説明

筒状部材およびこの筒状部材からなる測定機・装置の構成部材

【課題】 従来よりもさらに軽量化可能な筒状部材およびこの筒状部材からなる測定機・装置の構成部材を提供する。
【解決手段】 セラミックスからなる複数の板材2で構成された筒状部材1であって、板材2のうち少なくとも一つが中空部3を有している筒状部材1である。この筒状部材1は、軽量化することができ、この筒状部材1を測定機・装置の構成部材として用いれば、移動の高速化や位置決めの高精度化に対応することができるとともに、自重で撓むことが少ないので、構成部材の更なる大型化や長尺化に対応することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽量化を図るべく複数の板材で構成された筒状部材およびこの筒状部材からなる三次元測定機や半導体製造装置等の構成部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製品形状の精密な測定に用いられる三次元測定機、半導体(集積回路)の作製に用いられる半導体製造装置、半導体や液晶パネルの基板の作製に用いられる露光装置等には、上下、左右、前後に移動する部材やこの移動する部材を支持する部材として、ガイド、ステージ、ミラー、フレームと呼ばれるセラミックスからなる構成部材が用いられている。
【0003】
そして、このような構成部材には、製品測定や作製における構成部材の移動速度の向上および位置決め精度の向上のため軽量化が求められている。また、測定対象または作製対象となる製品の大型化に伴って、構成部材の大型化や長尺化が求められているが、大型化や長尺化によって構成部材の質量が増加し、構成部材が自重によって撓んでしまっては、構成部材として用いることができないため、大型化や長尺化を図るにあたっても軽量化が必要であった。そのため、軽量化を図るべく、筒状の構成部材が用いられている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−149739号公報
【特許文献2】特開2004−177331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年では、製品測定や作製において、構成部材の更なる移動の高速化や位置決めの高精度化が求められている。また、測定対象または作製対象となる製品の更なる大型化に伴って、構成部材の更なる大型化や長尺化が求められている。そのため、これらの要求に応えるべく、構成部材を更に軽量化しなければならないという課題があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決すべく案出されたものであり、従来よりもさらに軽量化可能な筒状部材およびこの筒状部材からなる測定機・装置の構成部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の筒状部材は、複数の板材で構成された筒状部材であって、前記板材のうち少なくとも一つが中空部を有していることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の測定器用部材は、本発明の筒状部材を測定装置用部材として用いたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の筒状部材によれば、複数の板材で構成された筒状部材であって、前記板材のうち少なくとも一つが中空部を有していることにより、一体的に形成された筒状部材や複数の中実材で形成された筒状部材よりも軽量化することができる。
【0010】
本発明の測定機・装置の構成部材によれば、本発明の筒状部材からなることにより、軽
量化が図られているので、移動の高速化や位置決めの高精度化に対応することができる。また、自重によって撓むことが少ないので、測定対象または作製対象となる製品の更なる大型化に伴う、構成部材の更なる大型化や長尺化に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態の筒状部材の一例を示す概略斜視図である。
【図2】本実施形態の筒状部材を構成する板材である中空材の一例を示す構成図である。
【図3】本実施形態の筒状部材の他の例を示す概略斜視図である。
【図4】本実施形態の筒状部材を構成する板材である中空材の他の例を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施形態の筒状部材およびこの筒状部材からなる測定機・装置の構成部材について説明する。
【0013】
図1は、本実施形態の筒状部材1の一例を示す概略斜視図である。本実施形態の筒状部材1は、セラミックスからなる複数の板材2で構成された筒状部材1であって、これらの板材2のうち少なくとも一つが中空部3を有していることを特徴としている。そして、図1に示す例において、(a)は板材2のうちの一つが、一表面から対向する表面に貫通する貫通孔である中空部3を有している例を示すものであり、(b)は板材2のうちの一つが、板材2の内部に中空部3を有している例を示すものである。
【0014】
なお、以下の説明において、中空部3を有していない板材2を中実材2a、中空部3を有する板材2を中空材2bと称すこともある。図1に示す例の筒状部材1は、中実材2aと中空材2bとで四角筒状に形成されている。なお、本実施形態の筒状部材1は、四角筒状に限るものではなく、複数の板材2で構成され、これらの板材2のうち少なくとも一つが中空部3を有し、筒状に形成されるものであればよい。
【0015】
このように、本実施形態の筒状部材1は、板材2のうち少なくとも一つが中空部3を、すなわち中空材2aを有していることにより、一体的に四角筒状に形成された筒状部材や複数の中実材で四角筒状に形成された筒状部材よりも、軽量化を図ることができる。なお、複数の板材2で筒状部材1を構成するには、各種接着剤を用いる接合や、ガラス接合,メタライズ接合およびセラミックスラリーによる接合など、様々な接合方法を用いて接合すればよい。
【0016】
また、本実施形態の筒状部材1を構成する板材2の材質であるセラミックスとしては、アルミナ、コージェライト、ムライト、スピネル、イットリアまたはチタン酸アルミニウムなどの酸化物セラミックスや、窒化珪素、炭化珪素または炭化硼素などの非酸化物セラミックスあるいはこれらのいずれか1種以上組み合わせのものを用いることができる。
【0017】
そして、セラミックスは、バインダを添加して成形し、焼成時にこのバインダを除去して焼結体と成るものであり、バインダの除去が十分でない箇所が1箇所でもあれば焼結体にクラックを生じ、良品を得ることができない難焼結材である。そのため、特に、厚みが厚いまたは長さの長い、大型化や長尺化したセラミックスからなる筒状部材を一体的に作製するときよりも、本実施形態の筒状部材1は、複数の板材2で構成されており、良品を得やすいので作製コストを低減することができる。
【0018】
そして、図1(a)に示す例のように、本実施形態の筒状部材1を構成する複数の板材2のうち少なくとも一つが中空部3を有し、その中空部3が板材2の一表面から対向する
表面に貫通する貫通孔であるときには、筒状部材1の軽量化を図ることができるとともに、貫通孔を媒体の流路として用いることにより、媒体の熱を利用して筒状部材1自体またはその周囲を温めたり、冷やしたりすることができる。また、周囲環境の温度によって筒状材1が膨張や収縮しない温度調整した媒体を流すことで、筒状部材1の寸法変化を抑制することができる。なお、板材2の一表面から対向する表面に貫通する貫通孔である中空部3を正面視したときの形状は、四角形状に限るものではなく、円形状であってもよい。
【0019】
また、図1(b)に示す例のように、本実施形態の筒状部材1を構成する複数の板材2のうち少なくとも一つが、板材2の内部に中空部3を有しているときには、外観から中空部3を有していることが視認されにくい状態で軽量化を図ることができる。
【0020】
そして、このような内部に中空部3を有している板材2は、例えば、図2に示すように、複数の部材である平板21と枠板22とを用いて積層することによって形成することができる。具体的には、中央に孔23を有する枠体22を平板21で挟む構成となるように、各種接着剤を用いる接合や、ガラス接合,メタライズ接合およびセラミックスラリーによる接合など、様々な接合方法を用いて接合することによって、板材2の内部に中空部3を形成することができる。また、孔23の形状を変えることにより、様々な形状の中空部3を内部に有する板材2を形成することができる。
【0021】
なお、図1では、筒状部材1を構成する複数の板材2のうち一つが中空部3を有している例を示したが、複数の板材2のうちの二つまたは三つ、もしくは板材2のすべてが中空部3を有しているものであってもよいことはいうまでもない。
【0022】
図3は、本実施形態の筒状部材1の他の例を示す概略斜視図である。図3(a),(b)は、いずれも複数の中空材2bで構成された筒状部材1であり、(a)は一表面から対向する表面に貫通する貫通孔である中空部3を有している例を示すものであり、(b)は内部に中空部3を有している例を示すものである。このように、複数の板材2のうちの中空材2の割合を増やすことにより、さらに軽量化を図ることができる。
【0023】
また、図4は、本実施形態の筒状部材1を構成する板材2である中空材2bの他の例を示す概略斜視図である。図4(a),(b)は、いずれも複数の中空部3を有する中空材2bであり、(a)は一表面から対向する表面に貫通する複数の貫通孔である中空部3を有している例を示すものであり、(b)は内部に複数の中空部3を有している例を示すものである。
【0024】
図3(a)に示す例のように、一表面から対向する表面に貫通する複数の貫通孔である中空部3間に中実部を有していることにより、長手方向の曲げ強度に優れ、自重による撓みが少なく、高剛性でありながら軽量化を図ることのできる中空材2bとすることができる。また、図3(b)に示す例のように、内部に複数の中空部3を有し、長手方向および短手方向に中実部を有していることにより、長手方向のみならず短手方向の曲げ強度に優れ、自重による撓みが少なく、高剛性でありながら軽量化を図ることのできる中空材2bとすることができる。
【0025】
そして、本実施形態の筒状部材1は、製品形状の精密な測定に用いられる三次元測定機、半導体(集積回路)の作製に用いられる半導体製造装置、半導体や液晶パネルの基板の作製に用いられる露光装置等において、上下、左右、前後に移動する部材やこの移動する部材を支持ずる部材とである、ガイド、ステージ、ミラー、フレームと呼ばれるセラミックスからなる構成部材に用いることができる。
【0026】
この構成部材が、本実施形態の筒状部材1からなることにより、軽量化が図られている
ので、移動の高速化や位置決めの高精度化に対応することが可能となる。また、軽量化が図られていることから、自重によって撓むことが少ないので、測定対象または作製対象となる製品の更なる大型化に伴う、構成部材の更なる大型化や長尺化に対応することができる。さらに、構成部材の軽量化によって、構成部材を駆動するための駆動源であるモータへの負担を軽減できるとともに、測定機・装置も軽量化され、運搬や設置等に掛かる負担を軽減できる。
【0027】
次に、本実施形態の筒状部材1の製造方法の一例を示す。
【0028】
まず、図1(a)に示す例の筒状部材1の製造方法について説明する。平均粒径が1μm程度のアルミナ原料と、CaO,SiO,MgO等の焼結助剤と、バインダと、溶媒(水)とを所定量秤量して、ニーダーなどの攪拌機に入れて混練して粘土状の坏土とする。そして、この坏土を図1(a)の中実材2aの形状を成形可能な所定の金型を先端部に備えたスクリュー式の押出成形機に入れて成形して中実材2aとなる成形体を得る。また、同じ坏土を用いて、中空材2bの形状を成形可能な所定の金型を先端部に備えたスクリュー式の押出成形機で成形して中空材2bとなる成形体を得る。ここで、必要に応じて切削加工を施してもよい。
【0029】
そして、中実材2aとなる成形体および中空材2bとなる成形体を乾燥した後、焼成炉に入れて大気雰囲気中1400℃以上1700℃以下の温度で焼成することによって、板材2である中実材2aおよび中空材2bを得る。なお、焼成後に、必要に応じて研削等の加工を施してもよい。
【0030】
なお、中実材2aについては、押出成形以外の成形方法によっても作製可能である。例えば、アルミナ原料と、CaO,SiO,MgO等の焼結助剤と、バインダと、水とを所定量秤量し、攪拌機の容器内に入れて混合・攪拌しスラリーとした後、これを噴霧造粒(スプレードライ)法にて造粒した顆粒を得る。そして、この顆粒を用いて、静水圧プレス成形(ラバープレス)法や粉末プレス成形法にて成形し、必要に応じて切削加工を施して、成形後の工程は上述した工程と同じ工程により中実材2aを得ればよい。
【0031】
そして、得られた中実材2aと中空材2bとを、各種接着剤を用いて接合したり、ガラスを塗布し熱処理して接合することによって筒状部材1を得ることができる。また、中実材2aとなる成形体と中空材2bとなる成形体とを用いて、アルミナからなるスラリーを塗布して焼成することによって筒状部材1を得てもよい。
【0032】
次に、図1(b)に示す例の筒状部材1の製造方法について説明する。なお、中実部2aについては、上述した製造方法と同様であるので省略し、板材2の内部に中空部3を有する中実材2bの製造方法について、図2を用いて説明する。
【0033】
まず、アルミナ原料と、CaO,SiO,MgO等の焼結助剤と、バインダと、水とを所定量秤量し、攪拌機の容器内に入れて混合・攪拌しスラリーとした後、これを噴霧造粒(スプレードライ)法にて造粒した顆粒を得る。そして、この顆粒を用いて、静水圧プレス成形(ラバープレス)法や粉末プレス成形法にて成形し、必要に応じて切削加工を施して、平板21となる成形体および枠板22となる成形体を得る。
【0034】
そして、平板21となる成形体および枠板22となる成形体を必要に応じて乾燥した後、焼成炉に入れて大気雰囲気中1400℃以上1700℃以下の温度で焼成することによって、平板22および枠板23を得る。なお、焼成後に、必要に応じて研削等の加工を施してもよい。
【0035】
次に、得られた平板21と枠板22を用いて、枠体22を平板21で挟む構成となるように、各
種接着剤を用いて接合したり、ガラスを塗布し熱処理して接合することによって、内部に中空部3を有する中空材2bを得ることができる。また、平板21となる成形体と枠体23となる成形体とを用いて、アルミナからなるスラリーを塗布して焼成することによって、内部に中空部3を有する中空材2bを得てもよい。
【0036】
そして、このようにして得られた、内部に中空部3を有する中空材2bと、中実材2aとを、各種接着剤を用いて接合したり、ガラスを塗布し熱処理して接合することによって筒状部材1を得ることができる。また、内部に中空部3を有する中空材2bとなる成形体と、中実材2aとなる成形体とを用いて、アルミナからなるスラリーを塗布して焼成することによって筒状部材1を得てもよい。
【実施例1】
【0037】
以下、本実施形態の筒状部材1の実施例について以下に示す。
【0038】
複数の板材2で構成され、板材2のうち一つが中空材2bである図1(a),(b)に示す構成の筒状部材1と、一体的に形成された中空部3を有していない筒状部材とを作製し、質量比較を行なった。なお、寸法としては、幅が100mm、高さが80mm、長さが300mm、厚みが15mmの筒状とした。
【0039】
よって、図1(a)の筒状部材1を構成する複数の板材2は、図示面において、幅が100mm、高さ(厚み)が15mm、長さが300mmの中実材2aを1本と、同寸法の板材2に、幅が50mm、高さが10mm、長さが300mmの中空部3を有する中空材を1本と、幅が15mm、高さが50mm、長さが300mmの中実材2aを2本とからなる。
【0040】
また、図1(b)については、中実部2aについては同様であり、幅が100mm、高さ
(厚み)が15mm、長さが300mmの中空材2bの内部に、幅が50mm、高さが10mm、
長さが180mmの中空部3を有するものとした。
【0041】
まず、平均粒径が1μmのアルミナ原料と、CaO,SiO,MgOからなる焼結助剤と、バインダと、水とを所定量秤量し、これらをニーダーに入れて投入して混練して粘土状の坏土とした。そして、この坏土を用いて、上述した寸法の中実材2aの形状を成形可能な所定の金型を先端部に備えたスクリュー式の押出成形機で成形して中実材2aとなる成形体を得た。また、同じ坏土を用いて、上述した寸法の図1(a)の中空材2bの形状を成形可能な所定の金型を先端部に備えたスクリュー式の押出成形機で成形して図1(a)の中空材2bとなる成形体を得た。
【0042】
さらに、同じ坏土を用いて、上述した寸法の筒状部材を一体的に成形可能な所定の金型を先端部に備えたスクリュー式の押出成形機で成形して、一体的に形成された筒状部材となる成形体を得た。
【0043】
また、図1(b)の中空材2bについては、同じアルミナ1次原料と、CaO,SiO,MgOからなる焼結助剤と、バインダと、水とを所定量秤量し、攪拌機の容器内に入れて混合・攪拌しスラリーとした後、これを噴霧造粒(スプレードライ)法にて造粒した顆粒を得た。そして、この顆粒を用いて、静水圧プレス成形(ラバープレス)法にて成形し、平板21となる成形体および枠板22となる成形体を切り出した。
【0044】
そして、すべての成形体を、乾燥機に投入し、24時間乾燥させた後、焼成炉に入れて1580℃の焼成温度で2時間保持して焼成して、一体的に形成された中空部3を有していない筒状部材と、中実材2aと、中空材2bと、平板21および枠板22とを得た。次に、図1(a)に示す本実施形態の筒状部材1については、中実材2aを3本および中空材2bを1
本用いて、接合面に接着剤を均一に塗布し、表面から加重をかけた状態で、乾燥機で150
℃の温度で乾燥することにより図1(a)に示す構成の筒状体1を得た。また、図1(b)に示す本実施形態の筒状部材1については、まず、2枚の平板21と枠板22とを用いて、接合面に接着剤を均一に塗布して、枠板22を平板21で挟んだ。そして、この平板21と枠板22とで構成された中空材2bを1本および中実材2aを3本用いて、接合面に接着剤を均一に塗布し、表面から加重をかけた状態で、乾燥機で150℃の温度で乾燥することにより
図1(b)に示す構成の筒状体1を得た。
【0045】
そして、図1(a)に示す構成の筒状部材1、図1(b)に示す構成の筒状部材1および一体的に形成された中空部3を有していない筒状部材のそれぞれの質量を測定した。結果、一体的に形成された中空部3を有していない筒状部材は5.00kgに対し、図1(a)に示す構成の筒状部材1は4.44kg、図1(b)に示す構成の筒状部材1は4.66kgであり、本実施形態の筒状部材1は、5%を超える軽量化を図れることがわかった。
【0046】
さらに、図1(a)に示す構成の筒状部材1、図1(b)に示す構成の筒状部材1および一体的に形成された中空部3を有していない筒状部材を複数個にわたって実施例1に示した製造方法で作製したところ、一体的に形成された中空部3を有していない筒状部材については、バインダの除去が十分でなかったためと思われるクラックが筒状部材の角部に生じているのが確認されたが、本実施形態の筒状部材1を構成する複数の板材2である中実材2aおよび中空部2bには、クラックは生じていなかった。この結果より、本実施形態の筒状部材1は、複数の板材2である中実材2aおよび中空部2bで構成されていることにより、良品を得やすく、作製コストを低減できることがわかった。
【実施例2】
【0047】
次に、図3(a),(b)に示す構成の筒状部材1を作製した。外寸については、実施例1で作製した筒状部材1を構成する板材2と同様とし、図3(a)の筒状部材1を構成する中空材2bのうち、幅が15mm、高さが50mm、長さが300mmの中空材2bの有す
る中空部3の寸法としては、図示面において、幅を10mm、高さを40mm、長さを300m
mとした。また、図3(b)の筒状部材1を構成する中空材2bのうち、幅が15mm、高さが50mm、長さが300mmの中空材2bの有する中空部3の寸法としては、幅が10mm
、高さが40mm、長さが180mmとした。
【0048】
そして、図3(a)に示す構成の筒状部材1、図3(b)に示す構成の筒状部材1の質量を測定した。結果、一体的に形成された中空部3を有していない筒状部材に対し、図3(a),(b)に示す構成の筒状部材1は、20%以上軽量化を図れることがわかった。
【実施例3】
【0049】
次に、図4(a),(b)に示す構成の中空材2bを用いて筒状部材1を作製し、三次元測定機に取り付けた。なお、筒状部材1の長さは2000mmとした。そして、高速駆動や高精度な位置決めが可能であるかの確認を行なったところ、軽量化が図られていることから、自重による撓みも少なく、従来よりも早くまた精度良く測定を行えることが確認できた。
【0050】
この結果、本実施形態の筒状部材1は、セラミックスからなる複数の板材2で構成され、板材2のうち少なくとも一つが中空部3を有していることにより、一体的に形成された筒状部材よりも、軽量化を図ることができることがわかった。
【0051】
また、本実施形態の筒状部材1を測定機・装置の構成部材として用いることにより、軽量化が図られているので、移動の高速化や位置決めの高精度化に対応できることがわかった。また、軽量化が図られていることから、自重によって撓むことが少ないので、測定対
象または作製対象となる製品の更なる大型化に伴う、構成部材の更なる大型化や長尺化に対応することができることがわかった。また、構成部材の軽量化によって、構成部材を駆動するための駆動源であるモータへの負担を軽減できるとともに、測定機・装置も軽量化され、運搬や設置等に掛かる負担を軽減できることがわかった。
三次元測定機
【符号の説明】
【0052】
1:筒状部材
2:板材
2a:中実材
2b:中空材
3: 中空部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックスからなる複数の板材で構成された筒状部材であって、前記板材のうち少なくとも一つが中空部を有していることを特徴とする筒状部材。
【請求項2】
前記中空部が板材の一表面から対向する表面に貫通する貫通孔であることを特徴とする請求項1に記載の筒状部材。
【請求項3】
前記中空部が複数の部材を積層することにより形成されていることを特徴とする請求項1に記載の筒状部材。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の筒状部材からなることを特徴とする測定機・装置の構成部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−208077(P2012−208077A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75557(P2011−75557)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】