説明

筺体の構造

【課題】本発明は、簡単な構造で部材の共用を行い、設置作業の手間を大きく省くことのできる筺体の構造を提供することを目的としている。
【解決手段】本発明に係る筺体4の構造は、筺体4を上部部材8、下部部材9、右側部材10、左側部材11とを組み合わせて構成し、住宅用分電盤1と情報盤5とのそれぞれの筺体4を中間部材12により一体に形成すると共に、中間部材12には、コンセントを設け、住宅用分電盤1に備えられた電源を情報盤5に供給可能としたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主幹ブレーカや分岐ブレーカ等の電気機器を配列して成る住宅用分電盤と、ハブやルータ等の通信機器を配列して成る情報盤との筺体の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
住宅用分電盤は、主幹ブレーカや分岐ブレーカ等の電気機器を筺体に配列し構成される。情報盤は、ハブやルータ等の通信機器等を筺体に配列し構成される。従来、図5に示すように、住宅用分電盤31と情報盤32とはそれぞれ別の筺体で構成し、住宅の壁面に取り付けられていた。
【0003】
特に規定されてはいないが、美観を損ねないように、住宅用分電盤31と情報盤32とは同じような筺体を用い、隣接して設置されることがある。住宅用分電盤31への商用電源供給や、住宅内の各所に設けられるコンセントや照明への電線の引き回し、住宅用分電盤31から情報盤32への電源供給のための配線は壁面内部でなされている。住宅用分電盤31と情報盤32とを隣接して設置していても、筺体の外側さらには住宅の壁面内部で電線を引き回して行われていた。
【特許文献1】特開2002−135943号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記住宅用分電盤31と情報盤32では、収納する機器の種類や数、大きさによって筺体の大きさを個別に設定する必要があった。色々な種類に対応するために、筺体を種々揃えておかなくてはならず、在庫管理に大きな費用と手間が掛かっていた。
【0005】
また、住宅用分電盤31と情報盤32の設置工事はそれぞれ別々に行っており、取り付けスペースの選定も限定され、設置作業にも手間がかかり、作業効率が悪かった。電源についても、情報盤32内にコンセント33を設けると、情報盤32内部に搭載されている機器間の距離が短くなり、情報機器それぞれの配線作業がやりにくく、誤結線の虞や作業効率に影響があった。また、住宅用分電盤31から情報盤32への配線は、筺体を取り付けた壁面の内側で行われるため、配線のための穴加工等、工事に手間がかかっていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明は、簡単な構造で部材の共用を行い、設置作業の手間を大きく省くことのできる筺体の構造を提供することを目的とし、その構造は、筺体を上部部材、下部部材、右側部材、左側部材とを組み合わせて構成し、住宅用分電盤と情報盤とのそれぞれの筺体を中間部材により一体に形成すると共に、中間部材には、コンセントを設け、住宅用分電盤に備えられた電源を情報盤に供給可能としたことを特徴とする。
【0007】
また、筺体を構成する五種の部材のうち少なくとも二種の部材を同一形状とし反転させて置き換え可能である形状であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る筺体の構造は、筺体を上部部材、下部部材、右側部材、左側部材とを組み合わせて構成し、住宅用分電盤と情報盤とのそれぞれの筺体を中間部材により一体に形成すると共に、中間部材には、コンセントを設け、住宅用分電盤に備えられた電源を情報盤に供給可能としたため、住宅用分電盤と情報盤との設置作業の手間を省くことができると共に、住宅用分電盤と情報盤とを隣接して設置した場合と比べ、住宅用分電盤と情報盤との間の隔壁が一枚で済むため、材料の使用量、設置面積も減らすことができる。また、情報盤への電源供給を住宅用分電盤との隔壁からしたため、電源の引き込み工事も壁面内部から情報盤に引き込む分を省くことができ、簡単な作業で電源供給できるという利点がある。
【0009】
また、筺体を構成する五種の部材のうち少なくとも二種の部材を同一形状とし反転させて置き換え可能である形状であるため、部材を共用することができるので、さらに在庫管理の手間を省くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係る筺体の構造を図1〜図4の添付図面に基いて説明する。
【0011】
住宅用分電盤1は、主幹ブレーカや分岐ブレーカ等の電気機器2を機器取り付け板3に配列し、これら電気機器2間を電線や導電バーで接続し、機器取り付け板3を筺体4に固定して構成される。また、情報盤5は、ハブやルータ等の通信機器6を機器取り付け板7に固定し、通信線で接続し、機器取り付け板7を筺体4に固定して構成される。これらの住宅用分電盤1や、情報盤5は、住宅の壁面に取り付けて用いられ、住宅用分電盤1と情報盤5とを隣接して設置することもある。
【0012】
本発明は従来別々に構成していた住宅用分電盤1と情報盤5とを一体に構成するための筺体4の構造に関する。
【0013】
上部部材8、下部部材9、右側部材10、左側部材11とで囲われたスペースを中間部材12で分割し、筺体4を構成している。左右に分割した筺体4で、一方には電気機器2を配列した機器取り付け板3を固定し住宅用分電盤1として、他方は通信機器6を配列した機器取り付け板7を固定し情報盤5として構成する。上部部材8、下部部材9、右側部材10、左側部材11、中間部材12との五種の部材で筺体4を構成することで、組み立て前の状態ではコンパクトに在庫できる。住宅用分電盤1や情報盤5は、配列される機器2,6の数、種類により、筺体4の大きさも異なってくるが、それぞれの部材を変えることで筺体4の寸法変更が可能である。
【0014】
中間部材12には任意の位置に貫通口13を設け、この貫通口13にコンセント14を取り付ける。住宅用分電盤1では電気回路を備えているため、もともと住宅の壁面や天井面の内側から筺体4内部へ電源を引き込んでいた。この電源と接続されたコンセント14をコンセント口を情報盤5側に向けて貫通口13に設ける。情報盤5に収納された通信機器6の電源は、この中間部材12に設けられたコンセント14にプラグを差し込んで供給を受ける。従来は住宅用分電盤1と情報盤5とに電源を引き込むため、それぞれの盤に住宅の壁面や天井面に引き込み工事を必要としていたが、本発明では住宅用分電盤1にのみ引き込めば情報盤5にも電源の供給が可能である。
【0015】
本発明の請求項2に係る筺体4の構造では、筺体4を構成する五種の部材のうち少なくとも二種の部材を同一形状で構成することができる。つまり、向かい合う辺を構成する部材、上部部材8と下部部材9、右側部材10と左側部材11を同一形状で構成することで、それぞれを反転させて置き換え可能とする。
【0016】
分電盤は、矩形の筺体に収められる場合、筺体の向かい合う辺は同一長さであるので、長さだけでなく、形状も同一のものにすると、少なくとも、上部部材8と下部部材9、右側部材10と左側部材11とを共用する。さらに正方形の筺体である場合は、すべての部材が共用できる。
【0017】
本発明に係る筺体の構造において、各辺をそれぞれ部材を組み合わせで構成されるという構造は、図4に示すように、住宅用分電盤、情報盤の単体の筺体にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る筺体の構造を示す正面図である。
【図2】図1における筺体の分解図である。
【図3】本発明に係る筺体の中間部材を示す斜視図である。
【図4】本発明における筺体の構造の変形実施例である。
【図5】従来の筺体の構造を示す正面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 住宅用分電盤
2 電気機器
3 機器取り付け板
4 筺体
5 情報盤
6 通信機器
7 取り付け板
8 上部部材
9 下部部材
10 右側部材
11 左側部材
12 中間部材
13 貫通口
14 コンセント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器を配列して成る住宅用分電盤と、通信機器を配列して成る情報盤との筺体の構造であって、該筺体を上部部材、下部部材、右側部材、左側部材とを組み合わせて構成し、前記住宅用分電盤と前記情報盤とのそれぞれの筺体を中間部材により一体に形成すると共に、該中間部材には、コンセントを設け、前記住宅用分電盤に備えられた電源を前記情報盤に供給可能としたことを特徴とする筺体の構造。
【請求項2】
前記筺体の構造において、前記筺体を構成する五種の部材のうち少なくとも二種の部材を同一形状とし反転させて置き換え可能である形状であることを特徴とする請求項1に記載の筺体の構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−207213(P2009−207213A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−43865(P2008−43865)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(000124591)河村電器産業株式会社 (857)
【Fターム(参考)】