説明

第四級アンモニウム塩の製造方法

【課題】途中で反応が停止することなく、反応速度の振れも小さい式(3)


(式中、Xは脱離して対アニオンを形成する基を表わし、Yは置換されていてもよい炭素数1〜2のアルキレン基を表わす。Zは置換されていてもよいメチレン基または置換されていてもよいイミノ基を表わす。)
で示される第四級アンモニウム塩の製造方法を提供すること。
【解決手段】有機溶媒中、式(1)


(式中、Zは上記と同一の意味を表わす。)
で示される化合物と式(2)


(式中、XおよびYは上記と同一の意味を表わす。)
で示される化合物とを、平均粒子径(50%D)が200μm以下の炭酸カリウムの存在下に反応させることを特徴とする式(3)で示される第四級アンモニウム塩の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第四級アンモニウム塩の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
式(4)

で示される化合物に代表される式(5)

(式中、Aは置換されていてもよい炭素数2〜4のアルキレン基または置換されていてもよい炭素数2〜4のアルケニレン基を表わし、Dはカルボニル基またはスルホニル基を表わす。Yは置換されていてもよい炭素数1〜2のアルキレン基を表わし、Zは置換されていてもよいメチレン基または置換されていてもよいイミノ基を表わす。)
で示されるイミド化合物は、例えば統合失調症、老年性精神疾患、躁鬱病、神経症等の治療薬の中間体として有用であり、式(3)

(式中、X-は対アニオンを表わし、YおよびZは上記と同一の意味を表わす。)
で示される第四級アンモニウム塩が、かかる式(5)で示されるイミド化合物の重要な合成中間体であることが知られている(例えば特許文献1参照。)。
【0003】
かかる式(3)で示される第四級アンモニウム塩の製造方法としては、有機溶媒中、式(1)

(式中、Zは上記と同一の意味を表わす。)
で示される化合物と式(2)

(式中、Xは脱離して対アニオンを形成する基を表わし、Yは上記と同一の意味を表わす。)
で示される化合物とを、炭酸カリウムの存在下に反応させる方法が知られている(例えば特許文献1および2参照。)が、反応速度に振れが見られ、反応が途中で停止してしまう場合もあった。
【0004】
【特許文献1】特開平5−17440号公報
【特許文献2】特開2003−160583号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような状況のもと、本発明者らは、途中で反応が停止することなく、反応速度の振れも小さい式(3)で示される第四級アンモニウム塩の製造方法を開発すべく検討したところ、用いる炭酸カリウムの平均粒子径が、反応速度に大きく影響を及ぼし、平均粒子径(50%D)が、200μm以下の炭酸カリウムを用いることにより、安定した反応速度で反応が進行し、途中で反応が停止することもなく、目的とする式(3)で示される第四級アンモニウム塩を製造することができることを見出し、本発明に至った。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明は、有機溶媒中、式(1)

(式中、Zは置換されていてもよいメチレン基または置換されていてもよいイミノ基を表わす。)
で示される化合物と式(2)

(式中、Xは脱離して対アニオンを形成する基を表わし、Yは置換されていてもよい炭素数1〜2のアルキレン基を表わす。)
で示される化合物とを、平均粒子径(50%D)が200μm以下の炭酸カリウムの存在下に反応させることを特徴とする式(3)

(式中、X、YおよびZは上記と同一の意味を表わす。)
で示される第四級アンモニウム塩の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、安定した反応速度で反応が進行し、途中で反応が停止することなく、第四級アンモニウム塩を製造することができるため、工業的に有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
式(1)

で示される化合物(以下、化合物(1)と略記する。)の式中、Zは置換されていてもよいメチレン基または置換されていてもよいイミノ基を表わす。置換されていてもよいメチレン基の置換基としては、例えば低級アルキル基、低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、低級アルキリデン基、シクロアルキル基、シクロアルキルオキシ基、シクロアルキルチオ基、シクロアルケニル基、シクロアルケニルオキシ基、シクロアルケニルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、ヘテロアリール基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基等が挙げられる。
【0009】
低級アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、1−メチルペンチル基等の炭素数1〜6の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル基が挙げられる。低級アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、1−メチルブトキシ基、1−エチルプロポキシ基、n−ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、1−メチルペンチルオキシ基等の炭素数1〜6の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルコキシ基が挙げられる。低級アルキルチオ基としては、例えばメチルチオ基、エチルチオ基等の前記低級アルコキシ基の酸素原子が硫黄原子に代わった基が挙げられる。
【0010】
低級アルキリデン基としては、例えばメチリデン基、エチリデン基、イソプロピリデン基、シクロヘキシリデン基、ベンジリデン基、1−フェニルベンジリデン基、ジ(4−フルオロフェニル)メチリデン基等が挙げられる。シクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜6のシクロアルキル基が挙げられる。シクロアルキルオキシ基としては、例えばシクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の前記シクロアルキル基と酸素原子とから構成される基が挙げられる。シクロアルキルチオ基としては、例えばシクロペンチルチオ基等の前記シクロアルキルオキシ基の酸素原子が硫黄原子に代わった基が挙げられる。
【0011】
シクロアルケニル基としては、例えばシクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の炭素数3〜6のシクロアルケニル基が挙げられ、シクロアルケニルオキシ基としては、例えばシクロペンテニルオキシ基等の前記シクロアルケニル基と酸素原子とから構成される基が挙げられる。シクロアルケニルチオ基としては、例えばシクロヘキシルチオ基等の前記シクロアルケニルオキシ基の酸素原子が硫黄原子に代わった基が挙げられる。アリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、アリールオキシ基としては、例えばフェノキシ基等の前記アリール基と酸素原子とから構成される基が、アリールチオ基としては、例えばフェニルチオ基等の前記アリールオキシ基の酸素原子が硫黄原子に代わった基が挙げられる。
【0012】
ヘテロアリール基としては、例えばピリジル基、ピリミジニル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フリル基、イミダゾリル基、ベンズイソチアゾリル基、ベンズイソオキサゾリル基、ベンズフリル基、キノリル基、イソキノリル基、インドリル基、インダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズオキサゾリル基、ナフチリジニル基、チエノフラニル基、イミダゾチオフェン−イル基等の窒素原子、酸素原子および硫黄原子の少なくともいずれか一種のヘテロ原子を環構成原子として含む基が挙げられる。ヘテロアリールオキシ基としては、前記ヘテロアリール基と酸素原子とから構成される基が、ヘテロアリールチオ基としては、前記へテロアリール基と硫黄原子とから構成される基がそれぞれ挙げられる。
【0013】
かかるシクロアルキル基、シクロアルキルオキシ基、シクロアルキルチオ基、シクロアルケニル基、シクロアルケニルオキシ基、シクロアルケニルチオ基、アリール基、ヘテロアリール基等は、例えば前記低級アルキル基、前記低級アルコキシ基、前記低級アルキルチオ基、例えばフッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子等で置換されていてもよい。
【0014】
置換されていてもよいイミノ基の置換基としては、例えば前記低級アルキル基、前記シクロアルキル基、前記シクロアルケニル基、前記アリール基、前記ヘテロアリール基等が挙げられる。
【0015】
かかる化合物(1)としては、例えば4−フェニルピペラジン、4−(2−メトキシフェニル)ピペラジン、4−シクロヘキシルピペラジン、4−(2−ピリジニル)ピペラジン、4−(2−ピリミジニル)ピペラジン、4−(2−キノリル)ピペラジン、4−(4−キノリル)ピペラジン、4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)ピペラジン、4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン、4−[(4−フルオロフェニル)チオ]ピペリジン、4−(3−クロロフェニル)ピペラジン、4−(1,2−ベンズイソオキサゾール−3−イル)ピペリジン、4−(5−ベンゾフラニル)ピペラジン、4−(1−ナフチルピペラジン、4−[ビス(4−フルオロフェニル)メチレン]ピペリジン、4−(3−イソキノリル)ピペラジン、4−(8−キノリル)ピペラジン、4−(7−ベンゾフラニル)ピペラジン、4−(5−フルオロ−1,2−ベンゾイソオキサゾール−3−イル)ピペリジン等が挙げられる。
【0016】
かかる化合物(1)は、例えば特開昭63−83085号公報、J.Med.Chem.,28,761(1985)、J.Med.Chem.,32,1024(1989)等に記載の方法に準じて製造することができる。また、かかる化合物(1)は、例えば塩酸塩、硫酸塩等の酸付加塩であってもよい。
【0017】
式(2)

で示される化合物(以下、化合物(2)と略記する。)の式中、Xは脱離してアニオンを形成する基を表わし、Yは置換されていてもよい炭素数1〜2のアルキレン基を表わす。
【0018】
脱離してアニオンを形成する基としては、例えば塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、例えばメタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基等のスルホニルオキシ基等が挙げられる。置換されていてもよい炭素数1〜2のアルキレン基としては、例えばメチレン基、エチレン基等の無置換の炭素数1〜2のアルキレン基、およびこれら無置換の炭素数1〜2のアルキレン基が、例えば前記低級アルキル基、前記低級アルコキシ基、水酸基等の置換基で置換されていてもよく、またかかる置換基は、一緒になって、酸素原子を有していてもよいアルキレン鎖または酸素原子を有していてもよいアルケニレン鎖を形成してもよい。かかる置換基で置換された炭素数1〜2のアルキレン基としては、例えばヒドロキシメチレン基、シクロヘキサン−1,2−ジイル基、シクロペンタン−1,2−ジイル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジイル基、1−シクロヘキセン−4,5−ジイル基、7−オキサビシクロ[2.2.1]−ヘプト−5−エン−2,3−ジイル基等が挙げられる。
【0019】
かかる化合物(2)としては、例えば1,4−ジブロモブタン、1,4−ジクロロブタン、1,4−ジヨードブタン、1,4−ジメタンスルホニルオキシブタン、1,4−ジ(p−トルエンスルホニルオキシ)ブタン、2−ヒドロキシ−1,3−ジブロモプロパン、2−ヒドロキシ−1,3−ジクロロプロパン、2−ヒドロキシ−1,3−ジメタンスルホニルオキシプロパン、1,2−ビス(ブロモメチル)シクロヘキサン、1,2−ビス(メタンスルホニルオキシメチル)シクロヘキサン、1,2−ビス(ブロモメチル)シクロペンタン、1,2−ビス(メタンスルホニルオキシメチル)シクロペンタン、2,3−ビス(ブロモメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,3−ビス(メタンスルホニルオキシメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、4,5−ビス(ブロモメチル)−1−シクロヘキセン、4,5−ビス(メタンスルホニルオキシメチル)−1−シクロヘキセン、2,3−ビス(ブロモメチル)−7−オキサビシクロ[2.2.1]−ヘプト−5−エン等が挙げられる。かかる化合物(2)としては、通常市販されているものが用いられる。また、かかる化合物(2)の中には、その分子内に不斉炭素原子を有し、光学異性体が存在するものがあるが、本発明には、光学異性体の単独を用いてもよいし、光学異性体を任意の割合で混合したものを用いてもよい。
【0020】
化合物(2)の使用量は、化合物(1)に対して、通常1〜2モル倍である。
【0021】
本発明は、化合物(1)と化合物(2)とを、平均粒子径(50%D)が200μmである炭酸カリウムの存在下に反応させるものであり、好ましくは100μm以下の炭酸カリウムが用いられる。平均粒子径(50%D)の下限は特にないが、実用的には、5μm以上である。平均粒子径(50%D)が200μm以下の炭酸カリウムを用いることにより、安定した反応速度で反応が進行し、途中で反応が停止することもなく、式(3)

(式中、X、YおよびZは上記と同一の意味を表わす。)
で示される第四級アンモニウム塩(以下、第四級アンモニウム塩(3)と略記する。)を製造することができる。
【0022】
かかる平均粒子径(50%D)が200μm以下の炭酸カリウムは、市販の平均粒子径(50%D)が200μm以下の微粉末炭酸カリウムを用いてもよいし、平均粒子径(50%D)が200μmよりも大きい市販の炭酸カリウムを、例えば乳鉢粉砕、気流粉砕、ハンマー粉砕等により粉砕処理し、平均粒子径(50%D)を200μm以下としたものを用いてもよい。また、粉末炭酸カリウムを、所定の篩い目の篩いに入れて、篩い分けし、篩い分けした粉末炭酸カリウムを平均粒子径(50%D)が200μm以下となるよう混合することにより調製することもできる。かかる炭酸カリウムの平均粒子径(50%D)は、通常のロータップふるい振とう法やレーザー回折式粒度分布計法により測定される。
【0023】
かかる平均粒子径(50%D)が200μm以下の炭酸カリウムの使用量は、化合物(1)に対して、通常0.8モル倍以上であり、その上限は特にないが、あまり多すぎると経済的に不利になりやすいため、実用的には2モル倍以下である。なお、化合物(1)として、その酸付加塩を用いた場合には、該酸付加塩を中和するに足る量の塩基を別途用いることが好ましく、かかる塩基としては、通常炭酸カリウムが用いられる。
【0024】
反応は、通常化合物(1)、化合物(2)、平均粒子径(50%D)が200μm以下の炭酸カリウムとを、溶媒中で接触、混合することにより実施され、その混合順序は特に制限されない。また、平均粒子径(50%D)が200μm以下の炭酸カリウムは、一括して加えてもよいが、副生成物の生成を抑制するという点で、二以上に分割して加えることが好ましい。
【0025】
溶媒としては、例えばメタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、例えばアセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭素系溶媒等の単独または混合溶媒が挙げられ、その使用量は特に制限されない。
【0026】
また、例えば硫酸水素テトラ−n−ブチルアンモニウム、臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム等の相間移動触媒の共存下に反応を実施してもよい。相間移動触媒を使用する場合のその使用量は、化合物(1)に対して、通常0.01〜0.5モル倍である。相間移動触媒は、化合物(1)と化合物(2)との反応がある程度進行した後に加えることが好ましい。
【0027】
反応温度は、通常60〜180℃、好ましくは90〜150℃である。
【0028】
反応終了後、例えば反応液をそのままもしくは一部濃縮処理した後、濾過処理することにより、第四級アンモニウム塩(3)を取り出すことができる。また、第四級アンモニウム塩(3)を含む反応液から、第四級アンモニウム塩(3)を取り出すことなく、後述する反応に用いてもよい。
【0029】
かくして得られる第四級アンモニウム塩(3)としては、例えば7−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−7−アザ−4−アゾニアスピロ[3.5]ノナン、8−フェニル−8−アザ−5−アゾニアスピロ[4.5]デカン、8−(2−メトキシフェニル)−8−アザ−5−アゾニアスピロ[4.5]デカン、8−(2−ピリジニル)−8−アザ−5−アゾニアスピロ[4.5]デカン、8−(2−ピリミジニル)−8−アザ−5−アゾニアスピロ[4.5]デカン、8−(2−キノリニル)−8−アザ−5−アゾニアスピロ[4.5]デカン、8−(4−キノリニル)−8−アザ−5−アゾニアスピロ[4.5]デカン、8−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−8−アザ−5−アゾニアスピロ[4.5]デカン、4’−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)オクタヒドロ−スピロ[2H−イソインドール−2,1’−ピペラジニウム]、4’−[(4−フルオロフェニル)チオ]オクタヒドロ−スピロ[2H−イソインドール−2,1’−ピペリジニウム]、4’−(2−ピリミジニル)オクタヒドロ−スピロ[2H−イソインドール−2,1’−ピペラジニウム]、4’−(4−フルオロフェノキシ)オクタヒドロ−スピロ[2H−イソインドール−2,1’−ピペリジニウム]、4’−(1,2−ベンズイソオキサゾ−ル−3−イル)オクタヒドロ−スピロ[2H−イソインドール−2,1’−ピペリジニウム]、4’−(6−フルオロ−1,2−ベンズイソオキサゾール−3−イル)−オクタヒドロ−スピロ[2H−イソインドール−2,1’−ピペラジニウム]、4’−(2−ピリジニル)オクタヒドロ−スピロ[2H−イソインドール−2,1’−ピペラジニウム]、4’−(3−クロロフェニル)オクタヒドロ−スピロ[2H−イソインドール−2,1’−ピペラジニウム]、4’−(5−ベンゾフラニル)オクタヒドロ−スピロ[2H−イソインドール−2,1’−ピペラジニウム]、4’−(1−ナフチル)オクタヒドロ−スピロ[2H−イソインドール−2,1’−ピペラジニウム]、4’−[ビス(4−フルオロフェニル)メチレン]オクタヒドロ−スピロ[2H−イソインドール−2,1’−ピペリジニウム]、4’−(2−メトキシフェニル)オクタヒドロ−スピロ[2H−イソインドール−2,1’−ピペラジニウム]、4’−(3−イソキノリニル)オクタヒドロ−スピロ[2H−イソインドール−2,1’−ピペラジニウム]、4’−(8−キノリニル)オクタヒドロ−スピロ[2H−イソインドール−2,1’−ピペラジニウム]、4’−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)テトラヒドロ−スピロ[シクロペンタ[c]ピロ−ル−2(1H),1’−ピペラジニウム]、4’−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)オクタヒドロ−スピロ[4,7−メタノ−2H−イソインドール−2,1’−ピペラジニウム]、4’−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1,3,3a,4,7,7a−ヘキサヒドロ−スピロ[2H−イソインドール−2,1’−ピペラジニウム]、4’−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1,3,3a,4,7,7a−ヘキサヒドロ−スピロ[4,7−エポキシ−2H−イソインドール−2,1’−ピペラジニウム]、4’−(7−ベンゾフラニル)オクタヒドロ−スピロ[2H−イソインドール−2,1’−ピペラジニウム]等の塩化物、臭化物、ヨウ化物、水酸化物、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等が挙げられる。
【0030】
得られた第四級アンモニウム塩(3)と式(6)

(式中、Aは置換されていてもよい炭素数2〜4のアルキレン基または置換されていてもよい炭素数2〜4のアルケニレン基を表わし、Dはカルボニル基またはスルホニル基を表わす。)
で示される化合物(以下、化合物(6)と略記する。)とを、固体無機塩基の存在下に反応させることにより、式(5)

(式中、A、D、YおよびZは上記と同一の意味を表わす。)
で示されるイミド化合物(以下、イミド化合物(5)と略記する。)を製造することができる。
【0031】
炭素数2〜4のアルキレン基としては、例えばエチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等が挙げられ、かかる炭素数2〜4のアルキレン基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば前記低級アルキル基、前記低級アルコキシ基、低級アルケニル基、低級アルコキシ基で置換された低級アルキル基、低級アルコキシ基で置換された低級アルケニル基等が挙げられる。かかる置換基は、一緒になって酸素原子を有していてもよいアルキレン鎖または酸素原子を有していてもよいアルケニレン鎖を形成してもよい。
【0032】
低級アルケニル基としては、例えばビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−メチルビニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基等の炭素数2〜6のアルケニル基が挙げられる。低級アルコキシ基で置換された低級アルキル基としては、例えばメトキシメチル基、2−メトキシエチル基等の前記低級アルコキシ基で置換された低級アルキル基が挙げられ、低級アルコキシ基で置換された低級アルケニル基としては、例えば2−メトキシビニル基等の前記低級アルコキシ基で置換された低級アルケニル基が挙げられる。
【0033】
炭素数2〜4のアルケニレン基としては、例えばエテニレン基、プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、ブタジエニレン基等が挙げられ、かかる炭素数2〜4のアルケニレン基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば前記低級アルキル基、前記低級アルコキシ基、前記低級アルケニル基、前記低級アルコキシ基で置換された低級アルキル基、前記低級アルコキシ基で置換された低級アルケニル基等が挙げられる。かかる置換基は、一緒になって酸素原子を有していてもよいアルキレン鎖または酸素原子を有していてもよいアルケニレン鎖を形成してもよい。
【0034】
化合物(6)としては、例えばスクシンイミド、2,6−ピペリジンジオン、4,4−ジメチル−2,6−ピペリジンジオン、8−アザスピロ[4.5]デカン−7,9−ジオン、ペルヒドロアゼピン−2,7−ジオン、マレイミド、フタルイミド、テトラヒドロフタルイミド、シス−1,2−シクロヘキサンジカルボキシイミド、トランス−1,2−シクロヘキサンジカルボキシイミド、シス−1,2−シクロヘキサ−4−エンジカルボキシイミド、トランス−1,2−シクロヘキサ−4−エンジカルボキシイミド、シス−4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボキシイミド、トランス−4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボキシイミド、シス−1,2−ジメチル−1,2−シクロヘキサンジカルボキシイミド、トランス−1,2−ジメチル−1,2−シクロヘキサンジカルボキシイミド、シス−4,5−ジメチル−1,2−シクロヘキサンジカルボキシイミド、トランス−4,5−ジメチル−1,2−シクロヘキサンジカルボキシイミド、シス−3,6−ジメチル−1,2−シクロヘキサンジカルボキシイミド、トランス−3,6−ジメチル−1,2−シクロヘキサンジカルボキシイミド、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジ−エキソ−カルボキシイミド、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジ−エンド−カルボキシイミド、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジ−エキソ−カルボキシイミド、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジ−エンド−カルボキシイミド、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3−ジ−エキソ−カルボキシイミド、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3−ジ−エンド−カルボキシイミド、ビシクロ[2.2.2]オクタ−5−エン−2,3−ジ−エキソ−カルボキシイミド、ビシクロ[2.2.2]オクタ−5−エン−2,3−ジ−エンド−カルボキシイミド、ビシクロ[2.2.2]オクタ−7−エン−2,3−ジ−エキソ−カルボキシイミド、ビシクロ[2.2.2]オクタ−7−エン−2,3−ジ−エンド−カルボキシイミド、ヘキサヒドロ−4,7−メタノ−1,2−ベンズイソチアゾール3(2H)−オン−1,1−ジオキシド、3,6−エポキシ−1,2−シクロヘキサンジカルボキシイミド、スピロ[ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3’−ピロリジン]−2’,5’−ジオン等が挙げられる。
【0035】
かかる化合物(6)の中には、光学異性体が存在するものがあるが、本発明には、いずれか一つの光学異性体を用いてもよいし、光学異性体の混合物を用いてもよい。
【0036】
かかる化合物(6)は、例えば対応するカルボン酸無水物とアンモニアを反応させることにより製造することができる(例えば特開平1−199967号公報等)。
【0037】
固体無機塩基としては、例えば炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩等が挙げられ、なかでもアルカリ金属炭酸塩が好ましく、特に炭酸カリウムが好ましい。かかる固体無機塩基は、単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。また固体無機塩基は無水物であってもよいし、水和物であってもよい。
【0038】
固体無機塩基の使用量は、第四級アンモニウム塩(3)に対して、通常0.7モル倍以上、好ましくは0.9モル倍以上であり、その上限は特にないが、あまり多すぎると経済的に不利になりやすいため、実用的には、第四級アンモニウム塩(3)に対して、3モル倍以下、好ましくは2.7モル倍以下である。
【0039】
化合物(6)の使用量は、第四級アンモニウム塩(3)に対して、通常0.7モル倍以上であり、その上限は特にないが、あまり多すぎると経済的に不利になりやすいため、実用的には、第四級アンモニウム塩(3)に対して、2.5モル倍以下である。
【0040】
反応は、通常溶媒の存在下に実施され、溶媒としては、例えばトルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。かかる溶媒の使用量は、第四級アンモニウム塩(3)に対して、通常3重量倍以上、好ましくは5重量倍以上であり、その上限は特にないが、あまり多すぎると容積効率が悪くなるため、実用的には、第四級アンモニウム塩(3)に対して、20重量倍以下である。
【0041】
本反応は、水の共存下に行うことが好ましく、第四級アンモニウム塩(3)に対して、通常0.05〜3モル倍、好ましくは0.1〜1.5モル倍の水が反応系内に存在するよう、かかる量の水を反応系内に加え、反応を実施することが好ましい。なお、固体無機塩基として、水和物を用いた場合には、該水和物中の水を考慮して、水の使用量を決めればよい。かかる水は、反応の開始時に反応系内に存在していてもよいし、反応の途中で、例えば所定量の水を加える等により反応系内に存在させてもよい。また、予め化合物(6)および/または第四級アンモニウム塩(3)に水を加えておいてもよい。
【0042】
また、例えば硫酸水素テトラ−n−ブチルアンモニウム、臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム等の相間移動触媒の共存下に反応を実施してもよく、相間移動触媒を使用する場合のその使用量は、第四級アンモニウム塩(3)に対して、通常0.01〜0.5モル倍である。
【0043】
反応温度は、通常80〜180℃、好ましくは95〜150℃である。
【0044】
第四級アンモニウム塩(3)と化合物(6)との反応は、通常第四級アンモニウム塩(3)と化合物(6)と固体無機塩基とを接触、混合させることにより実施され、その混合順序は特に制限されない。固体無機塩基は一括で加えてもよいし、分割して加えてもよく、分割して加えることが好ましい。
【0045】
反応終了後、イミド化合物(5)を含む反応液が得られるが、例えば該反応液に、水を加え攪拌、静置後、分液処理し、得られる有機層を必要に応じて活性炭処理した後、濃縮処理することにより、イミド化合物(5)を取り出すことができる。また、前記有機層をそのままもしくは一部濃縮した後、例えば冷却する方法、イミド化合物(5)を比較的溶解しにくい有機溶媒を前記有機層に加える方法等により、イミド化合物(5)を結晶として取り出すこともできる。イミド化合物(5)を比較的溶解しにくい有機溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒等が挙げられる。
【0046】
また、得られたイミド化合物(5)を含む反応液から、必要に応じて不溶分を濾別した後、濃縮処理することにより、イミド化合物(5)を取り出すこともできる。さらに該反応液をそのままもしくは一部濃縮処理した後、例えば冷却する方法、イミド化合物(5)を比較的溶解しにくい有機溶媒を前記有機層に加える方法等により、イミド化合物(5)を結晶として取り出すこともできる。
【0047】
取り出したイミド化合物(5)は、例えば再結晶、カラムクロマトグラフィー等通常の精製手段によりさらに精製してもよい。また、イミド化合物(5)は、例えば塩酸、硫酸、臭化水素酸、リン酸等の無機酸との酸付加塩、例えば酢酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸等の有機酸との酸付加塩として取り出すこともできる。
【0048】
かくして得られるイミド化合物(5)としては、例えば2−[4−(4−フェニル−1−ピペラジニル)ブチル]ヘキサヒドロ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2−[4−(4−フェニル−1−ピペラジニル)ブチル]ヘキサヒドロ−4,7−メタノ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2−[4−[4−(2−メトキシフェニル)−1−ピペラジニル]ブチル]ヘキサヒドロ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2−[4−[4−(2−メトキシフェニル)−1−ピペラジニル]ブチル]ヘキサヒドロ−4,7−メタノ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2−[[2−[[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]ヘキサヒドロ−4,7−メタノ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2−[[2−[[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]ヘキサヒドロ−4,7−メタノ−1,2−ベンズイソチアゾール−3(2H)−オン−1,1−ジオキシド、2−[[2−[[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]ヘキサヒドロ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2−[[2−[[4−(2−ピリミジニル)−1−ピペラジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]ヘキサヒドロ−4,7−メタノ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2−[[2−[[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]−3a,4,7,7a−テトラヒドロ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、8−[[2−[[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]−8−アザスピロ[4,5]デカン−7,9−ジオン、1−[[2−[[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]−4,4−ジメチル−2,6−ピペリジンジオン、2−[[2−[[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]ヘキサヒドロ−4,7−エポキシ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、1’−[[2−[[4−(1,2−ベンズイソチアゾ−ル−3−イル)−1−ピペラジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]−スピロ[ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3’−ピロリジン]−2’,5’−ジオン、2−[[2−[[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]ヘキサヒドロ−3a,7a−ジメチル−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2−[[2−[[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]−3a,4,7,7a−テトラヒドロ−4,7−エタノ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、
【0049】
2−[[2−[[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]ヘキサヒドロ−4,7−エタノ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2−[[2−[[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2−[[2−[[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2−[[2−[[4−[(4−フルオロフェニル)チオ]−1−ピペリジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]ヘキサヒドロ−4,7−メタノ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2−[[2−[[4−[(4−フルオロフェニル)チオ]−1−ピペリジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]ヘキサヒドロ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2−[[2−[[4−(4−フルオロフェノキシ)−1−ピペリジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]ヘキサヒドロ−4,7−メタノ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2−[[2−[[4−(4−フルオロフェノキシ)−1−ピペリジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]ヘキサヒドロ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2−[[2−[[4−(1,2−ベンズイソキサゾール−3−イル)−1−ピペリジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]ヘキサヒドロ−4,7−メタノ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2−[[2−[[4−(1,2−ベンズイソキサゾール−3−イル)−1−ピペリジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]ヘキサヒドロ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2−[[2−[[4−(6−フルオロ−1,2−ベンズイソキサゾール−3−イル)−1−ピペリジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]ヘキサヒドロ−4,7−メタノ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2−[[2−[[4−(6−フルオロ−1,2−ベンズイソキサゾール−3−イル)−1−ピペリジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]ヘキサヒドロ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2−[[2−[[4−(2−ピリジニル)−1−ピペラジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]ヘキサヒドロ−4,7−メタノ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2−[[2−[[4−(2−ピリジニル)−1−ピペラジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]ヘキサヒドロ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2−[[2−[[4−(2−ピリミジニル)−1−ピペラジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]ヘキサヒドロ−4,7−メタノ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2−[[2−[[4−(2−ピリミジニル)−1−ピペラジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]ヘキサヒドロ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、
【0050】
2−[[2−[[4−(3−クロロフェニル)−1−ピペラジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]ヘキサヒドロ−4,7−メタノ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2−[[2−[[4−(3−クロロフェニル)−1−ピペラジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]ヘキサヒドロ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2−[[2−[[4−(5−ベンゾフラニル)−1−ピペラジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]ヘキサヒドロ−4,7−メタノ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2−[[2−[[4−(5−ベンゾフラニル)−1−ピペラジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]ヘキサヒドロ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2−[[2−[[4−(1−ナフチル)−1−ピペラジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]ヘキサヒドロ−4,7−メタノ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2−[[2−[[4−(1−ナフチル)−1−ピペラジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]ヘキサヒドロ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2−[[2−[[4−[ビス(4−フルオロフェニル)メチレン]−1−ピペリジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]ヘキサヒドロ−4,7−メタノ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2−[[2−[[4−[ビス(4−フルオロフェニル)メチレン]−1−ピペリジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]ヘキサヒドロ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2−[[2−[[4−(2−メトキシフェニル)−1−ピペラジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]ヘキサヒドロ−4,7−メタノ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2−[[2−[[4−(2−メトキシフェニル)−1−ピペラジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]ヘキサヒドロ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2−[[2−[[4−(3−イソキノリニル)−1−ピペラジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]ヘキサヒドロ−4,7−メタノ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2−[[2−[[4−(3−イソキノリニル)−1−ピペラジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]ヘキサヒドロ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2−[[2−[[4−(8−キノリニル)−1−ピペラジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]ヘキサヒドロ−4,7−メタノ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、
【0051】
2−[[2−[[4−(8−キノリニル)−1−ピペラジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]ヘキサヒドロ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2−[[2−[[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニル]メチル]シクロペンチル]メチル]ヘキサヒドロ−4,7−メタノ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2−[[2−[[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニル]メチル]シクロペンチル]メチル]ヘキサヒドロ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2−[[3−[[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニル]メチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル]メチル]ヘキサヒドロ−4,7−メタノ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2−[[3−[[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニル]メチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル]メチル]ヘキサヒドロ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2−[[2−[[4−(7−ベンゾフラニル)−1−ピペラジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]ヘキサヒドロ−4,7−メタノ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2−[[2−[[4−(7−ベンゾフラニル)−1−ピペラジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]ヘキサヒドロ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2−[[3−[[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニル]メチル]−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル]メチル]ヘキサヒドロ−4,7−メタノ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2−[[3−[[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニル]メチル]−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル]メチル]ヘキサヒドロ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2−[[6−[[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニル]メチル]−3−シクロヘキセン−1−イル]メチル]ヘキサヒドロ−4,7−メタノ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2−[[6−[[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニル]メチル]−3−シクロヘキセン−1−イル]メチル]ヘキサヒドロ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン等が挙げられる。
【0052】
光学活性な化合物(6)および/または光学活性な第四級アンモニウム塩(3)を用いた場合には、光学活性なイミド化合物(5)が得られる。
【実施例】
【0053】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。なお、分析は高速液体クロマトグラフィー(LC)法により行った。
【0054】
実施例1
(1R,2R)−1,2−ビス(メタンスルホニルオキシメチル)シクロヘキサン16.4g、4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)ピペラジン10gおよびトルエン162gの混合液に、攪拌しながら、平均粒子径(50%D)が11μmである炭酸カリウム(旭硝子株式会社品;平均粒子径(50%D)はレーザー回折式粒度分布計法(イソプロパノールによる湿式法、島津製作所製SALD−2100を使用)により測定)3.8gを加えた。トルエン22gを留去した後、還流条件下で、6時間攪拌、反応させた。反応液をLC分析したところ、4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)ピペラジンの残存率(下記式(7)に従い算出)は、17%であった。

【0055】
一旦内温約60℃に冷却した後、平均粒子径(50%D)が11μmである炭酸カリウム(同上)1.9gおよび硫酸水素テトラ−n−ブチルアンモニウム0.62gを加え、還流条件下で、さらに9時間攪拌、反応させ、4’−(1,2−ベンゾイソチアゾール−3−イル)−(3aR,7aR)−オクタヒドロ−スピロ[2H−イソインドール−2,1’−ピペリジニウム]メタンスルホン酸塩を含む反応液を得た。
【0056】
実施例2
前記実施例1で得られた4’−(1,2−ベンゾイソチアゾール−3−イル)−(3aR,7aR)−オクタヒドロ−スピロ[2H−イソインドール−2,1’−ピペリジニウム]メタンスルホン酸塩を含む反応液に、ヘキサヒドロ−(3aS,4R,7S,7aR)−4,7−メタノ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン11.3g、炭酸カリウム7.6gおよびトルエン22gを加えた。その後、トルエン22gを留去し、水0.4gを加え、還流条件下で、2時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、水200gを加えて分液処理し、得られたトルエン層を2.3重量%食塩水175gで洗浄処理した。さらに活性炭0.9gを加え、1時間攪拌した後、活性炭を濾別し、2−[[(1R,2R)−2−[[4−(1,2−ベンゾイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]ヘキサヒドロ−(3aS,4R,7S,7aR)−4,7−メタノ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオンを含むトルエン溶液278.8gを得た。2−[[(1R,2R)−2−[[4−(1,2−ベンゾイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]ヘキサヒドロ−(3aS,4R,7S,7aR)−4,7−メタノ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオンの含量:7.6重量%(LC絶対検量線法により算出)。収率:93.9%。
【0057】
実施例3
前記実施例1において、平均粒子径(50%D)が11μmである炭酸カリウム3.8gに代えて、平均粒子径(50%D)が26μmである炭酸カリウム(旭硝子株式会社品;平均粒子径(50%D)はレーザー回折式粒度分布計法(イソプロパノールによる湿式法、島津製作所製SALD−2100を使用)により測定)3.8gを用いた以外は実施例1と同様にして、6時間反応させた。反応液をLC分析したところ、4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)ピペラジンの残存率(上記式(7)に従い算出)は、17%であった。
【0058】
一旦内温約60℃に冷却した後、平均粒子径(50%D)が26μmである炭酸カリウム(同上)1.9gおよび硫酸水素テトラ−n−ブチルアンモニウム0.62gを加え、還流条件下で、さらに16時間攪拌、反応させ、4’−(1,2−ベンゾイソチアゾール−3−イル)−(3aR,7aR)−オクタヒドロ−スピロ[2H−イソインドール−2,1’−ピペリジニウム]メタンスルホン酸塩を含む反応液を得た。
【0059】
得られた4’−(1,2−ベンゾイソチアゾール−3−イル)−(3aR,7aR)−オクタヒドロ−スピロ[2H−イソインドール−2,1’−ピペリジニウム]メタンスルホン酸塩を含む反応液に、ヘキサヒドロ−(3aS,4R,7S,7aR)−4,7−メタノ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン11.3g、炭酸カリウム7.6gおよびトルエン22gを加えた。その後、トルエン23gを留去し、水0.4gを加え、還流条件下で、2時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、水200gを加えて分液処理し、得られたトルエン層を2.3重量%食塩水175gで洗浄処理した。さらに活性炭0.9gを加え、1時間攪拌した後、活性炭を濾別し、2−[[(1R,2R)−2−[[4−(1,2−ベンゾイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]ヘキサヒドロ−(3aS,4R,7S,7aR)−4,7−メタノ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオンを含むトルエン溶液288.7gを得た。2−[[(1R,2R)−2−[[4−(1,2−ベンゾイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]ヘキサヒドロ−(3aS,4R,7S,7aR)−4,7−メタノ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオンの含量:6.9重量%(LC絶対検量線法により算出)。収率:89.5%。
【0060】
比較例1
前記実施例1において、平均粒子径(50%D)が11μmである炭酸カリウム3.8gに代えて、平均粒子径(50%D)が480μmである炭酸カリウム(旭硝子株式会社品;平均粒子径(50%D)はロータップふるい振とう法により測定)3.8gを用いた以外は実施例1と同様にして、6時間反応させた。反応液をLC分析したところ、4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)ピペラジンの残存率(上記式(7)に従い算出)は、63%であった。
【0061】
さらに、同温度で反応を継続したが、反応開始から10時間が経過した時点での4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)ピペラジンの残存率は約45%であった。その後も反応を継続したが、前記残存率に大きな変化はなく、反応がほとんど進行せず、途中で停止していることが分かった。なお、反応開始から16時間経過時点での4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)ピペラジンの残存率は、43%であった。
【0062】
比較例2
前記実施例1において、平均粒子径(50%D)が11μmである炭酸カリウム3.8gに代えて、平均粒子径(50%D)が290μmである炭酸カリウム(旭硝子株式会社品;平均粒子径(50%D)はロータップふるい振とう法により測定)3.8gを用いた以外は実施例1と同様にして、6時間反応させた。反応液をLC分析したところ、4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)ピペラジンの残存率(上記式(7)に従い算出)は、61%であった。
【0063】
さらに、同温度で反応を継続したが、反応開始から10時間が経過した時点での4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)ピペラジンの残存率は約40%であった。その後も反応を継続したが、前記残存率に大きな変化はなく、反応がほとんど進行せず、途中で停止していることが分かった。なお、反応開始から17時間経過時点での4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)ピペラジンの残存率は、35%であった。
【0064】
実施例4
前記実施例1において、平均粒子径(50%D)が11μmである炭酸カリウム3.8gに代えて、平均粒子径(50%D)が55μmである炭酸カリウム(旭硝子株式会社品;平均粒子径(50%D)はレーザー回折式粒度分布計法(イソプロパノールによる湿式法、島津製作所製SALD−2100を使用)により測定)3.8gを用いた以外は実施例1と同様にして、6時間反応させた。反応液をLC分析したところ、4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)ピペラジンの残存率(上記式(7)に従い算出)は、20%であった。
【0065】
さらに、同温度で1時間反応させた後、一旦内温約60℃に冷却し、平均粒子径(50%D)が55μmである炭酸カリウム(同上)1.9gおよび硫酸水素テトラ−n−ブチルアンモニウム0.62gを加え、還流条件下で、さらに8時間攪拌、反応させ、4’−(1,2−ベンゾイソチアゾール−3−イル)−(3aR,7aR)−オクタヒドロ−スピロ[2H−イソインドール−2,1’−ピペリジニウム]メタンスルホン酸塩を含む反応液を得た。
【0066】
得られた4’−(1,2−ベンゾイソチアゾール−3−イル)−(3aR,7aR)−オクタヒドロ−スピロ[2H−イソインドール−2,1’−ピペリジニウム]メタンスルホン酸塩を含む反応液に、ヘキサヒドロ−(3aS,4R,7S,7aR)−4,7−メタノ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン11.3g、炭酸カリウム7.6gおよびトルエン22gを加えた。その後、トルエン22gを留去し、水0.4gを加え、還流条件下で、3時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、水200gを加えて分液処理し、得られたトルエン層を2.3重量%食塩水175gで洗浄処理した。さらに活性炭0.9gを加え、1時間攪拌した後、活性炭を濾別し、2−[[(1R,2R)−2−[[4−(1,2−ベンゾイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]ヘキサヒドロ−(3aS,4R,7S,7aR)−4,7−メタノ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオンを含むトルエン溶液350.7gを得た。2−[[(1R,2R)−2−[[4−(1,2−ベンゾイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニル]メチル]シクロヘキシル]メチル]ヘキサヒドロ−(3aS,4R,7S,7aR)−4,7−メタノ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオンの含量:5.7重量%(LC絶対検量線法により算出)。収率:89.2%。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機溶媒中、式(1)

(式中、Zは置換されていてもよいメチレン基または置換されていてもよいイミノ基を表わす。)
で示される化合物と式(2)

(式中、Xは脱離して対アニオンを形成する基を表わし、Yは置換されていてもよい炭素数1〜2のアルキレン基を表わす。)
で示される化合物とを、平均粒子径(50%D)が200μm以下の炭酸カリウムの存在下に反応させることを特徴とする式(3)

(式中、X、YおよびZは上記と同一の意味を表わす。)
で示される第四級アンモニウム塩の製造方法。
【請求項2】
相間移動触媒の共存下に反応を実施する請求項1に記載の第四級アンモニウム塩の製造方法。
【請求項3】
平均粒子径(50%D)が、5〜200μmである炭酸カリウムを用いる請求項1に記載の第四級アンモニウム塩の製造方法。
【請求項4】
平均粒子径(50%D)が、5〜100μmである炭酸カリウムを用いる請求項1に記載の第四級アンモニウム塩の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかで得られた式(3)で示される第四級アンモニウム塩と式(6)

(式中、Aは置換されていてもよい炭素数2〜4のアルキレン基または置換されていてもよい炭素数2〜4のアルケニレン基を表わし、Dはカルボニル基またはスルホニル基を表わす。)
で示される化合物とを、固体無機塩基の存在下に反応させることを特徴とする式(5)

(式中、A、D、YおよびZは上記と同一の意味を表わす。)
で示されるイミド化合物の製造方法。
【請求項6】
水の共存下に反応を実施する請求項5に記載のイミド化合物の製造方法。

【公開番号】特開2006−169154(P2006−169154A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−362561(P2004−362561)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【出願人】(000002912)大日本住友製薬株式会社 (332)
【Fターム(参考)】