説明

筋萎縮性側索硬化症治療用ペプチド化合物の新規な用途

本発明は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)およびその他の運動ニューロン疾患および末梢性ニューロパシー治療用ペプチド化合物類の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)およびその他の運動ニューロン疾患および末梢性ニューロパシー治療用ペプチド化合物類の使用に関する。
【0002】
ある種のペプチドは、中枢神経系(CNS)活性を示すものとして知られており、これらは、てんかんおよびその他のCNS疾患の治療において有用である。米国特許第5,378,729号に記載のペプチドは、以下の構造(Ia)
【0003】
【化1】

[式中、
Rは、水素基、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、アリール基、アリール低級アルキル基、複素環基、複素環低級アルキル基、低級アルキル複素環基、低級シクロアルキル基、低級シクロアルキル低級アルキル基であり、Rは非置換であるか、あるいは少なくとも1つの電子求引基または電子供与基によって置換されており;
は、水素基または低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、アリール低級アルキル基、アリール基、複素環低級アルキル基、複素環基、低級シクロアルキル基、低級シクロアルキル低級アルキル基であり、それぞれ非置換であるか、電子供与基または電子求引基によって置換されており;ならびに、
およびRは、それぞれ独立して、水素基、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、アリール低級アルキル基、アリール基、複素環基、複素環低級アルキル基、低級アルキル複素環基、低級シクロアルキル基、低級シクロアルキル低級アルキル基であるか、あるいはZ−Yであり、RおよびRはそれぞれ非置換であるか、電子求引基または電子供与基によって置換されていてもよく;
Zは、O、S、S(O)a、NR、PRまたは化学結合;
Yは、水素基、低級アルキル基、アリール基、アリール低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、ハロ基、複素環基、複素環低級アルキル基であるとともに、Yは非置換であるか、電子供与基または電子求引基によって置換されていてもよく、Yがハロ基である場合、Zは化学結合であり;あるいは、
ZYを併せると、NRNR、NROR、ONR、OPR、PROR、SNR、NRSR、SPRまたはPRSR、NRPRまたはPRNR
【0004】
【化2】

、RおよびRは、それぞれ独立して水素基、低級アルキル基、アリール基、アリール低級アルキル基、低級アルケニル基または低級アルキニル基であるとともに、R、RおよびRは非置換であるか、電子求引基または電子供与基によって置換されていてもよく;
は、RまたはCOORまたはCORであり;
は、水素基または低級アルキル基、あるいはアリール低級アルキル基、ならびにアリールまたはアルキル基であり、非置換であるか、電子求引基または電子供与基によって置換されていてもよく;ならびに、
nは1〜4;ならびに、
aは1〜3である]を有する。
【0005】
また、米国特許第5,773,475号には、CNS疾患の治療に有用な化合物がさらに開示されている。これらの化合物は、下式(IIa)
【0006】
【化3】

[式中、
Arは、非置換またはハロ基により置換されたアリール基であり;Rは、低級アルコキシ基であり;Rは、メチル基である]の構造を有するN−ベンジル−2−アミノ−3−メトキシ−プロピオンアミドである。
【0007】
米国特許第5,378,729号および米国特許第5,773,475号は、参照により本明細書に包含される。しかしながら、これらのいずれの特許にも、ALSおよびその他の運動ニューロン疾患ならびに末梢性ニューロパシー治療に用いる特定の神経保護薬として、これらの化合物を使用することは記載されていない。
【0008】
WO 02/074297号は、式(IIa)による化合物であって、ただしArはフェニル基であり、少なくとも1つのハロ基で置換されていてもよく、Rは1〜3個の炭素原子を有する低級アルコキシ基であり、Rはメチル基である化合物を、末梢神経障害性疼痛に係るアロディニア(異痛症)治療に有用な医薬組成物の製造のために使用することに関するものである。
【0009】
WO 02/074784号は、様々なタイプおよび症状の急性および慢性疼痛、とりわけ非神経障害性炎症性痛覚、例えば関節リウマチ痛および/または二次的炎症性骨関節炎による痛み、の治療に対して抗侵害受容特性を示す、式(Ia)および/または式(IIa)を有する化合物の使用に関するものである。
【0010】
筋萎縮性側索硬化症は、脊髄および脳幹の前角における運動ニューロンの変性および喪失により、さらに広げると下行性運動神経路の変性により特徴付けられる(Dengら、1993年;Rothsteinら、1995年)。本疾患は、進行性筋萎縮症、脆弱性、麻痺を引き起こし、最終的には、呼吸不全による死に至らしめるものである(Andersenら、1995年)。ALSは家族性筋萎縮性側索硬化症(FALS)および特発性筋萎縮性側索硬化症(SALS)の両タイプとして発症する。FALSは症例の5〜10%であり、遺伝型として常染色体優勢である(Gurneyら、1994年;Rosenら、1993年)。FALS症例の約20%は、細胞質のCu、Zn−スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)をエンコードする遺伝子であるSOD1における突然変異に関連するものである(Beckmanら、1993年;Rosenら、1993年)。SOD遺伝子に影響を及ぼす突然変異に関する近年の発見は、FALS発症における酸化的ストレスの役割の研究における推進力となっている。
【0011】
家族性FALSモデルに対する動物モデルを確立するために、ヒトSOD1遺伝子を持つトランスジェニックマウスにおける種々の系統が作成された。野生型ヒトCu、Zn−SODを過剰に産生するマウスは臨床的に正常であり、実際にも酸化的ストレスに対する耐性の増加を示す(Yangら、1994年)。変異型Cu、Zn−SODを産生するマウスは、ALSに酷似する進行性運動ニューロン疾患を発現する(Gurneyら、1994年;Mohajeriら、1998年)。G93A変異、ならびにグリシン→アルギニン変異を発現するマウスにおいて、この表現系は発生する(Gurneyら、1994年)。
【0012】
運動ニューロン疾患のメカニズムは、完全には解明されていない。現在の治療においては、様々な薬理学的、外科的、物理的ならびに心理学的アプローチが用いられている。しかしながら、多くの治療法に対するエビデンスはいまだ限定されたものである。
【0013】
式(Ib)の化合物および/または式(IIb)を、運動ニューロン疾患治療に用いるといった報告はいまだなされていない。したがって、本願発明は、該式(Ib)の化合物および/または式(IIb)を、例えばALS、進行性脊髄性筋萎縮症あるいは進行性球麻痺などの運動ニューロン疾患、および/または、ギラン・バレー症候群あるいはシャルコー・マリー・ツース症候群などの末梢性ニューロパシーの予防、軽減および/または治療のために使用することに関するものである。
【0014】
驚くべきことに、(Ib)の化合物および/または(IIb)、とりわけ(R)−2−アセトアミド−N−ベンジル−3−メトキシプロピオンアミド(SPM 927)、を適用することにより、運動ニューロン疾患に苦しむマウスにおける延命と運動協調性の改善において顕著な効力を示した。したがって、この化合物は運動ニューロン疾患または末梢神経障害(末梢性ニューロパシー)用の薬剤として有用である。
【0015】
本願発明による化合物は、一般式(Ib)
【0016】
【化4】

[式中、
Rは、水素基、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、アリール基、アリール低級アルキル基、複素環基、複素環低級アルキル基、低級アルキル複素環基、低級シクロアルキル基、低級シクロアルキル低級アルキルであり、Rは非置換であるか、あるいは少なくとも1つの電子求引基および/または電子供与基によって置換され;
は、水素基、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、アリール低級アルキル基、アリール基、複素環低級アルキル基、低級アルキル複素環基、複素環基、低級シクロアルキル基、低級シクロアルキル低級アルキルであり、それぞれ非置換であるか、あるいは少なくとも1つの電子供与基および/または電子求引基によって置換され;ならびに
およびRは、それぞれ独立して、水素基、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、アリール低級アルキル基、アリール基、ハロ基、複素環基、複素環低級アルキル基、低級アルキル複素環基、低級シクロアルキル基、低級シクロアルキル低級アルキル基であるか、あるいはZ−Yであり、式中、RおよびRはそれぞれ非置換であるか、あるいは少なくとも1つの電子求引基および/または電子供与基によって置換されていてもよく;
Zは、O、S、S(O)a、NR、NR‘、PRまたは化学結合であり;
Yは、水素基、低級アルキル基、アリール基、アリール低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、ハロ基、複素環基、複素環低級アルキル基、低級アルキル複素環基であるとともに、Yは非置換であるか、あるいは少なくとも1つの電子供与基および/または電子求引基によって置換されていてもよく、Yがハロ基である場合、Zは化学結合であり;あるいは、
ZYを併せると、NRNR、NROR、ONR、OPR、PROR、SNR、NRSR、SPR、PRSR、NRPR、PRNRまたはN
【0017】
【化5】

であり
R'は、水素基、低級アルキル基、低級アルケニル基または低級アルケニル基であるとともに、これは非置換であるか、あるいは少なくとも1つの電子求引基および/または電子供与基によって置換されていてもよく;
、RおよびRは、それぞれ独立して水素基、低級アルキル基、アリール基、アリール低級アルキル基、低級アルケニル基または低級アルキニル基であるとともに、R、RおよびRはそれぞれ独立して非置換であるか、あるいは少なくとも1つの電子求引基および/または電子供与基によって置換されていてもよく;
は、RまたはCOORまたはCORであり、ここでRは非置換であるか、あるいは少なくとも1つの電子求引基および/または電子供与基によって置換されていてもよく;
は、水素基または低級アルキル基、あるいはアリール低級アルキル基、ならびにアリールまたはアルキル基であり、非置換であるか、あるいは少なくとも1つの電子求引基および/または電子供与基によって置換されていてもよく;ならびに、
nは1〜4;ならびに、
aは1〜3である]を有する。
【0018】
好ましくは(本願発明)による化合物は、一般式(IIb)
【0019】
【化6】

[式中、
Arは、アリール基、特にフェニル基であり、これは非置換であるか、あるいは少なくとも1つのハロ基により置換され;Rは、−CH−Qであり、Qは低級アルコキシ基であり;Rは、低級アルキル基、特にメチル基である]を有する。
【0020】
また、本願発明は、運動ニューロン疾患、および/または、末梢神経障害(末梢性ニューロパシー)の予防、軽減および/または治療に有用な、式(Ib)および/または式(IIb)による化合物を含む医薬組成物も指す。
【0021】
「低級アルキル」基とは、単独であっても、あるいはその他の基との組み合わせとして使用される場合であっても、1〜6個の炭素原子、とりわけ1〜3個の炭素原子を含み、直鎖であっても分岐鎖であっても構わない。これらの基には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、第三ブチル基、アミル基、ヘキシル基などが含まれる。
【0022】
「低級アルコキシ」基とは、1〜6個の炭素原子、とりわけ1〜3個の炭素原子を含み、直鎖であっても分岐鎖であっても構わない。これらの基には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、第三ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキソキシ基などが含まれる。
【0023】
「アリール低級アルキル」基には、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルイソプロピル基、フェニルブチル基、ジフェニルメチル基、1,1−ジフェニルエチル基、1,2−ジフェニルエチル基などが含まれる。
【0024】
「アリール」基という用語は、単独であっても、あるいは組み合わせとして使用される場合であっても、6〜18個の環状の炭素原子を、合計25個以下の炭素原子を含み、多環芳香族を含む芳香族基を指す。これらのアリール基は、単環式、二環式、三環式または多環式であっても良く、これらは縮合環である。本明細書において使用される多環芳香族化合物は、10〜18個の環炭素原子を含み、合計で最大25炭素原子を含む二環式および三環式縮合系を包含するものと解釈される。アリール基には、フェニル基および例えばナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、アズレニル基などの多環芳香族基が含まれる。また、アリール基には、フェロセニル基のような基も含まれる。アリール基は、非置換であるか、あるいは、少なくとも1つの電子求引基および/または電子供与基によって、単置換または多置換されていてもよい。
【0025】
「低級アルケニル基」とは、少なくとも1つの二重結合を含み、2〜6個の炭素原子を含むアルケニル基である。これらの基は直鎖または分岐鎖であり、ZまたはE型であっても良い。このような基には、ビニル基、プロペニル基、1−ブテニル基、イソブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、(Z)−2−ペンテニル基、(E)−2−ペンテニル基、(Z)−4−メチル−2−ペンテニル基、(E)−4−メチル−2−ペンテニル基、ペンタジエニル基、例えば1,3−または2,4−ペンタジエニル基などが含まれる。
【0026】
「低級アルキニル基」とは、2〜6個の炭素原子を含み、直鎖または分岐鎖である。これには、例えば、エチニル基、プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−メチル−1−ペンチニル基、3−ペンチニル基、1−へキシニル基、2−へキシニル基、3−へキシニル基などが含まれる。
【0027】
「低級シクロアルキル基」とは、単独または組み合わせによる使用において、3〜18個の環炭素原子を含み、合計で最大25炭素原子を含む。シクロアルキル基は、単環式、二環式、三環式または多環式であっても良く、これらの環は縮合している。シクロアルキル基は、完全に飽和状態であっても、部分的に飽和状態であっても構わない。例としてはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、シクロヘキセニル基、シクロペンテニル基、シクロオクテニル基、シクロヘプテニル基、デカリニル基、ヒドロインダニル基、インダニル基、フェンチル基、ピネニル基、アダマンチル基などが含まれる。シクロアルキル基にはシスまたはトランス型が含まれる。シクロアルキル基は、非置換であるか、あるいは、後述の電子求引基および/または電子供与基によって、単置換または多置換されていても構わない。さらに、置換が架橋二環系の内部に位置するものであっても外部に位置するものであっても構わない。
【0028】
「電子求引基および電子供与基」との用語は、置換基が有する、それぞれ電子を求引または供与する能力を指し、水素原子がその分子内において同位置が占有された場合、水素のそれと等しい。これらの用語は当業者によって十分に理解されるものであり、J.March、John WileyおよびSonsによる、Advanced Organic Chemistry、New York,NY、16〜18ページ(1985年)において論じられているが、そこに記載される議論は参照により本願発明に包含される電子求引基には、ブロモ基、フルオロ基、クロロ基、ヨード基などを含むハロ基、ニトロ基、カルボキシ基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、ホルミル基、カルボキシアミド基、アリール基、第4級アンモニウム基、ならびにトリフルオロメチル基、アリール低級アルカノイル基、カルバルコキシ基などのハロアルキル基などが含まれる。電子供与基には、水酸基、メトキシ基、エトキシ基などのような低級アルコキシ基、メチル基、エチル基などのような低級アルキル基、アミノ基、低級アルキルアミノ基、ジ(低級アルキル)アミノ基、ならびにフェノキシ基、メルカプト基、低級アルキルチオ基、低級アルキルメルカプト基、ジスルフィド基(低級アルキルジチオ基)などのアリールオキシ基、などが含まれる。当業者であれば、前述の置換のいくつかは、異なる化学状態下における電子供与または電子求引としてみなして構わないことを十分に理解するであろう。さらに、本願発明は、先の記載により定義された基から選択される置換のいかなる組み合わせをも意図するものである。
【0029】
「ハロ基」という用語には、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などが含まれる。
【0030】
「アシル基」という用語には、1〜6個の炭素原子を含む低級アルカノイル基であり、直鎖であっても分岐鎖であっても構わない。これらの基には、例えばホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、第3ブチリル基、ペンタノイル基およびヘキサノイル基が含まれる。
【0031】
本明細書における使用では、複素環基には少なくともひとつの硫黄、窒素または酸素環原子が含まれるが、複数の該原子がこの環の中に含まれていても構わない。本願発明により意図される複素環基には、複素環式芳香族化合物、ならびに飽和または部分飽和の複素環化合物が含まれる。これらの複素環基は単環式、二環式、三環式または多環式であっても良く、これらは縮合環である。これらは、好ましくは18個以下の環原子および合計17個以下の環炭素原子および合計25個以下の炭素原子を含んでいても構わない。複素環基には、いわゆるベンゾへテロ環基が含まれるものと意図される。代表的な複素環基には、フリル基、チエニル基、ピラゾリル基、ピロリル基、メチルピロリル基、イミダゾリル基、インドリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イソチアゾリル基、イソキサゾリル基、ピペリジル基、ピロリニル基、ピペラジニル基、キノリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、イソキノリル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、モルホリニル基、ベンゾキサゾリル基、テトラヒドロフリル基、ピラニル基、インダゾリル基、プリニル基、インドリニル基、ピラゾリンジニル基、イミダゾリニル基、イミダゾリンジニル基、ピロリジニル基、フラザニル基、N−メチルインドリル基、メチルフリル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリジル基、エポキシ基、アジリジノ基、オキセタニル基、アゼチジニル基、ならびにピリジル基、ピラジニル基およびピリミジニル基のN−酸化物など窒素含有複素環のN−酸化物などが含まれる。複素環基は、非置換であるか、あるいは、電子求引基および/または電子供与基によって、単置換または多置換されていても構わない。
【0032】
好ましい複素環基は、チエニル基、フリル基、ピロリル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、メチルピロリル基、モルホリニル基、ピリジル基、ピラジニル基、イミダソリル基、ピリミジニル基またはピリダジニル基である。好ましい複素環基は、5または6員環の複素環化合物である。特に好ましい複素環基は、フリル基、ピリジル基、ピラジニル基、イミダソリル基、ピリミジニル基またはピリダジニル基である。最も好ましい複素環基は、フリル基、ピリジル基である。
【0033】
好ましい化合物はこれらの中でn=1のものであるが、ジ(n=2)、トリ(n=3)およびテトラペプチド(n=4)も本願発明の範疇であることが意図される。
【0034】
好ましいR値は、アリール低級アルキル、特にそのフェニル環が非置換であるか、あるいは、電子供与基および/または電子求引基によって、置換されているベンジルであり、ハロ基(例えばF)などである。
【0035】
好ましいRはHまたは低級アルキルである。最も好ましいR基はメチルである。
【0036】
好ましい電子供与置換基および/または電子求引置換基は、ハロ基、ニトロ基、アルカノイル基、ホルミル基、アリールアルカノイル基、アリーロイル基、カルボキシル基、カルバルコキシ基、カルボキサミド基、シアノ基、スルホニル基、スルホキシド基、複素環基、グアニジン基、第4級アンモニウム基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、スルホニウム塩基、水酸基、低級アルコキシ基、低級アルキル基、アミノ基、低級アルキルアミノ基、ジ(低級アルキル)アミノ基、アミノ低級アルキル基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、アルキルチオ基およびアルキルジチオ基である。「スルフィド基」という用語には、メルカプト基、メルカプトアルキル基およびアルキルチオ基が包含されるが、ジスルフィド基という用語には、アルキルジチオ基が包含される。特に好ましい電子供与置換基および/または電子求引置換基は、ハロ基または低級アルコキシ基であるが、最も好ましいものはフルオロ基またはメトキシ基である。これらの好ましい置換基は、式(Ib)および/または(IIb)中のいずれの基に存在しても構わないものであり、例えば先に定義されたR、R、R、R、R、R、R、R’、R、Rおよび/またはR50である。
【0037】
およびRを代表するZY基には、水酸基、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、フェノキシ基などのアリールオキシ基;チオメトキシ基、チオエトキシ基などのチオアルコキシ基;チオフェノキシ基などのチオアリールオキシ基;アミノ基;メチルアミノ基、エチルアミノ基などのアルキルアミノ基、アニリノ基などのアリールアミノ基;ジメチルアミノ基などの低級ジアルキルアミノ基、トリアルキルアンモニウム塩基、ヒドラジノ基;N−メチルヒドラジノ基,N−フェニルヒドラジノ基、カルバルコキシヒドラジノ基、アラルコキシカルボニルヒドラジノ基、アリールオキシカルボニルヒドラジノ基などのアルキルヒドラジノ基およびアリールヒドラジノ基;N−ヒドロキシルアミノ(−NH−OH)、低級アルコキシアミノ[(NHOR18)、ただしR18は低級アルキル基]、N−低級アルキルヒドロキシルアミノ基[(NR18)OH、ただしR18は低級アルキル基]、N−低級アルキル−O−低級アルキルヒドロキシアミノ基、すなわち、[N(R18)OR19、ただしR18およびR19はそれぞれ独立して低級アルキル基]およびO−ヒドロキシルアミノ基(O−NH)などのヒドロキシルアミノ基;アセトアミド基などのアルキルアミド基、トリフルオロアセトアミド基;低級アルコキシアミノ基(例えば、NH(OCH))、ならびに、ピラゾイルアミノ基などの複素環アミノ基が含まれる。
【0038】
およびRを代表する好ましい複素環基は、下式
【0039】
【化7】

の単環式5または6員環の複素環部分であり、
あるいは、n=0または1にて、それらを部分的または完全に飽和としたものに相当するものであり、および
50はH、あるいは電子求引基または電子供与基であり、
A、E、L、JおよびGはそれぞれ独立してCH、あるいは、N、O、Sからなる群から選択されるヘテロ原子であり、
しかしながらn=0、G=CHである場合には、あるいは、A、E、L、JおよびGの少なくとも二つがヘテロ原子であるとの条件においてNH、O、およびSからなる基から選択されるヘテロ原子である。
【0040】
n=0である場合、上述の複素環式芳香族部分は5員環であり、一方、n=1の場合、複素環部分は6員環の単環式複素環部分である。好ましい複素環部分は、先述の複素環であって単環式のものである。
【0041】
上記の環が窒素環原子を含む場合、N−酸化物型もまた本願発明の範疇に属するものと解釈される。
【0042】
またはRが上記式の複素環である場合、環炭素原子によって主鎖に結合していても構わない。nが0である場合、RおよびRは、窒素環原子によって主鎖に付加的に結合していても構わない。
【0043】
その他の好ましいRおよびR部分は、水素基、フェニル基やアリール基などのアリール基、そしてベンジル基やアルキル基などのアルキル基である。
【0044】
好ましいRおよびR部分は、非置換であるか、あるいは、電子供与基および/または電子求引基によって、単置換または多置換されていても構わないものと解釈される。RおよびRは、それぞれ独立して、非置換であるか、あるいは、低級アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基など)、N−ヒドロキシルアミノ基、N−低級アルキルヒドロキシアミノ基、N−低級アルキル−O−低級アルキルならびにアルキルヒドロキシアミノ基などの電子求引基および/または電子供与基によって置換された水素基、低級アルキル基であることが好ましい。
【0045】
およびRのひとつが水素基であることは好適である。
【0046】
n=1であることは好適である。
【0047】
n=1であり、RおよびRのひとつが水素基であることは、さらに好適である。この態様において、Rが水素基であり、Rが低級アルキルまたはZY;ZがO、NRまたはPR;ZYがNRNR、NROR、ONR、NRC(O)−RまたはNRC(O)−ORであることは特に好ましい。
【0048】
他の特に好ましい態様において、n=1、Rは水素基、およびRは低級アルキル基であるが、これは、置換であるか、あるいは、電子供与基または電子求引基であるNRORまたはONRによって非置換されていても構わない。
【0049】
さらにその他の特に好ましい態様において、n=1、Rは水素基、およびRは非置換であるか、あるいは、水酸基または低級アルコキシ基によって置換された低級アルキル基、NRORまたはONRであり、ここでR、RおよびRはそれぞれ独立して水素基または低級アルキル基であり、Rはアリール低級アルキルであり、アリール基は非置換であるか、電子求引基によって置換されていてもよく、Rは低級アルキルである。この態様において、アリール基は非置換またはハロ基によって置換されたフェニル基であることが最も好ましい。
【0050】
が水素基であり、Rが水素基、アルキル基であって非置換であるか、あるいは、少なくともひとつの電子供与基または電子求引基によって置換されているもの、またはZYであることは好ましい。この好適な態様において、Rが水素基、メチル基などのアルキル基であって、またはNRORまたはONRであり、ここでR、RおよびRはそれぞれ独立して水素基または低級アルキル基であることがより好ましい。電子供与基が低級アルコキシ基、とりわけメトキシ基またはエトキシ基であることは好ましい。
【0051】
およびRは、それぞれ独立して水素基、低級アルキル基、またはZYであり;ZがO、NRまたはPRであることが好ましく;
Yは、水素基または低級アルキル基、あるいは
ZYは、NRNR、NROR、ONR、NRC(O)−RまたはNRC(O)−ORであることは好ましい。。
【0052】
Rがアリール低級アルキル基であることも好ましい。Rとして最も好ましいアリール基は、フェニル基である。最も好ましいR基はベンジル基である。好ましい態様において、アリール基は、非置換であるか、あるいは、電子供与基または電子求引基によって置換されている。R内におけるアリール環が置換されている場合、とりわけアリール環上で電子求引基によって、置換されていることが最も好ましい。Rとして最も好ましい電子求引基はハロ基、とりわけフルオロ基である。
【0053】
好ましいRは低級アルキル基、特にメチル基である。
【0054】
Rがアリール低級アルキル、ならびにRが低級アルキルであることが、より好ましい。
【0055】
さらに好ましい化合物は、式(Ib)の化合物であり、式中、nは1;Rは水素;Rは水素、低級アルキル基、とりわけメチル基であって、電子供与基または電子求引基により置換されているか、あるいはZYであり;Rはアリール基、アリール低級アルキル基、例えばベンジル基、ここでアリール基は非置換であるか、電子供与基または電子求引基により置換されており、Rは低級アルキル基である。この態様において、より好ましくは、Rは水素基、低級アルキル基、特にメチル基、これは電子供与基により置換されていてもよく、例えば低級アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基など)、NRORまたはONR、ただしこれらの基は本明細書の先の記述において定義されたもの、である。
【0056】
使用される最も好適な化合物は、式(IIb)
【0057】
【化8】

[式中、
Arはアリール基、特にフェニル基、これは非置換であるか、あるいは、電子供与基または電子求引基、とりわけハロ基、によって置換されており、
は低級アルキル、特に1〜3個の炭素原子、を含んでおり;そして、
は本明細書において定義される通りであるが、しかしながら特に水素基、低級アルキル基、これは非置換であるか、あるいは、ひとつの電子供与基または電子求引基によって置換されている、あるいはZYである]で表される。この態様において、Rは水素基、アルキル基、これは非置換であるか、あるいは、少なくともひとつの電子供与基によって置換されている、NROR、またはONRであることがさらに好ましい。RがCH−Q、ここでQは低級アルコキシ基、特に1〜3個の炭素原子を含むもの;NRORまたはONR、ここでRは水素基またはアルキル基であって1〜3個の炭素原子を含むもの、Rは水素基またはアルキル基であって1〜3個の炭素原子を含むもの、Rは水素基またはアルキル基であって1〜3個の炭素原子を含むものであることが最も好ましい。
【0058】
最も好ましいRはCHである。最も好ましいRはCH−Qであり、ここでQはメトキシ基である。
【0059】
最も好ましいアリール基はフェニル基である。最も好ましいハロ基はフルオロ基である。
【0060】
最も好ましい化合物には、次のものが含まれる:
(R)−2−アセトアミド−N−ベンジル−3−メトキシ−プロピオンアミド;
O−メチル−N−アセチル−D−セリン−m−フルオロベンジル−アミド;
O−メチル−N−アセチル−D−セリン−p−フルオロベンジル−アミド;
N−アセチル−D−フェニルグリシン ベンジルアミド;
D−1,2−(N,O−ジメチルヒドロキシルアミノ)−2−アセトアミド酢酸ベンジルアミド;
D−1,2−(O−メチルヒドロキシルアミノ)−2−アセトアミド酢酸ベンジルアミド。
【0061】
本明細書に記載されるR、R、R、Rおよびnのマーカッシュグループの、様々な組み合わせならびに置き換えは、本願発明の範囲内にあることを意図するものであると解釈される。さらに、本願発明は、R、R、R、nおよびRにおけるマーカッシュグループ化のそれぞれの要素のひとつ以上を含む化合物および組成物、ならびにこれらの多様な組み合わせをも意図するものである。したがって、例えば、nの各値に対するR、RおよびRのいずれか一種、あるいは全種との組み合わせにおいて、上記で列挙された置換基の一種またはそれ以上であっても構わない、ということを本願発明は意図するのである。
【0062】
本願発明で使用される化合物は、一種またはそれ以上の不斉炭素を含むものであってもよく、ラセミまたは光学活性体または光学活性体中に存在するものであっても構わない。各不斉炭素の周囲の立体配置は、D体またはL体のいずれであってもよい。当業界において、キラル炭素(不斉炭素)原子周囲の立体配置は、カーン・インゴルド・プレローグの順位側におけるRまたはSとして示すこともできることは、当業界においてよく知られている。種々の鏡像体およびジアステレオマー、また同様に、ラセミ混合体、ならびに鏡像体、ジアステレオマーまたはこれら両者の混合体を含め、各不斉炭素原子周囲の様々な立体配置のすべては、本願発明の意図するところである。
【0063】
主鎖では、RおよびR基が結合している炭素原子において非対称が存在する。nが1である場合、本願発明の化合物は式
【0064】
【化9】

[式中、R、R、R、R、R、R、R、R'、R、R、R50、ZおよびYは先の定義にしたがうものである]の化合物である。
【0065】
本明細書における使用では、立体配置との用語は、分子内に他のキラル中心が存在する可能性がある場合であっても、RおよびR基が結合している炭素原子周辺の立体配置を指すものとする。したがって、DあるいはLなど、特定の立体配置を指す場合、RおよびR基が結合している炭素原子におけるDまたはL異性体を意味するものであると解釈される。しかしながら、化合物中に他のキラル中心がもしも存在する場合には、そのキラル中心における、可能性のあるすべての鏡像体およびジアステレオマーもこれに含まれる。
【0066】
本願発明の化合物は、すべての光学異性体を指し、すなわち本願発明の化合物は、(RおよびR基が結合している炭素原子における)L−立体異性体またはD−立体異性体のいずれかである。これらの立体異性体はLおよびD−立体異性体の混合物、例えばラセミ混合物中で発見できる。D−立体異性体が好ましい。
【0067】
より好ましいものは、R立体配置における式(III)の化合物であり、好ましくは実質的にエナンチオマー純粋であり、ここで置換基Rはベンジル基であり、非置換であるか、あるいは少なくとも一種のハロ基で置換されており、RはCH−Q,ここでQは1〜3個の炭素原子を含む低級アルコキシ基であり、Rはメチル基である。Rは、好ましくは非置換のベンジル基、あるいは少なくとも一種以上のハロ基、これはフルオロ基である、で置換されている。
【0068】
置換基次第では、本願の化合物は、付加塩をも形成するしても構わない。これらの形成物はすべて、立体異性体の混合物を含む本願発明の範囲にあることが意図される。
【0069】
使用する化合物の製造は、米国特許第5,378,729号および第5,773,475号に記載されており、これら両特許の内容は参照により本明細書に包含される。
【0070】
本願発明において使用される化合物は、例えば、式(Ib)および/または(IIb)に表現されるように有用であり、あるいは遊離アミノ基の存在により、その基本的性質の観点から塩の形で用いられることが可能である。したがって、式(Ib)および/または(IIb)の化合物は、製剤学的に認容性の酸を含む、多様な種類の無機または有機酸と共に塩を形成する。水溶性の増強がもっとも有効であるような剤型の製造において、治療上許容できる酸との塩は、当然ながら有用である。
【0071】
これらの製剤学的に認容性の塩もまた治療上の効果を奏する。これらの塩には、塩酸、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、ニトリル酸および硫酸などの無機酸塩、ならびに、酒石酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、安息香酸、過塩素酸、グリコール酸、グルコン酸、コハク酸、アリールスルホン酸(例えば、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)、ホスホン酸、マロン酸などの有機酸塩などが含まれる。
【0072】
本願発明はさらに、ヒトを含む哺乳類における予防、軽減および/または先に記載の疾患あるいは症状の治療であって、式(Ib)および/または(IIb)の化合物を少なくとも一種類以上投与することを含むものに関する。
【0073】
本願発明に利用される化合物は、治療効果の認められる量で使用されることが好ましい。
【0074】
医師は最も適切となるように本願の治療薬の投与量を決定し、また、この量は投与形態および選択した個々の化合物に応じて変化するが、さらに、これは治療を受ける患者、患者の年齢、治療を受けている疾病のタイプに応じて変化するものである。医師は、その化合物の最適投与量よりも実質的に少ない投与量から治療を開始し、その状況下における最適効果に到達するまで少量ずつ投与量を増量することを一般的に望む。化合物が経口投与される場合、より少量の非経口投与物と同等の効果を得るためには、より多量の活性成分が必要とされるであろう。この化合物は、比較用治療薬と同様に有用であり、その投与量レベルは、これらの他の治療薬に一般的に採用されるものと同様の規模である。
【0075】
好ましい態様において、本願発明の化合物は、一日当たり、体重1キログラムにつき約1mg〜約100mgの範囲、より好ましくは一日当たり、体重1キログラムにつき約1mg〜約10mgの範囲の量で投与される。この用量は、最適治療反応となるように、医師により調整されることが可能である。これを必要とする患者は、少なくとも50mg/日、好ましくは少なくとも200mg/日、より好ましくは少なくとも300mg/日、そして最も好ましくは少なくとも400mg/日の用量の本願発明の化合物にて治療を受けても構わない。一般的に、これを必要とする患者は、多くとも(最大)6g/日、より好ましくは多くとも1g/日、そして最も好ましくは多くとも600mg/日の用量の本願発明の化合物にて治療を受けても構わない。しかしながら、いくつかのケースでは、さらに高め、あるいはさらに低めの用量が必要とされても構わない。
【0076】
その他の好ましい態様において、それ以降の治療中に保持される予め決めておいた用量に到達するまでは、毎日の投与量を増加させる。
【0077】
さらにその他の好ましい態様において、毎日、複数に分割されて投与されても構わない。例えば、一日に三回の投与、好ましくは一日に二回の投与が行なわれても構わない。一日に単回の投与であることがより好ましい。
【0078】
さらにその他の好ましい態様において、0.1〜15μg/ml(最低時)および5〜18.5μg/ml(ピーク時)の血漿濃度となるような量の本願発明の化合物が投与されても良い。
【0079】
式(Ib)および/または(IIb)の化合物は、都合のよい方法、例えば経口、静脈内(水溶性の場合)、筋肉内、髄空内または皮下経由にて投与される。経口および/または静脈注射による投与が好ましい。
【0080】
本願発明の医薬組成物は、先に記載の治療方法用、とりわけ、本願発明の態様において特定した先に記載の投与期間および/または投与経路に対して、先に記載の血漿濃度を奏するための、先に記載の用量による治療用に製造されるものであっても構わない。
【0081】
他の態様において、それを必要とする人を含む哺乳類の治療のための、先に記載の本願発明の方法であって、運動ニューロン疾患、および/または、末梢性ニューロパシーの予防、軽減および/または治療のための、その他の活性剤を投与することと併用して本願発明の化合物を投与することを含む。本願発明の化合物およびその他の活性剤は、一緒に、すなわち、単回投与の形態、で投与されても良く、あるいは、別途、すなわち別々の投与形態、で投与されても構わない。したがって、本願発明の医薬組成物は、先に特定した本願発明の化合物を含むものであってもよく、そして、運動ニューロン疾患、および/または、末梢性ニューロパシーの予防、軽減および/または治療のための、その他の活性剤を、さらに含むものであっても構わない。この医薬組成物は、単一の剤形を含むものであっても良く、あるいは、本願発明の化合物を含む第一組成物ならびにその他の活性剤を含む第二組成物を含有する、別々に投与する形状を含むものであっても構わない。
【0082】
運動ニューロン疾患、および/または、末梢神経障害(末梢性ニューロパシー)の予防、軽減および/または治療のための,その他の活性剤は、当業者に知られる、好ましい薬剤であれば、いずれであっても構わない。
【0083】
本願発明の化合物は、先に記載の医薬組成物の製造に使用することが可能である。
【0084】
式(Ib)および/または(IIb)の化合物は、例えば、不活性希釈剤または同化できる可食単体と一緒に経口により投与をおこなっても構わないが、あるいは、これをハードまたはソフトシェルのゼラチンカプセルに封入してもよく、あるいは固めて錠剤としてもよく、あるいは直接食事の中に混入させても構わない。経口による治療を目的とする投与のためには、式(Ib)および/または(IIb)の活性化合物を賦形剤に組み込み、体内摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ、カプセル、エリキシル剤、けん濁液、シロップ、ウェハースなどの形状で使用する。このような化合物および製造物には、少なくとも1%の式(Ib)および/または(IIb)の活性化合物が含まれるようにする必要がある。この化合物および製造物の百分率は、勿論多岐に渡るものであるが、一般的にはユニット(一単位)の重量の約5〜約80%であっても構わない。こうした医薬上有用な組成物中における式(Ib)および/または(IIb)の活性化合物の重量は、好適な投与量が得られるものとする。本願発明による好ましい化合物および製造物は、約10mg〜6gの間の式(Ib)および/または(IIb)の活性化合物を含んでいる。
【0085】
錠剤、トローチ、ピル、カプセルなどには、以下のものも含まれ得る:トラガカント、アカシア、コーンスターチまたはゼラチンなどのバインダー(結合剤);第二リン酸カルシウムなどの賦形剤;コーンスターチ、片栗粉、アルギン酸などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤;ならびに、ショ糖、乳糖またはサッカリンなどの甘味料、あるいはペパーミント、ウィンターグリーン油またはチェリーフレーバーなどの香料を加えても構わない。投与ユニットフォームがカプセルである場合、前記のタイプの原料に加え、液状担体を含有していても構わない。
【0086】
様々なその他の原料は、コーティング剤(被覆剤)として含まれていてもよく、あるいは投与ユニットの物理的形状を改変するものであってもよい。例えば、錠剤、ピルまたはカプセルは、セラック、砂糖または両者によりコーティングされていても構わない。シロップまたはエリキシル剤は活性化合物、甘味料としてショ糖、防腐剤としてメチルおよびプロピルパラベン、染料、ならびにチェリーまたはオレンジフレーバーなどの香料を含んでいてもよい。いかなる投与ユニットフォームの製造に使用される、いかなる原料であっても、医薬的に純粋であり、用いられる量において実質的に非毒性のものでなければならない。加えて、活性化合物は徐放性の製造物および製剤に組み込まれるものであっても構わない。徐放性の投与形状は、例えば、活性成分がイオン交換樹脂に結合するものであることを意図し、樹脂の放出特性を改変するために、任意でこの樹脂を拡散障壁コーティング剤でコーティングすることが可能である。
【0087】
活性化合物は、非経口または腹腔内による投与とすることも可能である。分散液は、グリセロール、液体、ポリエチレングリコールおよびこれらの混合物中、あるいは油中で製造することができる。通常の貯蔵および使用条件の下では、微生物の生育を避けるために製造物には防腐剤が含まれている。
【0088】
注入(注射)投与に好適な医薬的形状には、無菌水性溶液(水溶性のもの)または分散液、ならびに無菌注射溶液または分散液の即時製造用の無菌粉末が含まれる。いずれの場合にも、この形成物は無菌でなければならず、また、容易に注射可能な状態となるように広がり渡るような流動物でなければならない。製造および貯蔵状態において安定でなければならず、また、バクテリアや菌類などの微生物による汚染から保護されなければならない。担体は、溶媒または分散媒質であってもよく、例えば水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、ポリエチレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなど)、これらの好ましい混合物、ならびに植物油などである。たとえば、レシチンなどのコーティング剤の使用により、分散液の場合には所望の粒子サイズの保持により、そして界面活性剤の使用により、適正な流動性を保つことが可能である。微生物の活動の予防は、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなど、種々の抗菌剤および抗カビ剤により行なうことが可能である。多くの場合、例えば、砂糖や塩化ナトリウムなどの等張剤を含むことが好ましい。注入(注射)用組成物の吸収の長期化は、組成物中に、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収遅延剤を使用することにより行なうことが可能である。
【0089】
無菌(滅菌)注入用(注射用)溶液は、必要とされる量の活性化合物を、必要に応じて先に列挙した種々の他の成分を含む適切な溶媒に混入し、次にろ過滅菌することにより製造される。一般的に分散液は、様々な無菌(滅菌)活性成分を、基本的な分散媒および先に列挙したものの中から必要とされるその他の成分を含む無菌(滅菌)担体に組み込むことに製造される。無菌注入用溶液の調整用の無菌(滅菌)粉末の場合、好ましい製造方法は、フリーズドライ技術に、先述のろ過滅菌溶液に由来する、いかなる追加の必要成分をも加えて真空乾燥することである。
【0090】
本明細書において使用される「医薬的に共用できる担体」には、医薬的活性物質用であって当業界において周知の、いかなる、そしてすべての溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌および抗カビ剤、等張および吸収遅延剤が含まれる。従来の溶媒または成分が活性成分と混合できない場合を除き、医薬組成物中におけるその使用が意図されるものとする。補助活性成分もまた組成物中に混入することが可能である。
【0091】
非経口組成物を、投与ユニットフォーム、または投与が簡便で用量の均質となるように製剤化することは有益である。本明細書における使用において、投与ユニットフォームとは、治療を施される哺乳類の個体の単位投与量に適合した物的に別々のユニットであり;各ユニットは、必要とされる医薬的な担体と関連して所望の治療上の効果を奏するように算出された、予め決められた量の活性物質を含んでいる。本願発明の新規な投与ユニットフォームは、(a)活性物質のもつ固有の特性および達成すべき特定の治療効果、ならびに(b)本明細書に詳しく記述されるように身体上の健康が損なわれている、疾患状態にある生存対象物における疾患の治療用の活性物質などを配合する技術における特有の制限、により決定されると共に、これらに直接依存する。
【0092】
主要活性成分は、好都合かつ効果的な投与のために、有効量にて好適で許容可能な担体とともに、先に記載した投与ユニットフォームに混合される。投与ユニットフォームは、例えば、主要活性化合物を約10mg〜約6gの範囲の量で含むことが可能である。割合で示した場合、活性化合物は、通常、担体のmlあたり約1〜約750mgとなる。組成物が補助活性成分を含む場合、通常の用量および当該成分の投与方法を参照することによって投与量が決定される。
【0093】
本明細書において、「患者」または「被験物」とは、暖かい血の通った動物、好ましくは哺乳類、たとえばネコ、イヌ、ウマ、ウシ、ブタ、ネズミ、ラット、およびヒトを含む霊長類である。好ましい患者はヒトである。
【0094】
「治療」という用語は、疾患またはコンディションに関連する痛みを軽減して治癒に向かうか、あるいは、患者の疾患またはコンディションを緩和するか、あるいは、延命をもたらすことを指す。
【0095】
本願発明の化合物は先に記載したタイプの疾患に苦しむ患者に対して有効量で投与される。これらの量は、先に記載の治療上における有効量と同等である。
【0096】
以下の実施例および図面は、SOD突然変異マウスの運動協調性および延命におけるSPM927の特性を示している。
【0097】
使用された物質は、SPM927であり、これはハルコセライド(Harkoseride)の同義語である。標準化学命名法では(R)−2−アセトアミド−N−ベンジル−3−メトキシプロピオンアミドである。SPM927の国際的な一般名はlacosamideである。
【0098】
図面の説明
第1図は、SPM927が用量依存的にSOD突然変異マウスの寿命を延ばすことを示している。
【0099】
第2図は、SPM927(30mg/kg)が、SOD突然変異マウスの運動機能障害(グリッドパーフォーマンス)を軽減することを示している。
【0100】
第3図は、SPM927(10mg/kg)が、SOD突然変異マウスの運動機能障害(化合物の筋肉活動ポテンシャルの潜時)を軽減することを示している。
【0101】
実施例
筋萎縮性側索硬化症(ALS)モデルのSOD突然変異マウスにおけるSPM927の効果
この試験は、SPM927による長期投与が、ALSモデルのマウス(SOD突然変異マウス)において運動症状を軽減し、生存期間を長期化することを示している。SPM927の投与は、電気生理学的記録(EMG)における異常を含む運動症状を軽減し、マウスモデルにおける症状発症後の生存期間を長期化する。
【0102】
本試験は、このALSモデルにおいて観察される機能障害の防御または軽減を行なうためのSPM927の効果を調査するものである。この目的により、突然変異ヒトCu、ZnSODを過剰に発現するSOD−G93Aマウスにおいて、行動測定法およびEMGを実施する。
【0103】
材料および方法
本試験に使用されたトランスジェニックマウスはG1H(Gurneyら、1994年)である。動物は3月齢のあたりから後肢虚弱の兆候を示し始め、4月齢で死亡する。
【0104】
40匹のマウスを本試験に採用し、10匹のマウスによる4つのグループ(群)に分ける。
・SOD担体群
・SOD処置群(SPM927 3mg/kg)
・SOD処置群(SPM927 10mg/kg)
・SOD処置群(SPM927 30mg/kg)
動物を毎日秤量した。マウスの全身状態を毎日点検し、特に振戦の有無、皮膚の様子および筋萎縮を点検した。EMG試験は、70日齢(D70)より開始し、動物が死にいたるまで週に一回実施した。生存率および症状発症より死亡に至るまでの期間を記録した。
【0105】
運動協調性の測定
−Rotarod試験:本試験は、回転棒(rotating dowel)上に留まる動物の能力を評価して、運動協調性および固有受容感覚の評価を可能にするものである。この装置は、直径3cmの自動ロッド(自動棒)であり、一分あたり12回の回転をおこなうものである(Bioseb社、パリ、フランス)。rotarod試験では、どれだけの時間、マウスが車軸上から落下することなく自分の体を保持できるかを測定する。この試験は任意制限時間である120秒後に中止する。120秒以前に動物が落下した場合、動作を記録し2回の追加試験をおこなう。3回の試験における平均時間を算出する。運動障害は、歩行時間の減少によって示す。
【0106】
Grid試験:試験中は、平らな支持台の上にセットした格子(グリッド)(長さ:37cm、幅:10.5cm、メッシュサイズ:1*1cm)上にマウスを置く。マウスが四肢を格子中に通した回数が数えられるが、これが運動協調性の測定として用いられる。
【0107】
Hanging試験:本試験では、動物がワイヤーにぶら下がる能力を評価する。この装置はテーブルから40cmの高さに水平に張ったワイヤーである。動物はその前脚がワイヤーに固定されている。3回の連続試験の間、動物が後ろ足でひも(string)をつかむまでに必要な時間を記録する(最大60秒)。
【0108】
電気生理学的測定
Neuromatic 2000M 筋電図検査装置を使用して、筋電図の記録をおこなった。EMGの間、マウスには麻酔をかけた(60mg kg−1、Imalgene(登録商標))。測定パラメーターは複合筋活動電位(CMAP)の振幅および潜時である。CMAPは、坐骨神経を刺激した後の腓腹筋で測定する。対照電極をアキレス腱付近に挿入し、活性ニードル(active needle)を尾の付け根に配置する。接地用ニードル(ground needle)マウスの腰部に挿入する。最大上強度(12.9mA)にて、シングル0.2msパルスで坐骨神経を刺激する。振幅(mV)および反応潜時(ms)を測定した。振幅がアクティブな運動単位の数を示す一方、遠位潜時は運動神経伝達速度を示す。
【0109】
薬剤投与
動物には、60日目(臨床上の兆候が見られる前)より動物が死亡するまでの間、治療をおこなった。一日二回、腹腔内投与による治療をおこなった。
【0110】
データ解析
一因子または反復測定分散分析(ANOVA)を用いて、データの大域解析をおこなった。個々の試験群と対照群、あるいは対群どうしの多重比較をおこなえるように、Fisher試験またはStudent−Newman−Keuls t検定を使用した。各群内の行動の変動を評価するために、群内解析をおこなった。
【0111】
結果
SPM927について発見されたことは:
・発症後の生存期間を延長すること(第1図)、
・rotarod、grid(第2図)、およびhanging試験において、運動症状を軽減すること、
・EMGの異常を軽減すること(第3図)。
【0112】
結論
これらの結果より、SPM927およびその関連化合物は、筋萎縮性側索硬化症の治療および、進行性脊髄性筋萎縮症および進行性球麻痺を含む、ただし、これらに限定されるものではない、その他の運動ニューロン疾患の治療に有用であることが立証された。加えて、SPM927およびこれに関連する化合物は、ギラン・バレー症候群あるいはシャルコー・マリー・ツース症候群を含む、ただしこれらに限定されるものではない、末梢性ニューロパシーの治療に活躍することを、この結果は示している。
【0113】
参考資料
【0114】
【表1】

【0115】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】図1は、SPM927が用量依存的にSOD突然変異マウスの寿命を延ばすことを示すグラフである
【図2】図2は、SPM927(30mg/kg)が、SOD突然変異マウスの運動機能障害(グリッドパーフォーマンス)を軽減することを示すグラフである
【図3】図3は、SPM927(10mg/kg)が、SOD突然変異マウスの運動機能障害(化合物の筋肉活動ポテンシャルの潜時)を軽減することを示すグラフである

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(Ib)
【化1】

[式中、
Rは、水素基、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、アリール基、アリール低級アルキル基、複素環基、複素環低級アルキル基、低級アルキル複素環基、低級シクロアルキル基または低級シクロアルキル低級アルキルであり、Rは非置換であるか、あるいは少なくとも1つの電子求引基および/または少なくとも1つの電子供与基によって置換され;
は、水素基、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、アリール低級アルキル基、アリール基、複素環低級アルキル基、低級アルキル複素環基、複素環基、低級シクロアルキル基、低級シクロアルキル低級アルキルであり、それぞれ非置換であるか、あるいは少なくとも1つの電子供与基および/または少なくとも1つの電子求引基によって置換され;ならびに
およびRは、それぞれ独立して、水素基、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、アリール低級アルキル基、アリール基、ハロ基、複素環基、複素環低級アルキル基、低級アルキル複素環基、低級シクロアルキル基、低級シクロアルキル低級アルキル基であるか、あるいはZ−Yであり、式中、RおよびRはそれぞれ非置換であるか、あるいは少なくとも1つの電子求引基および/または少なくとも1つの電子供与基によって置換されていてもよく;そして、RおよびRの複素環基は、フリル基、チエニル基、ピラゾリル基、ピロリル基、メチルピロリル基、イミダゾリル基、インドリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イソチアゾリル基、イソキサゾリル基、ピペリジル基、ピロリニル基、ピペラジニル基、キノリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、イソキノリル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、モルホリニル基、ベンゾキサゾリル基、テトラヒドロフリル基、ピラニル基、インダゾリル基、プリニル基、インドリニル基、ピラゾリンジニル基、イミダゾリニル基、イミダゾリンジニル基、ピロリジニル基、フラザニル基、N−メチルインドリル基、メチルフリル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリジル基、エポキシ基、アジリジノ基、オキセタニル基、アゼチジニル基、あるいは複素環基にNが存在する場合には、それらのN−酸化物であり;
Zは、O、S、S(O)a、NR、NR’、PRまたは化学結合であり;
Yは、水素基、低級アルキル基、アリール基、アリール低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、ハロ基、複素環基、複素環低級アルキル基、低級アルキル複素環基であり、Yは非置換であるか、あるいは少なくとも1つの電子供与基および/または少なくとも1つの電子求引基によって置換されていてもよく、ここで、複素環基はRまたはRにおけるものと同一の意味を有しているが、但し、Yがハロ基である場合、Zは化学結合であり;あるいは、ZYを併せると、NRNR、NROR、ONR、OPR、PROR、SNR、NRSR、SPR、PRSR、NRPR、PRNRまたはN
【化2】

であり;
R'は、水素基、低級アルキル基、低級アルケニル基または低級アルキニル基であり、これは非置換であるか、あるいは少なくとも1つの電子求引基および/または少なくとも1つの電子供与基によって置換されていてもよく;
、RおよびRは、それぞれ独立して水素基、低級アルキル基、アリール基、アリール低級アルキル基、低級アルケニル基または低級アルキニル基であるとともに、R、RおよびRはそれぞれ独立して非置換であるか、あるいは少なくとも1つの電子求引基および/または少なくとも1つの電子供与基によって置換されていてもよく;
は、RまたはCOORまたはCORであり、ここでRは非置換であるか、あるいは少なくとも1つの電子求引基および/または少なくとも1つの電子供与基によって置換されていてもよく;
は、水素基または低級アルキル基、あるいはアリール低級アルキル基であり、かつそのアリールまたはアルキル基は、非置換であるか、あるいは少なくとも1つの電子求引基および/または少なくとも1つの電子供与基によって置換されていてもよく;ならびに、
nは1〜4;ならびに、
aは1〜3である]の化合物、あるいは、製剤学的に認容性のこれらの塩を、運動ニューロン疾患および/または末梢性ニューロパシーの予防、軽減および/または治療のために有用な医薬組成物の製造のために用いる使用。
【請求項2】
疾患が筋萎縮性側索硬化症(ALS)である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
およびRが水素基である、請求項1〜2のいずれかに記載の使用。
【請求項4】
nが1である、請求項1〜3のいずれかに記載の使用。
【請求項5】
およびRの1つが水素基であり、nが1である、請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
【請求項6】
Rがアリール低級アルキル基であり、Rが低級アルキル基である、請求項1〜5のいずれかに記載の使用。
【請求項7】
およびRは、独立して、水素基、低級アルキル基またはZYであり;
Zは、O、NR、またはPRであり;
Yは、水素基または低級アルキル基;あるいは、
ZYは、NRNR、NROR、ONR、NRC(O)RまたはNRC(O)ORである、請求項1〜6のいずれかに記載の使用。
【請求項8】
は水素基、およびRは低級アルキル基またはZYであり;
Zは、O、NR、またはPRであり;
Yは、水素基または低級アルキル基;あるいは、
ZYは、NRNR、NROR、ONR、NRC(O)RまたはNRC(O)ORである、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
は水素基であり、Rは少なくとも1つの電子供与基によって、および/または少なくとも1つの電子求引基によって置換されていてよいかあるいは非置換の低級アルキル基、NRORまたはONRである、請求項1〜8のいずれかに記載の使用。
【請求項10】
は非置換であるか、あるいは水酸基または低級アルコキシ基によって置換された低級アルキル基、NRORまたはONRであり、R、RおよびRは独立して水素基または低級アルキル基であり、Rはアリール低級アルキル基であって、そのアリール基は非置換であるか、あるいは少なくとも1つの電子求引基によって置換されており、Rは低級アルキル基である、請求項1〜9のいずれかに記載の使用。
【請求項11】
アリール基がフェニル基であり、これが非置換であるか、あるいはハロ基によって置換されている、請求項1〜10のいずれかに記載の使用。
【請求項12】
化合物が、
(R)−2−アセトアミド−N−ベンジル−3−メトキシ−プロピオンアミド;
O−メチル−N−アセチル−D−セリン−m−フルオロベンジルアミド;
O−メチル−N−アセチル−D−セリン−p−フルオロベンジルアミド;
N−アセチル−D−フェニルグリシンベンジルアミド;
D−1,2−(N,O−ジメチルヒドロキシルアミノ)−2−アセトアミド酢酸ベンジルアミド;または
D−1,2−(O−メチルヒドロキシルアミノ)−2−アセトアミド酢酸ベンジルアミド;
である、請求項1〜11のいずれかに記載の使用。
【請求項13】
化合物が、式(IIb)
【化3】

[式中、
Arは、フェニル基であり、これは非置換であるか、あるいは少なくとも1つのハロ基により置換され;
は、CH−Qであり、Qは、1〜3個の炭素原子を含む低級アルコキシ基であり;Rは、1〜3個の炭素原子を含む低級アルキル基である]を有するもの、あるいは製剤学的に認容性のこれらの塩である、請求項1〜12のいずれかに記載の使用。
【請求項14】
Arが非置換のフェニル基である、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
ハロ基がフルオロ基である、請求項13または14に記載の使用。
【請求項16】
はCH−Qであり、Qは、1〜3個の炭素原子を含むアルコキシ基であり、Arは非置換のフェニル基である、請求項13〜15に記載の使用。
【請求項17】
化合物がRの立体配置にあり、以下の式
【化4】

[式中、
Rは、ベンジル基であり、これは非置換であるか、あるいは少なくとも1つのハロ基により置換され;
は、CH−Qであり、Qは、1〜3個の炭素原子を含む低級アルコキシ基であり、Rは、メチル基である]を有するもの、あるいは製剤学的に認容性のこれらの塩である、請求項1〜16のいずれかに記載の使用。
【請求項18】
実質的にエナンチオマー純粋である、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
Rが非置換のベンジル基である、請求項17または18に記載の使用。
【請求項20】
ハロ基がフルオロ基である、請求項17〜19のいずれかに記載の使用。
【請求項21】
はCH−Qであり、Qは1〜3個の炭素原子を含むアルコキシ基であり、Rは非置換のベンジル基である、請求項17〜20のいずれかに記載の使用。
【請求項22】
式(Ib)の化合物が、(R)−2−アセトアミド−N−ベンジル−3−メトキシプロピオンアミドまたはその製剤学的に認容性の塩である、請求項1または2に記載の使用。
【請求項23】
化合物が実質的にエナンチオマー純粋である、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
医薬組成物が、少なくとも100mg/日、好ましくは少なくとも200mg/日、より好ましくは少なくとも300mg/日、そして最も好ましくは少なくとも400mg/日の用量の化合物による治療用に製造されるものである、請求項1〜23のいずれかに記載の使用。
【請求項25】
医薬組成物が、多くとも6g/日、より好ましくは多くとも1g/日、そして最も好ましくは多くとも600mg/日の用量の化合物による治療用に製造されるものである、請求項1〜24のいずれかに記載の使用。
【請求項26】
医薬組成物が、それ以降の治療中に保持される、予め決定された一日の投与量に到達するまで、毎日の投与量を増加する治療用に製造されるものである、請求項1〜25のいずれかに記載の使用。
【請求項27】
医薬組成物が、一日あたり三回の投与、好ましくは一日あたり二回の投与、より好ましくは一日あたり単回の投与とする治療用に製造されるものである、請求項1〜26のいずれかに記載の使用。
【請求項28】
医薬組成物が、多数の治療対象物の平均として計算すると、0.1〜15μg/ml(最低時)および5〜18.5μg/ml(ピーク時)の血漿濃度となるような投与用に製造されるものである、請求項1〜27のいずれかに記載の使用。
【請求項29】
医薬組成物が、経口または静脈注射による投与用に製造されるものである、請求項1〜28のいずれかに記載の使用。
【請求項30】
医薬組成物が、運動ニューロン疾患、および/または、末梢性ニューロパシーの予防、軽減および/または治療のための活性剤をさらに含むものである、請求項1〜29のいずれかに記載の使用。
【請求項31】
医薬組成物が、請求項1および請求項3〜23のいずれかに定義される化合物を含む第一組成物、ならびにその他の活性剤を含む第二組成物を含有する、単一の剤形を含むものであるか、あるいは、個別の剤形を含むものである、請求項30に記載の使用。
【請求項32】
医薬組成物が、哺乳類への投与用に製造されるものである、請求項1〜31のいずれかに記載の使用。
【請求項33】
医薬組成物が、ヒトへの投与用に製造されるものである、請求項32に記載の使用。
【請求項34】
(a)請求項1および請求項3〜23のいずれかに定義される化合物、および
(b)運動ニューロン疾患、および/または、末梢性ニューロパシーの予防、軽減および/または治療のための、その他の活性剤、
を含む、医薬組成物。
【請求項35】
請求項1および請求項3〜23のいずれかに定義される化合物を含む第一組成物、ならびにその他の活性剤を含む第二組成物を含有する、単一の剤形を含むものであるか、あるいは、個別の剤形を含むものである、請求項34に記載の医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−501753(P2008−501753A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−526295(P2007−526295)
【出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【国際出願番号】PCT/EP2005/006169
【国際公開番号】WO2005/120476
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(591071997)シュバルツ ファルマ アクチェンゲゼルシャフト (39)
【氏名又は名称原語表記】SCHWARZ PHARMA AKTIENGESELLSCHAFT
【住所又は居所原語表記】Alfred−Nobel−Strasse 10, D−40789 Monheim, Germany
【Fターム(参考)】