説明

端末のリモート操作システム、リモート操作方法

【課題】端末のリモート操作において、リモート操作を受けるユーザがユーザ端末を操作できなくても、予めユーザ端末に記憶されたプログラム以外のプログラムを、そのユーザ端末に実行させる。
【解決手段】リモート操作されるユーザ端末10と、リモートサーバ100とからなるリモートシステム1において、ユーザ端末10は、ユーザからの操作入力の有無にかかわらず、公衆回線網3を介して遠隔メッセージを受信し、当該遠隔メッセージに記載されたアドレス先のリモートサーバ100にアクセスする。ユーザ端末10は、ユーザからの操作入力の有無にかかわらず、リモートサーバのアクセス先で読出したプログラムを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、公衆回線網を介して接続されたユーザの端末を、リモートから操作するリモート操作システム、リモート操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、公衆回線網に接続された携帯端末をWebサーバ等と接続することで、ユーザに様々なサービスが提供されている。特に、スマートフォン(高機能携帯電話)の登場により、従来、パソコンに対して行われていた高度なサービスを、携帯電話で行うことが可能になってきた。
【0003】
したがって、このような高度なWebサービスや、スマートフォンの高度な機能を最大限に利用するために、スマートフォンに対する設定操作や機能を、ユーザは熟知する必要がある。さらに、操作に不慣れなユーザが、端末に対して、初めての設定を行うと、削除すべきでない設定情報を削除してしまったり、適切でない設定を行うことでエラーを発生させてしまう場合も多い。
【0004】
このような課題に対して、ユーザの端末に対して、システムからリモート操作を行うことで、ユーザの端末を遠隔から設定したり、遠隔からユーザを指導する方法が知られている。例えば、特許文献1や特許文献2では、サポート対象となる各クライアントの画面情報をサーバ側で取得し、サーバでこの画面情報を表示して、リモート操作を実現することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−018333号公報
【特許文献2】特開2010−268497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、ユーザ端末の設定や使い方を指導するための目的に限られず、ユーザ端末を、遠隔から操作したいという要望がある。例えば、スマートフォンには、個人の連絡先や銀行口座の口座番号、暗証番号などの個人情報を記憶しておくことが通常であるが、このスマートフォンを紛失した際に、これらの個人情報を他人に見られてしまうという問題がある。そこで、このような場合は、遠隔からスマートフォンに記憶された個人情報を削除することが望ましい。しかしながら、特許文献1や特許文献2では、ユーザ端末であるスマートフォンをユーザが操作できることを前提としており、紛失時のような解決方法が提示されていない。
【0007】
この解決策として、例えば、スマートフォンに遠隔から所定の操作をするにあたり、スマートフォンに予め所定のプログラムを記憶しておき、何らかのトリガー操作を遠隔から行うことで、この所定のプログラムを起動し、この所定のプログラムが実現する機能を実行させることが考えられる。しかし、この場合は、予め記憶された所定のプログラムの機能しか実行できないため、リモート操作に限界があり、利便性に劣る。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑み、端末のリモート操作において、リモート操作を受けるユーザがユーザ端末を操作できなくても、予めユーザ端末に記憶されたプログラム以外のプログラムを、そのユーザ端末に実行させることが可能なリモートシステム、リモート操作方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0010】
第1の特徴に係る発明は、ユーザからの操作入力の有無にかかわらず、公衆回線網を介して遠隔メッセージを受信し、当該遠隔メッセージに記載されたアドレス先のリモートサーバにアクセスするアクセスモジュールと、
ユーザからの操作入力の有無にかかわらず、前記リモートサーバのアクセス先で読出したプログラムを実行するプログラム実行モジュールと、を備えたユーザ端末を提供する。
【0011】
第1の特徴に係る発明によれば、ユーザ端末は、ユーザからの操作入力の有無にかかわらず、公衆回線網を介して遠隔メッセージを受信し、当該遠隔メッセージに記載されたアドレス先のリモートサーバにアクセスする。そして、ユーザからの操作入力の有無にかかわらず、リモートサーバのアクセス先で読出したプログラムを実行する。
【0012】
したがって、ユーザ端末のリモート操作において、リモート操作を受けるユーザがユーザ端末を操作できなくても、予めユーザ端末に記憶されたプログラム以外のプログラム(すなわち、リモートサーバで読出したプログラム)を、そのユーザ端末に実行させることが可能である。
【0013】
第1の特徴に係る発明は、発明のカテゴリにおいてシステムのみならず、方法においても同様の作用・効果を奏する。
【0014】
第2の特徴に係る発明は、ユーザ端末とリモートサーバとから構成されるリモートシステムであって、
前記ユーザ端末は、
ユーザからの操作入力の有無にかかわらず、公衆回線網を介して遠隔メッセージを受信し、当該遠隔メッセージに記載されたアドレス先のリモートサーバにアクセスするとともに、当該ユーザ端末を特定する端末IDを前記リモートサーバに送信するアクセスモジュールと、
ユーザからの操作入力の有無にかかわらず、前記リモートサーバのアクセス先で送信可能とされたプログラムを受信して、実行するプログラム実行モジュールと、を備え、
前記リモートサーバは、
前記ユーザ端末から送信された端末IDを受信し、当該端末IDに基づいて、当該ユーザ端末の通信事業者、端末機種の少なくとも一方を特定し、当該特定した結果に応じたプログラムを選択し、前記ユーザ端末に送信可能とするプログラム選択モジュールを備えるリモートシステム、を提供する。
【0015】
したがって、ユーザ端末のリモート操作において、リモート操作を受けるユーザがユーザ端末を操作できなくても、予めユーザ端末に記憶されたプログラム以外のプログラム(すなわち、リモートサーバで読出したプログラム)を、そのユーザ端末に実行させることが可能である。
【0016】
第2の特徴に係る発明は、発明のカテゴリにおいてシステムのみならず、方法においても同様の作用・効果を奏する。
【0017】
第3の特徴に係る発明は、ユーザ端末とリモートサーバと指示端末とから構成されるリモートシステムであって、
前記指示端末は、
指示者から前記ユーザ端末で実行させるコマンドの入力を受付け、前記コマンドを含む遠隔メッセージを生成するコマンド生成モジュールと、
前記遠隔メッセージを前記ユーザ端末に送信する遠隔メッセージ送信モジュールと、を備え、
前記ユーザ端末は、
ユーザからの操作入力の有無にかかわらず、公衆回線網を介して前記遠隔メッセージを受信し、当該遠隔メッセージに記載されたアドレス先のリモートサーバにアクセスするとともに、前記コマンドを前記リモートサーバに送信するアクセスモジュールと、
ユーザからの操作入力の有無にかかわらず、前記コマンドに基づいて、所定のプログラムを実行するプログラム実行モジュールと、を備えるリモートシステム、を提供する。
【0018】
したがって、ユーザ端末のリモート操作において、リモート操作を受けるユーザがユーザ端末を操作できなくても、予めユーザ端末に記憶されたプログラム以外のプログラム(すなわち、リモートサーバで読出したプログラム)を、そのユーザ端末に実行させることが可能である。
【0019】
第3の特徴に係る発明は、発明のカテゴリにおいてシステムのみならず、方法においても同様の作用・効果を奏する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、端末のリモート操作において、リモート操作を受けるユーザがユーザ端末を操作できなくても、予めユーザ端末に記憶されたプログラム以外のプログラムを、そのユーザ端末に実行させることが可能なリモートシステム、リモート操作方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、リモートシステム1の構成図である。
【図2】図2は、ユーザ端末10、リモートサーバ100、指示端末20の機能ブロック図である。
【図3】図3は、ユーザ端末10、リモートサーバ100、指示端末20が実行するリモート操作処理を示すフローチャート図である。
【図4】図4は、端末ID対応テーブルを示す図である。
【図5】図5は、プログラムシナリオのシナリオ構成を示す図である。
【図6】図6は、シナリオ選択テーブルを示す図である。
【図7】図7は、指示コマンド対応テーブルを示す図である。
【図8】図8は、ユーザ端末10に表示される画面イメージ図(ロック画面)である。
【図9】図9は、ユーザ端末10に表示される画面イメージ図(Wi―Fi設定画面)である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0023】
[リモートシステムのシステム構成]
図1は、本発明の好適な実施形態であるリモートシステム1のシステム構成図である。リモートシステム1は、ユーザ端末10a、10b(以下、単に「10」とする)、リモートサーバ100、公衆回線網3(インターネット網や第3世代、第4世代通信網など)、指示端末20a、20b(以下、単に「20」とする)から構成される。
【0024】
ユーザ端末10は、公衆回線網3を介して、リモートサーバ100と通信可能に接続されている。リモートサーバ100と指示端末20は、LAN(Local Area Network)で接続されていてもよいし、公衆回線網3を介して接続されていてもよい。リモートシステム1内の通信は、無線通信、有線通信を問わない。ユーザ端末10が公衆回線網3と接続するために、ルータ等のネットワーク機器を介して通信可能であってよい。
【0025】
ユーザ端末10は、ユーザが使用する一般的な情報端末であってよく、後述する機能を備える情報機器や電化製品である。ユーザ端末10は、例えば、スマートフォン10a、携帯電話10b、小型マルチメディア端末、ネットブック端末、スレート端末、電子書籍端末、電子辞書端末等の情報家電であってよい。
【0026】
なお、ユーザ端末10は、Eメールメッセージ、ショートメッセージ、マルチメディアメッセージ等の遠隔メッセージを送受信可能な端末であることが望ましい。特に、初期設定において、ユーザの操作に関わらず遠隔メッセージを受信可能に設定している必要がある。
【0027】
指示端末20は、ユーザ端末10に対してリモートで操作するリモート操作者が使用する一般的な情報端末である。
【0028】
[各機能の説明]
図2は、指示端末20、リモートサーバ100、ユーザ端末10の機能ブロックと各機能の関係を示す図である。
【0029】
ユーザ端末10及び指示端末20は、制御部として、CPU(Central Processing Unit),RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory)等を備え、通信部として、例えば、IEEE802.11に準拠したWiFi(Wireless Fidelity対応デバイス又は、第3世代移動通信システム等のIMT−2000規格に準拠した無線デバイス等を備える(有線によるLAN接続であってもよい)。
【0030】
さらに、ユーザ端末10及び指示端末20は、出力部として、制御部で制御したデータや画像を出力表示する表示部を備え、かつ、入力部として、ユーザやリモート操作者からの入力を受付けるタッチパネルやキーボード、マウス等を備える。加えて、ユーザ端末10及び指示端末20は、記憶部として、ハードディスクや半導体メモリによる、データのストレージ部を備える。
【0031】
ユーザ端末10において、制御部が所定のプログラムを読み込むことで、通信部、出力・入力部、記憶部と協働して、エージェントモジュール部11、SMS受信部14、端末ID記憶部15を実現する。エージェントモジュール部11は、アクセスモジュール12とプログラム実行モジュール13とで構成される。各モジュールの具体的な機能については、図3に基づいて説明する。
【0032】
指示端末20において、制御部が所定のプログラムを読み込むことで、通信部、出力・入力部、記憶部と協働して、指示コマンド生成モジュール21、遠隔メッセージ送信モジュール22を実現する。各モジュールの具体的な機能については、図3に基づいて説明する。
【0033】
リモートサーバ100は、制御部として、CPU(Central Processing Unit),RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory)等を備え、通信部として、例えば、IEEE802に準拠したLAN(Local Area Network)対応デバイスを備える。加えて、リモートサーバ100は、記憶部として、ハードディスクや半導体メモリによる、データのストレージ部を備える。
【0034】
リモートサーバ100の制御部が所定のプログラムを読み込むことで、通信部、記憶部と協働して、プログラム選択モジュール101、端末IDデータベース102、コマンドデータベース103を実現する。各モジュールの機能については、図3に基づいて説明する。
【0035】
[リモート操作処理]
図3は、指示端末20、ユーザ端末10、リモートサーバ100が実行するリモート操作処理のフローチャートである。
【0036】
最初に、指示端末20の遠隔メッセージ送信モジュール22が、リモート操作者からの操作に基づいて、遠隔メッセージを生成する(ステップS01)。遠隔メッセージの生成は、指示端末20で動作可能な編集ソフトにより行われる。
【0037】
遠隔メッセージには、リモート操作者の入力の有無に関わらず、リモートサーバ100にアクセスするためのアドレス情報(URL又は、IPアドレス)又はアドレス参照情報が含まれている。また、後述するように、遠隔メッセージには、リモート操作者が指示する、指示IDや指示コマンドを含んでよい。
【0038】
次に、指示端末20の遠隔メッセージ送信モジュール22は、リモート操作者からの操作に基づいて、生成した遠隔メッセージと端末IDをユーザ端末10に送信する(ステップS02)。指示端末20からユーザ端末10への遠隔メッセージの送信は、所定のメールサーバを介して行われてもよい。
【0039】
端末IDは、ユーザ端末10を特定するための固有の識別子であって、ユーザ端末10の電話番号、ハードウェアシリアル番号、メールアドレス、SIM(Subscriber Identity Module)カードのIMSI(International Mobile Subscriber Identity)、クッキー情報であってよい。また、端末IDが、ユーザ端末10のハードウェア仕様を特定するための端末機種やメーカ名であってもよい。
【0040】
ユーザ端末10のSMS受信部14にて、遠隔メッセージを受信する(ステップS03)。そして、エージェントモジュール部11のアクセスモジュール12が、遠隔メッセージに含まれる端末IDを読出し(ステップS04)、かつ、リモートサーバ100のアドレス情報又はアドレス参照情報を読出し、読出したアドレス情報に基づいて、リモートサーバ100のアクセス先を特定し、URLアクセス処理(又はIPアドレスアクセス処理)を行う(ステップS05)。このアクセス処理において、アクセスモジュール12は、端末IDをリモートサーバ100に送信する。
【0041】
アドレス参照情報とは、所定のIDであってよく、このIDをユーザ端末10のエージェントモジュール部11が受信すると、予め当該IDとアドレス情報が対応付けられたテーブルを参照して、アドレス情報を読出し、リモートサーバ100を特定する。
【0042】
リモートサーバ100のプログラム選択モジュール101は、ユーザ端末10から送信された端末IDを受信し、この端末IDに基づいて、端末IDデータベース102を参照し(ステップS06)、プログラムシナリオを選択する(ステップS07)。端末IDデータベース102には、図4に示す、端末ID対応テーブルが記憶されている。端末ID対応テーブルは、端末IDと事業者(通信事業者)とプログラムシナリオとが対応付けられたテーブルである。ここで、対応付けられる事業者が、端末機種、メーカ名であってもよい。
【0043】
プログラムシナリオとは、ユーザ端末10で実行する一以上のプログラムの種類と、このプログラムを実行する順番を決定するデータである。例えば、図5に示すように、プログラムシナリオAは、プログラム01とプログラム02とから構成されており、この実行順序は、先に、プログラム01が実行され、次に、プログラム02が実行される。
【0044】
例えば、端末ID「AAA」を受信すると、このユーザ端末10は、事業者「N社」であると判断し、シナリオとして、プログラムシナリオAを選択する。プログラムシナリオAは、図5に示すように、プログラム01とプログラム02で構成され、プログラム01、プログラム02の順番で実行されるべきシナリオである。
【0045】
そして、プログラム選択モジュール101は、このプログラムシナリオで選択されたプログラムと、実行順序を示すプログラムシナリオをユーザ端末10に読出し可能として、上記のアクセスモジュール12からのアクセスに応じて、このプログラムシナリオで選択されたプログラムと、実行順序を示すプログラムシナリオとを、ユーザ端末10に送信する(ステップS08)。
【0046】
ユーザ端末10のプログラム実行モジュール13は、リモートサーバ100から送信されたプログラムと、プログラムシナリオを受信して、プログラムシナリオに基づいて、各プログラムを実行する(ステップS09)。
【0047】
なお、リモートサーバ100から、ここで実行するプログラムを受信せずに、ユーザ端末10に予めインストール済みのプログラムであって、プログラムシナリオに示されるプログラムを起動してもよい。
【0048】
なお、実行されるプログラムの一例としては、図8に示すように、ユーザ端末10のキー操作を無効(ロック)するプログラムであってよい。すなわち、ユーザ端末10を紛失した場合に、遠隔メッセージをユーザ端末10に送信することで、ユーザ端末10の他人からのキー操作を無効にすることが可能である。
【0049】
さらに、ユーザ端末10に保存された所定のデータのバックアップを公衆回線網3で通信可能に接続されたバックアップサーバに実行するプログラムであってよい。すなわち、ユーザ端末10を紛失した場合に、遠隔メッセージをユーザ端末10に送信することで、所定のデータのバックアップを行うことが可能である。
【0050】
さらに、ユーザ端末10がGPS(Global Positioning System)を備え、現在のユーザ端末10の位置情報(緯度、経度)を、公衆回線網3で通信可能に接続された他の端末又はサーバに送信するプログラムであってよい。すなわち、ユーザ端末10を紛失した場合に、遠隔メッセージをユーザ端末10に送信することで、ユーザ端末10の存在する位置情報を取得することが可能である。
【0051】
さらに、キーロガーのプログラムであって、ユーザ端末10から過去に入力されたキー操作に関するログデータを、公衆回線網3で通信可能に接続された他の端末又はサーバに送信するプログラムであってよい。すなわち、ユーザ端末10を紛失した場合に、遠隔メッセージをユーザ端末10に送信することで、ユーザ端末10に入力されたキー操作の情報を取得することが可能である。
【0052】
さらに、所定のアプリケーションをインストールするためのプログラムであってよい。すなわち、遠隔メッセージをユーザ端末10に送信することで、ユーザ端末10に所定のプログラム(特に、アプリケーションプログラム)をインストールするためのプログラムを送信する。
【0053】
さらに、ユーザ端末10に対して、ウィルススキャン、ウィルスチェックを行うプログラムであってもよい。すなわち、遠隔メッセージをユーザ端末10に送信することで、ユーザ端末10に記憶されたデータに対して、ウィルス検査を行う。
【0054】
さらに、ユーザ端末10に、所定のメッセージを表示するためのプログラムであってもよい。すなわち、遠隔メッセージをユーザ端末10に送信することで、ユーザ端末10の表示部に、所定のメッセージを表示するプログラムを送信する。例えば、ユーザ端末10を紛失した際に、ユーザ端末の持ち主の個人情報や連絡先を表示するためのプログラムを送信してもよい。
【0055】
[シナリオ選択テーブル]
図6を参照して、指示端末20から、ユーザ端末10にて実行するプログラムを指示する例について説明する。図6に示す、シナリオ選択テーブルは、予めリモートサーバ100に記憶されている。指示端末20の遠隔メッセージ送信モジュール22にて、遠隔メッセージを生成する際に、指示IDの入力をリモート操作者から受付け、ユーザ端末10に指示IDを送信する。
【0056】
そして、ユーザ端末10は、指示IDを受信し、リモートサーバ100に指示IDを端末IDとともに送信する。リモートサーバ100は、ユーザ端末10から受信した指示IDに基づいて、プログラム選択処理(ステップS07)において、シナリオ選択テーブルを参照し、プログラムシナリオを決定する。例えば、図6の例では、指示端末20が指示ID1を指示した場合は、プログラムシナリオA1を決定する。
【0057】
指示IDを利用して、リモート操作者が実行させるプログラムを指示できることで、ユーザ端末10で実行させるプログラムシナリオを、リモート操作者が選択することができる。したがって、例えば、ユーザ端末10に、上述のバックアップのプログラムを最初に実行させ、その後、キーロガーのプログラムを実行させたり、または、ウィルススキャンのプログラムを最初に実行させ、その後、GPSによる位置情報をサーバに送信させるようなシナリオを指示することができる。
【0058】
[指示コマンド対応テーブル]
図7を参照して、指示端末20から入力する指示コマンドについて説明する。指示端末20、ユーザ端末10、リモートサーバ100の間のデータ通信量は、可能である限り少ないほうが望ましい。そこで、指示端末20から所定のコマンドを送信して、この指示コマンドに基づいて、指示コマンド対応テーブルを参照し、対応するプログラムを、プログラム実行モジュール13が実行する。
【0059】
図7に示す、指示コマンド対応テーブルは、予めリモートサーバ100のコマンドデータベース103に記憶されている。指示端末20の遠隔メッセージ送信モジュール22にて、遠隔メッセージを生成する際に、指示コマンド生成モジュール21が、指示コマンドの入力をリモート操作者から受付け、指示コマンドを生成し、ユーザ端末10に指示コマンドを送信する。
【0060】
指示コマンドは、ユーザ端末10に所定のプログラムを実行する際に、その実行するプログラムの入力インターフェースが、ユーザからの入力を受付けて遷移する場合に、その遷移先を指定するためのコマンドである。指示コマンドは、具体的には、所定の文字、記号、数値であってよい。例えば、図7の例では、指示コマンド「311」と指示すると、ユーザ端末10に記憶された設定プログラムにおいて、3「設定を開く」、次に、1「“Wi―Fi設定”を開く」、次に、1「“Wi―Fi設定を無効”をチェック」を、順次実行することになる。
【0061】
そして、ユーザ端末10は、指示コマンドを受信し、リモートサーバ100に指示コマンドを端末IDとともに送信する。リモートサーバ100は、ユーザ端末10から受信した指示コマンドを、ユーザ端末10に送信し、ユーザ端末10のプログラム実行モジュール13が、指示コマンドに基づいて、プログラムを実行する。例えば、先の例では、設定プログラムを、実行する際に、遷移する入力インターフェースにおいて、最初に、3「設定を開く」を選択し、次に、1「“Wi―Fi設定”を開く」、を選択し、次に、1「“Wi―Fi設定を無効”をチェック」の順序で実行する(図9参照)。
【0062】
以上により、本実施形態によれば、ユーザ端末10のリモート操作において、リモート操作を受けるユーザがユーザ端末10を紛失したり、所定の事情により、手元で操作できなくても、予めユーザ端末10に記憶されたプログラム以外のプログラムを、いわば、SaaS(Software as a Service)型で、リモートサーバ100から読出したプログラムを、そのユーザ端末10に実行させることが可能である。
【0063】
なお、上述の例では、指示コマンドを実行するプログラム(例えば、設定プログラム)が、ユーザ端末10に予め記憶されている例で説明している。しかし、予めユーザ端末10に記憶されたプログラムではなくてもよい。すなわち、リモートサーバ100のプログラム選択モジュール101が、指示コマンドを受信した際に、この指示コマンドに関連したプログラムを選択し、ユーザ端末10に送信してもよい。
【0064】
なお、上述の例では、指示コマンド対応テーブルが、リモートサーバ100に記憶されている例で説明したが、リモートサーバ100ではなく、指示コマンド対応テーブルが、ユーザ端末10に記憶されていてもよい。この場合に、ユーザ端末10と指示端末20とからシステムが構成され、指示端末20は、指示者からユーザ端末10で実行させるコマンドの入力を受付け、コマンドを含む遠隔メッセージを生成し、遠隔メッセージをユーザ端末10に送信する。これに応じて、ユーザ端末10が、ユーザからの操作入力の有無にかかわらず、公衆回線網3を介して遠隔メッセージを受信し、コマンドに基づいて、ユーザ端末10に記憶された、指示コマンド対応テーブルを参照し、所定のプログラムを実行してもよい。
【0065】
上述した手段、機能は、コンピュータ(CPU,情報処理装置,各種端末を含む)が、所定のプログラムを読み込んで、実行することによって実現される。プログラムは、例えば、フレキシブルディスク、CD(CD−ROMなど)、DVD(DVD−ROM、DVD−RAMなど)等のコンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。この場合、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記憶装置または外部記憶装置に転送し記憶して実行する。また、そのプログラムを、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の記憶装置(記録媒体)に予め記録しておき、その記憶装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0066】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0067】
1 リモートシステム、3 公衆回線網、10 ユーザ端末、20 指示端末、100 リモートサーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザからの操作入力の有無にかかわらず、公衆回線網を介して遠隔メッセージを受信し、当該遠隔メッセージに記載されたアドレス先のリモートサーバにアクセスするアクセスモジュールと、
ユーザからの操作入力の有無にかかわらず、前記リモートサーバのアクセス先で読出したプログラムを実行するプログラム実行モジュールと、を備えたユーザ端末。
【請求項2】
ユーザ端末とリモートサーバとから構成されるリモートシステムであって、
前記ユーザ端末は、
ユーザからの操作入力の有無にかかわらず、公衆回線網を介して遠隔メッセージを受信し、当該遠隔メッセージに記載されたアドレス先のリモートサーバにアクセスするとともに、当該ユーザ端末を特定する端末IDを前記リモートサーバに送信するアクセスモジュールと、
ユーザからの操作入力の有無にかかわらず、前記リモートサーバのアクセス先で送信可能とされたプログラムを受信して、実行するプログラム実行モジュールと、を備え、
前記リモートサーバは、
前記ユーザ端末から送信された端末IDを受信し、当該端末IDに基づいて、当該ユーザ端末の通信事業者、端末機種の少なくとも一方を特定し、当該特定した結果に応じたプログラムを選択し、前記ユーザ端末に送信可能とするプログラム選択モジュールを備えるリモートシステム。
【請求項3】
ユーザ端末とリモートサーバと指示端末とから構成されるリモートシステムであって、
前記指示端末は、
指示者から前記ユーザ端末で実行させるコマンドの入力を受付け、前記コマンドを含む遠隔メッセージを生成するコマンド生成モジュールと、
前記遠隔メッセージを前記ユーザ端末に送信する遠隔メッセージ送信モジュールと、を備え、
前記ユーザ端末は、
ユーザからの操作入力の有無にかかわらず、公衆回線網を介して前記遠隔メッセージを受信し、当該遠隔メッセージに記載されたアドレス先のリモートサーバにアクセスするとともに、前記コマンドを前記リモートサーバに送信するアクセスモジュールと、
ユーザからの操作入力の有無にかかわらず、前記コマンドに基づいて、所定のプログラムを実行するプログラム実行モジュールと、を備えるリモートシステム。
【請求項4】
ユーザからの操作入力の有無にかかわらず、公衆回線網を介して遠隔メッセージを受信し、当該遠隔メッセージに記載されたアドレス先のリモートサーバにアクセスするアクセスステップと、
ユーザからの操作入力の有無にかかわらず、前記リモートサーバのアクセス先で読出したプログラムを実行するプログラム実行ステップと、を備えたリモート操作方法。
【請求項5】
ユーザ端末とリモートサーバとから構成されるリモート操作方法であって、
前記ユーザ端末は、
ユーザからの操作入力の有無にかかわらず、公衆回線網を介して遠隔メッセージを受信し、当該遠隔メッセージに記載されたアドレス先のリモートサーバにアクセスするとともに、当該ユーザ端末を特定する端末IDを前記リモートサーバに送信するアクセスステップと、
ユーザからの操作入力の有無にかかわらず、前記リモートサーバのアクセス先で読出したプログラムを実行するプログラム実行ステップと、を実行し、
前記リモートサーバは、
前記ユーザ端末から送信された端末IDを受信し、当該端末IDに基づいて、当該ユーザ端末の通信事業者、端末機種の少なくとも一方を特定し、当該特定した結果に応じたプログラムを選択し、前記ユーザ端末に読出し可能とするプログラム選択ステップを実行するリモート方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−195843(P2012−195843A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59509(P2011−59509)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(500132694)
【Fターム(参考)】