説明

端末においてストリーム放送の遠隔的ば処理および再生のためのプロセス、システム、記録装置、およびそれを実行するために用いられるコンピュータプログラム

本発明は、再生端末(T)において再生されるマルチメディアストリーム(F1、F2、F3)を自動処理するためのプロセスであって、上記端末のユーザ(UT)からの要求に応じて実行されるプロセスに関する。このプロセスは、以下の工程を含んでいる:
・上記端末において第1のストリームを再生する工程(工程S1)、および
・上記第1のストリームの再生を中断し、上記端末において第2のストリームを再生する工程(工程S4)。
本発明によると、上記プロセスは以下の工程をさらに含んでいる:
・各ストリーム(F1、F2、F3)を選択指標(IC1、IC2、IC3)と関連付けて、対応する上記ストリーム(F1、F2、F3)が一次ストリームであるのか、あるいは二次ストリームであるのかを特定する工程(工程SM)、および
・上記第1のストリームが一次ストリームである場合は、上記第1のストリームの記録と上記第2のストリームの再生とを同時に行う工程(工程S6)。
本発明はさらに、上記ストリームを処理するための上記プロセスを実行するために適したシステム、記録装置、およびコンピュータプログラムに関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、端末において再生される必要のある音声および/または画像ストリームを自動処理するためのプロセスおよび装置に関する。テレビ放送(事前に録画された放送あるいは生放送、録画された放送あるいはそうでない放送)、テレビチャンネルでの映画放送、広告映画、ビデオオンデマンド(略称VOD)などのストリーム、すなわち遠隔的に放送されるストリームの端末における再生は、中断されてはならない。
【0002】
第1のストリーム(例えばテレビチャンネルでの映画)の再生中に、ユーザが第2のストリーム(例えば別のテレビチャンネルでの気象情報番組)を一時的に再生したい場合は、例えばリモートコントロールなどの選択手段を用いてチャンネルを切り替えることができる。
【0003】
しかし、第2のストリームの再生中にも第1のストリームは継続しているため、ユーザが第1のストリームに戻りたい場合、ユーザが離れた時点へ戻ることができないという不都合点がある。
【0004】
本発明は、上記不都合点を軽減し、そしてユーザの端末において第1のストリームをより便利かつ使い易く再生できるプロセスおよび装置を実現することを目的とする。
【0005】
上記目的のため、本発明は、再生端末において再生されるマルチメディアストリームを処理するための自動プロセスを第1の主題とする。この自動プロセスは、端末のユーザの要求に応じて実行されるものであり、以下の工程を含んでいる:
・端末において第1のストリームを再生する工程、そして
・上記第1のストリームの再生を中断させて、上記端末において第2のストリームを再生する工程。
【0006】
本発明によると、上記プロセスは以下の工程をさらに含んでいる:
・各ストリームを選択指標と関連付けて、対応するストリームが一次ストリームであるのか、あるいは二次ストリームであるのかを特定する工程
・上記第1のストリームが一次ストリームである場合は、上記第2のストリームの再生と同時に上記第1のストリームを記録する工程。
【0007】
上記第1のストリームが一次ストリームであると考えられる場合は、ユーザが第2のストリームへの切り替えを要求した時点から、ユーザが上記第1のストリームの再生を後に再開するであろうことが記録されるため、データ損失は生じない。このために、上記プロセスは、上記第2のストリームの再生終了後に同時に実行される以下の工程を含んでいる:
・事前に記録された、上記第1のストリームを再生する工程
・上記第1のストリームの再生を継続する工程。
【0008】
上記プロセスは、選択指標が各ストリームと関連付けられるストリームテーブルが作成される初期化工程をさらに含んでいることが好ましい。一形態によると、上記初期化工程中に、各選択指標に初期値が割り当てられる。ストリームに関連付けられた選択指標の初期値は以下の通りである:
・「二次」値、あるいは
・上記ストリームの供給元によって特定される値、のいずれか。
【0009】
上記プロセスは、上記ストリームテーブルが更新される工程によって完了することが好ましい。この工程は、以下によって実行される:
・ユーザからの命令、および/または、
・承認された供給元からの命令、および/または、
・ユーザの所定の各行為(例えばストリームテーブルの更新命令、または再生されるストリームの変更命令)。
【0010】
上記プロセスの本発明による改良によると、以下のように構成されている:
・上記ストリームテーブルが更新されるときに、選択指標および変更指標が各ストリームと関連付けされ、
・上記選択指標の更新を要求したエンティティの優先度が、変更される選択指標に関連付けられた上記変更指標より高い場合にのみ、上記ストリームテーブル内の選択指標がアプリケーションサーバによって更新され、そして
・更新が実行された場合、更新された選択指標に関連付けられた上記変更指標が、上記変更を要求したエンティティに関連付けられた優先度によって置き換えられる。
【0011】
本発明はさらに、コンピュータ媒体に記憶されたコンピュータプログラムに関する。このプログラムは、コンピュータシステム内にロードおよびコンピュータシステムによって実行されるときに、本発明に係る上記プロセスを実行するために用いられる命令を含んでいる。
【0012】
本発明は、ストリームを再生するための端末と、ユーザが第1のストリームの再生を中断できるようにするため、かつ上記端末における第2のストリームの再生を要求できるようにするための制御手段とを備えた、マルチメディアストリームを自動処理するためのシステムを別の主題とする。
【0013】
本発明によると、上記システムは以下を備えている:
・各ストリームを選択指標と関連付けて、対応するストリームが一次ストリームであるか、あるいは二次ストリームであるのかを特定するためにストリームを管理する手段、および
・上記第1のストリームが一次ストリームである場合に、上記第2のストリームの再生と同時に、上記第1のストリームの記録を行う記録装置。
【0014】
上記システムは、事前に記録された上記第1のストリームを、上記第2のストリームの再生停止後に再生するための手段をさらに備えていることが好ましい。
【0015】
本発明は、上述したシステムにおいて用いることのできる記録装置を最後の主題とする。上記記録装置は、以下を備えている:
・記憶装置、
・マルチメディアストリームを受信するための入力/出力装置、
・上記ストリームが、記録される必要のある一次ストリームである場合、上記入力/出力装置によって受信されたマルチメディアストリームを上記記憶装置内に記録するための制御装置。
【0016】
別の特殊な構成によると、上記記録装置は、例えば付属サーバのように端末に外付けされていてもよいし、あるいは特殊な装置であってよい。上記端末は、例えば上記ストリームを管理するための手段、および上記記録装置を自動制御するための制御手段のみを備えていてよい。
【0017】
本発明のその他の特徴および利点は、本発明による処理プロセスおよび関連装置に関する以下の説明により明らかとなるであろう。これらの説明は例証のためであって、包括的なものでは決してない。またこれらの説明は、以下に説明する添付図面を引用する:
・図1は、本発明に従って自動処理プロセスを行うための、ストリームを自動処理するための装置を概略的に示している
・図2は、本発明に従った処理プロセスを行うための様々な工程をフローチャート形式で示している
・図3は、本発明によるプロセスを行うために用いることのできる記録装置である。
【0018】
図1では、ユーザUTは、マルチメディアストリームを再生するための端末Tを有している。上記ストリームは、ユーザUTのための意味を含んだデータを有した、上記端末Tによってユーザに表示されるマルチメディアコンテンツを有している。「マルチメディア」という用語は、例えば映画、音楽、あるいはより一般的な任意の視聴覚またはマルチメディア作品などの音声、および/または映像、および/またはその他のデータといった幅広い意味として理解される。
【0019】
上記端末によって受信されたストリームまたは情報は、例えば画面表示の形態、および/または1つ以上のスピーカからの音声放送の形態をとる。図1に示されている実施例では、再生端末Tは、場合によってはデコーダまたはSTB(セットトップボックス)が取り付けられたテレビである。図示されていない別の実施例では、再生端末Tは、ディスプレイモード入力端末および/またはスピーカを備えたコンピュータまたは携帯電話である。
【0020】
マルチメディアストリームF1、F2は、再生端末T外から生じる。ストリームF1、F2は、例えば、場合によってはカタログおよび予告編をさらに含んだテレビサーバS1またはオンデマンドビデオサーバS2から生じる。これらのサーバS1、S2は、端末Tから離れて配置されている。
【0021】
サーバS1、S2上に存在しているストリームF1、F2に加えて、ユーザの端末上においてマルチメディアデータI1、I2を再生するための設備がある。これらのデータI1、I2は、ストリームF1、F2と同時、あるいはストリームF1、F2の代わりに再生することができる。マルチメディアデータの各アイテムは、ストリームF1、F2のいくつかに対して、ストリームF1、F2のそれぞれに対して、あるいはストリームF1、F2の全てに対して供給することができる。これらデータの各断片は、特定のストリームF1、F2と関連付けてもよく、あるいはこれらのストリームから独立していてもよい。マルチメディアデータI1、I2は、例えばテキストメッセージ、動画、静画、音声、映像、対話型アプリケーション(ゲーム、オンライン買い物サービス等)などのマルチメディアコンテンツである。これらのマルチメディアデータは、1つ以上の供給元またはオペレータによって生成される。この供給元またはオペレータは、サーバS1、S2の所有者と同一であってもよい。これらのデータは、例えばストリームF1、F2がサーバS1、S2に記録されたとき、あるいは記録された結果として生成される。マルチメディアデータは、供給元または複数の供給元F1によってベースB1内に送信および記憶されて、ユーザの端末へ送信される。データベースB1は、端末Tから離れて配置されている。ベースB1のための管理システムS3は、ベースB1のコンテンツ、特にベースB1/アプリケーションサーバSA間の交換を管理する。マルチメディアデータは、ストリームF3の形式で、上記アプリケーションサーバSAへ送信される。次にサーバSAは、マルチメディアデータベースのための管理システムによって送信された命令、および/またはユーザからの要求に従って、上記ストリームF3を、端末Tにおいて再生されるストリームF1またはF2と同時、あるいはストリームF1、F2の代わりに再放送する。
【0022】
端末によって受信可能である、主に3つの種類のストリームを本質的に説明するために、これら3つのストリームについてのみ説明してきた。しかし当然、上記と同一の端末であれは、その他多くのストリーム、特に異なるTVサーバ、異なる映像サーバ等によって供給された複数のストリームを受信することができる。
【0023】
各ストリームF1、F2、F3はそれぞれ、自身を、例えばサーバS1、S2およびベースBI上のストリーム識別子IDF1、IDF2、IDF3と関連付けする。映画、番組等を観る、あるいは聴くためには、ユーザUTは、その再生端末Tにおいて、サーバS1、S2、またはベースBIに存在している中からストリームF1、F2、F3を選択する。
【0024】
ユーザは、選択TCの手段を用いてストリームを選択する。この選択TCは、図1の実施例ではリモートコントロールである。選択TCの手段は、キーボード、タブレット、タッチスクリーン、音声インターフェース等であってもよい。上記選択は、テレビの場合であれば標準的な方法によって行われる。例えば、インターネットに接続されたSTB端末またはPCによってオンライン受信およびアクセス可能なテレビチャンネルから選択されるか、あるいはサーバS1および/またはS2によって端末Tへ送信されたカタログまたは番組ガイド内から選択されたストリームに対する識別子を選択することによって選択される。
【0025】
端末Tの画面上に表示される各ストリーム識別子IDF1、IDF2、IDF3は、例えば、テキスト、または関連するコンテンツを表示する映像(例えばポスター、上記ストリームが有する映画または放送の概要、予告編、サーバS1、S2および/またはベースBIから端末Tへ送信されるストリーム識別子を用いて送信される追加のデータ)を端末T上に表示することによってスキャンされる。
【0026】
本発明によると、上記端末からアクセス可能な各ストリームF1、F2、F3は、自身を、選択指標IC1、IC2、IC3(例えばブール指標、1/0、はい/いいえ)へそれぞれ関連付けして、ストリームF1、F2、F3が一次ストリームであるのか否かを示す。テーブルTFは、アプリケーションサーバSA上に作成および記憶される。上記テーブルTFはストリームテーブルであって、端末Tから所定の瞬間にアクセス可能な異なるストリームF1、F2が、識別子IDF1、IDF2、IDF3および対応する選択指標IC1、IC2、IC3と共に記載されている。
【0027】
本出願に記載の内容を通して、ストリームは、その選択指標の値に応じて、一次または二次と称されている。ストリームは、そのコンテンツが記録される必要がある場合、例えばユーザにとって重要、必要、不可欠である等の場合は、一次と称される(例えば値1、はい等の肯定的な選択指標を有している)。逆に、そのコンテンツが記録される必要がない場合、例えばユーザにとって偶発的、重要性が低い、優先的でない場合は、ストリームは二次と称される(例えば値0、いいえ等の否定的な選択指標を有している)。
【0028】
本発明による上記プロセスは、ストリームテーブルTFが作成および記憶される初期化工程S0をさらに含んでいる。この工程S0は、ユーザによって上記端末の電源が始めて入れられたときに、アプリケーションサーバSAによって実行される。上記工程S0はまた、上記端末の電源が入れられるたびに実行されてもよい。しかし、それ以前に記憶された古いテーブルを、例えば再利用する必要はない。
【0029】
本発明による上記プロセスは、上記ストリームテーブルのための更新工程SMをさらに含んでいる。上記工程SMは、ユーザ、サーバ、またはマルチメディアストリームを放送するベースBIのための管理システムS3からの要求があった任意の時点において、および/または、ユーザが再生を行うためのストリームの選択に応じて自動的に、アプリケーションサーバによって実行される。これについては、以下の実施例において説明する。上記工程はまた、端末の電源が入れられて、工程S0が行われた後、または工程S0を行わない場合に、自動的に行われるようになっていてもよい。
【0030】
工程S0中においてストリームテーブルが作成される際に、アプリケーションサーバSAは、ストリームテーブルTFを作成および記憶する。テーブルTFを作成するために、アプリケーションサーバは、端末Tによってアクセス可能なストリームF1、F2、F3を所定の瞬間に記載する。これらの各ストリームは、その識別子IDF1、IDF2、IDF3、およびその関連する選択指標IC1、IC2、IC3によって表される。一形態によると、サーバSAは、各ストリームに対して、その選択指標の所定の値を特定するようになっていてよい。この所定の値は、例えば、対応するストリームを供給するサーバS1、S2または管理システムS3によって供給されるか、あるいはアプリケーションサーバSAによって適宜設定される。上記ストリームテーブルは、例えばアプリケーションサーバ上に(すなわち端末から遠隔的に)、あるいはこの目的のために用意された端末内または関連するSTB内の記憶領域内に、記憶されるようになっていてよい。
【0031】
工程SM中においてストリームテーブルが更新される際に、サーバSAは、必要であれば、(例えば新しいストリームが利用可能である場合、あるいは逆に、それ以前に記載されたストリームが更新時に利用不可能となった場合において)テーブルTF内のストリームの記載を変更する。その後テーブルTFは、ユーザの命令を受けて更新されるか、あるいはユーザの特定の行為が検出された際、またはサーバあるいは管理システムS3によって上記テーブルの更新が要求された際に、サーバSAによって更新される。
【0032】
次に上記テーブルは、ユーザからの要求に応じてユーザによって更新される。このためには、ユーザは、各ストリームに対して、そのストリームが一次ストリームであると考える必要があるのか否かを特定する。すなわちユーザは、各ストリームに対して、その選択指標IC1、IC2、IC3の値を特定する。選択指標が、既に所定の値を有している場合は、ユーザはその値を保持するか、あるいはその値を変更する。
【0033】
ユーザは、制御手段を用いて、テーブルTFの更新命令を出す。この制御手段は、この目的のために、例えばリストを進めるための1つ以上の制御ボタン、検証ボタン、および/または1つ以上の選択ボタンを備えていてよい。
【0034】
一形態では、上記テーブルは、ストリームと関連付けされた選択指標値の変更を望むストリームの供給元からの要求に応じて、アプリケーションサーバによって更新されるようになっている。別の形態では、上記ストリームテーブルは、ユーザによって特定の行為がなされた結果、アプリケーションサーバによって自動的に更新されるようになっている。例えば、ユーザがその端末において再生を行っている間にストリームの変更を要求したとき、元々再生されていたストリームの選択指標が、肯定的な値に自動的に設定されるように構成することができる。これはユーザが、データの損失なく第1のストリームへ戻ることを可能にするためである。
【0035】
当然、いくつかの形態を組み合わせて、テーブルがいくつかのエンティティ(ユーザ、テレビストリームの供給元、マルチメディアサービスの供給元等)によって変更できるようにすることができる。
【0036】
ユーザが、その端末において、自らが選択した第1のストリームの再生を要求したと仮定する(工程S1)。この要求は、図1において実行される。次にユーザは、選択された第1のストリームの再生中の或る時点において、第2のストリームへ切り替えることを決める(工程S2)。
【0037】
この決定は、例えば、マルチメディアデータ項目(画像、アイコン、特殊音、映像等)が端末に表示された(工程S3)後に、再生された第1ストリームにおいて第2のストリームの利用可能性または更新に対する注目を集める。この表示は、必要に応じて画面全体を占めてよく、小さい領域に表示されてもよく、あるいは時折、一次ストリームのサウンドトラック等を覆ってもよい。
【0038】
ユーザによる上記決定は、第1のストリーム内に表示される外的な提供から独立していてもよい。
【0039】
本発明によると、ユーザが第2のストリームへの切り替えを要求したとき、要求された第2のストリームは再生され、これと平行して、第1のストリームの選択指標の値が検証される(工程S5)。既に再生された第1のストリームが一次ストリームとして記録(mark)された場合(つまり、その選択指標ICがそのように特定されている場合)は、既に再生された上記第1のストリームは、例えばSTBデコーダ内のメモリ内に配置されたメモリ領域内、または上記アプリケーションサーバ内に遠隔的に配置されたメモリ領域内に記憶され(工程S6)、これと平行して上記第2のストリームが再生される(工程S4)。
【0040】
上記第2のストリームは、必要に応じて停止する(工程S7):
・ユーザが、そのリモートコントロールを用いて、ストリームの変更および全再生の停止を要求したとき、
・上記第2のストリームの持続時間が限定的である場合(例えば気象情報、ニュース放送、広告映画等の場合)には、第2のストリームの終了時。
【0041】
最後に、本発明によると、(第2のストリームの停止時においてユーザが望んだため、あるいは自動的のいずれかによって、)当初再生された第1のストリームに戻る必要がある場合は(工程S8)、および、上記第1のストリームが一次ストリームである場合(つまり、その選択指標がそのように記録されている場合)(工程S9)は、工程S6中に記録された上記第1のストリームが端末において再生され(工程S10)、これと平行して上記第1のストリームの続きが記録される(工程S6の続き)。ユーザは、上記第2のストリームのコンテンツを視聴した後、上記第1のストリームのコンテンツの続きを視聴することができる。このとき、上記第1のストリームのコンテンツの続きは、勿論わずかに遅延するが、データ損失は生じない。
【0042】
上記第1のストリームが一次ストリームでない場合(つまり、その選択指標が否定的である場合)は、上記第1のストリームの番組がそのまま再開する(工程S11)。この場合、ユーザは、上記第2のストリームの再生中に放送されたデータを損失する。
【0043】
上記第1のストリームの再生は、以下のような場合に停止される(工程12):
・ユーザが上記第1のストリームの再生停止を要求したとき、あるいは
・上記第1のストリームが、記録されているか否かに関わらず終了されたとき(番組または映画等の終了)。
【0044】
その後ユーザは(工程S13):
・新しいストリームの再生を要求する(新工程S1)か、あるいは
・全ての再生を停止する(プロセスの終了)。
【0045】
第1の実用的な実施例では、テレビサーバS1、S2によって放送される2つのストリームF1、F2と、管理システムS3によって放送される、気象情報を含むマルチメディアデータとが、端末においてアクセス可能である。
【0046】
端末の電源が入れられると、アプリケーションサーバによって、ストリームテーブルが作成および記憶される(工程S0)。上記ストリームテーブルには、端末Tにおいてアクセス可能なストリームF1、F2、F3が記載されている。これらストリームの各識別子IDF1、IDF2、IDF3、および各選択指標IC1、IC2、IC3は、初期値として「0」を設定する。ユーザは、値IC1=「はい」と記載し、値IC2、ICは「いいえ」と同等のままにすることによってストリームテーブルを更新し(工程SM)、そしてストリームF1内に含まれた映画の表示を要求する(工程S2)。この映画が一定の時間再生された後、画面の一角にアイコンが表示され、気象情報が更新されてストリームF3において利用可能であることを示す(工程S3)。ユーザは、上記気象情報の視聴を決定し、そしてこの目的のためにリモートコントロールに備えられたボタンを用いてアイコンを選択することによって、端末に上記気象情報を表示するように要求する(工程S2)。ストリームF2に含まれている上記気象情報が、上記端末において再生される(工程S4)。これと平行して、当初再生されたストリームF1が一次ストリームである限りは(IC1=「はい」、工程S5)、ストリームF1は、ユーザの端末のSTBデコーダ内にあるメモリに記録および記憶される(工程S6)。上記気象情報の終了(工程S7)によって、当初放送されたストリームF1へ自動的に戻る(工程S8)。ストリームF1は一次ストリームであるため(工程S9)、記録されたストリームF1内に含まれる映画の続きが端末において再生され(工程S10)、これと平行して、受信されたストリームの記録が継続される(工程S6)。ユーザは、映画が終了すると端末の電源を切り、これによってストリームF1の再生が終了する(工程S12)。
【0047】
第2の実用的な実施例では、テレビサーバS1、S2によって放送される2つのストリームF1、F2と、管理システムS3によって放送される、ゲームを含むマルチメディアデータとが、端末においてアクセス可能である。上記データは、ストリームF1内に含まれる映画に関する一連の質問を含んでいる。ユーザは、これらの質問に答えるために役立つ情報を映画内に見つけることができる。
【0048】
端末の電源が入れられると、アプリケーションサーバによって、ストリームテーブルが作成および記憶される(工程S0)。上記ストリームテーブルには、端末Tにおいてアクセス可能なストリームF1、F2、F3が記載されている。これらストリームの各識別子IDF1、IDF2、IDF3、および各選択指標IC1、IC2、IC3は、初期値として「いいえ」を設定する。ユーザは、ストリームテーブルを更新せずに(工程SMは行われない)、ストリームF1内に含まれる映画の再生のみを要求する(工程S2)。端末スピーカを介して音楽動画が一定の時間視聴された後、画面にアイコンが表示され、これによって、ゲームが提供されたことを示す(工程S3)。ユーザは、ゲームをプレイすることを決定し、そしてこの目的のためにリモートコントロールに備えられたボタンを用いてアイコンを選択することによって、端末に質問を表示するように要求する(工程S2)。ユーザがゲームを選択することによって、指標IC1の値が「はい」に更新される(ユーザの上記行為の結果として自動的に行われる工程SM)。この自動更新によって、ユーザは、ゲームの合間に、中断することなく映画F1へ戻ることができ、映画の全てを視聴することができる。次に、ストリームF3内に含まれる質問が端末において再生される(工程S4)。これと平行して、当初再生されたストリームF1が一次ストリームである限りは(IC1=「はい」、工程S5)、ストリームF1は、ユーザの端末のSTBデコーダ内にあるメモリに記録および記憶される(工程S6)。尋ねられた質問に答えることのできないユーザは、映画F1に戻ることを要求する(工程S7および8)。ストリームF1は一次ストリームであるため(工程S9)、記録されたストリームF1内に含まれる映画の続きが端末において再生され(工程S10)、これと平行して、受信されたストリームF1の記録が継続される(工程S6の継続)。ユーザは、ゲーム内での質問に対する答えを映画の中に見つけたとき、この映画の再生を中断して(工程12)、ゲームの再生を再び要求する(新工程S1)。これによってユーザは質問に答えることができる。このようにユーザは、上記実施例では、ストリームF1内に含まれる映画の画面と、ストリームF3内に含まれるゲームの画面とを交互に切り替えながら、一連の質問に答えることができる。
【0049】
前述したように、本発明は、各ストリームF1、F2、F3に対してストリーム識別子IDF1、IDF2、IDF3、および選択指標IC1、IC2、IC3が記憶されたストリームテーブルを用いて実施される。これらの選択指標は、上記プロセス中に一回またはそれ以上、アプリケーションサーバSAによって規則的あるいは不規則的に、以下に応じて適宜更新されてよい:
・ストリームF1、F2、またはF3を放送する放送サーバからの要求に応じて、あるいは、
・ユーザからの要求に応じて、
・ユーザの所定の行為の結果として自動的に。
【0050】
対応する指標が、ユーザによって事前に特定された肯定的な指標の発生し得る損失に変更されたために望ましくないストリームが記憶されたことに、いかなる警告も与えられずに気が付くことは、当然ユーザにとっては好ましくない。
【0051】
これを回避するために、本発明による一改良点は、各ストリームに対して優先指標(priority indicator)IP1、IP2、IP3を次のような方法によって規定することによって構成されている。
【0052】
選択指標を変更する可能性のある各エンティティに対して、優先度が割り当てられる。最も高い優先度は、ユーザに割り当てられることが好ましい。例えば、値1はユーザの優先指標に、値2はアプリケーションサーバの優先指標に、そして値3は放送サーバの優先指標に割り当てることができる。
【0053】
ストリームテーブルが作成されると、各ストリームに対して、ストリーム識別子および選択識別子に加えて、変更指標IM1、IM2、IM3が特定される。ストリームテーブルが作成されると、これらの変更指標は、上記選択指標を変更する可能性のあるエンティティに対して割り当てられた全ての優先度より低い所定の値に初期化される(この実施例では、上記所定の値として値4を用いることができる)。
【0054】
上記ストリームテーブル内の選択指標IC1、IC2、またはIC3が変更されると、対応する変更指標IM1、IM2、またはIM3が、対応する選択指標の変更を要求したエンティティの優先度の値に更新される。例えば、ユーザがストリームF1の選択指標IC1の変更を要求すると、ストリームF1に関連付けられた変更指標IM1は、ユーザの優先度IP1の値、つまり上記実施例では値1をとる。別の実施例では、アプリケーションサーバSAが、ストリームF2の選択指標IC2の変更を要求した場合は、ストリームF2と関連付けられた変更指標IM2は、アプリケーションサーバの優先度IPの値、つまりこの実施例では値2をとる。以後同様に値がとられる。
【0055】
エンティティは、その優先度IPが、変更される選択指標ICと関連付けられた変更指標IMより高い場合のみ、選択指標ICを変更することを承認される。例えば、ストリームF1の変更指標IM1は1であるため、優先度が2と等しい(すなわち1より小さい)アプリケーションサーバSAは、ストリームF1の選択指標ICを変更することを承認されない。しかし、ストリームF3の変更指標IM3は(その当初の値である)4と等しいため、優先度が2と等しいアプリケーションサーバSAは、ストリームF3の選択指標ICを変更することを承認される。
【0056】
この改良点によって、エンティティのいずれか1つの要望に、他のエンティティの要望に対する優先度を与えることが可能になる。従って上記実施例では、選択指標が(優先度の最も高い)ユーザによって変更された場合、その選択指標は、特定のストリームを放送するサービスの供給元によって変更されることはない。このように、ユーザの要望は優先的であると考えられる。
【0057】
図3は、本発明によるプロセスを実施するために用いることのできる記録装置を示している。この装置は、特に以下を備えている:
・例えばRAMタイプのメモリまたはハードディスクDD等の記憶装置、
・マルチメディアストリームを受信するための入力/出力装置E/S、
・上記入力/出力装置によって受信されたマルチメディアストリームが、記録される必要のある一次ストリームである場合に、このマルチメディアストリームを上記記憶装置内に記録するための制御装置(中心ユニットUC等)。
【0058】
選択指標は、受信されたストリームが、記録される必要のある一次ストリームであるかどうかを特定する。この指標は、例えば上記記録装置のメモリ内、あるいは上記制御装置にアクセス可能な遠隔メモリ内に記憶される。
【0059】
上記記録装置は、例えば端末に関連付けされたSTBデコーダ、端末そのもの、あるいはアプリケーションサーバと統合されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明に従って自動処理プロセスを行うための、ストリームを自動処理するための装置を概略的に示した図である。
【図2】本発明による処理プロセスを行うための様々な工程を示すフローチャートである。
【図3】本発明によるプロセスを行うために用いることのできる記録装置を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生端末(T)において再生されるマルチメディアストリーム(F1、F2、F3)を自動処理するためのプロセスであって、
上記プロセスは、上記端末のユーザ(UT)からの要求に応じて実行され、
・上記端末において第1のストリームを再生する工程(工程S1)と、
・上記第1のストリームの再生を中断し、上記端末において第2のストリームを再生する工程(工程S4)とを含み、
・各ストリーム(F1、F2、F3)を選択指標(preference indicator)(IC1、IC2、IC3)と関連付けて、対応する上記ストリーム(F1、F2、F3)が一次ストリームであるのか、あるいは二次ストリームであるのかを特定する工程(工程SSM)と、
・上記第1のストリームが一次ストリームである場合は、上記第1のストリームの記録と上記第2のストリームの再生とを同時に行う工程(工程S6)とをさらに含んでいることを特徴とするプロセス。
【請求項2】
上記第2のストリームの再生停止後に同時に行われる、
・事前に記録された上記第1のストリームを再生する工程(工程S10)と、
・上記第1のストリームの記録を継続する工程(工程S6)とをさらに含んでいる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
上記第2のストリームの再生が、
・上記ユーザからの要求に応じて、
・上記ユーザが別のストリームの再生を要求したとき、あるいは
・上記第2のストリームの再生終了に応じて停止される、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
選択指標(IC1、IC2、IC3)が各ストリーム(F1、F2、F3)に割り当てられているストリームテーブル(stream table)(TF)が作成される初期化工程(S0)をさらに含んでいる、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項5】
上記初期化工程中に、
・「二次」値、あるいは
・上記ストリームの供給元によって特定される値、のいずれかに関連付けされる初期値が、各選択指標(IC1、IC2、IC3)に割り当てられる、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
上記ストリームテーブルを更新する工程(SM)が、
・上記ユーザからの命令に応じて、および/または
・承認された供給元からの命令に応じて、および/または
・上記ユーザの所定の各行為に応じて行われる、請求項4〜請求項5のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項7】
上記ストリームテーブルを更新させる可能性のある上記ユーザの上記行為が、
・上記ストリームテーブルを更新させるコマンド、あるいは
・再生される上記ストリームを変更させるコマンドである、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
上記ユーザからの命令、および/またはストリームの供給元からの命令が、上記ストリームテーブル内のストリームの上記選択指標に与えられる値を含んでいる、請求項6または請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
上記ストリームテーブル(TB)を更新する工程(工程SM)が、上記端末から離れたアプリケーションサーバのメモリ内あるいは上記端末のメモリ内に、上記ストリームテーブル(TB)が記憶されると共に終了する、請求項6〜請求項8のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項10】
上記ユーザと、上記アプリケーションサーバと、ストリーム供給元とによって形成される群の中の各エンティティに、優先度(IP)が割り当てられるプロセスにおいて、
・上記ストリームテーブルが更新される(工程SM)ときに、選択指標(IC1、IC2、IC3)および変更指標(modification indicator)(IM1、IM2、IM3)が、各ストリーム(F1、F2、F3)に割り当てられ、
・上記選択指標(IC1、IC2、IC3)の更新を要求した上記エンティティの上記優先度(IP)が、変更される上記選択指標(IC1、IC2、IC3)と関連付けされた上記変更指標(IM1、IM2、IM3)より高い場合にのみ、上記ストリームテーブル内の一選択指標が上記アプリケーションサーバによって更新され、そして
・更新が実行された場合、更新された上記選択指標と関連付けされた上記変更指標が、上記変更を要求したエンティティに関連付けられた上記優先度によって置き換えられる、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項11】
コンピュータシステム内にロードおよびコンピュータシステムによって実行されるときに、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のプロセスを実行するために用いられる命令を含んでいる、コンピュータ媒体に記憶されたコンピュータプログラム。
【請求項12】
ストリームを再生するための端末(T)と、
ユーザ(UT)が第1のストリームの再生を中断できるように、かつ上記端末における第2のストリームの再生を要求できるようにするための制御手段(TC)とを備えた、マルチメディアストリーム(F1、F2、F3)を自動処理するためのシステムであって、
・各ストリームを選択指標(IC1、IC2、IC3)と関連付けて、対応する上記ストリーム(F1、F2、F3)が一次ストリームであるか、あるいは二次ストリームであるのかを特定するためにストリームを管理する手段と、
・上記第1のストリームが一次ストリームである場合に、上記第1のストリームの記録と上記第2のストリームの再生とを同時に行う記録装置とをさらに備えていることを特徴とするシステム。
【請求項13】
上記第2のストリームの再生停止後に、事前に記録された上記第1のストリームを再生するための手段をさらに備えている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
各ストリームが選択指標と関連付けされて、当該ストリームが記録されるストリームであるのか否かを特定するテーブルを記憶するためのメモリをさらに備えている、請求項12または請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
上記端末(T)が、上記端末外に配置された上記記録装置を制御するための制御手段を備えている、請求項12〜請求項14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
・記憶装置(DD、RAM)と、
・マルチメディアストリームを受信するための入力/出力装置と、
・上記入力/出力装置によって受信されたマルチメディアストリームが、記録される必要のある一次ストリームである場合、受信された当該ストリームを上記記憶装置内に記録するための制御装置(UC)とを備えている、請求項12または請求項13に記載のシステムにおいて用いることのできる記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−506326(P2008−506326A)
【公表日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−520860(P2007−520860)
【出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【国際出願番号】PCT/FR2005/001785
【国際公開番号】WO2006/016057
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(591034154)フランス テレコム (290)
【Fターム(参考)】