説明

竹ペレット燃料の製造方法

【課題】含水率の高い生竹を用いつつ、発酵促進やカビの発生、乾燥コストの諸問題を解消して、品質が良くて高い発熱カロリーが得られる竹ペレット燃料の製造方法を提供する。
【解決手段】生後2年以上で枝葉部分を除去した生竹100重量%に対し、生後2年以上で枝葉部分を除去した含水率55%未満の枯れ竹25〜400重量%の割合で両方を破砕・粉砕機6に混入して破砕および粉砕し、竹ベースの混合粉末を得る破砕および粉砕工程と、破砕および粉砕工程で得られた竹ベースの混合粉末を乾燥機10で乾燥させる乾燥工程と、乾燥工程で乾燥された竹ベースの混合粉末を造粒機12によって造粒し、竹ペレットを得る造粒工程とを有する構成とする。生竹と枯れ竹の混合竹100重量%に対し、含水率75%以下の竹以外の他の植物10〜600重量%をさらに混入して破砕および粉砕することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、竹を主原料とする竹ペレット燃料の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ペレット燃料としては、従来より、古紙を原料とするもの、木質系、すなわち間伐材や製材加工時に発生する端材、おが屑、かんな屑などを原料とするものが知られている(例えば、特許文献1等参照)。古紙を原料とするペレットは、成形後の形状保持が難しく、また、湿気を帯び易く、従来の化石燃料、例えば石油に比べて発生熱量が低いという課題がある。木質系のペレットも、同じく石油に比べて発生熱量が低く、また、材料の供給力も低いという課題がある。さらに、木質系ペレットは、発生熱量のバラツキが大きく、燃料時の灰分やクリンカが多く、製造上や品質上の問題もある。
【0003】
一方、全国的に放置竹林の問題が近年取り上げられている。従来、竹は生産資材として重宝されてきたが、代替製品の出現により次第に需要が低下し、竹のもつ成長力、繁殖力と相まって、全国的に放置竹林が拡大している。そこで、かかる放置竹林対策として、竹の有効利用(例えば、竹炭、竹の微粉末化による家畜飼料への配合等)が図られてきたが、その規模は小規模にとどまっているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−53141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
竹は、木と比較して発生熱量が高い(4〜33%)ことが知られており、燃料として有望視されてきた。例えば、木が3600〜4600kcal/kgであるのに対し、竹は4700〜4800kcal/kgである。しかしながら、竹には次に述べる特質や課題があり、そのままペレット燃料の材料に用いることはできない。
【0006】
(1)竹はペレット製造の破砕・粉砕工程直後から発酵が始まり、固形化し、またカビが付着する。発酵により固形化すると、乾燥工程や成型工程の途中で固まった破砕・粉砕片をほぐす必要がある。カビが付着すると品質低下の原因となり、発生燃料が低くなったり、燃焼室へのペレット供給機能を故障させる。
(2)竹は伐採後数日間保管しても70%以上の高い含水率があり、ペレット製造工程で必要な含水率12%程度に乾燥させるには乾燥コストが高くつく。また、カビが付着すると、乾燥時間を延長せざるを得ず、乾燥コストが余計に高くなる。
【0007】
(3)ペレット燃料にとって、燃焼した際に生じるクリンカが少ないこと(国内標準値1%以下)が重要な品質管理項目であるが、竹をペレット化すると、竹の枝葉部分に多く含まれるSi成分によって1.5〜5%程度という大量のクリンカが発生し、クリンカ除去のためにハンマー等で突いて燃焼室のバーナーを損傷したり、クリンカ除去の大きな負担をペレット利用者に強いることになる。
(4)竹をペレット化する場合、造粒工程(ペレタイザ)での造粒エネルギが木質系と比較して1.5〜2.0倍にも過大になる。
【0008】
本発明者は、竹の持つ上記(1)から(4)の課題や問題点に対し、Si成分のほぼ100%が竹の枝葉部分に存在することを突き止めるとともに、竹ペレット燃料の原材料として、生竹と枯れ竹を混合すること、また竹と木を混合して用いることにより上記課題等を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明は、原材料として生竹と枯れ竹を混合して用い、または原材料としてこれらの竹に木を混合して用いることにより、竹粉末の発酵の抑制とカビの発生を防止して品質が良く高カロリーの竹ペレット燃料が得られ、同時に製造コストの大幅低減を図ることのできる、竹ペレット燃料の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係る竹ペレット燃料の製造方法は、生後2年以上で枝葉部分を除去した生竹100重量%に対し、生後2年以上で枝葉部分を除去した含水率55%未満の枯れ竹25〜400重量%の割合で両方を破砕・粉砕機に混入して破砕および粉砕し、竹ベースの混合粉末を得る破砕および粉砕工程と、破砕および粉砕工程で得られた竹ベースの混合粉末を乾燥機で乾燥させる乾燥工程と、乾燥工程で乾燥された竹ベースの混合粉末を造粒機によって造粒し、竹ペレットを得る造粒工程とを有することを第1の特徴とする。
【0011】
ここで、伐採直後の生竹は通常含水率70〜80%であり、含水率55%以上のものを生竹と区分し、含水率55%未満を枯れ竹と区分する。
【0012】
本発明に係る竹ペレット燃料の製造方法によると、破砕および粉砕工程において生竹100重量%に含水率55%未満の枯れ竹25〜400重量%を混入して破砕および粉砕するから、破砕および粉砕後の竹ベースの混合粉末を40%以下の低い含水率に容易に調整でき、これにより竹ベース混合粉末への発酵抑制とカビの発生付着を抑えると共に乾燥時間を短縮化でき、もって乾燥コストを大幅に下げることができる。
【0013】
生竹は、孟宗竹などの竹林又は竹山から最低生後2年以上、望ましくは4年以上の生竹を伐採し、そのまま集荷場まで運搬し、異物・腐れ部分・枝葉部分を除去し、破砕および粉砕機に投入する。枯れ竹は、竹林で伐採した生竹を現地で放置しあるいは竹林で自然に枯れた竹を用いる。伐採した生竹は含水率55%未満に至ったら集荷場まで運搬し、異物・腐れ部分・枝葉部分を除去し、破砕および粉砕機に投入する。枯れ竹は、運搬時には竹の重量が30〜60%程度軽量化されており、運搬負担の低減が可能である。
【0014】
得られた竹ペレットは、木に比べると燃焼時の発生熱量が高く(具体的には生後4年以上の古竹で4700〜4800カロリー程度、生後2年〜3年の若竹で4200〜4600カロリー程度である)、袋体に密封することにより、保管中にもカビが発生せず、当初の品質を長期間維持可能である。
【0015】
混入前に生竹や枯れ竹の枝葉部分を除去するから、クリンカの発生を防止し、従来のように燃焼室のバーナーを損傷したり、クリンカ除去の大きな負担をペレット利用者に強いることがない。
【0016】
本発明に係る竹ペレット燃料の製造方法は、破砕および粉砕工程において、生竹と枯れ竹の混合竹100重量%に対し、含水率75%以下の竹以外の他の植物10〜600重量%をさらに混入して破砕および粉砕することを第2の特徴とする。
【0017】
これにより発酵抑制とカビの発生付着を抑えると共に乾燥時間の短縮化を図ると同時に、竹以外の他の植物、例えば生木又は枯れ木をベースとする木粉末を加えることで造粒工程(ペレタイザ)における造粒エネルギ(消費電力)を低減可能である。これにより製造コストの更なる低減を図ることができる。竹以外の他の植物は、生木又は枯れ木以外に、果樹、野菜くず、大豆粕、おから、草などが適用可能であり、それらの種・実・表皮を含んでよい。
【0018】
ここで、竹以外の他の植物に生木又は枯れ木を用いる場合、含水率75%以下55%以上の木を生木、含水率55%未満の木を枯れ木と区分し、枯れ木は含水率30%以下であることがより望ましい。含水率75%の生木であれば混合竹100重量%に対し10重量%とし、以下、木の含水率低下に合わせて、木の混合割合を漸次増加させるように調整する。
【0019】
本発明に係る竹ペレット燃料の製造方法は、破砕および粉砕工程において、竹林又は竹山から伐採した生竹から含水率55%以上の生竹を得るとともに、同伐採した生竹の一部を一定期間放置して含水率55%未満の枯れ竹を得るようにしたことを第3の特徴とする。
【0020】
枯れ竹は、含水率55%未満になるまで現地の竹林等で放置して得るから、運搬時には竹の重量が30〜60%程度軽量化されており、運搬負担が軽減される。また、同じ場所の竹林等から生竹と枯れ竹を同時に確保することが可能であり、集荷コストの削減、ひいては竹ペレットの製造コストの大幅低減が可能である。
【0021】
本発明に係る竹ペレット燃料の製造方法は、乾燥工程において、竹ベースの混合粉末をその平均含水率が10±2%になるまで乾燥させることを第4の特徴とする。
【0022】
本発明に係る竹ペレット燃料の製造方法は、破砕および粉砕工程と乾燥工程との間に、竹ベースの混合粉末の含水率を調整する含水率調整工程を含むことを第5の特徴とする。
【0023】
破砕および粉砕工程と乾燥工程との間に含水率調整工程を設けることで、破砕および粉砕工程後の竹ベースの混合粉末が過乾燥である場合に対応可能である。すなわち、竹ベースの混合粉末の含水率を再調整して乾燥工程に送ることができる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明に係る竹ペレット燃料の製造方法によると、生竹に枯れ竹を所定の割合で混合して破砕および粉砕し、破砕および粉砕工程を経て含水率が大きく低下した竹ベースの混合粉末を得るとともに、これを乾燥して造粒し、竹ペレットを得るようにしたから、発酵の抑制とカビの発生を抑えて高品質の竹ペレット燃料を得ることができ、また、乾燥時間の大幅短縮を図り、これにより乾燥コストの大幅低減、ひいては製造コストの大幅低減を図ることができるという優れた効果を奏する。
【0025】
また、枝葉部分を予め除去してクリンカの発生を防止して、乾燥工程における燃焼室のバーナー損傷や、クリンカ除去の大きな負担をペレット利用者に強いることがないという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。図1および図2は本発明の一実施形態を示すもので、図1は本発明に係る竹ペレットの製造手順を示している。
【0027】
(竹の伐採・集荷工程)
竹林1から生後4年以上の生竹(古竹)2を多数本伐採し、伐採した生竹2は集荷場3に運搬し、保管する。伐採直後の生竹2の含水率は通常70〜80%であり、含水率55%以上のものを生竹2とする。
【0028】
竹林1から多数本伐採した生竹2の一部は現地で数日間放置し、含水率55%未満の枯れ竹4とする。含水率70〜80%の生竹2は、晴天又は曇天状態で20日間以上放置することにより、含水率40〜55%に低下する。なお、枯れ竹4は、竹林1で自然に枯れた竹を伐採し使用しても良い。含水率が低下した後の枯れ竹4は生竹2に比べて軽量になるから(例えば、含水率30%の枯れ竹4の重量は含水率75%の生竹2の重量の46.6%である)、現地から集荷場3まで容易に運搬できる。集荷場3に運搬した枯れ竹4は生竹2と共に保管する。
【0029】
並行して、集荷場3には竹以外の他の植物として木5を調達する。集荷場3に集荷する木5は、間伐材や製材工程で発生する端材を用い、含水率75%以下30%以上とする。
【0030】
(破砕および粉砕工程)
集荷場に集荷された生竹2、枯れ竹4および木5は、それぞれ枝および葉部分が除去された後、破砕・粉砕機6に一緒に投入し、破砕および粉砕する。生竹2、枯れ竹4および木5の投入割合は、生竹100重量%に対し含水率55%未満の枯れ竹25〜400重量%、生竹と枯れ竹の混合竹100重量%に対し含水率75%以下の生木又は枯れ木10〜600重量%、望ましくは10〜90重量%とする。含水率75%の生木であれば混合竹100重量%に対し10重量%の割合とし、含水率がそれ以下であれば、含水率の低下に合わせて、木の混合割合を増加させるように調整する
【0031】
破砕・粉砕機6に投入された生竹2および枯れ竹4は、破砕および粉砕によりそれぞれの繊維が解繊されて繊維状の竹粉末となる。また、破砕・粉砕機6に投入された木5は、破砕および粉砕により木粉末となる。そして、これらの竹粉末および木粉末は、破砕・粉砕機6内で互いに混合されながら含水率が低下し、竹ベースの混合粉末7として排出される。排出された混合粉末7の平均含水率は40%以下である。
【0032】
なお、スクリーンサイズ直径8mmの場合、竹粉末の繊維長は0.10〜20mmに調整される。また、木粉末の長さは0.10〜20mmに調整される。
【0033】
破砕・粉砕機6から排出された混合粉末7は、ふるい8にかけられ、粒径0.10〜5mmの混合粉末7に調整される。
【0034】
(含水率調整工程)
ふるい8にかけられ、粒径0.10〜5mmに調整された混合粉末7は、平均含水率が計測される(JISZ7303−3による)。含水率8%未満の過乾燥である場合、水噴霧機9により水分が噴霧され、混合粉末7の平均含水率13%以上40%以下に調整される。13%以上に調整するのは過乾燥だと造粒が困難だからであり、40%以下に調整するのは乾燥に時間がかかるし、発酵が促進されかつカビ発生のおそれが生じるからである。
【0035】
(乾燥工程)
平均含水率13〜40%に調整された混合粉末7は、図示しないコンベア上を乾燥機10の投入口に搬送され、同投入口から乾燥機10内に投入され、バーナーの燃焼による温風により一定時間乾燥に供される。このとき、混合粉末7は、平均含水率13〜40%に調整されているので、発酵の促進とカビの発生を抑え、乾燥時間を短縮し、乾燥コストを低減化できる(重油の燃料代が節約される)。乾燥機11により、平均含水率13〜40%の混合粉末7を平均含水率10±2%(=8〜12%)に調整する。
【0036】
(収容工程)
乾燥機10から排出された混合粉末7は、図示しないコンベア上を搬送され、貯蔵タンク11内に落下収容される。このようにして貯蔵タンク11内には含水率10±2%に調整された大量の混合粉末7が収容され、貯蔵される。貯蔵タンク11内に貯蔵された混合粉末7は含水率10±2%に調整されているので、ここでも発酵の促進とカビの発生が防止される。
【0037】
(造粒工程)
貯蔵タンク11から定量排出された混合粉末7は、図示しないコンベア上を造粒機12側へ定量供給され、造粒機(ペレタイザ)12の投入口から造粒機12内部に投入される。造粒機12内に投入された混合粉末7は、内部の図示しない加圧ローラによって成形ダイスのダイス孔に強制的に押し込まれる。
【0038】
成形ダイスのダイス孔に押し込まれた混合粉末7は、ダイス孔内を圧縮成形されながら通過し、ダイス孔から押し出されてペレット化される。このペレット化の過程でダイス孔から押し出された混合粉末7のペレット状成型体はカッターにより所定サイズに切断され、これにより竹ベースの混合粉末からなる竹ペレット燃料Pが得られる。木粉末を加えているので、造粒機12の消費電力の低減が図られる。
【0039】
得られた竹ペレット燃料Pの含水率は5±2%であり、竹ペレット燃料16のサイズは、長さ5〜25mm、直径5〜8mmである。
【0040】
(検査工程)
造粒機12により得られた竹ペレット燃料Pは、直径、長さ、含水率、かさ密度等が検査される。含水率は含水計により測定される。検査に合格しない竹ペレット燃料Pはラインから外す。
【0041】
(袋詰め工程)
検査に合格した竹ペレット燃料Pは、計量の上、通気性のない袋に袋詰めする。1年以上長期保管する場合、真空引き状態(10mmHg以下)で密封するか、乾燥剤(シリカゲル等)を挿入し、密閉する(1〜2kg/ペレット1000kg)。
【0042】
(運搬および保管工程)
袋詰めした竹ペレット燃料Pは、トラックやフォークリフトにより、保管倉庫に運搬し、湿気や直接日光の影響のない場所と状態において保管する。そして、必要に応じて保管倉庫から出荷する。
【0043】
本実施形態によると、カビの発生付着がなく品質の優れた竹ペレット燃料Pを得ることができる。また、製造コストも生竹のみの場合に比べて約45%に大幅低減することができる。
【0044】
さらに、生竹2、枯れ竹4および木5は、破砕・粉砕機6への投入前に、それぞれの枝葉部分を除去するから、クリンカがほどんど発生することがなく、したがって、クリンカによって乾燥機の燃焼室バーナーが損傷したり、クリンカ除去の大きな負担をペレット利用者に強いることもなくなる。
【0045】
竹(生竹と枯れ竹)100重量%に対し、生木又は枯れ木を10〜90重量%混合することにより、造粒工程での消費電力(エネルギ)を30〜75%低減できる。これにより、製造コストの一層の低減化が図れる。
【0046】
かくして、本発明の竹ペレット燃料の製造方法によると、含水率の高い生竹を用いつつも、枯れ竹を所定の割合で混合することにより、カビの発生を抑えて品質の良く高カロリーの竹ペレット燃料を得ることができるとともに、乾燥コストを大幅に低減して製造コストを大幅に低減した竹ペレット燃料を得ることができる。さらには、木を所定の割合で混合することにより、造粒コストを低減してさらなる製造コストの低減を図ることができる。
【0047】
なお、上記実施形態では、生竹2、枯れ竹4および木5を所定の割合で破砕・粉砕機6へ投入したが、生竹2と枯れ竹4のみを所定の割合で投入することでも良い。また、竹以外の他の植物として木5を用いたが、木5に限らず、果樹、野菜くず、大豆粕、おから、草などが適用可能であり、それらの種・実・表皮を含んでよい。
【実施例】
【0048】
本発明者は、含水率70%の生竹と含水率35%の枯れ竹と含水率55%の木を準備し、生竹と枯れ竹の組合せ、生竹と枯れ竹と木の組み合わせで、それぞれ破砕・粉砕機に投入し、含水率40%以下の混合粉末を得ると共に、同混合粉末を乾燥機に投入して乾燥させ、乾燥後の混合粉末を造粒機により造粒し、竹ペレットを得た。前者の竹ペレットでは、混合割合を生竹100重量%に対し枯れ竹を25〜400%の範囲で変化させた(実施例1〜実施例5)。後者の竹ペレットでは、混合割合を生竹100重量%に対し枯れ竹を100重量%とし、木を20〜1200重量%の範囲(=生竹と枯れ竹の混合竹100重量%に対しては木10〜600重量%である)で変化させた(実施例6〜実施例9)。また、木以外の植物として栗の皮を用いた例(実施例10)を加えた。含水率70%の生竹のみからなる場合を比較例とした。表1にその結果を示す。
【表1】

【0049】
表1によると、比較例に比べ本実施例の場合、乾燥コストが15%〜77%低減し、造粒コストも5%〜75%低減したことが分かった。また、本実施例で得られた竹ペレット燃料の発生熱量は4550kcal/kg〜4800kcal/kgと非常に高い熱量が得られた。さらに、クリンカの発生は殆ど見られなかった。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明に係る竹ペレット燃料の製造方法は、含水率の高い生竹を用いつつ、品質良好で高い発熱カロリーが得られる竹ペレット燃料を製造する方法として様々な分野で利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の竹ペレット燃料の製造手順を示す図で、竹林での竹の伐採から集荷場までの手順を示す説明図、
【図2】本発明の竹ペレット燃料の製造手順を示す図で、集荷された生竹、枯れ竹、木から竹ペレット燃料を製造し、保管するまでの手順を示す説明図、
【図3】ペレットの含水率とカビの発生度合いを示すグラフである。
【符号の説明】
【0052】
1 竹林
2 生竹
3 集荷場
4 枯れ竹
5 木(間伐材・端材)
6 破砕・粉砕機
7 混合粉末(竹ベースの混合粉末)
8 ふるい
9 水噴霧機
10 乾燥機
11 貯蔵タンク
12 造粒機
P 竹ペレット燃料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生後2年以上で枝葉部分を除去した生竹100重量%に対し、生後2年以上で枝葉部分を除去した含水率55%未満の枯れ竹25〜400重量%の割合で両方を破砕・粉砕機に混入して破砕および粉砕し、竹ベースの混合粉末を得る破砕および粉砕工程と、破砕および粉砕工程で得られた竹ベースの混合粉末を乾燥機で乾燥させる乾燥工程と、乾燥工程で乾燥された竹ベースの混合粉末を造粒機によって造粒し、竹ペレットを得る造粒工程とを有することを特徴とする、竹ペレット燃料の製造方法。
【請求項2】
破砕および粉砕工程において、生竹と枯れ竹の混合竹100重量%に対し、含水率75%以下の竹以外の他の植物10〜600重量%をさらに混入して破砕および粉砕することを特徴とする請求項1記載の竹ペレット燃料の製造方法。
【請求項3】
破砕および粉砕工程において、竹林又は竹山から伐採した生竹から含水率55%以上の生竹を得るとともに、同伐採した生竹の一部を一定期間放置して含水率55%未満の枯れ竹を得ることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の竹ペレット燃料の製造方法。
【請求項4】
乾燥工程において、竹ベースの混合粉末をその平均含水率が10±2%になるまで乾燥させることを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の竹ペレット燃料の製造方法。
【請求項5】
破砕および粉砕工程と乾燥工程との間に、竹ベースの混合粉末の含水率を調整する含水率調整工程を含むことを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の竹ペレット燃料の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−188556(P2012−188556A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53552(P2011−53552)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(510012717)
【Fターム(参考)】