説明

筒状紐の内外反転装置及びその方法並びに筒状紐

【課題】 簡単な構造により操作がきわめて簡単で、しかも作業時間を大幅に短縮可能な筒状紐の内外反転装置並びにその方法を提供する。
【解決手段】 筒状の内側空間を形成し得る筒状紐を反転操作の対象とする。該筒状紐の一端開口縁の内側に少なくともその一部を挿入可能であり、その挿入状態で筒状紐の他端側を吸込む吸込み開口部を有する吸込み口装置を形成する。さらに、吸込み開口部から吸込まれて内外反転した筒状紐を所定の箇所に導出させる導出機構を備える。吸込み口装置で内外反転させ、その内外反転した筒状紐を簡易に回収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばアクセサリー用リボン等に用いられる筒状紐の内外反転装置及びその方法並びに筒状紐に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、服装は既製服やファッションデザイナーの制作によるものだけでなく、流行を紹介するファッション雑誌や、ストリートが新たなファッションの作り手となって多様化している。そして、例えばチュニックと言われる筒形のゆるやかな衣服では、首回り部分にリボンのような結び紐を取り付けたものが広く採用されつつある。このようなリボンはそれぞれの服のデザインに応じて長短種々のものがあるが、いずれにしてもこれらのリボンを衣服本体と一体に取り付けるか、衣服を着けた後にリボンのみを首回り等に結び付けて着用される。これらのリボンは通常は1枚の長方形布の長辺側を筒状の環を形成するように回し、長辺側の縁部分を重ね合わせた状態で縫合して筒状紐としたものである。この筒状紐は上記のようにファッション性を高めるためリボンとして用いる場合には縫い合わせ部分が外部に露出するよりも内側になって見えにくくさせた状態でのニーズが高い。このため、従来筒状紐を内外反転させるために、タオル地等の布を表面に巻きつけた棒を筒の内側から挿入して紐の長さぶん程までに突っ込ませ、その後、棒を引き抜くときに紐の内側をタオル地に追従させることにより内外反転を行わせるものであった。しかしながら、この方法では、棒の挿入、引き抜き時に布と布との摩擦により作業がやりにくいとともに、作業時間がかかり、作業内容の割には人件コストがかかる問題があった。また、摩擦や棒の出し入れ作業中にリボン布地を損傷する場合もあった。また、引き出し棒を挿入し先端フックを筒状紐の先端部に引っ掛けて内部を通過させながら裏返しにする方法もあるが、この場合においても、布と布の摩擦により団子状になったり引き出し棒のフック部が内部で紐の先端から外れる場合があり、円滑にその裏返し作業を行うことができず、作業時間がかかる難点があった。これに対し特許文献1のような提案がなされている。
【特許文献1】特開2001−336061号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1では、外側に縫い目を出した筒状紐としての外袋裏を筒状体1に被せ、その筒状1体の内部に引き出し棒2を挿入し、筒状体の先端部に被せてある筒状紐の先端を引っ掛け部3により、引っ掛け、筒状体の内部に引き込んで、筒状体の内部を通過させて筒状体より引き抜くことにより筒状紐を裏返しし、縫い目を内側に配置させた状態とするものである。しかしながら、この方法では、筒状体1に外袋裏5を被せ、筒状体の一端側から引き出し棒を挿入し先端の引っ掛け部3を外袋裏5の先端に引っ掛ける作業がいちいち必要となり、従来に比してそれほどの作業時間短縮や作業性改善を期待できないうえに、引き出し棒の先端のフック状引っ掛け部3が外袋裏の布地に食い込んだり、引っ掛け跡が付いたりして製品不良を生じさせるおそれがあった。さらに、引き出し棒の先端のフックは袋の布地先端の引っ掛け作業を行う必要があるからそれほど小さなフック形状とすることができず、したがって、筒状体1の内側に挿入しうる程度の筒状体の直径以上の大きさの筒孔を有する外袋裏しか反転作業を行えないという欠点があった。
【0004】
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な構造により操作がきわめて簡単で、しかも作業時間を大幅に短縮可能な筒状紐の内外反転装置及びその方法並びに筒状紐を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明は、筒状の内側空間Sを形成し得る筒状紐150であって、該筒状紐の一端開口150a縁の内側に少なくともその一部を挿入可能であり、その挿入状態で筒状紐の他端153側を吸込む吸込み開口部14を有する吸込み口装置12と、吸込み開口部14から吸込まれて内外反転した筒状紐150−2を所定の箇所に導出させる導出機構16と、を備えた筒状紐の内外反転装置10から構成される。吸込み開口部の一部あるいは全部を筒状紐の開口の内側に挿入させ、その状態で筒状紐の先端から先に吸込み開口部内に吸込ませることにより空気の圧力等を介して簡単に筒状紐の内外反転を行わせる。
【0006】
その際、吸込み開口装置12は、先端に吸込み開口部14を有するパイプ部材24であり、筒状紐150の内側に挿入されて表面が緩く当接した状態で筒状紐の他端側153を内部に吸込むパイプ部材24を含むとよく、筒状紐の反転処理のための準備、段取りを簡単な操作で行なえる。パイプ部材24の外表面はできるかぎり滑面状の仕上げである必要がある。パイプ部材の長さは短くともよいが、好ましくは紐の長さの3分の2程度の長さ以上であれば紐の先端側から確実に吸込まれやすい。パイプ部材の長さが短い場合でも、紐の先端側が吸込まれるまである程度の時間長さ、指先でほじしてやれば内外反転処理を行う。
【0007】
また、吸込み口装置12に接続される機体であり、吸込み開口部14に連通し内外反転の筒状紐150−2を吸引し排出する通路187を中空内部に有する機体18が設けられ、パイプ部材24は機体18に着脱交換可能に接続されているとなおよい。
【0008】
また、異なる径サイズのパイプ部材24を着脱自在に交換装着させる径サイズ交換装着機構60が設けられるとさらによい。
【0009】
また、機体18には、内部の通路187を負圧吸引させるべく該通路に空圧駆動経路で連通した空圧駆動機構20が接続されており、導出機構16は、空圧駆動機構20による空圧駆動と協働し空圧駆動経路と異なる経路で機体内通路187から反転筒状紐150を導出させるように設けられた誘引導出構造34を含むとよく、空圧力を用いて機体内の負圧生成を効率よく行わせることができる。
【0010】
また、機体18の機体内通路187の中途に、反転された筒状紐150−2の直線状の流れ線を確定するオリフィス部28を設けるとよい。
【0011】
また、空圧駆動機構20は、機体18に一端側を連通接続された圧縮空気供給管32と、圧縮空気供給管から圧縮空気を供給するコンプレッサ30と、を含み、圧縮空気供給経路にフットスイッチ(42)により起動停止される開閉弁機構38が設けられた構成とするとよい。
【0012】
さらに、本発明は、筒状の内側空間Sを形成し得る筒状紐150の一端開口150a縁を開いた状態に保持させ、該開口端の内側から負圧吸引力を加えることにより筒状紐を内外反転させる筒状紐の内外反転方法並びにその方法を用いて内外反転処理した筒状紐から構成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の筒状紐の内外反転装置によれば、筒状の内側空間を形成し得る筒状紐であって、該筒状紐の一端開口縁の内側に少なくともその一部を挿入可能であり、その挿入状態で筒状紐の他端側を吸込む吸込み開口部を有する吸込み口装置と、吸込み開口部から吸込まれて内外反転した筒状紐を所定の箇所に導出させる導出機構と、を備えた構成であるから、簡単な構成で処理作業や反転のための準備作業も簡単で円滑に行え、かつ、大幅に作業時間を短縮して作業効率を向上させることが可能である。また、短時間で大量の筒状紐の内外反転処理を行うことができる。
【0014】
また、吸込み開口装置は、先端に吸込み開口部を有するパイプ部材であり、筒状紐の内側に挿入されて表面が緩く当接した状態で筒状紐の他端側を内部に吸込むパイプ部材を含む構成であるから、反転処理作業に際して作業者は筒状紐の開口からパイプ部材を挿入し筒状紐の先端部がパイプ部材の先端部にある程度近接した位置まで手繰るだけで作業の準備が整い、その後はパイプ部材内部に吸込むだけで瞬時に内外反転処理を行うことができる。
【0015】
また、吸込み口装置に接続される機体であり、吸込み開口部に連通し内外反転の筒状紐を吸引し排出する通路を中空内部に有する機体が設けられ、パイプ部材は機体に着脱交換可能に接続されている構成とすることにより、パイプ部材を機体に装着して吸引による内外反転処理を確実に行えるとともに、着脱交換可能とすることによりパイプ部材の長さを所要の長さの筒状紐に合わせて長短交換して吸引反転作用を最適に行える長さのパイプ部材を用いて処理を行うことが可能である。
【0016】
また、異なる径サイズのパイプ部材を着脱自在に交換装着させる径サイズ交換装着機構が設けられた構成とすることにより、径サイズの異なる筒状紐について処理を行う際にも最適の径サイズのパイプ部材を適用して内外反転処理を行うことができる。
【0017】
また、機体には、内部の通路を負圧吸引させるべく該通路に空圧駆動経路で連通した空圧駆動機構が接続されており、導出機構は、空圧駆動機構による空圧駆動と協働し空圧駆動経路と異なる経路で機体内通路から反転筒状紐を導出させるように設けられた誘引導出構造を含む構成であるから、機体内への空圧作用により同機体内に筒状紐を吸引し確実に反転処理するとともに、大量処理、高速処理を実現し得る。
【0018】
機体の機体内通路の中途に、反転された筒状紐の直線状の流れ線を確定するオリフィス部が設けられている構成とすることにより、反転された筒状紐の直線状の流れ線を確定させつつ負圧力を生成し筒状紐の内部引き込み吸引力を確実にすることができる。さらに、その通過経路を確定して以降の導出経路への導出を円滑に行うことが可能である。
【0019】
また、空圧駆動機構は、機体に一端側を連通接続された圧縮空気供給管と、圧縮空気供給管から圧縮空気を供給するコンプレッサと、を含み、圧縮空気供給経路にフットスイッチにより起動停止される開閉弁機構が設けられている構成であるから、指先等を用いて筒状紐をパイプ部材に装着する作業を行い、負圧吸引の起動、停止を足を用いて行わせるから、筒状紐の装着の次に吸引起動、停止を行って処理が時間的に分断され、効率を損なうことがないように両手を常にパイプ部材への筒状紐の装着作業に専念しながら連続的に反転処理を継続し得る。
【0020】
また、本発明の筒状紐の内外反転方法によれば、筒状の内側空間を形成し得る筒状紐の一端開口縁を開いた状態に保持させ、該開口端の内側から負圧吸引力を加えることにより筒状紐を内外反転させるから、反転のための準備作業を簡単で円滑に行え、かつ、大幅に作業時間を短縮して作業効率を向上させることが可能である。また、短時間で大量の筒状紐の内外反転処理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しつつ本発明を実施するための最良の形態について説明する。本発明の筒状紐の内外反転装置10は、縫製後、図7のように筒状紐150の外側に出た縫い目152を図8のように内側に配置させる装置であり、この反転作業を短時間で高効率に行なうものである。ここで、筒状紐150は、例えば布、不織布、合成樹脂製シート、フィルム等の生地体を丸めて一辺側を縫合して筒状の内側空間Sを形成し得る筒状紐である。筒状紐は可撓柔軟性の素材で構成されている。そして、該筒状紐150の少なくとも一端151側は開口150aしている。
【0022】
図1ないし図5は、本発明の一実施形態を示す。図1は、実施形態に係る筒状紐の内外反転装置の全体構成図であり、図において、筒状紐の内外反転装置10は、吸込み開口部14を有する吸込み口装置12と、導出機構16と、を備えている。詳しくは、筒状紐の内外反転装置10は、中空の機体18と、機体に接続されて機体内と連通する吸込み口装置12と、機体内に負圧を発生させる空圧駆動機構20と、吸込み口装置12を介して反転状態で機体内に吸込まれた反転筒状紐150−2を外部に導出させる導出経路22と、を含む。
【0023】
機体18は、筒状紐の内外反転装置10の構造上の主要本体部分であり、金属成形品または合成樹脂成形品から構成されている。機体18は、直線状の本体管181の中途からL字状に分岐した枝管183を接続させた枝管付き管体から構成されている。機体18は、直線状に連通する機体内通路の両端対向位置に設けた2つの開口18a、18bと、機体内通路の中途から分岐して空圧駆動機構の空圧駆動経路に接続するための分岐用開口18cとを備え、内部に通過室185を形成する中空機体である。
【0024】
機体18の開口18a側から18b側に空気が負圧吸引され、図示i方向に直線状に空気が流れる。
【0025】
吸込み口装置12は、反転させるべき縫い目外側の筒状紐150−1(図7参照)を、装着し具体的な反転作業準備を行わせる手段であり、該吸込み口装置12は、吸込み開口部14を備えている。吸込み開口部14は、筒状紐の一端の挿入側開口150a部分にあてがってその開口14aの内側に筒状紐の他端側を吸込ませる部位であり、吸込み作業時には、筒状紐150の一端開口150aの内縁側に吸込み開口部14の開口14aを少なくとも一部を係止した状態で保持し、この状態で吸込み反転作業が行われる。
【0026】
図1において、筒状紐の内外反転装置10は、機体18に空圧駆動機構20と、導出経路22とを連通接続するとともに該機体18に吸込み開口装置12を接続することにより構成されている。
【0027】
本実施形態において、吸込み開口装置12は、先端に吸込み開口部14を有するパイプ部材18を含む。図1において、中空の機体18内に一端側を挿入させ他端側を外部に突設させた状態でパイプ部材24が取り付けられている。パイプ部材24と機体20との接続部は気密保持された状態で連結されている。
【0028】
パイプ部材24は、少なくとも内外反転処理しようとする筒状紐の内側に挿入可能で挿入状態で表面が筒状紐に緩く当接し得る程度の直径を有する直状中空パイプであり、筒状紐を装着する際にはその芯体となり、反転操作するときには内部の直状中空部に吸込む反転案内路を構成する。パイプ部材24は、表面が滑らかに形成されて筒状紐との摩擦が少なく、筒状紐の内側に容易に挿入し得る構造であれば良く、材質も合成樹脂、金属、加工された紙、セラミック等任意の素材のものを適用することができる。パイプ部材の長さは長くとも短くともかまわない。例えば図2のように筒状布を装着状態で先端部分に余分なたるみができるほどにパイプ部材の長さを設定しても良いし、図4のように短尺のパイプ部材であってもよい。ただし、図4のようにパイプ部分の長さが短い場合にはパイプ部材を被覆した筒状紐の部分を指で押えて保持させた状態で負圧吸引力を加える操作が必要となる場合が多い。装着状態で筒状紐の先端が垂れる程度でもよいが、単に装着しただけで指で押えなくともパイプ部材から筒状紐が抜け出ない程度のパイプ部材の長さであれば良い。最適には、装置の小型軽量化、製作コスト、処理時の取扱性を考慮するとパイプ部材への筒状紐の装着状態で数cmから20cm程度の紐余長が出る程度であるとよい。
【0029】
図1において、パイプ部材24は機体18にスリーブ管26を介して固定的かつ一体的に取り付けられているが、本体管181部分と、スリーブ管26からの外部突出部分と、でパイプ部材24を分割させておき、本体管181へのスリーブ管の着脱によりパイプ部材24が機体に着脱し得るようにしても良いし、パイプ部材のみを中途から長さ方向の中途部分から着脱接続させるようにしても良い。パイプ部材24の機体側端部24aは機体18内に連通し、さらに機体18の通過室185内に突出させて設けられている。
【0030】
機体18の空気の入り開口18aに直線状に対向する他端側には出開口18bが設けられており、この入り開口18から出開口18bを連通するように機体内通路187が形成されている。機体内通路187は、筒状紐の通路であり、これを通過して導出経路22に導かれる。入開口18aと出開口18bの機体内通路187の中途部分に通過室185が設けられている。機体18の機体内通路187の下流側には入り開口18a側から出開口18b側に向けて次第に流路を狭くした拡小テーパ部281と、それに続く最小径部283と、最小径部283から次第に流路を広くした拡大テーパ部285と、を含むオリフィス28が設けられている。そして、パイプ部材の機体側端部24aが拡小テーパ部281であって最小径部283から少し手前位置に配置されて最小径部283の中心軸とパイプの軸を一致させるようにして設けられている。オリフィス28を設けることにより、反転された筒状紐の直線状の流れ線を確定させつつ負圧力を生成し筒状紐150の内部引き込み吸引力を確実にする。また、その通過経路を確定して以降の導出経路への導出を円滑に行う。さらに、反転された筒状紐の直線状の流れ線を導く作用を有する。
【0031】
図1において、空圧駆動機構20は、機体18に空気圧を加えるように連通しその駆動により機体内の通路に負圧力を発生させて筒状紐を内外反転状態で機体内に吸込ませる駆動力供給手段であり、本実施形態において、空圧駆動機構20は機体18内に圧縮空気を供給しつつ負圧吸引させる。なお、負圧を直接に機体内通路に加えて吸引させる方法も考えられる。その場合、筒状紐の導出経路とは別に負圧を加える機構を設定するとよい。
【0032】
実施形態において、空圧駆動機構20は、コンプレッサ30と、コンプレッサ30からの圧縮空気を機体18の通路187に供給する圧縮空気供給管32と、を含む。圧縮空気供給管32の一端は、機体の枝管183に接続されて機体と連通しており、枝管から圧縮空気を機体内に圧送する。
【0033】
本実施形態において、機体18には誘引導出構造34が設けられており、この誘引導出構造により空圧駆動機構からの圧縮空気を利用して機体内通路内を負圧化させる。実施形態において、枝管183の管路は図5に示すように本体管181との分岐接続部分において直線状の通路187に対して同機体18の出開口側へのみの流れとするように曲げられた湾曲通路188を介して機体内通路187に合流している。そして、湾曲通路の下流側にオリフィス28が設けられている。これによって、湾曲通路を経由した空気はオリフィス28を経由時にさらに圧縮、開放される。すなわち、オリフィス28の拡小テーパ部281において空気はさらに高圧圧縮され、最小径部283を通過すると低圧開放される。このときに低圧開放側の拡大テーパ部285では負圧となり空気の流速を増加させる。そして、該オリフィス28の拡小テーパ部281の手前部分にパイプ部材24の機体側端部24aの開口が配置されているから、パイプ部材の内部中空の空気を大きな力で吸引し、このとき反転状態の筒状紐を誘引導出させる。本実施形態において誘引導出構造34は、圧縮空気の供給装置(30,32)と湾曲通路188とを含む。オリフィス28から出た筒状紐150は導出管36を経由して回収される。また、導出機構16は、空圧駆動機構20と協働し空圧駆動経路と異なる経路で機体内通路187から反転筒状紐150−2を導出させるように設けられた誘引導出構造34を含む。機体18には、内部の通路187を負圧吸引させるべく該通路に空圧駆動経路で連通した空圧駆動機構20が接続されている。そして、誘引導出構造34は、空圧駆動機構20による空圧駆動と協働して空圧駆動経路と異なる経路で機体内通路187から反転筒状紐150−2を導出させる。誘引導出構造の具体的な構成は、この実施形態のみに限られない。例えば機体内の通路内に気流変更用の部品を取り付けることもできる。また、機体内に正圧を加えて負圧発生させるだけでなく、負圧力を加え敵対空隙内に負圧吸引力を生じさせるようにしても良い。
【0034】
さらに、圧縮空気供給経路の一部を構成する枝管183には開閉弁機構38が設けられている。開閉弁機構38は管路内を開閉する電磁弁40からなり、この電磁弁40は外部からの外力により開閉させるフットスイッチ機構42により開閉駆動される。フットスイッチ機構42は、電磁弁のスイッチ片42を押し下げ、解除自在に枢支された作動片44と、作動片にワイヤ46を介して接続されたフットペダル作動装置48と、を含む。フットペダル作動装置48のペダル50を踏圧するとワイヤ、作動片を介してスイッチ片42を押し下げ作動させ、開弁して圧縮空気を機体内に供給する。
【0035】
機体18の内部通路187の下流側に連通して導出経路を形成する導出管36が接続されている。実施形態において、導出管36は、例えば合成樹脂プラスチック製の蛇腹管からなるフレキシブルチューブからなり、その内部を流動する筒状紐の導出方向を自由に設定可能である。本実施形態において該導出管36の中途にはグラスウール等を管路内側に臨ませて配設した消音器52が取り付けられており、風切音その他の雑音レベルを抑制する。なお、図中54は導出管36の排出口36bに近接して配置された回収ケースである。また、装置10全体は例えば支持台70に取り付け固定されている。脚を取り付けて作業するか、あるいはこれを他の作業台等に載置して用いられる。
【0036】
次に、本実施形態の筒状紐の内外反転装置の作用について説明する。まず、本装置10は、例えば内外反転作業を行う作業者が椅子等に腰掛け、その姿勢で楽に作業を行える程度の高さの任意の台などの上に載置させた状態で使用するとよい。図示しない作業者は例えば図6−1のような一端側を閉鎖し他端側のみを開放させた筒状紐150(縫い目外側の筒状紐150−1)の一端の開口150aをパイプ部材24の先端24bにあてがってパイプの先端を筒状紐の開口から内部に挿入し、そのまま手繰ってパイプ部材24の長さぶんまで筒状紐150を挿入させる。このとき、紐の余長部分が垂れるほど長い紐でもよいが、反転作業開始時にはパイプ先端の吸込み開口14aからの吸込み初めが筒状紐の他端153からとなるように、ある程度パイプ部材の長さ中途位置に手繰っておくのが好ましい。また、パイプ部材の長さよりも筒状紐の長さが短くてパイプ部材の中途で紐の長さすべてが挿入された状態となっていてもよい。以上で、反転操作準備が完了する。
【0037】
次に、フットスイッチ機構42のペダル50を踏圧すると機械的に作動片44が回転動作し、フットスイッチ機構のスイッチ片43を押し下げて電磁弁40を開弁させる。すると、コンプレッサ30からの圧縮空気は圧縮空気供給管32から枝管183を介して機体18の機体内通路187内に圧送される。機体内通路187に入る際に湾曲通路188を経由して合流するから、この湾曲通路188で曲げられて機体内通路の要り開口18a側から下流の出開口18b側への流れに沿うように合流する。そして、空気はオリフィス28の拡小テーパ部281で高圧となり最小径部283を出るときに圧力が開放されて低圧化する経路により拡小テーパ部281であって、最小径部283の少し上流側に位置するパイプ部材24の端部24aから空気が誘引され、機体内をi方向の流れに乗ってオリフィスを一気に通過し導出経路側に至る。
【0038】
筒状紐は機体側の負圧によりパイプ部材の内側に引き込まれる際に、例えば筒状紐の他端153側を先に引き込むと図3のように該筒状紐の先端側が先にパイプ部材24の中空内部に入り、このまま全ての紐長さぶんについてパイプ部材から機体側に吸引して送らせることにより筒状紐は反転する(図8参照)。
【0039】
機体18の通路187を通過した縫い目内側の筒状紐150−2は、フレキシブルダクトの先端開口から外部に排出される。その際、消音器52でノイズレベルを低減されて外部に排出されるから、耳障りな風切り音等の発生がなく、工場などの作業環境を悪化させないようにし得る。フレキシブルホースから放出される反転済みの筒状紐は受籠などの回収ケースに回収される。1個の筒状紐の作業に要する時間はほとんどパイプ部材24への装着作業時間のみで済み、高速にこの種筒状紐の内外反転操作を行うことが可能である。なお、筒状紐の状態は、一端を開口し他端側を逢着して閉鎖したもののほか、図6−2のように両端を開口したものでもよい。また、例えば図6−3、図9に示すように、チュニック風の衣服の襟周りに直接に縫いこむように、筒紐の中央部を切り欠いて縫製部としての細片部分のみを残した内側対向開口で両端開口あるいは両端閉鎖の態様の筒状紐についても同様に処理しうる。
【0040】
次に、本発明の第2実施形態に係る筒状紐の内外反転装置10−2について、説明するが、第1実施形態と同一部材については同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図10は、第2実施形態の筒状紐の内外反転装置10−2の要部のみを示している。機体18、導出機構16、空圧駆動機構、誘引導出構造、その他の構造は第1実施形態と同一であるので詳細説明並びに図示を省略する。
【0041】
図10において、第2実施形態の筒状紐の内外反転装置10−2は、径サイズ交換装着機構が設けられている点が第1実施形態の構造と異なる。径サイズ交換装着機構60は、機体18の入り開口18a側に対して異なる径サイズのパイプ部材を着脱自在に交換装着させる手段であり、本実施形態において、機体の入り開口18aに近接して自在密接把持手段を設けることにより任意のパイプ径のものを着脱交換自在に機体に装着する。本実施形態において、入り開口18aについての機体18の表面側には短円筒形の保持環62が着脱可能に固定されており、この保持環62の内径側の軸方向離隔位置にゴム製の円盤体64a、64bが併設固定されている。円盤体64は、取り付けるパイプ部材24をその直径サイズのいかんに拘らず自在かつ直接に密接把持する部位であり、このゴム製の円盤体64a、64bは平行に配置されそれぞれの中心孔66,68が略同軸となるように位置合わせされて配置されている。これらの円盤体64a、64bは相互に離隔して配置されており、しかも両円盤体のそれぞれの中心軸は機体内通路187の軸と略同一となるように位置合わせして配置されている。これによって、外部からパイプ部材24を挿通し突っ込むと両円盤体64a、64bの中心孔66,68部分でその孔を弾性力に抗して押し広げ、ながら貫通させる。なお、図10では2つの円盤体64a、64bの孔側の縁はパイプ部材に対して直角状に当たって示しているが、実際には外部からパイプ部材24を挿通しそれらの中心孔66,68を貫通するように突っ込むと両円盤体64a、64bの孔の縁部分は弾性的に曲げられてパイプ部座の表面に密着し、かつその当接部分で該パイプ部材を把持する。これによって、径サイズの異なるパイプ部材についても同様に中心孔を押し広げながら進入し、機体内通路187に連通する状態で取り付け保持させる。複数の円盤体はパイプ部材を密接状態で把持するからその内外側で気密を保持しつつパイプ部材自体を把持する。パイプ部材を抜脱する場合にも単にこれを強引に引き抜くだけで離脱させることができる。径サイズ交換装着機構60は、上記の実施形態に限定されない。例えば、掴み径を変更自在に把持するチャック装置と弾性パッキンとの組合せによって構成してもよく、これによっても異なる径サイズのパイプ部材を着脱自在に交換装着させ得る。
【0042】
本発明の筒状紐の内外反転方法としては、筒状の内側空間を形成し得る筒状紐の一端開口縁を開いた状態に保持させ、該開口端の内側から負圧吸引力を加えることにより筒状紐を内外反転させるだけで、筒状紐の内外反転作業を行うことができる。筒状紐の一端開口縁を開いた状態に保持させる構成は任意の構成を採ることができる。開口縁を機械的に把持して開口状態を保持したり、空圧的に保持することもできる。
【0043】
以上説明した本発明の筒状紐の内外反転装置並びにその方法は、上記した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の本質を逸脱しない範囲において、任意の改変を行ってもよい。例えば、導出管の材質はアルミニウム箔製の蛇腹ダクト、金属製、ゴム製等のホースそれらの組合せたもの等を用いても良い。また、筒状紐は、衣服に一体あるいは別体に取り付けられるリボン、和服の腰紐、布団の結び紐、その他任意の適用形態のものについて使用されるものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態に係る筒状紐の内外反転装置の一部断面図を含む概略全体構成図である。
【図2】図1の装置の主にパイプ部材部分の一部省略拡大縦断面図である。
【図3】図1の装置の主にパイプ部材部分における作用説明図である。
【図4】パイプ部材の他の実施例を示す要部拡大一部省略断面図である。
【図5】図1の筒状紐の内外反転装置の作用説明図である。
【図6−1】反転処理を行うべき筒状紐の一態様の斜視説明図である。
【図6−2】反転処理を行うべき他の筒状紐の一態様の斜視説明図である。
【図6−3】反転処理を行うべき他の筒状紐の一態様の斜視説明図である。
【図7】縫い目外側の筒状紐の要部拡大斜視図である。
【図8】縫い目内側の筒状紐の要部拡大斜視図である。
【図9】筒状紐を適用した衣服の正面外観図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る筒状紐の内外反転装置の要部拡大一部省略断面説明図である。
【符号の説明】
【0045】
10 筒状紐の内外反転装置
12 吸込み口装置
14 吸込み開口部
14a 吸込み開口
16 導出機構
18 機体
187 機体内通路
188 湾曲通路
20 空圧駆動機構
22 導出経路
24 パイプ部材
28 オリフィス
30 コンプレッサ
32 圧縮空気供給管
34 誘引導出構造
36 導出管
38 開閉弁機構
42 フットスイッチ機構
48 フットペダル作動装置
60 径サイズ交換装着機構
150 筒状紐

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の内側空間を形成し得る筒状紐であって、該筒状紐の一端開口縁の内側に少なくともその一部を挿入可能であり、その挿入状態で筒状紐の他端側を吸込む吸込み開口部を有する吸込み口装置と、
吸込み開口部から吸込まれて内外反転した筒状紐を所定の箇所に導出させる導出機構と、を備えたことを特徴とする筒状紐の内外反転装置。
【請求項2】
吸込み開口装置は、先端に吸込み開口部を有するパイプ部材であり、筒状紐の内側に挿入されて表面が緩く当接した状態で筒状紐の他端側を内部に吸込むパイプ部材を含むことを特徴とする請求項1記載の筒状紐の内外反転装置。
【請求項3】
吸込み口装置に接続される機体であり、吸込み開口部に連通し内外反転の筒状紐を吸引し排出する通路を中空内部に有する機体が設けられ、
パイプ部材は機体に着脱交換可能に接続されていることを特徴とする請求項2記載の筒状紐の内外反転装置。
【請求項4】
異なる径サイズのパイプ部材を着脱自在に交換装着させる径サイズ交換装着機構が設けられている請求項3記載の筒状紐の内外反転装置。
【請求項5】
機体には、内部の通路を負圧吸引させるべく該通路に空圧駆動経路で連通した空圧駆動機構が接続されており、
導出機構は、空圧駆動機構による空圧駆動と協働し空圧駆動経路と異なる経路で機体内通路から反転筒状紐を導出させるように設けられた誘引導出構造を含むことを特徴とする請求項3または4記載の筒状紐の内外反転装置。
【請求項6】
機体の機体内通路の中途に、反転された筒状紐の直線状の流れ線を確定するオリフィス部が設けられていることを特徴とする請求項3ないし5のいずれかに記載の筒状紐の内外反転装置。
【請求項7】
空圧駆動機構は、機体に一端側を連通接続された圧縮空気供給管と、圧縮空気供給管から圧縮空気を供給するコンプレッサと、を含み、
圧縮空気供給経路にフットスイッチにより起動停止される開閉弁機構が設けられていることを特徴とする請求項5または6記載の筒状紐の内外反転装置。
【請求項8】
筒状の内側空間を形成し得る筒状紐の一端開口縁を開いた状態に保持させ、該開口端の内側から負圧吸引力を加えることにより筒状紐を内外反転させる筒状紐の内外反転方法。
【請求項9】
請求項8の方法を用いて内外反転させた筒状紐。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図6−3】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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