説明

符号化装置、及び復号装置

【課題】 比較的簡易な回路により、より長いビット長のデータをディスク装置にとって好適に符号化できる符号化装置、及び当該符号化装置により符号化されたデータを復号する復号装置を提供する。
【解決手段】 長さMの符号列に基づいて、当該符号列に出現し得る複数の符号語の各々について、それぞれの連続長を制限しつつ、長さM+1の変換符号列を生成する符号化器52、入力される長さNの符号列のうち、(N−M)個の所定位置の符号を取り除いて、長さMの符号列を生成し、符号化器52に出力する前処理器51、及び、前処理器51によって取り除かれる(N−M)個の所定位置の符号の各々を、符号化器52から出力される長さM+1の変換符号列上で、予め規定された(N−M)個の差込位置に差し込んで、長さN+1の出力符号列を生成して出力する後処理器53、を含む符号化装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードディスク等の記憶デバイスで用いられる符号化装置及び復号装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ビタビ符号化と、パーシャルレスポンス(PR)チャネルとを組み合わせる、いわゆるPRML(Partial Response Maximum Likelihood)方式が、磁気ディスク等における記録再生処理において広く用いられている。
【0003】
例えば、再生回路を伝送路とした場合の伝達関数は、パーシャルレスポンスクラス4(PR4)として知られるもの等が用いられる。ここでPR4は、Dを遅延演算子として、G(D)=(1−D)(1+D)で示される。さらに、高密度記録に対してはより高次のG(D)=(1−D)(1+D)^2で表される拡張パーシャルレスポンスクラス4(EPR4)やG(D)=(1−D)(1+D)^3という、拡張EPR4、G(D)=(1−D)^2(5+4D+2D^2)のMEEPR4(Modified Extended EPR4)などが適することが知られている。なお、A^Bは、AをB乗することを意味する。
【0004】
ここで示したように、磁気記録においては、2進符号が、3値、5値、あるいは7値の信号に変換され、これらの3値、5値あるいは7値の信号系列から「1」または「0」の符号語からなる2進符号を生成するようにビタビ復号される。
【0005】
磁気ディスク装置においては、磁気記録媒体上を移動する磁気ヘッドによって、磁気記録媒体から読出された再生信号に基づき、このPRML方式によって、記録されているデータを再生するとともに、データのサンプリング・タイミングも、この再生信号から得るようにしている。
【0006】
この場合、一定のデータビット長以上「0」に相当する符号が継続していると、再生信号である電圧信号が「0V」近傍で停滞し、サンプリング・タイミングを抽出することが困難となる。
【0007】
そこで磁気ディスク装置では、符号語「0」のランレングスが一定数以下の符号に変換して記録するのが一般的である。このような符号として8/9GCR符号あるいは16/17GCR符号が従来から広く知られている。しかしながらビタビ復号では、記録符号が持つ符号間の距離によって復号誤り率が定まる。そこで符号語のランレングスが短く、しかも符号間の距離の大きい符号を構成することが好ましい。この点、上記GCR符号では好適な符号とはいえない。
【0008】
一般に、符号語のランレングスを短くするとともに、符号間の距離を大きくした符号の構成は困難であるが、従来、符号化の対象データのビット長が16で、符号化結果のビット長が17となり、符号語「1」の最大連続長が3、符号語「0」の最大連続長が10となる符号の構成は見いだされている。この符号は、16/17QMTR(Quasi-Maximum Transition Run)符号と呼ばれる(例えば特許文献1)。
【0009】
この16/17QMTRを利用するディスク装置では、記録の対象となるデータに、誤り訂正符号を付し、次に誤り訂正符号を含む符号列を、16ビット長ごとに分割し、分割して得られた16ビット長の符号列のそれぞれを16/17QMTR符号化して17ビット長の符号化データを得て、この符号化データを記録することになる。
【特許文献1】特開平11−243345号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
一方、ディスク装置の性能向上のためには、符号化データのもととなるデータのビット長をなるべく長くして、一度に取り扱うデータの量を増大させることが好ましい。しかしながら、既に述べたように、例えば20ビット長のデータを、21ビット長のデータに符号化する、20/21QMTR符号を構成することは、一般に極めて困難である。また、仮にそのような符号が構成できたとしても、回路規模が大きくなることが予想され、20/21QMTR符号等のより長いビット長のデータを好適に符号化する回路の設計は、現実的とはいえない。
【0011】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、比較的簡易な回路により、より長いビット長のデータをディスク装置にとって好適に符号化できる符号化装置、及び当該符号化装置により符号化されたデータを復号する復号装置を提供することを、その目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、符号化装置であって、長さMの符号列に基づいて、当該符号列に出現し得る複数の符号語の各々について、それぞれの連続長を制限しつつ、長さM+1の変換符号列を生成する符号化器、入力される長さNの符号列のうち、(N−M)個の所定位置の符号を取り除いて、長さMの符号列を生成し、前記符号化器に出力する前処理器、及び、前記前処理器によって取り除かれる(N−M)個の所定位置の符号の各々を、前記符号化器から出力される長さM+1の変換符号列上で、予め規定された(N−M)個の差込位置に差し込んで、長さN+1の出力符号列を生成して出力する後処理器、を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本実施の形態の符号化装置及び復号装置は、ディスク装置に内蔵される。具体的な例として、本実施の形態の符号化装置及び復号装置を含むディスク装置は、図1に示すように、ディスク媒体1、ヘッドアセンブリ2、ヘッド制御部3、読み書き(RW)部4、及び制御部5を含んで構成されている。図1は、ディスク装置の概要を表す構成図である。
【0014】
ここでヘッドアセンブリ2は、磁気ヘッドを含み、ディスク媒体1の表面上を相対移動しながらディスク媒体1に対してアクセスを行い、情報を磁気的に記録・再生(読み書き)する。
【0015】
ヘッド制御部3は、ヘッドアセンブリ2を制御し、磁気ヘッド部をディスク媒体1上で移動させる。
【0016】
RW部4は、制御部5から入力される信号を符号化して、符号化後の情報を電気信号として、ヘッドアセンブリ2の磁気ヘッドに出力する。また、このRW部4は、磁気ヘッドから入力される電気信号に基づいて記録されている情報を復号し、復号の結果を制御部5に出力する。ここでは、このRW部4が、本実施の形態の符号化装置及び復号装置を含む。このRW部4における具体的な処理の内容については後に詳しく述べる。
【0017】
制御部5は、例えばマイクロプロセッサであり、図示しない記憶装置に格納されているプログラムに従って動作している。この制御部5は、ディスク装置のホストとなったコンピュータから、記録の対象となる情報の入力を受けて、RW部4に当該情報を出力する。また、ホストとなったコンピュータからディスク媒体1に記録された情報を読み出す指示を受けると、当該指示に係る情報の記録位置まで磁気ヘッドを移動させるよう、ヘッド制御部3に指示を出力し、その後RW部4が出力する復号結果の信号をコンピュータ側に出力する。
【0018】
つまり、このディスク装置は、ホストとなるコンピュータに接続され、当該コンピュータ側から情報の記録指示を受けると、制御部5が当該指示に従って、記録の対象となる情報をRW部4に出力し、RW部4が当該情報を符号化し、電気信号を生成して出力し、ヘッドアセンブリ2の磁気ヘッドが当該電気信号を磁気信号に変換し、ディスク媒体1を磁化して情報を記録する。
【0019】
また、ホストとなったコンピュータからディスク媒体1上に記録された情報の読取指示を受けると、制御部5が当該指示に従って、読取の対象となる情報の記録位置まで磁気ヘッドを移動させるよう、ヘッド制御部3に指示を出力する。ヘッド制御部3はヘッドアセンブリ2を制御して、磁気ヘッド部をディスク媒体1上の上記記録位置まで移動させる。磁気ヘッド部が当該記録位置から読み取った情報は、RW部4に出力され、RW部4が当該情報を復号して制御部5に出力する。制御部5は、当該復号された情報をホストとなったコンピュータに出力する。
【0020】
ここで、本実施の形態の符号化装置及び復号装置を実現するRW部4の動作について説明する。RW部4は、プログラムを実行するCPUやDSP(Digital Signal Processor)を用いて実現でき、機能的には図2に示すように、前処理符号化部41と、誤り訂正符号化部42と、誤り訂正復号部43と、後処理復号部44とを含んで構成される。
【0021】
前処理符号化部41は、さらに、図3に示すように、前処理器51と、符号化器52と、後処理器53とを含んで構成されている。後処理復号部44は、さらに、図4に示すように、分離器55と、第一段復号器56と、第二段復号器57とを含んで構成されている。
【0022】
前処理符号化部41の前処理器51は、入力される符号を所定の長さNごとに区切って、処理対象とする。そして、当該処理対象となった長さNの符号列のうち、(N−M)個(M<N)の所定位置の符号を取り除いて、長さMの符号列を生成し、符号化器52に出力する。
【0023】
符号化器52は、従来から利用されているM/(M+1)QMTR符号化回路、例えば16/17QMTR符号化回路である。この符号化器52は、前処理器51から入力される長さMの符号列を、当該符号列に出現し得る複数の符号語の各々について、それぞれの連続長を制限しつつ、長さM+1の変換符号列に変換する。
【0024】
後処理器53は、前処理器51によって取り除かれる(N−M)個の所定位置の符号の各々を、符号化器52から出力される長さM+1の変換符号列上で、予め規定された(N−M)個の差込位置に差し込んで、長さN+1の出力符号列を生成して出力する。このとき、後処理器53は、長さN+1の出力符号列に、さらに誤り訂正符号を付してもよい。
【0025】
この前処理符号化部41の具体的な処理の流れを図5を参照しながら説明する。ここでN=20ビット、M=16ビットとする。前処理符号化部41は、入力される符号列を長さN(ここでは20ビット)ごとに分割する。そして分割して得られた20ビットの符号(図5最上段(A)の「0」から「19」までの20ビット)のうち、予め定めた(N−M)個、つまりここでは20−16=4個の符号を除いた、16ビットの長さの符号について、16/17QMTRの符号化処理を行って、図5の中段(B)に示した、長さ17ビットの符号列(「0′」から「16′」)を生成する。
【0026】
次に、この17ビットの符号列上の所定(N−M)箇所の差し込み位置に、取り除いた(N−M)個の符号を差し込む。例えば、符号列の符号「4′」の直後、「8′」の直後、「12′」の直後、「16′」の直後と差し込み位置を定める場合は、図5最下段(C)のような符号列が生成される。前処理符号化部41は、この符号列を誤り訂正符号化部42に出力する。
【0027】
この差し込み位置は、差し込まれる符号間の距離が所定の値以上となるよう定めておいてもよい。符号化器52において符号語「1」の最大連続長が3となっているとき、差し込み位置間の距離がこの最大連続長(符号語の一つに係る最大連続長)より大(差し込まれる符号間の距離が「3」より大)となっていれば、差し込み後の符号列において、符号語「1」の最大連続長を3+1=4に抑制できる。
【0028】
つまり、この前処理符号化部41は、20/21MTR(Maximum Transition Run)符号化器として動作することとなる。
【0029】
前処理符号化部41は、この処理を、分割により得た長さNの符号列の各々について行い、それぞれを符号化して得た、長さN+1の符号列に、それぞれ誤り訂正符号を付して順次出力する。
【0030】
誤り訂正符号化部42は、前処理符号化部41が順次出力する符号列を連接し、誤り訂正符号化して出力する。
【0031】
また、RW部4の誤り訂正復号部43は、磁気ヘッドにて読み取られた電気信号に対して、PRML処理及び誤り訂正復号処理を実行し、復号後の情報を出力する。この誤り訂正復号部43の出力する情報は、前処理符号化部41が出力した符号列を連接したものとなっている。
【0032】
後処理復号部44の分離器55は、誤り訂正復号部43が出力する符号列を、前処理符号化部41にて出力される、長さN+1の符号列に分割する。そして、分割して得た、長さN+1の符号列から、予め規定された(N−M)箇所の差し込み位置の符号を取り除いて、長さM+1の符号列を出力する。ここでの差し込み位置は、前処理符号化部41の後処理部53の差し込み位置に対応する位置である。
【0033】
第一段復号器56は、分離器55が出力する長さM+1の符号列に対して、M/(M+1)QMTRの符号化に対応する復号処理を行い、長さMの符号列を生成して出力する。第二段復号器57は、分離器54にて取り除かれた(N−M)箇所の符号の各々を、第一段復号器56が出力する、長さMの符号列の所定の(N−M)個の位置に差し込む。この第二段復号器57の差し込み位置は、前処理符号化部41の前処理部51の差し込み位置に対応する位置である。
【0034】
具体的な例として、この後処理復号部44の動作について、図6を参照しながら説明する。図6の最上段(A)に示すように、この後処理復号部44に入力される符号列は、前処理符号化部41によって生成された長さN+1の符号列(図5最下段(C)参照)に相当するものである。ここでは、既に用いた例に従い、N=20、M=16とする。
【0035】
後処理復号部44は、前処理符号化部41の後処理器53において、符号が差し込まれた位置(ここでは4箇所)に対応する符号を取り除き、長さ17ビットの符号列を生成し、16/17QMTR符号化に対応する復号処理を行う。そして、図6の中段(B)に示すように、長さ16ビットの符号列を得る。
【0036】
後処理復号部44は、さらに、この長さ16ビットの符号列の所定位置に、取り除いた4個の符号を差し込む。この差し込み位置は、前処理符号化部41の前処理器51の差し込み位置(図5の例では、符号列の末尾)である。後処理復号部44は、この差し込み後の、20ビットの符号列を再生符号列として出力する(図6の再下段(C))。
【0037】
本実施の形態によると、既に設計して利用されている16/17QMTR符号化回路等を用いて、より符号長の長い符号列を、符号化できるようになる。これにより、比較的簡易な回路により、より長いビット長のデータをディスク装置にとって好適に符号化できる。
【0038】
なお、従来例では、符号語の連続長を制限する符号化(RLL符号化)であるQMTR符号化を、誤り訂正符号を付した後で行っている。このため、再生信号に生じた誤りがQMTR符号化に対応する復号(RLL復号)の際に、より広範囲に伝播し、誤りを拡大させることがあった。本実施の形態では、符号語の連続長を制限する符号化(RLL符号化)であるQMTR符号化を、誤り訂正符号を付する前に行っていることで、QMTR符号化に対応する復号(RLL復号)の際にエラーが伝播することを防止できる。
【0039】
さらに、ここで前処理符号化部41は、出力する符号列の末尾を参照し、それがカタストロフ系列(「・・・11001100・・・」を繰り返す系列)の一部に該当する場合は、カタストロフ系列を除去する処理をさらに行ってもよい。例えば、上記カタストロフ系列の一部に該当する部分の符号パターンを、使用されていないパターンに切り替えて符号化するなどの処理を行うことでカタストロフ系列を除去できる。
【0040】
さらに本実施の形態の前処理符号化部41での処理は、上述の処理に限られない。例えば後処理器53における符号の差込位置は、図5に示すように、16/17QMTR符号化結果の先頭から9ビット目(「8′」)に引き続く位置に、複数配置してもよい。例えば、前処理器51において取り除かれた符号が4つである場合、それらを16/17QMTR符号化結果の先頭から10ビット目から13ビット目までに続けて配置してもよい(図7の上段(A)を参照)。また、例えば、前処理器51において取り除かれた4つの符号のうち3つを16/17QMTR符号化結果の先頭から10ビット目から12ビット目までに続けて配置し、残る1つを16/17QMTR符号化結果の末尾に連接してもよい(図7の下段(C)を参照)。
【0041】
この例のように、差込位置を互いに隣接した部分に配置する場合、あるいは、QMTR符号化結果の先頭ないし末尾に連接する場合には、前処理符号化部41は、次の処理を行う。
【0042】
すなわち、前処理符号化部41では、当該差込位置を含み、長さがLとなっている、所定範囲の符号列部分を再符号化対象部分として予め定めておく。図7の上段の例では、例えば先頭から6ビット目から、16ビット目までの、長さ11ビットの部分(X)が再符号化対象部分となる。
【0043】
前処理符号化部41は、この再符号化対象部分を取り出し、当該再符号化対象部分に出現し得る複数の符号語の各々について、それぞれの連続長(ランレングス)を制限する再符号化処理を行う。
【0044】
ここで再符号化処理は、符号列部分の長さを変えないで、長さLの変換部分符号列を生成す処理であるとする。この符号化の処理は、広く知られているものを利用できる。そして、前処理符号化部41は、当該生成した変換部分符号列で、元の符号列部分(再符号化対象部分の符号列)を置き換えて、出力する。
【0045】
なお、QMTR符号化結果の先頭ないし末尾に、差込位置を配置した場合は、次のようにする。すなわち、QMTR符号化結果の先頭に差込位置を配置した場合は、後処理器53が一つ前に出力した符号列の末尾部分と、今回出力する符号列の先頭部分とに跨がる、長さLの符号列部分を、再符号化対象部分として取り出して、上記再符号化処理を行い、再符号化処理結果で、当該再符号化対象部分を置き換える。
【0046】
また、QMTR符号化結果の末尾に差込位置を配置した場合は、後処理器53が今回出力する符号列の末尾部分と、次に出力する符号列の先頭部分とに跨がる、長さLの符号列部分を、再符号化対象部分として取り出して、上記再符号化処理を行い、再符号化処理結果で、当該再符号化対象部分を置き換える。図7の例では、末尾の17ビット目以降、次の符号列の5ビット目までの10ビット分を再符号化対象部分として(不図示)、当該再符号化対象部分に出現し得る複数の符号語の各々について、それぞれの連続長(ランレングス)を制限する再符号化処理を行う。
【0047】
このように符号化した場合、復号の処理においては、後処理復号部44の分離器55が、誤り訂正復号部43が出力する符号列を、前処理符号化部41にて出力される、長さN+1の符号列に分割する。
【0048】
そして分離器55は、分割して得られる長さN+1の各符号列の、予め規定された再符号化対象部分について、再符号化処理に対応する復号処理を行い、当該復号処理の結果で、再符号化対象部分を置き換える。
【0049】
次に分離器55は、分離して得られた長さN+1の各符号列について、予め規定された差込位置の符号を取り除いて、長さM+1の符号列を出力する。ここでの差し込み位置は、前処理符号化部41の後処理器53の差し込み位置に対応する位置である。そして以下は、上述の第一、第二復号器56,57の処理を行う。
【0050】
さらに本実施の形態の前処理符号化部41での処理は、16/17QMTR符号化を利用した20/21MTR符号化器として動作するだけでなく、24/25QMTR符号化器を用いて、30/31MTRを実現してもよい。すなわち、前処理器51において長さ30ビットの符号列の末尾6ビットを除去し、残り24ビットの符号列を24/25QMTR符号化して25ビットの符号列を得る。そして、この25ビットの符号列の所定差込位置に6ビットの符号を差し込んで、31ビットの符号列を生成してもよい。
【0051】
この場合、差込位置として4の倍数に相当する位置としてもよいし、次のようにしてもよい。すなわち、24/25QMTR符号化においては、符号語「0」,「1」の最大連続長(ランレングス)が先頭からビットごとに図8に示すようになっている。図8は例えば、0ビット目から「1」が始まる場合は、その最大連続長が2となり、0ビット目が「0」で1ビット目が「1」の場合は、この「1」の最大連続長が4となる。
【0052】
そこで、この変換符号列の性状に関連して、差込位置が図9に示すように、(A)から(F)までの6種類考えられる。なお、図9の(A)から(F)の数列は、符号語「1」の最大連続長を意味している。すなわち、図9から理解されるように、これら6通りの差込位置のいずれかとすれば、符号語「1」の最大連続長を6以下に抑制できる。さらに「1」の最大連続長が6となる箇所を1箇所に抑えることができる。
【0053】
前処理符号化部41の後処理器53は、これら6通りの差込位置を規定する情報を保持し、当該差込位置の規定のうちから一種類の規定を選択する。そして当該選択した規定に基づいて、前処理器51にて取り除かれた符号を、変換符号列に差し込む。ここで規定の選択は、事前に設定された種類の規定を選択することとすればよい。
【0054】
さらに、誤り訂正符号化部42は、生成した符号列に誤り訂正符号とともにパリティを付して出力してもよい。これにより、発生した誤りに対して局所的な訂正を可能として、復号性能を向上できる。この方法の具体的な手法については、IEEE Transactions on Magnetics, vol.34, No.4, July 1998 Thomas Conway, "A New Target Response with Parity Coding for High Density Magnetic Recording Channels"に開示がある。
【0055】
なお、ここでは入力される符号列について、所定長(例えば512バイト)分のユーザデータと(CRCC等の)付加情報とのセットからなる記録処理の単位について、誤り訂正符号を付加することを前提としているが、記録処理の単位の整数倍の長さの情報ごとに誤り訂正符号を付加してもよい。つまり、記録の対象となる情報に対して上記QTMR符号化を行うとともに、記録の対象となる情報の所定単位サイズ(上記記録処理の単位)の整数倍の情報に対して誤り訂正符号を付加するようにしてもよい。
【0056】
例えば、512バイト分(及び付加情報長)を記録処理の単位としている場合、その8倍である、4キロバイト分のユーザデータと付加情報との単位について、誤り訂正符号を付してもよい。さらに、この4キロバイト分のユーザデータをインターリーブして得た、1キロバイト長、または2キロバイト長などの長さのデータについて誤り訂正符号を付してもよい。ここでインターリーブとは、図10に示すように、元の符号列を、例えば複数n個の符号列に分割するにあたり、元の符号列上のi番目の符号について、(i−1)をnで除した余りrに対応するr+1番目の符号列に振り分ける処理である。図10では、4キロバイト分のデータを、4つの1キロバイト分のデータに振り分ける例を示しており、1番目のデータは、(1−1)=0を、n=4で除した余りr=1に対応する、r+1=1番目の符号列に、以下同様に、2番目のデータは2番目の符号列に・・・と振り分けて行き、5番目のデータが再び1番目の符号列に振り分けられるようになっている。
【0057】
本実施の形態の符号化装置・復号装置は、ディスク装置として、面内磁気記録型のディスク装置や垂直磁気記録型のディスク装置のどちらにでも適用できる。また磁気を利用したディスク装置に限らず、光磁気ディスク等にも適用できる。本実施の形態は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施の形態に係るディスク装置の概要を表す構成ブロック図である。
【図2】リードライト部の機能ブロック図である。
【図3】前処理符号化部の機能ブロック図である。
【図4】後処理復号部の機能ブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る符号化装置の動作例を表す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る復号装置の動作例を表す説明図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る符号化装置の別の動作例を表す説明図である。
【図8】24/25QMTR符号化のランレングスの例を表す説明図である。
【図9】24/25QMTR符号化を利用した場合の差込位置の例を表す説明図である。
【図10】インターリーブの例を表す説明図である。
【符号の説明】
【0059】
1 ディスク媒体、2 ヘッドアセンブリ、3 ヘッド制御部、4 読み書き部、5 制御部、41 前処理符号化部、42 誤り訂正符号化部、43 誤り訂正復号部、44 後処理復号部、51 前処理器、52 符号化器、53 後処理器、55 分離器、56 第一段復号器、57 第二段復号器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さMの符号列に基づいて、当該符号列に出現し得る複数の符号語の各々について、それぞれの連続長を制限しつつ、長さM+1の変換符号列を生成する符号化器、
入力される長さNの符号列のうち、(N−M)個の所定位置の符号を取り除いて、長さMの符号列を生成し、前記符号化器に出力する前処理器、及び、
前記前処理器によって取り除かれる(N−M)個の所定位置の符号の各々を、前記符号化器から出力される長さM+1の変換符号列上で、予め規定された(N−M)個の差込位置に差し込んで、長さN+1の出力符号列を生成して出力する後処理器、
を含むことを特徴とする符号化装置。
【請求項2】
請求項1に記載の符号化装置において、
前記後処理器における、前記差込位置は、互いに隣接しない位置として定められることを特徴とする符号化装置。
【請求項3】
請求項1に記載の符号化装置において、
前記前処理器は、長さNを越える連続符号列を、長さNの符号列に分割し、順次、分割後の長さNの符号列から(N−M)個の所定位置の符号を取り除いて長さMの符号列を生成する処理を実行して、前記符号化器に出力しており、
前記符号化器は、順次入力される長さMの符号列について、当該符号列に出現し得る複数の符号語の各々について、それぞれの連続長を制限しつつ、長さM+1の変換符号列を生成して順次出力し、
前記後処理器は、前記前処理器によって取り除かれる(N−M)個の所定位置の符号の各々を、前記符号化器から出力される長さM+1の変換符号列の、(N−M)個の差込位置に差し込んで、長さN+1の出力符号列を生成し、順次出力しており、
当該後処理器が順次出力した長さN+1以上の符号列について、前記所定の差込位置の夫々を含む、長さLの符号列部分について、当該符号列に出現し得る複数の符号語の各々について、それぞれの連続長を制限しつつ、長さLの変換部分符号列を生成して、前記符号列部分を、当該変換符号列部分で置換した出力符号列を生成して出力する出力器、をさらに含むことを特徴とする符号化装置。
【請求項4】
請求項3に記載の符号化装置において、
前記後処理器における、前記所定の差込位置の少なくとも一つは、符号化器から出力される長さM+1の変換符号列の末尾であり、
前記出力器は、後処理器から順次、長さN+1ずつの複数の符号列の出力を受けて、当該出力される、長さN+1ずつの複数の符号列に跨がる、長さLの符号列部分について、当該符号列に出現し得る複数の符号語の各々について、それぞれの連続長を制限しつつ、長さLの変換部分符号列を生成して、前記符号列部分を、当該変換符号列部分で置換した出力符号列を生成して出力することを特徴とする符号化装置。
【請求項5】
請求項1に記載の符号化装置において、
前記後処理器における前記差込位置は、前記符号化器によって出力される変換符号列の性状に関連して、複数種類規定され、前記後処理器は、前記符号化器によって出力される変換符号列に基づいて、前記規定された複数種類の差込位置の規定のうち、一種類の差込位置の規定を選択し、当該選択した規定に基づいて、(N−M)個の差込位置を定めることを特徴とする符号化装置。
【請求項6】
長さN+1の符号列から、予め規定された(N−M)個の差込位置の符号を取り除いて、長さM+1の符号列を出力する分離器、
前記分離器の出力する長さM+1の符号列に対して、所定の復号処理を実行し、長さMの符号列を出力する復号器、及び、
前記分離器によって取り除かれた(N−M)個の符号の各々を、前記復号器の出力する長さMの符号列上で予め定められた(N−M)個の位置の各々に差し込み、再生符号列を生成して出力する第二復号器、
を備えたことを特徴とする復号装置。
【請求項7】
請求項1に記載の符号化装置を備え、記録の対象となる情報を前記符号化装置によって符号化することを特徴とするディスク装置。
【請求項8】
請求項1に記載の符号化装置を備え、記録の対象となる情報を前記符号化装置によって符号化するとともに、記録の対象となる情報の所定単位サイズの整数倍の情報に対して誤り訂正符号を付加することを特徴とするディスク装置。
【請求項9】
請求項8に記載のディスク装置であって、
前記記録の対象となる情報の所定単位サイズの整数倍の情報を、インターリーブして得た複数の符号列の各々について、誤り訂正符号を付加することを特徴とするディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−277903(P2006−277903A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−99829(P2005−99829)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(503116280)ヒタチグローバルストレージテクノロジーズネザーランドビーブイ (1,121)
【Fターム(参考)】