説明

等速ジョイント

【課題】 トリポードタイプの等速ジョイントの動力伝達用ローラユニットが傾いて振動・騒音の発生や動力損失が生じるのを防止する。
【解決手段】 等速ジョイントにおいて、 次の2式
0.5Rtc(1/cos0.3Θ−1)+(R1−R3)μ<W1
1.5Rtc(1−cos0.3Θ)+(R1−R3)μ<W2
を満足するように各ローラユニット25の外周の円筒面25aの半径R1、外側幅W1及び内側幅W2、並びに円筒状の中心孔25dの半径R3を設定する。ただし
Rtc:トリポード球面の中心を通る円の半径
Θ :等速ジョイント最大ジョイント角
μ :トリポード球面とローラユニットの円筒状の中心孔の間の摩擦係数
上記各部の寸法は、さらに次の2式
W1<0.5Rtc(1/cosΘ−1)+(R1−R3)μ
W2<1.5Rtc(1−cosΘ)+(R1−R3)μ
を満足するように設定するのがよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の動力伝達装置において差動装置のサイドギヤと車両を駆動するドライブシャフトの間などに用いられる等速ジョイントに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の等速ジョイントには、例えば特許文献1に示すように、内面に軸線方向に延びる3本のローラ溝(案内溝)が形成されたトリポード・ケース(外側継手部材)と、半径方向外向きに延びる3本のトラニオン軸(トリポード軸)の先端にそれぞれ部分球面状外周面(トリポード球面)が形成されたトラニオン(内側継手部材)と、内周面(中心孔)がトラニオンの各部分球面状外周面に摺動自在に嵌合支持されされると共に外周面がトリポード・ケースの各ローラ溝に軸線方向に沿った転動のみ可能に係合される3個のジョイント・ローラ(ローラユニット)を備えたものがある。この特許文献1の等速ジョイントでは、ジョイント・ローラを、アウタ・レース(アウタローラ)と、その内周面にニードル・ローラ(転動体)を介して回転自在に係合されたインナレース(インナリング)により構成して、トリポード・ケースとトラニオンの間にジョイント角が与えられて回転した場合にローラ溝内を転動するジョイント・ローラとトラニオン軸の間に生じる摩擦抵抗を減少させ、トリポード・ケースとトラニオンを軸線方向互いに逆向きに押すスラスト力を減少させて、振動・騒音の発生や動力損失という問題が生じるのを防いでいる。
【特許文献1】実開平4−84923号公報(実用新案登録請求の範囲の記載、図1)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この種の等速ジョイントでは、ローラユニットが係合された内側継手部材の半径が最大となる部分はローラユニットの外周の外側の角部であり、外側継手部材の内面はこの角部と対向する部分の半径が最大となり、これに強度上必要な肉厚を加えたものが外側継手部材の最大半径、すなわち等速ジョイントの最大半径になる。この最大半径を減少させて等速ジョイントをコンパクト化するために、ローラユニットの外周の角部にテーパ状の面取りを行って、ローラユニットの外周面の幅をローラユニットの幅よりも小さくすることが考えられる(図2参照)。なおこの等速ジョイントのコンパクト化の問題は、ローラユニットをアウタローラとその内周面に回転自在に係合されたインナリングよりなるものとした場合には、ローラユニットが大径になるので特に問題となるが、ローラユニットが単純な一体構造の場合にも、同様な問題は存在する。
【0004】
外側継手部材の各案内溝は、互いに平行に対向する1対の帯状の平面を有しており、各ローラユニットの外周面はこの帯状平面の間に案内溝の長手方向に沿った転動のみ可能に係合されて、各案内溝に対する各ローラユニットのそれ以外の方向の移動は拘束されるようになっている。このようなローラユニットを介して、等速ジョイントの外側継手部材と内側継手部材の間では力の伝達が行われる。この力の伝達は、その時の力の伝達の向きに応じて一方の帯状平面がローラユニットの外周面に当接し、ローラユニットを介して内側継手部材のトリポード球面に外側継手部材からの力を伝達することにより行われ、反対側の帯状平面とローラユニットの外周面の間にはわずかの隙間が生じている。
【0005】
前述のように各ローラユニットは各案内溝に対し長手方向にのみ移動可能に係合されそれ以外の方向の移動は拘束されているので、外側継手部材に対しその中心軸線と直交する方向には移動しない。これに対し内側継手部材の各トリポード球面は、ジョイント角が与えられた状態で等速ジョイントが回転されると、外側継手部材に対しその中心軸線と直交する方向に移動するので、ローラユニットの円筒状の中心孔に嵌合されたトリポード球面はこの中心孔内を摺動する。この摺動により、力の伝達がなされるトリポード球面とローラユニットの中心孔の接触位置には中心孔の内面に沿った摩擦力が生じ、これによりこの接触位置を通って中心孔からトリポード球面に伝達される力の作用線の方向は半径方向に延びるトリポード軸の中心線に対し直交する方向から傾く。
【0006】
そして前述のようにローラユニットの外周面の幅をローラユニットの幅よりも小さくすると、傾いたこの力の作用線が案内溝の帯状平面と当接するローラユニットの外周面を外れてその外側を通るようになり、それと反対側となる外周面が帯状平面から浮き上がってローラユニットが傾くことがある。このような傾きが生じると、ローラユニットは力の伝達がなされる側と反対側において案内溝の内面に接触して、その摩擦抵抗のため両継手部材を軸線方向互いに逆向きに押すスラスト力を生じる。このスラスト力は等速ジョイントの回転角度に応じて急激に変動するので、振動・騒音の発生や動力損失という問題を生じる。本発明はこのような各問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このために、請求項1の発明による等速ジョイントは、
内面に中心軸線方向と平行に延びる3本の案内溝が等角度間隔で形成された筒状体よりなり、第1回転軸に同軸的に連結される外側継手部材と、
先端部にそれぞれトリポード球面が形成されてボス部から等角度間隔で半径方向外向きに延びる3本のトリポード軸よりなり、第2回転軸に同軸的に連結される内側継手部材と、
互いに同軸的に形成された円筒状の中心孔と外周の円筒面を有する3個のローラユニットを備え、
案内溝は筒状体の中心軸線を含む第1中心面を挟んで互いに平行に対向する1対の帯状平面を有し、
ローラユニットは、中心孔が各トリポード球面に摺動自在に嵌合支持されると共に、円筒面が各案内溝の1対の帯状平面の間に筒状体の中心軸線方向に沿った転動のみ可能に係合され、
各ローラユニットの外周の円筒面の幅は同ローラユニットの幅よりも小さくしてなる等速ジョイントにおいて、
次の2式
0.5Rtc(1/cos0.3Θ−1)+(R1−R3)μ<W1
1.5Rtc(1−cos0.3Θ)+(R1−R3)μ<W2
を満足するように各ローラユニットの外周の円筒面の半径、外側幅及び内側幅、並びに円筒状の中心孔の半径を設定したことを特徴とするものである。ただし、各符号は
Rtc:各トリポード球面の中心を通る円の半径
Θ :外側継手部材と内側継手部材の間の最大ジョイント角
R1:ローラユニットの外周の円筒面の半径
R3:ローラユニットの円筒状の中心孔の半径
μ :トリポード球面とローラユニットの円筒状の中心孔の間の摩擦係数
W1:ローラユニットの外周の円筒面の外側幅(第1中心面と直交し筒状体の中心軸線か らトリポード球面中心の半径だけ離れて同中心軸線と平行に延びる第2中心面と、 案内溝に係合されたローラユニットの外周の円筒面の中心軸線と反対側となる端縁 との間の距離)
W2:ローラユニットの外周の円筒面の内側幅(第2中心面と、案内溝に係合されたロー ラユニットの外周の円筒面の中心軸線側となる端縁との間の距離)
とする。
【0008】
請求項1に記載の等速ジョイントは、さらに次の2式
W1<0.5Rtc(1/cosΘ−1)+(R1−R3)μ
W2<1.5Rtc(1−cosΘ)+(R1−R3)μ
を満足するように各ローラユニットの外周の円筒面の半径、外側幅及び内側幅、並びに円筒状の中心孔の半径を設定することが好ましい。
【0009】
請求項1に記載の等速ジョイントは、式
0.5Rtc(1/cos0.3Θ−1)+(R1−R3)μ<W1
に代えて式
0.5Rtc(1−cos0.3Θ)+(R1−R3)μ<W1
を満足するように各ローラユニットの外周の円筒面の半径、外側幅及び内側幅、並びに円筒状の中心孔の半径を設定してもよい。
【0010】
請求項2に記載の等速ジョイントは、式
0.5Rtc(1/cos0.3Θ−1)+(R1−R3)μ<W1、及び
W1<0.5Rtc(1/cosΘ−1)+(R1−R3)μ
に代えて式
0.5Rtc(1−cos0.3Θ)+(R1−R3)μ<W1、及び
W1<0.5Rtc(1−cosΘ)+(R1−R3)μ
を満足するように各ローラユニットの外周の円筒面の半径、外側幅及び内側幅、並びに円筒状の中心孔の半径を設定してもよい。
【0011】
前各項に記載の等速ジョイントは、各ローラユニットにはその外周の円筒面の両側部に1対のテーパ面を形成して同円筒面の幅を同ローラユニットの幅よりも小さくし、案内溝にはその帯状平面の両側縁に続けて各テーパ面の根本部と当接してローラユニットがその軸線方向に移動することを拘束する1対の傾斜面を形成することが好ましい。
【0012】
前各項に記載の等速ジョイントにおいて、各ローラユニットは、外周に円筒面が形成されたアウタローラと、内周に中心孔が形成されアウタローラの内周面に転動体を介して相対回転自在にかつ軸線方向の相対移動が拘束されて係合されたインナリングよりなるものとすることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
上述のように、この等速ジョイントの請求項1の発明によれば、
次の2式
0.5Rtc(1/cos0.3Θ−1)+(R1−R3)μ<W1
1.5Rtc(1−cos0.3Θ)+(R1−R3)μ<W2
を満足するように各ローラユニットの外周の円筒面の半径、外側幅及び内側幅、並びに円筒状の中心穴の半径を設定している。これにより、最大ジョイント角の30%のジョイント角が与えられた状態で等速ジョイントが回転された場合でも、ローラユニットを介して案内溝の帯状平面からトリポード球面に伝達される力の作用線が、案内溝の帯状平面と当接するローラユニットの外周の円筒面の外側縁においても内側縁においても、円筒面の外側を通ることはなくなる。これにより、少なくともジョイント角が最大ジョイント角の30%未満の領域では円筒面の片側が帯状平面から浮き上がってローラユニットが傾くことはなくなり、力の伝達がなされる側と反対側においてローラユニットが案内面の内側に接触することがなくなる。従って、外側継手部材と内側継手部材を軸方向逆向きに押すスラスト力が生じて振動・騒音が発生したり動力損失が発生することを防止することができる。つまり、等速ジョイントの通常の使用状態である最大ジョイント角の30%以下の領域において、スラスト力による振動・騒音及び動力損失を防止することができ、常用域において実用上の性能を確保できる。
【0014】
さらに次の2式
W1<0.5Rtc(1/cosΘ−1)+(R1−R3)μ
W2<1.5Rtc(1−cosΘ)+(R1−R3)μ
を満足するように各ローラユニットの外周の円筒面の半径、外側幅及び内側幅、並びに円筒状の中心穴の半径を設定した請求項2の発明によれば、必要以上にローラユニットの円筒面の幅が大きくなることがない。即ち、上記2式の各右辺は、ジョイント角が最大ジョイント角Θである場合においてローラユニットが傾かないためのW1,W2を規定するものであり、これ以上W1,W2を大きくしてもローラユニットを係合保持する筒状体の最大半径が大きくなるばかりで有効ではない。従って、上記2式に従って各ローラユニットの外周の円筒面の外側幅及び内側幅等を設定すれば、等速ジョイントが必要以上に大きくなることを防ぐことができる。
【0015】

0.5Rtc(1/cos0.3Θ−1)+(R1−R3)μ<W1
に代えて式
0.5Rtc(1−cos0.3Θ)+(R1−R3)μ<W1
を満足するように各ローラユニットの外周の円筒面の半径、外側幅及び内側幅、並びに円筒状の中心孔の半径を設定した請求項3の発明によれば、最大ジョイント角が小さい範囲では
1−cosθ≒1/cosθ−1
であるので、この種の等速ジョイントが通常使用される上述の範囲では、請求項1の発明と実質的に同様な効果が得られる。
【0016】

0.5Rtc(1/cos0.3Θ−1)+(R1−R3)μ<W1、及び
W1<0.5Rtc(1/cosΘ−1)+(R1−R3)μ
に代えて式
0.5Rtc(1−cos0.3Θ)+(R1−R3)μ<W1、及び
W1<0.5Rtc(1−cosΘ)+(R1−R3)μ
を満足するように各ローラユニットの外周の円筒面の半径、外側幅及び内側幅、並びに円筒状の中心孔の半径を設定した請求項4の発明によれば、請求項3の場合と同様な理由により、この種の等速ジョイントが通常使用される上述の範囲では、請求項2の発明と実質的に同様な効果が得られる。
【0017】
各ローラユニットにはその外周の円筒面の両側部に1対のテーパ面を形成して同円筒面の幅を同ローラユニットの幅よりも小さくし、案内溝にはその帯状平面の両側縁に続けて各テーパ面の根本部と当接してローラユニットがその軸線方向に移動することを拘束する1対の傾斜面を形成した請求項5の発明によれば、比較的容易に外側継手部材の最大半径を減少させて等速ジョイントをコンパクト化することができる。
【0018】
各ローラユニットは、外周に円筒面が形成されたアウタローラと、内周に中心孔が形成されアウタローラの内周面に転動体を介して相対回転自在にかつ軸線方向の相対移動が拘束されて係合されたインナリングよりなるものとした請求項6の発明によれば、ジョイント角が与えられた状態で等速ジョイントが回転された場合に外側継手部材と内側継手部材の間に生じる摩擦抵抗によりこの両者を軸線方向互いに逆向きに押すスラスト力が減少するので、等速ジョイントに生じる振動・騒音の発生や動力損失は一層減少する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、図1〜図5により、本発明による等速ジョイントの最良の形態の説明をする。先ず図1及び図2によりこの実施形態の等速ジョイントの構造を説明する。この等速ジョイントは、外側継手部材10と、内側継手部材20と、ローラユニット25により構成されている。
【0020】
図1及び図2に示すように、外側継手部材10は、中心軸線ax1を有する筒状体11とその軸線方向一端側を閉じる底部12よりなり、底部12の外面には筒状体11と同軸的に第1回転軸13が設けられたもので、この各部分11〜13は、鍛造などにより一体的に形成されている。筒状体11の内面には全長にわたり中心軸線ax1の方向と平行に延びる3本の案内溝15が円周方向に120度間隔で形成され、各案内溝15の底部12と反対側となる一端は外部に開放されている。主として図2に示すように、各案内溝15は一定断面形状で、外側継手部材10の中心軸線ax1を含む第1中心面Pを挟んで互いに平行に対向して案内溝15の長手方向に延びる1対の帯状平面15aと、この各帯状平面15aの両側縁に続いて形成されて第1中心面P側に向かう各1対の内側傾斜面15b及び外側傾斜面15cと、第1中心面Pと直交して各外側傾斜面15cの先端縁を連結する底面15dよりなり、案内溝15は内側傾斜面15bの先端縁において外側継手部材10の内面に開放されている。第1中心面Pに対する内側傾斜面15b及び外側傾斜面15cの傾斜角度は、例えば何れも42度である。
【0021】
第1中心面Pと直交する案内溝15の第2中心面Qは各帯状平面15aの幅方向の中間部を通っている。中心軸線ax1と反対側となる帯状平面15aの端縁と第2中心面Qの間の距離及び、中心軸線ax1側となる帯状平面15aの端縁と第2中心面Qの間の距離は、後述するローラユニット25の外周の円筒面25aの外側幅W1及び内側幅W2と実質的に同じとなっている。筒状体11の内面及びこれに設けた3本の案内溝15に強度上必要な肉厚を加えた筒状体11の外面の半径は、外側傾斜面15cと対応する付近が最大となっている。
【0022】
内側継手部材20は、中心軸線ax2を有するボス部21とそれから120度間隔で半径方向外向きに延びる3本のトリポード軸22よりなり、各トリポード軸22の先端部に高さの低い樽状のトリポード球面23が形成されたもので、ボス部21にはスプラインなどを介して第2回転軸24が同軸的に固定されている。中心軸線ax2からトリポード球面23の球面中心Oまでの半径Rtcは、外側継手部材10の中心軸線ax1から案内溝15の第2中心面Qまでの距離と同一である。
【0023】
この実施形態のローラユニット25はダブルローラタイプのもので、アウタローラ26とその内周にニードルローラ(転動体)28を介して同軸的に相対回転自在に係合されたインナリング27よりなり、ローラユニット25に対するインナリング27及び転動体28の軸線方向移動は、アウタローラ26の内周の両端部に係止された止め輪29により拘束されている。このローラユニット25は、インナリング27の円筒状の中心孔25dをトリポード軸22のトリポード球面23に嵌合することにより、軸線方向摺動及びトリポード球面中心Oを中心とする揺動自在に、トリポード軸22の先端部に支持される。
【0024】
アウタローラ26の外周の円筒面25aには両側部に1対のテーパ面25b,25cを形成して、ローラユニット25の最大幅部分であるアウタローラ26の幅よりも円筒面25aの幅を小さくしている。アウタローラ26の円筒面25aの外径は、筒状体11の案内溝15の帯状平面15aの間の幅よりわずかに小さく、従ってアウタローラ26は実質的に隙間なく転動可能に案内溝15内に嵌合可能である。この実施形態の各テーパ面25b,25cは外側に張り出した大きな円弧状であり、案内溝15内に嵌合された状態では、それぞれの先端部が案内溝15の傾斜面15b,15cの根本部と当接するように円筒面25aの幅(=W1+W2)及びテーパ面25b,25cの傾斜角度を設定する。これにより各トリポード球面23に各ローラユニット25を装着した内側継手部材20を外側継手部材10内に挿入した状態では、アウタローラ26は、円筒面25aが中心軸線ax1方向に沿った転動可能に各案内溝15の1対の帯状平面15aの間に係合されると共に、テーパ面25b,25cの先端部が案内溝15の傾斜面15b,15cの根本部に当接されて、ローラユニット25は、中心軸線ax1に沿った方向以外の移動は拘束される。このように案内溝15に係合されたローラユニット25の円筒面25aの、中心軸線ax1と反対側となる端縁と第2中心面Qとの間の幅が円筒面25aの外側幅W1であり、中心軸線ax1側となる端縁と第2中心面Qとの間の幅が円筒面25aの内側幅W2である。
【0025】
次に図3〜図5により、外側継手部材10の中心軸線ax1と内側継手部材20の中心軸線ax2の間にジョイント角θが与えられて等速ジョイントが回転された場合の説明をする。内側継手部材20のトリポード軸22の先端のトリポード球面中心Oは、図1及び図2に示すようにジョイント角θが0の場合には常にローラユニット25の第2中心面Q上にある。しかしあるジョイント角θが与えられて等速ジョイントが回転した場合には、等速ジョイントが回転するにつれてトリポード球面中心Oは第2中心面Qに対し出入りし、図3及び図4に示すように両中心軸線ax1,ax2を含む平面上に位置した場合には、トリポード球面中心Oは第2中心面Qから中心軸線ax1側に最も離れ、図5に示すように中心軸線ax2を含み両中心軸線ax1,ax2を含む平面と直交する平面上に位置した場合には、トリポード球面中心Oは第2中心面Qから中心軸線ax1と反対側に最も離れる。
【0026】
先ず図3及び図4により、トリポード球面中心Oが両中心軸線ax1,ax2を含む平面上に位置した場合の説明をする。この状態ではジョイント角θが与えられると、図3に示すように、内側継手部材20は残る2つのトリポード球面中心Oを結ぶ線を中心として外側継手部材10に対し回動する。前述のように中心軸線ax1から第2中心面Qまでの距離は各トリポード球面中心Oを通る円の半径Rtcであり、従って内側継手部材20の回転中心と中心軸線ax1の距離は 0.5Rtcであるので、第2中心面Qから中心軸線ax1に近づく向きに移動するトリポード球面中心Oの移動量をD2(θ) とすれば
D2(θ) =1.5Rtc(1−cosθ)
となる。
【0027】
図4は図3の4−4断面図であり、外側継手部材10からの力がローラユニット25を介して内側継手部材20に伝達される状態を示している。位置a2に作用する力F1は、案内溝15の帯状平面15aとローラユニット25の円筒面25aの全幅に分布されて外側継手部材10からローラユニット25に伝達される力の合力を示し、位置b2に作用する力F2は、ローラユニット25の中心孔25dとトリポード球面23の接触位置においてローラユニット25からトリポード球面23に伝達される力の反力を示している。この状態ではトリポード球面中心OはD2(θ) だけ中心軸線ax1側に移動しているので、反力F2が作用する接触位置b2は第2中心面QからD2(θ) だけ中心軸線ax1側に移動している。ローラユニット25を介して案内溝15の帯状平面15aからトリポード軸22のトリポード球面23に伝達される力の作用線の方向は、本来はトリポード軸22の中心軸線に対し直角のはずであるが、この状態に達する直前にはトリポード球面23は中心孔25dに対し中心軸線ax1側に向かって移動しているので、トリポード球面23と中心孔25dの間に作用する摩擦力により、ローラユニット25を介して合力F1の作用位置a2から反力F2の接触位置b2に伝達される力の作用線の方向は、トリポード球面23と中心孔25dの間の摩擦係数μにより与えられる摩擦角だけ、作用位置a2が第2中心面Qから離れる側となるように傾いた方向となる状態が存在する。
【0028】
この状態では、第2中心面Qと合力F1の間の距離をS2とすれば
S2=D2(θ) +(R1−R3)μ
=1.5Rtc(1−cosθ)+(R1−R3)μ
ただし R1:ローラユニット25の外周の円筒面25aの半径
R3:ローラユニット25の円筒状の中心孔25dの半径
となる。このS2は、Rtc、R1、R3及びμが一定であれば、ジョイント角θの増大に
応じて増大し、θが最大ジョイント角Θ(例えば23度)となった場合に最大となる。ここでいう最大ジョイント角Θとは、各部分が干渉することなく等速ジョイントが回転することができるジョイント角θの最大値のことでである。また、通常の使用状態におけるジョイント角θは最大ジョイント角Θの30%程度である。そしてこの実施形態では、ローラユニット25の円筒面25aの内側幅W2が、通常の使用状態における距離S2よりは大きく、最大ジョイント角Θの場合における距離S2よりは小さくなるように、すなわち
1.5Rtc(1−cos0.3Θ)+(R1−R3)μ
<W2<1.5Rtc(1−cosΘ)+(R1−R3)μ
となるように、ローラユニット25の外周の円筒面25aの半径R1及び内側幅W2、並びに円筒状の中心孔25dの半径R3を設定している。
【0029】
次に図5により、トリポード球面中心Oが中心軸線ax2を含み両中心軸線ax1,ax2を含む平面と直交する平面上に位置した場合の説明をする。この状態ではジョイント角θが与えられると、内側継手部材20(スケルトンで示す)は両中心軸線ax1,ax2を含む平面と直交し中心軸線ax1と交わる線を中心として外側継手部材10に対し回動する。中心軸線ax1を中心線として案内溝15の各第2中心面Qと接する仮想的円筒面と、各トリポード球面中心Oを含む平面が交差する線は、外側継手部材10に対する内側継手部材20のジョイント角θが0の状態では、図5の符号T1で示す半径がRtcの円であり、ジョイント角θが与えられた状態では、符号T2で示す短半径がRtcで長半径がRtc/cosθ の楕円である。
【0030】
ジョイント角θが与えられる前は、図2にも示すように各トリポード球面中心Oは円T1上に位置しており(例えば図5の部分拡大図の位置y1参照)、両中心軸線ax1,ax2を含む平面と直交する位置にない2つのトリポード球面中心Oの間の距離と、これに対応する2つの案内溝15の中心線(第1及び第2中心面P,Qの交差線)が内側継手部材20の横中心面(各トリポード球面中心Oを含む平面)と交差する点の間の距離は、何れも31/2Rtc である。ジョイント角θが与えられれば、2つのトリポード球面中心Oの間の距離は31/2Rtc のままで変化しないが、2つの案内溝15の中心線が内側継手部材20の横中心面と交差する位置は、外側継手部材10に対し内側継手部材20がジョイント角θだけ傾くことにより、y1からy2に移動して、それらの間の距離は31/2Rtc/cosθに伸びる。これによりトリポード球面23に嵌合された2つのローラユニット25外側への移動量は
(31/2Rtc/cosθ−31/2Rtc)/2=31/2Rtc(1/cosθ−1)/2
となり、これに伴い2つのトリポード球面中心Oの位置はy1からy3に移動し、その移動量をD1(θ) とすれば、
D1(θ) =0.5Rtc(1/cosθ−1)
となる。これにより両中心軸線ax1,ax2を含む平面と直交する位置のトリポード球面中心Oも、前述した円T1上の位置、すなわち第2中心面Q上の位置から中心軸線ax1より離れる向きにD1(θ) だけ移動する。
【0031】
図5の右側部の部分断面図は、外側継手部材10からの力がローラユニット25を介して内側継手部材20に伝達される状態を示しており、位置a1に作用する力F1は、図4の場合と同様な、外側継手部材10からローラユニット25に伝達される力の合力を示し、位置b1に作用する力F2は、図4の場合と同様な、ローラユニット25からトリポード球面23に伝達される力の反力を示している。この状態では、トリポード球面中心OはD1(θ) だけ中心軸線ax1と反対側側に移動しているので、反力F2が作用するトリポード球面23と中心孔25dの接触位置b1も第2中心面QからD1(θ) だけ中心軸線ax1と反対側に移動している。この状態に達する直前にはトリポード球面23は中心孔25dに対し中心軸線ax1と反対側に向かって移動しているので、トリポード球面23と中心孔25dの間に作用する摩擦力により、ローラユニット25を介して合力F1の作用位置a2から反力F2の接触位置b2に伝達される力の作用線の方向は、トリポード球面23と中心孔25dの間の摩擦係数μにより与えられる摩擦角だけ、作用位置a2が第2中心面Qから離れる側に傾いた方向となる状態が存在する。
【0032】
この状態では、第2中心面Qと合力F1の間の距離をS1とすれば
S1=D1(θ) +(R1−R3)μ
=0.5Rtc(1/cosθ−1)+(R1−R3)μ
となる。このS1は、Rtc、R1、R3及びμが一定であれば、ジョイント角θの増大に応じて増大し、θが最大ジョイント角Θとなった場合に最大となる。ここでいう最大ジョイント角Θの意味及び通常の値は前述のとおりである。また、通常の使用状態におけるジョイント角θは最大ジョイント角Θの30%程度であることも同じである。そしてこの実施形態では、ローラユニット25の円筒面25aの外側幅W1が、通常の使用状態における距離S1よりは大きく、最大ジョイント角Θの場合における距離S1よりは小さくなるように、すなわち
0.5Rtc(1/cos0.3Θ−1)+(R1−R3)μ
<W1<0.5Rtc(1/cosΘ−1)+(R1−R3)μ
となるように、ローラユニット25の外周の円筒面25aの半径R1及び外側幅W1、並びに円筒状の中心孔25dの半径R3を設定している。
【0033】
上述した実施形態では、アウタローラ26の外周の円筒面25aの外側部に1対のテーパ面25b,25cを形成して、ローラユニット25の幅よりも円筒面25aの幅を小さくし、これに対応して筒状体11の内面に外側傾斜面15cを形成しているので、筒状体11の外径を減少させて等速ジョイントをコンパクト化することができる。しかしながらそのようにしてローラユニット25の外周の円筒面25aの幅を減少させると、等速ジョイントのジョイント角θが最大値Θに近づいた場合には、前述のようにトリポード球面23と中心孔25dの間の接触位置b1,b2を通って伝達される力の作用線の方向が接触位置b1,b2の摩擦により傾くと、力の作用線がローラユニット25の円筒面25aの両端縁のいずれかの外側を通るようになることがある。そのような事態が生じると、その側縁の反対側となる円筒面25aが帯状平面15aから浮き上がってローラユニット25が傾く。
【0034】
この種の等速ジョイントでは、力が伝達される側と反対側となる円筒面25a及びテーパ面25b,25cと帯状平面15a及び傾斜面15b,15cの間には僅かの隙間を生じて摩擦係合することはないが、上述したようなローラユニット25の傾きが生じると、力が伝達される側とは反対側においてテーパ面25b,25cと傾斜面15b,15cが当接して(場合によっては円筒面25a帯状平面15aが当接することもある)摩擦抵抗を生じ、両継手部材10,20を軸線方向互いに逆向きに押すスラスト力を生じ、このスラスト力は等速ジョイントの回転角度に応じて急激に変動するので、振動・騒音の発生や動力損失という問題を生じる。
【0035】
しかしながら上述した実施形態によれば、図5に示すようにトリポード球面中心Oが第2中心面Qから中心軸線ax1と反対側に最も離れる位置では
0.5Rtc(1/cos0.3Θ−1)+(R1−R3)μ<W1
を満足するように各ローラユニット25の外周の円筒面25aの半径R1及び外側幅W1、並びに円筒状の中心孔25dの半径R3を設定しているので、等速ジョイントに通常の使用状態である最大ジョイント角Θの30%のジョイント角あるいはそれ以上のジョイント角が与えられた状態でトリポード球面23と中心孔25dの間の接触位置b1,b2を通って伝達される力の作用線が、ローラユニット25の円筒面25aの中心軸線ax1と反対側となる端縁の外側を通ることはない。また
W1<0.5Rtc(1/cosΘ−1)+(R1−R3)μ
を満足するように各ローラユニット25の外周の円筒面25aの半径R1及び外側幅W1、並びに円筒状の中心孔25dの半径R3を設定しており、外側幅W1が必要以上に大きくなりすぎることもない。
【0036】
また、図3及び図4に示すようにトリポード球面中心Oが第2中心面Qから中心軸線ax1側に最も離れる位置では
1.5Rtc(1−cos0.3Θ)+(R1−R3)μ<W2
を満足するように各ローラユニット25の外周の円筒面25aの半径R1及び内側幅W2、並びに円筒状の中心孔25dの半径R3を設定しているので、上述の場合と同様、等速ジョイントに通常の使用状態のジョイント角あるいはそれ以上のジョイント角が与えられた状態でトリポード球面23と中心孔25dの間の接触位置b1,b2を通って伝達される力の作用線が、ローラユニット25の円筒面25aの中心軸線ax1と反対側となる端縁の外側を通ることはない。また
W2<1.5Rtc(1−cosΘ)+(R1−R3)μ
を満足するように各ローラユニット25の外周の円筒面25aの半径R1及び内側幅W2、並びに円筒状の中心孔25dの半径R3を設定しているので、内側幅W2が必要以上に大きくなりすぎることもない。
【0037】
上述のように等速ジョイントに通常の使用状態のジョイント角あるいはそれ以上のジョイント角が与えられた状態では、トリポード球面中心Oが第2中心面Qから中心軸線ax1と反対側に最も離れる位置でも、中心軸線ax1側に最も離れる位置でも、円筒面25aの片側が帯状平面15aから浮き上がってローラユニット25が傾くことはなくなり、力が伝達される側と反対側においてローラユニット25の円筒面25a及びテーパ面25b,25cと案内溝15の帯状平面15a及び傾斜面15b,15cが当接して摩擦抵抗を生じることはないので、そのような原因により両継手部材10,20を軸線方向互いに逆向きに押すスラスト力が生じて等速ジョイントに振動・騒音の発生や動力損失が発生することを防止することができる。
【0038】
また外側幅W1及び内側幅W2が必要以上に大きくなりすぎることがないので、ローラユニット25のテーパ面25b,25cの幅を大きくすることができ、この外側テーパ面25cに案内溝15の外側傾斜面15cを沿わせることにより案内溝15の両肩部の中心軸線ax1からの減少させ、これに強度上必要な肉厚を加えた筒状体11の最大半径、すなわち等速ジョイントの最大半径を減少させることができる。
【0039】
上述した実施形態では、図5に示すようにトリポード球面中心Oが第2中心面Qから中心軸線ax1と反対側に最も離れる位置では
0.5Rtc(1/cos0.3Θ−1)+(R1−R3)μ
<W1<0.5Rtc(1/cosΘ−1)+(R1−R3)μ
を満足するように各ローラユニット25の外周の円筒面25aの半径R1及び外側幅W1、並びに円筒状の中心孔25dの半径R3を設定している。しかしながら最大ジョイント角Θが小さい範囲では
1−cosθ≒1/cosθ−1
であるので、上記式に代えて式
0.5Rtc(1−cos0.3Θ)+(R1−R3)μ
<W1<0.5Rtc(1−cosΘ)+(R1−R3)μ
を満足するように各ローラユニット25の外周の円筒面25aの半径R1及び外側幅W1並びに円筒状の中心孔25dの半径Rを設定してもよい。この種の等速ジョイントでは、ジョイント角θが比較的小さい範囲(例えば7.5度)で通常は使用されるので、このようにしても前述と実質的に同様な効果を得ることができる。このようにすれば、トリポード球面中心Oが第2中心面Qから中心軸線ax1と反対側に最も離れる位置と中心軸線ax1側に最も離れる位置における各式が類似の式となるので、解析が容易となる。
【0040】
上述した実施形態では、ローラユニット25の幅よりも円筒面25aの幅を小さくするためにアウタローラ26の外周の円筒面25aの外側部に直線に近い大きな曲率半径の1対のテーパ面25b,25cを形成しており、このようにすれば比較的簡単な加工で筒状体11の外径を減少させて等速ジョイントをコンパクト化することができる。しかしながら本発明はこれに限られるものではなく、円筒面25aの外側部に曲率半径が比較的小さい円弧よりなる面取りを設けて実施してもよく、あるいは円筒面25aの外側部を階段状に切削し、帯状平面15aの両側部に沿って円筒面25aを案内する段部を設けるようにして実施してもよい。
【0041】
また上述した実施形態では、ローラユニット25は、外周に円筒面25aが形成されたアウタローラ26と、内周に中心孔25dが形成されアウタローラ26の内周面にニードルローラ28を介して相対回転自在にかつ軸線方向の相対移動が拘束されて係合されたインナリング27よりなるダブルローラタイプのものを使用したが、本発明はこれに限られるものではなく、単純な一体構造のローラとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明による等速ジョイントの一実施形態の全体構造を示す縦断面図である。
【図2】図1に示す実施形態の2−2断面図である。
【図3】図1に示す実施形態のある作動状態を説明する図である。
【図4】図3の4−4断面図である。
【図5】図1に示す実施形態の図3とは異なる作動状態を説明する図である。
【符号の説明】
【0043】
10…外側継手部材、11…筒状体、13…第1回転軸、15…案内溝、15a…帯状平面、15b,15c…傾斜面、20…内側継手部材、21…ボス部、22…トリポード軸、23…トリポード球面、24…第2回転軸、25…ローラユニット、25a…円筒面、25b,25c…テーパ面、25d……中心孔、26…アウタローラ、27…インナリング、28…転動体(ニードルローラ)、ax1…筒状体の中心軸線、P…第1中心面、Q…第2中心面、Rtc…トリポード球面中心の半径、R1…円筒面の半径、R3…中心孔の半径、θ…ジョイント角、Θ…最大ジョイント角、W1…外側幅、W2…内側幅。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面に中心軸線方向と平行に延びる3本の案内溝が等角度間隔で形成された筒状体よりなり、第1回転軸に同軸的に連結される外側継手部材と、
先端部にそれぞれトリポード球面が形成されてボス部から等角度間隔で半径方向外向きに延びる3本のトリポード軸よりなり、第2回転軸に同軸的に連結される内側継手部材と、
互いに同軸的に形成された円筒状の中心孔と外周の円筒面を有する3個のローラユニットを備え、
前記案内溝は前記筒状体の中心軸線を含む第1中心面を挟んで互いに平行に対向する1対の帯状平面を有し、
前記ローラユニットは、前記中心孔が前記各トリポード球面に摺動自在に嵌合支持されると共に、前記円筒面が前記各案内溝の1対の帯状平面の間に前記筒状体の中心軸線方向に沿った転動のみ可能に係合され、
前記各ローラユニットの外周の円筒面の幅は同ローラユニットの幅よりも小さくしてなる等速ジョイントにおいて、
次の2式
0.5Rtc(1/cos0.3Θ−1)+(R1−R3)μ<W1
1.5Rtc(1−cos0.3Θ)+(R1−R3)μ<W2
を満足するように前記各ローラユニットの外周の円筒面の半径、外側幅及び内側幅、並びに円筒状の前記中心孔の半径を設定したことを特徴とする等速ジョイント。ただし、各符号は
Rtc:前記各トリポード球面の中心を通る円の半径
Θ :前記外側継手部材と内側継手部材の間の最大ジョイント角
R1:前記ローラユニットの外周の円筒面の半径
R3:前記ローラユニットの円筒状の中心孔の半径
μ :前記トリポード球面と前記ローラユニットの円筒状の中心孔の間の摩擦係数
W1:前記ローラユニットの外周の円筒面の外側幅(前記第1中心面と直交し前記筒状体 の中心軸線から前記トリポード球面中心の半径だけ離れて同中心軸線と平行に延び る第2中心面と、前記案内溝に係合された前記ローラユニットの外周の円筒面の前 記中心軸線と反対側となる端縁との間の距離)
W2:前記ローラユニットの外周の円筒面の内側幅(前記第2中心面と、前記案内溝に係 合された前記ローラユニットの外周の円筒面の前記中心軸線側となる端縁との間の 距離)
とする。
【請求項2】
請求項1に記載の等速ジョイントにおいて、さらに次の2式
W1<0.5Rtc(1/cosΘ−1)+(R1−R3)μ
W2<1.5Rtc(1−cosΘ)+(R1−R3)μ
を満足するように前記各ローラユニットの外周の前記円筒面の半径、外側幅及び内側幅、並びに円筒状の前記中心孔の半径を設定したことを特徴とする等速ジョイント。
【請求項3】
請求項1に記載の等速ジョイントにおいて、式
0.5Rtc(1/cos0.3Θ−1)+(R1−R3)μ<W1
に代えて式
0.5Rtc(1−cos0.3Θ)+(R1−R3)μ<W1
を満足するように前記各ローラユニットの外周の前記円筒面の半径、外側幅及び内側幅、並びに円筒状の前記中心孔の半径を設定したことを特徴とする等速ジョイント。
【請求項4】
請求項2に記載の等速ジョイントにおいて、式
0.5Rtc(1/cos0.3Θ−1)+(R1−R3)μ<W1、及び
W1<0.5Rtc(1/cosΘ−1)+(R1−R3)μ
に代えて式
0.5Rtc(1−cos0.3Θ)+(R1−R3)μ<W1、及び
W1<0.5Rtc(1−cosΘ)+(R1−R3)μ
を満足するように前記各ローラユニットの外周の前記円筒面の半径、外側幅及び内側幅、並びに円筒状の前記中心孔の半径を設定したことを特徴とする等速ジョイント。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の等速ジョイントにおいて、前記各ローラユニットにはその外周の円筒面の両側部に1対のテーパ面を形成して同円筒面の幅を同ローラユニットの幅よりも小さくし、前記案内溝にはその帯状平面の両側縁に続けて前記各テーパ面の根本部と当接して前記ローラユニットがその軸線方向に移動することを拘束する1対の傾斜面を形成したことを特徴とする等速ジョイント。
【請求項6】
請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の等速ジョイントにおいて、前記各ローラユニットは、外周に前記円筒面が形成されたアウタローラと、内周に前記中心孔が形成され前記アウタローラの内周面に転動体を介して相対回転自在にかつ軸線方向の相対移動が拘束されて係合されたインナリングよりなることを特徴とする等速ジョイント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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