説明

等線速度レコードシステム

【課題】等線速度レコードを等線速度回転可能とした、等線速度レコードシステムを提供する。
【解決手段】LPレコードでは最外溝では線速度516.6ミリ/秒であり、最内溝では209.4ミリ/秒であり、最内溝から見ると最外溝は必要以上の速度である。これがどの音溝も最内溝のような必要にして十分な速度で回転するようにすると、余分な速度のものはなくなり、従って全体が大変コンパクトになる。この等線速度回転レコードシステムを達成した。

【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の属する技術分野]
コンパクトなグルーブレコード(音溝盤)とそのプレーヤーを開発したい。
【0002】
[従来の技術]
1982年コンパクトディスク(CD)が市場に出るまでは、レコードと言えば、ロングプレイレコード(LP)であった。径は30センチで音溝が径120ミリから296ミリの範囲にあり、1ミリに10本の割りで刻んであり、全てが1分間に33と1/3回転つまり1.8秒間に1回転していた。即ち88ミリの幅の中に880本の音溝があるので、1.8秒/本×880本=1584秒=26分24秒即ち両面では52分48秒の録音が可能なものであった。
そのLPは「CDプレーヤー入門(コロナ社・1983年)」によると、音質の問題のほかに、針や盤が損傷し、音溝に対して正しいトレースが出来ず、振動が弱くてハウリングを発生しやすく、取り扱いや保管に不便であるなどの欠点があると言う。
これらの欠点を除くものとして、開発されたのがCDで、音声信号をPCM(パルス符号変調)方式でデジタル化して記録し、レーザー光による非接触方式によって再生し、非損傷性と音質の向上とを実現し、小型軽量、操作性、信頼性などの点についても格段の進歩を実現しようと言うものであった。
しかしCDはそれ故にそのシステムのあらゆる構成要素で現代技術を超越するほどの無理に無理を重ねなくてはならないものとなった。
CDの録音面積は径50ミリから116ミリの間の8605平方ミリであり、他方LPは径120ミリと296ミリとの間の57503平方ミリであり、CDの面積はLPの15%であるに過ぎない。しかし音溝の総延長はCD5162893ミリLP575037ミリであり、CDはLPの9倍である。詰まり記録密度は実に60倍にもなる。従ってこのシステムの全てに渡って物凄い精密さが要求される。然もLPのように針が溝に填って走ると言うものではないので、そのためにプレーヤーは常識を超えた物凄い複雑な機構を要求される。例えば記録トラックの間隔は10000分の17ミリの細さであり、これを読むピックアップの光もこのくらいにレンズを使って焦点を絞り込まなくてはならず、然もその焦点が常にトラックの上に結ぶようにディスクの踊りに対してそれを検知して上下するように制御するようにしなくてはならない。
また、その0.0016ミリくらいの焦点が幅0.0004ミリ長さ最小0.0009ミリのピット(穴)のトラックを音溝のような案内なしに外れないように外れを検知しては正して走行するようにピックアップの送り量を常に極微調節しながら送らなくてはならないと言う。そしてディスクを、それに信号を記録しておいてその信号を読み取って、それに従って等線速度で回転させるようにディスクモーターを制御すると言う。然もその信号はどれも同じ周波数であり、音声信号の間に同一間隔で記録しておくと言う。ここでは音声信号が途切れる訳でそれで大丈夫なのかよく解からない。若し大丈夫と言うのならこの同期信号は求めるディスクモーターの回転数にあわせて順々に変えて置くべきであろう。
このように複雑で精密なものは現在の技術では製造できないように思える。出来るとすれば、それは数千万円もするものになろう。「VTR関連基礎講座(ラジオ技術社・1981年)」によると、4ヘッドVTRはビデオトラック幅/ピッチが0.25ミリ/0.4ミリで2000万円から3000万円だとある。CDはこのVTRの625倍の精度を出さねばならない。然も超極微細にである。
それでもCDの1秒間のトラックの長さは1200から1400ミリに達すると言う。デジタル化したために斯くも長くなるのである。LPの最短走行速度は209.44ミリ/秒であり、カセットテープは47.6ミリ/秒である。デジタル化すると、トラックが物凄く長く要ることが判る。
CDがこのように物凄く長いトラックを必要とするもう一つの要因に周波数特性の採り方があるのではないかと思われる。その周波数特性を「CDプレーヤー入門」によると可聴音一杯の20〜20000ヘルツとしている。しかし「要訣物理(文英堂・1953年)」によると、音の振動数は楽器では30〜4000ヘルツ、声楽では80〜1000ヘルツであると言う。これからすると音楽録音は20〜20000ヘルツをカバーする必要はなく、30〜4000ヘルツをカバーするもので宜しいのではなかろうか。そうだとすると、若し光録音システムが可能なものだとすれば、この30〜4000ヘルツをアナログで直に記録したほうが好さそうに思える。今4000ヘルツの最小波長を50倍の0.04ミリに記録するとすると、4000ヘルツで満ちる場合にはピットの長さ0.02ミリと0.02ミリのランドの計0.04ミリの4000倍即ち160ミリ/秒となり、5割増しの0.06ミリでは240ミリ/秒となり、LPの最短209.44ミリ/秒くらいとなる。CDの1200〜1400ミリ/秒に比べれば相当楽になると言える。このようなことをしても光ディスクプレーヤーは、ピックアップが案内のない非接触なのでそのトラッキングとフォーカシングには大変な技術が要り、民生用の普及機には困難であろう。
【0003】
[発明が解決しようとする課題]
デジタルオーディオと言う技術思想はテープレコーダーにおいてダビングをする度に音質が劣化することに対処しようとして産まれたものらしい。この実用化はNHKの技術者を中心にかなり多くの電子メーカーで試みられたらしいが、物になったと言う話を聞かない。上記したようにデジタル化すると莫大な記号数となり、それを一列に並べたトラックの長さは物凄く長尺となり、直線テープでは全く対応できない。アナログVTRのように回転ヘッドを用いる以外になく、これではテレビ画面のような細切れで処理するものには兎も角音楽のように切れ目なく連続しているものは全く処理できない。
上記のようにカセットテープの47.6ミリ/秒に対してCDは1200ミリ/秒にもなる。これに1898年にポールセンが発明した磁気録音機のように鋼線を用いるならば兎も角テープならば鋼線のように幅を細くできないので、直線テープはデジタルの記録媒体とは全くなりえない。このデジタル信号は記録するとなれば面を用いる以外に対処のしようがない。こうして産まれたものがCDであろうが、上述したように開発の当初から技術的に困難なもので、何らかの詐術に頼る以外になく、本格的に本気で開発されたものではないようである。
しかしCDの出現によってCDラジカセのようなコンパクトなオーディオ装置が市販され、オーディオがパーソナルなものになった。このパーソナル化を本格的な装置で以てより発展させたい。お気に入りの曲を誰の邪魔もなく自由に何時でも気に入れば何日でも何回でも繰り返し楽しみたいものである。この一般大衆の要求に本格的に応えるには出来るだけ機構を簡単にして然もコンパクトさを可能にしなくてはならない。
【0004】
[課題を解決するための手段]
そのためには非接触トレースと言う妄執を払い除けなくてはならない。ディスクにおいてそれを達成するのに、私はどうしても、音溝と針の組み合わせ以外の方法を思いつかない。これで以てコンパクト化を達成するには従前の等角速度回転をどうかして等線速度回転化する以外にない。私はいろいろ考えて針の接している音溝の半径を逐次知りうれば、それが可能であることに、はっきりしたことは泥棒に研究資料を盗まれたので判らなくなったが、以前から気付いていた。子供の頃父が教えてくれた、電流は接点間では最短距離を走る、と言うことを思いだし、レコードの芯に接点を設け、それと針との間に電流を流し、レコードの電気抵抗の変化で以てその半径を知ることなどを考え出したが、今一つ満足できなかった。
そして従来のピックアップはカートリッジが音溝に平行に働かないことに気付き、これが平行に働くように出来ないかと考えてきた。
これらの課題を一気に解決したものが本発明である。それは「特許請求の範囲」に要領よくまとめた積もりである。
【0005】
[発明の実施の形態]
一つ付け加えておく。本発明におけるピックアップの移動をこのためのモーターで行なうのであるが、それにはそのモーターの回転軸系統に円柱の雄螺子を取り付け、その雄螺子にそれが丁度填る円筒の内側に雌螺旋を刻んだ雌螺子を填めて、それがモーターの回転で以て繰り出し、ピックアップ支持台を移動させるようにし、それはピックアップをセットすると始動し、自動的に或いは手動的にピックアップをアップすると自動的に支持台が始動位置に復するようにモーターが逆転するようにすると好いと考える。
【0006】
[実施例]
本発明のコンパクトレコードはどのくらいコンパクトになるか、ここで見てみよう。等線速度を100ミリの径が30/分回転即ち2秒間で1回転する場合の157.08ミリ/秒としてみると、片面10分物の大きさは、その総音溝距離は157.08ミリ/秒×10分×60秒/分=94248ミリとなる。この距離を最内溝径60ミリ、1ミリ幅に10本の音溝を設けて納める場合では、
〔(Xπ÷157.08ミリ/秒)+2秒〕÷2×157.08ミリ/秒×(X−60ミリ)÷2×10/ミリ=94248ミリ
×40X+18000=0
X=115.65ミリ(最外溝径);盤径=120ミリ
次に、片面26.4分のLPと同じ録音時間のCRはどのくらいの大きさになるかと言うと、157.08ミリ/秒×26.4分×60秒/分=248815ミリであるから、それを上式においる10分物の音溝の総延長94248ミリに代えて計算すると、
X=175.14ミリ(最外溝径);盤径=180ミリとなる。
【0007】
[発明の効果]
私は8年前の1994年パイオニアのCDプレーヤーPD−01を37,000円くらいで求めた。1970年頃110,000円で求めたソニーのステレオコンポに繋いで聴いたのであるが、同和族が電波に乗って付いて、落ち着いて繰り返しては聴けなかった。昨年の秋だったかソニーのCDラジカセCFD−S26(中国製)を8,800円で求めた。この内CD分は4,000円くらいであろうか。買って最初のうちはCDデッキも作動していたが、数ヶ月前から留守中に侵入してくる泥棒にか壊されて作動しなくなった。前述したようにCDプレーヤーは数千万円掛けても出来るかどうかと言うものである。とてもCDデッキは数千円で出来るものではない。そこで想うのであるが、CDは単に料金を徴収する手段に過ぎず、実際には音楽は記録されておらず、何か別の方法でCDラジカセに音楽を送って来るようになっているのではなかろうか。
記録媒体を用いる電子機器は現在CDからデジカメそしてDVDへと展開している。8月17日のスーパーフジグランの折り込み広告には、30万画素のデジカメが2,980円、DVDプレーヤーが9,980円で売り出されている。今そこで少し意地悪い計算をしてみると、30万画素で2,980円を割ってみると、CCDの1画素が0.01円つまり1銭であることになる。そのデジカメに真面にCCDが入っているとは信じられないのは私だけであろうか。
このようなCDシステムの欺瞞性から脱しようとして、一部のレコード会社は演歌を中心にカセットテープで販売しているが、これもCD同様フィリップスの発案したもので、満足の行く録音媒体たりえているものかどうか疑義を持っている。前述したように、そのテープ速度は47.6ミリ/秒である。放送用やレコード製作用にはテープ速度7.5インチ(19.05センチ)/秒のものが主に使用されているらしい。民生用としてはカセットテープが1966年に売り出されるまではテープ速度19.05センチ/秒と9.5センチ/秒とを選択して使用できるものであった。上述したようにLPの最短音溝速度は209.44ミリ/秒である。これからすると、カセットテープの47.6ミリ/秒は余りにも短い。これではとても満足な再生音が出せるとはとても思えない。「現代商品大辞典(東洋経済新報社・1986年)」によると、フィリップスは自社の規格の厳守を条件に特許を無償公開したと言う。このカセットテープもCDと同じような欺瞞的方法の後押しを必要とするものであったのではなかろうか。一昔前は録音用のカセットテープは磁性材料を高度化して録音性能を向上させることに大きな努力が払われたものであるが、今日ではこの傾向は全く薄れてしまっている。今日の社会では同和思想の影響で良質なもの高度なものを追い求めることは水平化に反し社会悪視される風潮が押しつけられており、粗悪なもの欺瞞なものを強引に押し付けさえすれば好いと言う商売のあり方になっている。こう言う在り方を可能としているものは電子と電波であるようである。その走りこそカセットテープであったと言えるのではなかろうか。
しかしテープのコンパクト化は決して悪いことではない。その存在領域を本質的性能の範囲に限らないで、その領域を万能化しようとしたところに無理を押し売る根源がある。テープ速度を実用的に速くして、その範囲で使える領域で商売するべきである。今の倍の95ミリ/秒にしてみて、それでも満足行かなければ、3倍の142.8ミリ/秒にしてみれば好い。今の60分物は30分物か20分物になり、又今の90分物は45分物か30分物になる。これら高速化したものをコンパクトテープ(CT)と呼ぶことにしたい。こCTはクラシックを全曲入れることは出来ないが、演歌やポピュラーには十分対応できる。ミュージックCTは複製に時間が掛かるので大量生産には向かないが、そうでない規模のものには寧ろ向いている。社会に、個人個人が自力で生きて行けるようになり、夫々が生命と身体及び財産を犯さないと言う健全性が芽生えて来るならば、大量生産向きの本発明のCRと共に音楽産業を支え発展させる拠所となるに違いない。そして私は(電話)回線を使用して音楽を販売するサーキットレコードなるものを特許出願している。家庭やコンビニなどでそれを録音する場合にはどうしてもこのCTが必要となる。CTが本物に回生する必要性はここにもある。
本発明は既に述べたように30センチLPに代わるものは18センチ盤となり歌謡曲がA面に2曲そしてB面にカラオケが2曲入る片面10分物は12センチ盤となる。以前のシングル盤と呼ばれたものは45回転で17センチ盤で、片面の録音時間は3分前後であった。又コンパクト盤と呼ばれるものは回転数33.3回転で片面録音時間7分足らずであった。これらから見ると、本発明のCRは大変コンパクトになっており、現在のCDラジカセくらいの大きさのものがこのCRとCTを組み合せれば開発できることになる。
私は少し前には時折NHKのFMラジオを聴いていた。古い歌でレコードに録音されているものは初中終放送されているのであるが、新しい歌でCDに録音されていると思われるものは聴いたことがない。これは私の寡聞のせいかもわからないが、若しそうだとすれば、現今の歌は後世に残らないことになり、文化史に大きな空白が空くことになる。カセットテープのレコードまでも前述したように満足の行かないものであれば、これも同じく十分に文化を遺産化出来るものではない。どうしてもしっかりした音溝盤が必要である。本発明には、録音形式に1952年にウエストレックス社が開発した45−45方式と呼ばれるステレオ録音方式はアナログのメカ方式とも言えるもので、電子的工作がなく、電波の作用を受けにくいので、私はこの方式が一番良いと思っているので、それを採用したいと思っている。
トランジスタが発明され、そして回路のIC化が進んで、今日電子機器の回路部分は極めて小さく作れるようになった。しかし音とか象とかの自然を撮り、記録し、再生することに面ではなく点として捕える二進法のデジタル方式ではその記録量は莫大となり、それを要領よくこじんまりと納めることは全く不可能である。そこで二進法記録方式は止め、以前のアナログ記録方式に帰り、その上でコンパクト化を図らないと、電波のまやかしを借りない限り、機器全体のコンパクト化を達成することは出来ない。
本発明は音楽録音の面においてそれを達成しうるもので、音楽産業と音楽芸術のまやかしのない健全な発展に大いに貢献するものと信じている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコンパクトレコードプレーヤーの簡単な斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レコードプレーヤーにおいて、ピックアップの針が特定した等線速度でレコードの音溝を走るようにレコードを回転させる(フォノ)モーターの回転を制御するにおいて、又、ピックアップの支持台を、カートリッジが針の接する音溝の半径に対して常に直角であるように、レコードの回転に連れて、移動させるようにする(ピックアップ)モーターを設け、それを制御するにおいて、支持台の移動に応じて働く可変抵抗器などを設け、それによって変化して流れる(制御)電気の量で以て、針の位置の音溝の半径を知り、それで以てその音溝の円周の長さを出し、それを等線速度で割ってその音溝の回転時間を出し、その逆数であるその音溝の回転数を出し、その回転数で回転するように、両モーターへの供給電力を変化させて、両者の回転数を逐次変化させ、等線速度レコードを等線速度回転させるようにした、コンパクトレコードプレーヤーと呼ぶことにする、等線速度(CLV=コンスタントリニアベロシティ)レコードプレーヤー。
【請求項2】
カッティングマシン(円板録音機)において、録音円板(ラッカー盤)を「請求項1」における等線速度で回転させ、それに連れて螺子を切ったシャフトを回転させてカッター針を移動させて、音溝を螺旋状に刻んで行くにおいて、録音円板を回転させる(フォノ)モーターとシャフトを回転させる(カッティング)モーターとの回転を制御するにおいて、カッター針の移動に応じて働く可変抵抗器などを設け、それによって変化して流れる(制御)電気の量で以て、カッター針の刻んでいる音溝の半径を知り、それで以て音溝の円周の長さを出し、それを等線速度で割ってその音溝の回転時間を出し、その逆数であるその音溝の回転数を出し、その回転数で回転するように、両モーターへの供給電力を変化させて、両者の回転数を逐次変化させ、録音円板に等線速度音溝をカッティングして行くようにした、コンパクトレコード用カッティングレイズと呼ぶことにする、等線速度(CLV)カッティングマシン。
【請求項3】
「請求項2」の等線速度カッティングマシンなどで生産し、「請求項1」の等線速度レコードプレーヤーで以て再生する、等線速度回転用のコンパクトレコード(CR)と呼ぶことにする、等線速度グルーブレコード(等線速度音溝盤)。

【図1】
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【公開番号】特開2004−95132(P2004−95132A)
【公開日】平成16年3月25日(2004.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−294281(P2002−294281)
【出願日】平成14年8月30日(2002.8.30)
【出願人】(594052526)
【出願人】(502234662)
【Fターム(参考)】