説明

竹炭含有クロスの製造方法

【課題】その竹炭のクロスへの付け加えが、竹炭含有塗布液の編物や織物への塗布によらず、即ち塗布による欠点がない、竹炭含有クロスの製造方法を提供する。
【解決手段】竹炭粉末をポリウレタン溶液に入れて均一に分散させ、竹炭溶液を造った後、前記竹炭溶液と主剤とするポリウレタン樹脂液とを混合して竹炭含有ポリウレタン溶液を造り、そしてそれを離型材に溶液膜に塗布してから加熱により硬化させ、最後に前記離型材から前記硬化した溶液膜を剥してクロスの生地とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は竹炭含有クロスの製造方法に関し、特に、竹炭含有のポリウレタンクロスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
竹炭は、吸湿性、脱臭性などの特性があるのみならず、近年、それ自体が遠赤外線を放射するため、温熱効果があり、またマイナスイオンを放出するため、身体の弱アルカリ化を促して疲労回復効果を有することが発見されたので、機能ウェアなどに使用されるクロスによく使われている。
【0003】
竹炭含有クロスの製造方法の一つとしては、竹炭を粉末に研磨した後、竹炭粉末と溶融状ポリウレタンとを混合して塗布液を造ってから、編物や織物などの表面に膜状に塗布し、そして、加熱により膜状の塗布液を硬化させて竹炭含有ポリウレタン膜になさせる方法が挙げられる。
【0004】
しかし、前記製造方法における塗布液の塗布は、編物や織物のでこぼこになっている生地の表面に行われるので、作業が難しくて塗布液をやけに多く使用する必要があるのみならず、形成したクロスの表面にある竹炭含有ポリウレタン膜も、でこぼこになって膜内にストレスを生じるので、間もなく、裂けたり剥がれたりしやすいなどの問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記に鑑みて、本発明は、その竹炭のクロスへの付け加えが、竹炭含有塗布液の編物や織物への塗布によらず、即ち塗布による欠点がない、竹炭含有クロスの製造方法を提供しようとすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明者は、竹炭粉末をポリウレタン溶液に入れて均一に分散させ、竹炭溶液を造った後、前記竹炭溶液ポリウレタンを主剤とした樹脂液とを混合して竹炭含有ポリウレタン溶液を造り、そしてそれを離型材に溶液膜に塗布してから加熱により硬化させ、最後に前記離型材から前記硬化した溶液膜を剥してクロスの生地とすることを特徴とする竹炭含有クロスの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0007】
前記方法における竹炭のクロスへの付け加えは、クロスそのものの成形と共に行われるので、塗布によらず、従来の塗布による欠点はない。
【0008】
また、前記方法により製造した竹炭含有クロスは、均一な厚さを有する平面状のものになるので、内部にストレスを生じなく、長持ちになる。
【0009】
そしてまた、前記方法により製造した竹炭含有クロスは、平面状になるので、それ自体が機能ウェア用のクロスとされうることはもちろん、他の例えば編物や織物などのクロスの裏打ちとされることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、実施例により、本発明の竹炭含有クロスの製造方法を詳細に説明する。
【実施例1】
【0011】
まず、表1に示した割合で、主成分となるトルエン2.268重量部にシリコーン分散助剤0.36重量部を添加して揮発性分散剤とする。そして、前記揮発性分散剤に、粒径分布300〜500nm範囲内の竹炭粉末を0.252重量部入れてから攪拌し、更にポリウレタン溶液0.72重量部と充分に混合して竹炭溶液を造る。
【0012】
一方、シリコーン分散剤0.25重量部と、トルエン3.4重量部と、カーボンブラック0.35重量部と、ポリウレタン溶液1重量部とを均一に混合して顔料溶液とする。
【0013】
次に、前記竹炭溶液とポリウレタンを主剤とした樹脂液30重量部とを混合する。そして、前記予めに調製した顔料溶液を添加し、揮発性分散剤としてのシリコーン分散助剤1.5重量部とトルエン24重量部とを徐々に入れてから、竹炭含有ポリウレタン溶液を粘度4500cpsとなるように調製し、竹炭含有ポリウレタン溶液を造る。また、ポリウレタンそれ自体が発泡性のあるものであるから、前記ポリウレタン樹脂液と前記竹炭液との混合を行いながら、混合中に生ずるバッブルをも除去する。
【0014】
また、ポリウレタンを主剤とした樹脂液30重量部においては、ポリウレタン9重量部を含んでいる外、他にも添加剤、補助剤が添加されている。
【0015】
それから、前記バッブルを除去した竹炭含有ポリウレタン溶液を離型材に溶液膜に最終クロスの厚さが20μmとなるように塗布してから加熱により硬化させる。最後に、前記離型材から前記硬化した溶液膜を剥す。それにより、厚さ20μmの竹炭含有クロスを得た。
【実施例2】
【0016】
表1に示すように、竹炭溶液における各成分の割合が実施例1と異なる外、他の条件が実施例1の製造方法と同様にして竹炭含有クロスを造る。同じく厚さ20μmの竹炭含有クロスを得た。
【0017】
最後に、前記実施例1及び実施例2から得られた竹炭含有クロスの特性を測定する。その結果を下記表2に示す。
【0018】
【表1】

【0019】
【表2】

前記表2に示す結果から分かるように、前記ポリウレタンを主剤とした樹脂液100重量部に対し竹炭粉末2.6重量部を添加した実施例1の場合、吸湿度も、遠赤外線の放射による保温性も、マイナスイオンの放出による疲労回復効果とも従来より顕著に向上する。
【0020】
ポリウレタンを主剤とした樹脂液100重量部に対し竹炭粉末6.6重量部を添加した実施例2の場合、効果は実施例1より一層に向上する。
【0021】
また、表2の結果から分かるように、ポリウレタン樹脂に竹炭を添加したとは言え、縦方向にも、横方向にも引張強度の低下を来さず、クロスの丈夫さに悪影響を与えない。即ち、本発明の製造方法は、クロスの引張強度を保持したままで、竹炭による効果を奏することができる。
【0022】
本発明の製造方法による竹炭含有クロスは、水圧試験を行った結果、7840mmHOの高い圧力を超えた後、始めて裂け目が出てくる。即ち、耐圧性に優れたことが確認される。
【0023】
なお、上記いずれの実施例でも、前記ポリウレタン樹脂液と前記竹炭液との混合を行いながら混合中に生ずるバッブルを除去するが、無孔質のクロスを製造すれば、更に加熱硬化過程における揮発性分散剤の揮発を徐々にさせ、即ち加熱硬化の反応温度をやや低くして反応時間をある程度延ばす必要がある。また、多孔質のクロスを造るなら、加熱硬化の反応温度をやや高くして反応時間をある程度短くさせ、反応を激しくさせれば良い。その場合、竹炭含有ポリウレタン溶液を造る際のバッブル除去を省くことも考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
前記方法における竹炭のクロスへの付け加えは、クロスそのものの成形と共に行われるので、塗布によらず、従来の塗布による欠点はない。
【0025】
また、前記方法により製造した竹炭含有クロスは、均一な厚さを有する平面状のものになるので、内部にストレスを生じなく、長持ちになる。
【0026】
そしてまた、前記方法により製造した竹炭含有クロスは、平面状になるので、それ自体が機能ウェア用のクロスとされうることはもちろん、他の例えば編物や織物などのクロスの裏打ちとされることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の好適な実施例による製造方法の詳細フローチャートである。
【符号の説明】
【0028】
なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
竹炭粉末をポリウレタン溶液に入れて均一に分散させ、竹炭溶液を造った後、前記竹炭溶液と、ポリウレタンを主剤とした樹脂液とを混合して竹炭含有ポリウレタン溶液を造り、そしてそれを離型材に溶液膜に塗布してから加熱により硬化させ、最後に前記離型材から前記硬化した溶液膜を剥すことを特徴とする竹炭含有クロスの製造方法。
【請求項2】
前記ポリウレタン樹脂液と前記竹炭液との混合を行いながら混合中に生ずるバッブルを除去することを特徴とする請求項1に記載の竹炭含有クロスの製造方法。
【請求項3】
前記竹炭粉末を前記ポリウレタン溶液に入れる前、先に揮発性分散剤に分散させることを特徴とする請求項1または2に記載の竹炭含有クロスの製造方法。
【請求項4】
前記揮発性分散剤としてトルエンを主成分とし、中にもシリコーン分散助剤を添加することを特徴とする請求項3に記載の竹炭含有クロスの製造方法。
【請求項5】
前記竹炭含有ポリウレタン溶液を造る時、顔料をも添加することを特徴とする請求項1に記載の竹炭含有クロスの製造方法。
【請求項6】
前記竹炭粉末として粒径分布300〜500nm範囲内のものを使用することを特徴とする請求項1に記載の竹炭含有クロスの製造方法。
【請求項7】
前記竹炭の添加量を、前記主剤とするポリウレタン100重量部に対し、1.0〜10重量部の範囲内とすることを特徴とする請求項6に記載の竹炭含有クロスの製造方法。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2007−210322(P2007−210322A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−154350(P2006−154350)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【出願人】(505241463)宏遠興業股▲ふん▼有限公司 (5)
【Fターム(参考)】