説明

筋肉の動きを増強又は回復させる方法及び装置

【課題】麻痺により随意運動が困難な筋肉を、本人の意思により動かし、その際に生じる電位をトリガー信号として、パルス磁場を発生させて、大きな筋収縮を生じさせることにより、筋肉の動きを増強又は回復させる方法及び装置、特に脳及び神経の可塑性によって神経ネットワークを構築させて、リハビリテーションを効果的に行う技術を提供する。
【解決手段】筋肉の自発運動に伴う筋電位若しくは関節の運動に伴う関節運動をセンサーで検出しこれを電気信号に変換した電位、あるいは自発運動の企図と実行に伴う脳波からの活動電位、又は近赤外線スペクトロスコピーからの脳血流変化を検出しこれを電気信号に変換した電位、のいずれかの電位をトリガー信号5としてパルス電源6に接続した磁気刺激コイル7に磁気パルスを発生させ、次にこの磁気パルスによって大脳の運動野又は筋肉を磁気刺激することにより筋肉の動きを増強又は回復させる方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、麻痺により自発運動が困難な筋肉を、本人の意思と努力によってわずかでも動かし、それに伴って生じる筋電位あるいは脳波からの活動電位をトリガー信号として、パルス磁場を発生させて、大きな筋収縮を生じさせることにより、筋肉の動きを増強又は回復させる方法及び装置、特に脳及び神経の可塑性によって新しい神経回路を形成させ、リハビリテーションを効果的に行う方法と技術に関する。
【背景技術】
【0002】
脊髄損傷による四肢麻痺や、脳卒中による片麻痺の機能回復を補助する手段として、経皮電気的神経刺激TENSが広く用いられている。この原理は損傷を受けた脳、神経の可塑性を活用するもので、外部からの電気刺激で手や足を動かすことにより、新しい神経回路を形成し機能を回復するものである。
【0003】
経皮電気的神経刺激をさらに発展させた技術として機能的電気刺激法FESがある。これは複数の電極を筋肉に埋め込んで、コンピュータからの信号で筋肉を電気刺激によって順次動かすことによって、歩行や把握などの複雑な動作の実現を目指す方法である。
これらの電気刺激法は、現象的には感電と同じなので電気ショックによる不快感や痛みを伴い、従って大きな筋収縮を得ることが困難である問題がある。
【0004】
神経を電気的に刺激する他の方法として磁気刺激がある。これは、神経の近くに置いたコイルにパルス電流を流すことによって生じる誘導電流で、神経を刺激する方法である。この磁気刺激法は電極を貼り付ける、埋め込むなどの工程が不要であり、加えて電気ショック感や痛みがほとんどないので、強い刺激が得られるという、前記電気刺激法に比べて、大きな利点がある。
【0005】
磁気刺激法がリハビリテーションに有効なことは公知である。一例として、磁気刺激による誘発筋運動によって中枢神経系が再構築されることが知られている(非特許文献1参照)。さらに、脳血管障害によって生じた片麻痺の治療に効果があることが知られている(非特許文献2参照)。
【0006】
また、磁気刺激は、活動が弱った筋肉のリハビリテーションに広く応用されている(特許文献1〜4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−276418号公報
【特許文献2】特開平10−234870号公報
【特許文献3】特開平11−333003号公報
【特許文献4】特公表2001−526947号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】医歯薬出版株式会社「磁気刺激法の基礎と応用」、真野著、中枢神経の再構築、P.127
【非特許文献2】医歯薬出版株式会社「磁気刺激法の基礎と応用」、出江著、脳血管障害、P.198
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
リハビリテーションによって新しい神経回路を形成するために、他動的に筋肉を動かすよりも、本人の意欲で筋肉を動かし、努力した時に外部からの刺激で筋肉の動きを増強すると治療効果が大きい。この目的のために、本発明は磁気刺激の開始トリガー信号に、被検者の筋電位若しくは関節運動電位あるいは自発運動の企図と実行に伴う脳波からの活動電位、又は近赤外線スペクトロスコピーからの脳血流変化を検出しこれを電気信号に置換した電位を用いて筋肉の動きを増強又は回復させる技術を提供するものである。例えば2枚の検出電極を貼り付けた手または足を、本人の努力によってわずかでも動かすと筋電流あるいは脳波からの活動電位が発生するが、その信号を増幅しトリガーとしてパルス電源の放電回路に加え、筋肉の動きを増強又は回復させる方法と装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の課題に鑑み、本願発明は、
1)筋肉の自発運動に伴う筋電位若しくは関節の運動に伴う関節運動をセンサーで検出しこれを電気信号に変換した電位、あるいは自発運動の企図と実行に伴う脳波からの活動電位、又は近赤外線スペクトロスコピーからの脳血流変化を検出しこれを電気信号に変換した電位の、いずれかの電位をトリガー信号としてパルス電源に接続した磁気刺激コイルに磁気パルスを発生させ、次にこの磁気パルスによって大脳の運動野又は筋肉を磁気刺激することにより筋肉の動きを増強又は回復させる方法
2)短時間に複数回の磁気刺激を反復する上記1記載の筋肉の動きを増強又は回復させる方法
3)磁気刺激の反復時間が1ミリ秒から100ミリ秒である上記2記載の筋肉の動きを増強又は回復させる方法
4)パルス電源に複数の磁気刺激コイルを接続し、スイッチで切り替えながら順次使用することにより、コイルの温度上昇を防止する上記1〜3のいずれか一項に記載の筋肉の動きを増強又は回復させる方法
5)外部からの磁気刺激で手や足を動かすことにより、既存の神経回路の強化又は新たな神経ネットワークを構築させて機能を回復させるリハビリテーションに使用する上記1〜4のいずれか一項に記載の筋肉の動きを増強又は回復させる方法、を提供する。
【0011】
また、本願発明は、
6)筋肉の自発運動に伴う筋電位若しくは関節の運動に伴う関節運動電位を検出する検出装置、あるいは自発運動の企図と実行に伴う脳波からの活動電位を検出する検出装置、又は近赤外線スペクトロスコピーからの脳血流変化を検出し、この検出した脳血流変化を電気信号に変換する装置を備え、前記装置により検出された筋電位若しくは関節運動を検出しこれを電気信号に変換した電位、脳波からの活動電位、又は脳血流変化を電気信号に変換して得た電位をトリガー信号としてパルス電源の磁気刺激コイルに磁気パルスを発生させる装置、発生した磁気パルスによって大脳の運動野又は筋肉を磁気刺激する装置からなることを特徴とする筋肉の動きを増強又は回復させる装置
7)磁気パルスを発生させる装置に、短時間に複数回の磁気刺激を反復する装置を有する上記6記載の筋肉の動きを増強又は回復させる装置
8)磁気刺激の反復時間を1ミリ秒から100ミリ秒とする装置を備えた上記7記載の筋肉の動きを増強又は回復させる装置
9)複数の磁気刺激コイルを接続したパルス電源とスイッチで切り替えながら複数の磁気刺激コイルを順次使用する切り替えスイッチを有し、長時間使用における磁気刺激コイルの温度上昇を防止する上記6〜8のいずれか一項に記載の筋肉の動きを増強又は回復させる装置
10)外部からの磁気刺激で手や足を動かすことにより、既存の神経回路の強化又は新たな神経ネットワークを構築させて機能を回復させるリハビリテーションに使用する上記6〜9のいずれか一項に記載の筋肉の動きを増強又は回復させる装置、を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明は電気刺激の代わりに磁気刺激を用いることにより、刺激用の貼り付けや埋め込み電極を不要とし、加えて不快な電気ショックや痛みを伴うことがないので、外部刺激によって大きな筋肉の収縮を実現することができる。
従来のリハビリテーションは、外力による場合も、電気刺激による場合も本人の意思によって運動を開始することは困難であった。しかし、本発明は不自由な筋肉が本人の意思で、少しでも動いた時に磁気刺激による大きな筋収縮が生じる。また、電気刺激のような電気ショックや痛みを伴わないので長時間のリハビリテーションが可能であって治療効果を画期的に高めることができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】関節運動電位を用いて手指の機能回復を行う例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の筋肉の動きを増強又は回復させる方法は、まず筋肉の自発運動により発生する筋電位若しくは関節の動きを各種センサー(検出装置)により検出し、これを電気信号に変換した電位、あるいは自発運動の企図と実行に伴う脳波からの活動電位を検出する、又は自発運動に伴う近赤外線スペクトロスコピーからの脳血流変化を検出し、これを電気信号に変換した電位を得る。
なお、前記筋電位は筋電図、筋活動電位、活動電位、筋放電と称される場合があり、また前記脳波からの活動電位は神経活動電位と称される場合もあるが、本発明はこれらを包含するものである。
筋電位もしくは脳波からの活動電位を検出する際に、運動機能に損傷を受けた部位近傍に、電位を測定する器具を設置する。この方法はあくまで患者の意思により行動した場合の筋肉の自発運動により発生する電位を測定することが基本である。なお、この場合、脳の運動機能に障害を受けた場合の麻痺であり、末梢神経の病気ではない場合に有効となる。
【0015】
次に、この筋電位もしくは脳波からの活動電位をトリガー信号としてパルス電源の磁気刺激コイルに磁気パルスを発生させる。
この場合、上記の患者の意思により行動した場合の筋肉や関節の自発運動若しくは脳波からの活動電位から発生する電位又は自発運動に伴う近赤外線スペクトロスコピーからの脳血流変化から検出して得た電位は、運動機能が低下しているだけに、微弱にならざるを得ない。
また、この機能低下の状態を続ける場合には、自発運動により発生する電位のさらなる低下を余儀なくされることが十分に予想される。
本願発明においては、これらにより発生する電位を磁気パルスによって大脳の運動野又は筋肉を磁気刺激する。電位又は磁気は任意に増幅させることができるので、必要に応じて磁気刺激を調節することができる。
【0016】
この結果、筋肉の動きが増強される。これを繰り返し、外部からの磁気刺激で手や足を動かすことにより、既存の神経回路の強化又は新たな神経ネットワークを構築させて、機能を回復させる。すなわち、末梢神経刺激により新たな神経ネットワークの再構築を誘発させ、機能回復を狙うものである。
この場合、「新たな神経ネットワークを構築する」ということは、神経細胞の新生を意味するものではなく、損傷を受けていない神経を利用して神経相互の連絡を良くし、新たなネットワークを形成することを意味するものである。
なぜ、このような操作により機能が回復するのかということを理論的に説明することは難しいが、手や足を動かすことにより、それをつかさどる脳細胞又は神経回路が逆に刺激を受け、その機能回復を促進するのではないかと推測される。
【0017】
本願発明は、上記の通り麻痺により自発運動が困難な筋肉を、本人の意思と努力によってわずかでも動かし、その際に生じる筋肉や関節の自発運動若しくは脳波からの活動電位から発生する電位又は自発運動に伴う近赤外線スペクトロスコピーからの脳血流変化から検出して得た電位をトリガー信号として、パルス磁場を発生させて、大きな筋収縮を生じさせることにより、筋肉の動きを増強又は回復させることができる。
機能低下の状態を続ける場合には、随意運動により発生する電位のさらなる低下となる可能性があるので、急速な回復が必要である。新たな神経ネットワークを構築させて、リハビリテーションを行うことは重要であり、本願発明の方法は極めて有効である。
【0018】
本願発明においては、短時間に複数回の磁気刺激を反復することが有効である。そして、この磁気刺激の反復時間が1ミリ秒から100ミリ秒であるのが望ましい。100ミリ秒以上では、屈曲が複数回に分かれるので効果の増大はないので100ミリ秒以下とするのが望ましい。
本願発明の筋肉の動きを増強又は回復させる方法では、コイルに電流が流れるとコイルの温度上昇を伴う。この場合、コイルに大電流が流れた場合には、患者が火傷することもあるので、パルス電源に複数の磁気刺激コイルを接続し、スイッチで切り替えながら順次使用することが望ましい。
【0019】
本発明の筋肉の動きを増強又は回復させる方法は、外部からの磁気刺激で手や足を動かすことにより、新たな神経ネットワークを構築させて機能を回復させる。また、筋電位若しくは関節の動きを各種センサーで検出しこれを電気信号に変換した電位(「関節の動きから得た電位」と略記する。)又は脳波からの活動電位を検出する電極は、運動機能に損傷を受けた部位近傍の皮膚に貼り付けるだけであり、電気ショックや痛みの原因となることはない。
また、自発運動に伴う近赤外線スペクトロスコピーからの脳血流変化を検出する際にも、患者の体内に器具を埋め込む必要はないので、同様に患者に負担をかけることがない。
【0020】
コイルが生じるパルス磁場近傍の神経には、電磁誘導によって活動電位を生じ、脳の運動野や脊髄が麻痺した患者の場合も、手や足を大きく動かすことが可能となる。このようにして生じた運動は、脳及び神経の可塑性によって、新たな神経ネットワークを構築する可能性があり、リハビリテーション効果を増強することに極めて有用である。
運動機能の回復によって、筋電活動が増大してくるので、それに合わせて検出感度を調節し、また刺激出力を調節することができる。
【実施例】
【0021】
次に、本願発明の詳細を実施例に基づいて説明する。なお、この実施例は当業者の理解を容易にするためのものである。すなわち、本願発明は明細書の全体に記載される技術思想によってのみ限定されるものであり、本実施例によってのみ限定されるものでないことは理解されるべきことである。
【0022】
(実施例1)
手首を曲げたときに生じる活動電位を検出するため、筋電位計の電極を前腕に取り付けた。また、パルス電源に接続した磁気刺激コイルを上腕に密着させた。手首を曲げると筋電位が生じ、これをトリガー信号としてパルス電源を放電させると、上腕の神経が磁気刺激されて、腕は大きく曲がった。
放電間隔を10ミリ秒としてパルスを連発すると、腕の屈曲は単発の場合よりも大きくなった。屈曲の程度は、パルス単発<2連発<3連発<4連発のパルス数の増加とともに増大した。パルス間隔は1〜100ミリ秒で効果があったが、100ミリ秒以上では屈曲が複数回に分かれるので効果の増大はなかった。
【0023】
筋電位を検出することができる限り、健常者も損傷を受けた患者も、上腕の神経が磁気刺激されて腕は大きく曲がるという同様の現象を生ずる。患者の場合には、筋電位が弱い場合もあるが、この検出量応じて、神経への磁気刺激量を調整することが可能である。
上記については、筋肉の自発運動に伴う筋電位を検出して磁気パルスにより筋肉を磁気刺激する例を示したが、関節の動きから得た電位、脳波からの活動電位を検出できる場合においては、この活動電位を用いて同様に磁気刺激することが可能である。
【0024】
また、自発運動に伴う近赤外線スペクトロスコピーからの脳血流変化から検出して得た電位を用いても、同様に磁気刺激することが可能である。
このように、筋肉の自発運動に伴う筋電位や関節の動きから得た電位あるいは脳波からの活動電位、さらには自発運動に伴う近赤外線スペクトロスコピーからの脳血流変化からの電位を検出し、これらの電位をトリガー信号として磁気パルスを発生させ、この磁気パルスによって大脳の運動野又は筋肉を磁気刺激することにより筋肉の動きを増強させることができる。また、これを継続することにより機能回復が可能となる。
【0025】
(実施例2)
次に、関節運動に伴う関節運動電位をトリガーとして、誘発運動を生起させる例について説明する。
図1は、本実施例において使用した器具と実施の概要を示す。図1の符号1は関節電位測定電極、符号2は関節電位計、符号3は関節電気信号、符号4はトリガー回路、符号5はトリガー信号、符号6はパルス電源、符号7は磁気刺激コイルを示す。また、符号8は手首の運動を例示したものである。
図1に示すように、関節電位測定電極1を手首の付け根に固定した。
【0026】
この器具を使用して、手の平を握り締めた状態から、1本の指を外力により開くと、電極に最も近い指の関節から6V以上の強い活動電位(関節運動電位)が計測された。なお、他の指を運動させた場合には、活動電位は2V以下であった。
これらの各指につながる正中又は尺骨神経近傍に、磁気刺激コイルを配置し、指の動きに起因する関節運動電位をトリガー信号として、手首の異なる部位に磁気刺激を行うと、目的とする指に大きな誘発運動を起こすことができた。
【0027】
このように、指に損傷を受けた場合に、不活動化した指の運動に対して、わずかに発生した電位を利用し、これをトリガーとして強い関節運動(健常者と同程度の)を生起させ、この継続により機能回復を促進されることが可能である。また、指の関節運動は、それに連動した付近の筋肉の運動にもつながり、一部の人体機能の回復でも、多くの副次的な人体の回復機能を持つことは理解されるであろう。この関節運動の例については、手の指の例のみを示したが、人体の全ての関節運動に対しても、同様に適用できることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0028】
脊髄損傷による四肢麻痺や脳卒中による片麻痺のリハビリテーションにおいて、本人の意思によってわずかでも手足を動かすことに伴う、筋肉や関節の運動電位若しくは脳波の活動電位から発生する電位又は自発運動に伴う近赤外線スペクトロスコピーからの脳血流変化から検出して得た電位がトリガーとなり、磁気刺激を起こして手足の大きな動きを発現することが可能となる。この過程を繰り返すことによって脳及び神経の可塑性に由来する神経ネットワークが新たに構築され、機能回復に要する時間を著しく短縮する効果を有する。このように、脳及び神経の可塑性によって神経ネットワークを新たに構築させることができるので、脳及び神経に損傷を受けた低運動機能患者のリハビリテーションに有効である。
【符号の説明】
【0029】
1:関節電位測定電極
2:関節電位計
3:関節電気信号
4:トリガー回路
5:トリガー信号
6:パルス電源
7:磁気刺激コイル
8:手首の運動の例示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筋肉の自発運動に伴う筋電位若しくは関節の運動に伴う関節運動をセンサーで検出しこれを電気信号に変換した電位、あるいは自発運動の企図と実行に伴う脳波からの活動電位、又は近赤外線スペクトロスコピーからの脳血流変化を検出しこれを電気信号に変換した電位、のいずれかの電位をトリガー信号としてパルス電源に接続した磁気刺激コイルに磁気パルスを発生させ、次にこの磁気パルスによって大脳の運動野又は筋肉を磁気刺激することにより筋肉の動きを増強又は回復させる方法。
【請求項2】
短時間に複数回の磁気刺激を反復する請求項1記載の筋肉の動きを増強又は回復させる方法。
【請求項3】
磁気刺激の反復時間が1ミリ秒から100ミリ秒である請求項2記載の筋肉の動きを増強又は回復させる方法。
【請求項4】
パルス電源に複数の磁気刺激コイルを接続し、スイッチで切り替えながら順次使用することにより、コイルの温度上昇を防止する請求項1〜3のいずれか一項に記載の筋肉の動きを増強又は回復させる方法。
【請求項5】
外部からの磁気刺激で手や足を動かすことにより、既存の神経回路の強化又は新たな神経ネットワークを構築させて機能を回復させるリハビリテーションに使用する請求項1〜4のいずれか一項に記載の筋肉の動きを増強又は回復させる方法。
【請求項6】
筋肉の自発運動に伴う筋電位若しくは関節の運動に伴う関節運動を検出する検出装置、あるいは自発運動の企図と実行に伴う脳波からの活動電位を検出する検出装置、又は近赤外線スペクトロスコピーからの脳血流変化を検出し、この検出した脳血流変化を電気信号に変換する装置を備え、前記装置により検出された筋電位若しくは関節運動を検出しこれを電気信号に変換した電位、脳波からの活動電位、又は脳血流変化を電気信号に変換して得た電位をトリガー信号としてパルス電源の磁気刺激コイルに磁気パルスを発生させる装置、発生した磁気パルスによって大脳の運動野又は筋肉を磁気刺激する装置からなることを特徴とする筋肉の動きを増強又は回復させる装置。
【請求項7】
磁気パルスを発生させる装置に、短時間に複数回の磁気刺激を反復する装置を有する請求項6記載の筋肉の動きを増強又は回復させる装置。
【請求項8】
磁気刺激の反復時間を1ミリ秒から100ミリ秒とする装置を備えた請求項7記載の筋肉の動きを増強又は回復させる装置。
【請求項9】
複数の磁気刺激コイルを接続したパルス電源とスイッチで切り替えながら複数の磁気刺激コイルを順次使用する切り替えスイッチを有し、長時間使用における磁気刺激コイルの温度上昇を防止する請求項6〜8のいずれか一項に記載の筋肉の動きを増強又は回復させる装置。
【請求項10】
外部からの磁気刺激で手や足を動かすことにより、既存の神経回路の強化又は新たな神経ネットワークを構築させて機能を回復させるリハビリテーションに使用する請求項6〜9のいずれか一項に記載の筋肉の動きを増強又は回復させる装置。

【図1】
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【公開番号】特開2010−166971(P2010−166971A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−10212(P2009−10212)
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度厚生労働省「診断・治療用生体深部磁気刺激装置の研究開発」委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【出願人】(507076126)株式会社IFG (10)
【Fターム(参考)】