説明

竹繊維材製造機、竹繊維材の製造方法、及び竹繊維材

【課題】竹繊維に極力ダメージを与えず、廃液処理といった問題も生じることなく、良質な竹繊維材を得ることができる竹繊維材製造機、竹繊維材の製造方法、及び竹繊維材を提供する。
【解決手段】竹を丸材のまま、一定の長さだけ竹の長手方向に移動させ、停止させる、竹移動制御手段を備え、竹が停止した状態で、回転刃物により竹を切削し、竹繊維材と竹紛とを含む前記一定の長さの竹材590を、例えばシュート116で集めて解繊ユニット117へと蓄積し、当該解繊ユニット117にて、得られた竹材590を、竹紛と竹繊維材とに分離する。分離は、回転羽根611a〜611d等を回転させて行う。竹紛は、小穴614から竹紛収納箱118に集められ、竹繊維材は、パイプ616からエアーを吹き込むことにより、竹繊維材収納箱119に集められる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、竹繊維材製造機、竹繊維材の製造方法、及び竹繊維材に関する。
【背景技術】
【0002】
低炭素社会に向けて、従来からの化石燃料の代替材料としてバイオマスが最近注目され、この分野の研究が急速に進んでいる。これら各種バイオマスの中で竹のバイオマス材料としての成長力の早さや抗菌性、消臭性、及び繊維としての強度など、最近特に注目されてきており、その用途開発も幅広い分野で並行して進んでいる。
【0003】
この竹を有効利用する用途開発に欠かせないのがバイオマス材料としての高品質の確保と低コスト化であり、その実現に対して現時点で最大のネックになっているのが、竹の一次加工における不均質などの品質の悪さや、非能率によるコストアップによるものである。
【0004】
上記一次加工の内、竹の特長の一つである繊維については竹素材を解して自動的に繊維にして樹脂成形材料に混ぜたり、特殊シートの材料にする応用研究が昨今急速に進みつつある。その一例として、自動車の内装部品の樹脂材料に一定比率の竹繊維を混ぜて、繊維同士の絡みによる成形部品の強度アップを狙いとした用途商品が市場に広まりつつある。
【0005】
しかしながら、市場に広まりつつある竹繊維の用途商品も、現状の工法での品質とコストの両面で課題はまだ多く残り、これから更に広く世界に普及して行くためには、重点的に解決すべき問題であると言える。
【0006】
従来の竹繊維材の作製方式として、例えば、以下に列挙するような方法、装置が知られている。
【0007】
例えば特許文献1には、竹を加熱加圧状態から瞬時に非加圧状態とする爆砕工程を含む竹繊維の製造方法が開示されている。
【0008】
例えば特許文献2には、竹を、長辺が繊維束に平行となるよう短冊状に切断して木質片を作製する切断工程と、該木質片をpH10〜14のアルカリ水溶液中で、アルカリ条件下で活性なセルロース分解酵素を作用させるアルカリ/酵素処理工程とを含み、該アルカリ/酵素処理工程とを経ることで、木質片の繊維質を結束している物質を除去し、竹繊維束または木繊維束を得る方法が開示されている。
【0009】
例えば特許文献3には、竹材を圧延装置により竹の生長方向に粗砕する第一工程と、第一工程で得られた粗砕品を特定の機構を有するハンマーミル型粉砕装置により繊維化する第二工程と、前記第二工程で得られた竹繊維中に混在する竹材内側の薄皮部を分離する第三工程からなることを特徴とする竹繊維の製造方法が開示されている。
【0010】
例えば特許文献4には、丸形状の竹を長手方向に一旦8分割などに割った後、機械に投入され、回転ローラで割られた竹の上下に圧力を掛けて平板化し、その後特殊な多数の刃が取り付けられた回転ドラムを竹の送り方向に直行する位置に設け、前記の多数の刃の付いた回転ドラムを竹の繊維の方向に引っ掻くように回転させて竹の繊維を解す方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−116917号公報
【特許文献2】特開2008−1064号公報
【特許文献3】特開平6−15616号公報
【特許文献4】特開2008−307832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記のように、竹繊維材を得る方法は種々考案されているところである。ここで、従来知られている竹繊維材製造方法のそれぞれの問題点を解決する方向性を集約すると以下の如くとなる。
(1)出来上がった竹繊維材にダメージが生じないようにするには、常温常圧の条件下で解繊が行わること、竹の長手方向に引っ掻くような解繊方法は避けることが好ましい。
(2)製造工程で発生する化学薬品の廃液処理問題や、騒音などの環境問題は発生しないことが好ましい。
(3)上記の点を満足しつつ、竹を長手方向に分割せず、丸竹のまま解繊が行われ、製造工程がシンプルであることは、竹繊維材の材料コストを下げるには極めて重要である。
(4)生産規模の拡大に対応できるように、解繊の効率(生産性)を向上させるには、人手を介さず、自動で処理できることが好ましい。
【0013】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであって、これまでに無い竹繊維材製造機、竹繊維材の製造方法、及び竹繊維材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の問題点を解決するために、本発明に係る竹繊維材製造機は、竹を丸材のまま、一定の長さだけ竹の長手方向に移動させ、停止させる、竹移動制御手段と、竹が停止した状態で、前記竹の長手方向と略直交する方向から竹を切削し、竹繊維材と竹紛とを含む略一定の長さの竹材を得る、竹切削手段と、得られた竹材を集める竹材収集手段と、得られた竹材を、竹紛と竹繊維材とに分離する解繊手段とを備えることを特徴としている。
【0015】
前記竹切削手段は、回転刃物を含む構成とすることができる。
前記竹切削手段は、竹が移動を停止した状態で、竹を複数の回転駆動ローラで押し当てて低速で回転する竹回転手段と、竹の繊維に平行の方向に複数の一定幅をもつ切削刃を有する回転刃物を回転させながら竹の繊維に直行する方向に送る構成とすることもできる。
【0016】
収集された竹材は、竹材が蓄積された状態で、複数枚の羽根を回転させることにより、竹紛と竹繊維材とに分離される構成とすることができる。
【0017】
前記収集された竹材が蓄積される空間の底面には、竹繊維材は通過しないが、竹紛は通過する多数の小穴が空けられており、当該小孔を竹紛が通過することにより、竹紛が分離される構成とすることができる。
【0018】
竹紛が分離された状態で、エアーを吹き入れることにより、前記小穴を通過せずに蓄積空間に残されている竹繊維材を蓄積空間から取り出す構成とすることができる。
【0019】
前記蓄積空間に、所定量の竹材が蓄積した場合に、前記羽根を回転させる前に、蓄積空間上部を塞ぐように移動する蓋部材を備える構成とすることが好ましい。
前記蓄積空間内で、竹紛と竹繊維材とを分離する羽根が取り付けられた回転軸の回転速度が約60〜600rpmである構成とすることができる。
【0020】
複数の竹の、丸材をストックしておくことが可能な竹ストッカーと、ストックされた丸材から一本ずつ、切削処理に供するように、一本一本の竹を分離する分離ユニットを備える構成とすると、自動化に便宜である。
【0021】
本発明に係る竹繊維材製造方法は、竹の丸材から、一定の長さごとに、竹紛と竹繊維材とを含む竹材を切削する竹切削工程と、竹紛と竹繊維材とを分離する解繊工程とを含むことを特徴とする。
【0022】
切削後、収集された竹材は、竹材が蓄積された状態で、複数枚の羽根を回転させることにより、竹紛と竹繊維材とに分離される製造方法とすることができる。
本発明に係る竹繊維材は、本発明のいずれかの竹繊維材製造機により製造されたか、又は本発明のいずれかに記載の竹繊維材の製造方法により製造されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る竹繊維材製造機等によると、竹繊維材にダメージが少なく、化学薬品の廃液処理問題も発生せず、効率も上がる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態における竹繊維材製造機の構成について説明するため、竹繊維材製造機を上方から見た模式図である。
【図2】本実施の形態の竹繊維材製造機を側面から見た様子を示す模式図である。
【図3】分離ユニットの第1の例について説明するための模式図である。
【図4】分離ユニットの他の構成の一例について説明するための模式図である。
【図5】回転切削刃物による、竹からの竹材への加工において、処理対象である竹111a自体は周方向に回転させない場合について説明するための模式図である。
【図6】図5の場合の様子を上方から見た模式図である。
【図7】竹からの竹材への加工において、第2の例として、竹111a自体を低速で回転させ、回転刃物114を小径とし、竹111a方向に前後移動させて切削する方法について説明するための模式図である。
【図8】解繊ユニット117の一例の構成について詳細に説明するための図である。
【図9】解繊ユニット117を経由して、竹繊維材収納箱119に集められた竹繊維材の顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態における竹繊維材製造機の構成について説明するため、竹繊維材製造機を上方から見た模式図である。
【0026】
本実施の形態の竹繊維材製造機は、複数本の竹111を搭載可能な竹ストッカー110を備えており、竹111は、後述する竹分離ユニットにより1本ずつ搬送部に送られる。搬送部に送られた竹111aは、押えローラ112a〜112c(及び後述する送りローラ113a〜113c)により、図1中矢印A方向へと移動する。この際の移動は、例えばPLC(シーケンサ)を用いて制御することができ、移動対象である竹111aを、一定の長さだけ矢印A方向に移動させた後、移動を停止するような制御を行う。
【0027】
図2は、本実施の形態の竹繊維材製造機を側面から見た様子を示す模式図である。竹111aは、一定の長さだけ矢印A方向に移動させた後、回転切削刃物114(図1も参照)により、切削がなされる。この回転切削刃物114は、モータ115により回転するとともに、回転切削刃物114が回転しながら、竹111aの方向に移動するように構成されており、この動作により一定の長さの竹111aから、竹繊維材に竹紛が絡まった竹材が得られる。
【0028】
得られた竹材は、シュート116によって集められ、解繊ユニット117へと送られる。解繊ユニット117の詳細については後述するが、解繊ユニット117により、前記竹材は、竹紛と竹繊維材とに分離され、竹紛は、竹紛収納箱118に収納され、竹繊維材は、竹繊維材収納箱119に収納される。
【0029】
次に、竹111から、処理対象となる竹111aを一本ずつ分離する分離ユニットの構成について説明する。分離ユニットの構成として、ここでは二つの例を説明するが、これらの構成に限定されるわけではない。図3は、分離ユニットの第1の例について説明するための模式図である。
【0030】
図3の分離ユニットを用いる場合、竹111は、矢印B方向へ回転するチェーン201上に配され、モータ203、歯車202により、順次、分離壁205aと205bとの間に送られる。分離壁205aと分離壁205bとは、図3中、矢印C方向に同時に上下運動が可能であり、処理対象である竹111aの切削処理が終了したところで、一旦分離壁205a、205bがチェーン201の下方へと引っ込み、次の竹が処理対象の竹111aとなるように、竹111を一本ずつ分離する。竹111aは、竹当接部204左側の当接壁204aに当接して停止し、送りローラ103a等によって、図1、図2に例示したような切削対象となる。
【0031】
図4は、分離ユニットの他の構成の一例について説明するための模式図である。この構成では、竹111は、水平方向に若干(例えば約10〜15°程度)傾斜した傾斜板301上に搭載される。竹111aの切削処理が終了したところで、略半月状の分離板302が、モータ303により矢印D方向に回転することにより、図4中、竹111bが山型の分離壁304を乗り越えて処理対象である竹111aの位置へと分離、移動し、竹当接部305左側の当接壁に当接して停止する。以後は、図3の例と同様に、切削処理が行われる。
【0032】
分離ユニットの構成は、図3、図4の例に限定されないが、図3、図4のいずれの構成とするかは、各種の条件により選択され得る。この選択は、例えば設備の製作コストを低く抑えたい時は単純な構成である傾斜板301をもつ方式が好適である。また、前記に対して、比較的設備コストの予算に余裕があり、稼働の安定性が要求される場合は水平方向に供給ストックされる方法が採られ得る。
【0033】
さらに、回転切削刃物による、竹からの竹材への加工について、詳細に説明する。竹から竹材への加工についても、二種類の方法を例示するが、これに限定されるわけではない。ここで、説明する二種類の加工方法としては、処理対象である竹111a自体を周方向に回転させるか、竹自体は回転させずに切削処理を行うかに大別される。
【0034】
まず、第1の例として、竹111a自体を周方向に回転させる構成を特に設けない場合について説明する。図5は、第1の例について説明するための模式図である。
【0035】
この例では、竹111aを周方向に回転させず、大径の回転刃物114を竹111aの方向へと回転させつつ前進させて、竹111aの切削を行う。図6は、この場合の様子を上方から見た模式図であり、モータ115にて回転刃物114を回転させながら、例えば別のモータとボールねじを組み合わせて作製した前後移動ユニット401で回転刃物114を竹111a方向に前後に移動させる。
【0036】
回転刃物114が、竹111a方向に移動したときに、竹111aの先端が一定の長さを持った竹材に切削される。この竹材は、竹繊維材と竹粉とを含んでおり、後述する解繊ユニットにより、竹繊維材と竹粉とに分離される。前記したような送りローラによる竹111aの移動長さと、回転刃物114の竹111a長手方向の幅とが相俟って、竹材の長さが一定となるようにされる。
【0037】
なお、図6中114aは、回転刃物114よりも、例えば1〜2mm程度外径が大きく、厚さの薄い(例えば1.5〜2mm程度)回転刃物であって、前記回転刃物114と同じように回転する。回転刃物114aは、竹111a先端の逆側、回転刃物114の端部に、回転刃物114と同軸に取り付けられる。回転刃物114aの目的は、竹111aから竹材に含まれる竹繊維を切削しやすくすることにある。なお、回転刃物114、及び114aの、前後移動ユニット401による移動の速度は、通常目的とする竹繊維の太さが約0.1〜0.3mm程度であることを考慮して、回転刃物114の刃数や回転速度との関係で決定することができる。
【0038】
次に第2の例として、竹111a自体を低速で回転させ、回転刃物114を小径とし、竹111a方向に前後移動させて切削する方法について説明する。図7は、この場合の実施形態について説明するための模式図である。
【0039】
この例では、回転刃物114の外径を小さくしているため、竹111a自体を低速で回転させるため、竹111aの下方に一対の支持ローラ506a、506bを設ける。そして一対の支持ローラ506a、506bに支持された竹111aの上方に回転駆動ローラ503を設ける。回転駆動ローラ503は、モータ501により低速(例えば10〜100rpm程度、より具体的には60rpm前後が考えられるが、これは適宜、設定することができる。)で竹111aを回転させる。
【0040】
この第2の例の良いところは、第1の例では、竹の切削部位、特に切削終了時に、切削条件や切削部の形状の変化が生じ得ることに対して、ほぼ同一の切削条件で竹繊維材を作製することができ、切削が安定することである。
【0041】
第2の例でも、回転刃物114よりも、例えば1〜2mm程度外径が大きく、厚さの薄い(例えば1.5〜2mm程度)回転刃物であって、前記回転刃物114と同じように回転する回転刃物114aを取り付けている。回転刃物114aが、竹111a先端の逆側、回転刃物114の端部に、回転刃物114と同軸に取り付けられる点、回転刃物114aの目的が、竹111aから竹材に含まれる竹繊維を切削しやすくすることにある点、回転刃物114等はモータ504により回転する点等は、第1の例と同様である。回転刃物114及び114aは、前後移動ユニット505により、矢印F方向に前後に移動することが可能な構成となっている。一方回転駆動ローラ503は、上下移動ユニット502により、竹111aに対して矢印G方向に上下移動が可能な構成となっている。
【0042】
第2の例では、まず、回転刃物114が竹111aから後退した位置の状態で、送りローラ113a等(図2参照)により竹111aが移動して、停止する。次に、竹111a上方から回転駆動ローラ503が下降し、竹111a上方からバネの力、エアースプリング(エアーシリンダーで常に一定の方向に圧力を掛ける方法)で設定された力をローラを介して竹に与えながら押圧し、竹111aを回転させた状態で、回転刃物114及び114aが、竹111aの方へと移動して、停止する。
【0043】
次に回転駆動ローラ503を回転させるモータ501により、前記したように、回転駆動ローラ503が、竹111aを、例えば10〜100rpmの低速で回転させる。この低速回転により、回転刃物114の切削刃が竹111aの繊維部分に切り込み、竹材(竹繊維材、竹粉を含む)590が作製される。
【0044】
この例での回転刃物114の矢印F方向の送り速度は、例えば5mm/秒とすることができるが、これに限定されず、作製される竹繊維材の太さ(径)が約0.1〜0.3mmであることを考慮し、回転刃物114の一刃が竹繊維一本の太さを切削するよう、回転刃物114の刃数と回転速度との関係も考慮して決定することができる。具体的には、回転刃物114として、直径45mm前後、刃数は8刃ないし10刃とすることができ、回転刃物114の回転速度は、例えば40rpmとすることができる。
【0045】
以上のように、竹繊維材、竹紛の絡まった竹材590が切削により作製される。作製された竹材は、自然落下して、シュート116によって集められ、解繊ユニット117へと送られる。図8は、解繊ユニット117の一例の構成について詳細に説明するための図である。
【0046】
図8(a)は、解繊ユニット117を側面から見た模式図である。シュート116の底部、解繊ユニット117の上端には、モータ602により水平方向に回動可能な開閉板601が設けられている。図8(b)は、開閉板601の一例について説明するため、開閉板601をシュート116側から見た図である。
【0047】
開閉板601には、開放穴604が設けられており、モータ602により、水平方向、矢印I方向、矢印J方向の双方に回動可能に構成されている。図8(b)中603は、解繊ユニット117上部の蓋として機能する部分であり、穴は開いていない。
【0048】
上記のように切削により竹材が所定量作製される間、シュート116下部は、蓋部603により閉じられており、蓋部603上に竹材が蓄積する。所定量竹材が蓄積すると、モータ602により、開閉板601を矢印I方向へと回動させ、シュート116下部に開放穴604が移動するように制御する。この制御は、例えばPLC(シーケンサ)を用いて実現することができ、所定時間の経過後に開閉板601を回動させる構成でも良いし、センサでシュート116に蓄積した竹材の量を検出して開閉板601を回動させる構成とすることもできる。
【0049】
本実施の形態では、竹材が解繊ユニット117内に落下した後、モータ602により、開閉板601を矢印J方向に回動させ、解繊ユニット117上部に蓋をする。図8(c)は、解繊ユニット117の構成について説明するために、解繊ユニット117を上方から見た模式図である。解繊ユニット117は、円筒615内に、本実施の形態では、上下方向3段、各段に4枚ずつの回転羽根611a〜611dが配されて構成される。各々の回転羽根は、モータ612により、例えば回転速度300〜600rpmで回転する回転軸610周囲に固定されている。なお、モータ612としては回転速度制御が可能なモータを用いて、竹材により回転速度を変化させるような構成としても良い。
【0050】
解繊ユニット117の底部には、竹紛は通過可能であるが、竹繊維材は通過できない多数の小穴614が空けられており、回転軸610を回転させたときに、竹材が竹紛と竹繊維材とに分離され、竹紛は、小穴614から竹紛収納箱118へと落下する。得られた竹紛は、高品質なバイオマス化学材料として有効活用することができる。
【0051】
竹紛と竹繊維材とが充分に分離された後、円筒615底部には竹繊維材が残ることになる。このときに、パイプ616から、矢印H方向に圧縮エアーを吹き入れると、底部に残った竹繊維材がパイプ613方向へと吹き飛ばされて、パイプ613下方に設けられた竹繊維材収納箱119に蓄積される。この竹繊維材取り出しの際にも、モータ612は回転を続けるようにしても良い。
【0052】
また、竹材が解繊ユニット117により竹紛と竹繊維材とに分離された後で、前記多数の小穴614が空けられた部材が傾斜して、前記小穴614を通過せずに残されている竹繊維材を、傾斜を滑らせて取り出すような実施の形態も可能である。
【0053】
図9は、解繊ユニット117を経由して、竹繊維材収納箱119に集められた竹繊維材の顕微鏡写真である。以上に詳細に説明した竹繊維材製造機により得られた竹は、例えば高温、高圧条件で得られた竹繊維のようにダメージがなく、アルカリ溶液や熱水に曝した場合には失われてしまうような成分も含み、その用途は多様であり、高品質の竹繊維材が得られる。また、総合的な竹繊維材の製造コストも抑えることができ、竹の有効利用の可能性に向けて、大きく前進させるものである。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、例えば、竹繊維材の製造に適用することができる。
【符号の説明】
【0055】
110 竹ストッカー
111 竹
111a 切削対象竹
112a〜112c 押さえローラ
113a〜113c 送りローラ
114 回転刃物
114a 回転刃物
115 モータ
116 シュート
117 解繊ユニット
118 竹紛収納箱
119 竹繊維材収納箱
120a〜120e 支持ローラ
201 チェーン
202 歯車
203 モータ
204 当接板
204a 当接面
205a、205b 分離壁
301 傾斜板
302 分離板
303 モータ
304 分離壁
401 前後移動ユニット
501 モータ
502 上下移動ユニット
503 回転駆動ローラ
504 モータ
505 前後移動ユニット
506a、506b 支持ローラ
590 竹材
601 開閉板
602 モータ
603 蓋部
604 開放穴
610 回転軸
611a〜611d 回転羽根
612 モータ
613 パイプ
614 小穴
615 円筒
616 パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
竹を丸材のまま、一定の長さだけ竹の長手方向に移動させ、停止させる、竹移動制御手段と、
竹が停止した状態で、前記竹の長手方向と略直交する方向から竹を切削し、竹繊維材と竹紛とを含む略一定の長さの竹材を得る、竹切削手段と、
得られた竹材を集める竹材収集手段と、
得られた竹材を、竹紛と竹繊維材とに分離する解繊手段とを備える
ことを特徴とする竹繊維材製造機。
【請求項2】
前記竹切削手段は、回転刃物を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の竹繊維材製造機。
【請求項3】
前記竹切削手段は、
竹が移動を停止した状態で、竹を複数の回転駆動ローラで押し当てて低速で回転する竹回転手段と、竹の繊維に平行の方向に複数の一定幅をもつ切削刃を有する回転刃物を回転させながら竹の繊維に直行する方向に送る
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の竹繊維材製造機。
【請求項4】
収集された竹材は、竹材が蓄積された状態で、複数枚の羽根を回転させることにより、竹紛と竹繊維材とに分離される
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の竹繊維材製造機。
【請求項5】
前記収集された竹材が蓄積される空間の底面には、竹繊維材は通過しないが、竹紛は通過する多数の小穴が空けられており、当該小孔を竹紛が通過することにより、竹紛が分離される
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の竹繊維材製造機。
【請求項6】
竹紛が分離された状態で、エアーを吹き入れることにより、前記小穴を通過せずに蓄積空間に残されている竹繊維材を蓄積空間から取り出す
ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の竹繊維材製造機。
【請求項7】
前記蓄積空間に、所定量の竹材が蓄積した場合に、前記羽根を回転させる前に、蓄積空間上部を塞ぐように移動する蓋部材を備える
ことを特徴とする請求項4から6のいずれかに記載の竹繊維材製造機。
【請求項8】
前記蓄積空間内で、竹紛と竹繊維材とを分離する羽根が取り付けられた回転軸の回転速度が約60〜600rpmである
ことを特徴とする請求項4からら7のいずれかに記載の竹繊維材製造機。
【請求項9】
複数の竹の、丸材をストックしておくことが可能な竹ストッカーと、ストックされた丸材から一本ずつ、切削処理に供するように、一本一本の竹を分離する分離ユニットを備える
ことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の竹繊維材製造機。
【請求項10】
竹の丸材から、一定の長さごとに、竹紛と竹繊維材とを含む竹材を切削する竹切削工程と、
竹紛と竹繊維材とを分離する解繊工程とを含む
ことを特徴とする竹繊維材の製造方法。
【請求項11】
切削後、収集された竹材は、竹材が蓄積された状態で、複数枚の羽根を回転させることにより、竹紛と竹繊維材とに分離される
ことを特徴とする請求項10に記載の竹繊維材の製造方法。
【請求項12】
請求項1から9のいずれかの竹繊維材製造機により製造されたか、又は請求項10又は11のいずれかに記載の竹繊維材の製造方法により製造された
ことを特徴とする竹繊維材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−212993(P2011−212993A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−84088(P2010−84088)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(504237050)独立行政法人国立高等専門学校機構 (656)
【Fターム(参考)】