説明

筋力測定装置

【課題】
使用者に過度の負担をかけることなく、使用者の下肢筋力を測定することができる筋力測定装置を提供する。
【解決手段】
使用者の腰部に装着される加速度計10の前後加速度検出部12により、使用者の腰部における前後加速度が検出される。また、上下加速度検出部14により、使用者の腰部における上下加速度が検出される。ROM26には、予め求められた特定歩行動作時における前後加速度度及び上下加速度と、下肢筋力との相関関係(加速度−下肢筋力関係)が記憶されている。加速度計10により検出された前後加速度及び上下加速度と、ROM26に記憶されている加速度−下肢筋力との関係とから、CPU24により使用者の下肢筋力が導出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の筋力を測定する筋力測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ある調査によると、高齢者の要介護要因として、歩行時の転倒による骨折が挙げられている。また、高齢者になればなるほど、転倒による骨折が原因で介護が必要になっている。そのため、足腰の弱りを早期に知見して対応することが重要である。足腰の弱りを知見するためには、下肢の筋力を測定することが有用である。
【0003】
例えば、下肢の筋力を測定する方法としては、下記特許文献1に開示されているような筋力測定装置を用いる方法がある。この筋力測定装置は、被測定者がある所定の負荷のもとで膝の屈伸運動を行うことができるようになっており、被測定者の膝伸展時の到達速度を、負荷を3段階以上変化させてそれぞれ求め、得られた3つ以上の負荷と到達速度との関係に対して近似曲線を求め、得られた近似曲線の到達速度0における筋力値を最大筋力値として推定するものである。この装置・方法によれば、最大筋力値を得るために大きな負荷を被測定者に負わせる必要がない。
【0004】
また、椅子に座る動作・椅子から立つ動作を繰り返し行い、所定時間中にこの動作を達成できた回数を測定する方法もある。この方法においては、予め年齢別に達成回数の平均を求めてデータベースとし、このデータベースと実際に被測定者が該動作を達成できた回数とを比較することにより、下肢筋力を推定するものである。
【特許文献1】特開2002−209874号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている技術においては、被測定者に負わせる負荷が少ないとはいえ、異なる負荷で脚伸展運動を3回以上行う必要があり、被測定者の負担を完全に払拭することはできない。また、上記特許文献1の技術においては、膝伸展運動にかかる負荷を調整する機構が必要であり、特許文献1の図5にも開示されているように装置が大掛かりなものとなってしまう。さらに、高齢者に対して所定の負荷をかけた状態における膝伸展運動を課すことは酷である。一方、椅子に座る動作・椅子から立つ動作を繰り返し行い、所定時間内の達成回数を測定する方法においても、特殊な運動を被測定者に課すことになり、腰や膝に負担をかけることになる。そのため、高齢者や膝あるいは腰に故障のある人などに本方法を適用することは困難である。
【0006】
本発明は、以上のような現状を鑑みてなされたものであり、使用者に過度の負担をかけることなく、使用者の下肢筋力を測定することができる筋力測定装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明者らは、歩行時における腰部の加速度と下肢筋力との間に相関関係があることを見出し、この相関関係に着目して、歩行時の腰部の加速度を検出することで、下肢筋力を測定する筋力測定装置を完成した。すなわち、本発明の筋力測定装置は、歩行時における腰部の加速度を検出し、該加速度に対応する信号を出力する加速度検出装置と、歩行時における腰部の加速度と人体の下肢筋力との関係である加速度−下肢筋力関係が記憶されている記憶装置と、前記加速度検出装置から出力される信号と、前記記憶装置に記憶されている前記加速度−下肢筋力関係とに基づき使用者の下肢筋力を判別する演算装置と、を有することを特徴とする。加速度−下肢筋力関係は、歩行時における腰部の加速度と人体の下肢筋力との間の関係を予め求めておくことで得ることができる。
【0008】
上記構成においては、加速度検出装置により検出された腰部の加速度は、該加速度に対応する信号として演算装置に送られる。そして、この信号あるいは該信号の処理データと記憶装置に記憶されている加速度−下肢筋力関係とを比較することで、下肢筋力を測定することができる。
【0009】
なお、本発明の筋力測定装置においては、下肢筋力を特定の識別記号に変換する手段を備え、その識別記号を表示する表示部を設けるようにしてもよい。識別記号としては、下肢筋力を示す数値、下肢筋力の程度を段階的に示すもの(大中小、レベルなど)、一定水準の下肢筋力をクリアしているかどうかを示すもの(合あるいは否、セーフあるいはアウトなど)、あるいはこれらの組み合わせを例示することができる。また、判別された下肢筋力の強さが基準以下であるかどうかを判定する手段を備え、基準以下であれば、下肢筋力の向上につながる対策を教示する手段を備えるようにしてもよい。
【0010】
前記加速度−下肢筋力関係は、歩行動作のうち特定歩行動作における腰部の加速度と人体の下肢筋力との関係とすることができる。腰部の加速度を検出する場合、腰部の加速度は、歩行動作のうちでも変動する。そして、歩行動作のうちでも、下肢筋力の影響を最も受ける動作がある。そのため、その特定歩行動作中における加速度と下肢筋力との関係を予め求めておき、その特定歩行動作中における腰部の加速度を検出するのがよい。
【0011】
また、上記の場合、前記加速度検出装置は、前記特定歩行動作時の腰部の前後方向における加速度である前後加速度を検出し、該前後加速度に対応する信号を出力する前後加速度検出部を有するものであり、前記加速度−下肢筋力関係は、前記前後加速度と人体の下肢筋力との関係であって、前記演算装置は、前記前後加速度検出部から出力される信号と、該加速度−下肢筋力関係とから使用者の下肢筋力を判別するものであるのがよい。あるいは、前記加速度検出装置は、前記特定歩行動作時の腰部の上下方向における加速度である上下加速度を検出し、該上下加速度に対応する信号を出力する上下加速度検出部を有するものであり、前記加速度−下肢筋力関係は、前記上下加速度と人体の下肢筋力との関係であって、前記演算装置は、前記上下加速度検出部から出力される信号と、該加速度−下肢筋力関係とから使用者の下肢筋力を判別するものであるのがよい。
【0012】
歩行時における腰部の前後加速度は、下肢筋力により得られる前後方向の推進力・制動力に対応する。したがって、腰部の前後加速度と下肢筋力との間には、より一層の相関関係がある。そのため、腰部の前後加速度と下肢筋力との関係を予め加速度−下肢筋力関係として求めておき、前後加速度検出部により腰部の前後加速度を検出し、該前後加速度に対応する信号又はその処理データを解析することで、前記加速度−下肢筋力関係から使用者の下肢筋力を測定することができる。
【0013】
一方、歩行時は脚を蹴り出して前方向に進む。この脚の蹴り出し力は、前後方向に向かうとともに上下方向にむかう。したがって、例えば蹴り出し力に対応する下肢筋力の強さは、歩行時における腰部の上下加速度と相関関係がある。そのため、腰部の上下加速度と下肢筋力との関係を予め加速度−下肢筋力関係として求めておき、上下加速度検出部により腰部の上下加速度を検出し、該上下加速度に対応する信号又はその処理データを解析することで、前記加速度−下肢筋力関係から使用者の下肢筋力を測定することができる。
【0014】
さらに、前記前後加速度あるいは前記上下加速度から下肢筋力を測定する場合、前記特定歩行動作は、一方の足の踵が接地する踵接地動作から該一方の足の足底全体が接地する足底接地動作までの動作とすることができる。踵接地時には、足関節まわりに発生する底屈モーメント(地面からの作用により爪先が地面に触れる方向に足関節を回転させるモーメント)に対抗する下肢筋力が必要である。この底屈モーメントは、踵接地時における歩行速度が大きいほど、より大きくなる。したがって、下肢筋力が小さい場合には、この底屈モーメントを許容できる大きさにするため、踵接地時における歩行速度が低下すると考えられる。一方、下肢筋力が大きい場合には、大きな底屈モーメントを許容できるため、踵接地時における歩行速度が大きくなると考えられる。したがって、踵接地時における腰部の前後加速度により下肢筋力を測定することができると考えられる。また、踵接地時には、膝関節まわりに発生する屈曲モーメント(地面からの作用により膝が曲がる方向に膝関節を回転させるモーメント)に対抗する下肢筋力が必要である。この屈曲モーメントは、踵接地時における歩行速度が大きいほど大きい。したがって、下肢筋力が小さい場合には、この屈曲モーメントを許容できる大きさにするため、踵接地時における歩行速度が低下すると考えられる。一方、下肢筋力が大きい場合には、大きな屈曲モーメントを許容できるため、踵接地時における歩行速度が大きくなると考えられる。したがって、踵接地時における腰部の前後加速度により下肢筋力を測定することができる。また、下肢筋力が低いと踵接地時に発生する屈曲モーメントに対抗できないため、膝の屈曲が起こらないように膝関節を突っ張った状態で踵接地動作を行う傾向が強いと考えられる。膝関節を突っ張った状態で踵接地動作を行うと、踵接地時における地面からの衝撃が、膝関節の屈曲によって吸収されなくなる。このときの衝撃は、腰部における上下加速度に影響を与える。つまり、衝撃が大きい場合には、上方向を正とした場合に上下加速度が大きくなり、言い換えると、下肢筋力が低い場合には、踵接地時における上下加速度が大きくなると考えられる。一方、下肢筋力が高い場合には、屈曲モーメントに対抗することができるため、踵接地時には膝関節を屈曲させて衝撃を吸収しようとする傾向が強いと考えられる。そのため
、下肢筋力が高い場合には、踵接地時に地面から受ける衝撃が小さくなり、言い換えると、踵接地時における上下加速度が小さくなると考えられる。以上のように、踵接地動作における腰部の加速度を検出することで、下肢筋力の測定が可能である。
【0015】
上記と同様に、前記前後加速度あるいは前記上下加速度から下肢筋力を測定する場合、前記特定歩行動作は、一方の足の足底全体が接地する足底接地動作から他方の足の足尖が離地する足尖離地動作までの動作とすることができる。この区間の腰部の加速度は歩行動作における制動能力に関係する。下肢筋力が低いと当然制動能力も低下することから、この区間における腰部の加速度を検出することで下肢筋力を測定することができる。なお、より具体的には、この区間において腰部の前後方向加速は、減速を表わす負の加速度となり、この負の前後加速度の絶対値が大きいほど制動能力が大きい、つまり下肢筋力が大きいと判断できる。逆に、負の前後加速度の絶対値が小さいほど制動能力が小さい、つまり下肢筋力が小さいと判断できる。
【0016】
さらに、上記と同様に、前記前後加速度あるいは前記上下加速度から下肢筋力を測定する場合、前記特定歩行動作は、一方の足の踵が接地する踵接地動作から他方の足の足尖が離地する足尖離地動作までの動作とすることができる。この区間においては、全体として制動力により歩行速度が減少する。したがって上記と同様の理由により、下肢筋力を測定することができる。
【0017】
次に、特定歩行動作中における腰部の加速度により下肢筋力を測定する筋力測定装置においては、歩行動作のうち前記特定歩行動作が行われるタイミングを判定する歩行動作判定手段をさらに有するのがよい。該筋力測定装置自身で、特定歩行動作が行なわれるタイミングを判定することができる。
【0018】
この場合、前記加速度検出装置は、歩行時の腰部の前後方向における加速度である前後加速度を検出し、該前後加速度に対応する信号を出力する前後加速度検出部と、歩行時の腰部の上下方向における加速度である上下加速度を検出し、該上下加速度に対応する信号を出力する上下加速度検出部と、歩行時の腰部の左右方向における加速度である左右加速度を検出し、該左右加速度に対応する信号を出力する左右加速度検出部とのうち少なくとも一つを有し、前記歩行動作判定手段は、前記前後加速度検出部と前記上下加速度検出部と前記左右加速度検出部との少なくとも一つから出力される信号に基づき、使用者の歩行動作が前記特定歩行動作であることを判定するものであるのがよい。加速度検出装置により取得できる腰部の加速度により歩行動作のタイミングを判定しているので、歩行動作判定手段として、別途特別な検出手段を採用する必要がない。
【0019】
以上の本発明の構成において、前記下肢筋力は背屈力とすることができる。背屈力は、足関節により爪先(足尖)を持ち上げる力である。背屈力の低下は、歩行中の「つまづき」を誘発する可能性が高く、背屈力を測定しその衰えを知見することは、歩行中の転倒を予防するのに効果的である。そのため、下肢筋力のうちでも背屈力を測定する効果は大きい。また、背屈力は、歩行時の腰部における加速度と相関関係があり、本発明の装置により容易に測定することができる。背屈力と腰部の加速度との間に相関関係があるのは、以下の理由によるものと考えられる。歩行動作は、加速と減速を繰り返して行われるが、減速をする際に使われる筋力の一つに背屈力がある。したがって、歩行動作のうち制動期にあたる特定歩行動作中の腰部の加速度は制動力に影響されるため、腰部の加速度と背屈力との間には相関関係があると考えられる。そのため、歩行時の腰部における加速度を解析することにより背屈力を測定することが可能である。なお、本発明の装置において背屈力を測定するためには、前記加速度−下肢筋力関係を、腰部の加速度と背屈力との関係を表わすものとすればよい。
【0020】
あるいは、前記下肢筋力は膝伸展力とすることができる。膝伸展力は、歩行動作における制動力を発揮する筋力の一つである。したがって、歩行動作時のうち制動期にあたる特定歩行動作中の腰部の加速度は制動力に影響されるため、腰部の加速度と膝伸展力との間には相関関係があると考えられる。そのため、歩行時の腰部における加速度を解析することにより膝伸展力を測定することが可能である。なお、本発明の装置において膝伸展力を測定するためには、前記加速度−下肢筋力関係を、腰部の加速度と膝伸展力との関係を表わすものとすればよい。
【0021】
さらに、下肢筋力として背屈力や膝伸展力を採用する場合、前記加速度検出装置は、歩行時の腰部の前後方向における加速度である前後加速度を検出し、該前後加速度に対応する信号を出力する前後加速度検出部と、歩行時の腰部の上下方向における加速度である上下加速度を検出し、該上下加速度に対応する信号を出力する上下加速度検出部とを有するのがよい。そして、前記加速度−下肢筋力関係は、一方の足の踵が接地する踵接地動作から該一方の足の足底全体が接地する足底接地動作までの動作における前記前後加速度と、一方の足の足底全体が接地する足底接地動作から他方の足の足尖が離地する足尖離地動作までの動作における前記前後加速度と、一方の足の踵が接地する踵接地動作から該一方の足の足底全体が接地する足底接地動作までの動作における前記上下加速度と、前記下肢筋力との関係であるのがよい。発明者等が鋭意検討したところ、上記のような歩行動作における腰部の前後加速度及び、あるいは上下加速度は、それぞれ背屈力あるいは膝伸展力と相関があり、背屈力・膝伸展力に関しては、これら複数の加速度と下肢筋力との関係を組合わせることにより、より精密に下肢筋力の測定を行うことができる。
【発明の効果】
【0022】
上記のような本発明の筋力測定装置によれば、歩行時における腰部の加速度と人体の下肢筋力の強さとの関係(加速度−下肢筋力力関係)が、予め記憶装置に記憶されているので、加速度検出装置により歩行時の腰部の加速度を検出すれば、該腰部の加速度に対応する信号と前記加速度−背屈力関係とから、演算装置により使用者の下肢筋力を測定することができる。また、大掛かりな設備を必要とせず、腰部の加速度を検出するだけでよいので、例えば、腰部に装着し歩行するだけでよく、簡易に下肢筋力を測定することができる。さらに、使用者に過度の負担をかけることがない。
【0023】
さらに、腰部の加速度のうち、前後加速度や上下加速度を検出して、これらを用いて下肢筋力を測定したり、またある特定歩行動作中における加速度を検出して、これらを用いて下肢筋力を測定したりすることによって、より精度よく下肢筋力を測定することができる。
【0024】
さらに、ある特定歩行動中における前後加速度や、ある特定歩行動作中における上下加速度等の複数の加速度を検出して、これら複数の情報を用いて下肢筋力を測定することにより、より一層精度よく下肢筋力を測定することができる。
【0025】
さらに、歩行動作判定手段により、歩行動作のうち特定歩行動作を判定したうえで、該特定歩行動作における加速度を検出しているので、における特定歩行動作のタイミングが異なるようなどのような被測定者に対して精密に下肢筋力の測定を行うことができる。
【0026】
さらに、歩行動作に基づき出力される加速度に対応する信号を用いて特定歩行動作を判定する場合、使用者によって歩行速度や歩幅等が違った場合でも、使用者の特定歩行動作のタイミングを知見することができる。そのため、より精度の良い下肢筋力の測定を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の筋力測定装置の一例を示すブロック図である。図1に示す装置100は、歩行時における使用者の腰部の加速度を検出し、その加速度に対応する信号(以下、加速度信号とする)を出力する加速度検出装置としての加速度計10と、加速度計10からの加速度信号を受けて、使用者の下肢筋力を演算する演算部20と、を有する。さらに、歩行時間などを計測する時間計測部30と、下肢筋力を演算した結果等の情報や使用者の情報等を表示することができる表示部40と、下肢筋力の強さを判別した結果等の情報や使用者の情報等を記憶することができる記録部50とを有するものである。なお、これら加速度計10、演算部20、時間計測部30、表示部40、記録部50は一体化することができ、例えば、人体の腰部に一体的に装着することができるようになっている。例えば、万歩計のようにベルト、ズボン、スカート等に懸架できるフックを備えたものを例示することができる。
【0028】
加速度計10は、使用者の歩行時において腰部の前後加速度を検出する前後加速度検出部としてのX方向加速度検出部12と、腰部の左右加速度を検出する左右加速度検出部としてのY方向加速度検出部14と、腰部の上下加速度を検出する上下加速度検出部としてのZ方向加速度検出部16とにより構成されている。それぞれの検出部は、一体化されて加速度計10とされており、該加速度計10を使用者の腰部に装着すれば、前後加速度、左右加速度、上下加速度のすべてを検出することができるようになっている。これらそれぞれの検出部により検出されたそれぞれの方向における加速度は、それぞれの加速度に対応する電気信号(それぞれ、前後加速度信号、左右加速度信号、上下加速度信号とする)とされて、それぞれ独立に演算部20に出力されるようになっている。なお、加速度計10としては、一般的に知られている加速度センサを使用することができる。例えば、圧電素子を用いた加速度センサや、静電容量型の3軸加速度センサ等を使用することができる。3軸加速度センサの場合、上記前後加速度検出部12、左右加速度検出部14、上下加速度検出部16は、一つの検出素子とすることができる。
【0029】
演算部20は、A/D変換器22と、演算装置としてのCPU24と、記憶装置としてのROM26と、RAM28とから構成されている。A/D変換器22は、加速度計10からの信号をデジタル信号に変換するものであり、該A/D変換器22からデジタル化された加速度信号がCPU24、ROM26、RAM28にそれぞれ送信されるようになっている。デジタル化された信号(前後加速度信号、左右加速度信号及び上下加速度信号)は、RAM28に一旦記憶され、CPU24により所定の処理がされるようになっている。例えば、RAM28には、腰部の加速度信号の時間変化波形が時間計測部30からの時間情報とともに記憶されるようになっている。加速度信号の時間変化波形は、例えば歩行動作の数周期分がRAM28に記憶されるようにすることができる。
【0030】
また、ROM26には、RAM28に記憶される前後加速度信号、左右加速度信号及び上下加速度信号から、使用者が特定歩行動作を行うタイミングやその期間を判定するためのプログラムが格納されている。特定歩行動作とは、図2に示すように、踵接地動作や、足底接地動作や、足尖離地動作等をいうものである。ここで、踵接地動作は、一方の足の踵が接地する動作であり、足底接地動作は、一方の足の底全体が接地する動作であり、足尖離地動作は、他方の足の足尖が離地する動作である。このプログラムはCPU24により実行されるようになっており、該プログラムを格納するROM26とCPU24とが本実施形態における歩行動作判定手段を構成する。また、ROM26には、RAM28に記憶される加速度信号の時間変化波形から、歩行動作判定手段により特定歩行動作中であると判定された期間内における加速度を算出するプログラムが格納されている。より具体的には、特定歩行動作中における平均加速度を算出するプログラムを例示できる。なお、本明細書において平均加速度とは、特定歩行動作中における加速度の積分値の時間平均を意味するが、その他の定義により表わされる平均加速度を採用してもよい。また、この特定歩行動作中における最大加速度や最小加速度等を算出するようにしてもよい。
【0031】
また、ROM26には、予め求められる加速度−下肢筋力関係が記憶されている。このROM26に記憶されている加速度−下肢筋力関係は、本実施形態の場合、前後加速度と下肢筋力の強さとの関係をあらわすものである。ROM26に記憶されている加速度−下肢筋力関係は、例えば図3〜8に示すようなものとされている。図3〜8に直線で表されているのが加速度−下肢筋力関係である。さらに具体的には、これらの加速度−下肢筋力関係は、下肢筋力のうちの背屈力や膝伸展力と歩行時における腰部の加速度との関係を示したものである。これらの加速度−下肢筋力関係は、それぞれの特定歩行動作における前後加速度や上下加速度と、背屈力や膝伸展力等の下肢筋力との関係を予め求めておくことにより得ることができる。具体的には、複数の被験者に対して、歩行時における腰部の加速度(前後加速度、上下加速度等)を測定すると同時に、背屈力や膝伸展力等の下肢筋力を測定し、これら加速度と下肢筋力との対となる複数のデータ(図3〜8のドットに対応する)から加速度と下肢筋力との関係(図3〜8の直線に対応する)を、例えば、最小二乗法等により導出することにより得ることができる。
【0032】
次に、図3〜8に示される加速度−下肢筋力関係について個別に説明する。まず、図3の加速度−下肢筋力関係は、図2に示すAの区間(踵接地動作から足底接地動作の間)における平均前後加速度と背屈力との関係を示すものである。この図3に示す加速度−下肢筋力関係を用いる場合、Aの区間における平均前後加速度を算出することにより、使用者の背屈力を測定することができる。
【0033】
図4の加速度−下肢筋力関係は、図2に示すAの区間(踵接地動作から足底接地動作の間)における平均前後加速度と膝伸展力との関係を示すものである。この図4に示す加速度−下肢筋力関係を用いる場合、Aの区間における平均前後加速度を算出することにより、使用者の膝伸展力を測定することができる。
【0034】
図5の加速度−下肢筋力関係は、図2に示すBの区間(足底接地動作から足尖離地動作の間)における平均前後加速度と膝伸展力との関係を示すものである。この図5に示す加速度−下肢筋力関係を用いる場合、Bの区間における平均前後加速度を算出することにより、使用者の膝伸展力を測定することができる。
【0035】
図6の加速度−下肢筋力関係は、図2に示すCの区間(踵接地動作から足尖離地動作の間)における平均前後加速度と背屈力との関係を示すものである。この図6に示す加速度−下肢筋力関係を用いる場合、Cの区間における平均前後加速度を算出することにより、使用者の背屈力を測定することができる。
【0036】
図7の加速度−下肢筋力関係は、図2に示すCの区間(踵接地動作から足尖離地動作の間)における平均前後加速度と膝伸展力との関係を示すものである。この図7に示す加速度−下肢筋力関係を用いる場合、Cの区間における平均前後加速度を算出することにより、使用者の膝伸展力を測定することができる。
【0037】
図8の加速度−下肢筋力関係は、図2に示すAの区間(踵接地動作から足底接地動作の間)における平均上下加速度と膝伸展力との関係を示すものである。この図8に示す加速度−下肢筋力関係を用いる場合、Aの区間における平均上下加速度を算出することにより、使用者の膝伸展力を測定することができる。
【0038】
また、加速度−下肢筋力関係としては、Aの区間における平均前後加速度(Xa)と、Bの区間における平均前後加速度(Xb)と、Aの区間における平均上下加速度(Xc)との3つの変数と背屈力との関係を重回帰分析することにより得られた加速度−下肢筋力関係を用いることができる。具体的にこの場合の加速度−下肢筋力関係は、背屈力(Y)=AXa+BXb+CXc+D(式1)により表わされる。さらに、前述したように複数の被験者からデータを集めて上記の重回帰分析を行った結果、この場合のさらに具体的な加速度−下肢筋力関係は、背屈力(Y)=−0.53Xa−0.59Xb+0.1Xc+0.35(式1)により表わされる。この加速度−下肢筋力関係における重相関係数は約0.6と大きい。したがって、上記(式1)の加速度−下肢筋力関係を用いることで、それぞれ(Xa)、(Xb)、(Xc)の変数を算出することにより、使用者の背屈力をより一層精密に測定することができる。
【0039】
また、加速度−下肢筋力関係としては、Aの区間における平均前後加速度(Xa)と、Bの区間における平均前後加速度(Xb)と、Aの区間における平均上下加速度(Xc)との3つの変数と膝伸展力との関係を重回帰分析することにより得られた加速度−下肢筋力関係を用いることができる。具体的にこの場合の加速度−下肢筋力関係は、膝伸展力(Y)=AXa+BXb+CXc+D(式2)により表わされる。さらに、前述したように複数の被験者からデータを集めて上記の重回帰分析を行った結果、さらに具体的な加速度−下肢筋力関係は、膝伸展力(Y)=−2.29Xa−3.34Xb−0.52Xc−0.5(式2)により表わされる。この加速度−下肢筋力関係における重相関係数は約0.74と大きい。したがって、上記(式2)の加速度−下肢筋力関係を用いることで、それぞれ(Xa)、(Xb)、(Xc)の変数を算出することにより、使用者の膝伸展力をより一層精密に測定することができる。
【0040】
以下、図1に示す筋力測定装置100の作用・動作について説明する。まず、本実施形態の筋力測定装置100を腰部に装着して、歩行を開始すると、筋力測定装置100の加速度計10により、腰部の前後加速度、左右加速度、上下加速度が検出される。加速度計10は、検出した加速度の時間変化を電気信号の波形(加速度信号)として出力する。加速度計10から出力された加速度信号は、A/D変換器22によりデジタル化されて一旦RAM28に記憶される。図2には加速度計10で検出される加速度信号(前後加速度信号、左右加速度信号、上下加速度信号)の時間変化の一例が示しめされている。時間によってそれぞれの加速度が変化しているのがわかる。図2において、前後加速度は前方に向かう側を正として、左右加速度は右に向かう側を正として、上下加速度は上方に向かう側を正として示されている。これらそれぞれの加速度の時間変化は、図2に示すように、歩行動作の特定歩行動作に対応している。
【0041】
RAM28に歩行動作の一周期分(数周期分でもよい)に相当する加速度信号(前後加速度、左右加速度、上下加速度)が記憶されると、CPU24とROM26により構成される歩行動作判定手段によって、該加速度信号の時間変化から特定歩行動作のタイミングや期間が判定される。具体的には、加速度信号を時間微分することにより、該加速度信号のピークを検出し、該ピーク時に特定歩行動作が開始あるいは終了すると判定することができる。あるいは、前後加速度、上下加速度、左右加速度から選択される一つの加速度に着目し、該加速度が正から負あるいは負から正に変化する時点において、特定歩行動作が開始あるいは終了すると判定することができる。あるいは、加速度信号のピーク時における加速度に対してある所定割合の加速度となるタイミングを歩行動作の開始時、終了時と判定することができる。さらに、ここで述べた全ての判定方法のうち、最も適切なものを随時選択するようにしてもよいし、これらの判定方法が適宜組合わされた方法を採用することもできる。
【0042】
例えば本実施形態においては、以下のような判定方法を採用して、図2のように特定歩行動作を判定している。まず、図2の(右)踵接地の判定方法は次のように行うことができる。(1)前後加速度の大きな負のピーク(P)を検出し、その大きな負のピーク(P)の直前の前後加速度の極小点(P)を検出する。(2)負のピーク(P)と極小点(P)との間に左右加速度が正から負に変化する点(P)があるか判定する。(3)左右加速度が正から負に変化する点(P)が上記範囲内にある場合は、該Pの時点を(右)踵接地動作の時点と判定する。(4)左右加速度が正から負に変化する点(P)が上記範囲内にない場合は、極小点(P)を(右)踵接地動作の時点と判定する。なお、上記の例は(右)踵接地における判定であり、(左)踵接地を判定する場合には、上記(2)のステップにおいて、負のピーク(P)と極小点(P)との間に左右加速度が負から正に変化する点(P)があるかどうかを判定すればよい。
【0043】
次に、足底接地は、上記のように踵接地が判定された後に、該踵接地以降において上下加速度が最初に正から負に変化する点として判定することができる。さらに、足尖離地は、足底接地以降にある上下加速度が負から正にかわる最初の点、あるいは、最初に現れる極大点のうちいずれか早い方とすることができる。
【0044】
上記のように、特定歩行動作を行っている時点が把握できれば、特定歩行動作中における平均加速度をCPU24により演算する。具体的には、A区間における平均前後加速度は、踵接地動作と判定された時点と足底接地動作と判定された時点との間における前後加速度信号から、前後加速度の平均加速度を演算することにより得ることができる。その他の区間における前後加速度あるいは上下加速度についても同様である。このように演算された平均加速度を、腰部の加速度として採用し、加速度−下肢筋力関係から下肢筋力を測定することができる。具体的には、CPU24により、ROM26に記憶されている図3〜8に示すような加速度−下肢筋力関係に、演算された平均加速度(該加速度−下肢筋力関係に対応する特定区間における前後加速後あるいは上下加速度)を当てはめて、当該平均加速度に対応する下肢筋力を導出することにより、下肢筋力を測定することができる。このとき導出された下肢筋力は、RAM28に一旦記憶させておくことができ、自動的あるいは使用者の操作により記録部50に記憶させるようにすることができる。さらに、導出された下肢筋力あるいは記録部50に記録されている過去の測定結果は、例えば記録部50に記憶されている使用者の情報や日付等の情報とともに、表示部40に表示させるようにしてもよい。
【0045】
また、図3〜図8に示す加速度−下肢筋力関係あるいは前述した重回帰分析の結果得られた加速度−下肢筋力関係のうち、背屈力と膝伸展力とをそれぞれ導出できる2つ以上の加速度−下肢筋力関係を選択して、背屈力と膝伸展力とをそれぞれ導出することも可能である。導出された背屈力及び膝伸展力はRAM28に一旦記憶させておき、自動的あるいは使用者の操作により記録部50に記憶させるようにすることができる。また、記録部50に記憶させる際に、使用者や日付等の情報や、それぞれ使用した加速度−下肢筋力関係の情報とともに記憶させるようにしてもよい。
【0046】
さらに、導出された下肢筋力の強さから、使用者の現時点での歩行年齢を演算することもできる。具体的には、ROM26に、下肢筋力の強さと歩行年齢との関係を予め記憶させておき、演算された下肢筋力を、前記下肢筋力と歩行年齢との関係に当てはめることにより、歩行年齢を演算することができる。また、歩行年齢を算出する際に用いられる下肢筋力としては、背屈力及び膝伸展力の少なくとも一つを採用することができる。演算された歩行年齢は、RAM28に一時的に記憶される。さらに、自動的あるいは使用者の操作により記録部50に歩行年齢の判別結果を保存するようにしてもよい。
【0047】
上記のように、CPU24により下肢筋力の強さが導出された場合、その結果を表示部40に表示することができる。この場合、使用者が背屈力や膝伸展力や歩行年齢等から、表示したい項目を選択して、選択された項目の判別結果を表示することができる。あるいは、すべての判別結果を自動的に表示するようにしてもよい。
【0048】
さらに、判別された下肢筋力や歩行年齢から、下肢筋力向上に効果的な運動方法を表示部に表示部に表示することにより、使用者に運動の指針を教示することができる。
【0049】
以上説明したように、本実施形態の筋力測定装置100によれば、使用者の下肢筋力を、大掛かりな装置を用いずに測定することができる。また、使用者は本実施形態の筋力測定装置100を腰部に取り付けて歩行するだけでよいため、使用者に過度の負担をかけることがない。さらに、本実施形態の筋力測定装置100においては、歩行動作のみで背屈力と膝伸展力の2種類の下肢筋力を測定することができるため、これらの下肢筋力を測定するために別々の測定方法を行う必要がない。さらに、本実施形態の筋力測定装置100を、下肢の衰えを改善するために使用する場合には、背屈力や膝伸展力等のより具体的な下肢筋力についての情報が得られるため、使用者は下肢のどの部分が衰えているのかを具体的に知ることができる。そのため、下肢の衰えを改善するために具体的にどのような手段を行えばよいのか、比較的容易に判断することができる。
【0050】
以上、本実施形態の筋力測定装置についてその一例を示したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、前述の実施形態においては、加速度計10により腰部の前後加速度、左右加速度、上下加速度のすべてを検出するようにしているが、これらのうちの一つの方向における加速度を検出すれば十分な場合もある。例えば、前後加速度のみを検出する場合でも、所定の特定歩行動作を判定して、該特定歩行動作中における前後加速度を算出することは可能である。その他の加速度の場合にも同様である。
【0051】
その他、本発明の範囲内において、本明細書内に開示されているすべての技術的思想を適宜組合わせることにより、前述した実施形態以外の形態を実現することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の歩行解析装置の一例を示すブロック図。
【図2】実施形態における加速度信号の時間変化波形及び対応する歩行動作を示す図。
【図3】加速度−下肢筋力関係の一例を示す図。
【図4】加速度−下肢筋力関係の一例を示す図。
【図5】加速度−下肢筋力関係の一例を示す図。
【図6】加速度−下肢筋力関係の一例を示す図。
【図7】加速度−下肢筋力関係の一例を示す図。
【図8】加速度−下肢筋力関係の一例を示す図。
【符号の説明】
【0053】
10 加速度計
12 X方向加速度検出部(前後加速度検出部)
14 Y方向加速度検出部(左右加速度検出部)
16 Z方向加速度検出部(上下加速度検出部)
20 演算部(演算装置)
24 CPU(演算装置、歩行動作判定手段)
26 ROM(記憶装置、歩行動作判定手段)
100 歩行解析装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行時における腰部の加速度を検出し、該加速度に対応する信号を出力する加速度検出装置と、
歩行時における腰部の加速度と人体の下肢筋力との関係である加速度−下肢筋力関係が記憶されている記憶装置と、
前記加速度検出装置から出力される信号と、前記記憶装置に記憶されている前記加速度−下肢筋力関係とに基づき使用者の下肢筋力を判別する演算装置と、を有することを特徴とする筋力測定装置。
【請求項2】
前記加速度−下肢筋力関係は、歩行動作のうち特定歩行動作における腰部の加速度と人体の下肢筋力との関係であることを特徴とする請求項1に記載の筋力測定装置。
【請求項3】
前記加速度検出装置は、前記特定歩行動作時の腰部の前後方向における加速度である前後加速度を検出し、該前後加速度に対応する信号を出力する前後加速度検出部を有するものであり、
前記加速度−下肢筋力関係は、前記前後加速度と人体の下肢筋力との関係であって、
前記演算装置は、前記前後加速度検出部から出力される信号と、該加速度−下肢筋力関係とに基づき使用者の下肢筋力を判別するものであることを特徴とする請求項2に記載の筋力測定装置。
【請求項4】
前記加速度検出装置は、前記特定歩行動作時の腰部の上下方向における加速度である上下加速度を検出し、該上下加速度に対応する信号を出力する上下加速度検出部を有するものであり、
前記加速度−下肢筋力関係は、前記上下加速度と人体の下肢筋力との関係であって、
前記演算装置は、前記上下加速度検出部から出力される信号と、該加速度−下肢筋力関係とに基づき使用者の下肢筋力を判別するものであることを特徴とする請求項2に記載の筋力測定装置。
【請求項5】
前記特定歩行動作は、一方の足の踵が接地する踵接地動作から該一方の足の足底全体が接地する足底接地動作までの動作であることを特徴とする請求項3又は4に記載の筋力測定装置。
【請求項6】
前記特定歩行動作は、一方の足の足底全体が接地する足底接地動作から他方の足の足尖が離地する足尖離地動作までの動作であることを特徴とする請求項3又は4に記載の筋力測定装置。
【請求項7】
前記特定歩行動作は、一方の足の踵が接地する踵接地動作から他方の足の足尖が離地する足尖離地動作までの動作であることを特徴とする請求項3又は4に記載の筋力測定装置。
【請求項8】
歩行動作のうち前記特定歩行動作が行われるタイミングを判定する歩行動作判定手段をさらに有することを特徴とする請求項2ないし7のいずれか1項に記載の筋力測定装置。
【請求項9】
前記加速度検出装置は、歩行時の腰部の前後方向における加速度である前後加速度を検出し、該前後加速度に対応する信号を出力する前後加速度検出部と、歩行時の腰部の上下方向における加速度である上下加速度を検出し、該上下加速度に対応する信号を出力する上下加速度検出部と、歩行時の腰部の左右方向における加速度である左右加速度を検出し、該左右加速度に対応する信号を出力する左右加速度検出部とのうち少なくとも一つを有し、
前記歩行動作判定手段は、前記前後加速度検出部と前記上下加速度検出部と前記左右加速度検出部との少なくとも一つから出力される信号に基づき、使用者の歩行動作が前記特定歩行動作であることを判定するものであることを特徴とする請求項8に記載の筋力測定装置。
【請求項10】
前記下肢筋力は背屈力であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の筋力測定装置。
【請求項11】
前記下肢筋力は膝伸展力であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の筋力測定装置。
【請求項12】
前記加速度検出装置は、歩行時の腰部の前後方向における加速度である前後加速度を検出し、該前後加速度に対応する信号を出力する前後加速度検出部と、歩行時の腰部の上下方向における加速度である上下加速度を検出し、該上下加速度に対応する信号を出力する上下加速度検出部とを有し、
前記加速度−下肢筋力関係は、一方の足の踵が接地する踵接地動作から該一方の足の足底全体が接地する足底接地動作までの動作における前記前後加速度と、一方の足の足底全体が接地する足底接地動作から他方の足の足尖が離地する足尖離地動作までの動作における前記前後加速度と、一方の足の踵が接地する踵接地動作から該一方の足の足底全体が接地する足底接地動作までの動作における前記上下加速度と、前記下肢筋力との関係であることを特徴とする請求項10又は11に記載の筋力測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−320533(P2006−320533A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−146503(P2005−146503)
【出願日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.万歩計
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】