説明

端子装置

【課題】保護カバーを有する端子台を備えた照明制御装置において、配線作業終了時における端子台カバーの付け忘れ、配線作業中における保護カバーの紛失を防止する端子装置を提供する。
【解決手段】照明制御装置100は、ケース30と、複数のネジ端子11を有するとともにケース30に設置される端子台10と、端子台10に対して着脱可能であって装着時には端子台10を覆う端子台カバー20とを備える。照明制御装置100の端子台10とケース30とは、端子台10からはずされた端子台カバー20を収納可能な収納空間と、この収納空間への入り口である収納口40とを形成する。端子台10から端子台カバー20を取り外したときには、端子台カバー20を収納口40から収納空間に収納することができるので、配線作業終了時における端子台カバーの付け忘れや、配線作業中における保護カバーの紛失を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、保護カバーを有する端子台を備えた端子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
制御盤等で使用される端子装置の多くは、商用AC(Alternating Current)電源用端子台(ネジ端子タイプ)や信号用DC(Direct Current)端子台(ネジ端子タイプ)等を備える。端子台を備えた端子装置では、配線の変更や、機器(端子装置)自体の交換などが頻繁に発生し、端子台の配線の変更も頻繁に発生する。
【0003】
端子台には、人体との接触を保護する為に、端子台との着脱が可能な保護カバー(端子台カバーともいう)が装着される。この保護カバーには、安価な為、プラスチック製のものが多く使用される。端子台カバーを端子台へ装着する方法としては、端子台本体への勘合固定、又はネジ止めによる固定が多く用いられる。
【0004】
通常、保護カバーは端子台に装着されており、配線作業の開始時には端子台から取り外される。配線作業の開始時に保護カバーが端子台から取り外された場合、配線作業の終了時に保護カバーの付け忘れ、あるいは配線作業中に保護カバーを紛失してしまうという課題があった。
【0005】
従来技術では端子台と端子台との間に収納可能なように絶縁板を配設した例はあるが(例えば、特許文献1)、端子台の保護カバーの収納に関する開示はない。
【0006】
図10は、従来の端子装置の図である。図10を用いて従来の場合を簡単に説明する。通常時には、端子台カバーと端子台とは、カバー手前部、カバー後部の勘合にて固定されている。例えば配線の変更を行なう配線作業の開始時に、作業者は、端子台カバーの手前部又は端子台カバーの後部をC方向に持ち上げ、端子台と端子台カバーとの勘合を外し、端子台カバーを端子台から取り外す。この場合、端子装置には端子台カバーの収納部が存在しないため、作業者は、端子台カバーを周辺に置き、あるいは自分で保管するなどして配線作業を行っていた。そのため、配線作業の終了時に端子台カバーの付け忘れや、端子台カバーの置き場所を忘れてしまい端子台カバーを紛失してしまうことがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−82003号公報
【特許文献2】実願平02−060486号のマイクロフィルム
【特許文献3】特開平10−092487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、保護カバーを有する端子台を備えた端子装置において、配線作業終了時における端子台カバーの付け忘れ、配線作業中における保護カバーの紛失を防止する端子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の端子台は、
ケースと、
複数の端子が一方向に沿って配置されて、前記ケースに設置される端子台と、
略長方形の略平板状であって略長方形の長い方の辺を前記端子の前記一方向に合わせて前記端子台の上部に着脱可能に取り付けられ、装着時には前記端子台の前記上部を覆う保護カバーと
を備え、
前記端子台の一つの側面と前記ケースとは、
前記端子台からはずされた前記保護カバーを収納可能な収納空間と、前記収納空間への入り口である収納口であって略長方形である前記保護カバーの一方の長辺側である第1側面部から前記保護カバーを前記収納空間へ収納可能である収納口とを形成し、
前記収納口は、
装着時における前記保護カバーの前記第1側面部の高さと略同じ高さに形成され、かつ、前記保護カバーの前記第1側面部に沿った細長形状に形成され、
前記保護カバーは、
他方の長辺側である第2側面部の長手方向に亘り突起部を有するとともに、前記第1側面部から前記収納空間に収納される場合に、前記突起部が前記収納口と干渉することにより、前記突起部が前記収納空間に収納されることなく前記収納口から露出し、かつ、前記第1側面部から前記収納空間に収納される場合に、前記略平板状における上面と下面とのうち前記端子台に装着されたときに前記複数の端子に対向する側の面である前記下面が、前記端子台の前記一つの側面の上端の前記収納口の長手方向に亘る角部に接触して収納されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明により、保護カバーを有する端子台を備えた端子装置において、保護カバーの紛失、付け忘れを防止する手段を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態1における端子台カバー20の装着を説明する図。
【図2】実施の形態1における端子台カバー20の装着時を説明する図。
【図3】実施の形態1における端子台カバー20の収納時を説明する図。
【図4】実施の形態1における端子台カバー20の装着時のA−A断面。
【図5】実施の形態1における端子台カバー20の取り外し時のA−A断面。
【図6】実施の形態1における端子台カバー20の収納時のA−A断面。
【図7】実施の形態1における端子台カバー20の取り外し状態を示す面。
【図8】実施の形態2における端子台カバー20の収納時を説明する図。
【図9】実施の形態1における端子台カバー20の収納時のB−B断面。
【図10】従来技術を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
図1〜図7を用いて実施の形態1を説明する。以下の実施の形態では、端子装置の例として、照明制御装置の場合を説明する。図1は、保護カバーを有する端子台を備えた照明制御装置100において、端子台10に端子台カバー20が装着される場合を説明する図である。また、図2は端子台カバー20が端子台10に装着された後の状態を示す図である。また、図3は、端子台カバー20が後述の収納空間50に収納された状態を示す図である。以下、図1〜図3等を用いて説明する。
【0013】
図1に示すように、照明制御装置100は、ケース30と、複数の端子を有するとともにケース30に設置される端子台10と、端子台10に対して着脱可能であって装着時には端子台10を覆う端子台カバー20とを備える。
【0014】
(端子台10)
端子台10は、7つのネジ端子11が一方向に沿って配置されている。この端子台10の上部に、プラスチック製の端子台カバー20をはめ合わせる。
【0015】
(端子台カバー20)
端子台カバー20は、図1に示すように、略長方形の略平板状であって、略長方形の長い方の辺をネジ端子11の並ぶ方向に合わせて端子台10の上部にはめ合わされる。具体的には、端子台カバー20の断面は「コの字」形状であり、「コの字」の凹部分が端子台10の上部の形状に合わされている。このため、端子台10の上部に端子台カバー20を勘合できる。なお、図1において端子台カバー20については、装着時に収納口40側となる側面を第1側面部21と呼び、反対側の側面を第2側面部22と呼ぶこととする。また第2側面部22の「コの字」形状による長手方向に亘る突起を突起部23と呼ぶこととする。
【0016】
(収納口40、収納空間50)
端子台10とケース30とは、端子台10からはずされた端子台カバー20を収納可能な収納空間50と、収納空間50への入り口である収納口40とを形成する。これらについては、図4〜図6の説明で述べる。図1には収納口40を示している。収納口40の奥に収納空間50が存在する。
【0017】
図2は、端子台10に端子台カバー20が装着された状態を示し、図3は、図2の状態から端子台カバー20が取り外され、収納口40から収納空間50に端子台カバー20が収納された状態を示している。以下では、図4〜図6を用いて、図2から図3にいたる動作を説明する。
【0018】
図2の装着状態において、端子台カバー20の第2側面部22をa方向に持ち上げると第1側面部21が収納口40に傾く為、その状態で端子台カバー20をb方向にスライドさせつつ回転させる事により、端子台カバー20は図3の様に収納空間50に収納される。図4は、図2のA−A断面を示す図であり、図5は、端子台カバー20がはずされたときのA−A断面を示す図である。図5に示すように、収納口40は、第1側面部21から端子台カバー20を収納空間50へ収納可能である。なお、図4等の断面図では、端子台カバー20はハッチングを付けないで示している。
【0019】
図6は、図3のA−A断面を示す図である。図6に示すように、端子台カバー20は、収納空間50に収納状態では、端子台10の後部(側面)とケース30とに挟まれ固定される。図6の場合は、第1側面部21から収納空間50に収納される場合に、突起部23が収納口40と干渉することにより、第2側面部22が収納空間50に収納されることなく収納口40から露出している。これにより、収納状態から端子台10に端子台カバー20を装着するときは、第2側面部22をつまんで端子台カバー20を収納空間50からとりだし、端子台10に勘合すればよい。
【0020】
このように、端子台10のネジ締め終了後、端子台カバー20を収納空間50から引き出し、収納の動作と反対の要領で、端子台カバー20を端子台10に取り付ける事ができる。
【0021】
また、図7のように、第2側面部22をa方向に端子台10から浮かした時に、カバー端部24(図1に示した)をa方向に浮かすことで、端子台カバー20を端子台10から外す事も出来る。
【0022】
このように、実施の形態1の照明制御装置100は、端子台10とケース30とが、端子台カバー20を収納する収納空間50を形成するので、端子台カバー20の紛失を防ぐ事が出来る。
【0023】
実施の形態2.
図8、図9を用いて実施の形態2を説明する。実施の形態2は、照明制御装置100が、単に収納空間50を有する場合を説明する。
【0024】
図8は、実施の形態2の照明制御装置100の外観を示す図である。図8は、端子台カバー20が収納空間50に収納されている状態を示している。
【0025】
図8では、図7の場合と同様にして端子台カバー20の第2側面部22をa方向に端子台10から外し浮かして、端子台10から端子台カバー20を外す場合を想定している。外した端子台カバー20を収納空間50に一時的に収納する実施形態である。図9は、図8のB−B断面図である。図9に示すように、寸法M及び寸法Lを適当に決定することにより、取り外された端子台カバー20を収納することができる。これによって、端子台カバー20の紛失や、装着忘れを防止することができる。
【0026】
上記実施の形態では、以下の特徴を有する端子装置について一例を説明した。
【0027】
ケースと、
複数の端子が一方向に沿って配置されて、前記ケースに設置される端子台と、
略長方形の略平板状であって略長方形の長い方の辺を前記端子の前記一方向に合わせて前記端子台の上部に着脱可能に取り付けら、装着時には前記端子台の前記上部を覆う保護カバーと
を備え、
前記端子台の一つの側面と前記ケースとは、
前記端子台からはずされた前記保護カバーを収納可能な収納空間と、前記収納空間への入り口である収納口であって略長方形である前記保護カバーの一方の長辺側である第1側面部から前記保護カバーを前記収納空間へ収納可能である収納口とを形成し、
前記収納口は、
装着時における前記保護カバーの前記第1側面部の高さと略同じ高さに形成され、かつ、前記保護カバーの前記第1側面部に沿った細長形状に形成され、
前記保護カバーは、
他方の長辺側である第2側面部の長手方向に亘り突起部を有するとともに、前記第1側面部から前記収納空間に収納される場合に、前記突起部が前記収納口と干渉することにより、前記突起部が前記収納空間に収納されることなく前記収納口から露出することを特徴とする端子装置。
【0028】
前記保護カバーは、
前記第1側面部の長手方向に亘り前記第2側面部の前記突起部と略同一形状の突起部を有し、前記装着時において前記長手方向を法線方向に持つ断面で切断するとコの字を左回転方向に90度回転させた形状の断面をなし、
前記収納口は、
前記長手方向を法線方向に持つ前記断面でみたときの幅が、コの字を左回転方向に90度回転させた形状の前記断面の高さよりも、狭いことを特徴とする端子装置。
【符号の説明】
【0029】
10 端子台、11 ネジ端子、20 端子台カバー、21 第1側面部、22 第2側面部、23 突起部、24 カバー端部、30 ケース、40 収納口、50 収納空間、100 照明制御装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
複数の端子が一方向に沿って配置されて、前記ケースに設置される端子台と、
略長方形の略平板状であって略長方形の長い方の辺を前記端子の前記一方向に合わせて前記端子台の上部に着脱可能に取り付けられ、装着時には前記端子台の前記上部を覆う保護カバーと
を備え、
前記端子台の一つの側面と前記ケースとは、
前記端子台からはずされた前記保護カバーを収納可能な収納空間と、前記収納空間への入り口である収納口であって略長方形である前記保護カバーの一方の長辺側である第1側面部から前記保護カバーを前記収納空間へ収納可能である収納口とを形成し、
前記収納口は、
装着時における前記保護カバーの前記第1側面部の高さと略同じ高さに形成され、かつ、前記保護カバーの前記第1側面部に沿った細長形状に形成され、
前記保護カバーは、
他方の長辺側である第2側面部の長手方向に亘り突起部を有するとともに、前記第1側面部から前記収納空間に収納される場合に、前記突起部が前記収納口と干渉することにより、前記突起部が前記収納空間に収納されることなく前記収納口から露出し、かつ、前記第1側面部から前記収納空間に収納される場合に、前記略平板状における上面と下面とのうち前記端子台に装着されたときに前記複数の端子に対向する側の面である前記下面が、前記端子台の前記一つの側面の上端の前記収納口の長手方向に亘る角部に接触して収納されることを特徴とする端子装置。
【請求項2】
前記ケースは、
板状体を用いて形成されており、
前記収納口は、
前記角部と、前記角部の上方から前記角部に向かう前記ケースの一部における前記板状体の端部とから形成されることを特徴とする請求項1記載の端子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−230910(P2012−230910A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−163212(P2012−163212)
【出願日】平成24年7月24日(2012.7.24)
【分割の表示】特願2007−125118(P2007−125118)の分割
【原出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(390014546)三菱電機照明株式会社 (585)
【Fターム(参考)】