説明

管状構造物内画像再構成装置、管状構造物内画像再構成方法および管状構造物内画像再構成プログラム

【課題】血管等の管状構造物内の経路に沿ってその内側から断層撮影して取得した管状構造物の複数の断層像から生成した3次元管状構造物内画像を、その管状構造物を表す3次元画像に投影して表示する。
【解決手段】 被写体の管状構造物10を表す3次元画像および3次元管状構造物内画像からそれぞれ管状構造物10を抽出し、抽出した3次元画像の管状構造物10の任意の範囲W1と該任意の範囲に対応する3次元管状構造物内画像の管状構造物10の範囲W2を対応付けし、3次元管状構造物内画像の任意の範囲10に含まれる特定の構造物の画像を、3次元画像の対応付けられた範囲に投影した投影3次元画像を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管内超音波診断(IntraVascular UltraSound:IVUS)や光干渉断層撮影(Optical Coherence Tomography:OCT)等に由来する管状構造物内の画像を再構成する管状構造物内画像再構成装置及び管状構造物内画像再構成方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、血管等の管状構造物の画像診断において、カテーテルの先端部に装着されたプローブを回転させて管状構造物内をスキャンして管状構造物の画像信号を取得し、取得した画像信号から管状構造物の2次元の断面画像を形成して利用することが知られている。この代表的なものとして、血管内超音波診断(IVUS)やOCT(Optical Coherence Tomography)技術が広く利用されている。
【0003】
さらに、血管内超音波診断(IVUS)においては、従来のIVUS画像のような白黒表示に替えて、VH−IVUS(バーチャルヒストロジー(登録商標)血管内超音波診断)などに代表される、超音波高周波信号を解析することにより、プラークの組織組成を、繊維性組織、繊維脂質組織、石灰化組織、壊死性組織の4成分に分け、各成分を色分け表示する方法も提案されている。これらの血管内超音波診断(IVUS)により得られた血管の断層画像(IVUS画像)は、血管内腔、血管壁、血管壁に付着したプラークの性状を詳細に表すため、血管内の異常の評価に有用である。
【0004】
さらに、上記のIVUS装置を応用して、超音波プローブを血管内で回転させるとともに一定速度で血管の長手方向に移動させながら血管内をスキャンすることにより、超音波プローブの経路に沿って連続してIVUS画像を生成し、連続するIVUS画像を積み重ねた3D−IVUS画像を取得する方法がある。この3D−IVUS画像では、血管内のプラークの分布やサイズを3次元的に把握することを可能にするため、医療分野において注目されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、カテーテルの先端位置をカテーテルの先端に配置したMPSセンサにより、複数のタイミングでカテーテル先端の位置および向きを取得し、各取得した位置および向きに基づいて各タイミングにおいて取得した断層画像を再構成した3D―IVUS画像を生成する技術が提案されている。
【0006】
一方、OCT(Optical Coherence Tomography)は、血管内に挿入されたカテーテルを血管内で回転させながら、カテーテル内を通る光ファイバから発せられる近赤外線をカテーテル先端の光学素子を介して検出することにより、血管の断層画像(OCT画像)を得るものであり、3D−IVUSと同様に、カテーテルを一定速度で血管の長手方向に移動させながら、カテーテルの経路に沿って連続してOCT画像を生成することにより、取得した連続するOCT画像を積み重ねた3次元のOCT画像を取得可能である。OCT画像は、IVUS画像よりさらに超高解像度の情報を有するため、医療分野において利用価値が高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4226904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、3D−IVUS画像またはOCT画像を積み重ねて生成した3次元画像は、超音波プローブが移動した経路を中心線として、血管の断層画像を中心線に沿って積み重ねたものとなるため、実際の血管の形態とは異なる形態で血管を表している。このため、医師等は、別途、血管を造影して撮像した血管造影画像等の比較画像を用意し、用意した比較画像と比較読影することにより、3D−IVUS画像またはOCT画像を積み重ねて生成した3次元画像が、血管のどの位置を表しているかを推定する必要があり、血管中心線に沿った座標系で表された3D−IVUS画像の血管と実際の3次元空間の血管と位置の対応関係が理解しにくいものとなっていた。
【0009】
また、特許文献1に記載した方法では、上記問題を解決できないばかりでなく、MPSセンサや、MPSセンサの信号値の解析システムなどのハードウェアを必要とするため、容易に適用することができない。
【0010】
そこで、本発明では、管状構造物の中心線に沿った座標系で表された3次元の管状構造物内断層画像を、実空間における管状構造物の形態に沿って直感的に把握することが容易な再構成画像を生成する管状構造物内画像再構成装置、方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の管状構造物内画像再構成装置は、被写体の管状構造物を表す3次元画像を取得する3次元画像取得手段と、前記管状構造物内の経路に沿って前記管状構造物の内側から前記管状構造物を複数回断層撮影して取得した前記管状構造物の複数の断層像から生成した3次元管状構造物内画像を取得する3次元管状構造物内画像取得手段と、前記取得された3次元画像および3次元管状構造物内画像からそれぞれ前記管状構造物を抽出する構造物抽出手段と、前記抽出された前記3次元画像の管状構造物の任意の範囲と該任意の範囲に対応する前記3次元管状構造物内画像の管状構造物の範囲を対応付ける対応付け手段と、前記3次元管状構造物内画像の前記任意の範囲に含まれる特定の構造物の画像を、前記3次元画像の前記対応付け手段により対応付けられた範囲に投影した投影3次元画像を生成する投影3次元画像生成手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0012】
本発明の管状構造物内画像再構成方法は、被写体の管状構造物を表す3次元画像を取得し、前記管状構造物内の経路に沿って前記管状構造物の内側から前記管状構造物を複数回断層撮影して取得した前記管状構造物の複数の断層像から生成した3次元管状構造物内画像を取得し、前記取得された3次元画像および3次元管状構造物内画像からそれぞれ前記管状構造物を抽出し、前記抽出された前記3次元画像の管状構造物の任意の範囲と該任意の範囲に対応する前記3次元管状構造物内画像の管状構造物の範囲を対応付けし、前記3次元管状構造物内画像の前記任意の範囲に含まれる特定の構造物の画像を、前記3次元画像の前記対応付け手段により対応付けられた範囲に投影した投影3次元画像を生成することを特徴とするものである。
【0013】
本発明の管状構造物内画像再構成プログラムは、コンピュータを、被写体の管状構造物を表す3次元画像を取得する3次元画像取得手段と、前記管状構造物内の経路に沿って前記管状構造物の内側から前記管状構造物を複数回断層撮影して取得した前記管状構造物の複数の断層像から生成した3次元管状構造物内画像を取得する3次元管状構造物内画像取得手段と、前記取得された3次元画像および3次元管状構造物内画像からそれぞれ前記管状構造物を抽出する構造物抽出手段と、前記抽出された前記3次元画像の管状構造物の任意の範囲と該任意の範囲に対応する前記3次元管状構造物内画像の管状構造物の範囲を対応付ける対応付け手段と、前記3次元管状構造物内画像の前記任意の範囲に含まれる特定の構造物の画像を、前記3次元画像の前記対応付け手段により対応付けられた範囲に投影した投影3次元画像を生成する投影3次元画像生成手段として機能させることを特徴とするものである。
【0014】
ここで、本発明における「管状構造物」は、3次元管状構造物内画像を取得可能なものであれば何でもよく、代表的には、血管があげられる。また、「3次元管状構造物内画像の任意の範囲に含まれる特定の構造物」は、3次元管状構造物内画像の任意の範囲に含まれる構造物であれば何でもよく、前記管状構造物および/または前記管状構造物内に存在する構造物であってもよく、管状構造物外に存在する構造物であってもよく、前記管状構造物を内包する構造物であってもよい。一例として、管状構造物内が血管である場合、血管内に存在する構造物とは、ソフトプラーク、ハードプラークを含み、血管領域からソフトプラーク、ハードプラーク等のプラーク領域を除いた血管内腔領域も含む。また、プラークを構成する、繊維性組織、繊維脂質組織、石灰化組織、壊死性組織等の各組織を血管内に存在する構造物とすることもできる。
【0015】
また、「3次元管状構造物内画像の任意の範囲に含まれる特定の構造物の画像を投影する」とは、3次元管状構造物内画像に含まれる1以上の構造物の画像を投影するものであればよく、例えば、3次元管状構造物内画像から周知の構造物抽出方法により抽出された構造物の画像を投影してもよく、3次元管状構造物内画像を構成する全ての画素の画素値を投影することによって3次元管状構造物内画像の任意の範囲に含まれる全ての特定の構造物の画像を投影してもよい。また、投影3次元画像に投影する特定の構造物の画像として、特定の構造物の画像を全部投影してもよく、特定の構造物の画像の一部を投影してもよい。例えば、特定の構造物を構成する画素値の全部を投影してもよく、特定の構造物を構成する画素値の一部を投影してもよく、特定の構造物の輪郭のみを投影してもよい。
【0016】
また、本発明における3次元画像は、管状構造物の形態を表す3次元画像であればよく、例えば、CT画像やMRI画像により生成された3次元画像があげられる。
【0017】
また、本発明における管状構造物内画像再構成装置において、前記対応付け手段は、前記3次元画像および前記3次元管状構造物内画像の前記管状構造物の経路を基準として、前記3次元画像および前記3次元管状構造物内画像の前記管状構造物を対応付けるものであることが望ましい。
【0018】
前記3次元管状構造物内画像取得手段は、管状構造内を通過する経路に沿って撮影された断層画像により生成された3次元管状構造物内画像であれば種々の画像を取得することができ、例えば、3次元血管内超音波診断画像(3D−IVUS画像)を取得するものであってもよく、バーチャルヒストロジー(登録商標)IVUS画像などのように、IVUSにより取得したRF信号にスペクトル解析を行った情報を有する3次元血管内超音波診断画像を取得するものであってもよく、3次元光干渉断層撮影画像を取得するものであってもよい。なお、3次元光干渉断層撮影画像は、光干渉断層撮影画像(OCT画像)を管状構造物内の経路に沿って積み重ねて得られた3次元画像を意味する。
【0019】
また、「経路」とは、3次元管状構造物内画像においては、管状構造物内を撮影する撮像素子が管状構造物内を移動する経路であり、例えば、IVUSでは、カテーテル先端に取り付けられた超音波プローブの血管内を移動する経路が相当し、OCTでは、カテーテル先端に取り付けられた光学素子の血管内を移動する経路が相当する。また、3次元画像においては、管状構造の長手方向に沿って管状構造内を通過する線であれば何でもよく、例えば、血管の中心線などがこれにあたる。
【0020】
また、本発明の管状構造物内画像再構成装置において、前記構造物抽出手段が、前記管状構造物の分岐部または凹凸部の位置をさらに抽出するものであり、前記対応付け手段が、抽出した前記管状構造物の前記分岐部または前記凹凸部の前記管状構造物の長手方向の位置を一致させるように、前記抽出した3次元画像の管状構造物内の位置と3次元管状構造物内画像の経路上の位置とを対応付けることを特徴とするものであることが好ましい。さらに、前記対応付け手段が、前記管状構造物の分岐部または前記凹凸部の前記管状構造物の周方向の位置を一致させるように、前記3次元画像の管状構造物内の周方向の位置と前記3次元管状構造物内画像の周方向の位置を対応付けることが好ましい。
【0021】
管状構造の凹凸部は、管状構造の内表面が突出または陥没した部分であり、一例として、血管内に存在するプラーク等の突出部等があげられる。
【0022】
また、本発明の管状構造物内画像再構成装置において、前記構造物抽出手段が、前記3次元画像の前記管状構造物と前記3次元管状構造物内画像から、それぞれ前記管状構造物の長手方向に沿って前記管状構造物の1カ所以上の半径を計測するものであり、前記対応付け手段は、前記両画像から計測した各管状構造物の半径が等しい位置を一致させるように、前記3次元画像の前記管状構造物内の位置と前記3次元管状構造物内画像の管状構造物経路上との位置を対応付けるものであってもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の管状構造物内画像再構成装置、方法およびプログラムによれば、被写体の管状構造物を表す3次元画像および3次元管状構造物内画像からそれぞれ管状構造物を抽出し、抽出した3次元画像の管状構造物の任意の範囲と任意の範囲に対応する3次元管状構造物内画像の管状構造物の範囲を対応付けし、3次元管状構造物内画像の任意の範囲に含まれる特定の構造物の画像を、3次元画像の対応付けられた範囲に投影した投影3次元画像を生成することにより、3次元管状内画像の特定の構造物の画像を、実空間における管状構造物の形態に即して投影した投影3次元画像を生成することができ、かかる投影3次元画像に基づいて容易に管状構造物内画像に含まれる特定の構造物の画像を把握することができる。
【0024】
また、本発明の管状構造物内画像再構成において、構造物抽出手段が、管状構造物の分岐部または凹凸部の位置をさらに抽出するものであり、対応付け手段が、抽出した管状構造物の分岐部または凹凸部の管状構造物の長手方向の位置を一致させるように、抽出した3次元画像の管状構造物の範囲と3次元管状構造物内画像の管状構造物の範囲を対応付けることを特徴とするものである場合には、管状構造物の中心線に沿った、管状構造物の長手方向の誤差を補正することができ、より正確に、管状構造物の中心線に沿った座標系で表された3次元管状内画像に含まれる特定の構造物の画像を、実空間における管状構造物の形態に即して投影した投影3次元画像を生成することができる。
【0025】
さらに、対応付け手段が、管状構造物の分岐部または凹凸部の管状構造物の周方向の位置を一致させるように、3次元画像の管状構造物内の周方向の位置と3次元管状構造物内画像の周方向の位置を対応付けるものである場合には、管状構造物の中心線を中心軸とした、管状構造物の周方向の誤差を補正することができ、より正確に、管状構造物の中心線に沿った座標系で表された3次元管状内画像に含まれる特定の構造物の画像を、実空間における管状構造物の形態に即して投影した投影3次元画像を生成することができる。
【0026】
また、本発明の管状構造物内画像再構成装置において、構造物抽出手段が、3次元画像の管状構造物と3次元管状構造物内画像から、それぞれ管状構造物の長手方向に沿って管状構造物の1カ所以上の半径を計測するものであり、対応付け手段は、両画像から計測した各管状構造物の半径が等しい位置を一致させるように、3次元画像の管状構造物の範囲と3次元管状構造物内画像の管状構造物の範囲を対応付けるものである場合には、管状構造物の中心線に沿った管状構造物の長手方向の誤差を補正することができ、より正確に、管状構造物の中心線に沿った座標系で表された3次元管状内画像に含まれる特定の構造物の画像を、実空間における管状構造物の形態に即して投影した投影3次元画像を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態における管状構造物内画像再構成装置の概略構成を示す図
【図2】本発明の一実施形態における管状構造物内画像再構成装置の処理の流れを示す図
【図3】構造物抽出手段により抽出された心臓領域を例示した図
【図4】構造物抽出手段により検出された候補点を例示した図
【図5】抽出された候補点を連結することにより構築される木構造を例示した図
【図6】3次元画像と3次元管状構造物内画像の経路に沿った対応付けを説明する図
【図7】3次元画像と3次元管状構造物内画像の周方向の対応付けを説明する図(経路の始点)
【図8A】3次元画像と3次元管状構造物内画像の周方向の対応付けを説明する図(経路の分岐部)
【図8B】3次元画像と3次元管状構造物内画像の周方向の対応付けを説明する図(経路の他の分岐部)
【図8C】3次元画像と3次元管状構造物内画像の周方向の対応付けの他の例を説明する図(経路の分岐部)
【図9A】3次元画像と3次元管状構造物内画像の周方向の対応付けを説明する図(経路のプラーク部)
【図9B】3次元画像と3次元管状構造物内画像の周方向の対応付けの他の例を説明する図(経路のプラーク部)
【図10】第1の実施形態の変形例による3次元画像と3次元管状構造物内画像の経路に沿った対応付けを説明する図
【図11A】第1の実施形態により得られた再構成画像の表示例
【図11B】図11Aの領域10Aの部分拡大図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の管状構造物内画像再構成装置、管状構造物内画像再構成プログラムおよび管状構造物内画像再構成方法の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0029】
図1に、本発明の一実施形態における管状構造物内画像再構成装置6を含む病院システム1の概略構成を示す。病院システム1は、ローカルエリアネットワーク(LAN)2を介して互いに接続された検査室システム3、データサーバ4、および診断用ワークステーション(WS)6により構成される。
【0030】
検査室システム3は、被検体を撮影する各種のモダリティ32と、各モダリティから出力された画像の確認や調整を行う検査室ワークステーション(WS)31により構成される。モダリティ32としては、IVUS装置と、血管の形態情報を表す形態画像を取得可能なモダリティであるCT(Computed Tomography)装置が備えられさらに、OCT装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、PET(Positron Emission Tomography)などが備えられているものとする。これらのモダリティ32は、いずれもDICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)規格に準拠した装置であり、取得したボリュームデータに付帯情報を付し、DICOMファイルとして出力する。
【0031】
モダリティ32から出力されたファイルは、検査室WS31により、データサーバ4に転送される。データサーバ4は、高性能プロセッサと大容量メモリを備えた比較的処理能力の高いコンピュータに、データベースマネージメントサーバ(DBMS:Database Management Server)の機能を提供するソフトウェアプログラムを実装したものである。プログラムはストレージに記憶され、起動時にメモリにロードされ、プロセッサにより実行される。データサーバ4は、検査室WS31から転送されたファイルを、大容量ストレージ5に記憶させる。また、データサーバ4は、診断用WS6からの検索要求に応じて、大容量ストレージ5に記憶されている複数のファイルの中から、検索条件に適ったファイルを選出し、診断用WS6に送信する。
【0032】
診断用WS6は、標準的なプロセッサ、メモリおよびストレージを備えた汎用のワークステーションに、診断支援するための管状構造物内画像再構成プログラムを実装したものである。管状構造物内画像再構成プログラムは、DVD等の記録媒体から、またはネットワーク上のサーバコンピュータからのダウンロードにより、診断用WS6にインストールされる。また、診断用WS6には、ディスプレイ7と、マウス、キーボード等の入力装置8が接続されている。
【0033】
診断用WS6に実装される管状構造物内画像再構成プログラムは、各種機能を実現するプログラムモジュール群により構成され、その中には、管状構造物内画像再構成機能を実現するためのプログラムモジュール群が含まれている。これらのプログラムはストレージに記憶され、起動時にメモリにロードされ、プロセッサにより実行される。これにより、診断用WS6は、図1に示される被写体の管状構造物を表す3次元画像を取得する3次元画像取得手段61と、管状構造物内の経路に沿って管状構造物の内側から管状構造物を複数回断層撮影して取得した管状構造物の複数の断層像から生成した3次元管状構造物内画像を取得する3次元管状構造物内画像取得手段62と、取得された3次元画像および3次元管状構造物内画像からそれぞれ管状構造物を抽出する構造物抽出手段63と、抽出された3次元画像V1の管状構造物の任意の範囲W1と該任意の範囲に対応する3次元管状構造物内画像V2の管状構造物の範囲W2を対応付ける対応付け手段65と、3次元管状構造物内画像V2の任意の範囲W2に含まれる特定の構造物の画像を、3次元画像V1の対応付け手段65により対応付けられた範囲W1に投影した投影3次元画像V3を生成する投影3次元画像生成手段66と、再構成された投影3次元画像から再構成した画像を生成する画像生成手段67と、再構成した画像を表示装置に表示させる表示制御手段68として動作するようになる。
【0034】
図2は、本実施形態の管状構造物内画像の生成処理の流れを表すフローチャートである。図2に従って、本実施形態におけるWS6(管状構造内画像生成装置)の各機能処理の流れについて、以下詳細に説明する。本実施形態では、心臓の検査を行う場合を例に、管状の構造物が血管、特に冠動脈である場合について説明する。
【0035】
本実施形態の処理に先立って、心臓の検査では、CT装置等を用いて被写体の胸部の撮影が行われ、ボリュームデータを取得して、ボリュームデータに付帯情報を付してDICOMファイルとしてデータサーバ4に転送され、大容量ストレージ5に記憶される。ボリュームデータは、3次元空間内の濃度や密度の分布を表す多数のボクセルデータの集合で構成され、各ボクセルデータ内にX線の吸収量等が画素値として表われる。
【0036】
まず、初期画面において心臓の管状構造物内画像再構成機能が選択され、所定の入力画面において患者の識別番号や検査番号などが入力されると、3次元画像取得手段61は、入力された情報をデータサーバ4へと送信し、大容量ストレージ5に保存されているファイルの検索および転送を要求する。
【0037】
上記要求を受けたデータサーバ4は、大容量ストレージ5内のファイルを検索し、3次元画像取得手段61に対し、要求されたファイルを転送する。3次元画像取得手段61は、データサーバ4から転送されたファイルに含まれる3次元画像V1を、メモリに保存する(S01)。
【0038】
また、3次元管状構造物内画像取得手段62は、データサーバ4から転送されたファイルに含まれる3次元管状構造物内画像である、3D−IVUS画像V2を取得し、メモリに保存する(S02)。なお、3次元管状構造物内画像とは、管状構造物内の経路に沿って管状構造物の内側から管状構造物を複数回断層撮影して取得した管状構造物の複数の断層像から生成した3次元画像である。本実施形態では、3次元管状構造物内画像として、血管内の経路Bに沿って、血管内超音波診断画像(IVUS画像)を複数回取得することにより得られた3D−IVUS画像V2を取得する。
【0039】
続いて構造物抽出手段63は、上記処理によりメモリに保存された3次元画像V1および3D−IVUS画像V2から、それぞれ管状構造物領域10、すなわち冠動脈の血管壁および血管内腔に相当する領域を抽出して、3次元構造物抽出データを取得する(S03)。また、両画像V1、V2から冠動脈領域を抽出する過程で、冠動脈の経路である冠動脈中心線をそれぞれ特定する。3次元画像V1から抽出された管状構造物の中心線を経路A、3D−IVUS画像V2における血管内のプローブの経路を経路Bと以下記す。
【0040】
本実施形態による構造物抽出処理には、特願2009−048679号および特願2009−069895号において出願人が提案した方法を適用する。以下、それらの文献に記された処理の概要を説明する。なお、管状構造物が血管である場合、ボリュームデータから冠動脈領域を抽出する方法としては、Andrzej Szymczak, et al. Coronary vessel tree frin 3D imagery: A topological approach. Medical Image Analysis 2006に示される方法をはじめ、種々の方法が提案されており、領域抽出には、管状構造物を抽出可能な公知のいずれの手法をも採用することができる。
【0041】
構造物抽出手段63は、所定のアルゴリズムに基づいて、ボリュームデータから、心臓に相当する領域(以下、心臓領域)を抽出する。図3に、構造物抽出手段63により抽出された心臓領域9を例示する。
【0042】
次に、構造物抽出手段63は、ボリュームデータ内の心臓領域9を含む直方体領域を探索範囲として設定し、所定のアルゴリズムに基づいて探索範囲に含まれる管状の構造物を探索する。さらに、探索により検出された管状の構造物に基づいて、冠動脈の芯線上の点と推定される点を検出する。以下の説明では、冠動脈の経路上の点と推定される点を候補点またはノードと称する。図4に、抽出された3次元構造物抽出データの管状構造物領域10と、検出された候補点Niを例示する。
【0043】
管状の構造物の探索は、探索範囲内の局所領域ごとに、3×3のヘシアン(Hessian)行列の固有値を算出することにより行う。管状の構造物が含まれる領域では、ヘシアン行列の3つの固有値のうち1つは0に近い値となり、他の2つは相対的に大きな値となる。また、値が0に近い固有値に対応する固有ベクトルは、管状の構造物の主軸方向を示すものとなる。構造物抽出手段63は、局所領域ごとに、ヘシアン行列の固有値に基づいて管状の構造物らしさを判定し、管状の構造物が識別された局所領域については、その中心点を候補点として検出する。
【0044】
なお、管状の構造物の探索では、探索範囲のデータを解像度変換することにより、解像度が異なる複数の解像度別データ(ガウシアンピラミッド)を生成し、異なる解像度で繰り返し探索(走査)を行なうことが好ましい。上記探索方法では、局所領域の径(幅)が血管径よりも小さい場合に管状の構造物を識別できないが、解像度を異ならせて探索を行うことであらゆる大きさの管状の構造物の識別が可能になる。これにより、基幹となる太い血管から末端の細い血管まで、候補点を漏れなく検出することができる。
【0045】
次に、構造物抽出手段63は、探索により検出された候補点を、最小全域木などの所定のアルゴリズムに基づいて連結する。これにより、図5に例示するように、候補点および候補点同士を連結する枝(エッジ)からなる木構造が構築される。検出された複数の候補点の座標情報や、枝の方向を示すベクトル情報は、候補点や枝の識別子とともにメモリに記憶される。
【0046】
続いて、構造物抽出手段63は、検出された候補点ごとに、周辺のボクセルの値(CT値)に基づき、冠動脈の形状を詳細に識別する。具体的には、冠動脈経路に垂直な断面において、冠動脈の輪郭(血管の外壁)を識別する。形状の識別は、Graph-Cutsに代表される公知のセグメンテーション手法を用いて行う。さらに、血管輪郭内部のCT値を解析し、ソフトプラーク領域(所定のしきい値より低いCT値領域)、ハードプラーク領域(所定のしきい値より高いCT値領域)、血管内腔領域(外壁内部でソフトプラーク領域とハードプラーク領域を除外した領域)とに分割する。
【0047】
なお、一般に、ソフトプラークのCT値は、正常な内腔のCT値よりも低く、ハードプラークのCT値は、正常な内腔のCT値よりも高い。CTに限らずMRIでも、プラークの信号値は、正常な内腔の信号値の範囲から外れた値となることが知られている。ここでは、この信号値の関係を利用してプラーク領域と内腔領域とを判別する。詳細には、断面を構成する各ボクセルの値を所定の閾値と比較することによりボクセルごとにプラーク、内腔のいずれであるかを判定し、プラークと判定されたボクセルにより構成される領域をプラーク領域、内腔と判定されたボクセルにより構成される領域を内腔領域として識別する。なお、プラークについては、ソフトプラーク/ハードプラークの判別も行う。
【0048】
また、構造物抽出手段63は、3次元管状構造物内画像V2からも管状構造物を抽出する。3次元管状構造物内画像V2は、血管の経路に沿って経路と直交する方向に断層撮影された複数の2次元画像である。そこで元の2次元の断層画像ごとに、その血管の輪郭(血管の外壁)を検出する。輪郭の検出には、3次元画像V1と同様にGraph-Cutsに代表される公知のセグメンテーション手法を用いる。さらに、血管領域をソフトプラーク、ハードプラーク、内腔領域に分割する。次に、セグメンテーションされた血管領域の重心位置を血管の中心位置とし、これを連続的に接続して管状構造物の経路とする。しかし単純に、各2次元断層画像の中心位置を血管経路とみなしてもよい。
【0049】
なお、3次元管状構造物内画像V2が、IVUS画像の高周波信号のスペクトル解析等により、血管内のプラーク領域などの3次元管状構造物画像V2内に含まれる特定の構造物をセグメンテーションした情報を既に有するものであれば、構造物抽出手段63は、特定の構造物をセグメンテーションした情報をそのまま利用し、3次元管状構造物画像V2内に含まれる構造物のうち必要な構造物についてのみセグメンテーションを行ってよい。
【0050】
また、本実施形態における構造物抽出手段63は、管状構造物の分岐部または凹凸部の位置をさらに抽出するものである。図7は、3次元画像と3次元管状構造物内画像の周方向の対応付けを説明する図(経路の始点)であり、図8Aは、経路の分岐部BRaを含む3次元画像の断層画像S1k1と3次元管状構造物内画像の断層画像S2k1であり、図8Bは、経路の分岐部BRbを含む3次元画像の断層画像S1k2と3次元管状構造物内画像の断層画像S2k2であり、図9Aは、経路のプラーク部PLを含む3次元画像の断層画像S1k3と3次元管状構造物内画像の断層像S2k3である。
【0051】
具体的には、構造物抽出手段63は、図8A、8Bにそれぞれ示すように、2つの3次元画像V1、V2(3次元画像V1および3D―IVUS画像V2)のそれぞれを構成する断層像から、管状構造物の輪郭に分岐部BRaを表す突出形状のある断層像S1k1、S2k1をそれぞれ抽出し、管状構造物の輪郭に分岐部BRbを表す突出形状のある断層像S1k2、S2k2をそれぞれ抽出する。なお、以下本明細書においては、断層像S1(またはS2)は、3次元画像V1(またはV2)の経路A(またはB)に直交する断層像である。また、2つの3次元画像V1、V2のそれぞれを構成する断層像から、図9Aに示すような、管状構造物の輪郭に凹凸部であるプラークPLを表す管状構造物の輪郭に陥没形状のある断層像S1k3、S2k3をそれぞれ抽出する。
【0052】
本実施形態では、先述のように断層像において血管の外腔(壁)領域と内腔領域をそれぞれセグメンテーションし、セグメンテーションされた断層像から各領域の輪郭部を検出し長軸と短軸を求め、求められた長軸と短軸の比に基づいて解剖学的構造物の分岐部や凹凸部を検出する。図8Cは、分岐部BRaにおける2つの3次元画像V1、V2の断層像S1k1、S2k1の各長軸LA1k1、LA2k1および各短軸SA1k1、SA2k1を表す図であり、図9Bは、プラーク部Raにおける2つの3次元画像V1、V2の断層像S1k3、S2k3の各長軸LA1k3、LA2k3および各短軸SA1k3、SA2k3を表す図である。図8Cおよび図9Bに示すように、分岐部の血管長手方向の位置を、血管外腔の長軸/短軸比が大きい位置として検出し、このときの長軸の方向を分岐の方向として検出する。また、プラーク部の血管の長手方向の位置を、血管外腔に比べて血管内腔が小さい位置として検出し、このとき血管内腔の短軸の方向を断層上でプラークが偏在している方向(経路からプラークに向かう方向)として検出する。なお、3次元画像V1については、抽出した木構造がすでに分岐の情報を有している(図5参照)。
【0053】
なお、構造物抽出手段63は、解剖学的構造物の分岐部や凹凸部等の解剖学的構造物の特徴部を2つの3次元画像V1、V2から抽出できる方法であれば、周知の種々の方法を適用することができる。例えば、ユーザが手動で血管分岐部を表す断層像およびプラーク部を表す断層像を各3次元画像V1、V2ごとに選択して、選択した断層像を特定する情報を入力手段から入力し、かかる入力を取得して、血管分岐部を表す断層像およびプラーク部を表す断層像として抽出してもよい。
【0054】
次に、対応付け手段65は、3次元画像V1および3D−IVUS画像V2の管状構造物の各経路A,Bに沿って、両画像を対応付ける対象範囲を決定する(S04)。図6は、本実施形態の3次元画像V1と3次元管状構造内画像V2の対応付け方法を説明するイメージ図である。図6に示すように、対応付け手段65は、CT撮影により得られた3次元画像V1から経路Aに沿って始点Aから終点Aまでの対象範囲W1を決定し、3D−IVUS画像V2の経路Bに沿って始点Bと終点Bまでの対象範囲W2を決定する。
【0055】
具体的には、対応付け手段65は、まず3D−IVUS画像V2の撮影を行った管状構造物内の経路上の撮影開始点Bから撮影終了点Bまでの範囲を、3D−IVUS画像V2の管状構造物10の対応付け手段65による対応付け処理の対象範囲W2として決定する。
【0056】
そして、対応付け手段65は、CT撮影により得られた3次元画像V1から冠動脈および冠動脈中心線を表すボリュームレンダリング画像を生成して、表示制御手段68によりディスプレイ7に表示させ、ユーザに対応付け手段65による対応付け処理の対象範囲W2を指定するように促す。対応付け手段65は、表示画面上でユーザの入力装置8のマニュアル操作による冠動脈中心線Aの位置の指定を検出し、検出した位置により3次元画像V1の管状構造物10の対応付け処理の対象範囲W1を決定する。
【0057】
具体的には、対応付け手段65は、図6に示すようにユーザには3D−IVUS画像V2の対象範囲W2に相当する3次元画像V1の冠動脈中心線Aの範囲を、冠動脈中心線上の位置を始点と終点をマウスでクリックすることにより指示するように促し、ユーザが冠動脈中心線Aの始点Aと終点Aをクリックする操作を検出して、冠動脈中心線Aに沿って始点Aから終点Aまでの範囲を3次元画像V1の対象範囲W1として決定する。
【0058】
対応付け手段65は、指定された2つの範囲W1、W2を一致させることにより、抽出した3次元画像V1の構造物内の中心線A上の位置と3次元管状構造物内画像V2の経路B上の位置とを対応付ける(S05)。具体的には、図6に示すように、決定した2つの範囲W1、W2の経路に沿った位置が一致するように、3次元画像V1と3D−IVUS画像V2の経路A、B上の始点A、Bと終点A、Bをそれぞれ対応付ける。
【0059】
ここで、3D―IVUS画像等に代表される3次元管状構造物内画像は、撮像素子を先端に配置したカテーテルを管状構造物内で一定の回転速度で回転させるとともに管状構造物の長手方向に沿って一定速度で移動させながら撮影した断層画像を積み重ねることにより3次元画像として再構成される。しかし、実際の撮影においては、複雑な管状構造物の形態により、長手方向の移動速度や回転速度が実際は一定に保たれない場合がある。この場合、長手方向の移動速度の誤差は、3次元管状構造物内画像に表される管状構造の長さの誤差を発生させ、長手方向の回転速度の誤差は、3次元管状構造物内画像に表される管状構造の周方向の位置の誤差を発生させることになる。
【0060】
そこで、本実施形態における対応付け手段65はこのような誤差の補正のために、経路の始点と終点以外の管状構造物10の特徴部分である分岐部BRや突出部PLの位置でも経路A、Bに沿った位置、および経路A、Bに直交する平面上のZ軸を中心とした周方向の角度の対応付けを行う。
【0061】
この管状構造物の経路に沿った位置の対応付け処理として、本実施形態における対応付け手段65は、構造物抽出手段63が抽出した管状構造物の分岐部を含む断層像S1k1、S2k1(または、S1k2、S2k2)に含まれる経路上の点Ak1、Bk1(または、Ak2、Bk2)および、凹凸部を含む断層像S1k3、S2k3に含まれる経路上の点Ak3、Bk3を、対応付ける。すなわち、図6に示すように、抽出した3次元画像V1の管状構造物内の経路上の位置Ak1、Ak2、Ak3と3次元管状構造物内画像V2の経路上の位置Bk1、Bk2、Bk3とがそれぞれ対応付けられる。
【0062】
そして、対応付け手段65は、経路Aに沿って点AからAk1までの経路Z1k1の区間と、経路Bに沿って点BからBk1までの経路Z2k1の区間とを、所定の間隔または個数の分割点で分割し、各分割点を互いに対応付ける。
【0063】
対応付け手段65は、経路Aに沿って点Ak1からAk2までの経路Z1k2の区間および経路Bに沿って点Bk1からBk2までの経路Z2k2の区間と、経路Aに沿って点Ak2からAk3までの経路Z1k3の区間および経路Bに沿って点Bk2からBk3までの経路Z2k3の区間、経路Aに沿って点Ak3からAまでの経路Z1k3の区間および経路Bに沿って点Bk3からBまでの経路Z2k4の区間についても、同様に、所定の間隔または個数の分割点で分割し、各分割点を互いに対応付ける。
【0064】
そして、以上の結果、図6に示すように、始点A、Bから終点A、Bまでの経路A、B上にそって、互いに対応する点A、B(0≦i≦k)が設けられる。なお、AはAs、AはA、BはB、BはBに相当する。これにより、3次元画像V1、V2の始点A、Bから終点A、Bまでの範囲で、経路A、B上の各点の経路に沿った位置(Z軸方向の位置)が対応付けられる。
【0065】
さらに、本実施形態による対応付け手段65は、管状構造物の分岐部BRまたは凹凸部PLの管状構造物10の周方向の位置を一致させるように、3次元画像V1の管状構造物内の周方向の位置と3次元管状構造物内画像V2の周方向の位置を対応付ける(S06)。
【0066】
この管状構造物の周方向の対応付け処理として、対応付け手段65は、3次元画像V1の始点Aおよび3D−IVUS画像V2の始点Aの位置で、3次元画像V1と3D−IVUS画像V2の経路A、Bに直交する平面上の位置を一致させるための相対角度θを算出する。
【0067】
すなわち、対応付け手段65は、図6に示すように、断層像S2を、XY平面上の縮尺を変化させつつZ軸を回転軸として回転させて、断層像S1の管状構造物の輪郭がS2の管状構造物の輪郭とが最も重なるような、XY平面上の回転角度θを算出する。また、同時に、対応付け手段65は、断層像S1の管状構造物の輪郭がS2sの管状構造物の輪郭が最も重なる際の断層像S1の管状構造物の半径r1に対する断層像S2の管状構造物の半径r2の比率を断層像S1sに対する断層像S2sの相対的なサイズRsとして取得する。
【0068】
また、かかる3次元画像V1の経路に直交する断層像S1の管状構造物の輪郭が3D−IVUS画像V2の断層像S2の管状構造物の輪郭が最も重なるような、経路を中心とした周方向の角度を、3次元画像V1に対する3D−IVUS画像V2の相対角度と場合により称する。なお、2つの画像の輪郭の重なりの判断について、周知の方法により2つの画像の管状構造物の輪郭の類似度を定義するコスト関数を定義し、該関数により、断層像S1における管状構造物の輪郭と、複数の異なる角度に角度を変化させた断層像S2上の管状構造物の輪郭とを比較して、コスト関数が最も小さくなる際の断層像S2の角度を、2つの画像の輪郭の重なりが大きくなる角度として判定するものとする。
【0069】
続いて、本実施形態による対応付け手段65は、各分岐部およびプラーク部を含む断層像に対しても同様の処理を行い、断層像S2h(h=k1,K2,k3)をXY平面上の縮尺を変化させつつZ軸を回転軸として回転させて、各断層像S1の管状構造物の輪郭がS2の管状構造物の輪郭とが最も重なるような、断層像S1k1に対する断層像S2k1の相対角度θk1、断層像S1k2に対する断層像S2k2の相対角度θk2、断層像S1k3に対する断層像S2k3の相対角度θk3を算出する。
【0070】
図7、8A、8B、9Aにおいて、各断層像S1、S2h(h=k1,K2,k3)上において、各断層像S1、S2に含まれる経路上の点A、Bからそれぞれ同断層像S1、S2上の管状構造物領域の同じ部分を表す点に向かうベクトルV1h(h=k1,K2,k3)、V2h(h=k1,K2,k3)を例示する。ベクトルV1、V2間の角度が、断層像S1に対する断層像S2の相対角度θとなる。図7、8A、8B、9Aにおいて、経路A、Bに沿った各位置A、Bh(h=k1,K2,k3)で、IVUS装置の回転速度の変化により、相対角度θが少しずつ変化していることがわかる。このことにより、図6に示すように、3D−IVUS画像V2では、血管の分岐部BRbの周方向の位置が、実際の形態の周方向の位置とずれたものとなっている。
【0071】
そして、対応付け手段65は、経路A、Bに沿って設定した対応する点A、B(0≦i≦k)ごとに、各点A、B(0≦i≦k)を含み経路A、Bに直交する平面における相対角度を決定する。例えば、本実施形態においては、区間Z1k1、Z2k1の各点A、B(0≦i≦k1)について、相対角度がθからθk1までなめらかに変化するように、例えば、θからθk1まで段階的に大きくなる(小さくなる)ように相対角度θをそれぞれ設定し、区間Z1k2、Z2k2の各点A、B(k1<i≦k2)について、相対角度がθk1からθk2までなめらかに変化するように、相対角度θをそれぞれ設定し、区間Z1k3、Z2k3の各点A、B(k2<i≦k3)について、相対角度がθk2からθk3までなめらかに変化するように、相対角度θをそれぞれ設定し、区間Z1k4、Z2k4の各点A、B(k3<i≦k)について、相対角度がθk3となるように、相対角度θを設定する。
【0072】
なお、断層像S1とS2の相対角度θh(h=k1、k2、k3)の算出方法として、上記のように各断層像S1の管状構造物の輪郭とS2の管状構造物の輪郭の最も重複する角度として算出する方法に替えて、図8Cおよび図9Bに示すように、断層像S1、S2h(h=k1、k2、k3)上の管状構造物の長軸LA1、LA2と短軸SA1、SA2を一致させる角度を相対角度θとして算出する方法を適用してもよい。経路A、B上の対応する各位置において、経路A、Bに直交する断層像上の管状構造物の長軸と短軸を一致させることにより、この両画像V1、V2の分岐方向および、プラークの偏心方向を一致させることができるためである。
【0073】
そして、対応付け手段65は、断層像S1sに対する断層像S2sの相対的なサイズRs、および、設定された相対角度θに基づいて、点A、B(を含み、Z軸に直交する断層像S1、S2上の各点を対応付ける(S07)。そして、該対応付けを、3次元画像V1、V2の始点A、Bから終点A、Bまでの範囲で、経路A、Bに直交する各断層像S1、S2(0≦i≦k)について繰り返すことにより、3次元画像V1を構成する任意の画素Pj(x,y,z)および3D−IVUS画像V2を構成する画素Qj(x,y, z)とを対応付けることができる。
【0074】
なお、3次元画像V1の座標系で、断層像S1の各点Pj(x,y,z)の座標を、中心軸Zを中心としたX軸からの周方向の角度θおよび中心軸Zから各点Pjまでの距離d1により表すと、3D−IVUS画像V2の座標系で、各点Pjに対応する断層像S2の各点Qj(x,y, z)の座標は、中心軸Zを中心としたX軸からの周方向の角度が角度θ+θであり、中心軸Zから各点Qjまでの距離d2がd1×Rsである点として特定することができる。すなわち、相対的なサイズRsおよび設定された相対角度θに基づいて断層像S1の各点Pj(x,y,z)の座標に対応する断層像S2の各点Qj(x,y, z)の座標を算出することができる。
【0075】
投影3次元画像生成手段66は、3次元管状構造物内画像の任意の範囲に含まれる特定の構造物の画像を、3次元画像の前記対応付け手段により対応付けられた範囲に投影した投影3次元画像を生成する。ここでは、対応付けられた位置に基づいて、特定の構造物のうち、3次元管状内画像V2から分離認識したソフトプラーク、ハードプラーク、血管内腔の各々について、各構造物領域を構成する各画素Qj(x,y, z)の画素値を、3次元画像V1の対応する位置Pj(x,y,z)に投影した投影3次元画像V3を生成し、ストレージ5に記憶する(S08)。
【0076】
画像生成手段67は、投影3次元画像V3からボリュームレンダリング法等の各種の再構成法により再構成された再構成画像Img1を生成し、ストレージ5に記憶する。ここでは、画像生成手段67は、投影3次元画像V3から、ボリュームレンダリング法で表された擬似3次元画像を生成し、ストレージ5に記憶する(S09)。
【0077】
表示制御手段68は、各手段の要請に応じて、各種の画像を取得しディスプレイ7に表示する。本実施形態では、画像生成手段67に再構成された再構成画像Img1を取得し、再構成画像Imgをディスプレイ7に表示させる(S10)。
【0078】
図11Aに、投影3次元画像V3から再構成されたボリュームレンダリング画像Img1の表示例を示す。図11Aのように、ボリュームレンダリング画像Img1は、CT撮影により取得された3次元画像V1により再構成された心臓全体と冠動脈10を表しており、冠動脈10の一部分10Aに、3D―IVUS画像V2から得られた特定の構造物領域を構成する各画素値を投影したものである。図11Bは、ボリュームレンダリング画像Img1の領域Img1aの領域について拡大表示した図Img2aを示す。
【0079】
また、本実施形態では、表示制御手段68は、図11Bに示すように、対応付けられた血管の範囲に含まれる領域10Aについて、各分離認識された血管内腔領域10aおよびソフトプラーク領域10bおよびハードプラーク領域10cを構成する各画素に対して、設定された異なる色および透明度を設定して、各領域を識別表示する。
【0080】
以上、本第1の実施形態によれば、被写体の管状構造物10を表す3次元画像V1および3次元管状構造物内画像V2からそれぞれ管状構造物10を抽出し、抽出した3次元画像V1の管状構造物10の任意の範囲W1と任意の範囲W1に対応する3次元管状構造物内画像の管状構造物10の範囲W2を対応付けし、3次元管状構造物内画像V2の任意の範囲W2に含まれる特定の構造物の画像を、3次元画像の対応付けられた範囲に投影した投影3次元画像を生成することにより、3次元管状内画像の特定の構造物の画像を、実空間における管状構造物の形態に即して投影した投影3次元画像を生成することができ、かかる投影3次元画像に基づいて容易に管状構造物内画像に含まれる特定の構造物の画像を把握することができる。
【0081】
また、本実施形態のように、3次元管状内画像V2に含まれる特定の構造物を、識別可能に表示した場合は、3次元画像による管状構造物の形態と対応付けて管状構造物内の各セグメンテーションされた領域を容易に把握することができ、医師らの診断効率と診断精度の向上に貢献できる。また、3次元管状内画像V2に含まれる構造物のうち、所望の特定の構造物の画像のみを投影して投影3次元画像を生成することにより、ユーザの要望に適した3次元管状内画像V2を柔軟に生成できる。
【0082】
なお、本実施形態に限られず、投影3次元画像に投影する特定の構造物は、3次元管状内画像V2に含まれる構造物であれば何でもよく、例えば、管状構造物および/または管状構造物内に存在する構造物であってもよい。一例として、管状構造物内が血管である場合、血管内に存在する構造物とは、ソフトプラーク、ハードプラークを含み、血管領域からソフトプラーク、ハードプラーク等のプラーク領域を除いた血管内腔領域を構造物と捉えてよい。また、プラークを構成する、繊維性組織、繊維脂質組織、石灰化組織、壊死性組織等の各組織を血管内の構造物と捉えてもよい。また、3次元管状内画像V2に含まれる構造物を全て含むように、3次元管状内画像V2を構成する画素の画素値を全て3次元画像V1の対応する位置の画素に投影してもよい。
【0083】
また、投影3次元画像に投影する特定の構造物は1つであってもよく、複数であってもよい。さらに、投影3次元画像に投影する特定の構造物の画像として、3次元管状内画像V2の特定の構造物を構成する画素の画素値を対応する3次元画像V1の位置に挿入するものでもよく、3次元管状内画像V2の特定の構造物の輪郭等、特定の構造物を特定する情報のみを対応する3次元画像V1の位置に投影してもよい。
【0084】
また、3次元画像V1自身に画素値等を直接挿入することにより投影3次元画像V3を生成してもよく、3次元画像V1と同じ座標系を有する新たな3次元画像V1’を用意し、新たな3次元画像V1’に画像を投影して投影3次元画像V3を生成してもよい。後者の場合、生成した投影3次元画像V3と3次元画像V1からそれぞれ再構成画像を生成し、両再構成画像を重ね合わせて表示することが好ましい。
【0085】
また、対応付け手段65が、3次元画像V1および3次元管状構造物内画像V2のそれぞれの経路を基準として、3次元画像V1および3次元管状構造物内画像V2の管状構造物10を対応付けるため、精度よく対応付けを行うことができる。
【0086】
また、本第1の実施形態によれば、3次元管状内画像の各画素値を、実空間における管状構造物の形態に即して投影した再構成画像を生成することができるため、かかる再構成画像を表示観察することにより医師らは容易に管状構造物の各位置における画素値を把握することができる。また本第1の実施形態のように、CT撮影等により得られた形態を表す画像の一部分に、管状構造物内画像による高精度な血管内の画像を投影して表示した場合には、管状構造物内画像による詳細な情報および影響を心臓全体の位置と関連付けて容易に把握することができ、医師らの診断効率と診断精度の向上に貢献できる。
【0087】
また、本第1の実施形態における対応付け手段65が、構造物抽出手段63が抽出した管状構造物の分岐部PRa、PRbまたは凹凸部PLの管状構造物10の長手方向の位置を一致させるように、抽出した3次元画像の管状構造物内の位置と3次元管状構造物内画像の経路上の位置とを対応付けるため、管状構造物の中心線に沿った、管状構造物の長手方向の誤差を補正することができ、より正確に、管状構造物の中心線に沿った座標系で表された3次元管状内画像に含まれる特定の構造物の画像を、実空間における管状構造物の形態に即して投影した投影3次元画像を生成することができる。この結果、3次元管状構造物内画像V2の管状構造物の湾曲や伸縮による誤差を意識しないで、医師らは投影3次元画像により管状構造物の形態および管状構造物の各位置における画素値の両方を直感的に把握でき、医師らの診断効率と診断精度の向上に資する。
【0088】
さらに、第1の実施形態において、対応付け手段65が、管状構造物の分岐部または凹凸部の管状構造物の周方向の位置が一致するように、3次元画像の管状構造物内の周方向の位置と3次元管状構造物内画像の周方向の位置を位置合わせするものであるため、管状構造物の中心線を中心軸とした、管状構造物の周方向の誤差を補正することができ、より正確に、管状構造物の中心線に沿った座標系で表された3次元管状内画像に含まれる特定の構造物の画像を、実空間における管状構造物の形態に即して投影した投影3次元画像を生成することができる。この結果、3次元管状構造物内画像V2の管状構造物の周方向の誤差を意識しないで、医師らは投影3次元画像により管状構造物の形態および管状構造物の各位置における画素値の両方を直感的に把握でき、医師らの診断効率と診断精度向上に資する。
【0089】
なお、このような特徴部分における対応付けは、3次元管状構造物内画像V2および3次元画像V1の両画像から同じ特徴を判別できる部分であれば、分岐部や突出部以外の部分でも対応付けを行うことができ、例えば、管状構造物の彎曲部や管状構造物の半径などを用いることもできる。この場合、構造物抽出手段63は、両画像V1、V2の両方から同じ特徴を判別できる周知の種々の方法を用いることができ、例えば、両画像V1、V2のそれぞれの特徴部分に最も近い経路上の位置同士を対応付けてもよい。また、同じ特徴が、経路を中心軸とした場合に、周方向の位置が等しくなるように特徴部分に最も近い経路上の位置同士を対応付けることが考えられる。
【0090】
以下、第1の実施形態のさらなる変形例として、3次元画像V1および3次元管状構造物内画像V2のそれぞれの管状構造物の半径が等しい位置を一致させるように、対応する位置を対応付ける例を説明する。
【0091】
第1の実施形態のさらなる変形例における構造物抽出手段63は、3次元画像V1の管状構造物10と3次元管状構造物内画像V2から、それぞれ管状構造物10の長手方向に沿って管状構造物の1カ所以上の半径を計測するものであり、対応付け手段65は、両画像V1およびV2から計測した各管状構造物の半径が等しい位置を一致させるように、3次元画像V1の前記管状構造物内の位置と3次元管状構造物内画像V2の管状構造物経路上との位置を対応付ける点が第1の実施形態と異なる。以下、第1の実施形態と異なる点を中心として説明し、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
【0092】
第1の実施形態のさらなる変形例における構造物抽出手段63は、3次元画像V1の管状構造物10と3次元管状構造物内画像V2の経路A、Bに直交する複数の断層像から、それぞれ管状構造物10の経路A、Bの長手方向に沿った範囲W1、W2の複数箇所において半径r1、r2(0<m≦ma)を計測する。そして、断層像に含まれる経路上の点A、Bにおいて計測した複数の半径r1、r2(0<m≦ma)をメモリに保存する。
【0093】
そして、対応付け手段65は、計測した複数の半径r1、r2(0<m≦ma)が一致する、経路A、B上の点A、Bm’を対応付ける。なお、ここでいう計測した複数の半径が一致するとは、経路A上の始点Aにおける半径r1に対する各半径r1の相対的な大きさと、経路B上の始点Bにおける半径r2に対する各半径r2の相対的な大きさが一致するということを意味する。
【0094】
図10は、第1の実施形態のさらなる変形例における、位置合わせ処理を説明する図である。図10に示すように、半径r1m1、r2m1’が一致すると、半径r1m1、r2m1’を計測したそれぞれの断層像上の経路A、B上の点Am1、Bm1’が対応付けられる。同様に、半径r1m2、r2m2’が一致すると、半径r1m2、r2m2’を計測したそれぞれの断層像上の経路A、B上の点Am2、Bm2’が対応付けられる。なお、ここでは、0<m1<m1’<m2’<m2<maとする。つまり、経路A、Bに沿って半径の等しい位置の経路上の点A、Bm’が対応付けられる。なお、図8では、説明のために、対応付けられる点を2つとしているが、これに限られず、半径の等しい位置であれば、1箇所以上何箇所でも対応付けてよい。
【0095】
そして、対応付け手段65は、管状構造物10の経路A上の始点A(As)から点A1m1までの区間および、管状構造物10の経路B上の始点B(Bs)から点Bm1’までの区間を、所定の間隔又は所定数により分割する分割点をそれぞれ設定し、各分割点をそれぞれ対応付ける。対応付け手段65は、同様に、管状構造物10の経路A上の始点Am1から点Am2までの区間および、管状構造物10の経路B上の始点Bm1’から点Bm2’までの区間を、所定の間隔又は所定数により分割する分割点をそれぞれ設定し、各分割点をそれぞれ対応付けする。また、管状構造物10の経路A上の始点Am2から点Amaまでの区間および、管状構造物10の経路B上の始点Bm2’から点Bmaまでの区間についても、所定の間隔又は所定数により分割する分割点をそれぞれ設定し、各分割点をそれぞれ対応付ける。そして、上記対応付けられた各分割点をそれぞれメモリに保存する。
【0096】
そして、図10に示すように、始点A、Bから終点A、Bまでの経路A、B上にそって、互いに対応する点A、B(0≦i≦ma)が設けられる。なお、AはA、AmaはA、BはB、BmaはBに相当する。これにより、3次元画像V1、V2の始点A、Bから終点A、Bまでの範囲で、経路A、B上の各点の経路に沿った位置(Z軸方向の位置)が対応付けられる。
【0097】
第1の実施形態のさらなる変形例によれば、管状構造物の長手方向に沿って半径が等しい位置を一致させることにより、管状構造物の中心線に沿った管状構造物の長手方向の誤差を補正することができ、より正確に、管状構造物の中心線に沿った座標系で表された3次元管状内画像に含まれる特定の構造物の画像を、実空間における管状構造物の形態に即して投影した投影3次元画像を生成することができる。この結果、3次元管状構造物内画像V2の管状構造物の長手方向の誤差による管状構造物の伸縮を意識しないで、医師らは投影3次元画像により管状構造物の形態および管状構造物の各位置における画素値の両方を直感的に把握でき、医師らの診断効率と診断精度を向上に資する。
【0098】
上記、冠動脈等の血管は、先端に向かうほど血管の太さが細くなる形態をしているため、血管の長手方向の各位置において、血管の太さが一致するように位置合わせをすることで、効果的に管状構造物の中心線に沿った管状構造物の長手方向の誤差を補正することができる。
【0099】
また、血管の半径だけでなく、血管の太さを指標とした種々の指標により経路に沿った方向の位置あわせをしてもよい。一例として、血管径のみならず血管の面積を基準とすることができる。
【0100】
また、3次元画像V1、3次元管状構造物内画像V2の管状構造物の経路A、Bの長手方向または周方向の位置の対応付けは、両画像V1およびV2の管状構造物の特徴部分の長手方向または周方向の位置を一致させるように対応付ける方法であれば、周知の種々の方法で行ってよい。
【0101】
上記各実施形態では、3D−IVUS画像を例に説明したが、当業者にとっては明らかであるように、同様に管状構造物内画像を積み重ねて生成した3次元管状構造物内画像であれば各実施形態の適用可能であり、HV−IVUS画像などの、超音波RF信号の各種解析を行ったセグメンテーション結果の情報を有するIVUS画像を積み重ねて生成した3次元画像や、OCT画像を積み重ねて生成した3次元画像にも適用可能である。
【0102】
なお、3次元管状構造物内画像V2に含まれる特定の構造物のうち、管状構造物以外の構造物が3次元画像V1と対応付け可能な形態の管状形状である場合には、3次元管状構造物内画像V2に替えて、3次元管状構造物内画像V2から抽出した該管状形状の特定の構造物を表す3次元画像V2’を取得し、取得した3次元画像V2’の所定の範囲と3次元画像V1の所定の範囲を対応付けることにより、3次元画像V2’に含まれる特定の構造物を3次元画像V1に投影してもよい。
【0103】
また、各実施形態において、管状構造物の経路の設定は、コンピュータにより行ってもよく、ユーザのマニュアル操作により、管状構造物内の任意の点を複数箇所設定し、設定した複数の点をスプライン補間処理などのアルゴリズムを用いて滑らかに連結し、連結した曲線を管状構造物の経路としてもよい。
【0104】
また、各実施形態において、本発明の管状構造物内画像再構成プログラムが一台の診断用WSに実装されて管状構造物内画像再構成装置として機能する場合について説明したが、管状構造物内画像再構成プログラムを複数台のコンピュータに分散させてインストールして、複数台のコンピュータが管状構造物内画像再構成装置として機能するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0105】
1 病院システム
3 検査室システム
4 データサーバ
5 大容量ストレージ
6 診断用ワークステーション
7 ディスプレイ
8 入力装置
32 モダリティ
61 3次元画像取得手段
62 3次元管状構造物内画像取得手段
63 構造物抽出手段
65 対応付け手段
66 投影3次元画像生成手段
67 画像生成手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の管状構造物を表す3次元画像を取得する3次元画像取得手段と、
前記管状構造物内の経路に沿って前記管状構造物の内側から前記管状構造物を複数回断層撮影して取得した前記管状構造物の複数の断層像から生成した3次元管状構造物内画像を取得する3次元管状構造物内画像取得手段と、
前記取得された3次元画像および3次元管状構造物内画像からそれぞれ前記管状構造物を抽出する構造物抽出手段と、
前記抽出された前記3次元画像の管状構造物の任意の範囲と該任意の範囲に対応する前記3次元管状構造物内画像の管状構造物の範囲を対応付ける対応付け手段と、
前記3次元管状構造物内画像の前記任意の範囲に含まれる特定の構造物の画像を、前記3次元画像の前記対応付け手段により対応付けられた範囲に投影した投影3次元画像を生成する投影3次元画像生成手段とを備えたことを特徴とする管状構造物内画像再構成装置。
【請求項2】
前記対応付け手段は、前記3次元画像および前記3次元管状構造物内画像の前記管状構造物の経路を基準として、前記3次元画像および前記3次元管状構造物内画像の前記管状構造物を対応付けるものであることを特徴とする請求項1記載の管状構造物内画像再構成装置。
【請求項3】
前記特定の構造物は、前記管状構造物および/または前記管状構造物内に存在する構造物であることを特徴とする請求項1または2記載の管状構造物内画像再構成装置。
【請求項4】
前記構造物抽出手段が、前記管状構造物の分岐部または凹凸部の位置をさらに抽出するものであり、
前記対応付け手段が、抽出した前記管状構造物の前記分岐部または前記凹凸部の前記管状構造物の長手方向の位置を一致させるように、前記抽出した3次元画像の管状構造物の範囲と前記3次元管状構造物内画像の管状構造物の範囲とを対応付けることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の管状構造物内画像再構成装置。
【請求項5】
前記対応付け手段が、前記管状構造物の分岐部または前記凹凸部の前記管状構造物の周方向の位置を一致させるように、前記3次元画像の管状構造物内の周方向の位置と前記3次元管状構造物内画像の周方向の位置を対応付けることを特徴とする請求項4記載の管状構造物内画像再構成装置。
【請求項6】
前記構造物抽出手段が、前記3次元画像の前記管状構造物と前記3次元管状構造物内画像から、それぞれ前記管状構造物の長手方向に沿って前記管状構造物の1カ所以上の半径を計測するものであり、
前記対応付け手段は、前記両画像から計測した各管状構造物の半径が等しい位置を一致させるように、前記3次元画像の前記管状構造物の範囲と前記3次元管状構造物内画像の管状構造物の範囲を対応付けることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の管状構造物内画像再構成装置。
【請求項7】
前記3次元管状構造物内画像取得手段が、3次元血管内超音波診断画像を取得するものであることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の管状構造物内画像再構成装置。
【請求項8】
前記3次元管状構造物内画像取得手段が、3次元光干渉断層撮影画像を取得するものであることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の管状構造物内画像再構成装置。
【請求項9】
前記管状構造物が血管であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項記載の管状構造物内画像再構成装置。
【請求項10】
被写体の管状構造物を表す3次元画像を取得し、
前記管状構造物内の経路に沿って前記管状構造物の内側から前記管状構造物を複数回断層撮影して取得した前記管状構造物の複数の断層像から生成した3次元管状構造物内画像を取得し、
前記取得された3次元画像および3次元管状構造物内画像からそれぞれ前記管状構造物を抽出し、
前記抽出された前記3次元画像の管状構造物の任意の範囲と該任意の範囲に対応する前記3次元管状構造物内画像の管状構造物の範囲を対応付けし、
前記3次元管状構造物内画像の前記任意の範囲に含まれる特定の構造物の画像を、前記3次元画像の前記対応付け手段により対応付けられた範囲に投影した投影3次元画像を生成することを特徴とする管状構造物内画像再構成方法。
【請求項11】
コンピュータを、
被写体の管状構造物を表す3次元画像を取得する3次元画像取得手段と、
前記管状構造物内の経路に沿って前記管状構造物の内側から前記管状構造物を複数回断層撮影して取得した前記管状構造物の複数の断層像から生成した3次元管状構造物内画像を取得する3次元管状構造物内画像取得手段と、
前記取得された3次元画像および3次元管状構造物内画像からそれぞれ前記管状構造物を抽出する構造物抽出手段と、
前記抽出された前記3次元画像の管状構造物の任意の範囲と該任意の範囲に対応する前記3次元管状構造物内画像の管状構造物の範囲を対応付ける対応付け手段と、
前記3次元管状構造物内画像の前記任意の範囲に含まれる特定の構造物の画像を、前記3次元画像の前記対応付け手段により対応付けられた範囲に投影した投影3次元画像を生成する投影3次元画像生成手段として機能させることを特徴とする管状構造物内画像再構成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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