説明

算数ゲーム器

【課題】幼児用知育玩具であって、複数の球状体を使用し該球状体を格納部に格納したり、取り出すことを行うことによって、桁上がり計算及び桁下がり計算を視覚的に楽しませつつ理解させることができる算数ゲーム器を提供することを課題とする。
【解決手段】幼児用の知育玩具であって、複数の球状体と、前記球状体を10個格納可能に形成した格納部の複数個と、前記各格納部の下部に前記球状体を開放する開放扉と、前記開放扉が開放された時に前記各格納部に格納された球状体が収容される台状に形成された棚状の合計確認部を備えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幼児用知育玩具である算数ゲーム器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、登録実用新案3041323号公報「多機能性を持つ算数おけいこ箱」のように、積み木を利用して簡単な構造で確実に教具として、楽しく知識を啓発するようにした玩具はあった。
【0003】
しかしながら、1桁同士の繰り上がり足し算や、11〜20の数値から1桁の数値の引き算を行う場合において、その計算過程は、遊技性に乏しいものであった。
【0004】
【特許文献1】登録実用新案3041323号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点に斯かる実情に鑑みなされたもので、幼児用知育玩具であって、複数の球状体を使用し該球状体を格納部に格納したり、取り出すことを行うことによって、桁上がり計算及び桁下がり計算を視覚的に楽しませつつ理解させることができる算数ゲーム器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、幼児用の知育玩具であって、複数の球状体と、前記球状体を10個格納可能に形成した格納部の複数個と、前記各格納部の下部に前記球状体を開放する開放扉と、前記開放扉が開放された時に前記各格納部に格納された球状体が収容される台状に形成された棚状の合計確認部を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1において、前記各格納部の下部後壁面に球状体が通過可能な孔と、前記孔を球状体が通過することを阻止する弾性突片とを有し、前記格納部に格納された球状体を前記孔より1つずつ押出す減算レバーと、押出された球状体を収容する棚状の減算確認部を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2において、前記各格納部の前面が透明とされ、且つ、この前面には該格納部内に格納している球状体の数を示す数字が表記されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項2又は3において、前記合計確認部及び前記減算確認部の上面には該台部に収容した球状体の数を計数しやすくするための数字が表記されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかにおいて、各格納部は隣接して配置されると共に、端の格納部上方に投入口を有し、前記各格納部は上部空間により連接され、いずれの格納部も球状体が10個格納されると隣の格納部に球状体を格納されるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、桁上がりの足し算を行う場合において、それぞれの数値に応じた球状体を格納部に格納して行き、球状体を格納した開放扉を開放すると、該球状体は合計確認部に収容され、該球状体の数を確認することによって桁上がり計算を視覚的に行うことができる算数ゲーム器を提供することができる。例えば、8+3の場合、格納部に8個の球状体を入れる。その後、同様に、3個の球状体を格納部にいれる。全ての球状体を入れ終わった後に、開放扉を開放すると、合計確認部に、11個の球状体が収容され算数計算を行うことができる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、引き算を行う場合において、引き算の元となる数値に応じた球状体を格納部に格納して行き、該格納部から減算レバーを用いて対応する数値の数の球状体の押出しを行う。押出された球状体は、減算確認部に収容される。その後、開放扉を開放すると、格納部に残された球状体は、合計確認部に収容され、該球状体の数を確認することによって、1桁の引き算や桁下がり計算を視覚的に行うことができる。例えば、13―7の場合、格納部に13個の球状体を入れる。その後格納された球状体を押出す減算レバーを用いて7回操作を行う。減算確認部に7個の球状体が、格納された後、開放扉を開放すると、合計確認部に6個の球状体が収容され、算数計算を行うことができる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、各格納部の壁面には、該各格納部内に格納している球状体の数を示す数を表記することによって、視覚的に格納されている球状体の数を認識することができる。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、合計確認部及び減算確認部の上面には該台部に収容した球状体の数を計数しやすくするための数字を表記することによって、視覚的に収容されている球状体の数を認識することができる。
【0015】
請求項5記載の発明によれば、各格納部の上部を連接する空間を設け、いずれの格納部に球状体が10個格納された場合において、次の球状体が格納される際に、隣の格納部に格納されるようにすることによって、該格納部に11個目を格納しようとした際に、既に10個格納された格納部には溢れて格納できず、隣の格納部に格納されることによって、使用者は、桁が繰り上がることを視覚的に理解することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
幼児用の知育玩具であって、複数の球状体と、ゲーム器本体とで構成され、ゲーム器本体は、前記球状体を10個格納可能に形成した格納部の複数個と、前記各格納部の下部に前記球状体を開放する開放扉と、前記開放扉が開放された時に前記各格納部に格納された球状体が収容される台状に形成された棚状の合計確認部と、前記各格納部の下部後壁面に球状体が通過可能な孔と、前記孔を球状体が通過することを阻止する弾性突片とを有し、前記格納部に格納された球状体を前記孔より1つずつ押出す減算レバーと、押出された球状体を収容する棚状の減算確認部とで構成した。
【0017】
さらに、前記各格納部は、隣接して配置すると共に端の格納部上方に投入口を設け、また前記各格納部は上部空間により連接し、いずれの格納部も球状体が10個格納されると隣の格納部に球状体を格納するようにした。そして、前記各格納部の前面を透明にし、且つ、この前面には該格納部内に格納している球状体の数を示す数字を表記し、前記合計確認部及び前記減算確認部の上面には、該台部に収容した球状体の数を計数しやすくするための数字を表記した。
【実施例】
【0018】
図1は、本発明の実施の例である算数ゲーム器の斜視図面である。該図面を用いて算数ゲームの全体の説明を行う。算数ゲーム器は、台部20及び台部の上に球状体12を格納可能な格納部を2つ備えた蓄積部30を有するゲーム器本体と、複数個の球状体12とで構成されている。
【0019】
球状体12の形は、球形状に設けられ、格納部の数×10個の球状体12を使用するようになっている。例えば、格納部が2つの場合においては、20個の球状体12を使用する。また球状体12の素材は、どのような素材で形成してもよく、例えば、木製、ガラス玉、樹脂製、金属製などでも構わない。また、球状体12の表面に図柄や絵柄を表記してもよく、例えば、ドングリを模した球状体12であっても構わない。実施の例では、球状体12は、ビー玉を使用している。
【0020】
台部20は、方形状で形成され、四方に壁面が形成されている。台部20の素材は、どのような素材で形成してもよく、木製、樹脂製、金属製であっても構わない。台部20底面は、左下方、右下方、上方に分けられている。また左下方、右下方は、仕切板28によって仕切られており、該左下方は、合計確認部22で、右下方は、減算確認部24となっている。また、台部底面の上方は、押出された球状体12が、減算確認部22に転がるように傾斜が設けられた傾斜部26となっている。
【0021】
合計確認部22は、縦4横5の合計20個の球状体12を収容可能に設けられており、合計確認部22の上面は、下方に傾斜して形成されている。また、球状体12が収容される位置に対応する数値(1〜20)が表記されている。また、この合計確認部22の上方には、蓄積部30が設けられている。
【0022】
減算確認部24は、縦5横2の合計10個の球状体12を収容可能に設けられており、減算確認部24の上面は、下方に傾斜して形成されている。また、球状体12が収容される位置に対応する数値(1〜10)が表記されている。
【0023】
蓄積部30は、方形状に形成され、その内部を中空に形成されている。また、蓄積部30内上方に球状体1個以上分の空間を残して中央を仕切る仕切板36が形成され、仕切られた空間に球状体12がそれぞれ10個格納可能とした格納部となっている。蓄積部30の正面は、球状体12の格納状態を確認可能なように透明素材で形成されている。また、透明素材で形成された正面は、格納されている球状体12の数を容易に判断可能なように1〜10の数値がそれぞれ表記されている。
【0024】
蓄積部30の上面端には、球状体12投入用の投入口34が設けられている。また、蓄積部30の正面及び背面の下部には、背面より球状体12を排出する為の開口部56と、合計確認部22に排出する為の開口部58がそれぞれ設けられている。
【0025】
背面より球状体12を排出する為の開口部56には、蓄積部30内の格納部に格納されている球状体12の通過を阻止する弾性突片54が突出して設けられている。該弾性突片54によって、格納部内の球状体12が排出されないように阻止している。
【0026】
また開口部58には、該開口部58を覆うように蓄積部30の側面に設けられた扉軸44に回動自在に軸支された開放扉42が設けられ、格納されている球状体12が合計確認部22に転がるのを阻止している。該開放扉42の一端には、圧縮バネ46の一端が係合している。また該圧縮バネ46の他端は、蓄積部30に係合するようになっており、該圧縮バネ46の力によって、開放扉42を回転させるようになっている。
【0027】
台部20の下面には板バネ48が設けられ、該板バネ48には、合計確認部22の表面より突出して形成された凸部50とボタン52が設けられている。該凸部50は、ボタン52を押圧することによって板バネ48が変位し、合計確認部22の表面より埋没するよう動作する。また、該凸部50は、合計確認部22の表面より突出していることによって、開放扉42の回転を阻止している。
【0028】
減算レバー38は、L字型の棒で、L字型の角部分が、蓄積部30の側面に設けられた減算レバー軸40に回動自在に軸支されている。また、蓄積部30の側面には、スリットが形成され、該減算レバー38を操作した際に、該減算レバー38が、該スリットを通過し、内部の球状体12を押出すようになっている。
【0029】
図2を用いて、減算レバー38の動きを説明する。減算レバー38を回転させると、蓄積部30内に格納されている球状体12が背面側に押圧される。球状体12が押圧されると、蓄積部30背面に設けられた弾性突片54が変位することによって、蓄積部30背面の開口部56より、1つの球状体12が排出されるようになっている。排出された球状体12は、傾斜部26の傾斜によって減算確認部24へと転がるようになっている。これを繰り返し行うことによって、引き算の操作を行うことができる。
【0030】
図3を用いて、開放扉42の動きを説明する。台部20の下面に設けられた板バネ48に設けられたボタン52を押圧することによって、凸部50が合計確認部22の表面より埋没するようになる。開放扉42の回転を阻止している凸部50が無くなることによって、開放扉42は、圧縮バネ46の力によって扉軸44を中心に回転し、格納部内の球状体12を開放するようになっている。開放扉42が開放されると、格納部内の球状体12のすべてが合計確認部22に転がるようになっている。
【0031】
図4を用いて、足し算「8+3」の場合の使用例を説明する。まず、使用者は、8個の球状体12と3個の球状体12を用意する。該算数ゲーム器10の蓄積部30の投入口34に、用意した8個の球状体12を入れ格納していく。その後、同様に、用意した3個の球状体12を入れ格納する。2個目の球状体12を入れた際に、1つの格納部の格納数は10個となり格納できなくなっている。そのため、隣接する格納部に、3個目の球状体12が格納されるようになっている。この様が、使用者に対して、桁の繰り上がりを視覚的に理解できるように働くようになる。8個と3個の球状体12が、格納部に格納された後、開放扉42を開放すると、合計確認部22に球状体12が収容されるようになる。使用者は、合計確認部22にある球状体12の数を数えることによって、計算結果を確認ことができるようになっている。
【0032】
本発明の算数ゲーム器10は10の補数を利用した計算方法に有効で、「8」に何個の球状体12を投入すれば10個になるかを認識することができ、また、「8+3」の場合においては、10個の球状体12の集合と1個の球状体12に分けて考え、「10+1」として視覚的に変換して考えることが可能となっている。また、例えば、「7+6」の場合においては、10個の球状体12の集合にするためには、まず3つの球状体12を投入し、その後3つの球状体12を投入することによって、「10+3」と、使用者は、計算方法を変えることができるようになるために、繰り上がり計算において、より理解を深めることが可能となっている。
【0033】
図5を用いて、引き算「13−7」の場合の使用例を説明する。まず、使用者は、13個の球状体12を用意する。該算数ゲーム器10の蓄積部30の投入口34に、用意した13個の球状体12を入れ格納していく。次に、蓄積部30の側面に設けられた減算レバー38を7回操作し格納部に格納された球状体12を傾斜部26へと排出し、該球状体12は減算確認部24へと転がるようになる。減算レバー38が操作された後、開放扉42を開放すると、格納部内に残った球状体12が、合計確認部22に収容されるようになる。使用者は、合計確認部22にある球状体12の数を数えることによって、計算結果を確認ことができるようになっている。
【0034】
また、繰り下がりの計算においては、「13―7」の場合において、減算レバー38によって、徐々に球状体12を減らしていくことによって、数えながら引く計算を理解することができる。また、「13」を「10」と「3」に分けて考え、「3」の格納部から3つだけ球状体12を抜き、次に「7」のうちのまだ抜き足りない「4」を10個格納された格納部から引くようにすることによって、繰り下がり計算においてより理解を深めることが可能となっている。
【0035】
また、繰り下がりの引き算において、図6のように「13」を「10」と「3」に分けて考え、「10」の格納部から7つの球状体12を抜き、「10」の格納部から7つ抜かれて格納部に残った「3」と、もう一つの「3」を足し算することで、繰り下がりの引き算を行う計算方法もあり、繰り下がり計算においてより理解を深めることが可能となっている。
【0036】
上述の様に算数ゲーム器10を使用すると、開放扉42が開放された際に、格納部に格納されている球状体12が次々と格納部からでてくるようになっており、算数ゲーム器10と球状体12が接触し、ガラガラと言った音をだして出てくる様が、使用者に対して趣向を高めることができる。
【0037】
この以上説明したように構成することにより、幼児用知育玩具であって、複数の球状体を使用し該球状体を格納部に格納したり、取り出すことを行うことによって、桁上がり計算及び桁下がり計算を視覚的に楽しませつつ理解させることができる算数ゲーム器を提供することができる。また、好ましい実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した技術的範囲内で種々に改変できる。
【0038】
たとえば、図示しないが蓄積部30の格納部を3つ備え、球状体12を30個、合計確認部22の収容個数を30個とし減算確認部24の収容数個数を25個などとすることによって、30までの数値の足し算及び引き算を行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施例である算数ゲーム器の外観を示す図である。
【図2】本発明の一実施例である算数ゲーム器の減算レバーの動きを示す図である。
【図3】本発明の一実施例である算数ゲーム器の開放扉の動きを示す図である。
【図4】本発明の一実施例である算数ゲーム器を使用し足し算を行う例である。
【図5】本発明の一実施例である算数ゲーム器を使用し引き算を行う例である。
【図6】本発明の一実施例である算数ゲーム器を使用し引き算を行う例である。
【符号の説明】
【0040】
10 算数ゲーム器
12 球状体
20 台部
22 合計確認部
24 減算確認部
26 傾斜部
28 仕切板
30 蓄積部
34 投入口
36 仕切板
38 減算レバー
40 減算レバー軸
42 開放扉
44 扉軸
46 圧縮バネ
48 板バネ
50 凸部
52 ボタン
54 弾性突片
56 開口部
58 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幼児用の知育玩具であって、複数の球状体と、前記球状体を10個格納可能に形成した格納部の複数個と、前記各格納部の下部に前記球状体を開放する開放扉と、前記開放扉が開放された時に前記各格納部に格納された球状体が収容される台状に形成された棚状の合計確認部を備えたことを特徴とした算数ゲーム器。
【請求項2】
請求項1において、前記各格納部の下部後壁面に球状体が通過可能な孔と、前記孔を球状体が通過することを阻止する弾性突片とを有し、前記格納部に格納された球状体を前記孔より1つずつ押出す減算レバーと、押出された球状体を収容する棚状の減算確認部を備えたことを特徴とした算数ゲーム器。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記各格納部の前面が透明とされ、且つ、この前面には該格納部内に格納している球状体の数を示す数字が表記されていることを特徴とした算数ゲーム器。
【請求項4】
請求項2又は3において、前記合計確認部及び前記減算確認部の上面には該台部に収容した球状体の数を計数しやすくするための数字が表記されていることを特徴とした算数ゲーム器。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、各格納部は隣接して配置されると共に、端の格納部上方に投入口を有し、前記各格納部は上部空間により連接され、いずれの格納部も球状体が10個格納されると隣の格納部に球状体を格納されるようにしたことを特徴とした算数ゲーム器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−81784(P2006−81784A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−270822(P2004−270822)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(504354014)
【Fターム(参考)】