説明

管台

【課題】 パイプを載置した状態でパイプの高さを容易に調整することができ、合成樹脂製のパイプを変形させずに埋設管の勾配調整を数ミリメートル範囲で調整することができる管台を提供する。
【解決手段】 合成樹脂製のパイプ14を敷設する際に該パイプ14を支持するための管台11であって、該管台11を、前記パイプ14よりも軟質で、かつ、低反発性の材料、例えばウレタンフォームで形成する。管台11の上面には、パイプ14を支持するための円弧面からなるパイプ支持部13を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管台に関し、詳しくは、合成樹脂製のパイプを埋設溝内に敷設する際に、パイプを所定の勾配に支持するための管台に関する。
【背景技術】
【0002】
下水管を埋設する際には、パイプを所定高さの管台で支持することにより、パイプに所定の水勾配を与えるようにしている。従来は、適当な大きさ及び厚さの木板等をパイプの下に挿入して管台として使用することが多く行われている。また、専用の管台として、上面にパイプの外径に対応した円弧面からなるパイプ支持部を設けた合成樹脂製の管台も知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−355761号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の管台では、数ミリメートル範囲の勾配の微調整は極めて困難であり、合成樹脂製のパイプの場合には、パイプの高さを下げるために上からパイプを押し付けると、管台によってパイプが変形してしまうため、木板等の場合には、使用する木板等の大きさや厚さを変更する必要があり、合成樹脂製の管台の場合には、管台自体の位置決めを確実に行っておく必要があった。
【0004】
そこで本発明は、パイプを載置した状態でパイプの高さを容易に調整することができ、合成樹脂製のパイプを変形させることもない管台を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の管台は、合成樹脂製のパイプを敷設する際にパイプを支持するための管台であって、前記パイプよりも軟質で、かつ、低反発性の材料で形成されていることを特徴としている。さらに、管台を形成する前記材料が生分解性プラスチックであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
本発明の管台によれば、パイプよりも軟質な材料で管台を形成することにより、パイプを管台に押し付けても管台が変形するのでパイプが変形することはない。また、低反発性の材料で形成することにより、パイプを管台に押し付けて高さ調整した後で管台が原形に復元してパイプの高さが狂うこともない。さらに、管台を生分解性プラスチックで形成することにより、埋め戻し後の環境負荷を小さくできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1乃至図3は本発明の一形態例を示すもので、図1は管台の斜視図、図2は管台でパイプを支持した状態を示す正面図、図3は複数の管台でパイプを支持した状態を示す側面図である。この管台11は、直方体状の管台本体部12の上面に円弧面からなるパイプ支持部13を有している。パイプ支持部13の円弧面の直径は、支持するパイプ14の外径と同一である必要はなく、敷設時や埋め戻し時にパイプ14の転がりを防止できる程度の曲面となっていればよい。
【0008】
管台11を形成する材料には、支持する合成樹脂製のパイプ、例えば硬質塩化ビニル製のパイプ14よりも軟質で、かつ、低反発性の材料が用いられている。すなわち、パイプ14をパイプ支持部13上に載置した状態では管台11が変形せず、パイプ支持部13上に載置したパイプ14の高さ調整を行うため、パイプ14を上からある程度の強い力で押し付けたときに、パイプ14が変形せずに管台11が変形する範囲の変形性を有する半硬質材料であって、変形した後の復元力を有していないか、パイプ敷設から埋め戻しまでの間に復元しない程度の復元力しか有していない低反発性の材料が用いられている。なお、パイプ14の支持強度と変形性は、管台11の高さ寸法及びパイプ軸方向の幅寸法を適当に選択することにより、ある程度調節することができる。
【0009】
このような材料の具体例としては、ウレタンフォーム、低反発ウレタン、低硬度低反発性ポリウレタンフォーム等のウレタン系樹脂を挙げることができ、変形性や低反発性を調節するために複数の材料を混合することもできる。また、管台11の材料として、前記変形性や低反発性を有する生分解性プラスチックを用いることにより、埋め戻し後の環境負荷を小さくできる。前記生分解性プラスチックには、前記変形性や低反発性を満足していれば各種系統のものを使用できるが、例えば、PBS(ポリブチレンサクシネート)系やPLA(ポリ乳酸)系の生分解性プラスチック等を使用することができ、分子量や無機・有機系添加物の添加量等を適当に設定することにより、前記管台11の材料として使用できる。
【0010】
このような材料で形成した管台11を使用して埋設溝の底面15上に合成樹脂製のパイプ14を敷設する際に、パイプ14の勾配を僅かに調節する必要が生じた場合、パイプ14を上方から管台11に向けて適当な力で押し付けることにより、パイプ14は変形せずに管台11が変形してパイプ14を位置調整できる。したがって、管台11自体の高さ調整を必要としないので、パイプ14の勾配を数ミリメートル範囲で簡単に調節することができる。
【0011】
なお、管台11の大きさは任意であり、パイプ14を敷設する埋設溝内での作業性を考慮して片手で取り扱える程度に設定しておけばよく、前記特許文献1に記載されているような水糸挿通溝を設けておいてもよい。また、本発明の管台を用いたパイプ敷設作業は、基本的に従来と同様にして行うことができるが、勾配調節後のパイプ14の下に土嚢等を挿入してパイプ14を保持した状態としてから埋め戻すことが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一形態例を示す管台の斜視図である。
【図2】管台でパイプを支持した状態を示す正面図である。
【図3】複数の管台でパイプを支持した状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0013】
11…管台、12…管台本体部、13…パイプ支持部、14…パイプ、15…埋設溝の底面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製のパイプを敷設する際にパイプを支持するための管台であって、前記パイプよりも軟質で、かつ、低反発性の材料で形成されていることを特徴とする管台。
【請求項2】
前記材料が生分解性プラスチックであることを特徴とする請求項1記載の管台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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