説明

等化フィルタ装置、タップ係数更新方法、再生装置

【課題】LMS(Least Mean Square)を用いた適応等化を行うシステムにおいて、従来はディフェクトなどの異常状態が終了した直後において正しいタップ係数の設定を行うことができず、再生性能が低下する場合があった。
【解決手段】乗算器に設定されるタップ係数をシンク検出タイミングなど所要のタイミングで逐次保持(ラッチ)するようにしておく。その上で、入力信号の異常区間の終了タイミングにおいて、上記保持しておいたタップ係数を用いたタップ係数更新演算処理を開始する。これにより、異常状態の解消後におけるタップ係数更新演算処理を正常時に対応した正しいタップ係数を用いて再開することができ、結果、異常状態の解消後における再生能力の低下を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルフィルタを備えて入力信号についての等化処理を行う等化フィルタ装置とそのタップ係数更新方法に関する。
また、光記録媒体に記録された信号の再生を行う再生装置に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特開2003−272167号公報
【背景技術】
【0003】
光の照射により記録信号の再生が行われる光記録媒体として、例えばBD(Blu-ray Disc:登録商標)などのいわゆる高記録密度光ディスクが普及している。
このような高記録密度光ディスクについては、その記録情報の再生にあたりPRML(Partial Response Maximum Likelihood)復号(パーシャルレスポンス最尤復号)が行われる場合がある。
【0004】
また、PRML復号を行う再生システムでは、光学ピックアップの特性や記録品質などに起因した再生信号の周波数特性のバラツキを吸収するために、再生信号についていわゆる適応等化処理を行うようにされたものがある。具体的には、ビタビ復号器によるビット検出結果(チャネルビット系列)に対してその再生システムに応じたPR特性係数(例えば(1,2,2,1)など)を重み付け加算したレプリカ信号を目標信号として、再生信号の等化処理を行うというものである。
【0005】
図7は、上記のような適応等化処理を実現するための具体的な構成例を示している。
先ず、適応等化処理に用いられる等化器(イコライザ)としては、一般的にLMS TVF(Least Mean Square Transversal Filter)が広く知られている。図中の適応型等化器50は、当該LMS TVFとしての構成を有するイコライザであり、具体的には、FIR(Finit Impulse Response)フィルタ50a、及びタップ係数計算部66を備える。またこの場合は、ビタビ復号器51による復号結果(2値化結果)である復号データDTと上記FIRフィルタ50aより出力される等化信号ykとに基づいて等化誤差を算出するための構成として、遅延回路63、レプリカ生成部64、及び減算器65が備えられる。
【0006】
FIRフィルタ50aには、光ディスクからの再生信号がデジタルサンプリングされた再生信号DSが入力される。図示するようにFIRフィルタ50aにおいては、上記再生信号DSの入力ライン上に4つの遅延回路60-1〜60-4が直列に挿入されると共に、遅延回路60-1に入力される再生信号DSが分岐して入力される乗算器61-0と、上記遅延回路60-1を介して遅延回路60-2に入力される再生信号DSが分岐入力される乗算器61-1と、上記遅延回路60-2を介して遅延回路60-3に入力される再生信号DSが分岐入力される乗算器61-2と、上記遅延回路60-3を介して遅延回路60-4に入力される再生信号DSが分岐入力される乗算器61-3と、上記遅延回路60-4を介した再生信号DSが入力される乗算器61-4とによる、計5つの乗算器61が備えられる。つまり、タップ数=5のFIRフィルタである。
上記乗算器61(61-0〜61-4)の出力は加算器62にて加算され、当該加算器62による加算結果が等化信号ykとして出力される。
【0007】
FIRフィルタ50aの出力である上記等化信号ykは、適応型等化器50の出力としてビタビ復号器51に供給されると共に、上述した遅延回路63を介して減算器65に対しても供給される。
【0008】
レプリカ生成部64は、ビタビ復号器51から供給される復号データDTに対し、予め定められたPR特性係数(例えば(1,2,2,1)など)を用いた重み付け加算を行ってレプリカ信号を生成する。つまり、復号結果としてのビット系列をパーシャルレスポンス系列に変換するものである。これにより、適応型等化器50の等化目標となる目標信号が得られる。レプリカ生成部64により生成された上記レプリカ信号としての目標信号は減算器65に供給される。
【0009】
減算器65は、上記レプリカ生成部64により生成された目標信号から上記遅延回路63を介した等化信号ykを減算することで、等化誤差を算出する。
なお確認のための述べておくと、上記遅延回路63は、上記目標信号と上記等化信号ykとのタイミング同期を図るために設けられたものであり、上記等化信号ykに対してビタビ復号処理に要する時間分の遅延を与える。
【0010】
タップ係数計算部66は、いわゆる最小二乗法(LMS)により上述した乗算器61(61-0〜61-4)のタップ係数を計算(更新)する。このように計算されたタップ係数が乗算器61-0〜61-4にそれぞれ設定される。
【0011】
ここで、周知のようにLMSはその性質上、タップ係数の収束にはそれなりの時間を要するものであり、収束時間が十分でないと再生性能(再生能力)の低下を招く。
LMSにおいてはタップ係数の初期値の選定が重要であり、仮に、LMSの初期値が本来の収束解から大きくずれている場合には、その分収束に時間を要するものとなったり、また初期値が本来の解からあまりにもかけ離れたものである場合には発振が生じたり本例の解とは異なる解に収束してしまうなど、再生性能の大幅な悪化を招くことになる。
そこで、従来の光ディスク再生システムでは、光学ピックアップの特性に合ったタップ係数の初期値をもたせるなどして、再生性能の悪化の防止や収束時間の短縮化が図られるように工夫している(但し実際には光ディスクの特性バラツキがあり、収束時間の短縮化には限界がある)。
【0012】
また、LMSの収束は、上記のような係数の初期値の選定によって左右されるのみでなく、当然のことながら入力信号によっても左右されることになる。すなわち、LMSは、正常な入力信号が与えられる場合に本来の性能を発揮するものであり、異常な信号入力に対してはタップ係数が誤った値に更新されてしまうことになる。具体的なケースとしては、例えば光ディスクへの指紋や傷の付着等によるいわゆるディフェクトの影響によって異常な再生信号が入力される場合があり、その場合には、本来の解とはかけ離れた係数に更新されてしまう虞がある。
【0013】
このように一旦誤った係数に更新が為されてしまうと、ディフェクト区間を通過して再生信号が正常な状態に戻ったとしても、その後のしばらくの間は正しい解への収束時間を要するものとなり、結果としてその期間において本来の性能による再生を行うことができなくなってしまう。
【0014】
この点に鑑み、従来の光ディスク再生システムでは、ディフェクト区間での設定係数をディフェクト検出時点での設定係数にホールドするようにしたものがある。すなわち、ディフェクト区間でのLMSの更新処理は行わず、ディフェクト検出区間中のタップ係数をディフェクト検出時点で設定されていた係数にホールドするというものである。
【0015】
或いは、ディフェクト通過後に、係数を初期値に戻してから係数更新処理を再開するという手法もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ここで、図8は、上記により説明した前者の手法(つまりディフェクト区間内にて係数をホールドする手法)について説明するためのタイミングチャートであり、再生信号波形、ディフェクト検出信号、及び設定係数の遷移を示している。
先ず、この図からも明らかなように、ディフェクト検出結果には相応のタイムラグが生じるものであり、従って実際のディフェクト区間の開始/終了タイミングと、ディフェクト検出信号が表すディフェクト区間の開始/終了タイミングとには或る程度のずれが生じる。
【0017】
このために、ディフェクトが検出された時点での設定係数をホールドしたとしても、その時点での係数は既にディフェクトの影響を受けている可能性が高いものとなってしまう。つまりこのことからも理解されるように、上述した前者の手法、すなわちディフェクト検出時点での設定係数をホールドし且つディフェクト通過後に当該ホールドした係数からの更新演算処理を再開するという手法を採る場合には、ディフェクトの通過後に不適切な係数設定状態が得られてしまう(つまり誤った係数からの更新演算処理が再開されてしまう)可能性が依然としてあることになる。
このことより、上述した前者の手法は、ディフェクト通過後における再生性能の低下を防止するという点では十分な対策と言えないものとなる。
【0018】
また、上述した後者の手法、すなわちディフェクト通過後に初期値から係数更新処理を再開するという手法は、ディフェクト通過後における誤動作の発生の防止を図ることはできるが、更新演算処理が初期状態からやり直されるという意味で、ディフェクト通過後において本来の性能による再生を行うことができないという点は前者の手法と同様となる。従ってこの手法としても、ディフェクト通過後における再生性能の低下防止を図るための対策として、万全なものであるとは言えない。
【課題を解決するための手段】
【0019】
そこで、本発明では以上のような点に鑑み、等化フィルタ装置として以下のように構成することとした。
すなわち、本発明の等化フィルタ装置は、デジタルフィルタを備えて入力信号に対する等化処理を行うと共に、上記等化処理により生成した等化信号と目標信号との誤差に応じて上記デジタルフィルタが備える乗算器に設定されるタップ係数を更新する等化フィルタ処理部を備える。
そして、上記等化フィルタ処理部が、上記入力信号についての異常検出結果に基づき特定した上記入力信号の異常区間の終了タイミングにおいて、上記タップ係数保持部により保持されているタップ係数を用いたタップ係数更新演算処理を開始するものである。
【0020】
また、本発明では再生装置として以下のように構成することとした。
つまり、本発明の再生装置は、光記録媒体に対するレーザ光の照射及び反射光の受光を行って上記光記録媒体に記録された信号についての再生信号を得る光学ヘッド部を備える。
また、デジタルフィルタを備えて上記再生信号に対する等化処理を行うと共に、上記等化処理により生成した等化信号と目標信号との誤差に応じて上記デジタルフィルタが備える乗算器に設定されるタップ係数を更新する等化フィルタ処理部を備える。
また、上記乗算器に設定される上記タップ係数を所要のタイミングで逐次保持するタップ係数保持部を備える。
また、上記再生信号についてのディフェクト検出を行うディフェクト検出部を備える。
そして、上記等化フィルタ処理部が、上記ディフェクト検出部によるディフェクト検出結果に基づき特定した上記再生信号のディフェクト区間の終了タイミングにおいて、上記タップ係数保持部により保持されているタップ係数を用いたタップ係数更新演算処理を開始するものである。
【0021】
上記のようにして本発明によれば、乗算器に設定されるタップ係数が所要のタイミングで逐次保持されるものとなる。つまりこれにより、入力信号が正常状態にあるときの収束値としてのタップ係数を保持しておくことができる。
その上で、上記本発明によれば、上記入力信号の異常区間の終了タイミングにおいて、このように保持しておいたタップ係数を用いたタップ係数更新演算処理が開始されるものとなる。すなわちこの結果、異常状態の解消後におけるタップ係数更新演算処理を、正常時に対応した正しいタップ係数を用いて再開することができる。
【発明の効果】
【0022】
上記のようにして本発明によれば、異常状態の解消後におけるタップ係数更新演算処理を、正常時に対応した正しいタップ係数を用いて再開することができる。
これにより、異常状態の解消後に再生能力の低下が生じてしまうといった事態の発生を効果的に防止できる。つまりは、ディフェクト等の異常状態に対する安定性をさらに高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施の形態としての再生装置の内部構成を示した図である。
【図2】第1の実施の形態としての再生装置が備える適応型等化器(実施の形態としての等化フィルタ装置)の内部構成を示した図である。
【図3】第1の実施の形態としてのタップ係数更新手法について説明するための図である。
【図4】第2の実施の形態としてのタップ係数更新手法について説明するための図である。
【図5】第2の実施の形態としてのタップ係数更新手法を実現するための構成について説明するための図である。
【図6】係数保持タイミングの変形例について説明するための図である。
【図7】PRMLのリードチャンネルに適用された場合の適応型等化器の構成について説明するための図である。
【図8】従来の係数ホールド機能について説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下実施の形態とする)について説明していく。
なお、説明は以下の順序で行うものとする。

<1.第1の実施の形態>
[1-1.再生装置の内部構成]
[1-2.適応型等化器の内部構成]
[1-3.動作説明]
<2.第2の実施の形態>
<3.変形例>
【0025】
<1.第1の実施の形態>
[1-1.再生装置の内部構成]

図1は、本発明の再生装置の一実施形態としての、ディスクドライブ装置1の内部構成を示している。
なおこの図1ではディスクドライブ装置1における主に再生系の構成を抽出して示しており、例えばトラッキング・フォーカスなどの各種のサーボ系など他の構成については図示を省略している。
【0026】
図1において、光ディスクDは、円盤状の光記録媒体である。光記録媒体は、光の照射により記録信号の再生が行われる記録媒体を指す。
光ディスクDは、図中のスピンドルモータ(SPM)2によって回転駆動される。
【0027】
光学ヘッド(光ピックアップ)3は、レーザダイオードから出射したレーザ光を、所定の光学系により対物レンズを介して光ディスクDに照射する。また光学ヘッド3は、光ディスクDからの反射光を、所定の光学系を介してフォトディテクタに導き、反射光量に応じた電気信号を得る。また複数のフォトディテクタで検出された各光量信号に対して演算処理を行い、記録された情報の再生信号sA(再生RF信号)や、トラッキング、フォーカスなどの各種サーボエラー信号を生成する。
【0028】
上記光学ヘッド3で読み出された再生信号sAは、再生クロック生成・サンプリング部4に供給される。再生クロック生成・サンプリング部4では、PLL(Phase Locked Loop)回路を用いて再生信号sAに同期した再生クロックCKを生成し、また再生信号sAのデジタルサンプリングを行ってサンプリング信号(デジタル再生信号)DSを出力する。
上記再生クロックCKは、次に説明する適応型等化器5やビタビ復号器6、及び再生データデコーダ7等の必要な各部のクロックとして用いられる。
また上記サンプリング信号DSは、適応型等化器5に対して供給される。
【0029】
適応型等化器5は、上記再生信号DSが目標信号に等化されるようにして適応等化処理を行う。具体的に、本実施の形態の適応型等化器5としても、先の図7に示した適応型等化器50と同様に、FIR(Finit Impulse Response)フィルタ(後述するFIRフィルタ5a)と、いわゆる最小二乗法によるタップ係数の更新演算処理を行うタップ係数計算部(後述するタップ係数計算部16)とを備えた、LMS TVF(Least Mean Square Transversal Filter)として構成されたものとなる。
図示するように適応型等化器5には、ビタビ復号器6による復号結果である復号データDTが入力され、当該復号データDTから生成される目標信号を等化目標として再生信号DSについての等化処理を行う。
なお、本実施の形態の場合における適応型等化器5の内部構成については後述する。
【0030】
上記適応型等化器5による等化処理が施された再生信号DS(以下、等化信号ykと称する)は、ビタビ復号器6に対して供給される。
ビタビ復号器6は、いわゆるビタビ復号処理により再生信号DSの2値化を行う。すなわち ビタビ復号器6は、上記等化信号ykと、想定され得るビット系列のパーシャルレスポンスとの間のユークリッド距離を調べ、その距離が最も近くなるビット系列を検出結果として出力する。
【0031】
上記ビタビ復号器6による復号処理で得られた復号データ(2値データ列)DTは、再生データデコーダ7に供給される。
再生データデコーダ7は、上記復号データDTに対して例えばRLL(1,7)変調等についての復調処理やエラー訂正処理、デインターリーブなどの再生処理を施し、これによって復調された再生データを得る。
ここで、図示するように再生データデコーダ7内には、シンク検出回路7aが備えられ、当該シンク検出回路7aは上記復号データDTとしての2値データ列中に含まれる所定データパターンを検出することで、シンク(同期信号)検出を行う。このシンク検出回路7aにより得られたシンク検出信号Dsyncは、再生データデコーダ7による上記再生処理に用いられると共に、図示するようにして適応型等化器5に対しても供給される。
【0032】
また、ディスクドライブ装置1には、ディフェクト検出回路8、及びコントローラ9が設けられる。
ディフェクト検出回路8は、光学ヘッド3により得られた再生信号sAを入力してディフェクト検出を行い、当該ディフェクト検出の結果を表すディフェクト検出Ddを出力する。本例の場合、上記ディフェクト検出信号Ddは、そのHレベル区間がディフェクトの検出区間を表す。
図示するようにディフェクト検出信号Ddは適応型等化器5に対して供給される。
【0033】
また、コントローラ9は、CPU(Centeral Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有するマイクロコンピュータで構成され、例えば上記ROM等に格納されたプログラムに従った制御・処理を実行することで、ディスクドライブ装置1の全体制御を行う。
特に本実施の形態の場合のコントローラ9は、光ディスクDの再生動作の開始タイミングにおいて適応型等化器5内に備えられる係数保持部17に初期値としてのタップ係数を保持させることになるが、これについては後述する。
【0034】
[1-2.適応型等化器の内部構成]

図2は、図1に示した適応型等化器5の内部構成を示している。
なお図2では適応型等化器5の内部構成と共に、図1に示したビタビ復号器6、及びコントローラ9も併せて示している。
先ず、適応型等化器5にはFIRフィルタ5aが備えられる。この場合のFIRフィルタ5aとしても、先の図7に示したFIRフィルタ50aと同様にタップ数=5のFIRフィルタとされる。
【0035】
図示するようにFIRフィルタ5aには、入力信号として再生信号DSが与えられる。そして当該再生信号DSを入力するラインに対して、4つの遅延回路10-1〜10-4が直列に挿入されており、且つ、遅延回路10-1に入力される再生信号DSが分岐して入力される乗算器11-0と、上記遅延回路10-1を介して遅延回路10-2に入力される再生信号DSが分岐入力される乗算器11-1と、上記遅延回路10-2を介して遅延回路10-3に入力される再生信号DSが分岐入力される乗算器11-2と、上記遅延回路10-3を介して遅延回路10-4に入力される再生信号DSが分岐入力される乗算器11-3と、上記遅延回路10-4を介した再生信号DSが入力される乗算器11-4とによる、計5つの乗算器11が備えられている。
図示するように上記乗算器11(11-0〜11-4)の出力は加算器12にて加算され、当該加算器12による加算結果が等化信号ykとして出力される。
【0036】
FIRフィルタ50aの出力である上記等化信号ykは、適応型等化器5の出力信号としてビタビ復号器6に供給されると共に、図示するように適応型等化器5内に設けられた遅延回路13に対しても供給される。
上記遅延回路13としても、先の図7に示した遅延回路63と同様、上記等化信号ykにビタビ復号処理に要する時間分の遅延を与えるものである。当該遅延回路13を介した上記等化信号ykは、減算器15に対して供給される。
【0037】
また、適応型等化器5内には、レプリカ生成部14が設けられる。レプリカ生成部14は、ビタビ復号器6より供給される復号データDTに対し、予め定められたPR特性係数(例えば(1,2,2,1)など)を用いた重み付け加算を行ってレプリカ信号を生成する。つまり、復号結果としてのビット系列をパーシャルレスポンス系列に変換する。これにより、適応型等化器5の等化目標となる目標信号が得られる。レプリカ生成部14により生成された上記レプリカ信号としての目標信号は減算器15に供給される。
【0038】
減算器15は、上記レプリカ生成部14により得られた目標信号から上記遅延回路13を介した等化信号ykを減算することで、等化誤差を算出する。
【0039】
このように減算器15にて算出された等化誤差(等化誤差信号)は、タップ係数計算部16に入力される。
タップ係数計算部16は、いわゆるLMS法(最小二乗法)により上述した乗算器11(11-0〜11-4)のタップ係数を計算(更新)する。
なお確認のために述べておくと、LMS TVFにおけるタップ係数の更新演算は、一般的に下記の[式1]により表される。


k+1=Ck+u*Xk*ek ・・・[式1]


但し[式1]において、
「Ck」は係数VectorでありCk={c0k,c1k, ...c4k}、
「Xk」はフィルタ入力信号VectorでありXk={Xk,Xk-1, ...Xk-4}、
「ek」は等化誤差でありek=dk−yk(ykは遅延後のyk)、
「u」はstep sizeである。
【0040】
ここで、本実施の形態の場合の適応型等化器5内には、上記による構成に加えて、係数保持部17、及びセレクタ18が設けられる。
【0041】
図示するようにして係数保持部17には、タップ係数計算部16により計算されたタップ係数が入力されると共に、図1に示したシンク検出回路7aからのシンク検出信号Dsyncが供給される。
係数保持部17は、タップ係数計算部16から供給されるタップ係数(つまり乗算器11に対して設定されるタップ係数)を、上記シンク検出信号Dsyncにより表されるシンクの検出タイミングで保持(ラッチ)する。
図示するように係数保持部17により保持された値はタップ係数計算部16に供給されると共に、セレクタ18に対しても供給される。
【0042】
セレクタ18には、上記係数保持部17によって保持されたタップ係数が供給されると共に、タップ係数計算部16からのタップ係数が供給される。
セレクタ18は、図1に示したディフェクト検出回路8からのディフェクト検出信号Ddに基づき、上記係数保持部17からのタップ係数と上記タップ係数計算部16からのタップ係数のうち一方を選択出力する。具体的に本例のセレクタ18は、上記ディフェクト検出信号Ddによって表されるディフェクト区間の終了タイミング(本例の場合はディフェクト検出信号Ddの立ち下がりタイミングとなる)でのみ、係数保持部17からのタップ係数を選択し、それ以外の期間ではタップ係数計算部16からのタップ係数を選択するように構成されている。
図示するようにセレクタ18より選択出力されたタップ係数が、乗算器11-0〜11-4にそれぞれ設定されることになる。
【0043】
また、本例において、タップ係数計算部16には、図1に示したディフェクト検出回路18からのディフェクト検出信号Ddが供給される。
本例におけるタップ係数計算部16は、上記ディフェクト検出信号Ddに基づき、上記係数保持部17にて保持されるタップ係数の値を用いたタップ係数更新演算処理を開始するように構成される。
具体的に、この場合のタップ係数計算部16は、上記ディフェクト検出信号Ddの立ち下がりタイミング(ディフェクト区間の終了タイミング)にて、上記係数保持部17にて保持されているタップ係数の値を取得し、当該取得したタップ係数の値を用いたタップ係数更新演算処理を開始する。つまり先の[式1]に照らせば、上記係数保持部17にて保持されているタップ係数の値を「Ck」の値として用いたタップ係数更新演算処理を開始するものである。
【0044】
なお確認のために述べておくと、タップ係数計算部16においては各乗算器11ごとのタップ係数が計算され、乗算器11に対してはこのように乗算器11ごとに個別に計算されたタップ係数がそれぞれ設定されるものである。
図2においては図示の都合上簡略化して示したが、実際には、タップ係数計算部16からは各乗算器11に対応したタップ係数がそれぞれ個別に出力され、それらタップ係数ごとの個別のラインに対して係数保持部17、セレクタ18がそれぞれ挿入されることになる。
【0045】
[1-3.動作説明]

図3は、図2に示した適応型等化器5の動作について説明するためのタイミングチャートである。
なお、図3においては再生信号sA、ディフェクト検出信号Dd、シンク検出信号Dsyncの各波形を示すと共に、「保持係数」及び「設定係数」として、それぞれ係数保持部17により保持されるタップ係数の遷移、及び乗算器11に設定されるタップ係数の遷移を示している。
【0046】
先ず、先に述べた通り、係数保持部17は、シンク検出信号Dsyncが示すシンクの検出タイミングにおいて、タップ係数計算部16が出力するタップ係数を保持することになる。
この図ではディフェクトの検出タイミングを基準時刻nとしたときに、その直前におけるシンク検出タイミングが、上記基準時刻nの10クロック分前に位置していた場合を例示している。このとき、上記基準時刻nでの設定タップ係数をCnとおくと、この場合の係数保持部17は、図示するようにしてタップ係数Cn-10を保持するものとして表すことができる。
【0047】
上記のようにして係数保持部17による係数保持が行われた後、ディフェクト区間が到来したとする。そして、ディフェクト検出信号Ddに基づき、当該ディフェクト区間の終了が検出されたとする。このようにディフェクト区間の終了が検出されたタイミングにおいては、タップ係数計算部16が、係数保持部17にて保持されているタップ係数の値を用いたタップ係数更新演算処理を開始する。これにより、ディフェクト区間の通過後においては、正常時に保持されたタップ係数を用いた更新演算処理を開始することができる。
【0048】
ここで、シンクが検出されるということは、再生信号sAとして正しい入力が行われている、つまりは正常な入力信号が得られていると見なすことができる。従って上記のような動作が得られる結果、ディフェクト検出区間の終了直後から、正常時に保持した正しいタップ係数を用いたタップ係数の更新処理を開始することができる。つまりこの結果、従来生じていたディフェクト通過後における再生性能の低下の発生を効果的に防止することができる。
【0049】
ここで、図3を参照して明らかなように、本実施の形態では従来の場合とは異なり、ディフェクトの検出区間内においてタップ係数をホールドするということはせず、タップ係数の更新が継続されることになる。
このようにディフェクト検出区間内にてタップ係数の更新を継続して行うものとすることで、ディフェクト検出区間内での再生性能の悪化が最小限に抑えられるようにできる。
【0050】
ところで、上記の説明においては、係数保持部17によるタップ係数の保持が、ディフェクトの検出前に行われることを前提としたが、実際においては、シンクの検出前にディフェクトが検出されてしまうというケースも生じ得る。すなわち、係数保持部17が係数未保持のままディフェクトの終了タイミングを迎えてしまう場合が有り得る。
【0051】
そこで本実施の形態では、例えば光ディスクDの再生開始タイミングなど、適応型等化器5による等化処理が開始されるタイミングにおいて、係数保持部17に初期値としてのタップ係数を保持させるものとしている。
具体的には、図1に示したコントローラ9が、光ディスクDの再生開始タイミングなど、予め適応型等化器5による等化処理が開始されるタイミングとして定められたタイミングとなったことに応じて、係数保持部17に対し、予め設定された上記初期値としてのタップ係数を設定する処理を実行する。
これにより、ディフェクト検出前にシンクが検出されなかった場合にも対応可能とすることができる。
【0052】
以上で説明したように本実施の形態によれば、ディフェクトの検出状態が解消した後におけるタップ係数更新演算処理を、正常時に得られていた正しいタップ係数を用いて再開することができる。
これにより、異常状態の解消後に再生能力の低下が生じてしまうといった事態の発生を効果的に防止することができ、その結果、異常状態に対する安定性を高めることができる。
【0053】
<2.第2の実施の形態>

続いて、第2の実施の形態について説明する。
先の第1の実施の形態では、ディフェクト検出区間内においてはタップ係数の更新動作を継続させるものとしたが、第2の実施の形態は、ディフェクト検出区間において、従来例のようにタップ係数をホールドさせるものである。
【0054】
図4は、このようにディフェクト検出区間内にてタップ係数をホールドさせる第2の実施の形態としての手法について説明するためのタイミングチャートである。
なおこの図4においても再生信号sA、ディフェクト検出信号Dd、シンク検出信号Dsyncの各波形を示すと共に、「保持係数」及び「設定係数」として、それぞれ係数保持部17により保持されるタップ係数の遷移、及び乗算器11に設定されるタップ係数の遷移を示している。
【0055】
この図4に示されるように、第2の実施の形態においても、係数保持部17がシンク検出信号Dsyncによって示されるシンク検出タイミングで乗算器11に設定されるタップ係数を保持する点は同様となる。
この場合の相違点は、ディフェクト検出信号Ddが表すディフェクト区間の開始タイミングにおいて乗算器11に係数保持部17により保持されているタップ係数を設定し、且つ、タップ係数の更新演算処理を停止するという点である。
これにより、図中の「設定係数」としての、乗算器11に設定されるタップ係数としては、ディフェクトの開始検出タイミングにて係数保持部17に保持されていたタップ係数(図中Cn-10)に更新され、その値にホールドされるものとなる。
【0056】
ここで、この場合も、ディフェクト検出信号Ddが表すディフェクト終了タイミングでは、係数保持部17により保持されているタップ係数を用いたタップ係数更新演算処理を開始する。
これにより、第1の実施の形態の場合と同様に、この場合もディフェクト区間の終了検出後においては正常時に保持していた正しいタップ係数を用いたタップ係数更新演算処理を開始することができ、結果、異常状態の解消後における再生能力の低下の防止が図られる。
【0057】
図5は、上記により説明した第2の実施の形態としての手法を実現するための構成について説明するための図である。
なおこの図5においては主に先の図2に示した構成と相違する部分を抽出して示しており、図中に示されない部分の構成は図2に示したものと同様となるので図示は省略した。またこの図において、図2に示したものと同様となる部分については同一符号を付して説明を省略する。
また第2の実施の形態において、ディスクドライブ装置1の全体構成は第1の実施の形態の場合と同様となることから図による説明は省略する。
【0058】
先の図2と比較して分かるように、この場合の適応型等化器5においては、タップ係数計算部16に代えてタップ係数計算部20が設けられる点、及びセレクタ18に代えてセレクタ21が設けられる点が異なる。
タップ係数計算部16、20の相違点は、タップ係数計算部16はディフェクト検出信号Ddの立ち上がりタイミング(ディフェクト区間の開始検出タイミング)が到来してもタップ係数更新演算処理を継続していたのに対し、タップ係数計算部20は、ディフェクト検出信号Ddの立ち上がりタイミングにてタップ係数更新演算処理を停止する点である。
図4の説明からも理解されるように、タップ係数計算部20としても、ディフェクト検出信号Ddの立ち下がりタイミング(ディフェクト区間の終了検出タイミング)にて係数保持部17により保持されているタップ係数を用いたタップ係数更新演算処理を開始する点については、タップ係数計算部16の場合と同様となる。
【0059】
また、セレクタ18、21の相違点は、セレクタ18はディフェクト検出信号Ddの立ち下がりタイミングにおいてのみ係数保持部17により保持されているタップ係数を選択出力していたのに対し、セレクタ21は、ディフェクト検出信号Ddの立ち上がりタイミングから立ち下がりタイミングまでの間に、係数保持部17により保持されているタップ係数を選択出力する点が異なる。具体的にセレクタ21は、ディフェクト検出信号Ddにより表されるディフェクト検出区間(つまりこの場合はディフェクト検出信号DdがHレベルの区間)は係数保持部17に保持されているタップ係数を選択出力し、それ以外の区間ではタップ係数計算部20から供給されるタップ係数を選択出力する。
【0060】
なお、ここではディフェクト検出区間内でホールドする係数を、係数保持部17が保持する係数とする場合を例示したが、ディフェクト検出区間内でホールドする係数としては、従来例の場合と同様に、ディフェクトの検出時点での設定係数とすることもできる(図4における「Cn-1」)。
本発明としては、異常状態が解消した後における再生性能の低下防止が図られることを目的とするものであり、従って異常状態の検出中においてホールドするタップ係数としては、どのような値であってもよい。
【0061】
<3.変形例>

以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明としては上記により説明した具体例に限定されるべきものではない。
例えばこれまでの説明では、係数保持部17がシンクの検出タイミングごとにタップ係数を保持する場合を例示したが、シンクが複数回検出されたことに応じてタップ係数を保持するようにもできる。
図6(a)は、このようにシンクが複数回検出されたことに応じてタップ係数を保持する変形例としての動作を実現するための具体的な構成例を示した図である。
図示するようにこの場合は、シンク検出信号Dsyncを係数保持部17に入力させずに、カウント部22に対して入力する。カウント部22は入力されたシンク検出信号Dsyncに基づき、シンクの検出回数をカウントし、当該シンクの検出回数が予め定められた所定回数となったことに応じて係数保持部17にタップ係数を保持する旨の信号(保持指示信号)を出力する。このときカウント部22としては、シンク検出回数が上記所定回数となったことに応じてカウント値をリセットし、シンク検出回数が上記所定回数となるごとに係数保持部17への上記保持指示信号を出力するように構成する。
このようにシンクが複数回検出されることをトリガとしてタップ係数を保持するものとすれば、正常な再生信号に対応する正しいタップ係数を保持させることについての確実性を増すことができ、結果、ディフェクト検出区間の終了後における再生性能の安定性をより増すことができる。
なおこの図6(a)では、当該変形例が図2に示した構成に適用される場合の構成例を示したが、もちろん図5に示した構成とする場合にも当該変形例を適用できることについては言うまでもない。
【0062】
また、正常なタップ係数を保持することについての確実性をさらに向上させるために、シンクの検出間隔がフォーマットで規定される間隔となっているか否かの条件を課すようにすることもできる。具体的には、検出されたシンクが、フォーマットで規定される間隔で得られたものであるか否かを判定する構成を付加し、規定間隔で得られたシンクの検出タイミングでのみタップ係数の保持を行うようにするというものである。
【0063】
また、これまでの説明では、係数保持部17がシンクの検出タイミングで係数を保持する場合を例示したが、タイマに基づく所定の時間間隔でタップ係数を保持するといったこともできる。
図6(b)は、このように所定の時間間隔でタップ係数を保持する変形例を実現するための具体的な構成例を示している。
図6(b)において、この場合は、図1に示したコントローラ9が、内蔵するタイマ9aに基づき、係数保持部17に対して所定の時間間隔ごとに保持指示信号を与える。この結果係数保持部17は、所定の時間間隔ごとにタップ係数計算部16から乗算器11に設定されるタップ係数の値を保持することができる。
なお図6(b)としても図2に示した構成への適用例を示しているが、上記のような所定時間間隔ごとの係数保持を行う変形例についても、図5に示した構成とする場合への適用が可能であることは言うまでもない。
【0064】
なお、単純に所定時間ごとに係数を保持するものとした場合には、ディフェクト区間にてタップ係数の保持が行われてしまう可能性もある。先の図2に示した構成とする場合には、ディフェクト区間においてもタップ係数の更新が行われるので、タイマに基づく係数保持タイミングとディフェクト区間とが重なった場合は、誤ったタップ係数が保持されてしまう虞がある。
そこで実際には、コントローラ9はディフェクト検出信号Ddに基づきディフェクト検出区間内であるか否かの判別を行い、タイマ9aに基づく係数保持タイミングであっても、ディフェクト検出期間内である場合には係数保持部17に対する係数保持指示は行わないようにする。これにより、ディフェクト区間内での更新演算処理で計算された誤ったタップ係数が保持されてしまうことの防止が図られる。
【0065】
ここで、本発明において、係数保持部としては、乗算器に設定されるタップ係数を、少なくとも所要のタイミングで逐次保持するものとすればよい。このように乗算器に設定されるタップ係数を所要タイミングで逐次保持するものとすることで、正常時のタップ係数を保持することが可能となる。
【0066】
また、これまでの説明においては、適応型等化器5が備えるデジタルフィルタのタップ数が5である場合を例示したが、これはあくまで一例を示したものに過ぎず、例示した数値に限定されるべきでないことは言うまでもない。
【0067】
また、これまでの説明では、本発明の等化フィルタ装置が、光記録媒体についての再生装置に適用される場合を例示したが、本発明の等化フィルタ装置としては、例えばデータ通信システムにおける受信装置やテレビジョン放送を受信する放送受信装置など、他の装置に対しても広く好適に適用できる。
【符号の説明】
【0068】
1 ディスクドライブ装置、2 スピンドルモータ、3 光学ヘッド、4 再生クロック生成・サンプリング部、5 適応型等化器、5a FIRフィルタ、6 ビタビ復号器、7 再生データデコーダ、7a シンク検出回路、8 ディフェクト検出回路、9 コントローラ、10-1〜10-4,13 遅延回路、11-0〜11-4 乗算器、12 加算器、14 レプリカ生成部、15 減算器、16 タップ係数計算部、17 係数保持部、18,21 セレクタ、22 カウント部、D 光ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルフィルタを備えて入力信号に対する等化処理を行うと共に、上記等化処理により生成した等化信号と目標信号との誤差に応じて上記デジタルフィルタが備える乗算器に設定されるタップ係数を更新する等化フィルタ処理部と、
上記乗算器に設定される上記タップ係数を所要のタイミングで逐次保持するタップ係数保持部とを備えると共に、
上記等化フィルタ処理部は、
上記入力信号についての異常検出結果に基づき特定した上記入力信号の異常区間の終了タイミングにおいて、上記タップ係数保持部により保持されているタップ係数を用いたタップ係数更新演算処理を開始する
等化フィルタ装置。
【請求項2】
上記入力信号には同期信号が挿入されており、
上記タップ係数保持部は、
上記入力信号から上記同期信号が検出されたことに応じて上記乗算器に設定されるタップ係数を保持する
請求項1に記載の等化フィルタ装置。
【請求項3】
上記等化フィルタ処理部は、
上記異常検出結果に基づき特定した上記入力信号の異常区間の開始タイミング以降においてもタップ係数更新演算処理を継続する
請求項1に記載の等化フィルタ装置。
【請求項4】
上記等化フィルタ処理部は、
上記異常検出結果に基づき特定した上記入力信号の異常区間の開始タイミングにおいて、上記タップ係数保持部に保持されているタップ係数を上記乗算器に対して設定し且つタップ係数更新演算処理を停止する
請求項1に記載の等化フィルタ装置。
【請求項5】
上記タップ係数保持部は、
上記同期信号が複数回検出されたことに応じて上記乗算器に設定されるタップ係数を保持する
請求項2に記載の等化フィルタ装置。
【請求項6】
上記タップ係数保持部は、上記乗算器に設定されるタップ係数を所定の時間間隔で保持する請求項1に記載の等化フィルタ装置。
【請求項7】
上記等化フィルタ処理部による等化処理の開始タイミングに応じて、上記タップ係数保持部に初期値としてのタップ係数を保持させる保持係数初期化部をさらに備える
請求項1に記載の等化フィルタ装置。
【請求項8】
デジタルフィルタを備えて入力信号に対する等化処理を行うと共に、上記等化処理により生成した等化信号と目標信号との誤差に応じて上記デジタルフィルタが備える乗算器に設定されるタップ係数を更新する等化フィルタ装置のタップ係数更新方法であって、
上記乗算器に設定される上記タップ係数を所要のタイミングで逐次保持するタップ係数保持ステップと、
上記入力信号についての異常検出結果に基づき特定した上記入力信号の異常区間の終了タイミングにおいて、上記タップ係数保持ステップにより保持したタップ係数を用いたタップ係数更新演算処理を開始する更新演算処理開始ステップと
を有するタップ係数更新方法。
【請求項9】
光記録媒体に対するレーザ光の照射及び反射光の受光を行って上記光記録媒体に記録された信号についての再生信号を得る光学ヘッド部と、
デジタルフィルタを備えて上記再生信号に対する等化処理を行うと共に、上記等化処理により生成した等化信号と目標信号との誤差に応じて上記デジタルフィルタが備える乗算器に設定されるタップ係数を更新する等化フィルタ処理部と、
上記乗算器に設定される上記タップ係数を所要のタイミングで逐次保持するタップ係数保持部と、
上記再生信号についてのディフェクト検出を行うディフェクト検出部とを備えると共に、
上記等化フィルタ処理部は、
上記ディフェクト検出部によるディフェクト検出結果に基づき特定した上記再生信号のディフェクト区間の終了タイミングにおいて、上記タップ係数保持部により保持されているタップ係数を用いたタップ係数更新演算処理を開始する
を備える再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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