管体の継手構造、これを備えた管継手及びます
【課題】継手本体に対して固定リングが不用意に逆回転するという事態を適切に防止することにより、管体の良好な配管状態を確実に維持できるようする。
【解決手段】管体が差し込まれる継手本体と、前記管体が挿通され、回転動作により該継手本体に取り付けられる固定リングと、前記継手本体に係止させて固定リングの逆回転を防止させるべく該固定リングに設けられる係止手段と、を備えた管体の継手構造であって、該係止手段が、固定リングにスライド自在に外嵌される環状のストッパー本体と、該ストッパー本体に所定間隔を有して突設されて前記継手本体に係止可能な複数の係止片と、からなる、ストッパーである。
【解決手段】管体が差し込まれる継手本体と、前記管体が挿通され、回転動作により該継手本体に取り付けられる固定リングと、前記継手本体に係止させて固定リングの逆回転を防止させるべく該固定リングに設けられる係止手段と、を備えた管体の継手構造であって、該係止手段が、固定リングにスライド自在に外嵌される環状のストッパー本体と、該ストッパー本体に所定間隔を有して突設されて前記継手本体に係止可能な複数の係止片と、からなる、ストッパーである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水用及び排水用等の各種管体を配管する場合に幅広く使用することのできる管体の継手構造、これを備えた管継手及びますに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の管体の継手構造としては、例えば次のようなものが存在する。即ち、この従来のものは、袋ナットをソケットの一端部に回転自在に外嵌着すると共に、該一端部にニップルを挿着したものである。また、袋ナットの内周面から先端部を突出させたロックピンは、ニップルの外周面に設けたインロー溝にスライド自在に係合して両者が接続されている。
【0003】
更に、袋ナットの逆回転を防止してソケットとニップルとの接続状態を維持するために、該ニップルには、前記袋ナットの一端面に設けた凹凸状のラチェットに付勢状態で嵌合可能な鋼球を設けている。尚、これらの各部材は夫々金属で構成されている。
【特許文献1】特開平9−14533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のもののように、管継手の各構成部材が金属からなるような場合は特に問題は生じないのであるが、ソケットや袋ナット等が塩化ビニル等の合成樹脂で構成される場合は、次のような問題があった。
【0005】
即ち、ソケットとニップルとを接続する場合は、袋ナットに設けたロックピンがインロー溝の終端にまで移動するように袋ナットを回転させる。しかるに、その回転時にはニップルの鋼球が付勢状態でラチェットに接触しているために、ラチェットに摩耗等の損傷を生ぜしめ易い。このために、袋ナットが不用意に逆回転して継手部分から流通流体が漏洩するという問題点があった。
【0006】
この場合、鋼球に代えて、前記ラチェットに嵌合する凸部をニップルに膨出形成することも考えられる。しかし、このように変更しても、凸部やラチェットに生じる摩耗等の損傷の発生を回避することは困難であり、上記問題点を解消し得るものではない。
【0007】
また、鋼球を付勢状態でラチェットに嵌合させるという上記従来の手段は、逆回転防止手段としては必ずしも十分なものではない。即ち、継手部分に不用意に外力が加わったような場合等には、鋼球とラチェットとの嵌合状態が解除され易いという難点を有していたのである。
【0008】
それ故に、本発明は上記従来の問題点を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、継手本体に対して固定リングが不用意に逆回転するという事態を適切に防止することにより、管体の良好な配管状態を確実に維持できるようすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る管体の継手構造は、管体が差し込まれる継手本体と、前記管体が挿通され、回転動作により該継手本体に取り付けられる固定リングと、前記継手本体に係止させて固定リングの逆回転を防止させるべく該固定リングに設けられる係止手段と、を備えた管体の継手構造であって、該係止手段が、固定リングにスライド自在に外嵌される環状のストッパー本体と、該ストッパー本体に所定間隔を有して突設されて前記継手本体に係止可能な複数の係止片とからなるストッパーで構成されたものである。
【0010】
上記管継手に於いては、先ず配管すべき管体を固定リングに挿通した状態で、固定リングを回転させて継手本体に固定する。その後、ストッパー本体を継手本体側へスライド移動させて、ストッパーの各係止片を継手本体に係止させる。これにより、固定リングの逆回転は防止されることになる。
【0011】
これによると、ストッパーの係止片が継手本体に係止されるために、固定リングが逆方向へ回転することを適切に防止できる。よって、管体の良好な接続状態を確実に維持し得ることになる。
【0012】
また、前記固定リングを継手本体に固定した際に、ストッパーの係止片が係止可能な切欠又は孔を前記継手本体に設けることも可能である。
【0013】
これによれば、ストッパーの係止片を継手本体の切欠又は孔に係止させるという簡易な操作により、固定リングの固定状態を維持しつつ、その逆回転を防止することができる。その結果、管体の良好な接続状態を確実に維持できる。
【0014】
このようにすると、固定リングが継手本体に確実に係止されて、固定リングが逆回転しないことを外部から容易に確認することができる。また、ストッパーの係止片が継手本体の切欠又は孔に係止されたことにより、固定リングの回転が完全になされており、管体の接続状態が良好であることを外部から容易に確認することができる。これにより、配管作業の確実性が向上することになる。
【0015】
更に、前記ストッパーの係止片の内周面に、継手本体に係合可能な係合部を形成してもよい。
【0016】
これによると、ストッパーの係合部が継手本体に係合することにより、該継手本体と前記ストッパーの係止片との係止状態が良好に維持される。よって、固定リングの逆回転を、より確実に防止することができる。
【0017】
また、前記固定リングに、ストッパーの係止片が継手本体に係止されているか否かを外部から確認できる目印を設けても構わない。
【0018】
このようにすると、ストッパーの係止片が継手本体に係止されたこと及び離脱したことを外部から容易に確認できるために、一連の作業の確実性が向上することになる。また、これは作業者にとっても大変有用であり、現場での作業効率が向上することになる。
【0019】
更に、本発明に係る管継手は、管体の継手構造を備えたものである。
【0020】
これにより、上述した作用効果を奏する管継手を得ることができる。
【0021】
また、本発明に係るますは、前記管体の継手構造と、該管体の継手構造が設けられるます本体と、を備えたものである。
【0022】
このことにより、上述した作用効果を奏するますを得ることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、継手本体に固定した固定リングが不用意に逆回転するという事態を適切に防止することが可能となるために、管体の良好な配管状態を確実に維持できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
<第一実施形態>
以下、本発明に係る管体の継手構造を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
図1は、本実施形態に係る管体の継手構造を示す一部断面を含む正面図である。図中の符号1は、直管部2の側面に分岐部3を設けた継手本体で、直管部2及び分岐部3の先端部側には鍔部4を介して接続部5が夫々設けられている。
【0026】
この鍔部4には、図2に示すように所定間隔を有して三個の切欠6が形成されている。また、接続部5の側面には、同図に示すように所定間隔を有して三個の係合溝7が設けられている。かかる係合溝7は、管軸方向に形成した挿入部8と、該挿入部8に直交して水平に連設した第一直線部9と、該第一直線部9に所定の角度を有して連設した傾斜部10と、該傾斜部10に連設した水平の第二直線部11とからなっている。該第二直線部11の略中央部には、曲面状の凸部12が膨出形成されている。図3に示すように、符号40は前記係合溝7の挿入部8の挿入側にテーパ面41を有して設けられた凸状部である。
【0027】
符号13は、継手本体1の接続部5に取付けた固定リングを示す。かかる固定リング13は、その回転動作により後述するシール体30を管体Xの外周面に圧接せしめて、該管体Xを継手本体1に接続するためのものである。固定リング13の一端側内周面には、図3のように、前記継手本体1の係合溝7にスライド自在に係合する三個の係合凸部14が所定間隔を有して設けられている。尚、固定リング13を継手本体1に取付ける場合は、固定リング13の係合凸部14を継手本体1の係合溝7に設けたテーパ面41及び凸状部40を乗り越えるようにして挿入部8内に挿入する。これにより、固定リング13と継手本体1との一体性が保たれる。そのため、工場等に於いて、予めこの状態にまで製作しておけば、現場への搬送作業や現場に於ける配管作業の簡略化が図れて、作業効率が大幅に向上することになる。また、固定リング13等の各構成部品を紛失するという事態も良好に回避できる。尚、固定リング13は、上記したように必ずしも継手本体1から離脱しないように設ける必要はなく、取り外せるように構成してもよい。
【0028】
図4に示すように、符号15は、固定リング13の一端部に設けた鍔部である。該鍔部15には、三個の切欠16が所定間隔を有して形成されている。これら三個の切欠16は、固定リング13の係合凸部14を継手本体1の係合溝7の第二直線部11の終端に移動せしめた際に、該継手本体1の鍔部4の切欠6と一致するような位置に形成されている。符号17は、固定リング13の他端部内周面に内向きに設けた環状凸部である。固定リング13の他端部側外周面は、多角形状に形成されている。
【0029】
図5に示すように、符号18は固定リング13にスライド自在に外嵌したストッパーである。同図のように、環状のストッパー本体19には、所定間隔を有して三個の係止片20が上向きに突設されている。かかる係止片20の個数は変更が可能であり、これに合わせて前記継手本体1及び固定リング13の各切欠6、16の個数も適宜変更すればよい。係止片20の先端部内周面には、係合部21が設けられている。尚、係止片20は固定リング13の切欠16を介して継手本体1の切欠6に係入され、その鍔部4に係合部21が係合して、固定リング13の逆回転を防止する。図4に示すように、符号22は、固定リング13の外周面に接着した目印としてのテープである。この目印22が外部に露出しているか否かに基づいて、前記ストッパー18の係合部21が継手本体1の鍔部4に係合しているか否かを外部から目視で確認することができる。
【0030】
符号23は、固定リング13内に回転自在に嵌合した一対の環状体である。環状体23の一端側内周面には、図6に示すように、二段の段部24、25が設けられている。外側の段部24は、周面部26とテーパ部27と内壁部28とからなっている。また、環状体23の外周面には、二条の環状凸部29が所定間隔を有して設けられている。尚、この環状凸部29の外径寸法は、固定リング13の内径寸法よりも若干小さく設定されている。このため、環状体23は固定リング13内に回転自在に嵌合することになる。
【0031】
符号30は、図7に示すように対向配置した一対の環状体23間に配すべく、外側の段部24に嵌合させたゴム製のシール体である。この状態では、環状体23間に間隙42が形成される。符号31はシール体30の外周面略中央部に形成した断面略Vの字状の凹状部である。
【0032】
尚、図8に示すように、シール体30の凹状部31の深さAは、環状体23のテーパ部27と内壁部28とを合わせた高さBに対して、A>Bとなるように設定している。この場合、A=Bとなるように設定しても構わない。また、各環状体23のテーパ部27の軸方向に対する角度Θは同角度の45°としている。一対の環状体23にシール体30を装着した状態で、対向する環状体23の端面間の間隙幅Cは、シール体30の凹状部31の幅Dよりも小さくなっている。更に、シール体30の端面とこれに対向する環状体23の内側の段部25とが形成する間隙幅Eは、極力小となるべく設定している。
【0033】
また、同図の如くシール体30の内径Fは、環状体23の内径Gよりも若干大きく設定され、該環状体23の内径Gは、接続すべき管体の外径よりも若干大きく設定されている。また、環状体23はジュラコン等の合成樹脂からなり、継手本体1及び固定リング13等は塩化ビニル等の合成樹脂で構成している。
【0034】
符号32は、図3に示すように、継手本体1の端面に環状に形成された溝33に装着したOリングである。継手本体1に固定リング13を取付けた際に、内側に位置する環状体23の背面が前記継手本体1の端面に当接してOリング32によりシールが図られることになる。尚、Oリング32の表面には、潤滑剤が塗布されている。
【0035】
本実施形態は以上のような構成からなる。次に、かかる継手を使用して給水管や排水管等の管体を配管する場合について説明する。
【0036】
先ず、固定リング13に接続すべき管体Xを挿入する。本実施形態では、シール体30の内径Fを環状体23の内径Gよりも若干大きく設定すると共に、環状体23の内径Gを接続すべき管体Xの外径よりも大きく設定しており、しかもシール体30の端面とこれに対向する環状体23の内側の段部25とが形成する間隙幅Eを極力小さく設定しているために、管体Xをスムーズに挿入することができる。
【0037】
次に、図9のように、固定リング13を継手本体1側に押圧して、固定リング13の係合凸部14を係合溝7の挿入部8の終端にまで移動させる。その際、外側の環状体23は固定リング13の環状凸部17により押圧されるので、一対の環状体23及びシール体30は一体となって継手本体1側へと移動し、内側の環状体23の背面が継手本体1の端面に当接することになる。
【0038】
更に、図10のように固定リング13を回転すると、その係合凸部14は係合溝7の第一直線部9、傾斜部10を介して第二直線部11をスライド移動し、該第二直線部11に設けた凸部12を乗り越えてその終端にまで移動することになる。
【0039】
かかる係合凸部14が係合溝7の傾斜部10を移動する際には、固定リング13の環状凸部17により外側の環状体23を介してシール体30が押圧されることになる。この際、内側の環状体23は継手本体1によりその移動が規制されているので、シール体30は押圧力を受けて撓み、その内径Fが縮径するように内方に膨出して管体Xの外周面に圧接することになる。
【0040】
この場合に於いて、シール体30の押圧は、環状体23の段部24のテーパ部27及び内壁部28により行われるのであるが、かかる環状体23のテーパ部27と内壁部28とを合わせた高さBは、シール体30の凹状部31の深さAよりも小さく設定されている。そのため、固定リング13を回転させると、同図のようにシール体30の凹状部31が閉じるように押圧力が加わって、シール体30が内方に膨出することなる。このため、固定リング13にさほど回転力をかけることなく、管体Xを簡易に接続することができる。
【0041】
また、各環状体23のテーパ部27の軸方向に対する角度Θは同角度の45°としているために、各環状体23から略均等に押圧力がシール体30に加わって、偏りが生じることなく内方に膨出することになる。よって、シール体30の管体Xに対する圧接面積を十分に確保できるという利点がある。
【0042】
更に、一対の環状体23にシール体30を装着した状態で、対向する環状体23の端面間の間隙幅Cはシール体30の凹状部31の幅Dよりも小さくなっているために、シール体30が環状体23間から外方へ膨出して固定リング13の内周面に接触するようなことはない。それ故、固定リング13の回転トルクを増大せしめるようなこともない。また、シール体30が継手本体1の回転に支障を与えることもない。
【0043】
また、シール体30を管体Xに圧接させる際には、かかる圧接によりシール体30及び環状体23は回転せずに固定されて固定リング13のみが回転し得ることになるが、固定リング13は各環状体23の二条の環状凸部29でのみ接触しており、且つ環状体23は滑り易いジュラコンで構成しているので、容易に回転させることができる。従って、作業がし易くなる。
【0044】
その後、ストッパー18の係止片20を継手本体1側にスライド移動させて、その切欠6に係止片20を係入し、その係合部21を継手本体1の鍔部4に係合させる。その結果、固定リング13に設けた目印22が露出し、ストッパー18が確実に機能していることを外部から目視で確認することができる。これにより、一連の管体Xの接続作業は完了するが、かかる一連の接続作業は極めて簡易に行えるという利点があり、このため作業スペースが制限されるような状況下に於いても作業者に負担をかけることなく、効率的良く一連の配管作業を行うことができる。
【0045】
また、このようして接続された管体Xは、継手本体1の係合溝7に設けた凸部12と固定リング13の係合凸部14との係止、及びストッパー18の継手本体1の切欠6への係入により逆回転が防止されて、管体Xの接続状態は強固に維持されることになる。従って、固定リング13が不用意に逆回転して流通流体が漏洩したり、管体Xが継手本体1から離脱するような事態を確実に阻止することができるのである。
【0046】
一方、配管した管体Xを継手から取り外す場合は、ストッパー18を管体X側(図10の右方向)にスライドさせて、その係合部21と継手本体1の鍔部4との係合状態を解除すると共に、ストッパー18の係止片20を前記鍔部4の切欠6から離脱させる。これが確実に行われたことは、目印22がストッパー18のストッパー本体19により隠蔽されていることで外部から確認できる。
【0047】
次に、固定リング13を先程とは逆方向に回転させるべく少し強めに回転力を加えると、継手本体1の係合溝7に設けた凸部12は曲面状に形成されているために、該凸部12と固定リング13の係合凸部14との係合状態は解除される。更に、この係合凸部14が係合溝7の挿入部8に設けた凸状部40に対向する位置にまで、固定リング13を回転させる。
【0048】
尚、かかる係合凸部14が係合溝7の傾斜部10を逆方向に移動することにより、外側の環状体23からの押圧力が除去されるために、シール体30の内径Fは拡径して元の状態に戻る。これにより、管体Xとの圧接状態が解除されるので、管体Xを継手から容易に取り外すことができる。
【0049】
また、この状態に於いては、固定リング13と環状体23とは回転自在に嵌合させているので、固定リング13及び継手本体1を環状体23、シール体30及び管体Xに対して回転させることが可能である。
【0050】
従って、配管の施工後にレイアウトの変更等により、給排水機器の設置場所が変更された場合、例えば継手本体1の分岐部3に配管すべき管体Xの配置に変更が生じた場合は、図11に示すように継手本体1の分岐部3を新たに接続すべき管体Xの位置に応じて適宜回転させた後、上述のように分岐部3に新たな管体Xを接続して配管を行えばよい。このようにして、配管の施工後に於けるレイアウトの変更等にも迅速且つ柔軟に対応することができる。尚、継手本体1の直管部2に配管すべき管体Xの配置に変更が生じた場合も同様にして対処することができる。
【0051】
また、本実施形態に係る管体の継手構造は、全体が極めて簡易な構成からなるために、その製作も容易に且つ安価に行えるという利点も有している。
【0052】
尚、上記実施形態に於いては、固定リング13を継手本体1に固定した際に、ストッパー18の係止片20が係止可能な切欠6を設けている。しかるに、かかる切欠6は省略しても構わない。
【0053】
また、前記継手本体1の切欠6については、これに代えて前記ストッパー18の係止片20が係止可能な孔を形成してもよい。更に、例えば継手本体1の鍔部4の外周面を多角形状に形成して、この外周面に前記係止片20を係止させるように構成することも可能である。
【0054】
更に、上記実施形態では、ストッパー18の係止片20の内周面に、継手本体1に係合可能な係合部21を形成したが、かかる係合部21は必ずしも形成する必要はなく、省略しても構わない。
【0055】
また、本発明に於いて固定リング13に設けられる目印22は、上記実施形態に限定されず、広くストッパー18の係止片20が継手本体1に係止されたか否かを確認する場合にも適用することができる。
【0056】
更に、固定リング13に設ける目印22としては、上記実施形態の環状のテープの他に、例えばリングを外嵌したり、塗料等を塗布して設けるようにしてもよい。この場合、上記実施形態とは逆に、ストッパー18の係合部21が継手本体1に係合している場合に目印22がストッパー本体19により隠蔽されるように構成してもよい。但し、かかる目印22は必ずしも設ける必要はない。
【0057】
また、本発明に係る管継手は、上記実施形態のように継手本体1が分岐部3を有している場合に特に有用であるが、本発明は分岐部3を有しない直管部2のみで構成した継手本体1にも勿論適用可能である。
【0058】
その他、継手本体1や固定リング13の形状等の具体的な構成も、本発明の意図する範囲内に於いて任意に設計変更自在である。
【0059】
<第二実施形態>
本発明に係る管体の継手構造は、第一実施形態の如き管継手に限られず、次のようにますに適用することも可能である。以下、上記管体の継手構造Yを備えたますについて、図12及び図13を参照しつつ説明する。尚、第一実施形態と共通する部分については、同様の符号を付して、その説明は省略する。
【0060】
図12に示すますZは、前記継手本体1の直管部2や分岐部3に対応する、流入部50及び流出部51が形成されたます本体52と、該流入部50及び流出部51に設けられる管体の継手構造Yとからなっている。尚、ます本体52の上部には点検口53が開口形成されている。
【0061】
また、図13に示すますZは、ます本体52の側部に対向させて流入部50及び流出部51が形成されたものであり、これら流入部50及び流出部51には管継手Yが夫々設けられている。尚、ます本体52の上部には点検口53が開口形成されている。
【0062】
このように、管体の継手構造Yをますに適用した場合に於いても、上述したと同様の効果を得ることができる。
【0063】
この場合に於いて、ますの形状等の具体的な構成は、上記実施形態の如きもの限定されるものでない。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上説明したように、本発明は、管体に配管接続される管体の継手構造として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】管体の継手構造の一実施形態を示す断面図である。
【図2】継手本体の一部を示す正面図である。
【図3】固定リングを継手本体に取付けた状態を示す断面図である。
【図4】(a)は固定リングの平面図であり、(b)はその断面図である。
【図5】(a)はストッパーの平面図であり、(b)はその正面図である。
【図6】(a)は環状体の平面図であり、(b)はその断面図である。
【図7】環状体にシール体を装着した状態を示す断面図である。
【図8】環状体にシール体を装着した状態を示す断面図である。
【図9】継手に管体を挿入した状態を示す断面図である。
【図10】継手に管体を挿入して固定した状態を示す断面図である。
【図11】継手の使用状態を示す正面図である。
【図12】ますの一実施形態を示す断面図である。
【図13】ますの他の一実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0066】
1 継手本体
6 切欠
13 固定リング
18 ストッパー
19 ストッパー本体
20 係止片
21 係合部
22 目印
52 ます本体
X 管体
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水用及び排水用等の各種管体を配管する場合に幅広く使用することのできる管体の継手構造、これを備えた管継手及びますに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の管体の継手構造としては、例えば次のようなものが存在する。即ち、この従来のものは、袋ナットをソケットの一端部に回転自在に外嵌着すると共に、該一端部にニップルを挿着したものである。また、袋ナットの内周面から先端部を突出させたロックピンは、ニップルの外周面に設けたインロー溝にスライド自在に係合して両者が接続されている。
【0003】
更に、袋ナットの逆回転を防止してソケットとニップルとの接続状態を維持するために、該ニップルには、前記袋ナットの一端面に設けた凹凸状のラチェットに付勢状態で嵌合可能な鋼球を設けている。尚、これらの各部材は夫々金属で構成されている。
【特許文献1】特開平9−14533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のもののように、管継手の各構成部材が金属からなるような場合は特に問題は生じないのであるが、ソケットや袋ナット等が塩化ビニル等の合成樹脂で構成される場合は、次のような問題があった。
【0005】
即ち、ソケットとニップルとを接続する場合は、袋ナットに設けたロックピンがインロー溝の終端にまで移動するように袋ナットを回転させる。しかるに、その回転時にはニップルの鋼球が付勢状態でラチェットに接触しているために、ラチェットに摩耗等の損傷を生ぜしめ易い。このために、袋ナットが不用意に逆回転して継手部分から流通流体が漏洩するという問題点があった。
【0006】
この場合、鋼球に代えて、前記ラチェットに嵌合する凸部をニップルに膨出形成することも考えられる。しかし、このように変更しても、凸部やラチェットに生じる摩耗等の損傷の発生を回避することは困難であり、上記問題点を解消し得るものではない。
【0007】
また、鋼球を付勢状態でラチェットに嵌合させるという上記従来の手段は、逆回転防止手段としては必ずしも十分なものではない。即ち、継手部分に不用意に外力が加わったような場合等には、鋼球とラチェットとの嵌合状態が解除され易いという難点を有していたのである。
【0008】
それ故に、本発明は上記従来の問題点を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、継手本体に対して固定リングが不用意に逆回転するという事態を適切に防止することにより、管体の良好な配管状態を確実に維持できるようすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る管体の継手構造は、管体が差し込まれる継手本体と、前記管体が挿通され、回転動作により該継手本体に取り付けられる固定リングと、前記継手本体に係止させて固定リングの逆回転を防止させるべく該固定リングに設けられる係止手段と、を備えた管体の継手構造であって、該係止手段が、固定リングにスライド自在に外嵌される環状のストッパー本体と、該ストッパー本体に所定間隔を有して突設されて前記継手本体に係止可能な複数の係止片とからなるストッパーで構成されたものである。
【0010】
上記管継手に於いては、先ず配管すべき管体を固定リングに挿通した状態で、固定リングを回転させて継手本体に固定する。その後、ストッパー本体を継手本体側へスライド移動させて、ストッパーの各係止片を継手本体に係止させる。これにより、固定リングの逆回転は防止されることになる。
【0011】
これによると、ストッパーの係止片が継手本体に係止されるために、固定リングが逆方向へ回転することを適切に防止できる。よって、管体の良好な接続状態を確実に維持し得ることになる。
【0012】
また、前記固定リングを継手本体に固定した際に、ストッパーの係止片が係止可能な切欠又は孔を前記継手本体に設けることも可能である。
【0013】
これによれば、ストッパーの係止片を継手本体の切欠又は孔に係止させるという簡易な操作により、固定リングの固定状態を維持しつつ、その逆回転を防止することができる。その結果、管体の良好な接続状態を確実に維持できる。
【0014】
このようにすると、固定リングが継手本体に確実に係止されて、固定リングが逆回転しないことを外部から容易に確認することができる。また、ストッパーの係止片が継手本体の切欠又は孔に係止されたことにより、固定リングの回転が完全になされており、管体の接続状態が良好であることを外部から容易に確認することができる。これにより、配管作業の確実性が向上することになる。
【0015】
更に、前記ストッパーの係止片の内周面に、継手本体に係合可能な係合部を形成してもよい。
【0016】
これによると、ストッパーの係合部が継手本体に係合することにより、該継手本体と前記ストッパーの係止片との係止状態が良好に維持される。よって、固定リングの逆回転を、より確実に防止することができる。
【0017】
また、前記固定リングに、ストッパーの係止片が継手本体に係止されているか否かを外部から確認できる目印を設けても構わない。
【0018】
このようにすると、ストッパーの係止片が継手本体に係止されたこと及び離脱したことを外部から容易に確認できるために、一連の作業の確実性が向上することになる。また、これは作業者にとっても大変有用であり、現場での作業効率が向上することになる。
【0019】
更に、本発明に係る管継手は、管体の継手構造を備えたものである。
【0020】
これにより、上述した作用効果を奏する管継手を得ることができる。
【0021】
また、本発明に係るますは、前記管体の継手構造と、該管体の継手構造が設けられるます本体と、を備えたものである。
【0022】
このことにより、上述した作用効果を奏するますを得ることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、継手本体に固定した固定リングが不用意に逆回転するという事態を適切に防止することが可能となるために、管体の良好な配管状態を確実に維持できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
<第一実施形態>
以下、本発明に係る管体の継手構造を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
図1は、本実施形態に係る管体の継手構造を示す一部断面を含む正面図である。図中の符号1は、直管部2の側面に分岐部3を設けた継手本体で、直管部2及び分岐部3の先端部側には鍔部4を介して接続部5が夫々設けられている。
【0026】
この鍔部4には、図2に示すように所定間隔を有して三個の切欠6が形成されている。また、接続部5の側面には、同図に示すように所定間隔を有して三個の係合溝7が設けられている。かかる係合溝7は、管軸方向に形成した挿入部8と、該挿入部8に直交して水平に連設した第一直線部9と、該第一直線部9に所定の角度を有して連設した傾斜部10と、該傾斜部10に連設した水平の第二直線部11とからなっている。該第二直線部11の略中央部には、曲面状の凸部12が膨出形成されている。図3に示すように、符号40は前記係合溝7の挿入部8の挿入側にテーパ面41を有して設けられた凸状部である。
【0027】
符号13は、継手本体1の接続部5に取付けた固定リングを示す。かかる固定リング13は、その回転動作により後述するシール体30を管体Xの外周面に圧接せしめて、該管体Xを継手本体1に接続するためのものである。固定リング13の一端側内周面には、図3のように、前記継手本体1の係合溝7にスライド自在に係合する三個の係合凸部14が所定間隔を有して設けられている。尚、固定リング13を継手本体1に取付ける場合は、固定リング13の係合凸部14を継手本体1の係合溝7に設けたテーパ面41及び凸状部40を乗り越えるようにして挿入部8内に挿入する。これにより、固定リング13と継手本体1との一体性が保たれる。そのため、工場等に於いて、予めこの状態にまで製作しておけば、現場への搬送作業や現場に於ける配管作業の簡略化が図れて、作業効率が大幅に向上することになる。また、固定リング13等の各構成部品を紛失するという事態も良好に回避できる。尚、固定リング13は、上記したように必ずしも継手本体1から離脱しないように設ける必要はなく、取り外せるように構成してもよい。
【0028】
図4に示すように、符号15は、固定リング13の一端部に設けた鍔部である。該鍔部15には、三個の切欠16が所定間隔を有して形成されている。これら三個の切欠16は、固定リング13の係合凸部14を継手本体1の係合溝7の第二直線部11の終端に移動せしめた際に、該継手本体1の鍔部4の切欠6と一致するような位置に形成されている。符号17は、固定リング13の他端部内周面に内向きに設けた環状凸部である。固定リング13の他端部側外周面は、多角形状に形成されている。
【0029】
図5に示すように、符号18は固定リング13にスライド自在に外嵌したストッパーである。同図のように、環状のストッパー本体19には、所定間隔を有して三個の係止片20が上向きに突設されている。かかる係止片20の個数は変更が可能であり、これに合わせて前記継手本体1及び固定リング13の各切欠6、16の個数も適宜変更すればよい。係止片20の先端部内周面には、係合部21が設けられている。尚、係止片20は固定リング13の切欠16を介して継手本体1の切欠6に係入され、その鍔部4に係合部21が係合して、固定リング13の逆回転を防止する。図4に示すように、符号22は、固定リング13の外周面に接着した目印としてのテープである。この目印22が外部に露出しているか否かに基づいて、前記ストッパー18の係合部21が継手本体1の鍔部4に係合しているか否かを外部から目視で確認することができる。
【0030】
符号23は、固定リング13内に回転自在に嵌合した一対の環状体である。環状体23の一端側内周面には、図6に示すように、二段の段部24、25が設けられている。外側の段部24は、周面部26とテーパ部27と内壁部28とからなっている。また、環状体23の外周面には、二条の環状凸部29が所定間隔を有して設けられている。尚、この環状凸部29の外径寸法は、固定リング13の内径寸法よりも若干小さく設定されている。このため、環状体23は固定リング13内に回転自在に嵌合することになる。
【0031】
符号30は、図7に示すように対向配置した一対の環状体23間に配すべく、外側の段部24に嵌合させたゴム製のシール体である。この状態では、環状体23間に間隙42が形成される。符号31はシール体30の外周面略中央部に形成した断面略Vの字状の凹状部である。
【0032】
尚、図8に示すように、シール体30の凹状部31の深さAは、環状体23のテーパ部27と内壁部28とを合わせた高さBに対して、A>Bとなるように設定している。この場合、A=Bとなるように設定しても構わない。また、各環状体23のテーパ部27の軸方向に対する角度Θは同角度の45°としている。一対の環状体23にシール体30を装着した状態で、対向する環状体23の端面間の間隙幅Cは、シール体30の凹状部31の幅Dよりも小さくなっている。更に、シール体30の端面とこれに対向する環状体23の内側の段部25とが形成する間隙幅Eは、極力小となるべく設定している。
【0033】
また、同図の如くシール体30の内径Fは、環状体23の内径Gよりも若干大きく設定され、該環状体23の内径Gは、接続すべき管体の外径よりも若干大きく設定されている。また、環状体23はジュラコン等の合成樹脂からなり、継手本体1及び固定リング13等は塩化ビニル等の合成樹脂で構成している。
【0034】
符号32は、図3に示すように、継手本体1の端面に環状に形成された溝33に装着したOリングである。継手本体1に固定リング13を取付けた際に、内側に位置する環状体23の背面が前記継手本体1の端面に当接してOリング32によりシールが図られることになる。尚、Oリング32の表面には、潤滑剤が塗布されている。
【0035】
本実施形態は以上のような構成からなる。次に、かかる継手を使用して給水管や排水管等の管体を配管する場合について説明する。
【0036】
先ず、固定リング13に接続すべき管体Xを挿入する。本実施形態では、シール体30の内径Fを環状体23の内径Gよりも若干大きく設定すると共に、環状体23の内径Gを接続すべき管体Xの外径よりも大きく設定しており、しかもシール体30の端面とこれに対向する環状体23の内側の段部25とが形成する間隙幅Eを極力小さく設定しているために、管体Xをスムーズに挿入することができる。
【0037】
次に、図9のように、固定リング13を継手本体1側に押圧して、固定リング13の係合凸部14を係合溝7の挿入部8の終端にまで移動させる。その際、外側の環状体23は固定リング13の環状凸部17により押圧されるので、一対の環状体23及びシール体30は一体となって継手本体1側へと移動し、内側の環状体23の背面が継手本体1の端面に当接することになる。
【0038】
更に、図10のように固定リング13を回転すると、その係合凸部14は係合溝7の第一直線部9、傾斜部10を介して第二直線部11をスライド移動し、該第二直線部11に設けた凸部12を乗り越えてその終端にまで移動することになる。
【0039】
かかる係合凸部14が係合溝7の傾斜部10を移動する際には、固定リング13の環状凸部17により外側の環状体23を介してシール体30が押圧されることになる。この際、内側の環状体23は継手本体1によりその移動が規制されているので、シール体30は押圧力を受けて撓み、その内径Fが縮径するように内方に膨出して管体Xの外周面に圧接することになる。
【0040】
この場合に於いて、シール体30の押圧は、環状体23の段部24のテーパ部27及び内壁部28により行われるのであるが、かかる環状体23のテーパ部27と内壁部28とを合わせた高さBは、シール体30の凹状部31の深さAよりも小さく設定されている。そのため、固定リング13を回転させると、同図のようにシール体30の凹状部31が閉じるように押圧力が加わって、シール体30が内方に膨出することなる。このため、固定リング13にさほど回転力をかけることなく、管体Xを簡易に接続することができる。
【0041】
また、各環状体23のテーパ部27の軸方向に対する角度Θは同角度の45°としているために、各環状体23から略均等に押圧力がシール体30に加わって、偏りが生じることなく内方に膨出することになる。よって、シール体30の管体Xに対する圧接面積を十分に確保できるという利点がある。
【0042】
更に、一対の環状体23にシール体30を装着した状態で、対向する環状体23の端面間の間隙幅Cはシール体30の凹状部31の幅Dよりも小さくなっているために、シール体30が環状体23間から外方へ膨出して固定リング13の内周面に接触するようなことはない。それ故、固定リング13の回転トルクを増大せしめるようなこともない。また、シール体30が継手本体1の回転に支障を与えることもない。
【0043】
また、シール体30を管体Xに圧接させる際には、かかる圧接によりシール体30及び環状体23は回転せずに固定されて固定リング13のみが回転し得ることになるが、固定リング13は各環状体23の二条の環状凸部29でのみ接触しており、且つ環状体23は滑り易いジュラコンで構成しているので、容易に回転させることができる。従って、作業がし易くなる。
【0044】
その後、ストッパー18の係止片20を継手本体1側にスライド移動させて、その切欠6に係止片20を係入し、その係合部21を継手本体1の鍔部4に係合させる。その結果、固定リング13に設けた目印22が露出し、ストッパー18が確実に機能していることを外部から目視で確認することができる。これにより、一連の管体Xの接続作業は完了するが、かかる一連の接続作業は極めて簡易に行えるという利点があり、このため作業スペースが制限されるような状況下に於いても作業者に負担をかけることなく、効率的良く一連の配管作業を行うことができる。
【0045】
また、このようして接続された管体Xは、継手本体1の係合溝7に設けた凸部12と固定リング13の係合凸部14との係止、及びストッパー18の継手本体1の切欠6への係入により逆回転が防止されて、管体Xの接続状態は強固に維持されることになる。従って、固定リング13が不用意に逆回転して流通流体が漏洩したり、管体Xが継手本体1から離脱するような事態を確実に阻止することができるのである。
【0046】
一方、配管した管体Xを継手から取り外す場合は、ストッパー18を管体X側(図10の右方向)にスライドさせて、その係合部21と継手本体1の鍔部4との係合状態を解除すると共に、ストッパー18の係止片20を前記鍔部4の切欠6から離脱させる。これが確実に行われたことは、目印22がストッパー18のストッパー本体19により隠蔽されていることで外部から確認できる。
【0047】
次に、固定リング13を先程とは逆方向に回転させるべく少し強めに回転力を加えると、継手本体1の係合溝7に設けた凸部12は曲面状に形成されているために、該凸部12と固定リング13の係合凸部14との係合状態は解除される。更に、この係合凸部14が係合溝7の挿入部8に設けた凸状部40に対向する位置にまで、固定リング13を回転させる。
【0048】
尚、かかる係合凸部14が係合溝7の傾斜部10を逆方向に移動することにより、外側の環状体23からの押圧力が除去されるために、シール体30の内径Fは拡径して元の状態に戻る。これにより、管体Xとの圧接状態が解除されるので、管体Xを継手から容易に取り外すことができる。
【0049】
また、この状態に於いては、固定リング13と環状体23とは回転自在に嵌合させているので、固定リング13及び継手本体1を環状体23、シール体30及び管体Xに対して回転させることが可能である。
【0050】
従って、配管の施工後にレイアウトの変更等により、給排水機器の設置場所が変更された場合、例えば継手本体1の分岐部3に配管すべき管体Xの配置に変更が生じた場合は、図11に示すように継手本体1の分岐部3を新たに接続すべき管体Xの位置に応じて適宜回転させた後、上述のように分岐部3に新たな管体Xを接続して配管を行えばよい。このようにして、配管の施工後に於けるレイアウトの変更等にも迅速且つ柔軟に対応することができる。尚、継手本体1の直管部2に配管すべき管体Xの配置に変更が生じた場合も同様にして対処することができる。
【0051】
また、本実施形態に係る管体の継手構造は、全体が極めて簡易な構成からなるために、その製作も容易に且つ安価に行えるという利点も有している。
【0052】
尚、上記実施形態に於いては、固定リング13を継手本体1に固定した際に、ストッパー18の係止片20が係止可能な切欠6を設けている。しかるに、かかる切欠6は省略しても構わない。
【0053】
また、前記継手本体1の切欠6については、これに代えて前記ストッパー18の係止片20が係止可能な孔を形成してもよい。更に、例えば継手本体1の鍔部4の外周面を多角形状に形成して、この外周面に前記係止片20を係止させるように構成することも可能である。
【0054】
更に、上記実施形態では、ストッパー18の係止片20の内周面に、継手本体1に係合可能な係合部21を形成したが、かかる係合部21は必ずしも形成する必要はなく、省略しても構わない。
【0055】
また、本発明に於いて固定リング13に設けられる目印22は、上記実施形態に限定されず、広くストッパー18の係止片20が継手本体1に係止されたか否かを確認する場合にも適用することができる。
【0056】
更に、固定リング13に設ける目印22としては、上記実施形態の環状のテープの他に、例えばリングを外嵌したり、塗料等を塗布して設けるようにしてもよい。この場合、上記実施形態とは逆に、ストッパー18の係合部21が継手本体1に係合している場合に目印22がストッパー本体19により隠蔽されるように構成してもよい。但し、かかる目印22は必ずしも設ける必要はない。
【0057】
また、本発明に係る管継手は、上記実施形態のように継手本体1が分岐部3を有している場合に特に有用であるが、本発明は分岐部3を有しない直管部2のみで構成した継手本体1にも勿論適用可能である。
【0058】
その他、継手本体1や固定リング13の形状等の具体的な構成も、本発明の意図する範囲内に於いて任意に設計変更自在である。
【0059】
<第二実施形態>
本発明に係る管体の継手構造は、第一実施形態の如き管継手に限られず、次のようにますに適用することも可能である。以下、上記管体の継手構造Yを備えたますについて、図12及び図13を参照しつつ説明する。尚、第一実施形態と共通する部分については、同様の符号を付して、その説明は省略する。
【0060】
図12に示すますZは、前記継手本体1の直管部2や分岐部3に対応する、流入部50及び流出部51が形成されたます本体52と、該流入部50及び流出部51に設けられる管体の継手構造Yとからなっている。尚、ます本体52の上部には点検口53が開口形成されている。
【0061】
また、図13に示すますZは、ます本体52の側部に対向させて流入部50及び流出部51が形成されたものであり、これら流入部50及び流出部51には管継手Yが夫々設けられている。尚、ます本体52の上部には点検口53が開口形成されている。
【0062】
このように、管体の継手構造Yをますに適用した場合に於いても、上述したと同様の効果を得ることができる。
【0063】
この場合に於いて、ますの形状等の具体的な構成は、上記実施形態の如きもの限定されるものでない。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上説明したように、本発明は、管体に配管接続される管体の継手構造として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】管体の継手構造の一実施形態を示す断面図である。
【図2】継手本体の一部を示す正面図である。
【図3】固定リングを継手本体に取付けた状態を示す断面図である。
【図4】(a)は固定リングの平面図であり、(b)はその断面図である。
【図5】(a)はストッパーの平面図であり、(b)はその正面図である。
【図6】(a)は環状体の平面図であり、(b)はその断面図である。
【図7】環状体にシール体を装着した状態を示す断面図である。
【図8】環状体にシール体を装着した状態を示す断面図である。
【図9】継手に管体を挿入した状態を示す断面図である。
【図10】継手に管体を挿入して固定した状態を示す断面図である。
【図11】継手の使用状態を示す正面図である。
【図12】ますの一実施形態を示す断面図である。
【図13】ますの他の一実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0066】
1 継手本体
6 切欠
13 固定リング
18 ストッパー
19 ストッパー本体
20 係止片
21 係合部
22 目印
52 ます本体
X 管体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管体が差し込まれる継手本体と、
前記管体が挿通され、回転動作により該継手本体に取り付けられる固定リングと、
前記継手本体に係止させて固定リングの逆回転を防止させるべく該固定リングに設けられる係止手段と、を備えた管体の継手構造であって、
該係止手段が、固定リングにスライド自在に外嵌される環状のストッパー本体と、
該ストッパー本体に所定間隔を有して突設されて前記継手本体に係止可能な複数の係止片と、からなる、
ストッパーであることを特徴とする管体の継手構造。
【請求項2】
前記固定リングを継手本体に固定した際に、ストッパーの係止片が係止可能な切欠又は孔が前記継手本体に設けられてなる、
請求項1記載の管体の継手構造。
【請求項3】
前記ストッパーの係止片の内周面に、継手本体に係合可能な係合部が形成されてなる、
請求項1又は2記載の管体の継手構造。
【請求項4】
前記固定リングに、ストッパーの係止片が継手本体に係止されているか否かを外部から確認できる目印が設けられてなる、
請求項1乃至4の何れか一つに記載の管体の継手構造。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一つに記載の管体の継手構造を備えてなることを特徴とする管継手。
【請求項6】
請求項1乃至4の何れか一つに記載の管体の継手構造と、
該管体の継手構造が設けられるます本体と、
を備えてなることを特徴とするます。
【請求項1】
管体が差し込まれる継手本体と、
前記管体が挿通され、回転動作により該継手本体に取り付けられる固定リングと、
前記継手本体に係止させて固定リングの逆回転を防止させるべく該固定リングに設けられる係止手段と、を備えた管体の継手構造であって、
該係止手段が、固定リングにスライド自在に外嵌される環状のストッパー本体と、
該ストッパー本体に所定間隔を有して突設されて前記継手本体に係止可能な複数の係止片と、からなる、
ストッパーであることを特徴とする管体の継手構造。
【請求項2】
前記固定リングを継手本体に固定した際に、ストッパーの係止片が係止可能な切欠又は孔が前記継手本体に設けられてなる、
請求項1記載の管体の継手構造。
【請求項3】
前記ストッパーの係止片の内周面に、継手本体に係合可能な係合部が形成されてなる、
請求項1又は2記載の管体の継手構造。
【請求項4】
前記固定リングに、ストッパーの係止片が継手本体に係止されているか否かを外部から確認できる目印が設けられてなる、
請求項1乃至4の何れか一つに記載の管体の継手構造。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一つに記載の管体の継手構造を備えてなることを特徴とする管継手。
【請求項6】
請求項1乃至4の何れか一つに記載の管体の継手構造と、
該管体の継手構造が設けられるます本体と、
を備えてなることを特徴とするます。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−281494(P2009−281494A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−134117(P2008−134117)
【出願日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(000000505)アロン化成株式会社 (317)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(000000505)アロン化成株式会社 (317)
【Fターム(参考)】
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