説明

端末装置、端末装置の制御方法、端末装置の制御プログラム、端末装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体

【課題】前回測位時のドリフトと、現在のドリフトが大きく異なる場合であっても、迅速に位置情報衛星を捕捉して測位することができる端末装置等を提供すること。
【解決手段】端末装置30は、前回測位時からの時間経過に基づいて、前回ドリフト情報の誤差範囲を示すドリフト誤差範囲情報を生成するドリフト誤差範囲情報生成手段と、ドリフト誤差範囲情報に基づいて、ドリフト誤差範囲を同時に探索するために必要な探索手段の数を示す必要探索手段数情報を生成する必要探索手段数情報生成手段と、測位手段40が有するすべての探索手段の数を示す全探索手段数情報と必要探索手段数情報に基づいて同時に探索可能な位置情報衛星の数を示す同時探索可能衛星数情報を生成する同時探索可能衛星数情報生成手段と、同時探索可能衛星数情報に示される位置情報衛星の数が、測位可能な測位可能衛星数か否かによって測位可能性を判断する測位可能性判断手段等を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置、端末装置の制御方法、端末装置の制御プログラム、端末装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、位置情報衛星を使用する衛星航法システムである例えば、GPS(Global Positioning System)を利用してGPS受信機の現在位置を測位する測位システムが実用化されている。このGPS受信機は、予め保存してあるGPS衛星の軌道情報等に基づいて、GPS衛星から受信する信号の周波数(受信信号周波数)を把握して、GPS受信機が有する同期手段によって、その受信信号周波数と同期することによってGPS衛星から信号を受信するように構成されている。
そして、上述の受信信号周波数と同期するためには、GPS受信機側の要因による周波数のずれ(以後、ドリフトと呼ぶ)を考慮する必要がある。
しかし、GPS受信機の同期手段を構成する例えば、水晶発振器は温度によって周波数が変動するから上述のドリフトが変動し、何らかの手段を講じない場合には、上述の受信信号周波数と迅速に同期することができず、測位の時間が長く必要になる。
これに対して、前回測位した時の水晶発信器のオフセット値を保持し、次回のGPS衛星からの信号受信の際には、前回測位時のオフセット値に基づいて、上述の受信信号周波数と同期する技術が提案されている。
【特許文献1】特開平5−256926号公報(図1等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来技術においては、例えば、前回の測位時から長時間が経過していて、温度が現在とは異なる場合には、前回測位時のドリフトが現在のドリフトと大きく異なるために、上述の同期を迅速に行うことができず、GPS衛星の捕捉に時間が長くかかる場合があるという問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、前回測位時のドリフトと、現在のドリフトが大きく異なる場合であっても、迅速に位置情報衛星を捕捉して測位することができる端末装置、端末装置の制御方法、端末装置の制御プログラム、端末装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的は、第1の発明によれば、複数の位置情報衛星から位置関連情報を取得して現在位置を測位するための測位手段を有する端末装置であって、前記測位手段は、前記位置情報衛星を探索するための複数の探索手段を有し、前記端末装置は、前記位置情報衛星が発信する発信周波数と、前回測位時に前記位置情報衛星を捕捉した前回捕捉周波数と、前回測位時における前記位置情報衛星と前記端末装置の相対移動によって生じる周波数変動と、に基づいて生成される前回ドリフト情報を格納する前回ドリフト情報格納手段と、前記前回測位時からの時間経過に基づいて、前記前回ドリフト情報の誤差範囲を示すドリフト誤差範囲情報を生成するドリフト誤差範囲情報生成手段と、前記ドリフト誤差範囲情報に基づいて、前記ドリフト誤差範囲を同時に探索するために必要な前記探索手段の数を示す必要探索手段数情報を生成する必要探索手段数情報生成手段と、前記測位手段が有するすべての前記探索手段の数を示す全探索手段数情報と前記必要探索手段数情報に基づいて同時に探索可能な前記位置情報衛星の数を示す同時探索可能衛星数情報を生成する同時探索可能衛星数情報生成手段と、前記同時探索可能衛星数情報に示される前記位置情報衛星の数が、測位可能な測位可能衛星数か否かによって測位可能性を判断する測位可能性判断手段と、前記測位可能性判断手段の前記測位可能性を否定する判断結果に基づいて、前記複数の位置情報衛星から第1の捕捉対象衛星を決定する第1捕捉対象衛星決定手段と、使用可能なすべての前記探索手段を使用して前記第1の捕捉対象衛星を捕捉する第1捕捉対象衛星捕捉手段と、各前記位置情報衛星から発信する発信周波数と、各前記位置情報衛星と前記端末装置の相対移動によって生じる周波数変動と、前記前回ドリフト情報に示される前回ドリフトに基づいて各前記位置情報衛星に対応する端末側同期周波数を示す同期周波数情報生成手段と、前記第1捕捉対象衛星に対応する端末側同期周波数と、前記第1捕捉対象衛星を捕捉した周波数である第1捕捉周波数との差分である第1差分を示す第1差分情報を取得する第1差分情報取得手段と、各前記位置情報衛星に対応する前記端末側同期周波数を前記第1差分情報によって補正して、前記測位に必要な測位必要数の前記位置情報衛星を捕捉する測位必要数位置情報衛星捕捉手段と、を有することを特徴とする端末装置によって達成される。
【0006】
第1の発明の構成によれば、前記端末装置は、前記前回ドリフト情報格納手段に前記前回ドリフト情報を格納している。前記前回ドリフト情報は、前記前回測位時における、前記端末装置の同期周波数の基礎となる周波数を生成する例えば、水晶発振器の温度変化による発振周波数の変化による周波数のずれ(以後、周波数のずれと呼ぶ)を示している。
ここで、前記前回測位時からの経過時間が短かければ、上述の水晶発振器の温度も前記前回測位時とあまり変らないはずであるから、前記前回ドリフト情報は信頼度が大きい。 これに対して、前記前回測位時からの経過時間が長ければ、上述の水晶発振器の温度は前記前回測位時と大きく変る場合があるから、前記前回ドリフト情報は信頼度が小さい。
上述のように、前記前回ドリフト情報は、前記前回測位時からの経過時間によってその信頼度が異なる。
この点、前記前回ドリフト情報の信頼度を考慮せずに、前記前回ドリフト情報の信頼度が小さいにもかかわらず、3次元測位を実施するために必要な例えば、4個の前記位置情報衛星から前記位置関連信号を受信するために、前記すべての探索手段である例えば、20個を等分して、5個の探索手段で各前記位置情報衛星を捕捉して測位しようとすると、長時間必要になる場合がある。
そこで、前記端末装置は、測位を迅速に行うために、さらに、以下の構成を有する。
【0007】
まず、前記前回ドリフト情報の信頼度を判断するために、前記端末装置は、ドリフト誤差範囲情報生成手段を有しており、前記前回測位時からの時間経過に基づいて、前記前回ドリフト情報の誤差範囲を示すドリフト誤差範囲情報を生成できるように構成されている。
そして、前記端末装置は、前記必要探索手段数情報生成手段を有しており、前記ドリフト誤差範囲情報に基づいて、前記ドリフト誤差範囲を同時に探索するために必要な前記探索手段の数を示す必要探索手段数情報を生成することができる。
【0008】
さらに、前記端末装置は、前記同時探索可能衛星数情報生成手段を有しており、前記測位手段が有するすべての前記探索手段の数を示す全探索手段数情報と前記必要探索手段数情報に基づいて同時に探索可能な前記位置情報衛星の数を示す同時探索可能衛星数情報を生成する。
そして、前記端末装置は、前記測位可能性判断手段を有しており、前記同時探索可能位置情報衛星数情報に示される前記位置情報衛星の数が、測位可能な測位可能衛星数か否かによって測位可能性を判断することができる。前記測位可能性判断手段が前記測位可能性を否定する判断をした場合には、以下の構成によって、迅速な測位が可能になる。
【0009】
まず、前記端末装置は、使用可能なすべての探索手段を使用して前記第1の捕捉対象衛星を捕捉するように構成されている。例えば、20個の探索手段で一つの前記位置情報衛星を捕捉するのである。このため一部の探索手段である例えば、5個の探索手段で一つの前記位置情報衛星を捕捉するよりも、短時間で1個の前記位置情報衛星を捕捉し得る。
そして、前記第1の捕捉対象衛星を捕捉すると、上述のGPS受信機がその捕捉のために使用した周波数である前記第1捕捉周波数がわかる。この第1捕捉周波数と前記第1の補足対象衛星に対応する前記端末側同期周波数との差分である第1差分を示す第1差分情報に基づいて、前記測位必要数(例えば、前記第1の捕捉対象衛星以外に3個)の前記位置情報衛星を捕捉するのである。
【0010】
前記第1差分情報には、前記第1の捕捉対象衛星に対応する端末側同期周波数と前記第1捕捉周波数のずれが示されている。そして、前記端末側同期周波数は各前記位置情報衛星の軌道が同一ではないから、各前記位置情報衛星ごとに異なるが、上述の周波数のずれは、前記端末装置側の要因によるものであるから、各前記位置情報衛星について共通である。したがって、前記第1差分情報に基づいて各前記位置情報衛星ごとの前記端末側同期周波数を補正し、迅速に第2個目以降の前記位置情報衛星を捕捉し、測位することができる。
これにより、前回測位時のドリフトと、現在のドリフトが大きく異なる場合であっても、迅速に位置情報衛星を捕捉して測位することができる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明の構成において、前記測位可能性判断手段が前記測位可能性を肯定する判断結果に基づいて、同時に探索できる最大限度の数の前記位置情報衛星を探索する構成となっていることを特徴とする。
【0012】
例えば、前記前回ドリフト情報の信頼度が大きい場合に、3次元測位のために4個の前記位置情報衛星を捕捉するために前記すべての探索手段である例えば、20個を等分して、5個の探索手段で各前記位置情報衛星を捕捉して測位すると、3次元測位に必要な4個の前記位置情報衛星しか同時に捕捉することができない。
これに対して、上述のように、前記端末装置は、前記同時探索可能位置情報衛星数情報生成手段を有しており、前記測位手段が有するすべての前記探索手段と前記必要探索手段数情報に基づいて同時に探索可能な前記位置情報衛星の数を示す同時探索可能位置情報衛星数情報を生成する。前記同時に探索可能な前記位置情報衛星の数は、4個以上である例えば、6個である場合もある。
すなわち、前記端末装置が同時に探索できる前記位置情報衛星の数が例えば、3次元測位のために必要な4個よりも多い場合がある。このような場合においては、最大限度の数である6個の前記位置情報衛星を探索して測位する方が、4個だけを探索して測位するよりも、前記端末装置が前記位置情報衛星から取得し得る情報量が多いから、測位精度が向上する。しかも、測位時間は、20個を等分して、5個の探索手段で4個の前記位置情報衛星を捕捉して測位する場合と同等である。
この点、第2の発明の構成によれば、前記測位可能性判断手段が前記測位可能性を肯定する判断結果に基づいて、同時に探索できる最大限度の数の前記位置情報衛星を探索する構成となっているから、迅速に、かつ、測位精度が高い測位結果を取得することができる。
【0013】
第3の発明は、第1の発明の構成において、前記複数の位置情報衛星から第2の捕捉対象衛星を決定する第2捕捉対象衛星決定手段と、使用可能なすべての前記探索手段を使用して前記第2の捕捉対象衛星を捕捉する第2捕捉対象衛星捕捉手段と、前記第2の捕捉対象衛星に対応する前記端末側同期周波数と、前記第2の捕捉対象衛星を捕捉した周波数である第2捕捉周波数との差分である第2差分を示す第2差分情報を取得する第2差分情報取得手段と、を有し、前記測位必要数衛星捕捉手段は、各前記位置情報衛星に対応する前記端末側同期周波数を、前記第1差分情報又は前記第2差分情報によって補正して、前記測位必要数の位置情報衛星を捕捉する構成となっていることを特徴とする。
【0014】
第3の発明の構成によれば、前記第1差分情報のみならず、前記第2差分情報にも基づいて、前記測位必要数の位置情報衛星を捕捉する。
前記第1差分情報だけでは、上述の周波数のずれが正確かどうかを検証できない。
この点、第2の発明の構成によれば、前記第2差分情報も使用するから、前記第1差分情報に示される上述の周波数のずれが正確かどうかを検証したうえで、前記測位必要数の位置情報衛星を捕捉することができる。また、前記第1差分情報の正確さが検証されることは、同時に、前記第2差分情報の正確さも検証されることを意味する。
これにより、正確さが検証された前記第1差分情報又は前記第2差分情報に基づいて、各前記位置情報衛星に対応する前記端末側同期周波数を補正することによって、迅速に位置情報衛星を捕捉して測位することができる。
【0015】
第4の発明は、第3の発明の構成において、前記測位必要数衛星捕捉手段は、前記第1差分と前記第2差分が同一範囲内にある場合に、各前記位置情報衛星に対応する前記端末側同期周波数を、前記第1差分情報又は前記第2差分情報によって補正して、前記測位必要数の前記位置情報衛星を捕捉する構成となっていることを特徴とする。
【0016】
第4の発明の構成によれば、前記第1捕捉周波数情報の正確さを、前記第1差分と前記第2差分が同一範囲内にあるかどうかによって判断することができる。
ここで、前記同一範囲内とは、前記探索手段が検出し得る最小単位の周波数である探索単位周波数以内である。すなわち、前記探索手段は、周波数の探索を一定の周波数単位である例えば、50ヘルツ(Hz)単位で行う。なお、この探索単位周波数を、サーチステップとも呼ぶ。
したがって、前記第1差分と前記第2差分の真実の差が非常にわずかであっても、前記端末装置が検出できる精度は上述の探索単位周波数単位である。そこで、前記同一範囲を上述の探索単位周波数の範囲と定めるのである。
【0017】
第5の発明は、第4の発明の構成において、前記探索手段が探索する周波数の範囲を、前記第1差分情報又は前記第2差分情報によって補正された前記端末側同期周波数を中心として、前記探索手段が検出し得る最小単位の周波数である探索単位周波数の範囲に設定することを特徴とする。
【0018】
前記探索手段が探索する周波数の範囲は狭いほど、同時に多くの前記位置情報衛星を探索することができる。
この点、前記第1差分と前記第2差分が同一範囲内にある場合には、前記探索手段が探索すべき周波数の範囲は極めて狭い範囲に限定することができる。
そこで、第5の発明の構成によれば、前記探索手段が探索する周波数の範囲を、前記第1差分情報又は前記第2差分情報によって補正された前記端末側同期周波数を中心として、前記探索手段が検出し得る最小単位の周波数である探索単位周波数の範囲に設定することによって、同時に多くの前記位置情報衛星を探索することができる。
これにより、多くの前記位置情報衛星からの情報を取得できるから、測位精度の向上を図ることができる。
【0019】
第6の発明は、第3の発明乃至第5の発明のいずれかの構成において、1個の前記位置情報衛星を追尾するために必要な追尾必要探索手段を使用して、捕捉した前記第1の捕捉対象衛星を追尾する第1捕捉対象衛星追尾手段を有し、前記測位必要数衛星捕捉手段は、前記追尾必要探索手段を除いた残りの探索手段を使用して前記第2の捕捉対象衛星を捕捉する構成となっていることを特徴とする。
【0020】
捕捉した前記第1の捕捉対象衛星は、測位のための情報を取得するために追尾しておくことが望ましい。そのためには、前記追尾必要探索手段が必要である。
一方、前記第2の捕捉対象衛星は、できるだけ多くの前記探索手段で捕捉することによって、短時間で捕捉を完了することができる。
この点、第6の発明の構成によれば、前記追尾必要探索手段を除いた残りの探索手段を使用して前記第2の捕捉対象衛星を捕捉するから、前記第1の捕捉対象衛星から、測位のための情報を取得することを可能としつつ、迅速に前記第2の捕捉対象衛星を捕捉して前記第2差分情報を取得することができる。
【0021】
第7の発明は、第6の発明の構成において、前記測位必要数衛星捕捉手段は、使用可能なすべての探索手段から前記第1の捕捉対象衛星を追尾するために必要な前記追尾必要探索手段と前記第2の捕捉対象衛星を追尾するために必要な前記追尾必要探索手段とを除いた残存探索手段を、前記測位必要数で等分した等分残存探索手段を使用して、前記測位必要数の各前記位置情報衛星を捕捉する構成となっていることを特徴とする。
【0022】
捕捉した前記第1の捕捉対象衛星のみならず、捕捉した前記第2の捕捉対象衛星からも測位のための情報を取得するために第1の捕捉対象衛星と第2の捕捉対象衛星の双方を追尾しておくことが望ましい。そのためには、2つの前記位置情報衛星を追尾するための探索手段が必要である。
そして、第1の捕捉対象衛星と第2の捕捉対象衛星を追尾しておくことにより、測位のために新たに捕捉が必要な前記測位必要数は2次元測位の場合には1個、3次元測位の場合には2個で足りるから、測位に必要な前記位置情報衛星の数である合計3個又は4個の前記位置情報衛星の捕捉時間が短くて足りる。
また、前記第1差分情報と前記第2差分情報によって、前記第1差分情報と前記第2差分情報の正確さは互いに検証されているから、第3個目以降の前記位置情報衛星は探索手段が少なくても迅速に捕捉できる。
このため、第3個目以降の前記位置情報衛星の捕捉は、前記等分残存探索手段によって同時に捕捉することによって、1個ずつ捕捉するよりも迅速に完了することができるのである。
【0023】
第8の発明は、第1の発明乃至第7の発明のいずれかの構成において、前記第1捕捉対象衛星追尾手段が前記第1の捕捉対象衛星の追尾ができない場合には、前記端末装置が、再度前記第1の捕捉対象衛星を決定する構成となっていることを特徴とする。
【0024】
現代においては、各種無線システムの発展によって電波(電磁波)が満ち溢れている。
このため、前記端末装置は、前記位置情報衛星からの信号以外の信号(以後、誤信号と呼ぶ)を受信しているにもかかわらず、前記位置情報衛星からの信号を受信したものと間違えて認識する場合がある。誤信号の場合、前記第1差分情報は不正確であるから、他の位置情報衛星の捕捉のために利用することはできない。
この誤信号の場合には、真の前記位置情報衛星からの信号には載っている前記位置関連信号が載っていないから、前記端末装置は、捕捉後の追尾をすることができない。このため、前記端末装置は、誤信号であることを認識することができる。
第8の発明の構成によれば、誤信号の場合、前記端末装置が再度前記第1捕捉対象衛星を決定し、真の位置情報衛星からの前記第1差分情報を取得することができる。
【0025】
前記目的は、第9の発明の構成によれば、複数の位置情報衛星から位置関連情報を取得して現在位置を測位するための測位手段を有する端末装置が、前記位置情報衛星が発信する発信周波数と、前回測位時に前記位置情報衛星を捕捉した前回捕捉周波数と、前回測位時における前記位置情報衛星と前記端末装置の相対移動によって生じる周波数変動と、に基づいて前回ドリフト情報を生成する前回ドリフト情報生成ステップと、前記端末装置が、前記前回測位時からの時間経過に基づいて、前記前回ドリフト情報の誤差範囲を示すドリフト誤差範囲情報を生成するドリフト誤差範囲情報生成ステップと、前記端末装置が、前記ドリフト誤差範囲情報に基づいて、前記ドリフト誤差範囲を同時に探索するために必要な前記探索手段の数を示す必要探索手段数情報を生成する必要探索手段数情報生成ステップと、前記端末装置が、前記位置情報衛星を探索するために有するすべての探索手段の数を示す全探索手段数情報と前記必要探索手段数情報に基づいて、同時に探索可能な前記位置情報衛星の数を示す同時探索可能衛星数情報を生成する同時探索可能衛星数情報生成ステップと、前記端末装置が、前記同時探索可能衛星数情報に示される前記位置情報衛星の数が、測位可能な測位可能衛星数か否かによって測位可能性を判断する測位可能性判断ステップと、前記端末装置が、前記測位可能性判断ステップにおいて前記測位可能性を否定する判断をしたときに、複数の位置情報衛星から位置関連情報を取得して現在位置を測位するための測位手段を有する端末装置が、前記複数の位置情報衛星から第1の捕捉対象衛星を決定する第1捕捉対象衛星決定ステップと、前記端末装置が、使用可能なすべての探索手段を使用して前記第1の捕捉対象衛星を捕捉する第1捕捉対象衛星捕捉ステップと、前記端末装置が、各前記位置情報衛星を捕捉するために保持している端末側同期周波数情報に示される前記第1の捕捉対象衛星に対応する端末側同期周波数と、前記第1の捕捉対象衛星を捕捉した周波数である第1捕捉周波数との差分である第1差分を示す第1差分情報を取得する第1差分情報取得ステップと、前記端末装置が、各前記位置情報衛星に対応する前記端末側同期周波数情報を前記第1差分情報によって補正して、前記測位に必要な測位必要数の前記位置情報衛星を捕捉する測位必要数位置情報衛星捕捉ステップと、を有することを特徴とする端末装置の制御方法によって達成される。
【0026】
第9の発明の構成によれば、第1の発明の構成と同様に、これにより、前回測位時のドリフトと、現在のドリフトが大きく異なる場合であっても、迅速に位置情報衛星を捕捉して測位することができる。
【0027】
前記目的は、第10の発明によれば、コンピュータに、複数の位置情報衛星から位置関連情報を取得して現在位置を測位するための測位手段を有する端末装置が、前記位置情報衛星が発信する発信周波数と、前回測位時に前記位置情報衛星を捕捉した前回捕捉周波数と、前回測位時における前記位置情報衛星と前記端末装置の相対移動によって生じる周波数変動と、に基づいて前回ドリフト情報を生成する前回ドリフト情報生成ステップと、前記端末装置が、前記前回測位時からの時間経過に基づいて、前記前回ドリフト情報の誤差範囲を示すドリフト誤差範囲情報を生成するドリフト誤差範囲情報生成ステップと、前記端末装置が、前記ドリフト誤差範囲情報に基づいて、前記ドリフト誤差範囲を同時に探索するために必要な前記探索手段の数を示す必要探索手段数情報を生成する必要探索手段数情報生成ステップと、前記端末装置が、前記位置情報衛星を探索するために有するすべての探索手段の数を示す全探索手段数情報と前記必要探索手段数情報に基づいて、同時に探索可能な前記位置情報衛星の数を示す同時探索可能衛星数情報を生成する同時探索可能衛星数情報生成ステップと、前記端末装置が、前記同時探索可能衛星数情報に示される前記位置情報衛星の数が、測位可能な測位可能衛星数か否かによって測位可能性を判断する測位可能性判断ステップと、前記端末装置が、前記測位可能性判断ステップにおいて前記測位可能性を否定する判断をしたときに、複数の位置情報衛星から位置関連情報を取得して現在位置を測位するための測位手段を有する端末装置が、前記複数の位置情報衛星から第1の捕捉対象衛星を決定する第1捕捉対象衛星決定ステップと、前記端末装置が、使用可能なすべての探索手段を使用して前記第1の捕捉対象衛星を捕捉する第1捕捉対象衛星捕捉ステップと、前記端末装置が、各前記位置情報衛星を捕捉するために保持している端末側同期周波数情報に示される前記第1の捕捉対象衛星に対応する端末側同期周波数と、前記第1の捕捉対象衛星を捕捉した周波数である第1捕捉周波数との差分である第1差分を示す第1差分情報を取得する第1差分情報取得ステップと、前記端末装置が、各前記位置情報衛星に対応する前記端末側同期周波数情報を前記第1差分情報によって補正して、前記測位に必要な測位必要数の前記位置情報衛星を捕捉する測位必要数位置情報衛星捕捉ステップと、を実行させることを特徴とする端末装置の制御プログラムによって達成される。
【0028】
前記目的は、第11の発明によれば、コンピュータに、複数の位置情報衛星から位置関連情報を取得して現在位置を測位するための測位手段を有する端末装置が、前記位置情報衛星が発信する発信周波数と、前回測位時に前記位置情報衛星を捕捉した前回捕捉周波数と、前回測位時における前記位置情報衛星と前記端末装置の相対移動によって生じる周波数変動と、に基づいて前回ドリフト情報を生成する前回ドリフト情報生成ステップと、前記端末装置が、前記前回測位時からの時間経過に基づいて、前記前回ドリフト情報の誤差範囲を示すドリフト誤差範囲情報を生成するドリフト誤差範囲情報生成ステップと、前記端末装置が、前記ドリフト誤差範囲情報に基づいて、前記ドリフト誤差範囲を同時に探索するために必要な前記探索手段の数を示す必要探索手段数情報を生成する必要探索手段数情報生成ステップと、前記端末装置が、前記位置情報衛星を探索するために有するすべての探索手段の数を示す全探索手段数情報と前記必要探索手段数情報に基づいて、同時に探索可能な前記位置情報衛星の数を示す同時探索可能衛星数情報を生成する同時探索可能衛星数情報生成ステップと、前記端末装置が、前記同時探索可能衛星数情報に示される前記位置情報衛星の数が、測位可能な測位可能衛星数か否かによって測位可能性を判断する測位可能性判断ステップと、前記端末装置が、前記測位可能性判断ステップにおいて前記測位可能性を否定する判断をしたときに、複数の位置情報衛星から位置関連情報を取得して現在位置を測位するための測位手段を有する端末装置が、前記複数の位置情報衛星から第1の捕捉対象衛星を決定する第1捕捉対象衛星決定ステップと、前記端末装置が、使用可能なすべての探索手段を使用して前記第1の捕捉対象衛星を捕捉する第1捕捉対象衛星捕捉ステップと、前記端末装置が、各前記位置情報衛星を捕捉するために保持している端末側同期周波数情報に示される前記第1の捕捉対象衛星に対応する端末側同期周波数と、前記第1の捕捉対象衛星を捕捉した周波数である第1捕捉周波数との差分である第1差分を示す第1差分情報を取得する第1差分情報取得ステップと、前記端末装置が、各前記位置情報衛星に対応する前記端末側同期周波数情報を前記第1差分情報によって補正して、前記測位に必要な測位必要数の前記位置情報衛星を捕捉する測位必要数位置情報衛星捕捉ステップと、を実行させることを特徴とする端末装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体によって達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0030】
図1は、本発明の実施の形態である端末30等を示す概略図である。
図1に示すように、端末30は、複数の位置情報衛星である例えば、GPS衛星12a,12b,12c及び12dから位置関連情報を取得して現在位置を測位するための測位手段である例えば、GPS装置40を有する。
図1に示すように、GPS装置40は、GPS衛星12a等からそれぞれ信号S1等を受信する。
端末30は例えば、携帯電話機であるが、PHS(Personal Handy−phone System)、PDA(Personal Digital Assistance等であってもよい。
なお、GPS衛星12a等の数は、4個に限らず例えば、5個以上であってもよい。
【0031】
(端末30の主なハードウエア構成について)
図2は端末30の主なハードウエア構成を示す概略図である。
図2に示すように、端末30は、例えばコンピュータを有しており、コンピュータは、バス32を有し、バス32には、CPU(Central Processing Unit)34、記憶装置36が接続されている。CPU34は所定のプログラムの処理を行う他、バス32に接続された記憶装置36等を制御する。記憶装置36は例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等である。
【0032】
また、このバス32には、図示しない基地局及び通信網を介して通信するための通信装置42が接続されている。
さらに、このバス32は各種情報を表示するための表示装置44が接続されている。
【0033】
さらに、このバス32には上述のGPS装置40が接続されている。
図2に示すように、GPS装置40は、GPS衛星12a等(図1参照)を捕捉するための同期周波数を生成するための基礎となる周波数を生成する発振器である例えば水晶発振器41を有する。
また、GPS装置40はGPS衛星12a等を探索(サーチ)するための探索手段である例えば、探索ユニット40a乃至40tを有する。この探索ユニット40a等は、水晶発振器41の振動による周波数を変調して後述する同期周波数を生成し、その同期周波数を使用してGPS衛星12a等をサーチするための構成である。すなわち、探索ユニット40a等は、同期周波数を生成して、GPS衛星12a等からの信号S1等(図1参照)を捕捉できるように構成されている。
この探索ユニット40a乃至40tは、GPS衛星12a等を捕捉した後の、追尾にも使用される。
【0034】
なお、周波数のサーチと、GPS衛星12a等のサーチは同義で使用する。
各探索ユニット40a等は、一度に一つの周波数を使用することができる。
したがって、例えば合計20個の探索ユニット40a等を有するGPS装置40は、同時に20の周波数を使用することができる。すなわち、GPS装置40は、同時に20のGPS衛星12a等をサーチすることができる。
ここで、同時に(又は一度に)サーチする周波数の数をサーチパワーと呼ぶ。
以下、図3を使用して、サーチの前提となるGPS衛星12a等からの信号周波数について説明する。
【0035】
図3は、GPS衛星12aからの信号周波数等を示す概念図である。
GPS衛星12a等からの信号を取得するためには、GPS装置40は各衛星の周波数に同期する必要がある。しかし、各衛星やGPS装置40の位置が相対的に変動することによるドップラー効果と、GPS装置40の側の同期周波数を作成している水晶発振器41の仕様上の振動数が変動することによって、GPS衛星12a等から発信される信号S1と、GPS装置40が同期すべき周波数が、以下に説明するように、異なる場合がある。
【0036】
例えば、周波数を示す図3の直線LH上の点H0は、GPS衛星12aが発信する信号S1(図1参照)の周波数を示す。GPS装置40の位置における信号S1の周波数は、ドップラー効果DPによってH1まで変化する。
【0037】
しかし、GPS装置40は信号S1を周波数H1の信号とは必ずしも認識しない。
これは、上述したように、GPS装置40が生成する周波数のずれによって、GPS装置40は信号S1の周波数をSH1aと認識するからである。すなわち、周波数SH1aは、GPS装置40の位置における周波数ではなく、GPS装置40が認識するみかけの周波数である。GPS装置40が、信号S1をサーチするためには、このみかけの周波数SH1aと同期する必要がある。言い換えると、GPS装置40が信号S1を捕捉した場合には、みかけの周波数SH1aと同期したことになる。よって、みかけの周波数SH1aを、捕捉周波数とも呼ぶ。
上述の、GPS装置40側の周波数のずれを一般にドリフトと呼ぶ。すなわち、ドップラー効果DPによって変化した周波数H1と捕捉周波数SH1aとの差がドリフトである。
周波数H1から周波数SH1aへの変化(全ドリフトと呼ぶ)は、GPS装置40側の要因によるものであるが、図3に示すように、この全ドリフトは、予め推定されている周波数のずれである初期推定ドリフトD1と、ドリフト誤差D2を含む。
次に、ドリフトの詳細な意味について、図4使用して説明する。
【0038】
図4は、ドリフトを説明するための概念図である。
まず、図4(a)を使用して、GPS衛星12a等が有する絶対時間と、GPS装置40を有する端末30にとっての時間のずれについて説明する。この時間のずれが、ドリフト発生の前提となる。
【0039】
図2の水晶発振器41の仕様振動数は例えば、雰囲気温度が摂氏25度(℃)である場合において、T1秒間(絶対時間の1秒間)にH1(例えば、27.456×10)回である。すなわち、水晶発振器41の仕様周波数はH1ヘルツ(Hz)である。これは、GPS装置40は、水晶発振器41のH1回の振動がGPS装置40にとっての1秒間に該当すると認識することを意味する。そして、水晶発振器41が仕様周波数H1ヘルツを維持する限り、GPS装置40にとっての1秒間は、絶対時間の1秒間T1と等しい。
【0040】
ところが、水晶発振器41の振動性能は温度変化によって変動し例えば、図4(a)に示すように、周波数がA(例えば、10)ヘルツ(Hz)ずれ、T1秒間経過する前に、H1回振動する場合がある。この場合、水晶発振器41は、T1秒間にはH1+A回(H11回)振動する。すなわち、H11回の振動が絶対時間の1秒間T1に該当する。
【0041】
一方、GPS装置40にとっての1秒間は、水晶発振器41がH1回振動した時点で経過している。これは、GPS装置40にとっての1秒間は絶対時間T1のH1/H11であるT2であることを意味する。上述のように、H1が27.456×10、Aが10だとすれば、GPS装置40にとっての1秒間であるT2はH1/H11であるから絶対時間では、0.999999636秒である。
【0042】
このように、GPS装置40側の時間と絶対時間にずれが生じるために、以下に説明するように、GPS装置40の位置における信号の周波数とGPS装置40が認識する周波数にもずれが生じる。
【0043】
次に、図4(b)を使用して、さらに、ドリフトについて説明する。
図4(b)に示すように例えば、GPS衛星12aからの信号S1は、端末30の位置では、1秒間にSH1(例えば、1575.42×10)回振動する。すなわち、信号S1は、端末30の位置ではSH1ヘルツ(Hz)である。
【0044】
しかし、図4(a)を使用して説明したGPS装置40にとっての、1秒間であるT2においては、信号S1はSH1×T2(例えば、1575.419426×10)回しか振動しない。すなわち、絶対時間の1秒間T1においてSH1回振動する信号S1は、GPS装置40にとっての1秒間であるT2にはSH1×T2回しか振動しない。
すなわち、信号S1の絶対時間の1秒間T1における周波数とGPS装置40が認識する1秒間T2における周波数にずれBが生じる。
この周波数のずれBが、一般にドリフト又はドリフト量と呼ばれるものであり、図3の初期推定ドリフトD1及びドリフト誤差D2に該当する。
【0045】
GPS装置40が信号S1をサーチし、衛星12aを捕捉するためには、信号S1の絶対時間T1における周波数SH1ヘルツ(Hz)ではなくて、GPS装置40が認識する1秒間T2における周波数SH1×T2ヘルツ(Hz)の信号をサーチする必要がある。すなわち、みかけの受信周波数SH1aの信号をサーチする必要がある。
【0046】
GPS装置40は、測位開始時においては、初期推定ドリフトD1を示す情報は保持しているが、ドリフト誤差D2は把握できず、ドップラー効果DPと初期推定ドリフトD1を考慮した周波数H2を同期周波数としてサーチを開始する。なお、同期周波数を初期サーチ周波数とも呼ぶ。
GPS装置40は、予め規定されている周波数間隔(サーチステップ)である例えば、50ヘルツ(Hz)間隔において、第1のサーチSr1、第2のサーチSr2というように同期周波数H2を中心として各周波数のサーチを実施して例えば、第8のサーチSr8において周波数SH1aと同期し、GPS衛星12aを捕捉する。
ここで、図3に示すように、初期サーチ周波数H2がみかけの受信周波数SH1a(図3参照)が近いほどサーチ数は少なくてすみ、初期サーチ周波数H2がみかけの受信周波数SH1a(図3参照)が遠いほどサーチ数は多く必要になる。そして、ドップラー効果DPは、GPS装置40が一定の位置にあればGPS衛星12a等の衛星軌道情報によって計算できるから、ドリフト誤差D2が小さいほど、初期サーチ周波数Hをみかけの受信周波数SH1a(図3参照)と近くすることができる。ドリフト誤差D2が小さいということは言いかえると、初期推定ドリフトD1の信頼度が大きいということである。
みかけの受信周波数SH1aの信号をサーチするときに、この初期推定ドリフトD1の信頼性を考慮すると、以下に説明するようにGPS装置40の制御を効率的に実施し、迅速な測位が可能となる。
【0047】
初期推定ドリフトD1の信頼性を考慮して実施するみかけの受信周波数のサーチは、以上に説明した端末30の主なハードウエア構成と以下に説明するソフトウエア構成によって行われる。
【0048】
(端末30の主なソフトウエア構成について)
図5は、端末30の主なソフトウエア構成等を示す概略図である。
図5に示すように端末30は、各部を制御する制御部100、図2の通信装置42に対応する通信部102、表示装置44に対応する表示部104及びGPS装置40に対応する測位部106、図2の時計46に対応する計時部108を有する。
【0049】
さらに、端末30は、各種プログラムを格納する第1記憶部110、各種情報を予め格納する第2記憶部150、端末30が取得又は生成した情報を格納する第3記憶部160を有する。
図5に示すように、端末30は、第3記憶部160に、初期推定ドリフト情報162を格納している。初期推定ドリフト情報162は、図3の初期推定ドリフトD1を示す情報であり例えば、前回測位時における実際のドリフトを示す情報である。初期推定ドリフトD1を示す初期推定ドリフト情報162は、図3を参照して説明すると例えば、GPS衛星12aが発信する発信周波数H0と、前回測位時にGPS衛星12aを捕捉した捕捉周波数SH1aと、前回測位時におけるGPS衛星12aと端末30の相対移動によって生じるドップラー効果DPと、に基づいて生成されている。
初期推定ドリフト情報162は、前回ドリフト情報の1例であり、第3記憶部160は前回ドリフト情報格納手段の1例である。
【0050】
図5に示すように、端末30は、第1記憶部110に、ドリフト誤差範囲決定プログラム112を格納している。ドリフト誤差範囲決定プログラム112は、制御部100が、前回測位時からの時間経過に基づいて、上述の初期推定ドリフトD1の誤差範囲(以後、ドリフト誤差範囲と呼ぶ)を示すドリフト誤差範囲情報166を生成するための情報である。すなわち、ドリフト誤差範囲決定プログラム112と制御部100は、ドリフト誤差範囲情報生成手段の1例である。
ドリフト誤差範囲決定プログラム112は、第2記憶部150に格納されている初期推定ドリフト信頼度時間遷移情報152に基づいている。
【0051】
図6は、初期推定ドリフト信頼度時間遷移情報152の1例を示す図である。
図7は、ドリフト誤差範囲情報166の1例等を示す図である。
図6に示すように、初期推定ドリフトD1の信頼度は、初期推定ドリフトD1に示される周波数からの乖離によって表現される。図6に示すように、前回測位時の終了時には初期推定ドリフトD1からの乖離が0ヘルツ(Hz)であって初期推定ドリフトD1の信頼度は大きい。そして、前回測位時からの時間が長く経過するにつれて、初期推定ドリフトD1に示される周波数からの乖離が大きくなり例えば、2分経過時にはプラスマイナス(±)150ヘルツ(Hz)の乖離となる。すなわち、前回測位時からの時間経過が長いほど初期推定ドリフトD1の信頼度は小さくなる。
なお、図6に示す初期推定ドリフトD1の信頼度の遷移を示す情報は、実験的に得られた数値の1例を示している。
【0052】
制御部100は、ドリフト誤差範囲決定プログラム112に基づいて、第3記憶部160に格納した前回測位時刻情報164と計時部108によって取得した現在時刻情報によって、前回測位時からの経過時間を示す経過時間情報を取得し、上述の初期推定ドリフト信頼度遷移情報152を参照して、ドリフト誤差範囲情報166を生成する。
制御部100は、生成したドリフト誤差範囲情報166(図7(a)参照)を第3記憶部160に格納する。
【0053】
図5に示すように、端末30は、第1記憶部110に、サーチパワー決定プログラム114を格納している。サーチパワー決定プログラム114は、制御部100が、ドリフト誤差範囲情報166に基づいて、ドリフト誤差範囲を同時にサーチするために必要な探索ユニット40a等(図2参照)の数を示す必要サーチパワー情報168を生成するための情報である。必要サーチパワー情報168は必要探索手段数情報の1例であり、サーチパワー決定プログラム114と制御部100は必要探索手段数情報生成手段の1例である。
【0054】
制御部100は、サーチパワー決定プログラム114に基づいて、ドリフト誤差範囲情報166が例えば、図7(a)に示されるようにドリフト誤差範囲Xがプラスマイナス(±)150ヘルツ(Hz)であれば、上述のように探索ユニット40a等のサーチステップは例えば、50ヘルツ(Hz)であるから、7個を示す必要サーチパワー情報168(図7(b)参照)を生成し、生成した必要サーチパワー情報168を第3記憶部160に格納する。
【0055】
図5に示すように、端末30は、第1記憶部110に、サーチ衛星数決定プログラム116を格納している。サーチ衛星数決定プログラム116は、制御部100が、端末30が有するすべての探索ユニット40a等の数と上述の必要サーチパワー情報168に基づいて同時にサーチ可能なGPS衛星12a等の数を示す同時サーチ可能衛星数情報170を生成するための情報である。同時サーチ可能衛星数情報170は同時探索可能衛星数情報の1例であり、サーチ衛星数決定プログラム116と制御部100は、同時探索可能衛星数情報生成手段の1例である。
【0056】
制御部100は、サーチ衛星数決定プログラム116に基づいて、端末30が有するすべての探索ユニット40a等の数(例えば、20個)を示す探索ユニット数情報156と、例えば、7個を示す必要サーチパワー情報168に基づいて、同時にサーチ可能なGPS衛星12a等の数として2個を示す同時サーチ可能衛星数情報170(図7(c)参照)を生成し、第3記憶部160に格納する。なお、第2記憶部150に格納されている探索ユニット数情報156は、全探索手段数情報の1例である。
【0057】
図5に示すように、端末30は、第1記憶部110に、サーチモード決定プログラム118を格納している。サーチモード決定プログラム118は、制御部100が、上述の同時サーチ可能衛星数情報170に示されるGPS衛星12a等の数が、測位可能な測位可能衛星数か否かによって測位可能性を判断し、測位可能性の有無によってGPS装置40のサーチモードを決定するための情報である。すなわち、サーチモード決定プログラム118と制御部100は、測位可能性判断手段の1例である。
【0058】
制御部100は、サーチモード決定プログラム118に基づいて、同時サーチ可能衛星数情報170に示されるGPS衛星12a等の数が3次元測位に必要な4個未満である例えば、2個である場合には、測位可能性を否定する判断を行う。そして、制御部100は、測位可能性を否定する判断を行った場合には、後述のドリフトサーチモードを実行した後に測位実行する。ドリフトサーチモードは、決定したGPS衛星12a等の数及びサーチパワーで、ドリフト誤差D2(図3参照)を決定する動作モードである。
これに対して、制御部100は、同時サーチ可能衛星数情報170に示されるGPS衛星12a等の数が3次元測位に必要な4個以上である例えば、6個である場合には、測位可能性を肯定する判断を行う。そして、制御部100は、測位可能性を肯定する判断を行った場合には、ドリフトサーチモードを実行することなく、後述の衛星サーチモードを実行する。衛星サーチモードは、決定したGPS衛星12a等の数及びサーチパワーで、測位し、現在位置を出力する動作モードである。
ここで、図8を使用して、上述のドリフト誤差範囲決定プログラム112等によって生成される情報について、測位可能性が否定される例を使用して整理しておく。
【0059】
図8は、端末30が生成する各種情報の1例等を示す図である。
例えば、ドリフト誤差範囲決定プログラム112に基いて生成されたドリフト誤差範囲情報160に示されるドリフト誤差範囲がプラスマイナス(±)200ヘルツ(Hz)の場合、サーチステップが50ヘルツ(Hz)であれば、同時に又は一回でそのドリフト誤差をカバーするためには9個の探索ユニット40a等(図2参照)が必要である。従って、サーチパワー決定プログラム114に基いて生成される必要サーチパワー情報168に示される必要サーチパワーは9個である。そして、例えば1個のGPS衛星12aについて9個の探索ユニット40a等が必要であるから、合計で20個の探索ユニット40a等を有する端末30は、同時に2個のGPS衛星12a等をサーチすることが可能である。従って、サーチ衛星数決定プログラム116に基いて生成される同時サーチ可能衛星数情報170に示される同時サーチ可能衛星数は2個である。
そして、同時サーチ可能衛星数は2個であり、3次元測位に必要な4個以上であるから、端末30はサーチモード決定プログラム118に基いて測位可能性を否定する判断をし、ドリフトサーチモードの実行後に測位を実行する。
【0060】
上述のように、端末30が測位可能性を否定する判断をすると、ドリフトサーチモードを実行する。このドリフトサーチモードを実行するために、端末30は以下のソフトウエア構成を有する。
まず、図5に示すように、端末30は、同期周波数情報生成プログラム122を有する。同期周波数情報生成プログラム122は、制御部100が、各GPS衛星12a等から発信される信号S1等の周波数と、各GPS衛星12a等ごとに異なるドップラー効果DP(図3参照)と、各GPS衛星12a等に共通な初期推定ドリフトD1(図3参照)に基づいて、同期周波数情報176を生成するための情報である。
制御部100は、生成した同期周波数情報176を第3記憶部160に格納する。
この同期周波数情報176は、ドリフトサーチモードを実行するためにも使用されるが、後述の衛星サーチモードを実行するためにも使用される。
【0061】
同期周波数情報176は、制御部100が、測位部106によってGPS衛星12a等を捕捉するための同期周波数を示す情報である。すなわち、同期周波数情報176は、GPS衛星12a等を捕捉するための端末側同期周波数を示す同期周波数情報の一例であり、第3記憶部160は同期周波数情報格納手段の一例である。
なお、本実施の形態とは異なり、同期周波数を信号S1等の発信時の周波数とドップラー効果のみに基づいて設定するように構成してもよい。すなわち、図3の周波数H1を同期周波数として設定してもよい。
【0062】
図9は、図5のドリフトサーチモードプログラム130の詳細を示す図である。
図9に示すように、ドリフトサーチモードプログラム130は、第1捕捉対象衛星決定プログラム132を含む。第1捕捉対象衛星決定プログラム132は、制御部100が、図1のGPS衛星12a等のうち、第1番目に探索して捕捉する対象となるGPS衛星(第1捕捉対象衛星)を決定するための情報である。すなわち、第1捕捉対象衛星決定プログラム132と制御部100は、複数のGPS衛星12a等から第1の捕捉対象衛星を決定する第1捕捉対象衛星決定手段の一例である。
【0063】
具体的には、制御部100は、第3記憶部160に格納されている概位置情報172と衛星軌道情報174に基づいて、各GPS衛星12a等の仰角等を算出し、信号強度が高く、最も迅速に捕捉できると推測されるGPS衛星を第1捕捉対象衛星に決定する。概位置情報172は、端末30のおおよその位置を示す情報であり例えば、前回の測位時における測位位置を示す情報である。衛星軌道情報174は、前回の測位時等にGPS衛星12a等から受信して保持しているGPS衛星12a等の軌道等を示す情報である。
【0064】
ドリフトサーチモードプログラム130は、図9に示すように、第1捕捉対象衛星捕捉プログラム134を含む。第1捕捉対象衛星捕捉プログラム134は、制御部100が、上述の第1捕捉対象衛星である例えば、GPS衛星12aを捕捉するための情報である。制御部100は、第1捕捉対象衛星捕捉プログラム134に従って、使用可能なすべての探索ユニット40a等を使用してGPS衛星12aを捕捉する。
すなわち、第1捕捉対象衛星捕捉プログラム134と制御部100は、使用可能なすべての探索ユニット40a等(図2参照)を使用して第1補足対象衛星を捕捉する第1捕捉対象衛星捕捉手段の一例である。
【0065】
図10、図11及び図12は、サーチ状態の一例を示す図である。
図10は、端末30が行うサーチとの比較のために、一般的なサーチの1例を示している。
すなわち、図10に示すように、同期周波数情報176に示される各GPS衛星12a等ごとの同期周波数(初期サーチ周波数)H2a乃至H2dを基準に、図2の探索ユニット40a乃至40tをGPS衛星12a乃至12dに分散して、それぞれサーチすると、各GPS衛星12a等を捕捉するために必要な時間tは4必要になる。端末30は、ここで説明した図10に示すようなサーチは行わない。
【0066】
図11は、端末30が行うサーチの状態の一例を示している。
図11に示すように、端末30の制御部100は、第1捕捉対象衛星決定プログラム132に基づいて、最も迅速に捕捉できると推測されるGPS衛星である例えば、GPS衛星12aを第1捕捉対象衛星に決定し、第1捕捉対象衛星捕捉プログラム134に基づいて、使用可能なすべての探索ユニット40a等(図2参照)を使用してGPS衛星12aを捕捉する。サーチパワーを分散せず、すべての探索ユニット40a等を使用してGPS衛星12aをサーチして捕捉するから、GPS衛星12aを捕捉するために必要な時間tは1で足りる。
このとき、GPS衛星12a以外のGPS衛星12b等のサーチは行わない。
測位部106がGPS衛星12aをサーチして捕捉した際の周波数を第1捕捉周波数と呼ぶ。この第1捕捉周波数は、同期周波数情報176に示される周波数とは必ずしも同一ではない。
【0067】
図9に示すように、ドリフトサーチモードプログラム130は、第1ドリフト誤差情報生成プログラム136を有する。第1ドリフト誤差情報生成プログラム136は、制御部100が、同期周波数情報176に示されるGPS衛星12aに対応する同期周波数と、上述の第1捕捉周波数との差分を示す差分情報を生成するための情報である。すなわち、第1ドリフト誤差情報生成プログラム136と制御部100は、第1差分情報取得手段の1例である。
【0068】
具体的には、制御部100は、第1ドリフト誤差情報生成プログラム136に基づいて、同期周波数情報176に示される同期周波数である図10の初期サーチ周波数H2と第1捕捉周波数SH1aとの差分であるドリフト誤差D2を示す第1ドリフト誤差情報178を生成する。
そして、生成した第1ドリフト情報178を、図5の第3記憶部160に格納する。
第1ドリフト情報178に示される同期周波数(初期サーチ周波数)H2a(図11参照)と第1捕捉周波数SH1aの周波数のずれD2(図11参照)を第1ドリフト誤差と呼ぶ。
端末30は、第1ドリフト情報178を生成すると、以下に説明するように、測位を行う。
【0069】
また、図9に示すように、ドリフトサーチモードプログラム130は、測位必要数衛星捕捉プログラム138を有する。測位必要数衛星捕捉プログラム138は、制御部100が、第1ドリフト誤差情報178に基づいて、測位に必要な測位必要数のGPS衛星12b等を捕捉するための情報である。すなわち、測位必要数衛星捕捉プログラム138と制御部100は、測位必要数衛星捕捉手段の一例である。
【0070】
具体的には、制御部100は、第1ドリフト誤差情報178(図5参照)に基づいて、測位に必要な測位必要数のGPS衛星12b等を、図12に示すように、同期周波数としてSH1b等を使用してサーチする。すなわち、各GPS衛星12b等の当初の初期サーチ周波数H2b等を第1ドリフト情報178に示される第1ドリフト誤差によって補正して、補正後の新たな同期周波数を使用してサーチする。
制御部100は、図5の概位置情報172と衛星軌道情報174によって、各GPS衛星12b等からの信号のドップラー効果は算出することができ、また、測位必要数衛星捕捉プログラム138に基づいて、第1ドリフト誤差情報178はGPS装置40側の情報であるからGPS衛星12a以外のGPS衛星12b等のサーチにも共通して使用する。 上述のように、第1ドリフト誤差情報178は、実測によって得た情報であるから正確であり、これに基づいて設定される、同期周波数SH1b等も実際に受信する周波数と極めて近い。このため、GPS衛星12b等の捕捉は、サーチパワーを分散しても迅速に完了することができる。
すなわち、GPS衛星12b等の捕捉が例えば、時間tが1で足りる。これにより、第1捕捉対象衛星12aを捕捉する時間tを1とすると、他のGPS衛星12b等を捕捉するまでの時間tは2で足りる。
【0071】
以上で、端末30が測位可能性を否定する判断をした場合に機能する構成の説明をしたが、端末30が測位可能性を否定する判断をした場合には、ドリフトサーチモードを実行することなく、衛星サーチモードプログラム149(図5参照)に基づいて衛星サーチモードを実行する構成となっている。
具体的には、図5の制御部100は、衛星サーチモードプログラム149に基づいて、同時にサーチできる最大限度の数のGPS衛星12a等をサーチする。
【0072】
例えば、3次元測位のために4個のGPS衛星12a等を捕捉するためにすべての探索ユニット40a等の数である20個を等分して、5個の探索ユニット40a等でGPS衛星12a等を捕捉して測位すると、3次元測位に必要な4個のGPS衛星12a等しか同時に捕捉することができない。
これに対して、上述のように、端末30は、図2のGPS装置40が有するすべての探索ユニット40a等の数を示す探索ユニット数情報156と必要サーチパワー情報168(図5参照)に基づいて同時にサーチ可能なGPS衛星12a等の数を示す同時サーチ可能衛星数情報170を生成する。
同時にサーチ可能なGPS衛星12a等の数は、4個以上である例えば、6個である場合もある。すなわち、端末30が同時にサーチできるGPS衛星12a等の数が例えば、3次元測位のために必要な4個よりも多い場合がある。このような場合においては、最大限度の数である6個のGPS衛星12a等をサーチして測位する方が、4個だけをサーチして測位するよりも、端末30がGPS衛星12a等から取得し得る情報量が多いから、測位精度が向上する。しかも、測位時間は、20個を等分して、5個の探索ユニット40a等で4個のGPS衛星12a等を捕捉して測位する場合と同等である。
この点、端末30は、測位可能性を肯定する判断結果に基づいて、同時にサーチできる最大限度の数のGPS衛星12a等を探索する構成となっているから、迅速に、かつ、測位精度が高い測位結果を取得することができる。
【0073】
(本実施の形態の端末30の動作例等について)
以上のように、端末30は構成されるが、以下その動作例を説明する。
図13、図14及び図15は端末30の動作例を示す概略フローチャートである。
端末30は、図2の入力装置38によって測位の指示を取得すると、初期推定ドリフト情報162を取得する(ステップST1)。この初期推定ドリフト情報162は、前回終了時において生成され、図5の第3記憶部160に格納されている。前回終了時において初期推定ドリフト情報162を生成するステップは、前回ドリフト情報生成ステップの1例である。
【0074】
続いて、端末30は、図5の前回測位時刻情報164に示される前回測位時からの時間経過に基づいて、初期推定ドリフト情報162に示される初期推定ドリフトD1の誤差範囲を示すドリフト誤差範囲情報166を生成する(ステップST2)。このステップST2は、ドリフト誤差範囲情報生成ステップの1例である。
【0075】
続いて、端末30は、図5のドリフト誤差範囲情報166に基づいて、ドリフト誤差範囲を同時にサーチするために必要な探索ユニット40a等(図2参照)の数を示す必要サーチパワー情報168を生成する(ステップST3)。このステップST3は、必要探索手段数情報生成ステップの1例である。
【0076】
続いて、端末30は、探索ユニット数情報156と必要サーチパワー情報168に基づいて、同時にサーチ可能なGPS衛星12a等の数を示す同時サーチ可能衛星数情報170(図5参照)を生成する(ステップST4)。このステップST4は、同時探索可能衛星数情報生成ステップの1例である。
【0077】
続いて、端末30は、同時サーチ可能衛星数情報170に示されるGPS衛星12a等の数が、測位可能な測位可能衛星数か否かによって測位可能性を判断する(ステップST5)。このステップST5は、測位可能性判断ステップの1例である。
【0078】
ステップST5において、端末30が、測位可能性を否定する判断をしたときには、ドリフトサーチを実行する(ステップST6)。このステップST6における端末30の詳細な動作例を図14に示す。
ステップST61では、図1の端末30は、図5の概位置情報172と衛星軌道情報174に基づいて、GPS衛星12a等のうち、最も迅速に捕捉可能と推測される例えば、GPS衛星12aを第1の捕捉対象衛星に決定する。
すなわち、ステップST61は、第1捕捉対象衛星決定ステップの1例である。
【0079】
続いて、端末30は、すべてのサーチパワーを使用して、第1の捕捉対象衛星であるGPS衛星12aをサーチによって捕捉する工程を開始する(ステップST62)。
すなわち、ステップST62は、第1捕捉対象衛星捕捉ステップの1例である。
ステップST62では、図10の同期周波数H2を初期サーチ周波数としてサーチを開始する。
【0080】
続いて、端末30は、第1の捕捉対象衛星であるGPS衛星12aを捕捉できたか判断し(ステップST63)、捕捉できた場合には、第1ドリフト誤差(図10参照)を見積もり(ステップST64)、第1ドリフト誤差を決定する(ステップST65)。
上述のステップST64は、第1差分情報取得ステップの1例である。
制御部100は、第1ドリフト誤差を、同期周波数である初期サーチ周波数H2と、GPS衛星12aを捕捉した捕捉周波数SH1aとの差分として見積もる。
【0081】
続いて、端末30は、追尾用のサーチパワーを使用して、第1の捕捉対象衛星であるGPS衛星12aを追尾する(ステップST66)。追尾用のサーチパワーは、一部のサーチパワーである例えば、図2の探索ユニット40a等を4つ使用する。
【0082】
続いて、端末30は、測位必要数の衛星を捕捉する(ステップST67)。このとき、第1ドリフト誤差情報178を利用する。このステップST67は、測位必要数衛星捕捉ステップの1例である。
3次元測位の場合は、測位のためには4個以上のGPS衛星12a等が必要であるが、
ステップST66において、GPS衛星12aは追尾済みなので、測位のために新たに必要なGPS衛星12b等は3個以上である。そして、GPS衛星12b等は、図12に示すように、初期サーチ周波数H2b等を第1ドリフト誤差情報178によって補正した新たな同期周波数SH1b等を使用するから、迅速に捕捉することができる。
【0083】
なお、本実施の形態とは異なり、端末30は、測位必要数以上のGSP衛星12a等から信号を受信し、そのうちから、測位誤差の少ないGPS衛星12a等を選択して測位するようにしてもよい。また、ステップST66とステップST67は、並行して実施するようにしてもよい。
【0084】
測位に成功すると(ステップST68)、端末30が現在位置を算出し(ステップST69)、図5の表示部104によって現在位置を表示して終了する。
上述のように、端末30は、使用可能なすべての探索手段を使用して第1の捕捉対象衛星である例えば、GPS衛星12aを捕捉するから、サーチパワーを分散する場合よりも、短時間で1個のGPS衛星12aを捕捉し得る。
そして、GPS衛星12aを捕捉すると、GPS受信機40がその捕捉のために使用した周波数である第1捕捉周波数SH1aがわかる。この第1捕捉周波数SH1aと同期周波数H2との差分を示す第1ドリフト誤差情報178に基づいて、測位必要数(例えば、GPS衛星12a以外に3個)のGPS衛星12b等を捕捉するのである。
第1ドリフト誤差情報178に基づいて同期周波数のずれを補正し、迅速に第2個目以降のGPS衛星12b等を捕捉し、測位することができる。
これにより、前回測位した時の同期周波数のずれと、現在の同期周波数のずれが大きく異なる場合であっても、迅速にGPS衛星12a等を捕捉して測位することができる。
【0085】
また、端末30は、水晶発振器ごとに特有のドリフト量と温度との関係を示すデータと温度を測定する回路を設ける必要もないから、小型化、コストの低下が可能である。
【0086】
以上で説明した動作例と異なり、図13のステップST5において、端末30が、同時にサーチ可能なGPS衛星12a等の数が、測位可能な衛星数であると判断した場合には、衛星サーチを実行する(ステップST7)。
衛星サーチにおける端末30の詳細な動作例を図15に示す。
まず、端末30は、同時にサーチできる最大限度の数のGPS衛星12a等を捕捉対象衛星に決定する(ステップST71)。
【0087】
そして、探索ユニット40a等を、捕捉対象衛星数で等分し、各捕捉対象衛星に分配する(ステップST72)。
続いて、端末30は、測位に成功したと判断すると(ステップST73)、図2の表示装置44に現在位置を表示することによって出力する(ステップST74)。
上述のように、端末30が同時にサーチできるGPS衛星12a等の数が例えば、3次元測位のために必要な4個よりも多い場合においては、最大限度の数である6個のGPS衛星12a等をサーチして測位する。これにより、測位可能衛星数である例えば、4個だけをサーチして測位するよりも、端末30がGPS衛星12a等から取得し得る情報量が多いから、測位精度が向上する。しかも、測位時間は、20個を等分して、5個の探索ユニット40a等で4個のGPS衛星12a等を捕捉して測位する場合と同等である。
【0088】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について、説明する。
第2の実施の形態における端末31の構成は、上記第1の実施の形態の端末30と多くの構成が共通するため共通する部分は同一の符号等とし、説明を省略し、以下、相違点を中心に説明する。
【0089】
図16は第2の実施の形態に係る端末31の主なソフトウエア構成等を示す概略図である。
図16に示すように、第2の実施の形態においては、端末31の第1記憶部110には、ドリフトサーチモードプログラム131が格納されているが、図17を使用して以下に説明するように、ドリフトサーチモードプログラム131の内容は、第1の実施の形態のドリフトサーチモードプログラム130とは異なる。
【0090】
図17に示すように、ドリフトサーチモードプログラム131は、第2捕捉対象衛星決定プログラム140を含む。第2捕捉対象衛星決定プログラム140は、制御部100が、第2の捕捉対象衛星を決定するための情報である。すなわち、第2捕捉対象衛星決定プログラム140と制御部100は、GPS衛星12a等から第2の捕捉対象衛星を決定する第2捕捉対象衛星決定手段の一例である。
第2捕捉対象衛星決定プログラム140に基づいて、制御部100は、図16の概位置情報172及び衛星軌道情報174を参照して、迅速に捕捉できると推測される例えば、GPS衛星12bを第2の捕捉対象衛星として決定する。
【0091】
ドリフトサーチモードプログラム131は、また、第2捕捉対象衛星捕捉プログラム142を含む。第2捕捉対象衛星捕捉プログラム142は、制御部100が使用可能なすべての探索ユニット40a等(図2参照)を使用して、第2の捕捉対象衛星を捕捉するための情報である。すなわち、第2捕捉対象衛星捕捉プログラム142と制御部100は、第2捕捉対象衛星捕捉手段の一例である。
【0092】
ここで、第1捕捉対象衛星である例えば、GPS衛星12aの追尾のために、一部のサーチパワー(以後、追尾必要サーチパワーと呼ぶ)である例えば、図2の探索ユニット40a乃至40eの5個は使用しているから、第2捕捉対象衛星である例えば、GPS衛星12bを捕捉するために使用可能なすべてのサーチパワーは、探索ユニット40f乃至40tの15個である。他のGPS衛星12c等はサーチしない状態で、この15個のサーチパワーで第2の捕捉対象衛星であるGPS衛星12bをサーチすることによって、GPS衛星12bを迅速に捕捉し得るのである。
【0093】
すなわち、第2捕捉対象衛星捕捉プログラム142に従って、制御部100は測位部106によって、追尾必要サーチパワーを除いた残りの探索手段を使用して第2の捕捉対象衛星を探索する。
なお、第1捕捉対象衛星であるGPS衛星12aを追尾する測位部106は、第1捕捉衛星追尾手段の一例である。
ここで、測位部106がGPS衛星12bをサーチして捕捉した際の周波数を第2捕捉周波数と呼ぶ。この第2捕捉周波数は、同期周波数情報176に示される同期周波数とは必ずしも同一ではない。また、上述の第1捕捉周波数とも必ずしも同一ではない。
【0094】
ドリフトサーチモードプログラム131は、また、第2ドリフト誤差情報生成プログラム144を含む。第2ドリフト誤差情報生成プログラム144は、制御部100が、同期周波数情報176に示される第2捕捉対象衛星であるGPS衛星12bに対応する同期周波数と、上述の第2捕捉周波数との差分を示す第2ドリフト誤差情報180を生成するための情報である。すなわち、第2ドリフト誤差情報生成プログラム144と制御部100は、第2差分情報取得手段の一例である。
第2ドリフト誤差情報生成プログラム144の具体的内容は、上述の第1ドリフト情報生成プログラム136と同様である。
制御部100は、生成した第2ドリフト誤差情報180を、図16の第3記憶部160に格納する。
【0095】
ドリフトサーチモードプログラム131は、また、ドリフト誤差確定プログラム146を含む。ドリフト誤差確定プログラム146は、制御部100が、第1ドリフト誤差情報178と第2ドリフト誤差情報180に基いて、ドリフト誤差を確定するための情報である。
【0096】
具体的には、制御部100はドリフト確定プログラム146に基づいて、図16の第1ドリフト誤差情報178に示される第1ドリフト誤差と、第2ドリフト誤差情報180に示される第2ドリフト誤差が同一範囲内にある場合に、第1ドリフト誤差情報178(又は第2ドリフト誤差情報180)が正確であるものと判断する。そして、制御部100は、第1ドリフト誤差情報178(又は第2ドリフト誤差情報180)をドリフト誤差確定値として、ドリフト誤差確定値を示すドリフト誤差確定値情報182を生成して、第3記憶部160に格納するのである。
【0097】
ここで、第1ドリフト誤差と第2ドリフト誤差が同一範囲にある場合とは以下の場合である。
すなわち、第1ドリフト誤差情報178が生成されてから第2ドリフト誤差情報180が生成されるまでの例えば、10秒間に変動すると予測されるドリフトを必然ドリフト変動と呼ぶ。この必然ドリフト変動の最大値は、端末31自身の発熱量や水晶発振器41の温度特性等によってその最大値を予測できる。そして、第1ドリフト誤差と第2ドリフト誤差の差分(以下、ドリフト差分と呼ぶ)が、必然ドリフト変動の最大値である例えば、40ヘルツ(Hz)以内であれば、第1ドリフト誤差と第2ドリフト誤差が同一範囲内にあるとみなす。なお、この40ヘルツ(Hz)という必然ドリフトの最大値は実験的に得られた値の1例である。
【0098】
ところで、例えば、図11に示すサーチSr1等は、所定の周波数間隔(サーチステップ)である例えば、50ヘルツ(Hz)間隔で行われている。
したがって、上述の必然ドリフト変動が、非常にわずかであっても、端末31が検出することができるドリフト差分の最小値は、サーチステップ単位である。
【0099】
そこで、端末31の制御部100は、上述のドリフト差分が、必然ドリフト変動の最大値とサーチステップのうち、大きい方以下であれば、第1ドリフト誤差と第2ドリフト誤差が同一範囲内にあると判断する。
すなわち、必然ドリフト変動の最大値が例えば、40ヘルツ(Hz)であって、サーチステップが例えば、50ヘルツ(Hz)であれば、ドリフト差分が50ヘルツ(Hz)以内であれば、第1ドリフト誤差と第2ドリフト誤差が同一範囲内にあると判断するのである。また、必然ドリフト変動の最大値が例えば、60ヘルツ(Hz)であって、サーチステップが例えば、50ヘルツ(Hz)であれば、ドリフト差分が60ヘルツ(Hz)以内であれば、第1ドリフト誤差と第2ドリフト誤差が同一範囲内にあると判断するのである。
【0100】
なお、本実施の形態とは異なり、必然ドリフト変動の最大値とサーチステップを比較することなく、ドリフト差分が必然ドリフト変動又はサーチステップ以内であれば、第1ドリフト誤差と第2ドリフト誤差が同一範囲内にあると判断するように構成してもよい。
【0101】
制御部100は、以上に説明した方法によって、第1ドリフト誤差と第2ドリフト誤差が同一範囲内にあると判断した場合には、第1ドリフト誤差情報178又は第2ドリフト誤差情報180をドリフト誤差確定値情報182として第3記憶部160に格納する。
【0102】
図17に示すように、ドリフトサーチモードプログラム131は、測位必要数衛星捕捉プログラム148を含む。測位必要数衛星捕捉プログラム148は、制御部100が、GPS衛星12c等に対応する初期サーチ周波数H2c等(図12参照)を第1ドリフト誤差情報178と第2ドリフト誤差情報180によって補正して、測位必要数のGPS衛星12c等を捕捉するための情報である。
具体的には、制御部100は、測位必要数衛星捕捉プログラム148に基いて、第1ドリフト誤差情報178と第2ドリフト誤差情報180が上述の同一範囲内にある場合に、GPS衛星12c等に対応する初期サーチ周波数H2c等(図12参照)を第1ドリフト誤差情報178又は第2ドリフト誤差情報180によって補正して、測位必要数のGPS衛星12c等を捕捉する。
【0103】
3次元測位の場合には、合計で4個以上のGPS衛星からの信号を受信することが必要であるが、図16の測位部106は、GPS衛星12a及びGPS衛星12bは捕捉済みなのでそのまま追尾する。したがって、測位に必要なGPS衛星の数は、GPS衛星12a及びGPS衛星12b以外に2個である。
追尾には上述したように例えば、1個のGPS衛星について5個の探索ユニット40a等(図2参照)を使用する。GPS衛星12a及びGPS衛星12bの2個の追尾のためには例えば、探索ユニット40a乃至40jの10個を使用する。そして、図2のGPS装置40が有するすべての探索ユニット40a等の合計20個から、GPS衛星12a及びGPS衛星12bの2個の追尾のために使用する10個を除いた残存サーチパワーである、10個の探索ユニット40k乃至40tを2個のGPS衛星に等分に使用して、2個のGPS衛星である例えば、GPS衛星12c及びGPS衛星12dをサーチして捕捉する。
すなわち、図16の制御部100は、測位必要数衛星捕捉プログラム148に基づいて、使用可能なすべての探索ユニット40a等から第1の捕捉対象衛星を追尾するために必要な探索ユニットと第2の捕捉対象衛星を追尾するために必要な探索ユニットとを除いた残存探索ユニット40k等を、測位必要数で等分した探索ユニット40a等(等分残存探索手段)を使用して、測位必要数のGPS衛星12c等を捕捉するのである。
【0104】
測位必要数衛星捕捉プログラム148はまた、制御部100が、探索ユニット40a等(図2参照)がサーチする周波数の範囲を、ドリフト誤差確定値情報182よって補正された初期サーチ周波数を中心として、探索ユニット40a等が検出し得る最小単位の周波数であるサーチステップの範囲に設定することを特徴とする。例えば、制御部100は例えば、探索ユニット40a等(図2参照)がサーチする周波数の範囲を、ドリフト誤差確定値情報182よって補正された初期サーチ周波数を中心とするプラスマイナス(±)50ヘルツ(Hz)に設定する。
【0105】
探索ユニット40a等がサーチする周波数の範囲は狭いほど、同時に多くのGPS衛星12a等をサーチすることができる。
この点、ドリフト誤差確定値情報182を取得した場合には、探索ユニット40a等がサーチすべき周波数の範囲は極めて狭い範囲に限定することができる。
そこで、端末31は、探索ユニット40a等がサーチする周波数の範囲を、ドリフト誤差確定値情報182によって補正された初期サーチ周波数を中心として、上述のサーチステップの範囲に設定することによって、同時に多くのGPS衛星12c等をサーチすることができる。すなわち例えば、3次元測位に必要な数である4個のGPS衛星12a乃至12d以外のGPS衛星からも信号を受信することができる。
これにより、多くのGPS衛星からの情報を取得できるから、測位精度の向上を図ることができる。
【0106】
上述したように、端末31は、第2ドリフト誤差情報180も使用するから、第1ドリフト誤差情報178に示される第1ドリフト誤差が正確かどうかを検証したうえで、測位必要数のGPS衛星12c等を捕捉することができる。また、第1ドリフト誤差の正確さが検証されることは、同時に、第2ドリフト誤差の正確さも検証されることを意味する。
これにより、正確さが検証された第1ドリフト誤差又は第2ドリフト誤差によって初期サーチ周波数H2c等(図12参照)を補正して、迅速にGPS衛星12c等を捕捉して測位することができる。
【0107】
なお、測位部106が、第1の捕捉対象衛星である例えば、GPS衛星12aの追尾ができない場合には、端末31は、再度第1捕捉対象衛星を決定する。
これは、現代においては、各種無線システムの発展によって電波(電磁波)が満ち溢れているため、端末31は、GPS衛星12a等からの信号以外の信号(誤信号と呼ぶ)を受信しているにもかかわらず、GPS衛星12a等からの信号を受信したものと間違えて認識する場合がある。誤信号の場合、第1ドリフト誤差は不正確であるから、他のGPS衛星12c等の捕捉のために利用することはできない。
この誤信号の場合には、真のGPS衛星12a等からの信号には乗っている位置関連情報が乗っていないから、端末31は、捕捉後の追尾をすることができない。このため、端末31は、誤信号であることを認識することができる。
したがって、誤信号の場合、端末31が再度第1捕捉対象衛星を決定することによって、真のGPS衛星12a等からの第1ドリフト誤差情報178を取得することができる。
【0108】
(本実施の形態の端末31の動作例等について)
以上のように、端末31は構成されるが、以下その動作例を説明する。
図18、図19、図20及び図21は端末31の動作例を示す概略フローチャートである。
端末31は、第1の実施の形態の端末30と同様に、図18のステップST61乃至ステップST65を経て、第1ドリフト誤差を決定する。具体的には、図16の制御部100は、第1の捕捉対象衛星に例えば、GPS衛星12aを決定し(ステップST61)、そのGPS衛星12aをすべてのサーチパワーを使用して捕捉し(ステップST62)、その捕捉が成功すれば(ステップST63)、第1ドリフト誤差を見積もり(ステップST64)、第1ドリフト誤差を決定する(ステップST65)。そして、図16に示すように、第1ドリフト誤差を第1ドリフト誤差情報178として第3記憶部160に格納する。
【0109】
続いて、端末31は、追尾用サーチパワーを使用してGPS衛星12aを追尾し(ステップST66)、追尾に失敗すれば(ステップST661)、第1ドリフト誤差情報178を第3記憶部160から削除し(ステップST662)、第1の捕捉対象衛星を変更する(ステップST663)。すなわち、端末31は、ステップST661において、GPS衛星12aの追尾ができない場合には、再度第1捕捉対象衛星を決定するのである。
上述のステップST66は、第1捕捉対象衛星追尾ステップの一例である。
【0110】
上述の図18のステップST65において、端末31が、第1ドリフト誤差を決定すると、ステップST66以下と並行して、端末31は図19のステップST201以下を実行する。
すなわち、図16の制御部100は、ステップST201において、第2の捕捉対象衛星を例えば、図1のGPS衛星12bに決定し、使用可能なすべてのサーチパワーを使用してGPS衛星12bの捕捉を開始し(ステップST202)、その捕捉が完了すれば(ステップST203)、第2ドリフト誤差を見積もり(ステップST204)、第2ドリフト誤差を決定する(ステップST205)。制御部100は、決定した第2ドリフト誤差を第2ドリフト誤差情報180として、第3記憶部160に格納する。
上述のステップST201は、第2捕捉対象衛星決定ステップの一例である。なお、本実施の形態の端末31は、ステップST201を図18のステップST65の後に実行するが、本実施の形態とは異なり、図18のステップST62の後であればステップST65の後に限らなくてもよい。
【0111】
上述のステップST202は、第2捕捉対象衛星捕捉ステップの一例である。ここで、使用可能なすべての探索手段は、第1捕捉対象衛星であるGPS衛星12aの追尾に必要な追尾用サーチパワーを除いたサーチパワーである。
ステップST204は、第2差分情報取得ステップの一例である。
【0112】
続いて、端末31は、GPS衛星12bを追尾し(ステップST206)、追尾に成功しなければ(ステップST207)、第3記憶部160に格納した第2ドリフト誤差情報180を削除し(ステップST208)、第2の捕捉対象衛衛星を変更し(ステップST209)、再度ステップST202を実行する。
【0113】
端末31は、以上に説明した図18のステップST65、図19のステップST205において、第1ドリフト誤差と第2ドリフト誤差が決定したことを判断すると(図20のステップST301)、第1ドリフト誤差と第2ドリフト誤差が同一範囲内にあるか否かを判断し(ステップST302)、第1ドリフト誤差と第2ドリフト誤差が同一範囲内にあれば、第1ドリフト誤差又は第2ドリフト誤差をドリフト誤差として確定する(ステップST303)。制御部100は、確定したドリフト誤差をドリフト誤差確定値情報182として第3記憶部160に格納する。
そして、端末31は、探索ユニット40a等がサーチする周波数の範囲を、ドリフト誤差確定値情報182によって補正された初期サーチ周波数を中心として、上述のサーチステップの範囲に設定する(ステップST304)。
続いて、制御部100は、このドリフト誤差確定値情報182を使用して、図21のステップST401以下を実行する。
【0114】
ステップST401では、端末31は例えば、3次元測位のためには、既に捕捉済みのGPS衛星12a及びGPS衛星12b以外に2つのGPS衛星が必要であると判断し、第3の捕捉対象衛星を例えば、GPS衛星12cに決定し、第4の捕捉対象衛星を例えば、GPS衛星12dに決定する。
そして、端末31は、使用可能なサーチパワーを捕捉対象衛星数である2で等分し(ステップST402)、第3の捕捉対象衛星であるGPS衛星12c及び第4の捕捉対象衛星であるGPS衛星12dをサーチすることよって捕捉する(ステップST403)。
そして、端末31は、測位に成功すれば(ステップST404)、現在位置を算出し(ステップST405)、図2の表示装置44に現在位置を表示する。
【0115】
上述のように、端末31は、第1ドリフト誤差と第2ドリフト誤差が同一範囲内にある場合に、第1ドリフト誤差情報178又は第2ドリフト誤差情報180によってGPS衛星12c等の初期サーチ周波数H2c等(図12参照)を補正して、測位必要数のGPS衛星12c等を捕捉するのである。言い換えると、端末31は、ドリフト誤差確定値情報182によって、GPS衛星12c等の初期サーチ周波数H2c等(図12参照)を補正して、測位必要数のGPS衛星12c等を捕捉するのである。
すなわち、第2ドリフト誤差情報180を使用することによって、第1ドリフト誤差情報178が正確かどうかを検証したうえで、ドリフト誤差確定値情報182を取得し、測位必要数のGPS衛星12c等を捕捉することができるから、迅速にGPS衛星12c等を捕捉して測位することができる。
【0116】
なお、本実施の形態とは異なり、端末31は、測位必要数以上のGSP衛星12a等から信号を受信し、そのうちから、測位誤差の少ないGPS衛星12a等を選択して測位するようにしてもよい。
【0117】
(プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体等について)
コンピュータに上述の動作例の前回ドリフト情報生成ステップと、必要探索手段数情報生成ステップと、同時探索可能位置情報衛星数情報生成ステップと、測位可能性判断ステップと、第1捕捉対象衛星決定ステップと、第1捕捉対象衛星捕捉ステップと、第1差分情報取得ステップと、測位必要数衛星捕捉ステップ等を実行させるための端末装置の制御プログラムとすることができる。
また、このような端末装置の制御プログラム等を記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体等とすることもできる。
【0118】
これら端末装置の制御プログラム等をコンピュータにインストールし、コンピュータによって実行可能な状態とするために用いられるプログラム格納媒体は、例えばフロッピー(登録商標)のようなフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Compact Disc−Recordable)、CD−RW(Compact Disc−Rewriterble)、DVD(Digital Versatile Disc)などのパッケージメディアのみならず、プログラムが一時的若しくは永続的に格納される半導体メモリ、磁気ディスクあるいは光磁気ディスクなどで実現することができる。
【0119】
本発明は、上述の各実施の形態に限定されない。さらに、上述の各実施の形態は、相互に組み合わせて構成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明の実施の形態である端末等を示す概略図である。
【図2】端末の主なハードウエア構成を示す概略図である。
【図3】GPS衛星からの信号周波数等を示す概念図である。
【図4】ドリフトを説明するための概念図である。
【図5】端末の主なソフトウエア構成等を示す概略図である。
【図6】初期推定ドリフト信頼度時間遷移情報の1例を示す図である。
【図7】ドリフト誤差範囲情報の1例等を示す図である。
【図8】端末が生成する各種情報の1例等を示す図である。
【図9】ドリフトサーチモードプログラムの詳細を示す図である。
【図10】サーチ状態の一例を示す図である。
【図11】サーチ状態の一例を示す図である。
【図12】サーチ状態の一例を示す図である。
【図13】端末の動作例を示す概略フローチャートである。
【図14】端末の動作例を示す概略フローチャートである。
【図15】端末の動作例を示す概略フローチャートである。
【図16】端末の主なソフトウエア構成等を示す概略図である。
【図17】ドリフトサーチモードプログラムの詳細を示す図である。
【図18】端末の動作例を示す概略フローチャートである。
【図19】端末の動作例を示す概略フローチャートである。
【図20】端末の動作例を示す概略フローチャートである。
【図21】端末の動作例を示す概略フローチャートである。
【符号の説明】
【0121】
12a,12b,12c,12d・・・GPS衛星、30・・・端末、34・・・CPU、36・・・記憶装置、38・・・入力装置、40・・・GPS装置、40a乃至40t・・・探索ユニット、42・・・通信装置、44・・・表示装置、100・・・制御部、102・・・通信部、104・・・表示部、106・・・測位部、108・・・計時部、110・・・第1記憶部、112・・・ドリフト誤差範囲決定プログラム、114・・・サーチパワー決定プログラム、116・・・サーチ衛星数決定プログラム、118・・・サーチモード決定プログラム、122・・・同期周波数情報生成プログラム、130・・・ドリフトサーチモードプログラム、132・・・第1捕捉対象衛星決定プログラム、134・・・第1ドリフト情報生成プログラム、136・・・第1ドリフト誤差情報生成プログラム、138,148・・・測位必要数衛星捕捉プログラム、140・・・第2捕捉対象衛星決定プログラム、142・・・第2捕捉対象衛星捕捉プログラム144・・・第2ドリフト誤差情報生成プログラム、146・・・ドリフト誤差確定プログラム、149・・・衛星サーチモードプログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の位置情報衛星から位置関連情報を取得して現在位置を測位するための測位手段を有する端末装置であって、
前記測位手段は、前記位置情報衛星を探索するための複数の探索手段を有し、
前記端末装置は、
前記位置情報衛星が発信する発信周波数と、前回測位時に前記位置情報衛星を捕捉した前回捕捉周波数と、前回測位時における前記位置情報衛星と前記端末装置の相対移動によって生じる周波数変動と、に基づいて生成される前回ドリフト情報を格納する前回ドリフト情報格納手段と、
前記前回測位時からの時間経過に基づいて、前記前回ドリフト情報の誤差範囲を示すドリフト誤差範囲情報を生成するドリフト誤差範囲情報生成手段と、
前記ドリフト誤差範囲情報に基づいて、前記ドリフト誤差範囲を同時に探索するために必要な前記探索手段の数を示す必要探索手段数情報を生成する必要探索手段数情報生成手段と、
前記測位手段が有するすべての前記探索手段の数を示す全探索手段数情報と前記必要探索手段数情報に基づいて同時に探索可能な前記位置情報衛星の数を示す同時探索可能衛星数情報を生成する同時探索可能衛星数情報生成手段と、
前記同時探索可能衛星数情報に示される前記位置情報衛星の数が、測位可能な測位可能衛星数か否かによって測位可能性を判断する測位可能性判断手段と、
前記測位可能性判断手段の前記測位可能性を否定する判断結果に基づいて、前記複数の位置情報衛星から第1の捕捉対象衛星を決定する第1捕捉対象衛星決定手段と、
使用可能なすべての前記探索手段を使用して前記第1の捕捉対象衛星を捕捉する第1捕捉対象衛星捕捉手段と、
各前記位置情報衛星から発信する発信周波数と、各前記位置情報衛星と前記端末装置の相対移動によって生じる周波数変動と、前記前回ドリフト情報に示される前回ドリフトに基づいて各前記位置情報衛星に対応する端末側同期周波数を示す同期周波数情報生成手段と、
前記第1捕捉対象衛星に対応する端末側同期周波数と、前記第1捕捉対象衛星を捕捉した周波数である第1捕捉周波数との差分である第1差分を示す第1差分情報を取得する第1差分情報取得手段と、
各前記位置情報衛星に対応する前記端末側同期周波数を前記第1差分情報によって補正して、前記測位に必要な測位必要数の前記位置情報衛星を捕捉する測位必要数位置情報衛星捕捉手段と、
を有することを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記測位可能性判断手段の前記測位可能性を肯定する判断結果に基づいて、同時に探索できる最大限度の数の前記位置情報衛星を探索する構成となっていることを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記複数の位置情報衛星から第2の捕捉対象衛星を決定する第2捕捉対象衛星決定手段と、
使用可能なすべての前記探索手段を使用して前記第2の捕捉対象衛星を捕捉する第2捕捉対象衛星捕捉手段と、
前記第2の捕捉対象衛星に対応する前記端末側同期周波数と、前記第2の捕捉対象衛星を捕捉した周波数である第2捕捉周波数との差分である第2差分を示す第2差分情報を取得する第2差分情報取得手段と、
を有し、
前記測位必要数衛星捕捉手段は、各前記位置情報衛星に対応する前記端末側同期周波数を、前記第1差分情報又は前記第2差分情報によって補正して、前記測位必要数の位置情報衛星を捕捉する構成となっていることを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項4】
前記測位必要数衛星捕捉手段は、前記第1差分と前記第2差分が同一範囲内にある場合に、各前記位置情報衛星に対応する前記端末側同期周波数を、前記第1差分情報又は前記第2差分情報によって補正して、前記測位必要数の前記位置情報衛星を捕捉する構成となっていることを特徴とする請求項3に記載の端末装置。
【請求項5】
前記探索手段が探索する周波数の範囲を、前記第1差分情報又は前記第2差分情報によって補正された前記端末側同期周波数を中心として、前記探索手段が検出し得る最小単位の周波数である探索単位周波数の範囲に設定することを特徴とする請求項4に記載の端末装置。
【請求項6】
1個の前記位置情報衛星を追尾するために必要な追尾必要探索手段を使用して、捕捉した前記第1の捕捉対象衛星を追尾する第1捕捉対象衛星追尾手段を有し、
前記測位必要数衛星捕捉手段は、前記追尾必要探索手段を除いた残りの探索手段を使用して前記第2の捕捉対象衛星を捕捉する構成となっていることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれかに記載の端末装置。
【請求項7】
前記測位必要数衛星捕捉手段は、使用可能なすべての探索手段から前記第1の捕捉対象衛星を追尾するために必要な前記追尾必要探索手段と前記第2の捕捉対象衛星を追尾するために必要な前記追尾必要探索手段とを除いた残存探索手段を、前記測位必要数で等分した等分残存探索手段を使用して、前記測位必要数の各前記位置情報衛星を捕捉する構成となっていることを特徴とする請求項6に記載の端末装置。
【請求項8】
前記第1捕捉対象衛星追尾手段が前記第1の捕捉対象衛星の追尾ができない場合には、前記端末装置が、再度前記第1の捕捉対象衛星を決定する構成となっていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の端末装置。
【請求項9】
複数の位置情報衛星から位置関連情報を取得して現在位置を測位するための測位手段を有する端末装置が、前記位置情報衛星が発信する発信周波数と、前回測位時に前記位置情報衛星を捕捉した前回捕捉周波数と、前回測位時における前記位置情報衛星と前記端末装置の相対移動によって生じる周波数変動と、に基づいて前回ドリフト情報を生成する前回ドリフト情報生成ステップと、
前記端末装置が、前記前回測位時からの時間経過に基づいて、前記前回ドリフト情報の誤差範囲を示すドリフト誤差範囲情報を生成するドリフト誤差範囲情報生成ステップと、
前記端末装置が、前記ドリフト誤差範囲情報に基づいて、前記ドリフト誤差範囲を同時に探索するために必要な前記探索手段の数を示す必要探索手段数情報を生成する必要探索手段数情報生成ステップと、
前記端末装置が、前記位置情報衛星を探索するために有するすべての探索手段の数を示す全探索手段数情報と前記必要探索手段数情報に基づいて、同時に探索可能な前記位置情報衛星の数を示す同時探索可能衛星数情報を生成する同時探索可能衛星数情報生成ステップと、
前記端末装置が、前記同時探索可能衛星数情報に示される前記位置情報衛星の数が、測位可能な測位可能衛星数か否かによって測位可能性を判断する測位可能性判断ステップと、
前記端末装置が、前記測位可能性判断ステップにおいて前記測位可能性を否定する判断をしたときに、複数の位置情報衛星から位置関連情報を取得して現在位置を測位するための測位手段を有する端末装置が、前記複数の位置情報衛星から第1の捕捉対象衛星を決定する第1捕捉対象衛星決定ステップと、
前記端末装置が、使用可能なすべての探索手段を使用して前記第1の捕捉対象衛星を捕捉する第1捕捉対象衛星捕捉ステップと、
前記端末装置が、各前記位置情報衛星を捕捉するために保持している端末側同期周波数情報に示される前記第1の捕捉対象衛星に対応する端末側同期周波数と、前記第1の捕捉対象衛星を捕捉した周波数である第1捕捉周波数との差分である第1差分を示す第1差分情報を取得する第1差分情報取得ステップと、
前記端末装置が、各前記位置情報衛星に対応する前記端末側同期周波数情報を前記第1差分情報によって補正して、前記測位に必要な測位必要数の前記位置情報衛星を捕捉する測位必要数位置情報衛星捕捉ステップと、
を有することを特徴とする端末装置の制御方法。
【請求項10】
コンピュータに、
複数の位置情報衛星から位置関連情報を取得して現在位置を測位するための測位手段を有する端末装置が、前記位置情報衛星が発信する発信周波数と、前回測位時に前記位置情報衛星を捕捉した前回捕捉周波数と、前回測位時における前記位置情報衛星と前記端末装置の相対移動によって生じる周波数変動と、に基づいて前回ドリフト情報を生成する前回ドリフト情報生成ステップと、
前記端末装置が、前記前回測位時からの時間経過に基づいて、前記前回ドリフト情報の誤差範囲を示すドリフト誤差範囲情報を生成するドリフト誤差範囲情報生成ステップと、
前記端末装置が、前記ドリフト誤差範囲情報に基づいて、前記ドリフト誤差範囲を同時に探索するために必要な前記探索手段の数を示す必要探索手段数情報を生成する必要探索手段数情報生成ステップと、
前記端末装置が、前記位置情報衛星を探索するために有するすべての探索手段の数を示す全探索手段数情報と前記必要探索手段数情報に基づいて、同時に探索可能な前記位置情報衛星の数を示す同時探索可能衛星数情報を生成する同時探索可能衛星数情報生成ステップと、
前記端末装置が、前記同時探索可能衛星数情報に示される前記位置情報衛星の数が、測位可能な測位可能衛星数か否かによって測位可能性を判断する測位可能性判断ステップと、
前記端末装置が、前記測位可能性判断ステップにおいて前記測位可能性を否定する判断をしたときに、複数の位置情報衛星から位置関連情報を取得して現在位置を測位するための測位手段を有する端末装置が、前記複数の位置情報衛星から第1の捕捉対象衛星を決定する第1捕捉対象衛星決定ステップと、
前記端末装置が、使用可能なすべての探索手段を使用して前記第1の捕捉対象衛星を捕捉する第1捕捉対象衛星捕捉ステップと、
前記端末装置が、各前記位置情報衛星を捕捉するために保持している端末側同期周波数情報に示される前記第1の捕捉対象衛星に対応する端末側同期周波数と、前記第1の捕捉対象衛星を捕捉した周波数である第1捕捉周波数との差分である第1差分を示す第1差分情報を取得する第1差分情報取得ステップと、
前記端末装置が、各前記位置情報衛星に対応する前記端末側同期周波数情報を前記第1差分情報によって補正して、前記測位に必要な測位必要数の前記位置情報衛星を捕捉する測位必要数位置情報衛星捕捉ステップと、
を実行させることを特徴とする端末装置の制御プログラム。
【請求項11】
コンピュータに、
複数の位置情報衛星から位置関連情報を取得して現在位置を測位するための測位手段を有する端末装置が、前記位置情報衛星が発信する発信周波数と、前回測位時に前記位置情報衛星を捕捉した前回捕捉周波数と、前回測位時における前記位置情報衛星と前記端末装置の相対移動によって生じる周波数変動と、に基づいて前回ドリフト情報を生成する前回ドリフト情報生成ステップと、
前記端末装置が、前記前回測位時からの時間経過に基づいて、前記前回ドリフト情報の誤差範囲を示すドリフト誤差範囲情報を生成するドリフト誤差範囲情報生成ステップと、
前記端末装置が、前記ドリフト誤差範囲情報に基づいて、前記ドリフト誤差範囲を同時に探索するために必要な前記探索手段の数を示す必要探索手段数情報を生成する必要探索手段数情報生成ステップと、
前記端末装置が、前記位置情報衛星を探索するために有するすべての探索手段の数を示す全探索手段数情報と前記必要探索手段数情報に基づいて、同時に探索可能な前記位置情報衛星の数を示す同時探索可能衛星数情報を生成する同時探索可能衛星数情報生成ステップと、
前記端末装置が、前記同時探索可能衛星数情報に示される前記位置情報衛星の数が、測位可能な測位可能衛星数か否かによって測位可能性を判断する測位可能性判断ステップと、
前記端末装置が、前記測位可能性判断ステップにおいて前記測位可能性を否定する判断をしたときに、複数の位置情報衛星から位置関連情報を取得して現在位置を測位するための測位手段を有する端末装置が、前記複数の位置情報衛星から第1の捕捉対象衛星を決定する第1捕捉対象衛星決定ステップと、
前記端末装置が、使用可能なすべての探索手段を使用して前記第1の捕捉対象衛星を捕捉する第1捕捉対象衛星捕捉ステップと、
前記端末装置が、各前記位置情報衛星を捕捉するために保持している端末側同期周波数情報に示される前記第1の捕捉対象衛星に対応する端末側同期周波数と、前記第1の捕捉対象衛星を捕捉した周波数である第1捕捉周波数との差分である第1差分を示す第1差分情報を取得する第1差分情報取得ステップと、
前記端末装置が、各前記位置情報衛星に対応する前記端末側同期周波数情報を前記第1差分情報によって補正して、前記測位に必要な測位必要数の前記位置情報衛星を捕捉する測位必要数位置情報衛星捕捉ステップと、
を実行させることを特徴とする端末装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2006−30114(P2006−30114A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−212612(P2004−212612)
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】