説明

端縁材

【課題】 床マットの雄連結部および雌連結部のいずれにも係合可能な共用連結部を有する端縁材を提供する。
【解決手段】 スロープ材10の単位床マット1に連結される側縁部には共用連結部16が形成されている。この共用連結部16は前記雄連結部4及び雌連結部5のいずれとも係合可能な形状になっている。共用連結部16の具体的な形状は、前記雌連結部5の外周部にその内面が係合するリング部16aと、このリング部16aの内側部に形成され前記雄連結部4が係合する凹部16bとからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は床マットの側縁に連結されるスロープ材や幅調整材などの端縁材に関する。
【背景技術】
【0002】
バルコニー、ベランダ或いはテラスなどの表面をコンクリートの剥き出しにしておくと見栄えが悪いため、従来から床マット(建材マット)を敷設することが行われている。この床マットには特許文献1〜5に示すものが挙げられる。
【0003】
いずれの特許文献に示される床マットも、通常正方形をなす複数の単位床マットを連結して構成することで、施設する床面の大きさ及び形状に対応できるようにしている。そのため、各単位床マットは隣接する単位床マットとワンタッチで連結できるように、例えばピン形状をした雄連結部とこの雄連結部と係合するリング状をなす雌連結部を1つの単位床マットに設けている。
【0004】
例えば、単位床マットの対向する2辺または隣接する2辺に沿って雄連結部が形成され、残りの2辺に沿って雌連結部が形成され、雌連結部については単位床マットの辺から外側に突出するように設けられている。
【0005】
上記の単位床マットを連結した床マットの側縁においては、床面と床マットとの間に段差が生じたり、壁面などとの間に隙間が生じることがある。上記の段差を解消するのが、特許文献1〜3に開示されるスロープ材であり、隙間を解消するのが特許文献4に開示される幅調整材である。
【0006】
【特許文献1】特開平10−252245号公報
【特許文献2】特開2000−328764号公報
【特許文献3】実開平07−010191号公報
【特許文献4】特開2004−278284号公報
【特許文献5】特開2005−098109号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したスロープ材や幅調整材などの端縁材は、単位床マットに設けた雄連結部または雌連結部のいずれか一方と連結する連結部を備えているが、雄連結部または雌連結部の一方のみにしか連結させることができない。その結果、スロープ材や幅調整材を購入しても、間違った方を購入すると床マットに連結できないことになる。
【0008】
このように、従来のスロープ材や幅調整材などの端縁材は、特定の連結部を有しているサイドにしか連結させることができず、商品の汎用性に欠けている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため本発明は、端縁材に設ける単位床マットとの連結部を、単位床マットの雄連結部及び雌連結部のいずれとも連結可能な形状をした共用連結部とした。
【0010】
また、前記共用連結部の形状としては、雌連結部の外側面と係合するリング形状をなし、その一部には前記雄連結部が係合する孔または凹部が形成された形状が考えられる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る端縁材は、床マットの雄連結部および雌連結部のいずれにも係合可能な共用連結部を備えているため、連結する際に、一々端縁材の連結部が床マットの連結部に係合可能か否かを確認する必要がなく、作業性が向上する。
また、消費者も端縁材のみを購入する際に、床マットの雄連結部または雌連結部のいずれに係合するかを気にする必要がなく、無駄に購入することがなくなる。
さらに、共用連結部の形状をリング形状にすることによって、雄連結部および雌連結部を共用連結部に係合後、端縁材に不用意な力が作用しても、床マットと端縁材が外れることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に本発明の実施の一例を添付図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る端縁材を単位床マットの周囲に連結した状態を示す斜視図、図2は単位床マットの斜視図、図3(a)及び(b)は雄連結部と雌連結部の位置を示す単位床マットの裏面図、図4は本発明に係る端縁材の斜視図、図5は本発明に係る端縁材の平面図、図6は本発明に係る端縁材の裏面図、図7は本発明に係る端縁材を共用連結部側から見た斜視図、図8は本発明に係る端縁材を共用連結部側から見た側面図である。
【0013】
単位床マット1は樹脂マット2の上面に複数枚(図示例では9枚)のタイル3を接着剤にて貼り合せて構成される。樹脂マット2の側縁にはピン状をなす雄連結部4と、雄連結部と係合するリング状をなす雌連結部5が形成されている。
【0014】
雄連結部4と雌連結部5は、図3(a)に示すように互いに隣接する側縁に設けるか、(b)に示すように対向する側縁に設ける。そして、単位床マット1の雄連結部4(雌連結部5)を別の単位床マット1の雌連結部5(雄連結部4)に係合することで、複数の単位床マット1からなる床マットが構成される。
【0015】
前記単位床マット1の各側縁には本発明に係る端縁材としてのスロープ材10を連結することができる。また、床マットの角ではスロープ材10同士をコーナ材20にて連結することができる。尚、図1に示す実施例では1つの単位床マット1を示しているが、通常は複数の単位床マット1を連結した床マットの側縁にスロープ材10を連結して使用する。
【0016】
スロープ材10は表面に滑り止め用の溝11が形成され、裏面には補強用リブ12、荷重を受ける円筒部13、雄連結部14及び雌連結部15が一体的に形成されている。雄連結部14及び雌連結部15は単位床マット1に形成した雄連結部4及び雌連結部5と同一形状とされている。
【0017】
また、スロープ材10の単位床マット1に連結される側縁部には共用連結部16が形成されている。この共用連結部16は前記雄連結部4及び雌連結部5のいずれとも係合可能な形状になっている。
【0018】
前記共用連結部16の具体的な形状は、前記雌連結部5の外周部にその内面が係合するリング部16aと、このリング部16aの内側部に形成され前記雄連結部4が係合する凹部16bとからなる。尚、共用連結部16の形状はこの形状に限定されるものではなく、雄連結部4と雌連結部5のいずれもが係合する形状であればよい。
【0019】
また、前記スロープ材10の前記共用連結部16が形成された側面には、前記雌連結部5を前記スロープ材10の側面方向から挿入可能なように、前記共用連結部16の上方位置まで、前記スロープ材10の裏面方向に開放された切欠17が形成されている。
【0020】
以上において、単位床マット1の雄連結部4にスロープ材10の共用連結部16を連結するには、図9(a)に示すように、床面から単位床マット1の端を斜めに持ち上げ、その下にスロープ材10をセットする。
【0021】
この状態から単位床マット1を床面に下ろし、図9(b)に示すように、雄連結部4をスロープ材10の共用連結部16の凹部16bに嵌め込む。この状態の拡大図を図9(c)に示す。以上の簡単な作業によって、スロープ材10は単位床マット1の雄連結部4に連結される。ここで、共用連結部16の形状は拡大図9(c)に示すようにリング形状であるため、スロープ材10に不用意な力がかかった場合においても、共用連結部16から雄連結部4がはずれることはない。
【0022】
また単位床マット1の雌連結部5にスロープ材10の共用連結部16を連結するには、図10(a)に示すように、床面から単位床マット1の端を斜めに持ち上げる。次いで、図10(b)に示すように、単位床マット1の雌連結部5をスロープ材10の切欠17に共用連結部16が設けられたスロープ材10の側面方向から差し込む。この状態で、単位床マット1の上面(表面)とスロープ材10の上面(表面)とは段差ができている。
【0023】
次いで、図10(c)に示すように、単位床マット1とスロープ材10を床面に下ろす。すなわち、挿入した雌連結部5をスロープ材10の裏面方向に移動させることによって、図10(d)に示すように、単位床マット1の雌連結部5は共用連結部16のリング部16aに係合する。したがって、前記同様に簡単な作業によって、スロープ材10は単位床マット1の雌連結部5に連結される。
【0024】
図11は本発明に係る端縁材を幅調整材30とした例を示す斜視図であり、この幅調整材30は例えば溝11に沿って切断することで、任意の寸法の幅にすることができる。
【0025】
図12は本発明に係る共用連結部16のリング部16aの変形例を示す平面図であり、図12に示されるように、リング部16aの一部か切欠が設けられた状態であってもよく、スロープ財10と単位床マット1を連結した状態において、スロープ材10に側面方向から不用意な力がかかった場合でも、共用連結部16から雄連結部4または雌連結部5が外れない形状であればどのようなものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る端縁材を単位床マットの周囲に連結した状態を示す斜視図
【図2】単位床マットの斜視図
【図3】(a)及び(b)は雄連結部と雌連結部の位置を示す単位床マットの裏面図
【図4】本発明に係る端縁材の斜視図
【図5】本発明に係る端縁材の平面図
【図6】本発明に係る端縁材の裏面図
【図7】本発明に係る端縁材を共用連結部側から見た斜視図
【図8】本発明に係る端縁材を共用連結部側から見た側面図
【図9】(a)及び(b)は本発明に係る端縁材を単位床マットの雄連結部に連結する手順を示した図、(c)は本発明に係る端縁材が単位床マットの雄連結部と係合した状態を示す図
【図10】(a)〜(c)は本発明に係る端縁材を単位床マットの雌連結部に連結する手順を示した図、(d)は本発明に係る端縁材が単位床マットの雌連結部と係合した状態を示す図
【図11】本発明に係る端縁材を幅調整材とした例を示す斜視図
【図12】本発明に係る共用連結部の平面図
【符号の説明】
【0027】
1…単位床マット、2…樹脂マット、3…タイル、4…雄連結部、5…雌連結部、10…スロープ材、11…滑り止め用の溝、12…補強用リブ、13…荷重を受ける円筒部、14…雄連結部、15…雌連結部、16…共用連結部、16a…共用連結部のリング部、16b…共用連結部の凹部、17…切欠、20…コーナ材、30…幅調整材。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄連結部を一側縁に備えこの雄連結部と連結可能な形状の雌連結部を前記とは異なる側縁に備えた単位床マットに、連結される端縁材であって、この端縁材に設けられる共用連結部の形状は、前記単位床マットの雄連結部及び雌連結部のいずれにも係合可能な形状であり、前記共用連結部は前記雌連結部の外側面と係合するリング形状をなし、その一部には前記雄連結部が係合する孔または凹部が形成されていることを特徴とする端縁材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−57286(P2008−57286A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−238687(P2006−238687)
【出願日】平成18年9月4日(2006.9.4)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】