説明

筋力エクササイザー

【課題】 筋力トレーニングの正確な成果を表示すると共に、次回の筋力トレーニングの目標設定に繋がる正確な訓練データを表示させ、楽しみをもって達成感を味わえる筋力エクササイザーを提供する。
【解決手段】 端末装置3には、測定に際して、使用者の性別や身体情報、目標値を入力しておき、測定後に、過去に得られた筋力の波形(後述)をデータ記録部31から検索して表示し、これを基に、当該使用者の目標筋力波形が決定される。初期動作として、初期不平衡分をキャンセルするための「バランス動作」と、測定データから測定値の平均値を見い出すための「慣らし動作」とを実行する。トレーニングの開始と共に各種運動データの測定を開始し、トレーニングが終了すると、データ記録部31は、トレーニング時の測定データを保存すると共に、判断・指令部32は、各種運動の結果を示す情報を表示部33に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筋力エクササイザーに係り、特に、健常者が筋力を鍛えるためや、入院中の患者または退院後のリハビリ対象者が、筋力を回復するために、自己による操作だけで容易に且つ楽しんで使用することができる筋力エクササイザーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、筋力をエクササイズする必要が有る対象者は、高齢化社会を迎えて益々増大しつつある。例えば、怪我で入院した者や、加齢と共に足腰が衰えた者、病院で寝たきりのために脚の筋力が衰え、起き上がって歩けない者等、が主な対象者となるが、運動競技への参加や登山等の理由により、脚力を更に鍛えたい健常者も含まれる。また、加齢に備えて、今からでも足腰を鍛えておきたいといった要求も多い。
このような要求に応じるための筋力エクササイザーの課題としては、人手を借りずに使用者だけで簡単に起動することができることや、寝たきりの状態でも使用でき、さらには、使用者が楽しみながら日常的に使用できるものであることが望ましい。勿論、価格が安く、深い知識を要することなく、且つ操作も簡単であることが望ましい。更には、筋力エクササイズの成果が、視覚的に把握できるものであることが望ましい。
この分野の公知技術としては、例えば、特許文献1(特開2000−37489号公報)に、運動療法機器を実際に操作する時の目標値となる目標表示部に表示される目標操作量を、患者毎により適切なものとなるようにすることを意図した技術が開示されている。具体的には、モニタ表示部Aとモニタ表示部Bとが対比されるように配置される。モニタ表示部Aには、経過時間に応じた目標操作量の長さ分だけ、棒グラフ式に点灯表示される。
【0003】
モニタ表示部Bには、訓練器としての、運動療法機器の実際の操作量に応じた長さ分だけ、棒グラフ式に点灯表示される。ティーチングモ−ド選択時に、訓練器を実際に操作したときの実際の操作量と経過時間との関係が記憶される。ティーチングに基づく訓練実行時に、上記記憶されている実際の操作量が、記憶されている経過時間に対応した目標操作量として目標表示部Aに表示される一方、訓練実行による実際の操作量がモニタ表示部Bに表示される。
また、例えば、特許文献2(特開2008−307321号公報)に、使用者が楽しみながら筋力トレーニングすることができる筋力トレーニングシステムが開示されている。具体的には、伸縮自在な空気袋と、この空気袋が接続されている気体の閉流路内の圧力を検出する検出手段と、この検出手段の検出圧力を表示するモニタと、前記検出手段の検出圧力の変化に応じて変化するコンピュータグラフィックスを前記モニタに表示させる制御手段とを有し、前記空気袋を圧縮することにより前記検出手段の検出圧力を変化させると、前記モニタに表示されるコンピュータグラフィックスが変化させられるように形成してなる筋力トレーニングシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−037489号公報
【特許文献2】特開2008−307321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記背景技術で述べた従来の筋力トレーニングシステムのうち、特許文献1にあっては、手首の調整訓練用とするために、訓練器のケーシングの両側方に回転軸の各端部が延設されて、その延設部に負荷調整ダイヤルが設けられてなり、該負荷調整ダイヤルを回動操作することで、手首の筋力訓練を行うように構成されているだけで、身体の他の筋力を訓練することができない。
また、特許文献2にあっては、被験者が空気の入った空気袋を握ったり、足で踏んだり、臀部で押しつぶしたり、あるいは、腕で抱いたりすることを繰り返すことで、筋力の訓練を図るものであるが、身体への装着方法の対応に工夫がなされていないため、身体各部の筋肉の鍛錬用としては、未だ問題を残している。
また、特許文献1および2に示される筋力トレーニングシステムにあっては、トレーニングの開始時にシステムおよび使用者に掛かる負荷の初期値を考慮していないので、トレーニングの成果(総量)を正確に把握することができないという問題点が有った。
また、実施初期における、圧力検出手段や負荷のバラツキ、使用者の動作の不慣れ等を考慮していないので、トレーニングの成果(総量)を正確に把握できないという問題点が有った。
さらに、トレーニングの成果(総量)を正確に把握して、使用者にトレーニングの正確な成果を表示することや、次回のトレーニングの目標設定に繋がる正確な訓練データを表示することができないという問題点があった。
【0006】
請求項1に記載の発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、健常者であっても、またリハビリを要する患者であっても筋力訓練が必要な個々の身体の部位等に装着が可能であって使い勝手が頗るよく、無理なく且つ正確な筋力の測定訓練が行え、使用者が自身で目標を設定し、楽しみながら達成感を味わい得る筋力エクササイザーを提供することにある。
また、請求項2に記載の発明の目的は、測定開始に先立って、使用者のトレーニング目標を示す指標を設定することを可能にして、以後は、このトレーニング目標に基づいた処理を行うことができるようにした筋力エクササイザーを提供することにある。
また、請求項3に記載の発明の目的は、得られた筋力データを、時系列データとして実時間でグラフ表示することを可能にして、使用者がトレーニングの進捗状況とトレーニング量とを正確に実時間で知ることができる筋力エクササイザーを提供することにある。
また、請求項4に記載の発明の目的は、得られた筋力データを、使用者のトレーニング目標を示す指標と関連させた視覚情報として表示することを可能にして、使用者が、現在までのトレーニングの進捗度を、視覚的に知ることができる筋力エクササイザーを提供することにある。
【0007】
また、請求項5に記載の発明の目的は、本番の測定に先立って、ひずみゲージの取り付け状態および弾性体の取り付け状態に起因して存在する張力の初期不平衡分をキャンセルするためのバランス動作を実行することを可能にして、装置の装着状況の影響を受けずに、常に正確な測定を行うことができる筋力エクササイザーを提供することにある。
また、請求項6に記載の発明の目的は、本番の測定に先立って、使用者の2回に亙る予備的な筋力測定を実施すると共に該実施結果から、筋力のピーク値の平均値、筋力波形の立ち上がり点および筋力波形の立ち下がり点を計算する慣らし動作を実行することを可能にして、その時々の使用者の調子に起因する測定誤差を排除して、常に正確な測定を行うことができる筋力エクササイザーを提供することにある。
また、請求項7に記載の発明の目的は、測定終了後に、使用者の筋力波形の高次近似式を計算し、該近似式を記録手段に記録させることを可能にして、大規模な記憶容量を使用しなくても、使用者のトレーニング結果である筋力波形を記録することができる筋力エクササイザーを提供することにある。
また、請求項8に記載の発明の目的は、次回の測定開始に先立って、筋力波形の高次近似式に基づく筋力波形を表示させることを可能にして、使用者がトレーニング目標を示す指標を決定する際に、該使用者に参照させることができる筋力エクササイザーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の本発明に係る筋力エクササイザーは、使用者の筋力をトレーニングするための筋力エクササイザーであって、
伸縮可能で、かつ引き伸ばされた時に張力を蓄勢する弾性体と、
前記弾性体の一端側に連結され、該弾性体から印加された張力を検出し該張力に対応する電気量に変換して出力するひずみセンサと、
前記ひずみセンサ側に連結され前記使用者の身体または他の固定部に装着する固定側装着手段と、
前記弾性体の他端側を、前記使用者の運動時に引き伸ばされる身体の可動側部位に装着する可動側装着手段と、
前記使用者の前記運動時の筋力に応じた前記ひずみセンサの前記出力を取得する集録手段と、
前記取得された前記出力を解析する解析手段と、
前記取得された出力および前記解析結果を記録する記録手段と、
前記取得された出力および前記解析結果を表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の発明に係る筋力エクササイザーは、前記解析手段が、測定開始に先立って、前記使用者のトレーニング目標を示す指標を設定できるように構成されていることを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明に係る筋力エクササイザーは、前記表示手段が、前記出力を、時系列データとして実時間でグラフ表示することを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明に係る筋力エクササイザーは、前記表示手段が、前記出力を、前記使用者のトレーニング目標を示す指標と関連させた視覚情報として表示することを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明に係る筋力エクササイザーは、前記解析手段が、本番の測定に先立って、前記ひずみゲージの取り付け状態および前記弾性体の取り付け状態に起因して存在する張力の初期不平衡分をキャンセルするためのバランス動作を実行するように構成されていることを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明に係る筋力エクササイザーは、前記解析手段が、本番の測定に先立って、前記使用者の2回に亙る予備的な筋力測定を実施すると共に該実施結果から、筋力のピーク値の平均値、筋力波形の立ち上がり点および筋力波形の立ち下がり点を計算する慣らし動作を実行するように構成されていることを特徴とする。
【0010】
また、請求項7に記載の発明に係る筋力エクササイザーは、前記解析手段が、測定終了後に、前記使用者の筋力波形の高次近似式を計算し、該近似式を前記記録手段に記録させるように構成されていることを特徴とする。
また、請求項8に記載の発明に係る筋力エクササイザーは、前記解析手段が、次回の測定開始に先立って、前記筋力波形の高次近似式に基づく筋力波形を前記表示手段に表示させ、前記使用者がトレーニング目標を示す指標を決定する際に、該使用者に参照させ得るように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1に記載の筋力エクササイザーによれば、使用者の筋力をトレーニングするための筋力エクササイザーであって、
伸縮可能で、かつ引き伸ばされた時に張力を蓄勢する弾性体と、
前記弾性体の一端側に連結され、該弾性体から印加された張力を検出し該張力に対応する電気量に変換して出力するひずみセンサと、
前記ひずみセンサ側に連結され前記使用者の身体または他の固定部に装着する固定側装着手段と、
前記弾性体の他端側を、前記使用者の運動時に引き伸ばされる身体の可動側部位に装着する可動側装着手段と、
前記使用者の前記運動時の筋力に応じた前記ひずみセンサの前記出力を取得する集録手段と、
前記取得された前記出力を解析する解析手段と、
前記取得された出力および前記解析結果を記録する記録手段と、
前記取得された出力および前記解析結果を表示する表示手段と、
を備えたことにより、健常者であっても、またリハビリを要する患者であっても筋力訓練が必要な個々の身体の部位等に装着が可能であって使い勝手が頗るよく、無理なく且つ正確な筋力の測定訓練が行え、使用者が自身で目標を設定し、楽しみながら達成感を味わい得る筋力エクササイザーを提供することができる。
【0012】
また、請求項2に記載の筋力エクササイザーによれば、解析手段が、測定開始に先立って、前記使用者のトレーニング目標を示す指標を設定できるように構成されているので、以後は、このトレーニング目標に基づいた処理を行うことができる効果が有る。
また、請求項3に記載の筋力エクササイザーによれば、表示手段が、ひずみセンサの出力を、時系列データとして実時間でグラフ表示するので、使用者は、トレーニングの進捗状況とトレーニング量とを正確に実時間で知ることができる効果が有る。
また、請求項4に記載の筋力エクササイザーによれば、表示手段が、ひずみセンサの出力を、使用者のトレーニング目標を示す指標と関連させた視覚情報として表示するので、使用者は、現在までのトレーニングの進捗度が、例えば富士山登山に例えると、何合目までの登山に相当するのかを視覚的に知ることができ、つらいリハビリ等でも辛抱して長続きさせることができる効果が有る。
また、請求項5に記載の筋力エクササイザーによれば、解析手段が、本番の測定に先立って、ひずみゲージの取り付け状態および弾性体の取り付け状態に起因して存在する張力の初期不平衡分をキャンセルするためのバランス動作を実行するので、装置の装着状況の影響を受けずに、常に正確な測定を行うことができる効果が有る。
【0013】
また、請求項6に記載の筋力エクササイザーによれば、解析手段が、本番の測定に先立って、使用者の2回に亙る予備的な筋力測定を実施すると共に該実施結果から、筋力のピーク値の平均値、筋力波形の立ち上がり点および筋力波形の立ち下がり点を計算する慣らし動作を実行する手段を有するので、その時々の使用者の調子に起因する測定誤差を排除して、常に正確な測定を行うことができる効果が有る。
また、請求項7に記載の筋力エクササイザーによれば、解析手段が、測定終了後に、使用者の筋力波形の高次近似式を計算し、該近似式を記録手段に記録させるので、大規模な記憶容量を使用しなくても、使用者のトレーニング結果である筋力波形を記録することができる効果が有る。
また、請求項8に記載の筋力エクササイザーによれば、解析手段が、次回の測定開始に先立って、筋力波形の高次近似式に基づく筋力波形を表示手段に表示させ、使用者がトレーニング目標を示す指標を決定する際に、該使用者に参照させ得るので、使用者は、より客観的に現在の自己の能力を把握して、引き続く筋力トレーニングの目標を設定することができる効果が有る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一つの実施の形態に係る筋力エクササイザーの全体構成を模式的に示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る筋力エクササイザーを身体の一部に装着してエクササイズをしているときの様子を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る筋力エクササイザーの表示部に表示される情報の一例を示す説明図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る筋力エクササイザーの動作原理を示す説明図である。
【図5】本発明の一つの実施の形態に係る筋力エクササイザーの主要な動作を示すシステムフローチャートである。
【図6】本発明の一つの実施の形態に係る筋力エクササイザーの詳細な動作を示すメインルーチンのフローチャートである。
【図7】本発明の一つの実施の形態に係る筋力エクササイザーの詳細な動作を示すメインルーチンのフローチャートである。
【図8】本発明の一つの実施の形態に係る筋力エクササイザーの詳細な動作を示すメインルーチンのフローチャートである。
【図9】本発明の一つの実施の形態に係る筋力エクササイザーのメインルーチンから呼び出される「バランス動作サブルーチン」の詳細動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の一つの実施の形態に係る筋力エクササイザーのメインルーチンから呼び出される「慣らし動作サブルーチン」の詳細動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の一つの実施の形態に係る筋力エクササイザーのメインルーチンから呼ばれる「測定動作サブルーチン」の詳細動作を示すフローチャートである。
【図12】測定データに含まれる2つのピーク値、立ち上がり点および立ち下がり点を示すグラフである。
【図13】2つの典型的な測定データの実例を示すグラフである。
【図14】健常者の筋力波形の実例を示すグラフである。
【図15】筋力の弱い使用者の筋力波形の実例を示すグラフである。
【図16】本実施形態に係る筋力エクササイザーを使用した使用者の筋力が回復する過程の実例を示すグラフである。
【図17】筋力波形の高次近似の実例を示すグラフである。
【図18】測定終了後に保存され、次回に表示される測定データの一例を示す説明図である。
【図19】測定終了後にグラフとして保存され、次回に表示される測定データの一例を示す説明図であり、図19(a)は、筋力ピーク値のグラフを示し、図19(b)は、ピークを迎えるまでの経過時間のグラフを示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、ひずみセンサに、ひずみ量を正確に測定できるひずみゲージを起歪体の起歪部に少なくとも4枚添着してブリッジ回路を形成してなるロードセルを使用することにより、正確な測定を行い、使用者に的確な指示を出して、測定中および測定後に、トレーニングの正確な成果を表示すると共に、次回のトレーニングの目標設定に繋がる正確な訓練データを得ることができる。
以下、本発明の筋力エクササイザーの一つの実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一つの実施の形態に係る筋力エクササイザーの全体構成を模式的に示すブロック図である。
同図において、本実施の形態の筋力エクササイザー10は、ユーザ装着ユニット1と、集録器2と、端末装置3と、USBケーブル101と、ケーブル102と、を備える。
ユーザ装着ユニット1は、使用者の身体の固定側に装着する固定側装着手段としての身体装着具11と、身体装着具11に連結したひずみセンサ12と、筋力に対する応力を形成する例えば、ゴム材よりなる伸縮ベルト13と、使用者の身体の他の可動側の部位に取り付ける可動側装着手段としての取付具14と、を備えて構成される。
集録器2は、ひずみセンサ12に用いるロードセルに添着されたひずみゲージからなるブリッジ回路の出力信号を増幅する信号増幅部21と、信号増幅部21の出力(アナログ値)をディジタル信号に変換するA/D変換部22と、を備えて構成される。
【0016】
端末装置3は、測定データを記録するデータ記録部31と、測定データを判断し、使用者に指示を出す判断・指令部32(解析手段)と、使用者への指示やトレーニング量を表示する表示部33と、を備えて構成される。
USBケーブル101は、集録器2と端末装置3との間を接続する。集録器2は、端末装置3から、USBケーブル101を介して電力の供給を受けることができる。ケーブル102は、ユーザ装着ユニット1と集録器2との間を接続する。
以下、本実施の形態の筋力エクササイザー10の機能について図1および図2を参照しつつ説明する。
弾性体としての伸縮ベルト13の一端は、ひずみセンサ12に連結されており、他端は可動側装着手段としての取付具14に連結されている。ひずみセンサ12は、一端が伸縮ベルト13の一端に連結すると共に、他端が固定側装着手段としての身体装着具11に連結されている。
このような構造により、使用者の筋力は、取付具14から伸縮ベルト13とひずみセンサ12と身体装着具11を順次に介して身体に装着された腰ベルト15へと伝達される。この伝達経路内に介挿されたひずみセンサ12は、張力(筋力)に応じた電気信号を発生する。よって、ひずみセンサ12は、常に、使用者の筋力と伸縮ベルト13の張力(蓄勢力)とが均衡した時点での使用者の筋力(=伸縮ベルト13のばね力)を測定することができる。
【0017】
端末装置3には、詳しくは図6を参照して詳しく説明するが、測定に際して、使用者の性別や身体情報、目標値(後述)が使用者によって入力される。また、端末装置3は、過去に得られた筋力の波形(後述)をデータ記録部31から検索して表示し、これを基に、使用者によって目標筋力波形が決定される。
その後、端末装置3に付属の測定開始ボタン(図示は省略)の押下と共にトレーニングが開始されるが、筋力エクササイザー10の初期動作として、その最初に、初期不平衡分をキャンセルするための動作(以下、「バランス動作」と呼称する)と、測定データから測定値の平均値を見い出すための動作(以下、「慣らし動作」と呼称する)とが実行される。
その後、トレーニングの開始と共に各種運動データの測定が開始され、トレーニングが終了すると、データ記録部31は、トレーニング時の測定データを保存すると共に、判断・指令部32は、各種運動の結果を示す情報を表示部33に表示する。
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る筋力エクササイザーの使用時(身体着用時)の様子を示す斜視図である。
ユーザ装着ユニット1の身体装着具11は、使用者の胴体に巻回された腰ベルト15に連結する形で装着され、可動側の取付具14は、使用者の足の土踏まずの近傍に巻き付けられる。収録器2および端末装置3は、使用者の周辺(手の届く範囲)に置かれ、特に、端末装置3の表示部33は、視認可能な位置に配置する。
【0018】
図3は、本発明の一つの実施の形態に係る筋力エクササイザーの表示部33に表示される情報の一例を示す説明図である。
同図に示す例では、トレーニング実績として、伸縮ベルト13の伸縮回数(およびその累積)、伸縮ベルト13の伸縮距離(およびその累積)、伸縮ベルト13の張力変化の実時間表示、登山に例えた現在までのトレーニング実績および進捗度の表示、等が示されている。
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る筋力エクササイザーの動作原理を示す説明図である。
同図は、腕力を測定する場合を示している。柱や壁に、固定側装着手段としての取付具(図示省略)を介してひずみセンサ12を取り付けて固定する。ひずみセンサ12に接続されたゴムよりなる伸縮ベルト13を使用者が片方の腕17の手に持ち、腕17を曲げた状態から伸ばすと、伸縮ベルト13が伸びて蓄勢されるので、その蓄勢されたその張力をひずみセンサ12が検知することにより、腕力を測定することができる。
図5は、本発明の一つの実施の形態に係る筋力エクササイザーの主要な動作を示すシステムフローチャートである。
【0019】
以下、図1、図2を参照しながら、図5に示すフローチャートを使用して、本実施形態に係る筋力エクササイザーの主要な動作を説明する。
まず、ステップS1では、端末装置3の判断・指令部32が、測定開始ボタン(図示は省略)が押下されたか否かを検証しながら、測定開始ボタンが押下されるまで待機し、測定開始ボタンが押下されるとステップS2に進む。
ステップS2では、端末装置3の判断・指令部32が、測定を開始する処理を行う。
ステップS3では、端末装置3の判断・指令部32は、表示部33に、「リハビリ運動を開始する姿勢を作って下さい、但し、運動器具を動かさないで下さい。準備ができたらOKボタンを押下して下さい」といった主旨のメッセージを表示部33を伝達し、表示部33がそのメッセージを表示する。
ステップS4では、端末装置3の判断・指令部32は、表示部33に、「その姿勢のまま、しはらくお待ち下さい」といった主旨のメッセージを伝達し、表示部33が、それを表示する。
ステップS5では、端末装置3の判断・指令部32が、使用者によりOKボタン(図示は省略)が押下されたか否かを検証し、OKボタンが押下されていない場合はステップS10に移り、OKボタンが押下されている場合はステップS6に進む。
【0020】
ステップS6では、端末装置3の判断・指令部32は、表示部33に対し、「次に、足の伸び縮み運動を2回行い、その後、OKボタンを押して下さい」といった主旨のメッセージを表示するよう指令を発する。
ステップS7では、端末装置3の判断・指令部32は、OKボタン(図示は省略)が押下されたか否かを検証し、OKボタンが押下されていない場合はステップS11に移り、OKボタンが押下されている場合はステップS8に進む。
ステップS8では、端末装置3の判断・指令部32は、表示部33に対し、「正しく測定するための準備ができました。OKボタンを押下し、リハビリ運動を開始して下さい」といった主旨のメッセージを表示するよう指令を発する。
ステップS9では、端末装置3の判断・指令部32は、後述の測定処理サブルーチンを実行し、処理を終了する。
ステップS10では、端末装置3の判断・指令部32は、表示部33に対し、「測定するための準備ができませんでした。再度、測定開始ボタンの押下からやり直して下さい」といった主旨のメッセージを表示させ、その後、ステップS1に戻る。
ステップS11では、端末装置3の判断・指令部32は、表示部33に対し、「2回の足の伸び縮みが確認できませんでした。再度、測定開始ボタンの押下からやり直して下さい」といった主旨のメッセージを表示させし、その後、ステップS1に戻る。
【0021】
図6,7,8は、本発明の一つの実施の形態に係る筋力エクササイザーの詳細な動作を示すメインルーチンのフローチャートである。
以下、図1を参照しながら、図6〜8に示すフローチャートを使用して、本実施の形態に係る筋力エクササイザーの詳細な動作を説明する。
まず、ステップM1では、使用者が、端末装置3に、ユーザ名を入力する。
これを受けて、ステップM2にて、端末装置3の判断・指令部32は、該使用者に関する情報が、新規作成されるものか否かを検証し、該使用者に関する情報が、新規に作成されるものである場合は、ステップM3に進み、また、該使用者に関する情報が、新規作成されるものでない場合は、ステップM11に移る。
ステップM3では、使用者が、端末装置3のユーザ情報データベース(図示は省略)に、自己の性別(男/女)を設定する。
次に、ステップM4では、使用者が、端末装置3のユーザ情報データベースに、自己の身長〔cm〕を設定する。
次に、ステップM5では、使用者が、端末装置3のユーザ情報データベースに、自己の体重〔kg〕を設定する。
【0022】
次に、ステップM6では、使用者が、端末装置3のユーザ情報データベースに、目標値(例えば、表示部33に表示するゴールまでの距離)を設定する。
次に、ステップM7では、使用者が、端末装置3のユーザ情報データベースに、目標筋力波形を設定する。但し、この処理に際し、使用者は、事前に表示部33に表示された筋力波形データベースの検索し、その結果を見て、目標筋力波形を設定することができる。
次に、ステップM8では、端末装置3の判断・指令部32は、データ記録部31に、上記の各種設定情報(条件)を保存させる。
ステップM9で、端末装置3の判断・指令部32は、測定開始ボタン(図示は省略)が押下されたか否かを検証し、測定開始ボタンが押下されるまで待機した後、測定開始ボタンが押下されると、ステップM10に進む。
ステップM10では、端末装置3の判断・指令部32は、後述する「バランス動作サブルーチン」(図9)を実行し、このサブルーチンから復帰すると、ステップM21(図7)に移る。
ステップM11では、端末装置3の判断・指令部32は、該使用者に関する情報を基に、登録ユーザデータベース(図示は省略)を検索する。
ステップM12では、端末装置3の判断・指令部32は、該使用者が既に登録されている使用者か否かを検証し、該使用者が既に登録されている使用者でない場合はステップM1に戻り、該使用者が既に登録されている使用者である場合はステップM13に進む。
【0023】
ステップM13では、端末装置3の判断・指令部32は、ユーザ情報データベースから、該使用者のユーザ情報を読み込む。このユーザ情報としては、例えば、該使用者の、性別、身長、体重および目標値(例えば、表示部33に表示するゴールまでの距離、現在までの到達距離、目標筋力波形)が読み込まれる。
(以下、図7で示すフローチャート部分の説明に移る)
M21では、端末装置3の判断・指令部32は、「バランス動作サブルーチン」での処理が正常終了したか否かを検証し、「バランス動作サブルーチン」での処理が正常終了していない場合は、ステップM31に移り、「バランス動作サブルーチン」での処理が正常終了している場合はステップM22に進む。なお、この検証では、具体的には、メインルーチンとサブルーチン間で受渡しされるフラグ〔ここでは「異常フラグ」と呼称する)を参照する。
ステップM22では、端末装置3の判断・指令部32は、後述する「慣らし動作サブルーチン」(図10)を実行し、このサブルーチンから復帰すると、ステップM23に移る。
ステップM23では、端末装置3の判断・指令部32は、「慣らし動作サブルーチン」での処理が正常終了したか否かを検証し、「慣らし動作サブルーチン」での処理が正常終了していない場合は、ステップM32に移り、「慣らし動作サブルーチン」での処理が正常終了している場合はステップM24に進む。なお、この検証では、具体的には、メインルーチンとサブルーチン間で受渡しされるフラグ〔ここでは「異常フラグ」と呼称する)を参照する。
【0024】
ステップM24では、端末装置3の判断・指令部32は、トレーニング実績として記録される内部記憶領域の「正常回数」と「異常回数」の各値をクリアする。
ステップM25では、端末装置3の判断・指令部32は、後述する「測定動作サブルーチン」(図11)を実行し、このサブルーチンから復帰すると、ステップM26に進む。
ステップM26では、端末装置3の判断・指令部32は、筋力と経過時間とをデータ記録部31に保存する。
ステップM27では、端末装置3の判断・指令部32は、現在の筋力を示すグラフを、表示部33に実時間表示する。
ステップM28では、端末装置3の判断・指令部32は、現在の筋力を示すグラフを、目標筋力波形と比較し、現在の筋力を示すグラフが目標筋力波形の範囲外であれば、ステップM33に移り、現在の筋力を示すグラフが目標筋力波形の範囲内であれば、ステップM29に移る。
ステップM29では、端末装置3の判断・指令部32は、トレーニング実績として記録される内部記憶領域の「正常回数」の値に+1を加える。
【0025】
ステップM30では、端末装置3の判断・指令部32は、「終了ボタン」(図示は省略)が押下されたか否かを検証し、「終了ボタン」が押下されていない場合にはステップM25に戻り、「終了ボタン」が押下されている場合にはステップM41(図8)に進む。
ステップM31では、端末装置3の判断・指令部32は、「バランス動作が異常終了」といった主旨のエラーメッセージを表示部33に対し表示させ、その後、ステップM9(図6)に戻る。
ステップM32では、端末装置3の判断・指令部32は、「慣らし動作が異常終了」といった主旨のエラーメッセージを表示部33に対し表示させ、その後、ステップM9(図6)に戻る。
(以下、図8で示すフローチャート部分の説明に移る)
まず、ステップM41では、端末装置3の判断・指令部32は、データ記録部31に、得られている各種の運動データを保存する。
次に、ステップM42では、端末装置3の判断・指令部32は、表示部33に対し、各種の運動結果を情報として表示させる。この情報には、例えば、伸縮ベルト13の伸縮回数(正常時と異常時の回数)、筋力の最大値/最小値/平均値/標準偏差および経過時間の最大値/最小値/平均値/標準偏差、等々を含めることができる。
【0026】
次に、ステップM43では、端末装置3の判断・指令部32は、表示部33に対し、筋力の経過時間変化を示すヒストグラムを表示させる。
次に、ステップM44では、端末装置3の判断・指令部32は、目標筋力波形の再設定の必要が有るか否かを検証し、目標筋力波形の再設定の必要が無い場合は、直ちに処理を終了し、目標筋力波形の再設定の必要が有る場合は、ステップM45に進む。
ステップM45では、端末装置3の判断・指令部32は、目標筋力波形の再設定処理として、筋力波形データベースを検索する。
ステップM46では、端末装置3の判断・指令部32は、筋力波形データベースに保存されている目標筋力波形を更新し、処理を終了する。
図9は、本発明の一つの実施の形態に係る筋力エクササイザーのメインルーチンから呼ばれる「バランス動作サブルーチン」の詳細動作を示すフローチャートである。
ステップA1では、端末装置3の判断・指令部32は、自己が属する端末装置3と集録器2との接続をチェックする。
ステップA2では、端末装置3の判断・指令部32は、自己が属する端末装置3と集録器2との接続がOKか否かの上記チェック結果に応じ、この接続がOKではない場合は、ステップA8に移り、この接続がOKの場合は、ステップA3に進む。
【0027】
ステップA3では、端末装置3の判断・指令部32は、各種集録条件を集録部へ設定する。この集録条件には、例えば、サンプリング周波数、測定モード、測定レンジ、ローパスフィルタ(の指定)、等々を含めることができる。
ステップA4では、端末装置3の判断・指令部32は、集録器2を介して、バランス動作(初期不平衡動作)を実行する。このバランス動作は、トレーニングの最初に存在する初期不平衡分をキャンセルするためのものである。なお、このような初期不平衡分が生じる理由は、筋力を測るのに使用するひずみセンサ12が、ここでは、ひずみゲージ式の引張型ロードセルであるため、ブリッジを形成する少なくとも4枚のひずみゲージの抵抗のバラツキ、ひずみセンサ12の取付位置や伸縮ベルト13を含めての設置状態のバラツキがあるためである。
ステップA5では、端末装置3の判断・指令部32は、集録器2を介しての、バランス動作(初期不平衡動作)の結果を取得する。
ステップA6では、端末装置3の判断・指令部32は、バランス動作の結果が正常か否かを検証し、バランス動作の結果が正常でない場合は、ステップA9に移り、バランス動作の結果が正常である場合にはステップA7に進む。
【0028】
ステップA6では、端末装置3の判断・指令部32は、バランス動作の結果が正常であった場合として、内部記憶領域の「異常フラグ」に0を格納することで、バランス動作が正常終了したことを示し、その後、このサブルーチンの呼び出し元へ復帰する。
ステップA8では、端末装置3の判断・指令部32は、集録器2との接続処理が異常であった場合として、内部記憶領域の「異常フラグ」に1を格納することで、バランス動作が異常終了したことを示し、その後、このサブルーチンの呼び出し元へ復帰する。
ステップA9では、端末装置3の判断・指令部32は、バランス動作の結果が異常であった場合として、内部記憶領域の「異常フラグ」に1を格納することで、バランス動作が異常終了したことを示し、その後、このサブルーチンの呼び出し元へ復帰する。
図10は、本発明の実施形態に係る筋力エクササイザーのメインルーチンから呼ばれる「慣らし動作サブルーチン」の詳細動作を示すフローチャートである。
ステップB1では、端末装置3の判断・指令部32は、タイマ(例えば3分間計時のもの)を起動し、計時を開始させる。
ステップB2では、端末装置3の判断・指令部32は、集録器2を起動し、A/D変換処理等の測定動作を開始させる。
【0029】
ステップB3では、端末装置3の判断・指令部32は、集録器2を介して測定データを取得する。
ステップB4では、端末装置3の判断・指令部32は、表示部33に対し、測定データのグラフを更新し、現在のものを実時間表示させる(図3参照)。
ステップB5では、端末装置3の判断・指令部32は、表示部33に対し、タイマによる経過時間の進捗を更新し、現在のものをバー表示させる(図3参照)。
ステップB6では、端末装置3の判断・指令部32は、現在の測定データから、筋力のピーク値を検出処理する。
ステップB7では、端末装置3の判断・指令部32は、現在の測定データが筋力のピーク値を示しているか否かを検証し、現在の測定データが後述する図12に示すような筋力のピーク値1を示していない場合は、ステップB14に移り、現在の測定データが筋力のピーク値を示している場合は、ステップB8に進む。
ステップB8では、端末装置3の判断・指令部32は、現在の測定データが図12の筋力の2回目のピーク値(図12のピーク値)を示しているか否かを検証し、現在の測定データが筋力の2回目のピーク値を示していない場合はステップB14に移り、現在の測定データが筋力の2回目のピーク値を示している場合はステップB9に進む。
【0030】
ステップB9では、端末装置3の判断・指令部32は、現在の測定データが示している筋力の2回目のピーク値をデータ記録部31に保存する。
ステップB10では、端末装置3の判断・指令部32は、このサブルーチンの処理が正常に終了した場合として、タイマの起動と計時とを停止させ、内部記憶領域の「異常フラグ」に0を格納する。
ステップB11では、端末装置3の判断・指令部32は、測定筋力データのピーク値の平均化処理を行う。測定筋力データのピーク値の平均は、(筋力の1回目のピーク値+筋力の2回目のピーク値)/2として計算する。
ステップB12では、端末装置3の判断・指令部32は、図12に示すように、測定筋力データのピーク値の立ち上がり点と立ち下がり点とを計算し、その後、このサブルーチンの呼び出し元へ復帰する。上記の立ち上がり点は、例えば、ステップB11で計算した測定筋力データのピーク値の平均の7割を示す筋力データとし、上記の立ち下がり点は、ステップB11で計算した測定筋力データのピーク値の平均の4割を示す筋力データとする。
【0031】
ステップB14では、端末装置3の判断・指令部32は、タイマの計時が3分の経過時間を示しているか否かを検証し、タイマの計時が3分の経過時間を示していない場合は、ステップB3に戻り、タイマの計時が3分の経過時間を示している場合は、ステップB15に進む。
ステップB15では、端末装置3の判断・指令部32は、このサブルーチンの処理が異常終了した場合として、内部記憶領域の「異常フラグ」に1を格納し、その後、このサブルーチンの呼び出し元へ復帰する。
図11は、本発明の一つの実施の形態に係る筋力エクササイザーのメインルーチンから呼ばれる「測定動作サブルーチン」の詳細動作を示すフローチャートである。
ステップC1では、端末装置3の判断・指令部32は、データ記録部31から、以前の測定回数を読み込む。
ステップC2では、端末装置3の判断・指令部32は、内部記憶容量のフラグ(ここでは、「OVERフラグ」と呼称する)に0を格納する。
ステップC3では、端末装置3の判断・指令部32は、集録器2を起動し、A/D変換処理等の測定動作を開始させる。
【0032】
ステップC4では、端末装置3の判断・指令部32は、集録器2を介して測定データを取得する。
ステップC5では、端末装置3の判断・指令部32は、表示部33に対し、測定データのグラフを更新し、現在のものを実時間表示させる(図3参照)。
ステップC6では、端末装置3の判断・指令部32は、表示部33に対し、プログレスバーを表示させ、さらに、登山の進捗表示を更新し、現在のものをバー表示させる(図3参照)。
ステップC7では、端末装置3の判断・指令部32は、「測定終了ボタン」(図示は省略)が押下されたか否かを検証し、「測定終了ボタン」が押下された場合は、ステップC11に移り、「測定終了ボタン」が押下されていない場合は、ステップC8に進む。
ステップC8では、端末装置3の判断・指令部32は、「OVERフラグ」に1が格納されているか否かを検証し、「OVERフラグ」に1が格納されている場合はステップC12に移り、「OVERフラグ」に1が格納されていない場合は、ステップC9に進む。
ステップC9では、端末装置3の判断・指令部32は、測定データが前述の立ち上がり点を越えたか否かを検証し、測定データが前述の立ち上がり点を越えていない場合は、ステップC4に戻り、測定データが前述の立ち上がり点を越えている場合は、ステップC10に進む。
【0033】
ステップC10では、端末装置3の判断・指令部32は、「OVERフラグ」に1を格納し、その後、ステップC4に戻る。
ステップC11では、端末装置3の判断・指令部32は、測定回数をデータ記録部31に保存し、その後、このサブルーチンの呼び出し元に復帰する。
ステップC12では、端末装置3の判断・指令部32は、測定データが前述の立ち下がり点を下回ったか否かを検証し、測定データが前述の立ち下がり点を下回っていない場合は、ステップC4に戻り、測定データが前述の立ち下がり点を下回っている場合は、ステップC13に進む。
ステップC13では、端末装置3の判断・指令部32は、「OVERフラグ」に0を格納する。
ステップC14では、端末装置3の判断・指令部32は、測定回数に+1を加えると共に、測定データを計算してトレーニングの結果を得て、その後、ステップC4に戻る。この計算には、例えば、距離の計算、運動時間の計算および消費エネルギーの計算等、を含めることができる。
【0034】
図12は、測定データに含まれる2つのピーク値、立ち上がり点および立ち下がり点を示すグラフである。
同図に示すように、1回目の測定データには、グラフ値が増大する範囲に検出可能な立ち上がり点a(図では「立上がり点」)が含まれ、最終的に、検出可能なピーク値1を迎える。その後、このグラフ値は減少し、検出可能な立ち下がり点b(図では「立下がり点」)を通過する。その後、2回目の測定データに移り、グラフ値が増大する範囲に再び検出可能な立ち上がり点c(図では「立上がり点」)が含まれ、最終的に、検出可能なピーク値2を迎える。その後、このグラフ値は減少し、再び検出可能な立ち下がり点d(図では「立下がり点」)を通過する。
このように、2回の測定を行う理由は、1回だけの測定では、使用者の力の入れ具合が分からない可能性が有り、また、3回以上の測定では、バラツキが多くなることが考えられるからである。さらに、3回以上も予備的な測定を行うようでは、使用者の準備動作の負担が大きくなるからである。
【0035】
図13は、2つの典型的な測定データの実例を示すグラフである。
同図において、筋力のピーク値p1を含むグラフは、健常者の筋力波形を示すものであり、筋力のピーク値p2を含むグラフは、筋力の衰えた使用者の筋力波形を示すものである。
健常者の筋力波形のグラフは、全体として急峻であり、筋力のピーク値p1が大きく、かつ短い経過時間t1で測定が終了しているが、筋力の衰えた使用者の筋力波形は全体として緩やかであり、筋力のピーク値p2が小さく、かつ長い経過時間t2で測定が終了している。
なお、健常者の場合でも、伸縮ベルト13の張力が強い場合は経過時間t1が長くなり、筋力の衰えた使用者の場合でも、伸縮ベルト13の張力が弱い場合は経過時間t2が短くなる。
測定終了後は、伸縮ベルト13の張力の強さによる筋力レベルと、経過時間とをパラメータにして、多数の中高年のデータベースを構築することができる。その際は、使用者が力を入れ始めてからピークに達し、その後、力が抜けるまでの測定データの波形を2次や3次等の高次の近似式にして保存する。
【0036】
図14は、健常者の筋力波形の実例を示すグラフである。
同図に示すグラフでは、使用者(測定対象)に、A〜Jの符号を割り当てている。
図15は、筋力の弱い使用者の筋力波形の実例を示すグラフである。
図15に示すグラフでは、使用者(被測定対象者)に、A〜Jの符号を割り当てている。
図16は、本実施の形態に係る筋力エクササイザーを使用した使用者の筋力が回復する過程の実例を示すグラフである。
図16に示すグラフでは、同じ使用者の3回に亙る測定での筋力データを示すものである(伸縮ベルト13の張力の強さは3回共、等しくしている)。
因に、測定日は、2009年8月1日、2010年1月20日および2010年6月1日である。図16に示すとおり、2009年8月1日の測定では、伸縮に6秒を要していた経過時間が、2010年1月20日の測定では、約3秒となり、2010年6月1日の測定では、約2秒となった。また、筋力も、30Nから90Nと、約3倍にアップしている。
【0037】
図17は、筋力波形の高次近似の実例を示すグラフである。
図17において、両方向矢印は、余裕(バンド)を示すものである。
同図に示す筋力波形から、例えば、Ax+Bx+Cや、Ax+Bx+Cx+D、といった高次関数の各次元の係数を求める。
図18は、測定終了後に保存され、次回に表示される測定データの一例を示す説明図である。
一般に、トレーニングは、複数日に渡って行うものとするから、今回のトレーニングによる測定データを加工して保存し、次回トレーニング時の目標筋力波形の設定を行う際に参照する。より具体的には、次回トレーニング時の目標筋力波形を、今回のものから更新するか否かを決定するために参照される。
同図に例示する保存内容では、筋力、ピークまでの立ち上がり時間〔秒〕、ピークからの立ち下がり時間〔秒〕、といった各種のデータ項目に対して、それぞれ、「目標値」、「最大値」、「最小値」、「平均値」および「標準偏差」といった指標が保存される。
また、「伸縮回数」、「正常終了回数」および「以上終了回数」といった、測定に関わるデータも保存される。
【0038】
図19は、測定終了後にグラフとして保存され、次回に表示される測定データの一例を示す説明図であり、図19(a)は、筋力ピーク値のグラフを示し、図19(b)は、ピークを迎えるまでの経過時間のグラフを示すものである。
同図において、棒グラフは、使用者の分布を示し、波形グラフは、健常者の分布(使用者の目標)を示す。使用者は、トレーニング結果と目標の分布とから、目標の分布に近づくようにトレーニングする。このようなグラフ(視覚情報)を表示することにより、使用者に対して、トレーニングの達成感や、やる気を持たせることができる。
なお、本発明に係る筋力エクササイザーの各構成要素の処理の少なくとも一部をコンピュータ制御により実行するものとし、かつ、上記処理を、図5〜11の各フローチャートで示した手順によりコンピュータに実行せしめるプログラムは、半導体メモリを始め、CD−ROMや磁気テープなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配付してもよい。そして、少なくともマイクロコンピュータ、パーソナルコンピュータ、汎用コンピュータを範疇に含むコンピュータが、上記の記録媒体から上記プログラムを読み出して、実行するものとしてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 ユーザ装着ユニット
2 集録器
3 端末装置
10 筋力エクササイザー
11 身体装着具(固定側装着手段)
12 ひずみセンサ(ロードセル)
13 伸縮ベルト
14 取付具(可動側装着手段)
15 腰ベルト
16 柱
17 腕
21 信号増幅部
22 A/D変換部
31 データ記録部
32 判断・指令部(解析手段)
33 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の筋力をトレーニングするための筋力エクササイザーであって、
伸縮可能で、かつ引き伸ばされた時に張力を蓄勢する弾性体と、
前記弾性体の一端側に連結され、該弾性体から印加された張力を検出し該張力に対応する電気量に変換して出力するひずみセンサと、
前記ひずみセンサ側に連結され前記使用者の身体または他の固定部に装着する固定側装着手段と、
前記弾性体の他端側を、前記使用者の運動時に引き伸ばされる身体の可動側部位に装着する可動側装着手段と、
前記使用者の前記運動時の筋力に応じた前記ひずみセンサの前記出力を取得する集録手段と、
前記取得された前記出力を解析する解析手段と、
前記取得された出力および前記解析結果を記録する記録手段と、
前記取得された出力および前記解析結果を表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とする筋力エクササイザー。
【請求項2】
前記解析手段は、測定開始に先立って、前記使用者のトレーニング目標を示す指標を設定できるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の筋力エクササイザー。
【請求項3】
前記表示手段は、前記出力を、時系列データとして実時間でグラフ表示することを特徴とする請求項1または請求項2記載の筋力エクササイザー。
【請求項4】
前記表示手段は、前記出力を、前記使用者のトレーニング目標を示す指標と関連させた視覚情報として表示することを特徴とする請求項2記載の筋力エクササイザー。
【請求項5】
前記解析手段は、本番の測定に先立って、前記ひずみゲージのバラツキや取り付け状態および前記弾性体の取り付け状態に起因して存在する張力の初期不平衡分をキャンセルするためのバランス動作を実行することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の筋力エクササイザー。
【請求項6】
前記解析手段は、本番の測定に先立って、前記使用者の2回に渡る予備的な筋力測定を実施する手段を備えると共に該実施結果から、筋力のピーク値の平均値、筋力波形の立ち上がり点および筋力波形の立ち下がり点を計算する手段を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の筋力エクササイザー。
【請求項7】
前記解析手段は、測定終了後に、前記使用者の筋力波形の高次近似式を計算し、該近似式を前記記録手段に記録させることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の筋力エクササイザー。
【請求項8】
前記解析手段は、次回の測定開始に先立って、前記筋力波形の高次近似式に基づく筋力波形を前記表示手段に表示させ、前記使用者がトレーニング目標を示す指標を決定する際に、該使用者に参照させ得るように構成してなることを特徴とする請求項7記載の筋力エクササイザー。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−115344(P2012−115344A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265838(P2010−265838)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000142067)株式会社共和電業 (52)