挿入して雌端子53の正規嵌合を確認するものである。
【0004】
また、図6(b)の雌端子53の不正規(半)嵌合状態で、電気接触部55に押されて撓み空間56内に撓んだ係止ランス54の先端にチェッカ57の先端を当接させて、チェッカ57の不完全挿入により、雌端子53の不正規(半)嵌合を検知させる。なお、チェッカ57による端子嵌合確認の前に、端子付き電線を引っ張って雌端子53の後抜けがないかも確認している。
【0005】
リレーブロック(電気接続箱)のハウジング51にはリレーやヒューズ等といった不図示の電気部品の雄端子が挿入されて雌端子53に接続される。コネクタのハウジング51には不図示の相手コネクタのハウジングが嵌合して相手ハウジング内の雄端子が雌端子53に接続される。
【0006】
なお、雌端子53に代えて不図示の雄端子をハウジング(51)の端子挿入室(52)内に挿入した場合は、雄端子の平板状ないしピン状の電気接触部に続く箱状部(図示せず)を係止ランス(54)で係止し、平板状ないしピン状の電気接触部は端子収容室(52)の前壁の孔部からフード部内に突出し、フード部内に相手側の雌端子を収容したハウジングが嵌合される。
【0007】
コネクタハウジングへの端子の不完全嵌合を防ぐ手段としては、例えば特許文献1(図示せず)に、端子挿入装置として、支持台に誘導ロッドを進退自在に設け、誘導ロッドは先端に磁石を有し、チャックで電線を把持された電線付き端子をコネクタハウジングの端子収容室に挿入する際に、端子収容室内に挿入された誘導ロッドで端子の先端を磁着させて、誘導ロッドの後退動作で端子を端子収容室内に誘導しつつ、チャックで端子を端子収容室内に押し込むことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−110310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来の図6に示した端子嵌合確認構造にあっては、ハウジング51内に端子53を挿入した後、チェッカ(治具棒)57をハウジング51内に挿入及び離脱させなければならず、チェッカ57の挿入及び離脱の手間によって、リレーブロックやコネクタ等の組立工数が増加するという問題があった。
【0010】
また、上記従来の特許文献1に記載された端子挿入装置にあっては、例えば誘導ロッドの磁力が弱くなった場合に、コネクタハウジングの端子収容室への端子の誘導性が低下し兼ねないという懸念があった。
【0011】
本発明は、上記した点に鑑み、ハウジング内への端子の嵌合確認を少ない工数で行うことができ、しかも、端子をハウジング内に確実に誘導して係止ランスに確実に係止させることができる端子嵌合確認構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る端子嵌合確認構造は、絶縁性のハウジングの端子収容室と端子の箱状部とを貫通する端子嵌合確認用のピンを備え、該ピンは先端に爪部を有し、該爪部で該箱状部のピン貫通方向の端部を係止した状態で、該端子を該端子収容室にピン貫通方向とは逆方向に挿入嵌合し、該端子収容室内の可撓性の係止ランスで該爪部を係止解除方向に押圧しつつ、該係止ランスを該箱状部の該端部に係止させることで、該ピンを端子挿入方向に抜き出し可能としたことを特徴とする。
【0013】
上記構成により、ピンがハウジングの端子収容室と端子の箱状部とを貫通し、ピンの爪部が端子の箱状部の端部に係合し、その状態でピンが貫通反対方向に引っ張られつつ、端子がピンでハウジングの端子収容室内に干渉等なくスムーズに誘導案内される。端子収容室内に端子が完全挿入(嵌合)されると同時に、端子収容室内の係止ランスがピンの爪部を係止解除方向に押して、係止ランスのばね力はピンのばね力よりも大きく、ピンが撓んで係止解除され、同時に係止ランスが端子の箱状部の端部に係合して(端部を係止して)、端子の後抜けが阻止される。
【0014】
請求項2に係る端子嵌合確認構造は、請求項1記載の端子嵌合確認構造において、前記ピンが長手方向中間部に段差部を有し、該段差部と前記爪部との間のピン部分が前記箱状部の前記端部側の内面に向けて偏心したことを特徴とする。
【0015】
上記構成により、ピンの段差部と爪部との間のピン部分が端子の箱状部の内面に隙間なく密接し、ピンの爪部が箱状部の端部をしっかりと捉えて係止させる。
【0016】
請求項3に係る端子嵌合確認構造は、請求項1又は2記載の端子嵌合確認構造において、相手端子に対する一対の接触リブが前記箱状部の内面に設けられ、前記ピンが該一対の接触リブの間を通って該箱状部を貫通することを特徴とする。
【0017】
上記構成により、一対の接触リブの間のデッドスペースを利用してピンが箱状部内に挿入される。端子として雌端子を用いた場合に、例えば相手側の雄端子が接触リブと対向する接触ばね片とに弾性的に接触するが、ピンは接触ばね片に弾性接触することなく通過して、接触ばね片のばね性が確保される。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の発明によれば、ハウジングと端子内に端子嵌合確認用のピンを挿入した状態で、ピンの引き戻し操作は端子の挿入操作と同時に行うので、ハウジング内への端子の嵌合確認を少ない工数で行うことができる。また、ハウジングを貫通したピンの爪部で端子を係止した状態で、端子をハウジング内に確実に誘導してハウジングの係止ランスに確実に係止させることができる。
【0019】
請求項2記載の発明によれば、ピンの段差部によって爪部に続くピン部分を端子の箱状部の内面に隙間なく密接させることで、ピンの爪部を箱状部の端部にしっかりと係止させることができ、不意な係止解除を防いで、ハウジングへの端子の嵌合確認精度を高めることができると共に、ハウジングの端子収容室への端子の誘導性を高めることができる。
【0020】
請求項3記載の発明によれば、箱状部の一対の接触リブの間のスペースを利用してピンを挿通させることで、端子として雌端子を用いた場合の箱状部内の接触ばね片の弾性変形を防いで接触ばね片の電気的接触性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る端子嵌合確認構造の一実施形態における端子挿入前の状態を示す縦断面図である。
【図2】端子嵌合確認構造で使用する端子と端子嵌合確認用のピンの一形態を示す分解斜視図である。
【図3】端子嵌合確認構造における端子挿入途中の状態を示す縦断面図である。
【図4】同じく端子を完全に挿入した状態を示す縦断面図(枠内は要部拡大図)である。
【図5】同じく端子からピンを抜き出す状態を示す縦断面図である。
【図6】従来の端子嵌合確認構造の一形態を示す、(a)は端子の正規嵌合状態の縦断面図、(b)は端子の不正規嵌合状態の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1〜図5は、本発明に係る端子嵌合確認構造の一実施形態を示すものである。
【0023】
図1の如く、絶縁樹脂製のハウジング1は金属製ないし合成樹脂製の受け台2の水平な壁部3’と垂直な壁部3で安定に支持され、垂直な壁部3にピン挿入用の孔部4が設けられ、孔部4に金属製ないし合成樹脂製の端子嵌合確認用のピン5が前後方向(水平方向)進退自在に設けられる。
【0024】
孔部4の縦方向の内幅Wは、ピン5の先端の爪部6の厚みTよりも若干広く、孔部4の横方向の内幅(図示せず)は、ピン5(図2)の横幅W2よりも若干広く、ピン5は孔部4の内面に沿って縦横方向の位置ずれなく摺動し、且つ先端の爪部6は孔部4内に進入自在である(孔部4から外部に抜けてもよい)。
【0025】
ピン5はハウジング1の端子挿入室7を前から後に貫通し、さらに電線付きの雌端子(端子)8の矩形箱状の電気接触部(箱状部)9の上壁10の内面に沿って、上壁10と接触ばね片14との間の隙間を通って電気接触部9を前から後に貫通する。
【0026】
電線付きの端子8は、端子8の近傍で後側の電線11をチャック12で把持されて、端子収容室7に対して位置決めされている。端子8は電線11の軸方向に前向きに真直に位置するように、予め電線11に対して曲がり矯正がなされていることが好ましい。
【0027】
図2の如く、ピン5は、上下の幅広の面13と左右の幅狭の面15とを有して断面矩形状に形成され、水平な上側の面13の先端側に突起状の爪部6を一体に有している。爪部6は、先端側(後端側)の傾斜面6aと基端(前端)の垂直な係止面6bと、傾斜面6aと係止面6bとの間の水平な平坦面6cとを有している。
【0028】
爪部6に続くピン部分5aは長手方向中間部において上から下に段差状に屈曲され(段差部を符号16で示す)、後側(爪部6側)の上面13が傾斜状の短い段差面16aを経て前側の上面13に続いている。後側の下面(図示せず)も同様に短い段差面16bを経て前側の下面(図示せず)に続いている。段差部16によって先端側(後端側)のピン部分5aが前側のピン部分5bに対して端子8の電気接触部9の上壁10に向けて偏心して位置する。
【0029】
図1の如く、先端側(後側)のピン部分5aが端子8の電気接触部9を貫通し、爪部6が電気接触部9の上壁10の後端(端部)10aに係止され(係合し)、先端側のピン部分5aの上面13が電気接触部9の上壁10の内面10bに密着し、ピン5の段差部16が電気接触部9の先端(前端)側に露出して位置する。ピン5の段差部16よりも前側の部分5bは受け台2の孔部4からハウジング1の端子収容室7の孔部(相手端子挿入孔)17を貫通している。ピン5の段差部16によって爪部6が電気接触部9の上壁10に積極的に接触するようになっている。これにより、ピン5の爪部6が確実に電気接触部9の上壁10の後端10aに係止され、また、ピン5による不意な接触ばね片14の押圧も防止される。
【0030】
図2の如く、雌端子8は既存のもので、上下左右の板状の壁部10,18(図1),19で矩形筒状に形成された電気接触部本体(符号9で代用)と、下側の壁部18(図1)の前端から上向き且つ後向きに折り返された接触ばね片14とで電気接触部9を構成する。上壁10には端子長手方向の左右一対の接触リブ20が内向きに膨出形成され、一対の接触リブ20の間隔はピン5の横幅W2よりも大きく(ピン5の横幅W2は一対の接触リブ20の間隔よりも小さく)、一対の接触リブ20の間にピン5が進入して、ピン5の上面13が電気接触部9の上壁10の内面10b(図1)に接触する。
【0031】
相手側の雄端子(図示せず)は一対の接触リブ20の突出先端に線接触しつつ、接触ばね片14を下向きに撓ませて接触ばね片14に弾性的に接触する。ピン5の厚みT2は相手側雄端子(図示せず)の厚みよりも小さく(例えば半分程度の厚みであり)、ピン5は接触ばね片14に軽く接触する程度であり、相手側雄端子のように接触ばね片14を撓ませることはない。
【0032】
電気接触部本体9の左右の壁部19の前端から内向きに一対の前壁21が折り曲げ形成され、前壁21の上側に相手雄端子とピン5とに対する略スリット状の挿入口22が形成されている。電気接触部本体9の少なくとも下壁18(図1)は、電線11の前側の芯線部11aに対する圧着接続部23と、電線11の後側の絶縁被覆部11bに対する圧着固定部24とに一体に続いている。
【0033】
図1の如く、ハウジング1は、上下及び左右の外壁25,26,27を有して矩形状に形成され、少なくとも上下に二つの端子収容室7,7’を水平に有している。各端子収容室7,7’は、垂直な前壁28にスリット状ないし矩形状の相手端子挿入用兼ピン挿入用の小さな孔部(開口)17を有し、後端に雌端子挿入用の矩形状の大きな開口7a,7a’を有し、水平な各収容室上壁29,30に下向きの可撓性の端子係止ランス31,32を有している。
【0034】
本例において、下側の係止ランス31は、収容室上壁29と同一平面上に延長された可撓性のランス本体(符号31で代用)と、ランス本体31の先端(前端)側から下向きに突出した突起31aとで成り、上側の係止ランス32は、前下がりに傾斜した可撓性のランス本体(符号32で代用)と、ランス本体32の先端(前端)の段差状の突起32aとで成り、それぞれ突起31a,32aの少し下側の前方に雄端子挿入兼ピン挿入用の孔部17が位置している。ハウジング1は既存のものであり、例えば電気接続箱用の絶縁樹脂製のブロック本体に一体に形成されたものでもよく、ワイヤハーネス用のコネクタのハウジングでもよい(コネクタはハウジング1と端子8とで構成される)。
【0035】
図1の如く、電線付きの端子8が電線部分11をチャック24で把持されてハウジング1の端子収容室7の後部開口7aに向けて前方へ移動して、端子8の先端(前端)が後部開口7aの間近に対向して位置する。ハウジング1の端子収容室7にはピン5が受け具2の孔部4と端子収容室7の前部開口17とを経て端子挿入とは反対方向に挿入されて後部開口7aから後方に突出し、ピン5の先端の爪部6が端子8の電気接触部9の上壁10と接触ばね片14との間の隙間を通って上壁10の内面10bに沿って摺接しつつ、電気接触部9を貫通して上壁10の後端10aに引っ掛かって係止される。ピン5の断面矩形状の本体部分5aが接触ばね片14で上向きに支持された状態で、爪部6が確実に上壁10の後端10aに係合する。
【0036】
端子8の前進動作とピン5の後進動作とは同時に行ってもよく、別々に行ってもよい。ピン5の進退動作は例えば水平なエアシリンダやソレノイド等といった駆動手段(図示せず)を用いて真直(水平)に行われる。上下の端子収容室7,7’への各端子8の挿入は別々に行ってもよく、同時に行っても良い。各端子収容室7,7’に対応して各ピン5を別々に又は同時に進退させる。
【0037】
図1の状態からピン5を前方へ水平に引き戻しつつ、チャック12で端子8を前方に水平に移動させることで、図3の如く、端子8がピン5に誘導されて、電気接触部9の先端を端子収容室7の後端縁7aに当接(干渉)させることなく、スムーズに端子収容室7内に挿入案内される。
【0038】
図3において端子8は挿入途中であり、ハウジング1の係止ランス31は端子8の電気接触部9の上壁10で上向きに押されて撓んでいる。なお、ピン5の板厚方向の撓み力(弾性力)は係止ランス31の弾性力(押圧力)よりも小さく、係止ランス31はピン5を容易に撓ませることができる。
【0039】
図3の状態からさらに前方へのピン5の引き戻しと端子8の挿入とを行うことで、図4の如く、端子8の前端がハウジング1の前壁28の内面に当接して、端子8が端子収容室7内に完全に挿入され、それと同時に、係止ランス31の突起31aがピン5の先端の爪部6を矢印Aの如く下向きに、すなわち係止ランス31の撓み反対方向に押して、爪部6と端子8の電気接触部9の上壁10の後端10aとの係合を解除させ、係止ランス31の突起31aの垂直な前端面31a’が端子8の上壁10の後端10aに係合して、端子8を後抜けなく係止する。
【0040】
この状態でピン5を前方に引っ張ることで、図5の如く、ピン5がその爪部6を端子8の上壁10の内面10bに摺接させてスムーズに端子8及びハウジング1から抜き出される。このピン5の抜き出しが完了することで、係止ランス31が端子8を係止したことが検出される。すなわち端子8が端子収容室7内に完全に嵌合したことが確認される。
【0041】
もしも、図4において端子収容室7への端子8の挿入が不完全である場合には、図3におけると同様に、端子8の上壁10が係止ランス31の突起31aに当接して係止ランス31を外向き(上向き)に撓ませた状態のままであるので、係止ランス31の突起31aがピン5の爪部6を内向き(下向き)に押圧する動作が得られず、爪部6は端子8の上壁10の後端10aに引っ掛かった状態で、ピン5の前方への抜け出しが阻止されるから、端子8が端子収容室7に不完全嵌合であることが検出される。
【0042】
なお、上記実施形態においては、ハウジング1を受け台2に水平に配置して端子8をハウジング1に向けて水平に挿入したが、例えばリレーブロック等の電気接続箱用の絶縁ブロックに一体に形成されたハウジング1に端子を挿入する場合は、絶縁ブロックが大きい(受け台2の垂直な壁部3に当たる面積が大きい)ので、ハウジング1を受け台2に水平ではなく垂直に配置し(図1を時計回りに90°反転させた状態とし)、端子8を例えば水平なチャック12で垂直に把持して上から下向きにハウジング1内に挿入し、それと同時にピン5を下から上向きにハウジング1内と端子8の電気接触部9内に垂直に貫通して、端子8を垂直な端子収容室7に下向きに誘導することが好ましい。この場合は、例えば上記説明におけるハウジング1や端子8の上下の壁部25,26,10,18は前後ないし左右の壁部となる。
【0043】
また、上記実施形態においては、ハウジング1内に雌端子8を挿入する例で説明したが、背景技術でも述べたように雌端子1に代えて不図示の雄端子をハウジング(1)内に収容する場合にも、雄端子のタブ状ないしピン状の電気接触部に続く矩形筒状の箱状部(9)にピン5を貫通させて、箱状部(9)の後端10aをピン5の爪部6で係止させ、ハウジング(1)の端子収容室(7)への雄端子の完全嵌合と同時に、係止ランス(31)で爪部(6)を内向きに押して箱状部(9)との係止を解除させ、係止ランス(31)の突起(31a)を箱状部(9)の後端(10a)に係止させ、その状態でピン5を前方に引き抜いて、雄端子の完全嵌合を検出させることもできる。
【0044】
この場合、箱状部(9)は図2の矩形箱状の電気接触部本体9よりも前後方向の長さが半分以下に短いものである。端子収容室の前壁には雄端子挿入孔と連通したピン挿入孔が設けられる(例えば図1において端子挿入孔17の上側に雄端子挿入孔17よりも小幅なピン挿入孔が続けて設けられる)。ハウジング(1)の雄端子挿入孔(17)の前方には雄端子の電気接触部を覆うフード部が一体に設けられる。
【0045】
また、本発明の上記実施形態で説明した構成は、端子嵌合確認構造として以外に端子嵌合確認方法としても有効なものである。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に係る端子嵌合確認構造は、リレーブロックやヒューズブロック等のハウジングやワイヤハーネスのコネクタのハウジングに端子を挿入して完全に係止させたか否かを少ない工数で容易に確認すると共に、端子をハウジング内に干渉なくスムーズ且つ確実に誘導して係止ランスに確実に係止させるために利用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 ハウジング
5 ピン
5a ピン部分
6 爪部
7 端子収容室
8 雌端子(端子)
9 電気接触部(箱状部)
10a 後端(端部)
10b 内面
16 段差部
20 接触リブ
31 係止ランス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性のハウジングの端子収容室と端子の箱状部とを貫通する端子嵌合確認用のピンを備え、該ピンは先端に爪部を有し、該爪部で該箱状部のピン貫通方向の端部を係止した状態で、該端子を該端子収容室にピン貫通方向とは逆方向に挿入嵌合し、該端子収容室内の可撓性の係止ランスで該爪部を係止解除方向に押圧しつつ、該係止ランスを該箱状部の該端部に係止させることで、該ピンを端子挿入方向に抜き出し可能としたことを特徴とする端子嵌合確認構造。
【請求項2】
前記ピンが長手方向中間部に段差部を有し、該段差部と前記爪部との間のピン部分が前記箱状部の前記端部側の内面に向けて偏心したことを特徴とする請求項1記載の端子嵌合確認構造。
【請求項3】
相手端子に対する一対の接触リブが前記箱状部の内面に設けられ、前記ピンが該一対の接触リブの間を通って該箱状部を貫通することを特徴とする請求項1又は2記載の端子嵌合確認構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−20832(P2013−20832A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153677(P2011−153677)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】